以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
図1に示すように、本実施形態のパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各構成を保持する構造を有している。外枠51の左側上下にはヒンジ53が設けられており、ヒンジ53により、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52及び後述の内枠が、外枠51に対し開閉可能に保持される。また、前枠52の板ガラス61の奥には、内枠に保持された遊技盤1(図2)が設けられている。
前枠52の上部の左右両側にはスピーカ66が設置されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが設けられている。前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体に形成されている。また、下皿63の右側には発射ハンドル64が設けられており、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバーを操作することで、下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられたドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央には、演出ボタン67及びジョグダイヤル68が設けられている。
パチンコ機50は、いわゆるCR機であり、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属されていると共に、上皿55の右側には球貸ボタン57,精算ボタン58,精算表示装置59が設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤1には、外レール2aと内レール2bとによって囲まれた略円形の遊技領域3が形成されている。遊技領域3には、その中央部にセンターケース5が装着されている。
センターケース5の直下には、第1始動口11が設置されている。第1始動口11は遊技球の入球に起因して第1特別図柄(第1特図あるいは特図1とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる。第1始動口11、は、左打ち(センターケース5の左側を狙い打つこと)により発射された遊技球が主に流下する領域(左打ち領域)に配置されている。第1始動口11は、常時遊技球が入球可能に構成されている。第1始動口11に遊技球が入球すると、第1特図に対応する複数種類の乱数が抽出され、第1保留記憶として記憶される。
また、右打ち(センターケース5の右側を狙い打つこと)により発射された遊技球が主に流下する領域(右打ち領域)に、特別電動役物からなる第1大入賞口21が設けられており、大当り抽選で当ると行われる大当り遊技の際に開放される。第1大入賞口21の上方に、特別電動役物からなる第2大入賞口20が設けられている。第2大入賞口20は小当り時にのみ開放される。
また、第1大入賞口21の下側には、大当り遊技中に第1大入賞口21に入球した遊技球が誘導され、大当り遊技終了後に確変状態(当否判定で当る確率が上昇した状態)となることを決定するための確変決定装置13が配置されている。なお、確変決定装置13の詳細については、後述する。
第1大入賞口21の右方には、第1始動口12が設けられている。第1始動口12は、第1始動口11と機能的に同じものであり、第1始動口12に入球に起因して、第1特図に対応する複数種類の乱数が抽出され、第1保留記憶として記憶される。第1始動口11とは、左打ち領域に設置されているか右打ち領域に設置されているか程度の違いである。第1始動口12の上方には、遊技球の入球に起因して第2特別図柄(第2特図あるいは特図2とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる第2始動口16が設置されている。第2始動口16は、常時遊技球が入球可能に構成されている。第2始動口16に遊技球が入球すると、第2特図に対応する複数種類の乱数が抽出され、第2保留記憶として記憶される。
第1始動口11,12および第2始動口16が前記の様な位置に設置されているため、左打ちを行うことで第1始動口11を狙い打つことができ、右打ちを行うことで第1始動口12、第2始動口16を狙い打つことができる。なお、図示はされていないが、センターケース5の右方に植設された複数の前記釘は、右打ちした際に容易に第2始動口16に入球する配列となっている。
遊技盤1における向かって左側の領域には、7セグメントの第1特図表示装置9及び第2特図表示装置10と、4個のLEDからなる第1特図保留数表示装置23及び第2特図保留数表示装置24が設置されている。なお、第2特図保留数表示装置24の右に設置されているのは一般入賞口25、26、27であり、これらには常時、遊技球が入球可能に構成されている。
センターケース5には、中央に演出図柄表示装置6のLCDパネルが配設され、LCDパネルの画面上では、演出図柄の変動表示等を行うことで、第1,第2特図に対応する大当り抽選の結果を報知する図柄演出が行われる。また、センターケース5には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージ等が設けられている。なお、遊技盤1の遊技領域3には多数の遊技釘(図示されているのはその一部)が植設されており、盤面最下部にはアウト口が設けられている。
次に、確変決定装置13の構成について図3を用いて説明する。確変決定装置13は、第1大入賞口21に入球した遊技球が排出される排出口13aと、確変状態への移行を決定するための確変口15と、確変口15を閉鎖あるいは開放するシャッター14を備える。
確変口15が閉鎖されているときに排出口13aから遊技球が排出されると、該遊技球はシャッター14によりはずれ口13bに誘導される(図3(a)参照)。一方、確変口15が開放されているときに排出口13aから遊技球が排出されると、確変口15に入球し、大当り遊技終了後に確変状態となることが決定される(図3(b)参照)。確変口15は大当り遊技の第1ラウンドにおいて短時間のみ開放される(第2ラウンド以降は開放されない)。大当り遊技後に確変状態となる大当りでは、第1ラウンドにおいて第1大入賞口21が長時間開放されて確変口15に容易に入球し、大当り遊技後に通常状態(低確率状態)となる大当りでは、第1ラウンドにおいて第1大入賞口21が短時間開放されて確変口15に入球するのが極めて困難となる。後述するようにパチンコ機50では大当り遊技において開閉される大入賞口は第1大入賞口21のみであり、第2大入賞口20は小当りの場合のみ開閉される構成である。
図4にパチンコ機50の裏側を示す。パチンコ機50の裏側には、遊技盤1を脱着可能に取付ける内枠70が外枠51に収納された構成となっている。内枠70は、前枠52と同様、一方の側縁(図4に向かって右側)の上下位置が外枠51に設けられたヒンジ53に結合され、開閉可能に設置されている。内枠70には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク71、タンクレール72、払出ユニット73が設けられ、払出ユニット73の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤1の入賞口に遊技球が入賞すると、球タンク71に貯留されている所定個数の遊技球(賞球)が払出装置から払い出され、流下通路を通り上皿55に払い出される。また、本実施形態では、払出装置は、球貸ボタン57の操作に応じて遊技球(貸球)を払い出すよう構成されている。
また、パチンコ機50の裏側には、主制御装置80,払出制御装置81,演出図柄制御装置82,サブ統合制御装置83,発射制御装置,電源基板85が設けられている。主制御装置80,演出図柄制御装置82,サブ統合制御装置83は、遊技盤1に設けられ、払出制御装置81,発射制御装置,電源基板85は、内枠70に設けられている。なお、図4では発射制御装置が記載されていないが、発射制御装置は、払出制御装置81の奥側(遊技盤1側)に配されている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、外部接続端子板78により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。
次に、パチンコ機50の電気的構成について説明する。このパチンコ機50は、図5のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80,払出制御装置81,演出図柄制御装置82,サブ統合制御装置83のいずれもCPU,ROM,RAM,入力ポート,出力ポート等を備えている。また、発射制御装置84,電源基板にはCPU,ROM,RAMは設けられていないが、これに限るわけではなく、発射制御装置84等にCPU,ROM,RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11、12に入球した遊技球を検出する第1始動口SW11a、第1始動口SW12a、第2始動口16に入球した遊技球を検出する第2始動口SW16a、一般入賞口25〜27に入球した遊技球を検出する一般入賞口SW25a等からの検出信号が入力される。
また、この他にも、第1大入賞口21に入球した遊技球を計数するための第1カウントSW21a、第2大入賞口20に入球した遊技球を計数するための第2カウントSW20a、確変決定装置13に設けられた確変口15に入球した遊技球を検出する確変口SW15aが入力される。
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号等に基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特図表示装置9,第2特図表示装置10,第1特図保留数表示装置23,第2特図保留数表示装置24の表示を制御する。
さらに、主制御装置80は、第1大入賞口ソレノイド21bを制御することで第1大入賞口21の開閉を制御すると共に、第2大入賞口ソレノイド20bを制御することで第2大入賞口20の開閉を制御する。また、シャッターソレノイド14aを制御することで、シャッター14を制御し、確変決定装置13に設けられた確変口15の開閉状態を切り替える。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力されるほか、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ30を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出SW31の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出SW31の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81は、ガラス枠閉鎖SW45,内枠閉鎖SW46,球切れSW33,払出SW31,満杯SW32からの信号が入力され、満杯SW32により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合や、球切れSW33により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力された場合には、払出モータ30を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。また、満杯SW32,球切れSW33も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ30の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81は、CRユニット端子板34を介してCRユニット56と交信することで払出モータ30を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出SW31に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。また、CRユニット端子板34は、精算表示装置59とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置59には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン57、精算を要求するための精算ボタン58が設けられている。また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70,前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
発射制御装置84は、発射モータ40を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には、払出制御装置81以外に、発射ハンドル64からの回動量信号、タッチSW38からのタッチ信号、発射停止SW39から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止SW39を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。
そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ28を制御する。また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67およびジョグダイヤル68が接続されており、遊技者が演出ボタン67を押した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。遊技者がジョグダイヤル68を回転させた際には、その回転方向や回転速度を示す信号がサブ統合制御装置83に入力される。サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄の変動表示(図柄演出)等の演出画面を表示させる。
次に、第1実施形態におけるパチンコ機50の動作について説明する。上述したように、本パチンコ機50は、大当り遊技中、第1大入賞口21に遊技球が入球し、さらに、該遊技球が確変決定装置13の確変口15に入球すると、確変機能が作動し、大当り遊技後の遊技状態は、当否判定で当る確率が高い確変状態となる。なお、確変状態は、後述する時短状態と共に、次回の大当りまで継続する。
また、大当り遊技では、第1大入賞口21が開放される。したがって、本パチンコ機50は、形式上、全ての大当りで確変機能が作動する可能性があり、名目上の確変割合は、大当りとなった特図の種類や当り図柄に関らず一定(100%)となる。
しかし、大当り遊技の開放パターンとして、シャッター14の閉鎖時に第1大入賞口21が開放することにより、大当り遊技後に低確率状態となる開放パターン(低確率パターン)と、シャッター14の開放時に第1大入賞口21が開放することにより、大当り遊技後に高確率状態となる開放パターン(高確率パターン)がある。開放パターンが低確率パターンである大当り遊技では、確変口15への入球は非常に稀であり、開放パターンが高確率パターンである大当り遊技では、確変口15へ容易に入球する。開放パターンが低確率パターンになるか高確率パターンになるかは大当り図柄により決定し、第1特図による大当りでは100%、第2特図による大当りでは60%の確率で高確率パターンとなる。
パチンコ機50の仕様の概要を図6に示す。本図に示すように、通常確率(低確率ともいう)における大当りが発生する確率は、第1特図、第2特図とも1/200であり、高確率状態では第1特図、第2特図とも1/50となっている。小当りについては、第1特図には存在せず、第2特図は通常確率では198/200、高確率状態では48/50となっている。なお、第2特図の小当り確率を、通常確率、高確率状態とも198/200としてもよい。大当りが発生した直後の遊技状態が高確率状態となる割合(高確率状態突入率、又は確変付与率という)は第1特図が100%、第2特図が60%となっている。また、第2特図で大当りとなった直後には、時短が付与される場合があり、第1特図で大当りとなった直後には必ず時短が付与される。また、第1特図および第2特図の変動時間は時短状態において短縮される。
時短および高確率状態は、第1特図と第2特図の変動回数の合計が10000回となるまで継続する。これは実質的に次回大当りとなるまで継続することを意味している。時短は高確率状態とともに発生し、第2特別図柄が通常図柄(後述する8ラウンド通常時短無図柄)で当ると終了する。正確には、第2特別図柄が通常図柄で当ると、第1大入賞口21の開放パターンが、確変口15に入球困難なものとなるので、実質的に第2特別図柄が通常図柄で当った結果、時短が終了する。なお、第2特別図柄が確変図柄(後述する4ラウンド特定時時短有図柄や8ラウンド特定時時短有図柄)で当った場合にも、確変口15に入球させるのに失敗すると、時短が終了する。これは第1特別図柄で当った場合も同様である。時短状態における第1特図の変動時間は、ハズレ時は平均2秒、大当り時は平均2分である。時短状態における第2特図の変動時間はハズレ時および小当り時は2秒、大当り時は平均2分である。また、非時短状態(通常状態ともいう)における第1特図の変動時間はハズレ時は平均12秒、大当り時は時短状態と同じく平均2分である。非時短状態における第2特図の変動時間はハズレ時および小当り時は平均10分、大当り時は時短状態と同じく平均2分である。
大当り遊技のラウンド数は、第1特図、第2特図とも4ラウンドと8ラウンドの2種類が存在する。より詳しくは、第1特図による大当りは、大当り後に高確率状態且つ時短有りとなる4ラウンド大当り、大当り後に高確率状態且つ時短ありとなる8ラウンド大当りの2種類が存在する。一方、第2特図による大当りは、大当り後に通常確率且つ時短無しとなる8ラウンド大当り、大当り後に高確率状態且つ時短ありとなる4ラウンド大当り、大当り後に高確率状態且つ時短ありとなる8ラウンド大当りの3種類が存在する(詳しくは図21で後述)。
パチンコ機50の遊技進行の概要は以下のようである。遊技開始時点では非時短状態であり、右打ちをして第2始動口16に入球すると第2特図が10分間も変動する。これでは当否判定が1時間に高々6回しか行われないため、非常に時間効率が悪い。その一方、第1特図の変動時間は平均12秒(図6参照。なお図6の変動時間は「平均」を省略している。後述する図24,32の変動時間も同様)であるため、遊技者は左打ちを行うことになる。そして、第1特図で大当りとなり、大当り後に高確率状態かつ時短状態となると、第2特図の変動時間が平均2秒(小当りの場合)に短縮されるので遊技者は右打ちを行う。第2始動口16に入球すると、第2特図が49/50の確率で小当りするため、頻繁に小当りが発生する状態となる。これを小当りラッシュと呼ぶことにする。小当りが発生すると第2大入賞口20が2秒開放するか又は第2大入賞口20に1個入球するまで開放する。第2大入賞口20に1個入球すると10個の賞球があるため、小当りラッシュ中は徐々に遊技者の持ち球が増えていく。
小当りラッシュ中に第2特図が8ラウンド通常時短無図柄で当ると、時短状態が高確率状態とともに終了し、再び遊技者は左打ちを行うことになる。それ以外の図柄で第2特図が当るか又は、第1特図が任意の当り図柄で当ると、該大当りの終了後の状態が再び時短状態および高確率状態となり、小当りラッシュとなる。なお、非時短状態であるにも拘らず、第2始動口16に入球し、第2特図が10分間の変動を開始した場合でも、該変動と同時に第1特図も変動可能な仕様(詳細は後述)となっているので、時間効率が極めて悪い遊技を遊技者に強いることはない。
この遊技進行を実現する処理について説明する。まず、図7にパチンコ機50の主制御装置80が実行するメインルーチンを示す。このメインルーチンは、2ms周期のタイマ割り込み処理として起動されるが、2ms以外の割り込み周期で起動しても良い。
S10では、正常なタイマ割り込みによりメインルーチンが起動されたか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S10:Yes)、S20に移行し、否定判定が得られた場合には(S10:No)、S15にてCPUやI/O等の初期設定を行い、S70に移行する。S10で肯定判定が得られた場合には、初期値乱数の更新(S20),大当り決定用乱数の更新(S25),大当り図柄決定用乱数の更新(S30),当り決定用乱数の更新(S35),リーチ判定用乱数の更新(S40),変動パターン決定用乱数の更新(S45)を行う。
そして、始動口等といった入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞確認処理(S50)と、始動口への入賞に起因して大当り抽選を行う当否判定処理(S55)と、サブ統合制御装置83等にデータ及びコマンドを送信し、また、ホールコンピュータ87等に各種情報を送信する各出力処理(S60)と、遊技者の不正行為を検出する不正監視処理(S65)とを行う。
なお、当否判定処理に続いて、大当り遊技を行うための大当り遊技処理が行われる。そして、S70では、次のタイマ割込みが発生してメインルーチンが起動されるまで、初期値乱数の更新を繰り返し行う。
次に、主制御装置80が実行する始動口入賞確認処理について、図8に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される入賞確認処理からコールされるサブルーチンとして構成されている。
S100では、第1始動口SW11a,12aの検出信号に基づき、第1始動口11或いは第1始動口12への遊技球の入賞が発生したかを判定する。そして、肯定判定の場合は、S105に処理を移行し、第1特図についての保留記憶の数が最大値(一例として4)未満か否かを判定する。肯定判定の場合は(S105:yes)、S110に処理を移行する。
S110では、大当り抽選に用いられる大当り決定用乱数や、大当り抽選で当った際に停止表示される図柄(当り図柄)を決定するための大当り図柄決定用乱数や、図柄演出でリーチとなるか否かを決定するためのリーチ判定用乱数や、特別図柄の変動時間等を決定するための変動パターン決定用乱数等を抽出する。そして、抽出した乱数を、第1特図についての保留記憶として記憶し、S115に処理を移行する。否定判定の場合は(S100:no)、S115に移行する。なお、S100が否定判定された場合またはS105が肯定判定された場合もS115に移行する。
S115では、第2始動口SW16aの検出信号に基づき、第2始動口16への遊技球の入賞が発生したかを判定する。そして、肯定判定の場合は(S115:yes)、S120に処理を移行し、第2特図についての保留記憶の数が、最大値(一例として4)未満か否かを判定する。肯定判定の場合は、当処理を終了(リターン)する。
S125で行なう処理は、S110にて第1特図に関して行なった処理を第2特図に関して行なうものである。そして、抽出した乱数を、第2特図についての保留記憶として記憶し、当処理を終了する。なお、S115が否定判定された場合も当処理を終了する。
図9〜10に示す第1特別図柄当否判定処理では、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグ又は小当りフラグ(後述)がセットされているか否か(セットされているなら作動中)に基づいて判断する(S150)。S150の判定が否定判断で、第1特別図柄が変動中でなく(S155:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S160:no)、図10のS215に移行し、第1保留記憶(上記、S110による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S215:yes)、第1保留記憶数をデクリメントし(S230)、変動中の特別図柄(ここでは第2特図)が大当りとなるか否かを判定する(S240)。
否定判断、すなわち第2特図が大当りにならなければS245に進む。S245では保留記憶の中で最も古いものを読み込んで(その保留記憶は消去する)、読み込んだ大当り決定用乱数をテーブルに記録されている当り値と照合し、大当りか否かを判定する(S250)。なお、前述のS240、S250、およびS279の処理における判定は、現在の遊技状態が高確率状態であるか否かに応じ、高確率テーブルか低確率テーブルかを選択して行なわれる。S250が肯定判定であれば、S256に移行し、大当り図柄決定用乱数によって当り図柄を決定する。大当り図柄決定用乱数と当り図柄の関係を図21(a)に示す。なお、図21(a)では大当り図柄決定用乱数を特図1決定用乱数、当り図柄を特別図柄1停止図柄と表記しており、またハズレ図柄についても示している。
図21(a)に示すように、大当り図柄決定用乱数が0〜9の場合は当り図柄として図柄1、大当り図柄決定用乱数が10〜19の場合は当り図柄として図柄2、大当り図柄決定用乱数が20〜29の場合は当り図柄として図柄3、大当り図柄決定用乱数が30〜39の場合は当り図柄として図柄4、大当り図柄決定用乱数が40〜49の場合は当り図柄として図柄5、大当り図柄決定用乱数が50〜59の場合は当り図柄として図柄6、大当り図柄決定用乱数が60〜69の場合は当り図柄として図柄7、大当り図柄決定用乱数が70〜79の場合は当り図柄として図柄8、大当り図柄決定用乱数が80〜89の場合は当り図柄として図柄9、大当り図柄決定用乱数が90〜99の場合は当り図柄として図柄10が設定される。またハズレ図柄には図柄22が割り当てられている。
そして図柄1〜8が4ラウンド(本図ではRと表記)特定時短有図柄であり、これらの図柄で当った際には確変口15に入球させることが容易な4ラウンドからなる大当りが発生し、該大当りの後の状態が高確率状態かつ時短状態となる。そして図柄9,10が8ラウンド特定時短有図柄であり、これらの図柄で当った際には確変口15に入球させることが容易な8ラウンドからなる大当りが発生し、該大当りの後の状態が高確率状態かつ時短状態となる。なお、図柄1〜10で当っても、確変口に入球させることができなかった場合は、大当りの後の状態は高確率状態とはならない。図柄1〜10には大当り図柄決定用乱数が10個ずつ割り当てられているので、図柄の組合せが4ラウンド特定時短有図柄、8ラウンド特定時短有図柄となる割合(振分け)は、それぞれ80/100,20/100となる。
図10に戻る。こうして大当り図柄を決定すると、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S260)。S260の処理では第1特別図柄表示装置9に表示される第1特別図柄の大当り用の変動時間等の変動パターンを決定し、続くS263にて遊技状態設定処理を実行する。遊技状態設定処理ではS255にて決定した大当り図柄に基づいて大当り遊技終了後の遊技状態を設定し、S265に移行する。
S250において外れと判定された場合は、S268に移行する。なお、S240にて肯定判断された場合(すなわち変動中の第2特別図柄が当たる場合)もS268に移行する。S268では、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する。こうしてS268により変動パターンが設定されると、S265に移行する。なお、S240にて肯定判断された場合に、S250の当否判定を行なわないことは、変動中の特別図柄(第2特図)が当りの際には、当方の特別図柄(第1特図)は強制的にハズレと判定することに等しい。
S265では、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には特別図柄、大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に送信する。なお、該変動開始コマンドには、現在の時短フラグの値も送信される。S265を終了すると、第2特別図柄当否判定処理を行なう。なお、S215が否定された場合も第2特別図柄当否判定処理(図12)に移行する。また、S265の処理を実行すると、特別図柄の変動が主制御装置80によって開始される。
図12〜13に示す第2特別図柄当否判定処理では、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグ又は小当りフラグがセットされているか否か(セットされているなら作動中)に基づいて判断する(S300)。S300の判定が否定判断で、第2特別図柄が変動中でなく(S305:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S310:no)、図13のS315に移行し、第2保留記憶(上記、S125による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S315:yes)、第2保留記憶数をデクリメントし(S330)、変動中の特別図柄(ここでは第1特図)が大当りとなるか否かを判定する(S340)。第1特図が大当りにならなければ(S340:no)、S345に進む。
S345では、S330で読み込んだ大当り決定用乱数をテーブルに記録されている当り値と照合し、大当りか否かを判定し(S350)、肯定判定であれば(S350:yes)、大当り図柄決定処理(S355)、変動パターン決定処理(S360)、遊技状態設定処理(S365)、特別図柄変動開始コマンド送信処理(S395)を行なう。なお、これらS355〜S365の各処理は、前述したS256〜S263の各処理を第1特別図柄の代りに第2特別図柄に対して行なうものである。例えば大当り図柄決定処理(S355)では、図21(b)のテーブルに従って、大当り図柄が決定される。
なお、図21(b)に示すように第2特図では、図柄11〜14が8ラウンド通常時短無図柄であり、図柄15〜18が4ラウンド特定時短有図柄であり、図柄19,20が8ラウンド特定時短有図柄である。8ラウンド通常時短無図柄で当った際には確変口15に入球させることが困難な8ラウンドからなる大当りが発生し、該大当りの後の状態が通常状態となる。図柄の組合せが8ラウンド通常時短有図柄、4ラウンド特定時短無図柄、8ラウンド特定時短有図柄となる割合(振分け)は、それぞれ40/100,40/100,20/100となる。また図柄21が小当り図柄に割り当てられている。
図13に戻る。S350において外れと判定された場合は、S373に移行し、S330で読み込んだ大当り決定用乱数に基づいて小当りか否かを判定する。否定判断であればS383に移行する。S340にて肯定判断された場合(すなわち変動中の第1特別図柄が当たる場合)もS373に移行する。S383では、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定し、S395に移行する。S373が肯定判定された場合は、S376にて小当り図柄を決定し、S380にて変動パターンを決定し、S395に移行する。なお、S340、S350、およびS373の処理における判定は、現在の遊技状態が高確率状態であるか否かに応じ、高確率テーブルか低確率テーブルかを選択して行なわれる。
S395では、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には特別図柄、大当り、小当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し、特別遊技処理を行なう。なお、S315が否定された場合は特別遊技処理に直行する。また、S395の処理を実行すると、特別図柄の変動が主制御装置80によって開始される。
図9のS155において第1特別図柄が変動中と判定された場合、または図12のS305において第2特別図柄が変動中と判定された場合には、図14のS170に移行し、図柄変動時間(S260、S286、S360、S380,又はS383の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判定する。否定判断(S170:no)であれば、第1特別図柄の当否判定処理であるか否かを判定する(S180)。肯定判断(S180:yes)であれば、図12のS300へと移行する。否定判断(S180:no)であれば、特別遊技処理を行う。
S170が肯定判断であれば対応した特別図柄の確定図柄表示処理(S175)を行なってから、S180に移行する。確定図柄表示処理では、確定図柄を表示する旨のコマンド(図柄確定コマンド)をサブ統合制御装置83に出力するとともに、特別図柄表示装置9,10にコマンドを出力して確定図柄にて停止させる。
図9のS160において第1特別図柄の確定図柄が表示中と判定された場合、または図12のS310において第2特別図柄の確定図柄が表示中と判定された場合には、図15のS400に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示設定処理(S405)を行なってから大当りになる組合せか否かを判定する(S410)。肯定判断であれば他方の特別図柄変動終了処理に移行する(S420)。本実施例では、「一方の特別図柄」とは、大当りを示す図柄で確定表示された特別図柄をいい、「他方の特別図柄」とは、大当りを示す図柄で確定表示された特別図柄ではない、特別図柄をいう。
S420の処理では、第1特別図柄および第2特別図柄が同時変動中であるか否かを確認して、同時変動中であれば他方の特別図柄の変動を中止してハズレ図柄で強制停止させる。これに伴い、主制御装置80からサブ統合制御装置83へと外れ図柄停止指定コマンドが送信される。S420の処理後、確変フラグが1か否かを判定する(S425)。確変フラグを1にすると本実施例では高確率状態となる。肯定判定であれば(S425:yes)、S430にて確変フラグを0にし、S433に移行する。確変フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS433に移行する。S433では、時短フラグが1か否かを判定する。肯定判定であれば(S433:yes)、S435にて時短フラグを0にし、S438に移行する。時短フラグが1でなければ(S433:no)、そのままS438に移行する。
S438では条件装置作動開始処理を行う。続くS440にて大当りフラグをセットし、役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。S445の処理後、特別遊技処理を行う。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S448にて確変フラグが1か否かを判定し、1であれば、確変回数が0か否かを判定する(S450)。本実施例では確変回数の初期値は10000である。確変回数が0であれば、S453にて確変フラグを0にしてS458に進む。確変フラグが1でないとき(S448:no)又は確変回数が0ではないとき(S450:no)はそのままS458に移行する。
S458では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S458:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S460)。本実施例では時短回数の初期値は10000である。時短回数が0であれば、S463にて時短フラグを0にしてS465に進む。時短フラグが1でないとき(S458:no)又は時短回数が0ではないとき(S460:no)はそのままS465に移行する。S465では、S405にて確定表示が設定された図柄の組み合わせが小当りになるものか否かを判定する。肯定判断ならS468にて他方の特別図柄の変動時間の計測を中断し、続くS470にて小当りフラグをセットすると共に特別電動役物作動開始処理を実行し、S475にて小当り開始演出処理を行ない、特別遊技処理を行なう。S465が否定判定された場合はそのまま特別遊技処理を行なう。
図16に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、第1大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。第1大入賞口14が開放中でない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により第1大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、今から大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、第1大入賞口開放処理(S525)を行なって本処理を終了(リターン)する。
S505で第1大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図17のS530に進み、確変口SW15aからの信号により、確変口15への入球が生じたか否かを判定する。肯定判定の場合(S530:yes)は、確変口入球フラグをセット(S540)し、S550に移行する。確変口入球フラグがセット(値が1になること)されると、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となり、確変口入球フラグの値がゼロの場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態となる。S550では第1大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。第1大入賞口21に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、第1大入賞口21を閉鎖する。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。第1大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、第1大入賞口21の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、大当りの場合は第2ラウンド以降の最大開放時間は29秒に設定している。第1ラウンドについては、確変口15に入賞させてよい当り図柄(4ラウンド特定時短有図柄や8ラウンド特定時短有図柄)で当った場合には最大開放時間は29秒に設定され、確変口15に入賞してはならない当り図柄(8ラウンド通常時短無図柄)で当った場合には短時間(例えば0.3秒)に設定される。無論、これらの秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
図16のS510でインターバル中であると判定された場合は、図17のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に第1大入賞口21が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば、大当り終了演出処理(S580)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び第1大入賞口21を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、第1大入賞口21を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図16のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図18のS645に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には、役物連続作動装置の作動を停止し(S650)、条件装置の作動を停止する(S655)。そして、確変口入球フラグが1か否かを判定する(S660)。肯定判断の場合は、確変フラグおよび時短フラグを1にセットし、確変回数および時短回数を設定する(S665)。続いて確変口入球フラグをクリアし(S670)、S695に移行する。確変口入球フラグが1ではない場合(S660:no)はS695に移行する。
S695では、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、続くS698にて状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、特別遊技処理を終了する。S645で大当り終了演出時間が経過していないと判定された場合も特別遊技処理を終了する。
図16で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には、図19に示す小当り遊技処理を実行する。本処理が起動すると、S705にて特別電動役物が作動中であるか判断し、作動中であれば、小当り開始演出中か否かを判定する(S710)。肯定判断の場合、小当り開始演出の時間が経過したか否かを判定し(S715)、肯定判断なら第2大入賞口20を開放(S720)して当処理を終了(リターン)する。なお、特別電動役物が作動中ではないと判定された場合(S705:no)、または小当り開始演出の時間が経過していないと判定された場合(S715:no)はそのまま当処理を終了する。
S710にて小当り開始演出中でないと判定された場合には、第2大入賞口20が開放中か否かを判定する(S725)。肯定判定の場合、第2大入賞口20に1個以上入賞したか否かを判定する(S730)。これが否定判定なら第2大入賞口20の開放時間(ここでは2秒)が経過したか否かを判定し(S735)、肯定判断なら第2大入賞口20を閉鎖(S740)して当処理を終了する。S730が肯定判定された場合にはS740に直行し、S735が否定判定された場合には当処理を終了する。S725が否定判定された場合にはS750に移行し、特別電動役物の作動を停止させ、S755にて小当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して小当り遊技処理を終了する。
図11に、サブ統合制御装置83が実行する変動演出処理のフローチャートを示す。当処理はサブ統合制御装置83が主制御装置80から変動開始コマンド(S265にて主制御装置80により送信されたもの)を受信すると起動する。なお、本図は第1特別図柄に係る処理であり、第2特別図柄に係る変動演出処理(S395にて主制御装置80により送信された変動開始コマンドを受信すると起動)については省略するが、通常状態においては演出図柄表示装置6にてシンプルな変動演出(後述)が行なわれ、時短状態においては図20を用いて後述する演出が演出図柄表示装置6にて行われる。当処理が起動されると、S270にて小当りラッシュ中か否かを判定する。これは、変動開始コマンドに含まれる時短フラグの値に基づいて判定する(1であれば小当りラッシュ中、0であれば小当りラッシュ中ではない)。否定判定であればS275に移行して一般的な変動演出を実行して当処理を終了(リターン)する。肯定判定(S270:yse)された場合はS280に移行して当該変動の結果、大当りとなるか否かを変動開始コマンドに基づいて判定する。否定判定、すなわちハズレであればS285に移行してシンプルな変動演出を実行して当処理を終了する。肯定判定(S280:yes)、すなわち当りであればS290に移行してシンプルな変動演出を実行した後、S295にて無敵ゾーン演出を実行して当処理を終了する。なお、大当りが発生すると無敵ゾーン演出は終了し、大当り用の演出が開始される。
無敵ゾーン演出等について図20を用いて説明する。図20は、時短中に演出図柄表示装置6にて行われる演出の例を示す。図20(a)は、第1特別図柄が当らない変動を行なっている状態における演出を示すもので、第2特別図柄が小当りする都度、第2特図の演出図柄95を第2特図の変動と同時に変動させた後、「小当」で揃えて停止させ、小当りにより賞球が増える可能性があることを遊技者に報知する。画面の左上に表示されている「SUPER小当りにRUSH!」の文字92は、現在が小当りラッシュ中であることを遊技者に報知している。なお、大当りの場合は演出図柄が「小当」以外の図柄で揃う。画面の左下に表示されているのは変動中の第1特別図柄の演出図柄91であり、3桁の図柄が縦方向にスクロールしている様子を示している。図2に示したように、遊技領域の右側には第1始動口12および第2始動口16が存在するため、右打ち中には何れの入賞口への入球も発生する。そしてパチンコ機50は、第1特別図柄および第2特別図柄が同時に変動可能に構成されているので、第2特別図柄の変動中にも、第1特別図柄が変動することができる。そして第2特別図柄の演出図柄が「小当」で確定表示されている間は第1特別図柄の変動時間の計測が中断される。第1特別図柄が外れる場合、3桁の図柄が画面の左下にて不ぞろいで停止される。この、第1特別図柄が外れる場合の3桁の図柄の変動及び停止が、前述のS285で実行されるシンプルな変動演出である。通常状態における第2特別図柄の変動演出もこれに類するものとなる。
図20(b)は、第1特別図柄が当たる変動を開始した様子を示すものである。画面の左上に表示されている文字92が「無敵ゾーン突入!!!」に変化し、画面の右上に表示されているキャラクタ94が目を見開き、該キャラクタ94の頭の上に「!」が表示される。これが前述のS290で実行される無敵ゾーン演出である。第1特別図柄が当たる場合、S340が肯定判定されてS373に移行し、S350の当否判定が行われない。これにより、小当りラッシュの終了条件である8ラウンド通常時短無図柄による当りが発生しない。そして第2特別図柄は48/50の確率で小当りとなる。第1特別図柄が当たる変動は図6に示したように小当りラッシュ中であっても平均2分間かかるため、この間は小当りラッシュは終了しないことになり、遊技者は持ち球を増やすことができる。なお、第1特別図柄は、この平均2分間の変動の結果、当たるのだが、この変動演出はシンプルな変動演出となっているため、第2特別図柄の変動に係る小当りラッシュの演出を邪魔することがない。
図20(c)は、図20(b)の状態から時間が経過し、第1特別図柄の演出図柄91の内、左図柄と中図柄が同じ図柄(ここでは「7」)で、右図柄のみが変動中のリーチ状態となった状態を示している。第1特別図柄も当ると同じ図柄が揃うので、当る際にはリーチ状態を経る。この状態でも依然としてS340が肯定判定されるので、第2特別図柄の小当りは発生し続ける。そして画面の左上に表示されている文字92が「無敵ゾーン継続中!!」に変化し、演出図柄表示装置6の画面右上に表示されているキャラクタ94の頭上から「!」が消える。これも無敵ゾーン演出である。
図20(d)は、第1特別図柄が当った時の状態を示している。第1特別図柄の演出図柄91は同じ図柄(ここでは「7」)が揃い、S410が肯定判定されてS420の処理が実行されることにより、第2特別図柄は変動が強制的に停止され、図20(d)ではハズレ図柄に対応する演出図柄の一例として「138」が確定表示されている。キャラクタ94の表情は、目を細めた笑顔に変化している。
第1特別図柄の大当りは、大当り終了後に必ず時短が付くため、再び小当りラッシュとなる。大当り終了直後の第1特別図柄の変動がハズレとなるものであれば、第2特別図柄が当る可能性が再発するので、小当りラッシュが終了する可能性も発生する。
以上のように構成された遊技機によれば、発生した小当りラッシュが、8ラウンド通常時短無図柄で当ることにより終了する可能性があるが、無敵ゾーン演出が行なわれている間は第2特別図柄が当たる可能性がないため、無敵ゾーン演出の実行中に遊技者は安心して遊技を行なうことができる。そしてこれにより、小当りラッシュは無敵ゾーン演出が実行されることを願って遊技をするという従来にはない遊技興趣のある遊技機となる。また、特図1が大当りする際の変動時間が平均2分(図6参照)となっており固定されていないので、無敵ゾーン演出中に遊技者は、できるだけ長時間、無敵ゾーン演出が続いてほしいと願う遊技興趣も有している。
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。S110及びS120の処理が本発明の「乱数抽出手段」に相当し、S250及びS350の処理が本発明の「当否判定手段」に相当し、S260、S268、S360、S376、及びS383の処理が本発明の「特別図柄決定手段」に相当し、S175の処理が本発明の「特別図柄制御手段」に相当し、特別遊技処理(図16)が本発明の「大当り遊技実行手段」に相当し、S373の処理が本発明の「小当り判定手段」に相当し、小当り遊技処理(図19)が本発明の「小当り遊技実行手段」に相当し、S665の処理が本発明の「変動時間短縮手段」に相当し、S340の処理が本発明の「大当り遊技禁止手段」に相当し、S290の処理が本発明の「特別演出実行手段」に相当する。本発明の「変動時間初期化手段」は、大当りが発生する前にS435の処理により時短フラグがゼロにされ、大当り図柄が8ラウンド通常時短無図柄だったために、第1ラウンドの第1大入賞口21の開放時間が短く、これにより確変口15に入球せず、S665の処理を実行しないことにより実現される。
[実施例2]
本発明の第2実施例について図22〜30を用いて説明する。なお、本実施例は第1実施例と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。図22は、第2実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図であり、第1実施例との違いは、第2始動口16が電動チューリップ(以下、普通電動役物あるいは単に普電とも呼ぶ)として構成されている点と、普通電動役物を開放させるために当選する必要のある普通図柄の変動契機となるゲート22を有する点と、これらの構成が遊技領域3の右側に設けられている点と、確変決定装置13が存在しない点を挙げられる。第2始動口16が第2大入賞口20の上方に配置されていることにより、普通電動役物が開放した際には右打ちされた遊技球はその殆どが第2始動口16に入球し、第2大入賞口20に至る遊技球は殆どない。普通電動役物が閉鎖されると、第2始動口16の左側から脱落した遊技球が第2大入賞口20に到達可能となる。また遊技領域3の右下には、2個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、4個のLEDからなる普図保留数表示装置8が設けられている。普通図柄の当り図柄は2個のLEDの左側のみが点灯したものであり、ハズレ図柄は右側のLEDのみが点灯したものとなっている。遊技球がゲート22を通過すると、これを最大4個まで記憶し、普図保留数として普図保留数表示装置8に表示する。
図23は第2実施例のパチンコ機のブロック図であり、図5との違いは、普通図柄表示装置7、普図保留数表示装置8、および普通電動役物を開閉させるための普通電動役物ソレノイド16bを備える一方で、シャッターソレノイド14a及び確変口SW15aを備えていない点である。なお図23では、第1始動口11、第1始動口12に入球したことを検出するセンサを第1始動口SW11aにて代表させ、第1始動口SW12aを省略している。また、確変口SW15aを備えていないので、図17のS530〜S540の処理や、図18のS660〜S670の処理に相当する処理は、第2実施例では存在しない。
図24は第2実施例におけるパチンコ機50の仕様の概要である。図6(第1実施例)との違いは、普通図柄の変動時間、普通図柄の当り確率、および普通電動役物の開放時間に関する記載があることに加え、第1特別図柄が当った際の高確率状態突入率が60%である点と、時短状態における小当り時の特図2の変動時間が0.2秒となっている点と、小当り時の大入賞口の開放時間が1秒となっている点を挙げることができる。そして、普通図柄の変動時間および当り確率は、通常確率状態か高確率状態かに関わらず同じ構成となっており、普電の開放時間に関しては大入賞口入賞容易状態では1秒、大入賞口入賞困難状態では2秒となっている。大入賞口入賞容易状態とは、時短状態(本発明の遊技機においては高確率状態と同時に発生)において右打ちした遊技球が第2大入賞口20に容易に到達することを言い、大入賞口入賞困難状態とは、遊技球が第2大入賞口20に容易に到達しない状態を言う。いずれの状態になるかは特別図柄の当り図柄によって決定する。
図25は、第2実施例における大当り図柄決定用乱数と当り図柄の関係を示すテーブルである。図25(a)に示すように第1特別図柄の図柄1〜4が8ラウンド通常時短無図柄に割り当てられている。これにより、第1特別図柄で当っても時短状態に突入しないことがあり、また小当りラッシュ中に第1特別図柄で当ると該小当りラッシュが終了する場合がある仕様となっている。そして図柄5〜8が4ラウンド特定時短有図柄に割り当てられ、図柄9,10が8ラウンド特定時短有図柄に割り当てられている。図柄5〜10で当った場合には、大当り後に大入賞口入賞容易状態となる。大入賞口入賞容易状態では小当りラッシュとなるが、この理由については図30を用いた説明で後述する。
一方、第2特別図柄の当り図柄は図25(b)のように割り当てられており、大当り後に時短状態となるか否かに関しては第1実施例と同じであるが、大当り後に大入賞口入賞容易状態となるか否かに関しては、8ラウンド特定時短有図柄で当った場合のみ大当り後の遊技状態が大入賞口入賞容易状態となる。つまり、8ラウンド特定時短有図柄で当ると大当り後に小当りラッシュとなるが、4ラウンド特定時短有図柄で当った場合には、大当り後に時短状態にはなるが、小当りラッシュとはならない。とはいえこの状態で右打ちをすると、普通電動役物は頻繁に開き、第2始動口16に容易に入賞させることができるので、次回は8ラウンド特定時短有図柄で当る(小当りラッシュとなる)ことを目指して遊技することができる。そして8ラウンド特定時短無図柄で当った場合には第1実施例と同様、小当りラッシュにも時短にもならず、左打ちの状態に戻る。
図26に示す「普図始動入賞確認処理」は入賞確認処理(S50)のサブルーチンであり、当処理ではまずゲート22を遊技球が通過したか確認する(S760)。なお、本図ではゲート17を始動口として構成し直す場合も想定し、「普図始動口又はゲート入球?」と表記している。入球があれば(S760:yes)、普図の保留記憶が満杯(当実施例では4個)でないか確認する(S770)。保留記憶が満杯でなければ(S770:no)、S780の処理で、普図の当り決定用乱数、当り図柄決定用乱数、はずれ図柄決定用乱数、移行決定用乱数などの各種乱数を抽出し、抽出された各種乱数が保留記憶として主制御装置80のメモリに記憶される(最大4個)。そして、普図保留数表示装置8へ普図保留数のコマンドを送信する(S790)。
図27に示す「普図当否判定処理」は、当否判定処理(S55)のサブルーチンで、S800の処理で特図の始動口22を開放させるための普通電動役物が作動中か確認し、作動していなければ(S800:no)、普図が変動中か確認し(S805)、変動中でなければ(S805:no)、普図の確定図柄が表示されているか確認する(S810)。なお、普通電動役物が作動中(S800:yes)であれば「普図遊技処理」に移行する。
S810の処理で確定図柄が表示中でなければ、普図の保留記憶があるか確認(S815)し、普図の保留記憶があれば、普図の保留記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う(S820)。該シフト処理により普図の保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。普図の保留記憶がなければ(S815:no)、「普図遊技処理」に移行する。
続くS840の処理では、当否判定用テーブルと当り判定用乱数とを対比して当りか否か当否判定を行なう。普図の当り確率は、図24に示したように遊技状態によらず199/200である。
普図が当りであれば(S840:yes)、入賞容易フラグが1か否かを確認する(S855)。入賞容易フラグとは、S665において当り図柄に応じて設定されるフラグであり、第1特別図柄であれば、4ラウンド特定時短有図柄か又は8ラウンド特定時短有図柄で大当りした場合に入賞容易フラグが1となり、第2特別図柄であれば、8ラウンド特定時短有図柄で大当りした場合に入賞容易フラグが1となり、それ以外の場合は入賞容易フラグの値は0となる。また、改めて図示はしないが、第2実施例では、図11のS270において小当りラッシュ中か否かの判断は、時短フラグではなく入賞容易フラグの値に基づいて判断する(入賞容易フラグの値が1であれば小当りラッシュ中。0であれば非小当りラッシュ中)。
S855が肯定判断された場合はS860にて普電の開放パターンを1秒(図24も参照)とし、S870に移行する。一方、S855が否定判断された場合はS865にて普電の開放パターンを2秒とし、S870に移行する。なお、S840が否定された場合には、そのままS870に移行する。S870の処理では、普図表示装置7へ普図変動開始コマンドを送信し、「普図遊技処理」に移行する。なお、S840以降の処理では本来、普通図柄の当否に応じて当り図柄およびハズレ図柄を決定したり、普通図柄の変動パターンを決定したりするのだが、本実施例においては当り図柄およびハズレ図柄が各1種類しかなく、また変動パターンは遊技状態や当否判定結果によらず1秒(図24も参照)に確定しているので記載を省略している。
S805の処理で普図の図柄変動中のときは、図28(a)の処理に移行し、普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(S870)。なお、普通図柄の変動時間は、遊技状態によらず平均1秒である。図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S870:yes)、確定図柄表示設定処理(S875)により普図表示装置7に確定図柄表示させるようにコマンドを送信し、「普図遊技処理」に移行する。
図27のS302の処理で確定図柄表示中のときは(S810:yes)、図28(b)の処理に移行し、確定図柄の表示時間が経過したか否かを判定する(S880)。確定図柄の表示時間が経過したことを確認すると、確定図柄表示終了処理(S885)において普図表示装置7に確定図柄表示の終了させるようにコマンドを送信し、「普図遊技処理」へ移行する。確定図柄の表示時間が経過していない場合(S880:no)は、そのまま「普図遊技処理」へ移行する。
「普図遊技処理」の概要を図29に示す。先ず、普通電動役物が開放中か確認する(S900)。肯定判断であれば、普通電動役物に10個(規定数)の入賞があったか否か(S910)、または普通電動役物の開放時間が終了したか否か(S920)を確認する。普通電動役物の開放時間は前述のように、大入賞口入賞容易状態では1秒、大入賞口入賞困難状態では2秒である。S910,S920の何れかが肯定判断であれば、普通電動役物を閉鎖し(S930)、普図当り終了コマンド送信処理(S940)を実行する。この処理で演出図柄制御装置82に普図当り終了コマンドを送信し、普図遊技処理を終了(リターン)する。いずれも否定判断であれば(S910:noかつS920:no)、そのままリターンする。
大入賞口入賞容易状態および大入賞口入賞困難状態について図30を用いて説明する。図30(a)は大入賞口入賞容易状態を説明するタイムチャートであり、ゲート22を遊技球が通過すると、普通図柄が変動を開始し、1秒後に該変動が停止して199/200の確率で(つまりほぼ)当る。そして普通電動役物が開放して第2大入賞口20に至るのが困難になるのだが、大入賞口入賞容易状態では普通電動役物は1秒で閉鎖し、それ以降の遊技球が第2大入賞口20に到達可能となる。そして普通電動役物の開放時に第2始動口16に入球していれば、特図2が変動し、0.2秒後に該変動が停止して199/200の確率で(つまりほぼ)小当りとなる。小当りにより約1秒間、第2大入賞口20が開放されるので、普通電動役物が1秒間の開放を終えて閉鎖された時点Pでは、普通電動役物の閉鎖時には第2大入賞口20が開放されている(ただし特図2は小当りしたものとする)。従って、第2始動口16の左側から脱落した遊技球が第2大入賞口20に到達し、第2大入賞口20に入賞したことによる賞球を遊技者が得ることができる。小当りは頻繁に発生するので、大入賞口入賞容易状態では小当りラッシュが成立することになる。なお、第2始動口16に入球するタイミングは普通電動役物の開放直後であったり、閉鎖直前であったりする場合もあるが、何れのタイミングであっても第2大入賞口20に到達することができる。
図30(b)は大入賞口入賞困難状態を説明するタイムチャートである。なお、ゲート22の通過および普通図柄の変動については大入賞口入賞容易状態と同様であるため省略している。大入賞口入賞困難状態では、普通電動役物が2秒間、開放されるので、普通電動役物が閉鎖された時点Pでは、第2大入賞口20は1秒間の開放時間を終えて閉鎖している。このように大入賞口入賞困難状態においても小当りは頻繁に発生するが、第2大入賞口20に入球することができないので小当りラッシュが成立しない。なお、図30(b)によれば、第2始動口16への入賞が遅れれば、普通電動役物の閉鎖時Pに第2大入賞口20が開放している場合もあるようにも見える。しかし前述のように普通電動役物の開放中には、右打ちされた遊技球は殆ど第2始動口16に入球するため、第2始動口16への入賞は普通電動役物の開放後、早い時点で発生し、第2大入賞口20の閉鎖時点Rにおいて普通電動役物が閉鎖されているという事態は殆ど起きない。
第2実施例の遊技機は、第1実施例の遊技機に近い構成であり、第1実施例の遊技機に近い効果も奏するが、無敵ゾーン演出後に発生する大当りが、8ラウンド通常時短無図柄で当ったことにより発生したものである場合には小当りラッシュが終了する。従って無敵ゾーン演出が発生した時点で、無敵ゾーン演出中は小当りラッシュが終らないという安心感と、無敵ゾーン演出終了時に発生する大当りにより小当りラッシュが終るかもしれないという不安感とを遊技者に与えることができる。
[実施例3]
本発明の第3実施例について図31〜34を用いて説明する。なお、本実施例は第2実施例と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。図31は、第3実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図であり、第2実施例との違いは、電動チューリップとして構成されているのが第2始動口16ではなく第1始動口11である点と、ゲート22が遊技領域3の左側に存在する点を挙げることができる。なお、第1始動口11には普電が閉鎖されている状態においても入賞可能に構成されている。
図32は第3実施例におけるパチンコ機50の仕様の概要である。図24(第2実施例)との違いは、大当りした際の高確率状態突入率が第1特別図柄・第2特別図柄ともに100%である点と、該高確率状態の継続回数が50回であることを挙げられる。また、特別図柄および普通図柄の変動時間は、時短状態か否かではなく入賞容易状態か否かにより分かれている。入賞容易状態とは、普電に入賞し易い状態をいう。例えば特別図柄の変動時間は入賞容易状態か否かに応じて第1特別図柄と第2特別図柄とで、長短の関係が逆転している。ただし、低確率状態(通常状態)における第2特別図柄の変動時間は平均10分間となる。
図33は、第3実施例における大当り図柄決定用乱数と当り図柄の関係を示すテーブルである。図33(a)に示すように第1特別図柄の図柄1〜8が4ラウンド特定時短無図柄に割り当てられている。ここで時短の有無は入賞容易状態になるか否かに対応しており、時短有が入賞容易状態になり、時短無が非入賞容易状態になることを意味している(何れも大当り終了後)。図柄9〜10が8ラウンド特定時短無図柄に割り当てられ、全ての当り図柄が時短無図柄となっていることにより、第1特別図柄で初当り(大当り)すると非入賞容易状態となる仕様となっている。ただし入賞容易状態において第1特別図柄が大当りした場合には例外で、必ず大当り後に必ず入賞容易状態となる。非入賞容易状態では図32に示したように第2特別図柄の変動時間が平均2秒に短縮されるので、小当りラッシュ状態となる。
一方、第2特別図柄の当り図柄は図33(b)のように割り当てられており、第2特別図柄の図柄11〜14が8ラウンド特定時短有図柄、図柄15〜18が4ラウンド特定時短無図柄、図柄19〜20が8ラウンド特定時短無図柄となっている。つまり第2特別図柄は図柄15〜20で大当りした場合は該大当りの終了後に小当りラッシュ状態となり、図柄11〜14で大当りした場合は該大当りの終了後に小当りラッシュ状態とならない。図柄11〜14で大当りした場合は入賞容易状態となるため、図32に示したように普電が頻繁に且つ長時間開放するため、遊技者は左打ちをした方が有利となる。なおも、遊技者が右打ちを続行すると、第2特別図柄の変動時間が入賞容易状態では平均10分となるため、遊技者にとって不利な状況となる。第1始動口16に入賞すれば第1特別図柄が2秒変動した後、1/50の確率で大当りする(図32参照)が、第1特別図柄には小当りがないため小当りラッシュ状態とはならず、また左打ちをした方が2秒間、普電が開放する第1始動口11に容易に入賞するので、やはり入賞容易状態における右打ちは遊技者にとって不利である。
図34に、第3実施例における普図当否判定処理を示す。第2実施例における普図当否判定処理との第1の違いは、S820にて保留記憶のシフト処理を行なった後に、入賞容易フラグが1か否かを判定し(S825)、肯定判断であれば(S825:yes)、高確率(199/200。図32も参照)の当否判定用テーブルで当否判定を行なうようにセット(S830)してS840に移行し、否定判断であれば(S825:no)、通常確率(39/200。図32も参照)の当否判定用テーブルで当否判定を行なうようにセット(S835)してS840に移行する点である。なお、変動演出処理(図11)のS270では、入賞容易フラグが0の場合に小当りラッシュ中と判定し、入賞容易フラグが1の場合に小当りラッシュ中ではないと判定する。
そして第2の違いは、S840からS870までの処理が、普通図柄が当りか否かに関わらず、入賞容易フラグの値に基づいて普通図柄の変動パターンを決定している部分である。すなわちS840を廃し、入賞容易フラグが1か否かを判定(S857)し、肯定判断(S857:yes)ならS862にて、対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する。S862の処理により決定された変動パターンの変動時間は平均2秒となっている(図32も参照)。否定判断(S857:no)ならS867にて、前記対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する。S867の処理により決定された変動パターンの変動時間は平均30秒となっている(図32も参照)。こうしてS862、またはS867の処理にて変動パターンが決定されると、S870に移行する。
かかるパチンコ機50における遊技の流れは以下のようになる。通常状態では、第2特別図柄の変動時間が長い(平均10分)ため、第1始動口11を狙って左打ちを行なう。なお、遊技領域3の右側にも第1始動口12が存在するが、遊技球がゲート22を通過して普通図柄が当れば、普電が開放して第1始動口11により多くの遊技球が入賞する可能性があるので、左打ちをする遊技者が多いと考えられる。第1始動口11に入賞して第1特別図柄が大当りすると、必ず非入賞容易状態となるので(図33参照)、第2特別図柄の変動時間が平均2秒となり、小当りラッシュに突入する。従って遊技者は右打ちをした方が有利となる。右打ち中に第1始動口12に入賞し、第1特別図柄が大当りすると、大当り後に再び非入賞容易状態となるので小当りラッシュが継続する。そして大当たりする第1特別図柄の変動は平均2分つづき(図32参照)、その間は第1実施例、第2実施例と同様、第2特別図柄の当否判定が行なわれず、無敵ゾーン演出が行なわれる。なお、第3実施例においては高確率状態が50回に限られるため、無敵ゾーン演出中に特別図柄の変動回数(第1特別図柄と第2特別図柄の各変動回数の合計)が50回に到達すると、第2特別図柄の変動時間が平均10分となり、小当りラッシュが終了する。ただし第1特別図柄が大当りするので、再び小当りラッシュに突入する。
小当りラッシュ中に第2特別図柄が大当りした場合には、当り図柄に応じて大当り後の遊技状態が決定される。すなわち、第2特別図柄が8ラウンド特定時短無図柄または4ラウンド特定時短無図柄で当った場合には非入賞容易状態となり、小当りラッシュが継続する。一方、第2特別図柄が8ラウンド特定時短有図柄で当った場合には入賞容易状態に移行する。入賞容易状態では第2特別図柄の変動時間が平均10分であるため小当りラッシュにならないことに加え、普電が頻繁に開放して容易に第1始動口11に入賞するので、遊技者は左打ちを再開する。ただしこの状態で、第1特別図柄で大当りした場合に限っては、大当り後に入賞容易状態となるので、小当りラッシュに突入せず、左打ちの状態が継続することになる。この状態は第1特別図柄と第2特別図柄の各変動回数の合計が50回に到達すると終了する。
以上のように構成された第3実施例のパチンコ機50によれば、第1特別図柄で当れば必ず小当りラッシュに突入し、小当りラッシュ中に第1特別図柄で当れば、必ず小当りラッシュが継続(または再突入)するので、第1実施例に近い遊技性となる。ただし、小当りラッシュ中に、第1特別図柄も第2特別図柄も当ることなく第1特別図柄と第2特別図柄の各変動回数の合計が50回に到達すると、通常状態に戻る。
[他の実施例]
前記いずれの実施例も、変動時間が固定されていなかったが、固定された一定値でも良い。また、特図1が大当りするにも拘らず無敵ゾーン演出が実行されない場合がある構成としても良い。このような構成によれば、無敵ゾーン演出が実行されないので当らないのかと思っていたら特図1が当るので、遊技者を驚かせることができる。
前記実施例では遊技球を払出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。また、第3実施例のように、特別図柄が50回変動すると小当りラッシュが終了する構成では、無敵ゾーン演出の実行中にこの回数に到達するケースも考えられる。そこで、回数が近い場合には無敵ゾーン演出を行なわないようにすることが考えられる。この回数は第1特別図柄の変動回数と第2特別図柄の変動回数の合計とすることが考えられる。また第1特別図柄、第2特別図柄のどちらか一方のみの変動回数としてもよい。また、当り確率は通常に戻るが、時短が所定回数(例えば50回)、特別図柄が変動する間のみ継続する当り図柄(例えば4ラウンド通常時短有図柄)が存在し、該当たり図柄にて当り、前記所定回数(前記例では50回)変動することを終了条件とする構成としても良い。この場合、前記所定回数、特別図柄が変動する間は小当りラッシュではないが、時短により右打ちが有効となり、高ベース状態のまま大当りを狙うこと、ひいては小当りラッシュを狙うことができる点で、時短中も小当りラッシュが終了しないとみなしている。
また、前記実施例では第1特別図柄には小当りが存在しなかったが、存在しても良い。また、第1実施例の第1特別図柄に、大当り後に時短が付与されない当り図柄(例えば8ラウンド通常時短無図柄)が存在しなかったが、第2実施例の第1特別図柄のように存在しても良い。逆に、第2実施例の第1特別図柄に、大当り後に時短が付与されない当り図柄が存在しない構成としても良い。
前記実施例1における弾球遊技機は確変口15を備え、第1大入賞口21の開放パターンで確変機能が作動するか否かが決まる構成で説明したが、他にも第1大入賞口21の開放時間は同一でもシャッター14の動きにより確変口15への入球を困難にしてもよい。その場合は第1大入賞口21への入球数に応じてシャッター14の動きを規定することが考えられる。他にも、クルーンなど複数の入球口を備えた振分装置を用いて所定の入球口に確変口15を備え、完全に遊技球の動きで確変機能を作動させる構成も考えられる。