JP2019060464A - 円筒ころ軸受の保持器 - Google Patents
円筒ころ軸受の保持器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019060464A JP2019060464A JP2017187623A JP2017187623A JP2019060464A JP 2019060464 A JP2019060464 A JP 2019060464A JP 2017187623 A JP2017187623 A JP 2017187623A JP 2017187623 A JP2017187623 A JP 2017187623A JP 2019060464 A JP2019060464 A JP 2019060464A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diameter side
- cylindrical roller
- cylindrical
- outer diameter
- roller bearing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
【課題】追加工等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる円筒ころ軸受の保持器を提供する。【解決手段】この円筒ころ軸受の保持器4は、円筒ころ3の配列のピッチ円PCよりも内径側に位置し、各円筒ころ3を収容する複数のポケット10aが形成された円筒状のころ保持部10と、ころ保持部10の軸方向端からピッチ円PCよりも外径側まで延びる側面部11と、側面部11の外周縁から軸方向に延びて隣合う二つの円筒ころ3,3の間に位置し、これら円筒ころ3が外径側に脱落することを規制する複数の抜け止め部12とを有する。抜け止め部12の基端部の幅寸法b1が、側面部11における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなる。【選択図】図4
Description
この発明は、例えば、風力発電装置における増速機の遊星歯車等に用いられる円筒ころ軸受の保持器に関する。
風力発電装置の増速機に用いられる遊星歯車やその他の機器において、歯車等の回転する機械部品の内周面に外径側軌道面を直接に形成し、円筒ころ軸受として、内輪、ころ、および保持器で構成されたものがある。
円筒ころ軸受の保持器には、種々の形式があるが、低コスト化のためにプレス保持器が用いられることがある。
円筒ころ軸受の保持器には、種々の形式があるが、低コスト化のためにプレス保持器が用いられることがある。
また、円筒ころ軸受の高負荷容量化を図るため、図12に示すように、プレス製の保持器60の形状を工夫した円筒ころ軸受を試みた。この円筒ころ軸受は、両端の外周につばを有する内輪61と、複数の円筒ころ62と、これら複数の円筒ころ62を保持する保持器60とを備える。この保持器60は、円筒状のころ保持部63と、側面部64と、複数の抜け止め部65とを有する。
円筒状のころ保持部63は、円筒ころ62の配列のピッチ円直径PCDを成す位置よりも内径側に位置し、各円筒ころ62を収容する複数のポケット63aが形成されて内輪61のつばの外周面で案内される。側面部64は、ころ保持部63の軸方向端からピッチ円直径PCDを成す位置よりも外径側まで延びる。複数の抜け止め部65は、各円筒ころ62が外径側に脱落することを規制する。
図12の保持器60は、プレスによる曲げ加工(つめ曲げ工程)により、各抜け止め部65を最終的な形状とする。但し、現状の保持器形状では、図12右図に示すように、抜け止め部65および側面部64が根本から曲がってしまい設計した形状を得られなかった。
設計通りの形状を得るためには、追加工または設備の追加および改造が考えられるが、製品原価が高くなる。例えば、特許文献1のように材料に切り欠き等の溝を設けることが考えられるが、従来行っていなかった溝加工が必要となり製品原価が高くなる。また、つめ曲げ工程を、円筒ころ62をポケット63aに組み込む工程よりも前工程で行うなどは、本軸受の性質上実施不可能である。このため、特許文献2のように加工工程の工夫により寸法精度を向上させることはできない。
設計通りの形状を得るためには、追加工または設備の追加および改造が考えられるが、製品原価が高くなる。例えば、特許文献1のように材料に切り欠き等の溝を設けることが考えられるが、従来行っていなかった溝加工が必要となり製品原価が高くなる。また、つめ曲げ工程を、円筒ころ62をポケット63aに組み込む工程よりも前工程で行うなどは、本軸受の性質上実施不可能である。このため、特許文献2のように加工工程の工夫により寸法精度を向上させることはできない。
この発明の目的は、追加工等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる円筒ころ軸受の保持器を提供することである。
この発明の円筒ころ軸受の保持器は、両端の外周につばを有する内輪と、複数の円筒ころと、これら複数の円筒ころを保持する保持器とを備え、外径側部材に設けられた外径側軌道面と前記内輪の外周の内輪軌道面とに前記複数の円筒ころが転走するように前記内輪、前記外径側部材間に組み込まれる円筒ころ軸受における前記保持器であって、
前記円筒ころの配列のピッチ円よりも内径側に位置し、前記各円筒ころを収容する複数のポケットが形成された円筒状のころ保持部と、
このころ保持部の軸方向端から前記ピッチ円よりも外径側まで延びる側面部と、
この側面部の外周縁から軸方向に延びて隣合う二つの前記円筒ころの間に位置し、これら円筒ころが外径側に脱落することを規制する複数の抜け止め部と、を有し、
前記抜け止め部の基端部の幅寸法b1が前記側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなる。
前記円筒ころの配列のピッチ円よりも内径側に位置し、前記各円筒ころを収容する複数のポケットが形成された円筒状のころ保持部と、
このころ保持部の軸方向端から前記ピッチ円よりも外径側まで延びる側面部と、
この側面部の外周縁から軸方向に延びて隣合う二つの前記円筒ころの間に位置し、これら円筒ころが外径側に脱落することを規制する複数の抜け止め部と、を有し、
前記抜け止め部の基端部の幅寸法b1が前記側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなる。
この構成によると、ころ保持部および抜け止め部がそれぞれピッチ円よりも内径側および外径側に位置し、ピッチ円上に位置する保持器部分が存在しないため、ころ配列を密にできて、高負荷容量の軸受とできる。
特に、抜け止め部の基端部の幅寸法b1が側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなるため、各抜け止め部を軸方向に曲げ加工した際に、側面部はそのままで段差を境目として抜け止め部のみ曲がり、抜け止め部および側面部をそれぞれ所望(設計通り)の形状にすることができる。したがって、追加工または設備の追加等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる。
特に、抜け止め部の基端部の幅寸法b1が側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなるため、各抜け止め部を軸方向に曲げ加工した際に、側面部はそのままで段差を境目として抜け止め部のみ曲がり、抜け止め部および側面部をそれぞれ所望(設計通り)の形状にすることができる。したがって、追加工または設備の追加等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる。
前記側面部の外周縁の厚さt2が前記抜け止め部の基端部の厚さt1よりも厚いものであってもよい。この場合、抜け止め部および側面部をそれぞれ容易に所望の形状にすることができる。
前記側面部には、軸方向に貫通する油路が設けられていてもよい。この場合、側面部の油路から、円周方向に隣合う二つの円筒ころの間に油が供給されるため、保持器の通油性を向上し、軸受の潤滑性能を向上することができる。
前記側面部および前記抜け止め部が次式を満たすものであってもよい。
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2)
但し、b1:抜け止め部の基端部の幅寸法、b2:側面部における外周縁の幅寸法、t1:抜け止め部の基端部の厚さ、t2:側面部の外周縁の厚さ、L1:抜け止め部の長手方向の長さ、L2:側面部における、円環状部から外径側に放射状に延びる部分の径方向長さ、a:油路の幅寸法
この場合、各抜け止め部を軸方向に曲げ加工した際に、抜け止め部および側面部をそれぞれより確実に所望の形状にすることができる。
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2)
但し、b1:抜け止め部の基端部の幅寸法、b2:側面部における外周縁の幅寸法、t1:抜け止め部の基端部の厚さ、t2:側面部の外周縁の厚さ、L1:抜け止め部の長手方向の長さ、L2:側面部における、円環状部から外径側に放射状に延びる部分の径方向長さ、a:油路の幅寸法
この場合、各抜け止め部を軸方向に曲げ加工した際に、抜け止め部および側面部をそれぞれより確実に所望の形状にすることができる。
この発明の円筒ころ軸受の保持器は、両端の外周につばを有する内輪と、複数の円筒ころと、これら複数の円筒ころを保持する保持器とを備え、外径側部材に設けられた外径側軌道面と前記内輪の外周の内輪軌道面とに前記複数の円筒ころが転走するように前記内輪、前記外径側部材間に組み込まれる円筒ころ軸受における前記保持器であって、前記円筒ころの配列のピッチ円よりも内径側に位置し、前記各円筒ころを収容する複数のポケットが形成された円筒状のころ保持部と、このころ保持部の軸方向端から前記ピッチ円よりも外径側まで延びる側面部と、この側面部の外周縁から軸方向に延びて隣合う二つの前記円筒ころの間に位置し、これら円筒ころが外径側に脱落することを規制する複数の抜け止め部と、を有し、前記抜け止め部の基端部の幅寸法b1が前記側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなる。このため、追加工等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。
<円筒ころ軸受について>
図1および図2に示すように、この円筒ころ軸受1は、内輪2と、複数の円筒ころ3と、保持器4とを備える。図1に示すように、内輪2は、外周面に内輪軌道面2aが形成され且つ軸方向両側につば2bを有する。各円筒ころ3は内輪軌道面2aを転走する。保持器4は、複数の円筒ころ3を保持し、内輪2、外径側部材5間に組み込まれる。
<円筒ころ軸受について>
図1および図2に示すように、この円筒ころ軸受1は、内輪2と、複数の円筒ころ3と、保持器4とを備える。図1に示すように、内輪2は、外周面に内輪軌道面2aが形成され且つ軸方向両側につば2bを有する。各円筒ころ3は内輪軌道面2aを転走する。保持器4は、複数の円筒ころ3を保持し、内輪2、外径側部材5間に組み込まれる。
円筒ころ軸受1は、外径側部材5の内周に組み込まれる。外径側部材5は、歯車等の回転する機械部品であり、例えば、後述する風力発電装置の増速機に用いられる遊星歯車である。外径側部材5の内周面に外径側軌道面5aが形成され、この外径側軌道面5aを各円筒ころ3が転走する。外径側部材5の軸方向一方端には、内周面から内径側に突出するつば5bが設けられている。このつば5bは、円筒ころ3の一端面が当接することで、円筒ころ3の軸方向位置を規制する。なお、外径側部材5は、この円筒ころ軸受の構成部品となる外輪であってもよい。
<保持器4について>
図3(A),(B)に示すように、保持器4は、ころ保持部10と、一対の側面部11と、複数の抜け止め部12とを有する。ころ保持部10は、円筒ころ3を収容する複数のポケット10aを有する円筒状である。一対の側面部11は、ころ保持器10の軸方向両端から外径側に延びる。複数の抜け止め部12は、各側面部11の外径端(外周縁)からそれぞれ軸方向内側に延びる。
図3(A),(B)に示すように、保持器4は、ころ保持部10と、一対の側面部11と、複数の抜け止め部12とを有する。ころ保持部10は、円筒ころ3を収容する複数のポケット10aを有する円筒状である。一対の側面部11は、ころ保持器10の軸方向両端から外径側に延びる。複数の抜け止め部12は、各側面部11の外径端(外周縁)からそれぞれ軸方向内側に延びる。
図5に示すように、ころ保持部10は、互いに軸方向に離れて対面する一対の環状部分10b,10bと、対面する環状部分10b,10bを繋ぐように円周方向の複数箇所に一定間隔で設けられた柱部10cとを有する。円周方向に隣合う柱部10c,10c間の開口部がポケット10aとなる。ポケット10aの形状は四角形である。
図3(A)および図4に示すように、ころ保持部10は、全体が円筒ころ3の配列のピッチ円PC(ピッチ円直径PCDを成す径方向位置)よりも内径側に位置している。ころ保持部10の内周面における環状部分10bの内周面は、内輪2のつば2bの外周面で案内される案内面部10dとなる。
図3(A)および図4に示すように、ころ保持部10は、全体が円筒ころ3の配列のピッチ円PC(ピッチ円直径PCDを成す径方向位置)よりも内径側に位置している。ころ保持部10の内周面における環状部分10bの内周面は、内輪2のつば2bの外周面で案内される案内面部10dとなる。
図3(B)に示すように、側面部11は、ころ保持部10に繋がる円環状部11aと、複数の分離片部11bとを有する。これら分離片部11bは、円環状部11aにおける柱部10cの周方向位置から局部的に外径側に放射状に延びる。側面部11における分離片部11bと、抜け止め部12とで保持器つめ部分が構成される。
図3(A)に示すように、側面部11は、ピッチ円PCの内径側から外径側に渡って径方向に拡がっている。
図3(A)に示すように、側面部11は、ピッチ円PCの内径側から外径側に渡って径方向に拡がっている。
各抜け止め部12は、ピッチ円PCよりも外径側に位置する。各ポケット10aに円筒ころ3を収容した状態において、軸方向両側の抜け止め部12は、それぞれ隣り合う二つの円筒ころ3の間に位置する(図2参照)。図1に示すように、抜け止め部12は、外径側部材5のつば5bの内径よりも内径側に位置する。抜け止め部12の軸方向長さは、その先端が円筒ころ3の軸方向端よりも軸方向の内側に位置して、円筒ころ3が外径側へ抜けるのを規制することが可能な長さとされている。
<保持器つめ部分の形状>
図6(A),(B)に示すように、保持器つめ部分は、抜け止め部12よりも内径側に位置する分離片部11bと、外径側に位置する抜け止め部12とを有する。図6(A)に示すように、この例の分離片部11bは、軸方向から見て横長の長方形状であり、基端部から外周縁に渡って(径方向内外に渡って)同一の幅寸法b2に形成されている。図6(B)に示すように、分離片部11bは、周方向から見て縦長の長方形状であり、基端部から外周縁に渡って同一の厚みt2に形成されている。分離片部11bには、軸方向に貫通する油路11baが設けられている。この例の油路11baは、図6(A)に示すように、軸方向から見て矩形状に形成されているが、円形状など他のいかなる形状でもよい。
図6(A),(B)に示すように、保持器つめ部分は、抜け止め部12よりも内径側に位置する分離片部11bと、外径側に位置する抜け止め部12とを有する。図6(A)に示すように、この例の分離片部11bは、軸方向から見て横長の長方形状であり、基端部から外周縁に渡って(径方向内外に渡って)同一の幅寸法b2に形成されている。図6(B)に示すように、分離片部11bは、周方向から見て縦長の長方形状であり、基端部から外周縁に渡って同一の厚みt2に形成されている。分離片部11bには、軸方向に貫通する油路11baが設けられている。この例の油路11baは、図6(A)に示すように、軸方向から見て矩形状に形成されているが、円形状など他のいかなる形状でもよい。
各抜け止め部12は、このつめ部分の曲げ加工前において、分離片部11bの外周縁のうち幅方向中央部から外径側に延びる。この曲げ加工前の抜け止め部12は、軸方向から見て径方向に沿った縦長の長方形状であり、基端部から先端部に渡って同一の幅寸法b1に形成されている。図6(B)に示すように、曲げ加工前の抜け止め部12は、周方向から見て縦長の長方形状であり、基端部から先端部に渡って同一の厚みt1に形成されている。但し、後述するように、分離片部11bにおける外周縁の厚さt2が、抜け止め部12の厚さt1よりも大きく、かつ、抜け止め部12の外側面が分離片部11bの外側面に同一平面状に連なり、抜け止め部12の内側面が分離片部11bの内側面に段差Gaを介して連なる。
図6(A)に示すように、抜け止め部12の基端部の幅寸法b1が、分離片部11bの外周縁の幅寸法b2に対し段差Gbをもって小さくなる。これにより、抜け止め部12が側面部11よりも曲げ剛性の低い低剛性部分となっている。このため、各抜け止め部12を軸方向に曲げ加工した際に、側面部11はそのままで段差Gbを境目として抜け止め部12のみ曲がり(図7)、抜け止め部12および側面部11をそれぞれ所望(設計通り)の形状にし得る。
外径側の抜け止め部12の幅寸法b1および厚さt1は、円筒ころ3(図1)との干渉、外径側部材5(図1)の鍔5b(図1)の寸法などにより決定される。一方、内径側の分離片部11bの幅寸法b2および厚さt2は次式(1),(2)および(3)を満たす必要がある。
b2>b1 …(1)
t2>t1 …(2)
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2) …(3)
b2>b1 …(1)
t2>t1 …(2)
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2) …(3)
前記保持器つめ部分は、分離片部11bにおける外周縁の幅寸法b2が、抜け止め部12の基端部の幅寸法b1より大きく、かつ、分離片部11bにおける外周縁の厚さt2が、抜け止め部12の基端部の厚さt1よりも大きく設定されている。すなわち保持器つめ部分は、b2>b1かつt2>t1を満たす形状に形成されている。
また前記保持器つめ部分は、分離片部11bおよび抜け止め部12が次式(1)を満たす。
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2) …(1)
但し、b1:抜け止め部12の基端部の幅寸法、b2:側面部11における外周縁の幅寸法、t1:抜け止め部12の基端部の厚さ、t2:側面部11における外周縁の厚さ、L1:抜け止め部12の長手方向の長さ、L2:側面部11における、円環状部11aから外径側に放射状に延びる部分である分離片部11bの径方向長さ、a:油路11baの幅寸法
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2) …(1)
但し、b1:抜け止め部12の基端部の幅寸法、b2:側面部11における外周縁の幅寸法、t1:抜け止め部12の基端部の厚さ、t2:側面部11における外周縁の厚さ、L1:抜け止め部12の長手方向の長さ、L2:側面部11における、円環状部11aから外径側に放射状に延びる部分である分離片部11bの径方向長さ、a:油路11baの幅寸法
<前記式(1)の根拠について>
外径側の抜け止め部12(以後、単に「外径側」という)の断面2次モーメントI1
I1=b1t1 3/12
内径側の分離片部11b(以後、単に「内径側」という)の断面2次モーメントI2
I2=(b2−a)t2 3/12
外径側の断面係数Z1
Z1=(b1t1 3/12)×2/t2=(b2−a)t2 2/6
内径側と外径側の境目での曲げ応力σ1
σ1=M1/Z1=6FL1/b1t1 2
但し、F:外径側を曲げ加工する際の力
内径側根元の曲げ応力σ2
σ2=6F(L1+L2)/(b2−a)t2 2
外径側の抜け止め部12(以後、単に「外径側」という)の断面2次モーメントI1
I1=b1t1 3/12
内径側の分離片部11b(以後、単に「内径側」という)の断面2次モーメントI2
I2=(b2−a)t2 3/12
外径側の断面係数Z1
Z1=(b1t1 3/12)×2/t2=(b2−a)t2 2/6
内径側と外径側の境目での曲げ応力σ1
σ1=M1/Z1=6FL1/b1t1 2
但し、F:外径側を曲げ加工する際の力
内径側根元の曲げ応力σ2
σ2=6F(L1+L2)/(b2−a)t2 2
曲げ加工時、外径側が先に曲がる(塑性変形する)ためには、σ1>σ2である必要がある。
σ1>σ2
6FL1/b1t1 2>6F(L1+L2)/(b2−a)t2 2
上式を整理すると
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2)
が導出される。
σ1>σ2
6FL1/b1t1 2>6F(L1+L2)/(b2−a)t2 2
上式を整理すると
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2)
が導出される。
<円筒ころの組み込み手順>
図7(a)に示すように、内輪2の外周面に保持器4を配置した後、図7(b)に示すように、円筒ころ3をポケット10aに入れる。その後、図7(b),(c)に示すように、つめ部分を図示外のプレス機などで半径方向外方から押圧することで、抜け止め部12を軸方向に曲げ、円筒ころ3が保持器4から抜けないようにする。最終的に図7(d)に示すように、円筒ころ軸受1が組み立てられる。
図7(a)に示すように、内輪2の外周面に保持器4を配置した後、図7(b)に示すように、円筒ころ3をポケット10aに入れる。その後、図7(b),(c)に示すように、つめ部分を図示外のプレス機などで半径方向外方から押圧することで、抜け止め部12を軸方向に曲げ、円筒ころ3が保持器4から抜けないようにする。最終的に図7(d)に示すように、円筒ころ軸受1が組み立てられる。
<作用効果>
以上説明した円筒ころ軸受1の保持器4によれば、ころ保持部10および抜け止め部12がそれぞれピッチ円PCよりも内径側および外径側に位置し、ピッチ円PC上に位置する保持器部分が存在しないため、ころ配列を密にできて、高負荷容量の軸受とできる。
以上説明した円筒ころ軸受1の保持器4によれば、ころ保持部10および抜け止め部12がそれぞれピッチ円PCよりも内径側および外径側に位置し、ピッチ円PC上に位置する保持器部分が存在しないため、ころ配列を密にできて、高負荷容量の軸受とできる。
特に、抜け止め部12の基端部の幅寸法b1が分離片部11bの外周縁の幅寸法b2に対し段差Gaをもって小さくなるため、各抜け止め部12を軸方向に曲げ加工した際に、側面部11はそのままで段差Gaを境目として抜け止め部12のみ曲がり、抜け止め部12および側面部11をそれぞれ所望(設計通り)の形状にすることができる。したがって、追加工または設備の追加等を行うことなく、所望の保持器形状を得ることができる。
さらに側面部11の外周縁の厚さt2が抜け止め部12の基端部の厚さt1よりも厚いため、抜け止め部12および側面部11をそれぞれ容易に所望の形状にすることができる。
側面部11の分離片部11bには、軸方向に貫通する油路11baが設けられているため、側面部11の油路11baから、円周方向に隣合う二つの円筒ころ3,3の間に油が供給される。このため、保持器4の通油性を向上し、軸受の潤滑性能を向上することができる。
さらに側面部11の外周縁の厚さt2が抜け止め部12の基端部の厚さt1よりも厚いため、抜け止め部12および側面部11をそれぞれ容易に所望の形状にすることができる。
側面部11の分離片部11bには、軸方向に貫通する油路11baが設けられているため、側面部11の油路11baから、円周方向に隣合う二つの円筒ころ3,3の間に油が供給される。このため、保持器4の通油性を向上し、軸受の潤滑性能を向上することができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図8(B)に示すように、分離片部11bにおける外周縁の厚さt2が、抜け止め部12の厚さt1と同一であってもよい。但し、図8(A)に示すように、抜け止め部12の基端部の幅寸法b1が、分離片部11bの外周縁の幅寸法b2に対し段差Gbをもって小さくなる。このため、各抜け止め部12を軸方向に曲げ加工した際に、側面部11はそのままで段差Gbを境目として抜け止め部12のみ曲がり、抜け止め部12および側面部11をそれぞれ所望の形状にし得る。
各実施形態では、抜け止め部12の基端部と分離片部11bの外周縁との間の段差Gb,Gaが、断続的な各面取り形状に形成されているが、このような形状に限定されるものではない。例えば、段差Gb,Gaのいずれか一方または両方が連続的な丸面取り形状であってもよい。
抜け止め部12および分離片部11bのいずれか一方または両方は、軸方向から見た形状が長方形状以外の形状に形成されていてもよい。例えば、内径側から外径側に向かうに従って次第に幅狭となるような形状であってもよい。
抜け止め部12および分離片部11bのいずれか一方または両方は、周方向から見た形状が長方形状以外の形状に形成されていてもよい。例えば、内径側から外径側に向かうに従って次第に肉厚が薄肉となるような形状であってもよい。
側面部11に油路11baを形成しない構成としてもよい。この場合、式(1)における油路11baの幅寸法aを「零」とする。
抜け止め部12および分離片部11bのいずれか一方または両方は、周方向から見た形状が長方形状以外の形状に形成されていてもよい。例えば、内径側から外径側に向かうに従って次第に肉厚が薄肉となるような形状であってもよい。
側面部11に油路11baを形成しない構成としてもよい。この場合、式(1)における油路11baの幅寸法aを「零」とする。
<円筒ころ軸受1の増速機への適用例>
図1に示す円筒ころ軸受1が使用された風力発電装置の増速機について説明する。
図9に示すように、風力発電装置の増速機30は、入力軸31の回転を増速して低速軸32に伝達する遊星歯車装置33と、低速軸32の回転を増速して出力軸34に伝達する二次増速装置35とを備える。入力軸31は、図示外の風車の主軸に接続され、出力軸34は図示外の発電機に接続される。
図1に示す円筒ころ軸受1が使用された風力発電装置の増速機について説明する。
図9に示すように、風力発電装置の増速機30は、入力軸31の回転を増速して低速軸32に伝達する遊星歯車装置33と、低速軸32の回転を増速して出力軸34に伝達する二次増速装置35とを備える。入力軸31は、図示外の風車の主軸に接続され、出力軸34は図示外の発電機に接続される。
図10、図11に示すように、遊星歯車装置33は、旋回自在なキャリア37の周方向複数箇所に支持軸38が設けられ、各支持軸38の遊星歯車39が円筒ころ軸受1を介して回転自在に支持されている。遊星歯車39は、図1における外径側部材5である。図9、図10に示すように、キャリア37は、入力軸31と一体に回転するように設けられ、軸受41,42を介してケーシング43に旋回自在に支持されている。キャリア37に支持された各遊星歯車39は、ケーシング43に設けられた内歯のリングギヤ44に噛み合い、かつこのリングギヤ44と同心位置に設けられた外歯の太陽歯車45と噛み合う。太陽歯車45は、低速軸32に設けられている。低速軸32は軸受47,48を介してケーシング43に回転自在に支持されている。
二次増速装置35は、ギヤ列により構成されている。図9の例では、二次増速装置35は、低速軸32に固定されたギヤ50が中間軸51の小径側ギヤ52に噛み合い、中間軸51に設けられた大径側ギヤ53が出力軸34のギヤ54に噛み合うギヤ列とされている。中間軸51および出力軸34は、それぞれ軸受55,56および軸受57,58によってケーシング43に回転自在に支持されている。
上記構成の増速機30の動作を説明する。入力軸31が回転すると、入力軸31と一体のキャリア37が旋回し、キャリア37の複数箇所に支持された遊星歯車39が公転移動する。このとき遊星歯車39は、固定のリングギヤ44に噛み合いながら公転することで、自転を生じる。この公転しながら自転する遊星ギヤ39に噛み合う太陽歯車45は、入力軸31に対して増速されて回転する。この太陽歯車45の回転が二次増速装置35で増速されて出力軸34に伝えられる。
以上の説明では、円筒ころ軸受1を風力発電装置の増速機30に使用する例を示したが、この円筒ころ軸受1は他の機械にも使用することができる。その場合、外径側部材5は、遊星歯車39以外の回転または非回転の機械部品となる。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…内輪
2a…内輪軌道面
2b…つば
3…円筒ころ
4…保持器
5…外径側部材
5a…外径側軌道面
10…ころ保持部
10a…ポケット
11…側面部
11ba…油路
12…抜け止め部
2a…内輪軌道面
2b…つば
3…円筒ころ
4…保持器
5…外径側部材
5a…外径側軌道面
10…ころ保持部
10a…ポケット
11…側面部
11ba…油路
12…抜け止め部
Claims (4)
- 両端の外周につばを有する内輪と、複数の円筒ころと、これら複数の円筒ころを保持する保持器とを備え、外径側部材に設けられた外径側軌道面と前記内輪の外周の内輪軌道面とに前記複数の円筒ころが転走するように前記内輪、前記外径側部材間に組み込まれる円筒ころ軸受における前記保持器であって、
前記円筒ころの配列のピッチ円よりも内径側に位置し、前記各円筒ころを収容する複数のポケットが形成された円筒状のころ保持部と、
このころ保持部の軸方向端から前記ピッチ円よりも外径側まで延びる側面部と、
この側面部の外周縁から軸方向に延びて隣合う二つの前記円筒ころの間に位置し、これら円筒ころが外径側に脱落することを規制する複数の抜け止め部と、を有し、
前記抜け止め部の基端部の幅寸法b1が前記側面部における外周縁の幅寸法b2に対し段差をもって小さくなる円筒ころ軸受の保持器。 - 請求項1に記載の円筒ころ軸受の保持器において、前記側面部の外周縁の厚さt2が前記抜け止め部の基端部の厚さt1よりも厚い円筒ころ軸受の保持器。
- 請求項1または請求項2に記載の円筒ころ軸受の保持器において、前記側面部には、軸方向に貫通する油路が設けられている円筒ころ軸受の保持器。
- 請求項3に記載の円筒ころ軸受の保持器において、前記側面部および前記抜け止め部が次式を満たす円筒ころ軸受の保持器。
(b2−a)t2 2L1>b1t1 2(L1+L2)
但し、b1:抜け止め部の基端部の幅寸法、b2:側面部における外周縁の幅寸法、t1:抜け止め部の基端部の厚さ、t2:側面部の外周縁の厚さ、L1:抜け止め部の長手方向の長さ、L2:側面部における、円環状部から外径側に放射状に延びる部分の径方向長さ、a:油路の幅寸法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017187623A JP2019060464A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 円筒ころ軸受の保持器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017187623A JP2019060464A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 円筒ころ軸受の保持器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019060464A true JP2019060464A (ja) | 2019-04-18 |
Family
ID=66178086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017187623A Pending JP2019060464A (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | 円筒ころ軸受の保持器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019060464A (ja) |
-
2017
- 2017-09-28 JP JP2017187623A patent/JP2019060464A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100562732B1 (ko) | 2열 앵귤러 콘택트 볼 베어링 | |
KR101362708B1 (ko) | 파동기어장치의 파동발생기 | |
KR101616518B1 (ko) | 파동 기어 장치의 파동 발생기 | |
US8409050B2 (en) | Gear retention assembly | |
EP2905488B1 (en) | Needle roller and cage assembly | |
WO2014104132A1 (ja) | 円錐ころ軸受 | |
EP1820981A2 (en) | Roller bearing for planetary gear mechanism | |
KR20160123383A (ko) | 파동발생기 및 파동기어장치 | |
JP2017223246A (ja) | 波動歯車伝達装置 | |
KR20110034660A (ko) | 유성 증속기 | |
JP2019060464A (ja) | 円筒ころ軸受の保持器 | |
JP6338538B2 (ja) | 撓み噛合い式歯車装置 | |
JP2018194014A (ja) | 円筒ころ軸受および保持器の製造方法 | |
WO2018181016A1 (ja) | 円筒ころ軸受と保持器およびその保持器の製造方法 | |
JP2009063101A (ja) | 転がり軸受 | |
CN104105894B (zh) | 圆锥滚子轴承 | |
JP2017201194A (ja) | 減速装置 | |
JP2013024377A (ja) | 円すいころ軸受用樹脂製保持器及び円すいころ軸受 | |
JP2005106211A (ja) | 保持器付きころ | |
JP2017026021A (ja) | 波動減速機、及び波動減速機用の玉軸受 | |
WO2018101304A1 (ja) | 円筒ころ軸受 | |
JP2018091403A (ja) | 円筒ころ軸受 | |
JP2018091401A (ja) | 円筒ころ軸受 | |
JP2018091402A (ja) | 円筒ころ軸受 | |
JP2010270884A (ja) | ラジアルニードル軸受用保持器及びラジアルニードル軸受 |