JP2019059629A - 脱色泡ガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有色の廃ガラスから無色性(白色性)の高い泡ガラスを得る方法を提供する。【解決手段】有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる工程を含み、前記有色ガラスカレットが少なくとも茶色ガラスカレットを含む、脱色泡ガラスの製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、茶色ガラスカレットを用いて無色性(白色性)の高い脱色泡ガラスを製造する方法に関する。
従来より、廃棄ガラスはカレット化され、再溶融及び冷却されることでリサイクル材として再利用されてきた。例えば、無色のガラスカレットからは無色ガラス材がリサイクルされ、例えば有色ガラスカレットのうち茶色のガラスカレットからは茶色ガラス材がリサイクルされていることが多い。一方、有色ガラスカレットの中でも茶色以外のもの、具体的には主として緑色ガラスカレットを含む混合ガラスカレットのように、そのまま再溶融及び冷却のみを行っても、リサイクル材としての用途があまり無いものもある。
そこで、有色ガラスカレットの再溶融時に脱色剤を加えることにより、脱色されたリサイクルガラスを得る方法が知られている。特許文献1には、混合された着色カレット(典型的には、フリント(無色)約56重量%、琥珀色22.5重量%、及び緑色21.5重量%のガラスを含んでなる)を、化学的又は物理的に脱色する方法が開示されている。このうち、化学的脱色においては、亜鉛、セリウム、及びヒ素の酸化物を含む化学的脱色剤を用い、着色カレット100重量%当たり化学的脱色剤を約0.001−0.01重量%添加することが好適であることが開示されている。
一方で、ガラスカレットを溶融温度近傍で加熱発泡させることで、泡ガラスを得ることができることが知られている。泡ガラスは、軽量性、難燃性、吸音性、低熱伝導性などの特性により、建築用資材、土木用資材等として用いられている。
泡ガラスの原料廃ガラスとして茶色ガラスカレットが用いられる場合、得られる泡ガラスは薄茶色であり、緑色ガラスカレットが用いられる場合、得られる泡ガラスは薄緑色となる。泡ガラス資材は、その用途上、視認されない箇所に埋め込まれて配設されるため、着色の有無は問題とならない。そのため、有色の廃ガラスから製造された泡ガラスには、原料廃ガラスの色がそのまま反映されていることが通常である。
したがって、これまで、有色の廃ガラスから無色の泡ガラスを得ることは検討されてこなかった。また、有色の廃ガラスの脱色は、通常1500℃程度の高温溶融ガラス中で酸化剤を作用させることによって行われることが技術常識であり、当該酸化剤が、泡ガラスを製造する際の900℃以下の低温条件で脱色に対して有効であるかについては知られていなかった。
本発明の目的は、有色の廃ガラスから無色性(白色性)の高い泡ガラスを得る方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、茶色の廃ガラスを含む原料ガラスカレットに酸化亜鉛を加えて脱色しつつ発泡させることで、ガラス素地の脱色による退色と気泡による光拡散とが相まって無色性(白色性)の高い泡ガラスが得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、さらに検討を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる工程を含み、
前記有色ガラスカレットが少なくとも茶色ガラスカレットを含む、脱色泡ガラスの製造方法。
項2. 前記原料混合物に炭化ケイ素をさらに含ませる、項1に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項3. 前記炭化ケイ素の量が、前記原料ガラスカレット100重量部に対し0.05〜0.3重量部である、項2に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項4. 前記有色ガラスカレットが緑色ガラスカレットをさらに含む、項1〜3のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項5. 前記有色ガラスカレット100重量部中、前記茶色ガラスカレットの含有量が6.7〜100重量部である、項1〜4のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項6. 前記原料ガラスカレットが、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0〜650重量部の無色ガラスカレットを含む、項1〜5のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項7. 前記発泡剤が炭酸カルシウムである、項1〜6のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項8. 前記加熱発泡時の温度が750〜900℃である、項1〜7のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項9. 鉄原子を0.1重量%以上と亜鉛原子を1重量%以上とを含み、明度L*値が78以上、色相a*値が±3以内、且つ色相b*値が0〜10である、泡ガラス。
項1. 有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる工程を含み、
前記有色ガラスカレットが少なくとも茶色ガラスカレットを含む、脱色泡ガラスの製造方法。
項2. 前記原料混合物に炭化ケイ素をさらに含ませる、項1に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項3. 前記炭化ケイ素の量が、前記原料ガラスカレット100重量部に対し0.05〜0.3重量部である、項2に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項4. 前記有色ガラスカレットが緑色ガラスカレットをさらに含む、項1〜3のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項5. 前記有色ガラスカレット100重量部中、前記茶色ガラスカレットの含有量が6.7〜100重量部である、項1〜4のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項6. 前記原料ガラスカレットが、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0〜650重量部の無色ガラスカレットを含む、項1〜5のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項7. 前記発泡剤が炭酸カルシウムである、項1〜6のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項8. 前記加熱発泡時の温度が750〜900℃である、項1〜7のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
項9. 鉄原子を0.1重量%以上と亜鉛原子を1重量%以上とを含み、明度L*値が78以上、色相a*値が±3以内、且つ色相b*値が0〜10である、泡ガラス。
本発明によれば、有色の廃ガラスから脱色された泡ガラスを得ることができる。
[1.脱色泡ガラスの製造方法]
本発明の脱色泡ガラスの製造方法では、有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、所定量の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる。なお、本明細書において、2つの数値の間に「〜」を記載して数値範囲を表す場合には、この2つの数値も数値範囲に含まれるものとする。
本発明の脱色泡ガラスの製造方法では、有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、所定量の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる。なお、本明細書において、2つの数値の間に「〜」を記載して数値範囲を表す場合には、この2つの数値も数値範囲に含まれるものとする。
[1−1.原料ガラスカレット]
ガラスカレットは、廃品として回収されたビン等のガラス製品の廃ガラスから調製されるリサイクル原料であり、例えばホウケイ酸ガラス及び/又はソーダ石灰ガラスを主成分として構成されている。ガラスカレットは、廃ガラスから粉砕により粒状に処理されており、その平均粒子径としては特に限定されないが、例えば0.01〜0.5mm、好ましくは0.01〜0.1mmが挙げられる。なお、本明細書において平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。レーザー回折・散乱法とは、粒子に対してレーザー光を当てたときに粒子サイズによって回折散乱光の光強度分布が異なることを利用して粒子サイズを測定する方法である。
ガラスカレットは、廃品として回収されたビン等のガラス製品の廃ガラスから調製されるリサイクル原料であり、例えばホウケイ酸ガラス及び/又はソーダ石灰ガラスを主成分として構成されている。ガラスカレットは、廃ガラスから粉砕により粒状に処理されており、その平均粒子径としては特に限定されないが、例えば0.01〜0.5mm、好ましくは0.01〜0.1mmが挙げられる。なお、本明細書において平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。レーザー回折・散乱法とは、粒子に対してレーザー光を当てたときに粒子サイズによって回折散乱光の光強度分布が異なることを利用して粒子サイズを測定する方法である。
原料ガラスカレットは、有色ガラスカレットを含む。有色ガラスカレットは、少なくとも茶色ガラスカレットを含む。本発明の製造方法においては、特に茶色ガラスカレットに対して脱色の有効性が高い。茶色ガラスカレットには、着色成分として鉄イオンが含まれ、例えば鉄イオン(III)とイオウとを含むコロイドが挙げられる。茶色ガラスカレットの着色の程度としては、平均粒子径0.06mmの微粉末とした場合に、例えば明度L*値が85〜90、色相a*値が0.2〜1.0、色相b*値が8.0〜15.0のもの、好ましくは明度L*値が85〜90、色相a*値が0.2〜1.0、色相b*値が11.0〜15.0のものが挙げられる。明度L*値、色相a*値及び色相b*値は、JIS Z 8729に採用されている表色系であり、分光式色彩計によって測定することができる。
有色ガラスカレットは、上述の茶色ガラスカレットのみで構成されていてもよいし、茶色ガラスカレットに加えて、茶色以外の他色ガラスカレットが混合されていてもよい。他色ガラスカレットは、主として緑色ガラスカレットで構成される。他色ガラスカレットの着色の程度としては、平均粒子径0.06mmの微粉末とした場合に、例えば明度L*値が86〜92、色相a*値が−1.0〜−6.0、色相b*値が6.0〜11.0のもの、好ましくは明度L*値が86〜92、色相a*値が−3.1〜−6.0、色相b*値が8.0〜11.0が挙げられる。本発明においては、本来リサイクル材としての用途に乏しく、また脱色困難性の高い緑色ガラスカレットが原料に含まれていても、無色性(白色性)の高い脱色泡ガラスを得ることができる。有色ガラスカレットにおける茶色ガラスカレットの比率は特に限定されないが、脱色性を良好に得る観点から、有色ガラスカレット100重量部に対し茶色ガラスカレットが例えば10〜100重量部、好ましくは40〜100重量部が挙げられ、廃品として回収される有色ガラスの色分布をさらに考慮すると、20〜100重量部、好ましくは40〜80重量部が挙げられる。
なお、原料ガラスカレットは、上述の有色ガラスカレットのみで構成されていてもよいし、有色ガラスカレットに加えて、無色ガラスカレットが混合されていてもよい。原料ガラスカレットに無色ガラスカレットを含む場合、無色ガラスカレットの量は特に限定されないが、得られる脱色泡ガラスの無色性(白色性)を良好に得る観点からは、有色ガラスカレット100重量部に対して例えば20〜650重量部、好ましくは30〜100重量部が挙げられる。
[1−2.発泡剤]
発泡剤としては、泡ガラスの製造に用いられるものを特に限定することなく用いることができる。通常、発泡剤は、熱分解又はガラスとの反応によりガスを生じる物質であり、例えば、炭酸化合物及びカーボンが挙げられ、発泡性をより良好に得る観点から、炭酸化合物が挙げられる。炭酸化合物としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びこれらの複塩が挙げられ、好ましくは炭酸カルシウムが挙げられる。これら発泡剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤としては、泡ガラスの製造に用いられるものを特に限定することなく用いることができる。通常、発泡剤は、熱分解又はガラスとの反応によりガスを生じる物質であり、例えば、炭酸化合物及びカーボンが挙げられ、発泡性をより良好に得る観点から、炭酸化合物が挙げられる。炭酸化合物としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びこれらの複塩が挙げられ、好ましくは炭酸カルシウムが挙げられる。これら発泡剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤の使用量としては、特に限定されず、得られる脱色泡ガラスに求められる比重等に基づいて当業者が適宜決定することができる。さらに、脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)を良好に得る観点からは、原料ガラスカレット100重量部に対して発泡剤の量が0.2〜1.0重量部、好ましくは0.3〜0.8重量部が挙げられる。
発泡剤の平均粒子径としては特に限定されないが、微細気泡を生じさせ、得られる脱色泡ガラスにおいて、ガラス素地の脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)を良好に得る観点から、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.5〜4μmが挙げられる。
[1−3.炭化ケイ素]
本発明の製造方法においては、原料混合物に炭化ケイ素をさらに含ませることができる。炭化ケイ素は、発泡による気泡を細かくすることができるため、発泡剤と併用することによって、得られる泡ガラスにおいて、脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)を良好に得ることができる。
本発明の製造方法においては、原料混合物に炭化ケイ素をさらに含ませることができる。炭化ケイ素は、発泡による気泡を細かくすることができるため、発泡剤と併用することによって、得られる泡ガラスにおいて、脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)を良好に得ることができる。
炭化ケイ素の添加量としては特に限定されないが、得られる脱色泡ガラスにおいて、ガラス素地の脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)をより良好に得る観点から、原料ガラスカレット100重量部に対し0.05〜0.3重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部、より好ましくは0.2〜0.3重量部が挙げられる。或いは、炭化ケイ素の添加量としては、発泡剤1重量部に対して例えば0.1〜0.8重量部、好ましくは0.2〜0.4重量部、さらに好ましくは0.3〜0.6重量部が挙げられる。
炭化ケイ素の平均粒子経としては特に限定されないが、得られる脱色泡ガラスにおいて、脱色による退色と気泡による光拡散とが相まった無色性(白色性)無色性(白色性)をより良好に得る観点から、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.5〜4μmが挙げられる。
[1−3.脱色剤]
本発明の製造方法においては、脱色剤として酸化亜鉛を用いる。酸化亜鉛の量としては、有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部である。これによって、得られる泡ガラスに無色性(白色性)を与えることができる。この効果をより好ましく得る観点から、酸化亜鉛の量としては、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは3〜7重量部、さらに好ましくは4〜6重量部、特に好ましくは5〜6重量部が挙げられる。
本発明の製造方法においては、脱色剤として酸化亜鉛を用いる。酸化亜鉛の量としては、有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部である。これによって、得られる泡ガラスに無色性(白色性)を与えることができる。この効果をより好ましく得る観点から、酸化亜鉛の量としては、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは3〜7重量部、さらに好ましくは4〜6重量部、特に好ましくは5〜6重量部が挙げられる。
脱色剤の平均粒子経としては特に限定されないが、脱色反応を効率的に進行させる観点から、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.5〜4μmが挙げられる。
[1−4.他の成分]
本発明の製造方法においては、原料混合物として、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、成形助剤、結合剤等が挙げられる。成形助剤としては、ベントナイト等が挙げられる。結合剤としては、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、原料混合物として、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、成形助剤、結合剤等が挙げられる。成形助剤としては、ベントナイト等が挙げられる。結合剤としては、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
[1−5.加熱発泡]
原料混合物は、上記の成分を予め均一に混合して調製され、その後、加熱発泡温度に付される。これによって、ガラスカレットが溶融し発泡とともに脱色反応が進行する。加熱発泡温度は、冷却後に泡ガラスの形態を呈し得る程度に発泡した気泡を保持できる粘性を保障する温度であればよい。本発明においては、非発泡の脱色ガラス製造における溶融温度(例えば1200〜1600℃)でなく、且つガラスの流動性が低いにも関わらず、酸化亜鉛によって有効に脱色を行うことができる。例えば、750〜900℃が挙げられる。加熱中の気泡保持性及び脱色反応性の観点から、より好ましくは800〜870℃が挙げられる。
原料混合物は、上記の成分を予め均一に混合して調製され、その後、加熱発泡温度に付される。これによって、ガラスカレットが溶融し発泡とともに脱色反応が進行する。加熱発泡温度は、冷却後に泡ガラスの形態を呈し得る程度に発泡した気泡を保持できる粘性を保障する温度であればよい。本発明においては、非発泡の脱色ガラス製造における溶融温度(例えば1200〜1600℃)でなく、且つガラスの流動性が低いにも関わらず、酸化亜鉛によって有効に脱色を行うことができる。例えば、750〜900℃が挙げられる。加熱中の気泡保持性及び脱色反応性の観点から、より好ましくは800〜870℃が挙げられる。
なお、上述の加熱温度は、発泡剤とともに炭化ケイ素を用いる場合においては、加熱による炭化ケイ素の完全分解を防止することができため、発泡セル径の膨大を防止することができる。さらに、上述の加熱温度は、炭化ケイ素によるガラスの還元を防止することができるため、泡ガラスの明度(L*値)の低下を防止することができる。
加熱発泡時間としては特に限定されないが、例えば5〜40分、好ましくは10〜20分が挙げられる。加熱発泡と同時に型を用いて所望の形状に成型を行ってもよい。加熱発泡後、冷却することによって、脱色泡ガラスが得られる。本発明の製造方法によって得られる脱色泡ガラスは、脱色によるガラス素地の退色と、気泡による光拡散とが相まって、高い無色性(白色性)を呈する。本発明の製造方法によって得られる泡ガラスの好ましい特性については、後述の「2.脱色泡ガラス」で述べる。
[2.脱色泡ガラス]
本発明の脱色泡ガラスは、原料に含まれていた茶色ガラスカレットの着色成分に由来する鉄原子と、ガラスの脱色に用いた酸化亜鉛に由来する亜鉛原子とを含み、所定の無色性(白色性)を有する。具体的には、鉄原子の含量は0.1重量%以上であり、好ましくは
0.1〜0.5重量%である。亜鉛原子の含量は、例えば0.4〜8.3重量%、好ましくは1.6〜6.7重量%、より好ましくは2.4〜5.9重量%、さらに好ましくは3.2〜5.1重量%、特に好ましくは4.0〜5.1重量%である。鉄原子の含量は、酸化鉄等、着色成分の脱色反応後の態様で含まれているものと、場合により残存している、硫化鉄等、未反応の着色成分の態様のものとの総量(鉄原子換算量)である。亜鉛原子の含量は、硫化亜鉛等、脱色剤の反応後の態様で含まれているものと、場合により残存している、酸化亜鉛、つまり未反応の脱色剤の態様のものとの総量(亜鉛原子換算量)である。
本発明の脱色泡ガラスは、原料に含まれていた茶色ガラスカレットの着色成分に由来する鉄原子と、ガラスの脱色に用いた酸化亜鉛に由来する亜鉛原子とを含み、所定の無色性(白色性)を有する。具体的には、鉄原子の含量は0.1重量%以上であり、好ましくは
0.1〜0.5重量%である。亜鉛原子の含量は、例えば0.4〜8.3重量%、好ましくは1.6〜6.7重量%、より好ましくは2.4〜5.9重量%、さらに好ましくは3.2〜5.1重量%、特に好ましくは4.0〜5.1重量%である。鉄原子の含量は、酸化鉄等、着色成分の脱色反応後の態様で含まれているものと、場合により残存している、硫化鉄等、未反応の着色成分の態様のものとの総量(鉄原子換算量)である。亜鉛原子の含量は、硫化亜鉛等、脱色剤の反応後の態様で含まれているものと、場合により残存している、酸化亜鉛、つまり未反応の脱色剤の態様のものとの総量(亜鉛原子換算量)である。
上述の鉄原子及び亜鉛原子の含量は、直径10mmの脱色泡ガラスを測定試料とし、蛍光X線分析装置(具体的には(株)リガク製蛍光X線分析装置ZSX 100e)を用いて測定し、付属ソフトウェアによって導出される測定値として得る。
さらに、本発明の脱色泡ガラスは、炭化ケイ素を含んでいてもよい。炭化ケイ素の量としては、0.01〜0.25重量%、好ましくは0.05〜0.20重量%が挙げられる。
上述の炭化ケイ素の含有量は、X線回折装置(具体的には(株)リガク製X線回折装置Ultima IV)を用い、CuKαを線源とする炭化ケイ素由来の35.6°ピークを、毎分0.1°で測定して得る。
本発明の脱色泡ガラスが有する無色性(白色性)は、具体的には、明度L*値が78以上、好ましくは80以上、より好ましくは82以上であり、色相a*値が±3以内、好ましくは−3.0〜0、より好ましくは−2.5〜0、さらに好ましくは−2.0〜0であり、色相b*値が0〜10、好ましくは0〜9.0、より好ましくは0〜8.0、さらに好ましくは0〜7.0である。明度L*値、色相a*値及び色相b*値は、JIS Z 8729に採用されている表色系であり、分光式色彩計によって測定することができる。
本発明の脱色泡ガラスの密度としては特に限定されないが、無色性(白色性)を良好に得る観点から、たとえば200〜300kg/m3が挙げられる。また、泡ガラスの気泡の平均セル径としては特に限定されないが、無色性(白色性)を良好に得る観点から、炭化ケイ素を用いて製造した脱色泡ガラス中の微細気泡は、平均セル径が例えば1〜20μm、好ましくは1〜10μmとなる微細泡であることが好ましい。平均セル径は、デジタルマイクロスコープにより脱色泡ガラスの切断面の拡大画像を取り込み、取り込んだ拡大画像中200個程度の気泡のセル径を平均して求めることができる。セル径は、セルの面積から円相当径換算することで得ることができる。
本発明の脱色泡ガラスは、軽量性、難燃性、吸音性、低熱同性等の特性を利用し、建築用資材、土木用資材等の用途で用いることができる。また、優れた無色性(白色性)を有することから審美性に優れるため、園芸用途、建築物周囲に設置する防犯の用途のように、視認される場所への用途に用いることができる。
本発明の脱色泡ガラスは、茶色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットに、酸化亜鉛を脱色剤として作用させて発泡させることにより製造することができる。好ましくは、上述の「1.脱色泡ガラスの製造方法」により製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した主な成分の入手元及び特性等は、以下の通りである。
原料ガラスカレット(廃ガラス、平均粒子径0.06mm、茶色ガラスカレットの明度L*値は88.5、色相a*値は0.4、色相b*値は11.8である。他色ガラスカレットは、主として緑色ガラスカレットで構成され、明度L*値は89.9、色相a*値は−4.5、色相b*値は8.9である。)
炭酸カルシウム(和光純薬製、平均粒子径2.5μm)
酸化亜鉛(キシダ化学製、平均粒子径1.1μm)
炭化ケイ素(フジミインコーポレーテッド製、平均粒子径1.2μm)
原料ガラスカレット(廃ガラス、平均粒子径0.06mm、茶色ガラスカレットの明度L*値は88.5、色相a*値は0.4、色相b*値は11.8である。他色ガラスカレットは、主として緑色ガラスカレットで構成され、明度L*値は89.9、色相a*値は−4.5、色相b*値は8.9である。)
炭酸カルシウム(和光純薬製、平均粒子径2.5μm)
酸化亜鉛(キシダ化学製、平均粒子径1.1μm)
炭化ケイ素(フジミインコーポレーテッド製、平均粒子径1.2μm)
[実施例1〜13、比較例1〜5]
表1に示す組成で各成分を均一に混合して原料混合物を調製した。なお、表1において、各成分の含有量を示す数値の単位は重量部である。原料混合物をアルミナるつぼに入れ、電気炉内で850℃に昇温し、昇温後30分保持して加熱発泡させた。その後、冷却し、脱色泡ガラスを得た。得られた脱色泡ガラスを表色系により評価するため、泡ガラスの平坦面に対して分光測色計(コニカミノルタ製;型番CM−700D)を用い、明度L*値、色相a*値及び色相b*値を測定した。なお、明度L*値が78以上、色相a*値が±3以内、且つ色相b*値が0〜10である場合に、無色性(白色性)が得られたと判断した。
表1に示す組成で各成分を均一に混合して原料混合物を調製した。なお、表1において、各成分の含有量を示す数値の単位は重量部である。原料混合物をアルミナるつぼに入れ、電気炉内で850℃に昇温し、昇温後30分保持して加熱発泡させた。その後、冷却し、脱色泡ガラスを得た。得られた脱色泡ガラスを表色系により評価するため、泡ガラスの平坦面に対して分光測色計(コニカミノルタ製;型番CM−700D)を用い、明度L*値、色相a*値及び色相b*値を測定した。なお、明度L*値が78以上、色相a*値が±3以内、且つ色相b*値が0〜10である場合に、無色性(白色性)が得られたと判断した。
得られた結果を表1に示す。また、比較例1で得られた泡ガラス及び実施例1で得られた泡ガラスの外観写真を図1に示す。酸化亜鉛を含ませなかった場合(比較例1、2)及び有色ガラスカレットに茶色ガラスカレットを含ませなかった場合(比較例3〜5)は、得られた泡ガラスに着色が認められたが、茶色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットに所定量(有色ガラスカレットに対し0.5〜10重量部)の酸化亜鉛を添加した場合(実施例1〜13)では、無色性(白色性)の優れた泡ガラスが得られた。
[気泡の平均セル径]
なお、実施例2で得られた脱色泡ガラスの切断面をデジタルマイクロスコープにより拡大画像を取り込み、取り込んだ拡大画像中200個程度の微細気泡のセル径を特定したところ、2〜30μmのセル径が確認され、平均セル径は8μmであった。
なお、実施例2で得られた脱色泡ガラスの切断面をデジタルマイクロスコープにより拡大画像を取り込み、取り込んだ拡大画像中200個程度の微細気泡のセル径を特定したところ、2〜30μmのセル径が確認され、平均セル径は8μmであった。
[含有元素の測定]
実施例1及び実施例10と同様の条件で脱色泡ガラスを作製し、鉄原子の含有量、亜鉛原子の含有量、及び炭化ケイ素の含有量を測定した。
実施例1及び実施例10と同様の条件で脱色泡ガラスを作製し、鉄原子の含有量、亜鉛原子の含有量、及び炭化ケイ素の含有量を測定した。
鉄原子の含有量及び亜鉛原子の含有量は、脱色泡ガラス粉末を直径10mm、厚み1mmに加圧成形した塊状試料を測定試料とし、(株)リガク製蛍光X線分析装置ZSX 100eを用いて測定し、付属ソフトウェアによって導出される測定値として得た。実施例1の条件で得られた泡ガラスの鉄原子の含有量は0.23重量%、亜鉛原子の含有量は1.8重量%であった。また、実施例10の条件で得られた泡ガラスの鉄原子の含有量は0.34重量%、亜鉛原子の含有量は1.83重量%であった。
なお、実施例1及び実施例10と同様の条件による脱色泡ガラスの他にも、他の条件による脱色泡ガラスも種々製造し、同様に鉄原子含有量及び亜鉛原子含有量の測定を行った。その結果、原料のガラスカレットに実質的に亜鉛が含まれていない場合には、上述の測定方法によって得られる測定値が、脱色剤として添加した酸化亜鉛に由来する亜鉛原子の含有量の理論値に0重量%超0.3重量%以下の誤差を含む範囲内で得られることを確認した。したがって、他の実施例の条件によって得られる脱色泡ガラスそれぞれにおける鉄原子含有量及び亜鉛原子含有量も、脱色剤として添加した酸化亜鉛に由来する亜鉛原子の含有量の理論値に0重量%超0.3重量%以下の誤差を含む範囲内で得ることができる。
また、炭化ケイ素の含有量は、厚み0.4mmの脱色泡ガラス粉末を測定試料とし、(株)リガク製X線回折装置Ultima IVを用い、CuKαを線源とする炭化ケイ素の35.6°ピークを毎分0.1°で測定することにより得た。なお、得られたスペクトルにおいては、35.5°においてピークの重なりがあるため、炭化ケイ素を用いないことを除いて同様の条件で作製した脱色泡ガラスを同様の条件で測定した場合の35.5°におけるピーク強度の分を差し引き、且つ、原料ガラスカレット粉末と酸化亜鉛と炭化ケイ素とを含み炭酸カルシウムを含まない混合粉末を同様の条件で測定した場合の35.6°におけるピーク値を参照することにより、35.6°における炭化ケイ素由来のピーク値を導出した。実施例1の条件で得られた泡ガラスの炭化ケイ素の含有量は0.08重量%であった。また、実施例10の条件で得られた泡ガラスの炭化ケイ素の含有量は0.15重量%であった。
Claims (9)
- 有色ガラスカレットを含む原料ガラスカレットと、発泡剤と、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0.5〜10重量部の酸化亜鉛と、を含む原料混合物を加熱発泡させる工程を含み、
前記有色ガラスカレットが少なくとも茶色ガラスカレットを含む、脱色泡ガラスの製造方法。 - 前記原料混合物に炭化ケイ素をさらに含ませる、請求項1に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記炭化ケイ素の量が、前記原料ガラスカレット100重量部に対し0.05〜0.3重量部である、請求項2に記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記有色ガラスカレットが緑色ガラスカレットをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記有色ガラスカレット100重量部中、前記茶色ガラスカレットの含有量が6.7〜100重量部である、請求項1〜4のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記原料ガラスカレットが、前記有色ガラスカレット100重量部に対し0〜650重量部の無色ガラスカレットを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記発泡剤が炭酸カルシウムである、請求項1〜6のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 前記加熱発泡時の温度が750〜900℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の脱色泡ガラスの製造方法。
- 鉄原子を0.1重量%以上と亜鉛原子を1重量%以上とを含み、明度L*値が78以上、色相a*値が±3以内、且つ色相b*値が0〜10である、泡ガラス。
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2017
- 2017-09-25 JP JP2017183617A patent/JP2019059629A/ja active Pending
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EP4178922A4 (en) * | 2020-07-08 | 2024-08-28 | Tuerkiye Sise Ve Cam Fabrikalari Anonim Sirketi | HOUSEHOLD GLASS PRODUCT OBTAINED FROM GULLET AND MANUFACTURING METHOD THEREOF |
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