JP2021019255A - 撮像装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被写体がフレームアウトした場合でも、撮影者が即座に被写体を捉え直しつつ、所望の画角での撮影を可能にする技術を提供する。【解決手段】ズーム機能を有する撮像装置は、撮像部と、ズーム機能の開始及び終了を指示する指示部と、ズーム位置を記憶する記憶部と、光学ズームの位置の変化に基づいて光学ズームのズームイン速度を検出する検出部と、ズーム機能の開始が指示された場合、記憶部に現在のズーム位置である第1のズーム位置を記憶し、ズーム位置が第1のズーム位置よりも広角側の第2のズーム位置に変更されたことを検出した後にズーム機能の終了が指示された場合、第1のズーム位置へズーム位置が変更されたことの検出に応じて撮像部による自動撮影を実行する制御部と、を備え、制御部は、第1のズーム位置への光学ズームのズームイン速度に基づいて自動撮影の実行を制限する。【選択図】 図1
Description
本発明は、撮像装置およびその制御方法に関する。
デジタルカメラ等の撮像装置には、ズームレンズの駆動による光学的な変倍(光学ズーム)機能と、撮像した領域の一部を拡大する電子的な変倍(電子ズーム)機能を備えたものがある。近年、ズームレンズの性能向上により超広角から超望遠まで同一のレンズで撮影することが可能になっている。また、撮像素子の高画素化によって、電子ズームによる拡大倍率を高くしても十分な解像感の得られる撮影が可能になってきている。
一方、撮影したい画角へと高速に移動させる機能として、いわゆるプリセットズーム機能及びシャトルショットズーム機能が知られている。プリセットズーム機能とは、撮影者がスイッチを操作することで、ズーム位置を任意の位置からメモリに予め記憶させておいたプリセットズーム位置へ移動させる機能である。また、シャトルショットズーム機能とは、プリセットズーム機能の拡張機能であり、プリセットズーム機能に加えて元のズーム位置への復帰機能をもつ。つまり、撮影者がスイッチを操作すると、その時点のズーム位置を復帰ズーム位置としてメモリに記憶し、ズーム位置を任意のズーム位置からメモリに記憶させたプリセットズーム位置へ移動させる。そして、プリセットズーム動作が終了すると、ズーム位置をメモリに記憶されている復帰ズーム位置へ移動させることで、ズーム位置を元に戻す。
特許文献1には、プリセットズーム機能及びシャトルセットズーム機能に係る制御装置が開示されている。この装置では、光学ズーム領域および電子ズーム領域のうち一方のズーム領域にある第1のズーム状態から、他方のズーム領域にあって記憶部に記憶された第2のズーム状態へのメモリズーム動作を行わせることができる。また特許文献2には、フレーミングアシストズーム機能の終了が指示された場合に、記憶したズーム位置へズームインするとともに、撮像部にズームイン後の自動撮影を行わせる撮像装置が開示されている。
超高倍率のズーム機能を備える交換レンズでは、超望遠状態での画角合わせの際、被写体の僅かな移動でフレームアウトが起こり得る。またカメラを構えた撮影者が行うわずかなパンニング操作によっても画角の範囲が大きく変化してしまう。このように超望遠状態では、動体である被写体を所望の画角にフレーミングすることが困難であるという課題があった。
特許文献1に開示されたプリセットズーム機能やシャトルセットズーム機能では、撮影者が撮影したいズーム位置に一度移動させる操作を行ってからズーム位置をメモリに記憶させる必要がある。そのため、フレームアウトした移動中の被写体を追いかけて撮影する場合や、被写体像の大きさが変わってしまった場合において、ズーム位置の記憶内容を更新するのに時間がかかってしまい、撮影者がシャッタチャンスを逃す可能性がある。
特許文献2に開示された技術では、フレーミングアシストズーム機能の終了指示に応じてズームイン動作が行われるが、手動操作によってズーム駆動を行う場合についての検討はなされていない。例えば、手動によるズーム操作が必要な交換レンズが装着された撮像装置では、ズームリングの手動操作により記憶したズーム位置にズームインさせることで自動的に撮影を行う構成が考えられる。しかしながら、ユーザによるズームリングの操作速度が速すぎると、シャッタースピードによっては自動撮影する際にズームブレが生じ、撮影結果に影響を及ぼす可能性がある。
本発明によれば、被写体がフレームアウトした場合でも、撮影者が即座に被写体を捉え直しつつ、所望の画角での撮影を可能にする技術が提供される。
上記目的を達成するための本発明の一態様による撮像装置は以下の構成を備える。すなわち、
ズーム機能を有する撮像装置であって、
撮像手段と、
前記ズーム機能の開始及び終了を指示する指示手段と、
ズーム位置を記憶する記憶手段と、
光学ズームの位置の変化に基づいて前記光学ズームのズームイン速度を検出する検出手段と、
前記ズーム機能の開始が指示された場合、前記記憶手段に現在のズーム位置である第1のズーム位置を記憶し、前記ズーム位置が前記第1のズーム位置よりも広角側の第2のズーム位置に変更されたことを検出した後に前記ズーム機能の終了が指示された場合、前記第1のズーム位置へ前記ズーム位置が変更されたことの検出に応じて前記撮像手段による自動撮影を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1のズーム位置への前記光学ズームのズームイン速度に基づいて前記自動撮影の実行を制限する。
ズーム機能を有する撮像装置であって、
撮像手段と、
前記ズーム機能の開始及び終了を指示する指示手段と、
ズーム位置を記憶する記憶手段と、
光学ズームの位置の変化に基づいて前記光学ズームのズームイン速度を検出する検出手段と、
前記ズーム機能の開始が指示された場合、前記記憶手段に現在のズーム位置である第1のズーム位置を記憶し、前記ズーム位置が前記第1のズーム位置よりも広角側の第2のズーム位置に変更されたことを検出した後に前記ズーム機能の終了が指示された場合、前記第1のズーム位置へ前記ズーム位置が変更されたことの検出に応じて前記撮像手段による自動撮影を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1のズーム位置への前記光学ズームのズームイン速度に基づいて前記自動撮影の実行を制限する。
本発明によれば、被写体がフレームアウトした場合でも、撮影者が即座に被写体を捉え直しつつ、所望の画角で撮影することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
なお、以下の実施形態によって実現される機能は、撮影者によるフレーミングを支援するズーム機能であり、便宜上、フレーミングアシストズーム機能(以下、FAズーム機能と略記する)と呼ぶこととする。
図1は、実施形態に係る撮像装置の一例としての、デジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。レンズ鏡筒101は、その内部にレンズ群(例えば、ズームレンズ102、フォーカスレンズ103、防振レンズ104)を有する。レンズ鏡筒101は交換レンズであってもよいし、レンズ一体型カメラのレンズ鏡筒であってもよいが、ズームリングなど、手動でズームレンズ102の位置を変更することができる操作部材を備え、手動ズームが実行できると特に効果を奏することができる。ズームレンズ102は焦点距離を調節することで光学的に画角を変更する。フォーカスレンズ103はピントを調節する。防振レンズ104は手振れに起因する像振れを補正する補正用レンズである。絞り105は光量を調節する。絞り105は露出制御に使用される。レンズ鏡筒101とシャッタ131を通過した光は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)等を備えた撮像素子106にて受光され、光信号から電気信号へと変換される。撮像素子106は、この電気信号をデジタル信号に変換して画像処理回路107に供給する。画像処理回路107は、撮像素子106からのデジタル信号に対して画素補間処理や色変換処理等を施した後、画像データとして画像メモリ108に記憶させる。画像メモリ108はDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等で構成される。
表示部109は、TFT型LCD(薄膜トランジスタ駆動型液晶表示器)等で構成される。表示部109は、システム制御部114の制御下で、撮影した画像データを用いたライブビュー表示と、特定の情報(例えば、撮影情報や後述するFAズーム枠等)の表示(情報表示)を行う。このようなライブビューおよび情報表示により、撮影者が画角合わせを行うための電子ビューファインダ(EVF)機能が実現される。
絞り/シャッタ駆動部110は、画像処理回路107での画像処理によって得られた輝度情報に基づいて露出制御値(絞り値)を演算し、この演算結果に基づき絞り105およびシャッタ131を駆動する。これによって、AE(自動露出)制御が行われる。防振レンズ駆動部111は、ジャイロセンサ等の角速度センサの情報から防振制御部120によってデジタルカメラ100に加わる振れ量を演算し、振れを打ち消すように防振レンズ104を駆動する。
フォーカスレンズ駆動部112は、例えば、コントラストAF(オートフォーカス)方式でフォーカスレンズ103を駆動し、焦点を合わせる。コントラストAFにおいて、フォーカスレンズ駆動部112は、画像処理回路107の画像処理によって得られた撮影光学系の焦点調節情報(コントラスト評価値)に基づき、被写体にピントが合うようにフォーカスレンズ103を駆動する。なお、焦点調節制御はいかなる方式が用いられてもよく、例えば、位相差AF方式、複数のAF方式を組み合わせた方式などが採用可能である。ズームレンズ位置検出部113は、ズームレンズ102の焦点距離を検出する。ズームレンズ位置検出部113は、ユーザによるズーム手動操作に従って変化するズームレンズ102の焦点距離を検出することができる。
撮影動作によって生成された画像データは、インターフェース(I/F)部115を介して記録部116に送られて記録される。画像データは、カメラに装着して使用するメモリーカード等の外部記録媒体や、デジタルカメラ100に内蔵されている不揮発性のメモリ118、あるいは両方に記録される。
操作部117は、通常の撮影開始の指示や後述するFAズーム機能によるズームイン後の自動撮影の指示を行うレリーズスイッチ、FAズーム機能の開始や終了を指示するFAズーム操作スイッチ等を含む。操作部117で生成される操作信号は、システム制御部114に送られる。メモリ118は、プログラムデータや画像データの他に、デジタルカメラ100の設定情報や、後述するFAズーム機能におけるズーム戻り位置等の情報を記憶する。なおズーム戻り位置とは、FAズーム機能の終了時に、FAズーム機能の開始時のズーム位置へズーム位置を復帰させるための戻り位置であり、その詳細については後述する。尚、本実施形態では、光学ズーム位置はユーザが操作する。ユーザ操作では、ズーム位置を厳密にFAズーム機能開始時のズーム位置へ変更することは難しい。よって、本実施形態において、ズーム位置を復帰させるとは、ズーム位置が元のズーム位置で停止することだけでなく、ズーム位置を通過することも含む。また、ズーム位置が元のズーム位置を通過する場合であっても、一時的にはズーム位置が元のズーム位置をとるため、ズーム位置を元のズーム位置へ変更するとは、元のズーム位置を通過することを含む。
システム制御部114はCPU(中央演算処理装置)等の演算装置を用いて構成され、デジタルカメラの各種制御を行う。システム制御部114は、メモリ118に記憶されている各種の制御プログラムを実行することで、例えば撮像素子106の制御、AE/AF制御、防振制御、ズーム制御(FAズーム処理を含む)等を制御する。以下では、システム制御部114が行う制御のうち、主としてFAズーム機能に関連する制御について説明する。なお、図1には、システム制御部114が実行するFAズーム機能のための機能部として、CZ制御部119、防振制御部120、電子ズーム制御部121、FAズーム枠制御部122、FAズーム制御部123の機能ブロックが示されている。なお、これら機能ブロックはCPUがプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウエアで実現されてもよい。或いは、機能ブロックがCPUと専用のハードウエアの協働により実現されてもよい。
光学ズームによる画角変更時に合焦状態を維持するためには、レンズ鏡筒101がリアフォーカスタイプの鏡筒の場合、ズームレンズ102のズーム位置に応じてフォーカスレンズ103を適正なフォーカス位置へ移動させる必要がある。このような制御をコンピュータズーム(CZ)制御という。図2は、ズームレンズの焦点距離と、ピントが合うフォーカス位置との関係を、被写体までの距離ごとに示すデータデーブルをグラフ化した図である。このデータテーブルはフォーカスカムテーブルと称されるもので、横軸はズーム位置に対応する焦点距離を示し、縦軸はフォーカス位置を示し、各グラフ線の横にはカメラから被写体までの距離(被写体距離)を示している。システム制御部114は、AF動作時にフォーカスレンズ駆動部112を制御してフォーカスレンズ103を所定の範囲で移動させることでスキャン動作を行う。この動作中に得られるコントラスト評価値等を用いて既知の方法により、合焦点であるフォーカス位置が検出される。その時のズーム位置とフォーカス位置から、フォーカスカムテーブルを参照することで被写体距離が計測可能である。
デジタルカメラ100は光学ズーム機能と電子ズーム機能を有する。CZ制御部119とズームレンズ位置検出部113は光学ズーム駆動を担当する。CZ制御部119は、ズーム動作時において所定の制御周期ごとにズームレンズ102のズーム位置を検出し、そのズーム位置に応じたAF動作により計測した被写体距離でのフォーカスカムテーブルに追従するようにフォーカスレンズ103を駆動させる。これによって、合焦状態を維持したまま光学ズーム動作を行うことが可能となる。
一方、電子ズーム制御部121と画像メモリ108は電子ズーム駆動を担当する。電子ズーム制御部121は、画像メモリ108に転送された画像データから対象領域を切り出すことによって電子ズーム機能を実現する。また、撮像素子106に取り込む映像のフレームレートに合わせて切り出す範囲を徐々に大きくしていくことにより、表示部109において滑らかな電子ズーム表示が実現される。
防振制御部120では、角速度センサ等の角速度信号を振れ量である角度信号に変換し、防振レンズ駆動部111に対して防振レンズ104の駆動指令を出す。図3は、防振制御に関する回路構成を示すブロック図である。図3において、振れ検出部300は角速度センサ等を備える。増幅器301は、振れ検出部300からの振れ信号(振れ出力)を増幅する、A/D変換部302は、増幅器301により増幅された振れ信号をデジタル信号に変換する。
デジタルハイパスフィルタ(デジタルHPF)303は、DC成分をカットするためのフィルタであり、そのカットオフ周波数は変更可能である。デジタルローパスフィルタ(デジタルLPF)304は、振れ信号である角速度信号を角度信号に変換する。補正量算出部305は、デジタルLPF304からの振れ信号に基づいて防振レンズ104の振れ補正量を算出する。防振制御部120を構成するデジタルHPF303、デジタルLPF304、振れ補正量算出部305は、主にCPU内での演算によって行われる。
デジタルHPF303のカットオフ周波数は、振れ検出部300で検出した振れ量に応じて変更される。例えば、撮影者がカメラを大きく振るパンニング操作やズームレンズ102のズーム操作の振動などによって生じる、比較的周波数が低い大きな振れを検出した場合、デジタルHPF303のカットオフ周波数を高くする。これにより、防振制御部120の応答が抑制され、できるだけ中央付近で防振レンズ104を駆動するような制御が実現される。これにより、大きな振れに応答して防振レンズ104が可動範囲外まで駆動し、電子ビューファインダ(EVF)の表示画像が大きく揺れてしまうのを防止することができる。振れ量が小さくなると、カットオフ周波数を徐々に元の低い周波数に戻す。但し、カットオフ周波数を上げることで可動範囲外へ駆動しようとすることを防止できるが、その間は防振性能が落ちてしまうという問題がある。
次にFAズーム機能の概要と、FAズーム枠制御部122及びFAズーム制御部123について説明する。従来、撮影者が望遠状態でフレーミングしてシャッタチャンスを待っている間に被写体が動いてフレームアウトした場合等では、撮影者は、
・ズーム操作部材の操作によりズームアウトを行って被写体を探索し、再び所望の画角になるまでズーム操作を行って画角調整し、
・レリーズスイッチの操作により撮影を指示する、
という操作が必要であった。
・ズーム操作部材の操作によりズームアウトを行って被写体を探索し、再び所望の画角になるまでズーム操作を行って画角調整し、
・レリーズスイッチの操作により撮影を指示する、
という操作が必要であった。
これに対して、本実施形態のFAズーム機能を搭載したデジタルカメラ100では、撮影前に画角合わせ等を行う状態(以下、撮影準備状態という)で被写体を見失ってしまった場合、撮影者はFAズーム操作スイッチを操作してズーム環を操作してズームアウトすればよい。このFAズーム操作スイッチは、FAズーム機能のために割り当てられたスイッチであり、FAズーム機能の開始をカメラに指示する。FAズーム制御部123は、FAズーム操作スイッチから開始指示が出されたときの電子ズーム及び光学ズームの各ズーム位置をメモリ118に記憶する。さらにFAズーム制御部123は、後述する図5A〜図5Cの処理手順に従って、ユーザのズーム操作によって撮影準備状態よりも画角がズームアウトされた状態(以下、被写体探索状態という)にする。
図4(A)及び図4(B)はズームアウト状態(第2の位置)での画角を示し、図4(C)及び図4(D)はズームイン状態(第1の位置)での画角を示す。FAズーム枠制御部122は、図4(A)及び図4(B)で示すように、記憶した撮影準備状態での画角を示す大きさを算出し、表示部109のEVFの中心部に枠、つまりFAズーム枠400を表示させる。FAズーム枠400の大きさは、ズームアウトした時点でのズーム倍率を元に計算される。例えば、電子ズーム倍率が2倍、光学ズーム倍率が3倍の撮影準備状態からズームアウトして、電子ズーム倍率と光学ズーム倍率が1倍の被写体探索状態となったとする。この場合、被写体探索状態でEVFに表示される画角に対して、(1/2)×(1/3)=1/6倍の大きさのFAズーム枠400が表示される。
FAズーム操作スイッチの押下中はFAズーム枠400の表示状態が保持される。撮影者は被写体探索状態で所望の被写体を発見した場合(図4(A))、FAズーム枠400を目安としてFAズーム枠400内に被写体が収まるようにフレーミングを行う(図4(B))。その後、撮影者がFAズーム操作スイッチを開放してFAズーム終了をデジタルカメラ100に指示すると、FAズーム制御部123は、記憶しておいた撮影準備状態のズーム位置(第1の位置)にくるまでユーザのズーム操作を待ち受ける。こうして図4(C)で示すような最適なフレーミング状態が得られる。また、ズームアウト状態である被写体探索状態でレリーズスイッチ操作を行うと、ズームイン動作後に即座に撮影(ズームイン後自動撮影)を行うことを指示することができる。ズームイン後にカメラが自動的に撮影を行うことで、レリーズスイッチ操作によるタイムラグによって図4(D)のように被写体が再度フレームアウトしてしまうことを防ぐ。
ユーザによるズーム操作でズーム位置を変更する場合、一度でズーム位置を元のズーム位置に停止させることは難しい。そこで、ズームイン後自動撮影では、撮影準備状態におけるズーム位置を記憶しておき、ユーザによる操作でズーム位置が元のズーム位置に戻ったタイミングで自動撮影を行う。これにより、ズーム位置が元のズーム位置を通過した場合であっても、撮影準備状態の際に調整した画角と同じ画角で撮影を行うことができる。尚、FAズーム操作スイッチの押下中はユーザがFAズーム機能の継続を意図していると推測することができる。よって、FAズーム操作スイッチを押下したままの状態で元のズーム位置に戻った場合は自動撮影をしないような形態としてもよい。
ここでFAズーム機能の終了後の、ズームイン後自動撮影におけるAF動作について説明する。FAズーム機能を有効に使用できる状況においては、撮影したい被写体はカメラから離れた無限遠に近い距離にいることが想定される。そこで、ズームイン後の自動撮影でのAF動作としては、スキャン動作を無限遠付近の狭い移動範囲のみで行うか、もしくは、スキャン動作を行わず無限遠の位置にフォーカスレンズ103を移動させることで、撮影タイムラグを短縮することができる。スキャン範囲の決定方法としては、例えば、被写体までの距離をある距離以上であると仮定し、図2で示すフォーカスカムテーブルと被写体深度(同一のフォーカスレンズ位置でピントが許容できる範囲)から最小限のスキャン範囲(移動範囲)を求める方法などが考えられる。
次に、ズームイン後自動撮影における防振動作について説明する。FAズーム機能によるズームイン動作時にズームモータなどの振動やズームイン操作時の手振れによって所定量以上の振れを振れ検出部300が検出すると、防振制御部120のデジタルHPF303はカットオフ周波数を高くするように制御される。ズームイン後自動撮影を行う場合、カットオフ周波数が高い状態で撮影を行うと最適な防振性能を得ることができない恐れがある。特に超望遠にズームインして撮影を行う場合には手振れの影響が大きくなり、防振性能が劣化した状態で撮影を行うと、手振れによる失敗画像を撮影してしまう可能性が高い。そこで、システム制御部114は、ズームイン後自動撮影の指示を出す際、振れ検出部300から手振れ量を取得し、振れ量を判定する。振れ量が所定値以下であった場合には、撮像素子106及び絞り/シャッタ駆動部110を制御し、撮影を行う。これらの処理によって、撮影者は簡単な操作で、フレームアウトした被写体を再度フレームインさせながら所望の画角で撮影することができる。
次に図5A〜5Cを用いて、FAズーム機能の処理例について説明する。図5A〜5Cにより示される処理は、システム制御部114が、図1に示した各機能部として機能することにより実現される。
ステップS500でFAズーム制御部123は、撮影準備状態で操作部117のFAズーム操作スイッチが押下されたか否か(FAズーム開始操作がなされたか否か)を判定する。FAズーム操作スイッチの押下が検出されると(ステップS500でYES)、ステップS501以降のFAズーム処理が開始される。
ステップS501でFAズーム制御部123は、撮影準備状態での光学ズーム位置をCZ制御部119から取得し、撮影準備状態での電子ズーム位置を電子ズーム制御部121から取得し、メモリ118に記憶する。なお、光学ズーム位置は、光学ズーム機能によって変更可能なズーム倍率に相当するズームレンズの位置を表し、電子ズーム位置は電子ズーム機能によって変更可能な画像拡大及び縮小の倍率に相当する制御位置を表す。ステップS501でメモリ118に記憶された光学ズーム位置と電子ズーム位置は、被写体探索状態から撮影準備状態へズーム位置を戻すための、ズームの戻り位置として用いられる。
ステップS502で、FAズーム制御部123は、メモリ118に記憶しているユーザが操作可能なズームアウト駆動量と、ズームイン速度に関する閾値(以下、ズームイン速度閾値)を取得する。ズームアウト駆動量は、ズーム位置に応じて決定される駆動量であり、例えば、現在のズーム位置の1/8倍のズーム位置のように設定される。ズームアウト駆動量の詳細は図6を参照して後述する。また、ズームイン速度閾値はステップS501で記憶されたズーム位置に応じて設定される。例えば、メモリ118に記憶したズーム位置(ズームの戻り位置)がテレ側であるほど、ズームイン速度閾値は小さく設定される。ズーム位置がテレ側であるほど、ズームスピードによる影響を受けやすい(被写界深度が浅くなりズームブレが生じやすい)からである。
ステップS503でFAズーム制御部123は、撮影準備状態でのズーム状態が電子ズーム状態であるか否かを判定する。一般的なズーム操作では、操作部117のズーム操作スイッチが押下されると、光学ズーム位置がワイド端からテレ端の間である場合には、CZ制御部119の制御下で光学ズームを駆動させる。光学ズーム位置がテレ端であって、さらにテレ方向への操作指示がなされた場合には電子ズーム制御部121が電子ズームを駆動させることで超望遠撮影が可能となる。また、手動でズーム操作を行う場合も、光学ズームを優先して用いることが多い。このようなズーム操作部材の操作によるズーム動作とFAズーム動作との整合性を取るために、FAズーム動作においても、撮影準備状態でのズーム状態が電子ズーム状態の場合には電子ズームを先に駆動させる。つまり、ステップS501でメモリ118に記憶したズーム位置から、まず電子ズーム状態か否かが判定される。
FAズーム開始時のズーム状態が電子ズーム状態であった場合(ステップS503でYES)、システム制御部114は、ステップS504に処理を進める。ステップS504において、FAズーム制御部123はステップS501で取得した電子ズーム位置とステップS502で取得したズームアウト駆動量から電子ズームのズームアウト位置を決定し、電子ズーム制御部121に設定する。ステップS505で、FAズーム制御部123は、電子ズーム制御部121に対して、ステップS504で設定した電子ズームのズームアウト位置までワイド方向に変倍処理を行うように指示する。電子ズーム制御部121は電子ズームによるズームアウト動作を行う。
ステップS503にて撮影準備状態でのズーム位置が電子ズーム領域にあると判定された場合、または、ステップS505にて電子ズームのズームアウト動作が終了した場合、システム制御部114は処理をステップS506に進める。ステップS506でFAズーム制御部123は、さらに光学ズームによるズームアウトが必要であるか否かを判断する。つまり、電子ズームだけでは、ステップS502で取得されたズームアウト駆動量のズーム駆動に充分でない場合、残りのズームアウト駆動量を光学ズームで補う必要がある(駆動残量の算出については、図6の参照により後述する)。もちろん、撮影準備状態でのズーム状態が光学ズームのみによるものであった場合(ステップS503でNO)も、ズームアウト駆動量を光学ズームによるズームアウトで実現する必要がある。光学ズームによるズームアウトが必要と判断された場合(ステップS506でYES)、システム制御部114は処理をステップS507に進める。他方、光学ズームによるズームアウトが不要と判断された場合(ステップS506でNO)、システム制御部114は処理をステップS509に進める。
ステップS507で、FAズーム制御部123は、ステップS501で取得した光学ズーム位置とステップS502で取得したズームアウト駆動量とから、光学ズームのズームアウト位置を決定し、CZ制御部119に設定する。ステップS508で、CZ制御部119はズームレンズ位置検出部113を制御し、ズームレンズがステップS507で設定された光学ズームのズームアウト位置にくるまでユーザのズームアウト操作を待ち受ける。ズームレンズの位置が光学ズームのズームアウト位置に来たことが検出されると、すなわち、ズーム位置がFAズーム機能により設定されたズームアウト位置に変更されたことが検出されると、処理はステップS509に進む。ステップS509で、FAズーム制御部123は、ズームアウト倍率に応じたFAズーム枠400の表示をFAズーム枠制御部122に指示する。こうして、デジタルカメラ100の状態は、撮影準備状態から被写体探索状態へ遷移する。
なお、FAズーム枠制御部122は、FAズーム機能の開始が指示され、FAズーム位置がズームアウト位置に来たことが検出されないまま操作部117のFAズーム操作スイッチが開放されると(FAズーム終了操作)、本処理を終了する。すなわち、ステップS508の待ち受けの間にFAズーム機能の終了が指示されると、メモリ118に記憶されたズームの戻り位置にズーム位置が変更されても自動撮影は実行されない。
ステップS510乃至S513ではズームイン後自動撮影の指示とその解除の手順を示している。本例では、ズームイン後自動撮影の指示/解除の動作を被写体探索状態における操作部117のレリーズスイッチ操作によって行う。つまり、レリーズスイッチは、FAズーム機能の終了が指示される前にズームイン後自動撮影を実行する指示/解除を行う撮影指示部および撮影指示解除部として機能する。また、FAズーム制御部123は、ズームイン後自動撮影の指示をする場合にはメモリ118に確保したズームイン後自動撮影フラグをオンとし、ズームイン後自動撮影の指示を解除する場合には当該フラグをオフとする。システム制御部114は、このズームイン後自動撮影フラグをズームイン後に判定することで自動撮影のオン/オフを切り替える。
ステップS510では、被写体探索状態で操作部117のレリーズスイッチの操作が行われたか否かを判定する。レリーズ操作が行われた場合(ステップS510でYES)、FAズーム制御部123は処理をステップS511に進める。ステップS511において、FAズーム制御部123は、ズームイン後自動撮影フラグがすでにオンされているか否かを判定する。ズームイン後自動撮影フラグがオフの場合(ステップS511でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS512に進め、ズームイン後自動撮影フラグをオンにする。他方、ズームイン後自動撮影フラグがオンになっている場合(ステップS511でYES)、FAズーム制御部123は、処理をステップS513に進め、ズームイン後自動撮影フラグをオフして自動撮影の指示を解除する。
ステップS514でFAズーム制御部123は、被写体探索状態で操作部117のFAズーム操作スイッチが開放され、オフ状態になったか否かを判定する。FAズーム制御部123は、FAズーム操作スイッチがオフ状態になったことを検出すると(ステップS514でYES)、処理をステップS515へ進め、以降のFAズーム終了動作を開始する。FAズーム操作スイッチがオフ状態になっていない場合(ステップS514でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS510に戻す。なお、ステップS514において、FAズーム操作スイッチがオフ状態になったことをFAズームの終了操作としているがこれに限られるものではない。例えば、光学ズームの位置に基づいてFAズーム機能の終了を指示できるようにしてもよい。より具体的には、光学ズーム位置がステップS507で設定されたズームアウト位置(あるいは、ズームアウト位置よりも所定量ズームイン側の位置)よりもズームイン側に移動したことをFAズームの終了操作の判断に用いることができる。
FAズーム終了動作が開始されると、まず、ステップS515でFAズーム制御部123は、ステップS501で記憶したズーム戻り位置のデータをメモリ118から読み込む。ステップS516でFAズーム制御部123は、撮影準備状態でのズーム状態が光学ズーム状態であるか否かを判定する。撮影準備状態が光学ズーム状態である場合(S516でYES)、FAズーム制御部123は、光学ズームを優先してズームインを行うために処理をステップS517に進める。他方、撮影準備状態において光学ズーム状態ではない場合(S516でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS522に進める。
ステップS517で、FAズーム制御部123は、ステップS515で読み込んだズーム戻り位置のうち、光学ズームによるズームイン位置をCZ制御部119に設定する。ステップS518で、CZ制御部119は、ステップS517で設定された光学ズームによるズームイン位置までズームレンズ102が移動しているかをズームレンズ位置検出部113の位置検出結果に基づいて判定する。ズームレンズ102の光学ズーム位置が、ステップS517で設定されたズームイン位置に来ていると判定された場合(ステップS518でYES)、FAズーム制御部123は、処理をステップS519に進める。他方、ズームレンズ102の光学ズーム位置が、ステップS517で設定されたズームイン位置(戻りの光学ズーム位置)に到達していない判定された場合(ステップS518でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS517に戻す。
ステップS519ではCZ制御部119が、光学ズームの位置の変化に基づいて光学ズームのズームイン速度を検出する。すなわち、CZ制御部119は、ズームレンズ位置検出部113からのズーム位置を周期的に取得することでユーザ(またはズームモータ)による光学ズームのズームイン速度を計測し、FAズーム制御部123に通知する。ステップS520でFAズーム制御部123は、ズームイン速度がステップS502で取得したズームイン速度閾値以下であるか否かを判定する。ズームイン速度には、たとえば、光学ズーム位置が戻りの光学ズーム位置に到達した時点またはその近傍のタイミングで計測された速度が用いられる。ズームイン後自動撮影(ズーム位置が復帰したことに応じた自動撮影)におけるズームブレの影響を推定するためである。近傍のタイミングとする場合は、例えば、所定の閾値を設定しておき、戻りの光学ズーム位置から当該閾値の範囲内に到達してから初めに検出されたズームイン速度でもよいし、当該閾値の範囲内に到達してから戻り光学ズーム位置に到達するまでに検出された複数のズームイン速度の平均でもよい。
ズームイン速度がズームイン速度閾値以下である場合(ステップS520でYES)、FAズーム制御部123は処理をステップS522へ進める。ズームイン速度がズームイン速度閾値を超える場合(ステップS520でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS521へ進める。ズームイン速度がズームイン速度閾値を超える場合はズームイン速度が撮影結果の画質に悪影響を及ぼす可能性が大であることからズームイン後自動撮影を無効化するべきである。そのため、ステップS521でFAズーム制御部123はズームイン後自動撮影フラグをオフし、画質の悪い撮影結果を残さないように制御する。こうして、FAズーム制御部123は、光学ズームの復帰におけるズームイン速度に基づいて自動撮影の実行を制限する。その後、処理はステップS522へ進む。
ステップS522でFAズーム制御部123は、電子ズームによるズームインが必要か否か(メモリ118に記憶されたズーム戻り位置が電子ズーム状態か否か)を判断する。電子ズームによるズームインが必要な場合(ステップS522でYES)、FAズーム制御部123は処理をステップS523に進める。他方、電子ズームによるズームインが不要な場合(ステップS522でNO)、FAズーム制御部123は、デジタルカメラ100を撮影準備状態に遷移して処理をステップS525へ進める。ステップS523でFAズーム制御部123は、ステップS515で読み込んだズーム戻り位置のうち、電子ズームによるズームイン位置を電子ズーム制御部121に設定する。ステップS524でFAズーム制御部123は、電子ズーム制御部121に対して、ステップS523で設定した電子ズームによるズームイン位置までテレ方向の変倍処理を行うように指示する。電子ズーム制御部121が設定されたズームイン位置まで電子ズームイン動作を行うことによりズーム状態が撮影準備状態におけるズーム戻り位置へ復帰しその位置で停止する。FAズーム制御部123は、デジタルカメラ100を撮影準備状態へ遷移させ、処理をステップS525へ進める。
ステップS525では、FAズーム制御部123は、メモリ118からズームイン後自動撮影フラグを読み込み、自動撮影を行うか否かを判定する。ズームイン後自動撮影フラグがオンの場合(ステップS525でYES)、FAズーム制御部123は、処理をステップS526に進める。他方、ズームイン後自動撮影フラグがオフの場合(ステップS525でNO)、FAズーム制御部123は、FAズーム機能の処理を終了する。ステップS526でFAズーム制御部123は、前述の算出方法によって算出したスキャン範囲でフォーカスレンズ駆動部112を駆動し、タイムラグを短縮させたAF動作(ズームイン後自動撮影用のAF)を行う。
ステップS527では、FAズーム制御部123は、自動撮影時に最適な防振性能を得るために振れ検出部300から振れ量を取得し、これが所定値以下であるかを判定する。振れ量が所定値以下の場合(ステップS527でEYS)、FAズーム制御部123は、処理をステップS529に進める。振れ量が所定値を超える場合(ステップS527でNO)、FAズーム制御部123は、処理をステップS528に進める。ステップS528において、FAズーム制御部123は、計時を開始し、タイムアウト時間が経過したか否かを判定する。タイムアウト時間が経過するまでの間(ステップS528でNOの間)、FAズーム制御部123は、ステップS527とS528を繰り返す。タイムアウト時間が経過しても振れ量が所定値以下に収束しない場合(ステップS527でNO、ステップS528でYES)、FAズーム制御部123は、撮影処理を行わずにFAズーム機能を終了する。すなわち、ズーム位置が復帰した後の所定時間内に振れ検出部300によって検出された振れ量が所定値以下にならない場合は、ズームイン速度に関わらずズームイン後自動撮影が制限される。ステップS527で振れ量が所定値以下と判定された場合、ステップS529では、システム制御部114が撮像素子106及び絞り/シャッタ駆動部110を制御して撮影処理を行ってFAズーム機能の処理を終了する。こうして、FAズーム制御部123は、ズーム位置が復帰した後の所定時間内に前記振れ量が前記所定値以下にならない場合、前記ズームイン速度に関わらず前記自動撮影を制限し、振れ量が所定時間内に所定値以下となったことに応じて自動撮影の実行を許可する。
なお、ステップS525でズームイン後自動撮影フラグがOFFであった場合に、FAズーム制御部123がその原因を表示部109に表示するようにしてもよい。例えば、FAズーム制御部123は、レリーズ操作により自動撮影が無効に設定されたこと(S513)、ズームイン速度が制限値を超えたこと(S521)、あるいは、振れ量が制限を超えたこと(S528でNO)を、表示部109に表示してもよい。
次に、図6を用いて、図5のステップS504及びS507で設定する電子ズーム及び光学ズームのズームアウト位置の算出方法について説明する。図6は、ズームアウト駆動量をズーム倍率に基づく連続量で設定するときのズームアウト動作例を示す図である。本例では、光学ズームの焦点距離が24乃至840mmの範囲で光学ズーム倍率を最大35倍とし、電子ズーム倍率を最大4倍としており、ズームアウト駆動量はズーム倍率に換算して1/8倍とされている。なお、図中の「光学ワイド端」、「光学テレ端」は光学ズーム動作におけるワイド端(焦点距離24mm)、テレ端(焦点距離840mm)をそれぞれ示し、光学ズーム領域の境界を表す。「電子ワイド端」、「電子テレ端」は電子ズーム動作におけるワイド端(焦点距離840mm相当)、テレ端(焦点距離3360mm相当)をそれぞれ示し、電子ズーム領域の境界を表す。光学テレ端位置と電子ワイド端位置が一致している。
パターン1は、撮影準備状態でのズーム位置が、光学テレ端位置で焦点距離840mmのときのズームアウト位置を示している。撮影準備状態でのズーム状態は光学ズーム状態であるため、電子ズーム位置は電子ワイド端位置のままである。ズーム倍率1/8倍に対応するズームアウト駆動量で光学ズーム位置を変更した場合、840mm×(1/8倍)=105mmの焦点距離に対応する位置がズームアウト位置となる。
パターン2は、撮影準備状態でのズーム位置が、光学ミドル位置で焦点距離192mmのときのズームアウト位置を示している。このときの光学ズームのズームアウト位置は、192mm×(1/8倍)=24mmの焦点距離に対応する光学ワイド端位置がズームアウト位置となる。
パターン3は、撮影準備状態でのズーム位置が、光学ミドル位置で焦点距離72mmのときのズームアウト位置を示している。光学ズームのズームアウト位置の算出結果は、72mm×(1/8倍)=9mmとなり、光学ワイド端位置よりも広角側の位置となる。この場合、光学ワイド端位置をズームアウト位置とする。
パターン4は、撮影準備状態でのズーム位置が、電子テレ端位置のときのズームアウト位置を示している。電子ズーム倍率は最大4倍であるため、電子ズームのズームアウト位置は電子ワイド端位置とし、残りの2倍分については光学ズームでのズームアウト動作が行われる。したがって、光学ズームによるズームアウト位置は840mm×(1/2倍)=420mmの焦点距離に対応する位置となる。
ズーム倍率に基づいてズームアウト駆動量を設定する場合、パターン3のようにズームアウト位置が光学ワイド端位置を越える場合を除いて、被写体探索状態でのFAズーム枠の大きさが一定になる(ズームアウトした画角が同じ倍率になる)という利点が得られる。
以上のように、上記実施形態によれば、FAズーム機能において、被写体探索状態のズーム位置から撮影準備状態のズーム位置へ復帰する際のズームイン速度に応じて自動撮影の実行または制限が制御される。したがって、ズームブレが発生するような操作が行われた際の自動撮影が制限され、無駄な撮影を防止できる。なお、このような自動撮影の制限が行われないように設定可能にしてもよい。また、上記実施形態の制御は、ユーザ操作により光学ズーム位置の移動速度が可変である構成に適している。例えば、ズームリングのユーザ操作により光学ズーム位置を移動させる構成に適している。また、光学ズーム位置の移動にズームモータを用いた構成であっても、例えば、操作力(例えばズームスイッチに対する押下圧)に応じてズーム速度が可変であるような構成において、上述した効果が得られる。
なお、上記実施形態では、FAズーム開始が指示されると、撮像装置は現在のズーム位置とズームアウト駆動量に基づいて設定したズームアウト位置までユーザがズームアウトするまで待機する。上記実施形態では、ズームアウト駆動量は、フレーミングのための一時的なズームアウト位置の目標位置として設定した。しかしながら、ズームアウト駆動量は、FAズーム機能(FA枠の表示やズーム位置が戻った時の自動撮影)が発動するために最低限必要な駆動量として設定してもよい。例えば、FAズーム開始が指示されてから焦点距離が5mm以上短くなった場合にFAズーム機能を開始する場合、ズームアウト駆動として5mmをユーザが設定できるようにしてもよい。このようにズームアウト駆動量として最低限必要な駆動量を設定することで、ズームアウトの目標位置を設定しないためユーザの自由度が高いFAズーム機能を実現することができる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:デジタルカメラ、101:レンズ鏡筒、109:表示部、110:絞り/シャッタ駆動部、111:防振レンズ駆動部、112:フォーカスレンズ駆動部、113:ズームレンズ位置検出部、114:システム制御部、119:CZ制御部、120:防振制御部、121:電子ズーム制御部、122:FAズーム枠制御部、123:FAズーム制御部
Claims (15)
- ズーム機能を有する撮像装置であって、
撮像手段と、
前記ズーム機能の開始及び終了を指示する指示手段と、
ズーム位置を記憶する記憶手段と、
光学ズームの位置の変化に基づいて前記光学ズームのズームイン速度を検出する検出手段と、
前記ズーム機能の開始が指示された場合、前記記憶手段に現在のズーム位置である第1のズーム位置を記憶し、前記ズーム位置が前記第1のズーム位置よりも広角側の第2のズーム位置に変更されたことを検出した後に前記ズーム機能の終了が指示された場合、前記第1のズーム位置へ前記ズーム位置が変更されたことの検出に応じて前記撮像手段による自動撮影を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1のズーム位置への前記光学ズームのズームイン速度に基づいて前記自動撮影の実行を制限することを特徴とする撮像装置。 - 前記制御手段は、前記ズームイン速度が閾値より大きい場合に、前記自動撮影の実行を制限することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記指示手段により前記ズーム機能の開始が指示された場合、前記記憶手段にズーム位置を記憶するとともに、記憶したズーム位置に応じた前記閾値を設定することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記記憶手段に記憶したズーム位置がテレ側であるほど、前記閾値を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
- 前記ズーム位置へ復帰した後に自動撮影を行うことを指示する撮影指示手段を備え、
前記制御手段は、前記ズーム機能の終了が指示される前に前記撮影指示手段により前記自動撮影が指示され、前記ズームイン速度が閾値以下である場合に、前記自動撮影を実行することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 前記撮影指示手段による指示を解除する指示解除手段を備え、
前記制御手段は、前記ズーム機能の終了が指示される前に前記指示解除手段による指示の解除がなされた場合に、前記ズームイン速度に関わらず前記自動撮影を制限することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。 - 前記指示手段は、操作スイッチへのユーザ操作に応じて前記ズーム機能の開始と終了を指示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記指示手段は、前記光学ズームの位置に基づいて前記ズーム機能の終了を指示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 撮影される画像のピントを調節するフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズの、ピントの合うフォーカス位置を検出するオートフォーカス手段と、を備え、
前記オートフォーカス手段は、前記ズーム機能の終了後の前記自動撮影において、通常の撮影時よりも前記フォーカスレンズの移動範囲を狭くすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 撮像装置に生じる振れ量を検出する振れ検出手段を備え、
前記制御手段は、前記振れ検出手段によって検出された振れ量に基づいて前記自動撮影を制限することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 前記制御手段は、前記振れ量が所定値以下となったことに応じて前記自動撮影の実行を許可することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記ズーム位置が復帰した後の所定時間内に前記振れ量が前記所定値以下にならない場合、前記ズームイン速度に関わらず前記自動撮影を制限することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
- 前記第2のズーム位置は前記第1のズーム位置に応じて設定され、
前記制御手段は、前記ズーム機能の開始が指示された場合であっても、ズーム位置が前記第2のズーム位置に変更されたことが検出されない場合は、前記ズーム機能の終了が指示され、且つ、ズーム位置が前記第1のズーム位置に変更されても前記自動撮影を実行しないことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。 - ズーム機能を有する撮像装置の制御方法であって、
前記ズーム機能の開始の指示を受け付けたことに応じて記憶手段に光学ズームの現在のズーム位置である第1のズーム位置を記憶する工程と、
前記ズーム機能の開始の指示を受け付けた後、前記ズーム位置が前記第1のズーム位置よりも広角側の第2のズーム位置に変更されたことを検出する工程と、
前記ズーム機能の終了の指示を受け付けた後、前記ズーム位置が前記第1のズーム位置へ変更されたことを検出する工程と、
前記第1のズーム位置への前記光学ズームのズームイン速度を検出する工程と、
前記ズーム位置が前記第1のズーム位置への変更が検出された場合、前記ズームイン速度に基づいて、撮像手段による自動撮影を実行する工程と、を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。 - コンピュータに、請求項14に記載された撮像装置の制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
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