以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下においては、本実施形態に係る画像処理装置を搭載した一眼レフデジタルカメラ1を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラ本体100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合される。
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ212は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラ本体100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240へ送信されることにより行われる。なお、絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
カメラ本体100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出部160へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出部160へ導く。
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出部160へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
クイックリターンミラー121で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
また、接眼レンズ134の近傍には、測光用レンズ136と測光センサ137とが設けられ、焦点板131に結像した被写体光の一部を受光する。
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御などに用いられる。
撮像素子110は、カメラ本体100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配置されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成することができる。撮像素子110で光電変換された画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
焦点検出部160は、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行するための装置である。焦点検出部160は、サブミラー122で反射した光束(光軸L4)の、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な位置に受光面を有しており、フォーカスレンズ212の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束を、受光面に設けられた一対のラインセンサ(不図示)で受光することで、一対の像信号を取得する。そして、焦点検出部160は、一対のラインセンサで取得した一対の像信号の位相ずれを、相関演算によって求めることにより、一対の像信号のずれ量を算出し、算出したずれ量をデフォーカス量に変換して、カメラ制御部170に送信する。
操作部150は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチを備えており、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。この操作部150により設定されたシャッターレリーズボタンのスイッチSW1,SW2および各種モードはカメラ制御部170へ送信される。
さらに、本実施形態において、操作部150は、静止画撮影モード/動画撮影モード/画像再生モード/ライブビューモードの切り替えが行えるようになっている。ライブビューモードとは、所定のフレームレートでスルー画像を撮像し、カメラ本体100の背面に設置された液晶モニタ180に、撮像したスルー画像を連続して表示するモードである。なお、ライブビューモードにおけるフレームレートは、動画撮影モードにおけるフレームレートと同じか、動画撮影モードにおけるフレームレートよりも低くなっている。また、本実施形態において、操作部150は、歪み補正処理を実行するか否かを切り替えることも可能となっている。ここで、歪み補正モードとは、撮像した撮像画像の歪みを補正する処理であり、周知の方法を用いて行うことができる。
カメラ制御部170は、撮影画像情報の補正、レンズ鏡筒200の焦点調節状態の検出、および絞り調節状態の検出など、カメラ1全体の制御を司る。また、カメラ制御部170は画像処理装置10を備えており、画像処理装置10は、撮像素子110から読み出した画像データに対して所定の画像処理を行い、画像処理を行った画像データを図示しない記憶装置に記憶する。
図2は、本実施形態に係る画像処理装置10の構成を示す概略図である。画像処理装置10は、図2に示すように、複数の画像処理部201,202と画像処理用メモリ30とを備えている。なお、図2に示す例では、2つの画像処理部201,202と1つの画像処理用メモリ20とを図示しているが、画像処理部201,202および画像処理用メモリ30の数は、特に限定されない。なお、画像処理部201,202は同一の構成を有するため、以下においては、画像処理部202を例示して、画像処理部について説明する。
画像処理部202は、図2に示すように、複数の画像処理回路401〜409から構成されている。なお、図2に示す例では、画像処理部202が9つの画像処理回路401〜409を備える構成を例示しているが、画像処理回路401〜409の数は、特に限定されない。
また、図3は、図2に示す各画像処理回路401〜409の詳細を示す概略図である。なお、画像処理回路401〜409はそれぞれ同一の構成を有するため、以下においては、画像処理回路401〜409を画像処理回路40i(i=1〜9)として説明する。
画像処理回路40iは、様々なビット数(ビット精度)の画像データを処理する機能を有するように、様々なビット数の画像データに対応する複数のデータ処理回路を備えている。たとえば、図3に示す例において、画像処理回路40iは、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501と、12ビットの画像データに対応するデータ処理回路502と、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503とを備えている。
また、データ処理回路501〜503は並列に接続されており、画像処理回路40iは、データ処理に用いるデータ処理回路501〜503を選択し、選択したデータ処理回路を用いてデータ処理を行うことができる。たとえば、画像処理回路40iは、画像処理に用いる1つのデータ処理回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるデータ処理回路を動作させるとともに、画像処理に用いないデータ処理回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないデータ処理回路の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いないデータ処理回路における電力消費量を低減することができる。
なお、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、消費電力量は最も小さくなり、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる。そのため、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行う場合には、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減することができる。
また、画像処理回路40iは、図3に示すように、画像データのフィルタ処理機能を有するフィルタ回路601〜603を備えている。たとえば、図3に示す例において、フィルタ回路601〜603は、3×3画素、5×5画素、10×10画素のそれぞれのフィルタサイズ(フィルタ径)に対応しており、3×3画素、5×5画素、10×10画素のそれぞれのフィルタサイズ(フィルタ径)でフィルタ処理を行うことができる。
また、各フィルタ回路601〜603は並列に接続されており、画像処理回路40iは、フィルタ処理に用いるフィルタ回路601〜603を選択し、選択したフィルタ回路を用いてフィルタ処理を行うことができる。たとえば、画像処理回路40iは、画像処理に用いるフィルタ回路に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるフィルタ回路を動作させるとともに、画像処理に用いないフィルタ回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないフィルタ回路の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いないフィルタ回路における電力消費量を低減することができる。
なお、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いてフィルタ処理を行う場合は、電力消費量は最も小さくなり、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いてフィルタ処理を行う場合には、電力消費量は最も大きくなる。そのため、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路601を用いて画像処理を行う場合には、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減させることができる。
さらに、画像処理回路40iは、図3に示すように、画像処理において、データを一時的に記憶するためのバッファとして、3つのバッファ回路701〜703を備えている。本実施形態において、バッファ回路701〜703は、同一の性能を備えている。
また、バッファ回路701〜703は並列に接続されており、画像処理回路40iは、画像処理において、1つ以上のバッファ回路701〜703を使用することができる。たとえば、画像処理回路40iは、画像処理に用いるバッファ回路に対して所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いるバッファ回路を動作させるとともに、画像処理に用いないバッファ回路に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いないバッファ回路の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いないバッファ回路における電力消費量を低減することができる。
なお、画像処理に用いるバッファ回路701〜703の数が多くなるほど電力消費量は大きくなる。そのため、バッファ回路を1つ用いて画像処理を行う場合には、バッファ回路を3つ用いて画像処理を行う場合と比べて、電力消費量をより低減させることができる。
さらに、本実施形態において、画像処理部202は、図2に示すように、3つの画像処理回路401〜403が直列に接続された画像処理列801と、3つの画像処理回路404〜406が直列に接続された画像処理列802と、3つの画像処理回路407〜409が直列に接続された画像処理列803とを備えている。
画像処理列801〜803は並列に接続されており、画像処理装置10は、1または2以上の画像処理列801〜803を用いて画像処理を行うことができる。たとえば、画像処理装置10は、画像処理に用いる画像処理列に対して、所定のクロック周波数と電力とを供給することで、画像処理に用いる画像処理列(すなわち画像処理列に含まれる画像処理回路)を動作させるとともに、画像処理に用いない画像処理列に対しては、クロック周波数または電力の供給を停止または減少させることで、画像処理に用いない画像処理列(すなわち画像処理列に含まれる画像処理回路)の動作を抑制することができる。これにより、画像処理に用いない画像処理列における電力消費量を低減することができる。なお、画像処理列801〜803はそれぞれ同一の構成を有するため、以下においては、画像処理列801〜803を画像処理列80i(i=1〜3)として説明する。
また、図2に示すように、画像処理列801を構成する各画像処理回路401〜403は、画像処理回路401〜403による画像処理を回避するためのバイパス901〜903をそれぞれ備えている。同様に、画像処理列802,803においても、各画像処理部404〜409にバイパス904〜909がそれぞれ備えられている。なお、バイパス901〜909は、それぞれ同一の構成を有するため、バイパス901〜909をバイパス90i(i=1〜9)として説明する。
本実施形態において、画像処理装置10は、バイパス90iのオン/オフを制御することで、画像処理列80iを構成する画像処理回路40iの中から、画像処理に用いる画像処理回路40iを選択することができる。たとえば、画像処理装置10は、データ量の多い画像データの画像処理を行う場合には、画像処理列801に含まれる全ての画像処理回路401〜403のバイパス901〜903をオフすることで、画像処理列801に含まれる全ての画像処理回路401〜403に対して、所定のクロック周波数および電力を供給し、これにより、画像処理列801に含まれる全ての画像処理回路401〜403を用いて画像処理を行うことができる。一方、画像処理装置10は、データ量の少ない画像データの画像処理を行う場合には、たとえば画像処理列801に含まれる画像処理回路401〜403のうち、画像処理回路403に対応するバイパス903のみをオンに設定することで、画像処理回路401,402に対してはクロック周波数および電力を供給し、画像処理回路403に対してはクロック周波数および電力の供給を停止する。これにより、画像処理回路401,402を用いて画像処理を行い、画像処理回路403を用いて画像処理を行わないように制御することができ、画像処理回路403における電力消費量を低減することができる。
さらに、本実施形態において、画像処理装置10は、上述したように、複数の画像処理部201,202と画像処理用メモリ30とを備えている。そして、画像処理部201と画像処理部202との間には、図2に示すように、画像処理用メモリ30を介さずに画像データを画像処理部201から画像処理部202へと転送する第1データパスと、画像処理用メモリ30を介して画像データを画像処理部201から画像処理部202へと転送する第2データパスとが設けられている。
本実施形態において、画像処理装置10は、画像処理を行う際に、第1データパスを用いて画像データを画像処理部201から画像処理部202に転送するか、あるいは、第2データパスを用いて画像データを画像処理部201から画像処理部202に転送するかを選択することができる。たとえば、画像処理装置10は、画像処理の負荷が高い場合には、画像処理用メモリ30を介して画像データを転送する第2データパスを選択することができ、一方、画像処理の負荷が低い場合には、画像処理用メモリ30を用いずに画像データを転送する第1データパスを選択することができる。なお、第1データパスを用いて画像データを転送する場合には、画像処理用メモリ30を使用しない分、第2データパスを用いて画像データを転送する場合と比べて、消費電力量を低減することができる。
また、本実施形態において、画像処理装置10は、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードに基づいて、各画像処理回路40iの動作を制御する。具体的には、画像処理装置10は、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち、現在設定されている撮影モードの情報を、カメラ制御部170から取得する。そして、画像処理装置10は、取得した撮影モードに基づいて、8ビット、12ビット、または14ビットに対する3つのデータ処理回路501〜503の中から画像処理に用いるデータ処理回路を選択し、3×3画素、5×5画素、10×10画素のフィルタサイズに対する3つのフィルタ回路601〜603の中から画像処理に用いるフィルタ回路を選択し、さらには、buff0〜buff2の3つのバッファ回路701〜703の中らから画像処理に用いるバッファ回路を選択する。さらに、画像処理装置10は、取得した撮影モードに基づいて、画像処理に用いる画像処理列801〜803や、画像処理列801〜803の中で画像処理に用いる画像処理回路401〜409を選択する。以下に、各撮影モードにおける画像処理回路40iの動作について説明する。
まず、第1に、静止画撮影モードにおける、画像処理回路40iの動作について説明する。ここで、図4は、静止画撮影モードにおいて用いられる画像処理回路40iの詳細を説明するための図である。なお、図4においては、画像処理に用いられる回路を白色で示し、画像処理に用いられない回路をグレーで示している(後述する図5〜図8においても同様)。
静止画撮影モードにおいては、サイズが大きく高画質な画像の画像処理が要求される場合があり、さらに、連写撮影時には高フレームレートでの画像処理が要求される場合がある。このように、静止画撮影モードにおいては、画像処理において画像処理負荷が高くなる場合があり、そのため、高い画像処理能力が実現されるように、画像処理回路40iを動作させることが好ましい。
そこで、静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、たとえば図4に示すように、画像処理回路40iに対して、14ビットの画像データに対応するデータ処理回路501を用いて画像処理を行わせるとともに、buff0〜buff2の3つのバッファ回路701〜703を用いて画像処理を行わせることができる。また、画像処理装置10は、画像データのフィルタ処理を行う場合には、たとえば図4に示すように、画像処理回路40iに対して、10×10画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行わせることができる。
また、静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、高い画像処理能力を実現するために、たとえば図2に示すように、全ての画像処理列801〜803に画像処理を行わせるとともに、画像処理列801〜803に含まれる全ての画像処理回路401〜409のバイパス901〜909をオフに設定することで、全ての画像処理回路401〜409において画像処理を行わせることができる。
さらに、静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、画像処理部201から画像処理部202に画像データを転送する場合には、画像処理用メモリ30を介して画像データを転送する第2データパスを用いて、画像データを画像処理部201から画像処理部202に転送することができる。具体的には、画像処理装置10は、画像処理部201に、画像処理した画像データを一時的に画像処理用メモリ30に保存させ、その後、画像処理部202に、画像処理用メモリ30から画像データを読み出させ、画像データの画像処理を行わせることができる。
このように、静止画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、サイズが大きく、高画質な画像を、高いフレームレートで処理できるように、電力消費量の抑制よりも画像処理能力を優先して、画像処理回路40iの動作を制御する。
第2に、動画撮影モードにおける、画像処理装置10の動作について説明する。ここで、図5および図6は、動画撮影モードにおいて用いられる画像処理回路40iを説明するための図である。
動画撮影モードにおいては、サイズおよび画質が中程度の画像の画像処理が要求される傾向にある。また、動画撮影のため、中程度のフレームレートでの画像処理が要求される傾向にある。すなわち、動画撮影モードにおいては、静止画撮影モードよりも高い画像処理能力は必要とされないが、後述する画像再生モードまたはライブビューモードよりも高い画像処理能力が必要とされる傾向にある。
そこで、動画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、たとえば、図6に示すように、画像処理回路40iに対して、12ビットのビット数に対応するデータ処理回路502を用いて画像処理を行わせるとともに、buff0〜buff2の3つのバッファ回路701〜703のうち2つのバッファ回路701,702を用いて画像処理を行わせることができる。さらに、画像処理装置10は、画像データについてフィルタ処理を行う場合には、たおてば、画像処理回路40iに、5×5画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路402を用いて画像処理を行わせることができる。
さらに、動画撮影モードにおいて、画像処理装置10は、たとえば図5に示すように、3つの画像処理列801〜803のうち2つの画像処理列801,802に画像処理を行わせるとともに、画像処理列801,802に含まれる一部の画像処理回路403,406のバイパス903,906をオンに設定することで、一部の画像処理回路401,402,404,405に画像処理を行わせることができる。
また、動画撮影モードにおいては、静止画撮影モードよりも画像処理の負荷は低くなるものと予想されるため、画像処理装置10は、画像処理部201から画像処理部202に画像データを転送する場合に、たとえば図5に示すように、画像処理用メモリ30を介さない第1データパスを用いて画像データを転送することができる。
このように、動画撮影モードでは、静止画像撮影モードと比べて、処理対象の画像のサイズおよび画質は低く、また、フレームレートも低いため、動画撮影モードに必要な画像処理能力を実現できる範囲内において、画像処理回路40iの動作を一部抑制することで、電力消費量の抑制を有効に図ることができる。
第3に、画像再生モードまたはライブビューモードにおける、画像処理装置10の制御について説明する。ここで、図7および図8は、画像再生モードまたはライブビューモードにおいて用いられる画像処理回路40iを説明するための図である。
画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、処理対象の画像のサイズは小さく、画質も低い傾向にあり、また、フレームレートも低い傾向にある。そのため、画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、他の撮影モードと比べて、高い画像処理能力は必要とされない傾向にある。
そこで、画像再生モードまたはライブビューモードにおいて、画像処理装置10は、たとえば図8に示すように、画像処理回路40iに、8ビットの画像データに対応するデータ処理回路503を用いて画像処理を行わせるとともに、buff0〜buff2の3つのバッファ回路701〜703うち1つのバッファ回路701を用いて画像処理を行わせることができる。さらに、画像処理装置10は、画像データに対するフィルタ処理を行う場合に、たとえば、画像処理回路40iに、3×3画素のフィルタサイズに対応するフィルタ回路603を用いて画像処理を行わせることができる。
さらに、画像処理装置10は、たとえば図8に示すように、3つの画像処理列801〜803のうち1つの画像処理列801に画像処理を行わせるとともに、画像処理列801に含まれる一部の画像処理回路402,403のバイパス902,903をオンに設定することで、画像処理回路401のみに画像処理を行わせることができる。
また、画像再生モードまたはライブビューモードにおいては、静止画撮影モードおよび動画撮影モードよりも画像処理の負担は低くなると予想されるため、画像処理装置10は、画像処理部201から画像処理部202に画像データを転送する場合に、図7に示すように、画像処理用メモリ30を介さない第1データパスを用いて画像データを転送することができる。
このように、画像再生モードまたはライブビューモードでは、静止画撮影モードおよび動画撮影モードと比べて画像処理負荷は低くなる傾向にある。そのため、静止画撮影モードおよび動画撮影モードよりも、画像処理に用いる画像処理回路40iの動作を制御することで、電力消費量を有効に低減することができる。
以上のように、第1実施形態に係る画像処理装置10では、同一の画像処理を行う複数の画像処理回路401〜409を備え、また各画像処理回路401〜409は、同一の画像処理を行う複数のデータ処理回路501〜503、フィルタ処理回路601〜603、およびバッファ回路701〜703をそれぞれ有している。そして、第1実施形態では、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードのうち現在設定されている撮影モードに基づいて、画像処理に用いる画像処理回路401〜409、または、データ処理回路501〜503、フィルタ処理回路601〜603、バッファ回路701〜703を選択することで、撮影モードに応じた回路を用いて画像処理を行うことができるとともに、画像処理に不要な回路へのクロック周波数および電力供給を抑制することで、画像処理装置1全体の省電力化を適切に図ることができる。
さらに、本実施形態に係る画像処理装置10は、複数の画像処理回路40iを含む複数の画像処理列801〜803を有しており、現在設定されている撮影モードに基づいて、画像処理に用いる画像処理列801〜803と、画像処理列801〜803に含まれる画像処理回路のうち画像処理に用いる画像処理回路401〜409とを選択する。また、本実施形態において、画像処理装置10は、現在設定されている撮影モードに基づいて、画像処理用メモリ30を介さずに画像データを画像処理部201から画像処理部202へと転送する第1データパスと、画像処理用メモリ30を介して画像データを画像処理部201から画像処理部202へと転送する第2データパスとのうち、画像処理に用いるデータパスを選択する。これにより、撮影モードにより適した回路を用いて画像処理を行うことができるとともに、画像処理に不要な回路へのクロック周波数および電力供給を抑制することで、画像処理装置10全体の省電力化をより適切に図ることができる。
《第2実施形態》
続いて、本発明の第2実施形態に係るカメラ1について説明する。第2実施形態に係るカメラ1は、図1に示すカメラ1と同様の構成を有し、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態に係るカメラ1と同様に動作する。
すなわち、第2実施形態に係る画像処理装置10は、図2に示すように、第1実施形態に係る画像処理装置10と同様の構成を備えている。一方、第1実施形態では、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、およびライブビューモードを含む撮影モードに応じて、画像処理に用いる画像処理回路40iの動作を制御する構成を例示したが、第2実施形態に係る画像処理装置10は、処理対象である画像のサイズ、画質、フレームレートの情報を取得し、取得した処理対象の画像のサイズ、画質、フレームレートに基づいて、画像処理回路40iの動作を制御する。
ここで、図9は、第2実施形態に係る画像処理回路40iの動作の制御方法を説明するための図である。たとえば、画像処理装置10は、図9に示すように、処理対象の画像のサイズに基づいて、画像処理に用いるバッファ回路701〜703と画像処理部201,202間のデータ転送方法を制御する。
具体的には、画像処理装置10は、処理対象の画像のサイズが小さいほど、画像データのデータ容量は小さくなるため、画像処理回路40iに、少ない数のバッファ回路70iを用いて画像処理を行わせ、また、画像処理部201から画像処理部202に画像データを転送する際に、画像処理用メモリ30を介さない第1データパスを用いて、画像データを転送させる。
また、画像処理装置10は、図9に示すように、処理対象の画像の画質に基づいて、画像処理に用いるデータ処理回路501〜503およびフィルタ回路601〜603の動作を制御する。たとえば、画像処理装置10は、処理対象の画像の画質が低いほど、画像データのビット数(ビット精度)は小さくなる傾向にあるため、画像処理回路40iに、小さいビット数に対応するデータ処理回路501〜503を用いて画像処理を行わせる。また、画像処理装置10は、画像データのフィルタ処理を行う場合に、処理対象の画像の画質が低いほど、画像処理回路40iに、小さいフィルタサイズ(フィルタ径)に対応するフィルタ回路60iを用いて画像処理を行わせる。
さらに、画像処理装置10は、処理対象の画像の画質に基づいて、画像処理に用いる画像処理回路40iの数を制御する。たとえば、画像処理装置10は、処理対象の画像の画質が低いほど、画像データのデータ量は小さくなる傾向にあるため、少ない数の画像処理回路40iに画像処理を行わせるようにバイパス90iのオン/オフを制御して、画像処理に用いる画像処理回路40iの数を制限する。
加えて、画像処理装置10は、処理対象の画像の画質に基づいて、画像処理回路40iのクロック周波数を制御する。たとえば、画像処理装置10は、処理対象の画像の画質が低いほど、画像データのデータ量は小さくなる傾向にあるため、画像処理回路40iのクロック周波数が低くなるように、クロック信号を発信するクロック発信回路(不図示)を制御する。
また、第2実施形態において、画像処理装置10は、図9に示すように、フレームレートに基づいて、画像処理に用いるバッファ回路701〜703および画像処理列801〜803の動作を制御する。たとえば、画像処理装置10は、フレームレートが低いほど(撮影間隔が長いほど)、画像処理に要する時間を長くすることができるため、画像処理回路40iに少ない数のバッファ回路701〜703を用いて画像処理を行わせ、あるいは、画像処理に用いる画像処理列801〜803の数を制限することができる。
さらに、画像処理装置10は、図9に示すように、フレームレートに基づいて、画像処理回路40iのクロック周波数を制御する。たとえば、画像処理装置10は、フレームレートが低いほど、画像処理に要する時間を長くすることができるため、画像処理回路40iのクロック周波数が低くなるように、クロック信号を発信するクロック回路(不図示)を制御することができる。
以上のように、第2実施形態では、処理対象の画像のサイズ、画質、およびフレームレートに基づいて、画像処理回路40iの動作を制御することで、処理対象の画像のサイズ、画質、およびフレームレートに適した画像処理を適切に実行することができるとともに、電力消費量の抑制を有効に図ることができる。
なお、第2実施形態においては、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、ライブビューモードごとに、処理対象の画像のサイズ、画質、およびフレームレートに基づく画像処理回路40iの抑制度合いを変えることができる。たとえば、処理対象の画像のサイズ、画質、およびフレームレートが同じ場合でも、ライブビューモードでは、静止画撮影モードと比べて、画像処理回路40iの動作を抑制する構成とすることができる。また、静止画撮影モード、動画撮影モード、画像再生モード、ライブビューモードなどの撮影モードに基づいて、処理対象の画像のサイズ、画質、およびフレームレートが決定される場合には、撮影モードに基づいて、第2実施形態に係る画像処理回路40iの制御を行うこともできる。
なお、上述した実施形態に加えて、他の画像処理機能を実行するか否かに基づいて、画像処理回路の動作を制御する構成とすることができる。たとえば、画像処理装置10は、画像データの歪み補正機能を行う場合には、歪み補正機能に用いる画像処理回路40に対して、所定のクロック周波数および電力を供給することで、歪み補正機能に用いる画像処理回路40を動作させ、反対に、画像データの歪み補正機能を行わない場合には、歪み補正機能に用いる全ての画像処理回路40に対して、所定のクロック周波数および電力供給を停止または低減することで、歪み補正機能に用いる画像処理回路40の動作を抑制することができる。
また、上述した第1実施形態において、静止画撮影モードが設定されている場合に、さらに連写撮影モードであるか単写撮影モードであるかを判断し、連写撮影モードと単写撮影モードとで画像処理回路40の動作を異ならせる構成としてもよい。たとえば、連写撮影モードにおいては、全ての画像処理回路40へのクロック周波数および電力の供給を行うことで、全ての画像処理回路40を用いて画像処理を行い、一方、単写撮影モードにおいては、一部の画像処理回路40へのクロック周波数および電力の供給を停止または低減することで、一部の画像処理回路の動作を抑制し、電力消費量を抑制する構成とすることができる。
また、上述した実施形態では、画像処理回路40iが、データ処理回路501〜503、フィルタ回路601〜603、バッファ回路701〜703を3つずつ備える構成を例示したが、回路の数は特に限定されず、たとえば、1または2つの回路を備える構成としてもよいし、あるいは、4つ以上の回路を備える構成としてもよい。同様に、上述した実施形態では、画像処理列80iが3つの画像処理回路40iを有し、画像処理部20が3つの画像処理列801〜803を有する構成を例示したが、画像処理列80iが1、2または4以上の画像処理回路40iを有し、また、画像処理部20iが1、2または4以上の画像処理列80iを有する構成としてもよい。さらに、上述した実施形態では、9つの画像処理回路401〜409を例示して説明したが、これらの数も特に限定されず、たとえば、1〜8の画像処理回路を備える構成としてもよいし、あるいは、10以上の画像処理回路を備える構成としてもよい。
なお、本実施形態に係るカメラ1は、特に限定されず、例えば、一眼ミラーレスデジタルカメラ、デジタルコンパクトカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本実施形態の画像処理装置を適用してもよい。