JP2019058957A - 研磨フィルム、及び該研磨フィルムの製造方法 - Google Patents

研磨フィルム、及び該研磨フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐久性が高く、繰り返し多数回使用可能であって、研磨時の研磨層破損や基材からの剥離が無く、研磨効率の低下が少なく、特に最終仕上げの高精度研磨に使用可能な研磨フィルム及びその製造方法を提供することである。【課題を解決するための手段】基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであり、前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる、研磨フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨フィルムに関するものであり、詳しくは、光コネクタフェルール、半導体ウエハ、半導体の集積回路形成時の平坦化、金属、セラミックス、カラーフィルター(液晶表示用等)、プラズマディスプレイ、光学レンズ、磁気ディスクあるいは光ディスク基板、磁気ヘッド、光学読取ヘッド等の精密部品の、表面や端面を研磨する研磨フィルム、特に、光コネクタフェルール部端面を研磨する高耐久性の研磨フィルム、及びその製造方法に関するものである。
従来、光コネクタフェルールや半導体ウエハ等の精密部品は、最終仕上げを行う研磨工程での精度により、その品質が左右され、最終仕上げ研磨には、メカニカルポリッシングと呼ばれている研磨が行われている。
このメカニカルポリッシングでは、まず苛性ソーダ、アンモニア、エタノールアミン等のアルカリ溶液に、5〜300nmの粒子径を有する研磨材粒子を懸濁させてpH9〜12のコロイダル液からなる研磨液を作製し、次いで、この研磨液をポリウレタン等の樹脂シートからなる研磨布上に供給しながら、研磨布上で光コネクタフェルールや半導体ウエハ等の精密部品を研磨している。
このような研磨液と研磨布とを利用するメカニカルポリッシングには、研磨中に研磨液中の研磨材粒子の濃度が変化したり、あるいは研磨材粒子の凝集によって研磨材粒子の粒度分布が変化したりするため、光コネクタフェルール、半導体ウエハ等の被研磨体に研磨傷や研磨斑が発生することがある。また研磨終了後に光コネクタフェルール、半導体ウエハ等の被研磨体の表面に付着している研磨材粒子を水洗、除去する工程が必要であり、研磨工程が煩雑であるという欠点があった。
これに対して、プラスチックフィルムからなる研磨フィルム用基材に対して、結合剤(バインダともいう)用樹脂液中に研磨材粒子を分散させてなる塗工剤を塗工して乾燥することによって、研磨層を形成して研磨フィルムを作製することが考えられている。
光コネクタフェルールおよび半導体ウエハ等はこの研磨フィルム上で研磨されるが、研磨フィルムを作製する際、粒子径1μm以下の研磨材粒子をバインダー用樹脂液中に均一に分散させることはむずかしく、最終仕上げ用の研磨フィルムとしては使用することができないという欠点があった。
すなわち、最終仕上げの高精度研磨は、微細な研磨材粒子による研磨によって行われるが、研磨材粒子は粒子径が小さくなるにしたがって表面エネルギーが増大して凝集し易くなるため、微細な研磨材粒子を結合剤中に均一に分散させることはむずかしいという欠点があった。また、凝集状態の研磨材粒子を含有する塗工剤によって研磨層を形成した場合、研磨層中に5〜10μmの粗大粒子が生成しており、これによる被研磨体表面の研磨傷の発生が避けられないという欠点があった。
さらに、研磨フィルムは1〜2回使用が限度であって、繰り返し多数回の使用ができず、耐久性に欠け、省エネルギーに劣るという欠点があった。
従って、研磨フィルムは、研磨層中に5〜10μmの粗大粒子の生成がなく、被研磨体表面の研磨傷が発生が少なくでき、最終仕上げの高精度研磨に使用でき、かつ、繰り返し多数回使用できる耐久性が求められている。研磨フィルムの塗工剤は、粒子径の小さく凝集し易い微細な研磨材粒子でも、結合剤中に均一に分散させることが求められている。研
磨フィルムの製造方法は、塗布方法で研磨層を形成する場合でも、分散された研磨材粒子を含有する塗工剤を用い、安定して均一な研磨層が形成できる製造方法が求められている。
研磨層中に粗大粒子からなる研磨材粒子が存在することなく、微細な研磨材粒子のみを存在させて、光コネクタフェルール端面や、半導体ウエハ表面等の精密部品鏡面仕上げを精度良く行うことができる研磨フィルムが知られているが、仕上げ用としては1〜2回使用が限度であって、省エネルギー見地から、繰り返し多数回使用できず、耐久性の高い研磨フィルムの発明にまでは至らないという問題点がある。(特許文献1、2参照。)
特許第3305557号 特許第3279912号
本発明の目的は、耐久性が高く、繰り返し多数回使用可能であって、研磨時の研磨層破損や基材からの剥離が無く、研磨効率の低下が少なく、特に最終仕上げの高精度研磨に使用可能な研磨フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、種々研究の結果、基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであり、前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる、研磨フィルムが、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有し、
前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、
前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量%以上、99.7質量%以下であり、
前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものである、
研磨フィルム。
2.前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、上記1に記載の研磨フィルム。
3.前記プライマー有機樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含むものである、上記1または2に記載の研磨フィルム。
4.前記ポリエステル樹脂が、官能基を有するポリエステル樹脂である、上記3に記載の研磨フィルム。
5.前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、上記4に記載の研磨フィルム。
6.前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、上記1〜5の何れかに記載の研磨フィルム。
7.前記プライマー有機樹脂組成物が、水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステル系樹脂と、イソシアネート化合物とを含有する、熱硬化性有機樹脂組成物である、上記1〜6の何れかに記載の研磨フィルム。
8.前記アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーは、メチル基とフェニル基とアルコキシ基とを有し、
前記アルコキシ基の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は10〜30質量%であり、
SiO2分の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は30〜50質量%である、
上記1〜7の何れかに記載の研磨フィルム。
9.前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、上記1〜8の何れかに記載の研磨フィルム。
10.前記無機ナノ粒子の修正モース硬度が、7以上、12以下である、上記1〜9の何れかに記載の研磨フィルム。
11.前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、上記1〜10の何れかに記載の研磨フィルム。
12.前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、上記1〜11の何れかに記載の研磨フィルム。
13.上記1〜12の何れかに記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a〜工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
工程a:20〜50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50〜120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
工程c:20〜40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100〜150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、
14.前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、上記13に記載の研磨フィルムの製造方法。
本発明によって、耐久性が高く、繰り返し多数回使用可能であって、研磨時の研磨層破損や基材からの剥離が無く、研磨効率の低下が少なく、特に最終仕上げの高精度研磨に使用可能な、光ファイバー端面の研磨用フィルムとして最適な、研磨フィルム及びその製造方法を得ることができる。
本発明の研磨フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の研磨フィルムの層構成について、基材層に印刷層を含む場合の一例を示す概略的断面図である。 本発明の研磨フィルムを用いて半導体ウェハの研磨を説明する要部の断面図である。 本発明の研磨フィルムを用いて光コネクタフェルールの研磨を説明する要部の断面図である。
本発明の研磨フィルムについて、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
図1は、本発明の研磨フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を基本構造とするものである。更に、必要に応じて、図2に示すように、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
[基材層]
基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、プライマー層や研磨層を形成する条件等に耐え、それらプライマー層や研磨層等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができ、寸法変化が少なく、研磨時の力学的負荷や温度に耐える強度・耐熱性を有した、金属、金属酸化物等の無機材料や樹脂等の有機材料を、例えばフィルムやシートとして使用することができる。また、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
基材層としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装材料に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、プライマー層や研磨層の作製条件や研磨条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
基材層として好ましく使用されるフィルムの具体例としては、紙、アルミ箔、セロファン、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、アセタール系樹脂フィルム、これらを一軸または二軸延伸したフィルム、Kコートフィルム、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなる樹脂フィルム、Kコート延伸ポリプロピレンフィルム、Kコート延伸ナイロンフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルム等が挙げられる。
なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの一軸または二軸延伸ポリアミドフィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等を好適に使用することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートが最も好適である。
基材層に用いる樹脂のフィルム又はシートは、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
基材層の厚さは、任意に選択し得るが、耐久性の観点から、10μm以上、300μm以下が好ましく、20μm以上、200μm以下が更に好ましく、50μm以上、100μm以下が特に好ましい。上記範囲より薄いと強度が不足し、上記範囲より厚いと剛性が高くなりすぎて、加工が困難になり得る。
基材層のフィルム又はシートは、例えば、前記の樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押
し出し製膜化法により製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
[プライマー層]
プライマー層は、研磨層と基材層との間に介在して、両層を接着するものである。プライマー層の存在によって、研磨層は研磨中に基材から剥離することが無く、繰り返し安定した研磨作業が可能になる。
プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであることによって、通常の非有機樹脂系のプライマーの場合よりも、研磨層と基材層とを強固に接着する。
プライマー有機樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物のどちらであってもよい。熱硬化性樹脂組成物である場合は、プライマー層の硬度と接着性は更に向上し、研磨層と基材層とを更に強固に接着し、メカニズムは明確ではないが、研磨フィルムの耐久性は向上させることが可能であり、幅広い研磨条件を適用しうることで研磨性を向上させることも可能であると考えられる。
プライマー有機樹脂組成物は、有機樹脂と溶剤とを含むものであり、必要に応じて、更に硬化剤を含んでもよい。また更に、必要に応じて、硬化促進剤や架橋剤やレベリング剤等を含んでもよい。
有機樹脂または硬化剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、イソシアネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリル系またはポリメタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとのエチレン共重合体、ポリビニルアセタール系樹脂、ゴム系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ−プラスト系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、有機シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂及びそれらのモノマーが挙げられる。更に、各有機樹脂または硬化剤は、異種モノマーとの共重合体であってもよく、1種または2種以上の官能基を有していてもよい。また、これらの有機樹脂または硬化剤は、2種以上を併用することも出来る。
有機樹脂としては、塗膜性、接着性、硬度、皮膜特性、耐熱特性、可とう性、靭性、長期安定性、等の観点から、ポリエステル系樹脂が好ましく、水酸基またはカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂がより好ましく、分子末端に水酸基またはカルボキシル基を有する飽和共重合ポリエステル系樹脂が特に好ましい。
有機樹脂の分子量や軟化点に特に制限は無いが、塗膜形成が可能で、30℃で固形であるものが好ましい。
硬化剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ樹脂などが好ましく、中でも特に、イソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物は、芳香族または脂肪族のどちらでもよく、低分子化合物または高分子化合物のどちらでもよい。また、分子内にイソシアネート基を2個以上有したものが好ましく、公知の、イソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物や、3個以上のポリイソシアネート化合物等を使用できる。中でも、接着性や耐水性の観点から、ポリイソシアネート化合物が特に好まれる。
具体的なイソシアネート化合物としては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−
ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体、ビュレット体、アロファネート体等が挙げられる。また、これらの硬化剤は、2種以上を併用することも出来る。
硬化剤の含有量は、有機樹脂の官能基当量や目標とする物性に応じて調整されるものであって、極少量でもよく、例えば、有機樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部でも構わない。
硬化促進剤は、用いる樹脂や硬化剤の種類に適した、公知の化合物が選ばれ、2種以上を併用することも出来る。
溶剤は、プライマー有機樹脂組成物に用いられる有機樹脂を溶解し、本発明の研磨フィルムの製造工程上の適切な沸点や揮発性を有するものならば、特に制限は無く用いることが出来、2種以上を併用することも出来る。
具体的な溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、石油系溶剤及び、これらの混合系が挙げられるが、中でも、ケトン系溶剤やトルエンは溶解性や揮発性の点で扱い易く、コスト面でも好ましく、例えば、質量比1/1のトルエン/メチルエチルケトン混合物が特に好ましい。
これらの有機樹脂、硬化剤、硬化促進剤等を、化学反応や蒸発を抑えるために、好ましくは20℃〜50℃において、適宜溶剤に溶解して混合して、プライマー有機樹脂組成物を調整することができる。
プライマー層はプライマー有機樹脂組成物を基材層に塗布及び乾燥することで得られる。更には必要に応じて硬化反応を進行させてもよく、また更には必要に応じてエージング処理を行ってもよい。
塗布方法は特に限定されるものではなく、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコートなどが適用できる。好ましくは、グラビアリバース法、3本ロールリバース法等の公知の方法で塗布することができる。
また、塗布する前に、基材層表面に、必要に応じて、前もって、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理を行ってもよい。
乾燥時は、必要に応じて加熱をしてもよい。加熱温度は、用いた溶剤が突沸せず除去される十分な温度であればよく、50〜120℃が好ましい。加熱時間は、用いた溶剤の揮発性や温度に応じた十分な時間でよく、0.5〜10分が好ましい。
硬化反応を進行させる場合は、通常は加熱により硬化反応を進行させるが、用いられた有機樹脂の種類に応じて、UV照射や電子線照射によって硬化反応を進行させてもよい。加熱によって硬化反応を進行させる際の温度は、有機樹脂の官能基の種類に応じて、100〜150℃が好ましい。
エージング処理を行う場合のエージング条件は、50〜80℃で、1〜7日間が好ましい。
プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下が好ましく、20nm以上、100nm以下が更に好ましく、30nm以上、70nm以下が特に好ましい。上記範囲よりも薄いとプライマーの効果が小さくなり過ぎる傾向にあり、上記範囲よりも厚いとプライマー層内の凝集破壊が生じて剥がれが生じ易くなる傾向がある。
[研磨層]
本発明において、研磨層は、研磨粒子としての無機ナノ粒子と、バインダーとしてのアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有する層であり、研磨層樹脂組成物をプライマー層に塗布し、乾燥することで縮合反応を進行させて、得られる層である。
研磨層は、研磨層中に砥粒となる無機ナノ粒子とバインダーであるアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とが適切な割合で均一に分散していることによって、適度な硬度を有するものであり、更には、化学的または物理的性質を修飾するために、他の非珪素系樹脂を含むこともできる。
研磨層樹脂組成物は、少なくとも、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーと、溶剤とを含むものであり、更には必要に応じて、学的または物理的性質を修飾するために、ゴム微粒子やレベリング剤や、他の非珪素系樹脂等を含むことも出来る。
研磨層樹脂組成物を調整する際は、化学反応や蒸発を抑えるために、配合原料を、好ましくは20℃〜50℃で適宜混合及び溶解させて、研磨層樹脂組成物を得ることができる。
研磨層は、研磨層樹脂組成物をプライマー層に塗布及び乾燥することで得られる。更には必要に応じて及びプライマー層/研磨層界面での化学反応を進行させてもよく、同時にプライマー層内の硬化反応を進行させてもよく、また更には必要に応じてエージング処理を行ってもよい。
本発明においては、上述した極めて微細な粒径からなる無機ナノ粒子の研磨粒子は、上記のようなシリコーン系樹脂を使用することによって、研磨層樹脂組成物中と、研磨層中と、研磨液中の何れにおいても、凝集することなく一次粒子の状態が保持されて単分散状となり、高精細な微細研磨に適する状態を保持し得るという格別の利点を有するものである。
なお、無機ナノ粒子が一次粒子の状態を保持し得る理由は定かではないが、バインダー樹脂として使用する樹脂中にシロキサン結合(Si−O結合)が含有されていると、無機ナノ粒子として例えばナノシリカ粒子を使用した場合に、その両者が相互にSi原子を共通とする構造を有することになる。
その結果、両者が親和性を有することとなるので、上述の無機ナノ粒子は、研磨層樹脂組成物中、研磨層中、研磨中の研磨液の何れにおいても、一次粒子の状態を保持し易く単分散状となり得ると考えられる。
ナノシリカ粒子以外の無機ナノ粒子の場合でも、無機であるという共通の組成を有することによって、同様な理由で、一次粒子の状態を保持し易く単分散状となり得ると考えられる。
研磨層上に水を滴下して研磨した際に、同時に、研磨層中のシリコーン系樹脂も研磨されて前記水に溶解又は微粒子となって分散して、無機ナノ粒子は前記水中に放出されて砥粒となり、安定した濃度及び粘度のスラリー様状態の研磨液が形成されて、研磨性能を発現することができる。
また、研磨層表面は、バインダーのシリコーン系樹脂が常に研磨されて、無機ナノ粒子
も常に水中に放出されて、常に最新表面が露出していることによって、初回使用時から多数回使用後まで、安定したスラリー濃度と安定した研磨層表面状態とを呈することになり、常に安定した研磨性能を発揮することが可能である。
(シリコーン系樹脂)
本発明における研磨層に含有される、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂は、縮合前の研磨層樹脂組成物中においては、シロキサン結合(Si−O結合)と、アルコキシ基と、メチル基及び/またはフェニル基とを有する、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーが、加水分解された状態で含まれている。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーは、メトキシ基以外の官能基を有していてもよく、更にはシロキサン結合を有さない樹脂で変性されていてもよく、また更には、シロキサン結合を有さない樹脂を主鎖として、側鎖部分がアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーで構成されたものであってもよい。
アルコキシ基としては、メトキシ基やエトキシ基が挙げられる。
メチル基が多い場合は、加水分解反応性に優れており、フェニル基が多い場合には、アクリル、エポキシ、ポリエステルなどの有機樹脂との相溶性が良好になり、両者を有することで加水分解反応性と相溶性のバランスに優れたアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーとすることができる。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの加水分解物は、アルコキシ基が加水分解してシラノール基を生成しており、塗布及び乾燥されて研磨層を形成する際に、シラノール基同士の脱水縮合反応、または、該シラノール基と研磨層樹脂組成物中やプライマー層表面のアルコール性水酸基またはフェノール性水酸基を有する成分との間で脱水縮合反応を進行させて、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂を生成する。
シロキサン結合を有さない樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリル系またはポリメタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン共重合体、ポリビニルアセタール系樹脂、ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ−プラスト系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の、前記アルコキシ基の含有量は、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。上記範囲よりも少ないと、縮合生成物であるシリコーン系樹脂の強度が低過ぎて研磨層の耐久性が低下する傾向にあり、上記範囲よりも多いと、縮合生成物であるシリコーン系樹脂が硬くなり過ぎて研磨され難くなり、無機ナノ粒子の放出量が少なくなることで、良好な濃度及び粘度のスラリー様状態の研磨液が形成され難くなる。
全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の、SiO2分の含有量は、30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。上記範囲よりも少ないと縮合生成物であるシリコーン系樹脂と無機ナノ粒子との親和性が低くなり、無機ナノ粒子が研磨層樹脂組成物中、研磨層中、研磨液中において、一次粒子の状態を保持した単分散状態になり難くなり、上記範囲よりも多いと、相対的にアルコキシ基及び有機置換基の量が低くなる為に、研磨層の耐久性が低下する。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの分子量は300〜2000が好ましく、500〜1500がより好ましい。平均重合度は20〜200が好ましく、50〜150がより好ましい。
(無機ナノ粒子)
本発明において、無機ナノ粒子の平均粒径は、きれいな研磨表面状態を安定して得る為には、特に仕上げ研磨用には、1nm以上、100nm以下が好ましく、5〜50nmが更に好ましく、10〜30nmが特に好ましい。上記範囲よりも小さいと研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと薄い研磨層での均一な分散が困難になり、更に、研磨表面状態も安定せず、研磨傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記範囲に限定せず、目的とする研磨に応じた、大きな平均粒径の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
無機ナノ粒子の形状は、きれいな研磨表面状態を安定して得る為には、真球状または楕円球状が好ましく、特に仕上げ研磨用には真球状が好ましい。破砕形状等の角がある形状は、研磨表面状態も安定せず、研磨傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記形状に限定せず、目的とする研磨に応じた、破砕形状等の角がある形状の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
尚、本発明における楕円球状とは、真球状でない球状や、角が丸くなった形状全般を指す。
無機ナノ粒子の修正モース硬度は、7以上、12以下が好ましい。上記範囲よりも小さいと研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと研磨表面状態が安定せず、傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記範囲に限定せず、目的とする研磨に応じた、大きな修正モース硬度の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
無機ナノ粒子としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタン、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、セリア、リチウムシリケート、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、酸化クロム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化アンチモン等が好ましく用いられる。
これらの中でも、上記の、平均粒径、形状、修正モース硬度を備え、入手し易く、ハンドリングが比較的容易な、シリカ(修正モース硬度7〜8)、アルミナ(同12)、セリア(同9)、ジルコニア(同11)が更に好ましく、特にシリカが好ましい。これらの無機ナノ粒子は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機ナノ粒子の表面は、有機修飾されていてもよい。有機修飾によって、シリコーン系樹脂の有機部位や、有機樹脂、有機溶媒等との親和性が向上し、凝集が低減されて研磨層中での均一な分散性の向上が可能であり、さらには、研磨時のスクラッチを低減することが可能である。
研磨層中の無機ナノ粒子の含有率は、80質量%以上、99.9質量%以下が好ましく、85質量%以上、99質量%以下が更に好ましく、86質量%以上、93質量%以下が特に好ましい。上記範囲であれば、研磨層中のシリコーン系樹脂が研磨される速度と無機ナノ粒子の放出速度が適切であり、適切な粘度と無機ナノ粒子濃度のスラリーを生成することができ,常に安定した研磨性能を発揮することが可能である。
上記範囲よりも少ないと、シリコーン系樹脂が研磨される速度が遅くなり過ぎ、無機ナノ粒子の放出速度が遅くなり、スラリーからシリコーン系樹脂へ吸着される無機ナノ粒子が多くなり、スラリーの粘度は低下して、研磨効率が低下する傾向になる。
上記範囲よりも多いと、研磨層が脆くなり、研磨層を安定して形成することが困難になり、研磨層が研磨中に凝集破壊を生じ易く、研磨が不安定に成り易い。
(溶剤)
シリコーン系樹脂を溶解し、無機ナノ粒子を均一に分散可能で、本発明の研磨フィルム
の製造工程上の適切な沸点や揮発性を有するものならば、特に制限は無い。取扱いが容易なことから、特にアルコールがよい。
[研磨フィルム]
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材と、プライマー層と、研磨層を有し、通常は広幅の巻取で製造されるが、所望の幅にカットしたテープ状の巻取としたりする他に、帯状、円形状、その他所望の形状にしたり、任意の形態に構成してもよい。
本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
PETフィルム1:S−10(東レ(株)社製、未処理PETフィルム。厚み75μm)PETフィルム2:E5100(東洋紡(株)社製、片面コロナ処理済みPETフィルム。厚み50μm)
PETフィルム3:A4100(東洋紡(株)社製、片面易接着処理済みPETフィルム。厚み100μm)
プライマー有機樹脂1:エリーテルUE−3500(ユニチカ(株)社製。分子鎖末端に水酸基とカルボキシル基含有の飽和共重合ポリエステル。水酸基価4、酸価1。)
イソシアネート化合物1:D−110N(三井武田ケミカル(株)社製。メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体。固形分:75質量%、NCO:11.5質量%。)
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1:KR−9218(信越化学工業(株)社製。シリコーン樹脂ワニス、固形分100質量%。メトキシ基含有率15質量%、SiO2分含有率40質量%。)
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー2:KR−213(信越化学工業(株)社製。シリコーン樹脂ワニス、固形分100質量%。メトキシ基含有率20質量%、SiO2分含有率38質量%。)
無機ナノ粒子分散液1:IPA−ST(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒。ナノシリカの平均粒子径12.5nm。)
無機ナノ粒子分散液2:IPA−ST−L(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒。ナノシリカの平均粒子径45nm。)
無機ナノ粒子分散液3:YC100C−SM1/MEK(アドマテックス(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、MEK溶媒。ナノシリカの平均粒子径100nm。)
酸化アルミニウムパウダー:(シグマアルドリッチ(株)社製、平均粒径13nm。)
(プライマー有機樹脂組成物1の調製)
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物1を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
(プライマー有機樹脂組成物2の調製)
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1とイソシアネート化合物1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物2を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
イソシアネート化合物1 0.4質量部
(実施例1)
下記質量部のアルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1と無機ナノ粒子分散液1とを混合し、撹拌して均一化し、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1を加水分解して、研磨層樹脂組成物1を調製した。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1 10質量部
無機ナノ粒子分散液1: 200質量部
PETフィルム1の表面に、プライマー有機樹脂組成物1をバーコートにより塗布し、次いで、乾燥機により100℃で1分間乾燥して溶剤を除去して、PETフィルム1上に、プライマー層(乾燥後塗布量:0.05g/m2)を形成した。
そして、プライマー層上に、研磨層樹脂組成物1をバーコートにより塗布した。次いで、乾燥機により120℃で1分間乾燥し、溶剤を除去して、研磨層(乾燥後塗布量:6g/m2)を形成して、研磨フィルムを得た。
得られた研磨フィルムを用いて、研磨性及び耐久性の評価を実施した。
縮合前後の研磨層中の無機ナノ粒子の含有率は、下記のように算出した。
縮合前
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー加水分解物量:
10×0.85+10×0.15×17/31=8.50+0.82=9.32質量部
無機ナノ粒子量:200×0.3=60質量部
よって、無機ナノ粒子の含有率=60/(60+9.32)×100=86.56質量%
縮合後
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー加水分解物量:
10×0.85+10×0.15×(16/2)/31=8.5+0.39=8.89質量部
無機ナノ粒子量:200×0.3=60質量部
よって、無機ナノ粒子の含有率=60/(60+8.89)×100=87.10質量%
(実施例2)
表1の配合組成に従って、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1をアルコキシ基含有シリコーンオリゴマー2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨フィルムを得て、同様に評価した。
(実施例3〜9)
表1に従って、実施例1と同様に研磨層樹脂組成物を調整し、プライマー有機樹脂組成物1またはプライマー有機樹脂組成物2を、バーコートをグラビアリバースコートに換えて塗布し、研磨層樹脂組成物を、バーコートからグラビアコートに換えて塗布した以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨フィルムを得て、同様に評価した。
(比較例1〜3)
表1の記載に従って、下記のように、基材に表面処理を施したり、プライマー層を形成しなかったりした以外は、実施例1と同様に操作して研磨フィルムを得た。
比較例1:基材塗布側表面はそのままで、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例2:基材塗布側表面をコロナ処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例3:基材塗布側表面をウレタン系アンカーコート剤処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
[研磨層の硬度評価]
JIS K 5600−5−4に従って、研磨フィルムの研磨層の引っかき硬度(鉛筆法)を測定し、鉛筆硬度とした。H以上を合格とした。
[研磨性及び耐久性の評価]
光ファイバーの研磨は、光ファイバー研磨機ACP−8000((株)扇港産業製)を用いて行った。作製した研磨フィルムを直径127mmの円形に切り出し、同サイズの硬度60duroのゴムパッド上に固定した。
次いで、平均粒子径1μmのダイヤモンド粒子を固定化したダイヤモンドフィルムにより粗研磨を実施した光ファイバーを、光ファイバー冶具に12本セットして、研磨時にそれぞれ均等に荷重がかかるように調整した。荷重はひとつのコネクターあたり、300g,350g,400gの3種の条件で、研磨を実施した。
そして、研磨フィルム上に1mlの水を滴下して、ゴムパッドごと研磨フィルムを60rpmで回転させ、光ファイバーを押し付けることで30秒間研磨することを1セットとして、研磨を実施した。
(研磨性評価)
研磨1セット終了後に、倍率400倍の顕微鏡により、研磨された光ファイバー端面のスクラッチと付着異物の程度を観察した。スクラッチ、付着異物の評価結果基準は下記の通り。
◎:無し
○:ほぼ無し
△:多少あり
×:多い
(耐久性評価)
研磨1セット終了毎に、研磨フィルムに破れ等の異常が無いかを観察した。異常が無ければ使用可能と判断し、再度、研磨1セットと異常有無観察を繰り返した。最大で10セットまで研磨を実施した。研磨フィルムの耐久性の評価結果基準は下記の通り。
◎:研磨10回後も破れ無し
○:研磨8〜9回後に破れ有り
△:研磨4〜10回後に破れ有り
×:研磨1〜3回後に破れ有り
Figure 2019058957
[結果まとめ]
プライマー層を有する全実施例は、プライマー層を有さない比較例よりも高い鉛筆硬度を示した。
プライマー層を有する全実施例は、研磨層が良好な密着性を示したが、プライマー層を有さない比較例は、研磨性及び耐久性評価において、荷重300gの1セット目の開始直後に研磨層が剥離した為、研磨性及び耐久性評価を中止した。
プライマー層に硬化剤を含有しない実施例1、2と類似して且つ硬化剤を含有する実施例3、4は、実施例1、2よりも良好な鉛筆硬度と研磨性及び耐久性を示した。
無機ナノ粒子としてナノ酸化アルミニウムを用いた実施例7も良好な鉛筆硬度と研磨性及び耐久性を示した。
実施例1、2と比較してシリカ粒子の含有量が多い実施例8、9は、耐久性が劣るものの、より低い荷重でも良好な研磨性を示した。
本発明の研磨フィルムの主なる用途としては、光コネクタフェルール、半導体ウエハ、半導体の集積回路形成時の平坦化、金属、セラミックス、カラーフィルター(液晶表示用等)、プラズマディスプレイ、光学レンズ、磁気ディスクあるいは光ディスク基板、磁気ヘッド、光学読取ヘッド等の精密部品に利用でき、傷の発生を抑えてしかも精度高く研磨できるものである。しかしながら、精密部品の表面や端面を、高精度な研磨を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
1:研磨フィルム
2:研磨層
3:プライマー層
4:基材層
4a:基材層1
4b:印刷層
4c:基材層2
5:半導体ウエハ
6:光コネクタフェルール
7:光ファイバー
8:被覆部
9:端面

Claims (14)

  1. 基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
    前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有し、
    前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、
    前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量%以上、99.7質量%以下であり、
    前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものである、
    研磨フィルム。
  2. 前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、請求項1に記載の研磨フィルム。
  3. 前記プライマー有機樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含むものである、請求項1または2に記載の研磨フィルム。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、官能基を有するポリエステル樹脂である、請求項3に記載の研磨フィルム。
  5. 前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、請求項4に記載の研磨フィルム。
  6. 前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  7. 前記プライマー有機樹脂組成物が、水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステル系樹脂と、イソシアネート化合物とを含有する、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1〜6の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  8. 前記アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーは、メチル基とフェニル基とアルコキシ基とを有し、
    前記アルコキシ基の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は10〜30質量%であり、
    SiO2分の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は30〜50質量%である、
    請求項1〜7の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  9. 前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、請求項1〜8の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  10. 前記無機ナノ粒子の修正モース硬度が、7以上、12以下である、請求項1〜9の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  11. 前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、請求項1〜10の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  12. 前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、請求項1〜11の何れか1項に記載の研磨フィルム。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a〜工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
    工程a:20〜50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
    工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50〜120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
    工程c:20〜40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
    工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100〜150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、
  14. 前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、請求項13に記載の研磨フィルムの製造方法。
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