JP7102688B2 - 研磨フィルム、及び該研磨フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、研磨フィルムは1~2回使用が限度であって、繰り返し多数回の使用ができず、耐久性に欠け、省エネルギーに劣るという欠点があった。
集し易い微細な研磨材粒子でも、結合剤中に均一に分散させることが求められている。研磨フィルムの製造方法は、塗布方法で研磨層を形成する場合でも、分散された研磨材粒子を含有する塗工剤を用い、安定して均一な研磨層が形成できる製造方法が求められている。
1.基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
前記研磨層は、無機ナノ粒子と水溶性樹脂とを含有し、前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量%以上、99.7質量%以下であり、前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものである、研磨フィルム。
2.前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、上記1に記載の研磨フィルム。
3.前記プライマー有機樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含むものである、上記1または2に記載の研磨フィルム。
4.前記ポリエステル樹脂が、官能基を有するポリエステル樹脂である、上記3に記載の研磨フィルム。
5.前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、上記4に記載の研磨フィルム。
6.前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、上記1~5の何れかに記載の研磨フィルム。
8.前記水溶性樹脂の4質量%水溶液の20℃における粘度が、10mPa・s以上、80mPa・s以下である、上記1~7の何れかに記載の研磨フィルム。
9.前記水溶性樹脂が、―COOH、-SO3H、-OH、-(CH2CHO)nH、及びそれらの金属塩の基なる群から選ばれる1種または2種以上を、側鎖に有している、上記1~8の何れかに記載の研磨フィルム。
10.前記水溶性樹脂が、-COOR基または-OCOR基と、それらの加水分解生成基とを側鎖に有し、前記加水分解生成基の割合が、全-COOR基と-OCOR基及びそれらの加水分解生成基中に、70モル%以上、85モル%未満である、上記1~8の何れかに記載の研磨フィルム。
(式中、Rは炭素数1~10の1価の脂肪族有機基を示す。)
11.前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂の部分酢酸エステル化物であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂中の-OH基の酢酸エステル化されていない割合が、70モル%以上、85モル%未満である、上記1~8の何れかに記載の研磨フィルム。
12.前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、上記1~11の何れかに記載の研磨フィルム。
14.前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、上記1~13の何れかに記載の研磨フィルム。
15.前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、上記1~14の何れかに記載の研磨フィルム。
16.上記1~15の何れかに記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a~工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
工程a:20~50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50~120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
工程c:20~40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100~150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、
17.前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、上記16に記載の研磨フィルムの製造方法。
図1は、本発明の研磨フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を基本構造とするものである。更に、必要に応じて、図2に示すように、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、プライマー層や研磨層を形成する条件等に耐え、それらプライマー層や研磨層等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができ、寸法変化が少なく、研磨時の力学的負荷や温度に耐える強度・耐熱性を有した、金属、金属酸化物等の無機材料や樹脂等の有機材料を、例えばフィルムやシートとして使用することができる。また、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
基材層としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装材料に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、プライマー層や研磨層の作製条件や研磨条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
基材層の厚さは、任意に選択し得るが、耐久性の観点から、10μm以上、300μm以下が好ましく、20以上、200μm以下が更に好ましく、50以上、100μm以下が特に好ましい。上記範囲より薄いと強度が不足し、上記範囲より厚いと剛性が高くなりすぎて、加工が困難になり得る。
プライマー層は、研磨層と基材層との間に介在して、両層を接着するものである。プライマー層の存在によって、研磨層は研磨中に基材から剥離することが無く、繰り返し安定した研磨作業が可能になる。
プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであることによって、通常の非有機樹脂系のプライマーの場合よりも、研磨層と基材層とを強固に接着する。
プライマー有機樹脂組成物は、有機樹脂と溶剤とを含むものであり、必要に応じて、更に硬化剤を含んでもよい。また更に、必要に応じて、硬化促進剤や架橋剤やレベリング剤等を含んでもよい。
硬化剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ樹脂などが好ましく、中でも特に、イソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物は、芳香族または脂肪族のどちらでもよく、低分子化合物または高分子化合物のどちらでもよい。また、分子内にイソシアネート基を2個以上有したものが好ましく、公知の、イソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物や、3個以上のポリイソシアネート化合物等を使用できる。中でも、接着性や耐水性の観点から、ポリイソシアネート化合物が特に好まれる。
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体、ビュレット体、アロファネート体等が挙げられる。また、これらの硬化剤は、2種以上を併用することも出来る。
硬化促進剤は、用いる樹脂や硬化剤の種類に適した、公知の化合物が選ばれ、2種以上を併用することも出来る。
具体的な溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、石油系溶剤及び、これらの混合系が挙げられるが、中でも、ケトン系溶剤やトルエンは溶解性や揮発性の点で扱い易く、コスト面でも好ましく、例えば、質量比1/1のトルエン/メチルエチルケトン混合物が特に好ましい。
これらの有機樹脂、硬化剤、硬化促進剤等を、化学反応や蒸発を抑えるために、好ましくは20℃~50℃において、適宜溶剤に溶解して混合して、プライマー有機樹脂組成物を調整することができる。
乾燥時は、必要に応じて加熱をしてもよい。加熱温度は、用いた溶剤が突沸せず除去される十分な温度であればよく、50~120℃が好ましい。加熱時間は、用いた溶剤の揮発性や温度に応じた十分な時間でよく、0.5~10分が好ましい。
エージング処理を行う場合のエージング条件は、50~80℃で、1~7日間が好ましい。
プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下が好ましく、20nm以上、100nm以下が更に好ましく、30nm以上、70nm以下が特に好ましい。上記範囲よりも薄いとプライマーの効果が小さくなり過ぎる傾向にあり、上記範囲よりも厚いとプライマー層内の凝集破壊が生じて剥がれが生じ易くなる傾向がある。
研磨層は、研磨粒子として無機ナノ粒子を、バインダーとして水溶性樹脂を含有する。
研磨層に砥粒となる無機ナノ粒子とバインダーである水溶性樹脂が適切な割合で均一に分散していることによって、研磨層は適度な硬度を有する。
研磨層上に水を滴下して研磨した際に、研磨層中の水溶性樹脂は前記水に溶けて水を適度な粘度を有する水溶液へと変え、無機ナノ粒子は前記水中に放出されて砥粒となり、安定した濃度及び粘度のスラリー様状態の研磨液が形成されて、研磨性能を発現することができる。
研磨層は、研磨層樹脂組成物をプライマー層に塗布及び乾燥することで得られる。更には必要に応じて及びプライマー層/研磨層界面での化学反応を進行させてもよく、同時にプライマー層内の硬化反応を進行させてもよく、また更には必要に応じてエージング処理を行ってもよい。
乾燥時は、必要に応じて加熱をしてもよい。加熱温度は、用いた溶剤が突沸せず除去される十分な温度であればよく、50~120℃が好ましい。加熱時間は、用いた溶剤の揮発性や温度に応じた十分な時間でよく、0.5~10分が好ましい。
エージング処理を行う場合のエージング条件は、50~80℃で、1~7日間が好ましい。
ショアD硬度、インデンテーション硬さ、または押し込み弾性率が上記範囲よりも小さいと、柔らかすぎるために、研磨層が変形する為か研磨効率が低下しやすく、界面剥離が生じ易い傾向にあり、上記範囲よりも大きいと硬すぎて脆くなる為か研磨層中で凝集破壊が発生して剥がれが生じ易くなる傾向にある。
前記無機ナノ粒子の平均粒径は、きれいな研磨表面状態を安定して得る為には、特に仕上げ研磨用には、1nm以上、100nm以下が好ましく、5~50nmが更に好ましく、10~30nmが特に好ましい。上記範囲よりも小さいと研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと薄い研磨層での均一な分散が困難になり、更に、研磨表面状態も安定せず、傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記範囲に限定せず、目的とする研磨に応じた、大きな平均粒径の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
尚、本発明における楕円球状とは、真球状でない球状や、角が丸くなった形状全般を指す。
無機ナノ粒子の修正モース硬度は、7以上、12以下が好ましい。上記範囲よりも小さいと研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと研磨表面状態が安定せず、傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記範囲に限定せず、目的とする研磨に応じた、大きな修正モース硬度の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
性が向上し、凝集が低減されて樹脂中での均一な分散が容易になり、さらには、研磨時のスクラッチ低減も期待できる。
上記範囲よりも多いと、研磨層が脆くなり、研磨層を安定して形成することが困難になり、研磨層が研磨中に凝集破壊を生じ易く、研磨が不安定に成り易い。
水溶性樹脂の4質量%水溶液の20℃における粘度は、10mPa・s以上、80mPa・s以下が好ましく、25mPa・s以上、45mPa・s以下が更に好ましい。上記範囲よりも小さいと、研磨時に形成される研磨液の粘度が低くなり過ぎて研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと、研磨液中の研磨粒子の分散が不均一になり易く、研磨性が不均一で不安定になり易い。
水溶性樹脂は、側鎖に親水基を有していることが好ましい。具体的な親水基としては、―COOH、-SO3H、-OH、-(CH2CHO)nH等の基、及びそれらの金属塩の基が挙げられる。(上記式中、nは1以上の整数を表す。)水溶性樹脂は、上記の基からなる群から選ばれる1種または2種以上を有することができる。
ケン化度が上記範囲よりも小さいと、水溶性樹脂のOH基の割合が多すぎることにより、樹脂の分子同士の凝集力が強すぎて水への溶解速度が小さくなる。一方ケン化度が上記範囲よりも大きいと、親水性の劣る基の割合が多すぎることにより、水溶性が低下し、水への溶解速度が小さくなる。従って、ケン化度が上記範囲にある時に最も水への溶解速度が高く、研磨液中の無機ナノ粒子の濃度が高くなり、研磨効率が高い。
れる。
水溶性樹脂を溶解し、無機ナノ粒子を均一に分散可能で、本発明の研磨フィルムの製造工程上の適切な沸点や揮発性を有するものならば、特に制限は無い。取扱いが容易なことから、特に水がよい。
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材と、プライマー層と、研磨層を有し、通常は広幅の巻取で製造されるが、所望の幅にカットしたテープ状の巻取としたりする他に、帯状、円形状、その他所望の形状にしたり、任意の形態に構成してもよい。
本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
PETフィルム3:A4100(東洋紡(株)社製、片面易接着処理済みPETフィルム。厚み100μm)
プライマー有機樹脂1:エリーテルUE-3500(ユニチカ(株)社製。分子鎖末端に水酸基とカルボキシル基含有の飽和共重合ポリエステル。水酸基価:4、酸価:1、比重:1.23。)
イソシアネート化合物1:D-110N(三井武田ケミカル(株)社製。メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体。固形分:75質量%、NCO基含有量:11.5質量%。)
水溶性ポリビニルアルコール系樹脂1:KH-17(日本合成化学工業(株)社製。部分ケン化型ポリビニルアルコール。ケン化度:80モル%、4質量%水溶液の20℃における粘度:35mPa・s。)
水溶性ポリビニルアルコール系樹脂2:GH-17(日本合成化学工業(株)社製。部分ケン化型ポリビニルアルコール。ケン化度:88モル%、4質量%水溶液の20℃における粘度:30mPa・s。)
無機ナノ粒子分散液1:IPA-ST(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液。ナノシリカの平均粒子径12.5nm、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒)
無機ナノ粒子分散液2:IPA-ST-L(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液。ナノシリカの平均粒子径45nm、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒)
無機ナノ粒子分散液3:MEK-ST-ZL(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液。ナノシリカの平均粒子径85nm、固形分30質量%、MEK溶媒)
酸化アルミニウムパウダー:(シグマアルドリッチ(株)社製、平均粒径13nm。)
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物1を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物1を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
イソシアネート化合物1 0.4質量部
下記質量部の純水と水溶性ポリビニルアルコール系樹脂1とを混合して溶解し、次いで、無機ナノ粒子分散液1を加えて混合し、撹拌して均一化し、研磨層樹脂組成物1を調製した。
純水 20.9質量部
水溶性ポリビニルアルコール系樹脂1 1.1質量部
無機ナノ粒子分散液1 78.0質量部
ここで、プライマー有機樹脂組成物1に含有される固形分のプライマー有機樹脂1であるエリーテルUE-3500の比重は1.23なので、プライマー層の厚みは下記のように算出される。
プライマー層0.05gの体積=0.05/1.23cm3
この体積が底面積1m2上に広がっているので、
厚み=0.05/1.23/(100×100)cm=41nm
得られた研磨フィルムを用いて、研磨性及び耐久性の評価を実施した。
表1の配合組成に従って、実施例1と同様に研磨層樹脂組成物を調整し、表1の記載に従って、プライマー有機樹脂組成物1またはプライマー有機樹脂組成物2を、バーコートでは無くグラビアリバースコートで塗布し、研磨層樹脂組成物を、バーコートでは無くグラビアコートで塗布した以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨フィルムを得て、同様に評価した。
表1の記載に従って、基材に表面処理を施したり、プライマー層を形成しなかったりした以外は、実施例1と同様に操作して研磨フィルムを得た。
比較例1:基材塗布側表面はそのままで、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例2:基材塗布側表面をコロナ処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例3:基材塗布側表面をウレタン系アンカーコート剤処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
Hysitron社製TI950 TriboIndenterを用いて、ナノインデンテーション法によって、研磨フィルムの研磨層の、インデンテーション硬さと押し込み弾性率を測定した。
温度:23℃
押し込み強さ:300μN
光ファイバーの研磨は、光ファイバー研磨機ACP-8000((株)扇港産業製)を用いて行った。作製した研磨フィルムを直径127mmの円形に切り出し、同サイズの硬度60duroのゴムパッド上に固定した。
次いで、平均粒子径1μmのダイヤモンド粒子を固定化したダイヤモンドフィルムにより粗研磨を実施した光ファイバーを、光ファイバー冶具に12本セットして、研磨時にそれぞれ均等に荷重がかかるように調整した。荷重はひとつのコネクターあたり、200g、250g、300gの3種の条件で、研磨を実施した。
そして、研磨フィルム上に1mlの水を滴下して、ゴムパッドごと研磨フィルムを160rpmで回転させ、光ファイバーを押し付けることで60秒間研磨することを1セットとして、研磨を実施した。
研磨1セット終了後に、倍率400倍の顕微鏡により、研磨された光ファイバー端面のスクラッチと付着異物の程度を観察した。スクラッチ、付着異物の評価結果基準は下記の通り。
◎:無し
○:ほぼ無し
△:多少あり
×:多い
研磨1セット終了毎に、研磨フィルムに破れ等の異常が無いかを観察した。異常が無ければ使用可能と判断し、再度、研磨1セットと異常有無観察を繰り返した。最大で10セットまで研磨を実施した。研磨フィルムの耐久性の評価結果基準は下記の通り。
○:研磨10回後も破れ無し
××:研磨1~3回後に破れ有り
×:研磨4~10回後に破れ有り
コネクター1本あたり200gの荷重をかけて研磨した場合に、本発明の全実施例1~12は、プライマー層を含有していない全比較例1~3よりも良好な研磨フィルムの耐久性結果を示した。不十分な研磨フィルムの耐久性を示した全比較例1~3は、以降の評価を中止した。
無機ナノ粒子としてナノシリカ量が多くプライマー層に硬化剤を含有しなかった実施例
1と2は、コネクター1本あたり250gの荷重をかけて研磨した場合に、他の実施例よりも、スクラッチが劣る結果を示したが、同ナノシリカ量でプライマー層に硬化剤を含有した実施例9は、良好な結果を示した。
水溶性樹脂のケン価が85モル%未満の場合の実施例4は、ケン価が85モル%以上である実施例12よりも優れた研磨フィルムの耐久性を示した。
プライマー層に硬化剤を含有したことで、実施例9は実施例2よりも、実施例10は実施例4よりも更に良好な光ファイバー端面検査結果を示した。
無機ナノ粒子としてナノ酸化アルミニウムを用いた実施例11も良好な結果を示した。
2:研磨層
3:プライマー層
4:基材層
4a:基材層1
4b:印刷層
4c:基材層2
5:半導体ウエハ
6:光コネクタフェルール
7:光ファイバー
8:被覆部
9:端面
Claims (15)
- 基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
前記研磨層は、無機ナノ粒子と水溶性樹脂とを含有し、
前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、
前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量% 以上、97質量%以下であり、
前記研磨層は、20~30℃近辺で、ショアD硬度が、50以上、75以下であり、ナノインデンテーション法によるインデンテーション硬さは、200~600MPaであり、ナノインデンテーション法による押し込み弾性率は3~9GPaであり、
前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであり、該プライマー有機樹脂組成物は、官能基を有するポリエステル樹脂と、溶剤を含むものである、
研磨フィルム。 - 前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、請求項1に記載の研磨フィルム。
- 前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、請求項1または2に記載の研磨フィルム。
- 前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1~3の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記プライマー有機樹脂組成物が、水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステル系樹脂と、イソシアネート化合物とを含有する、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1~4の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記水溶性樹脂の4質量%水溶液の20℃における粘度が、10mPa・s以上、80mPa・s以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記水溶性樹脂が、?COOH、-SO3H、-OH、-(CH2CHO)nH、及びそれらの金属塩の基なる群から選ばれる1種または2種以上を、側鎖に有している、請求項1~6の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記水溶性樹脂が、-COOR基または-OCOR基と、それらの加水分解生成基とを側鎖に有し、前記加水分解生成基の割合が、全-COOR基と-OCOR基及びそれらの加水分解生成基中に、70モル%以上、85モル%未満である、請求項1~6の何れか1項に記載の研磨フィルム。
(式中、Rは炭素数1~10の1価の脂肪族有機基を示す。) - 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂の部分酢酸エステル化物であり、前記ポリビニルアルコール系樹脂中の-OH基の酢酸エステル化されていない割合が、70モル%以上、85モル%未満である、請求項1~8の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、請求項1~9の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記無機ナノ粒子の修正モース硬度が、7以上、12以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、請求項1~11の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、請求項1~12の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 請求項1~13の何れか1項に記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a~工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
工程a:20~50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50~120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
工程c:20~40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100~150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、 - 前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、請求項14に記載の研磨フィルムの製造方法。
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