JP2019057594A - 半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】SiCの半導体素子を採用した半導体モジュールにおいて熱履歴に伴うはんだの凝集を抑制する。
【解決手段】半導体素子は、SiC基板と、SiC基板の上面に設けられた上面電極と、SiC基板の下面に設けられた下面電極とを備える。下面電極の表面には、下面電極の中心を取り囲む閉じた経路に沿って、第1の突出部が断続的又は連続的に設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】半導体素子は、SiC基板と、SiC基板の上面に設けられた上面電極と、SiC基板の下面に設けられた下面電極とを備える。下面電極の表面には、下面電極の中心を取り囲む閉じた経路に沿って、第1の突出部が断続的又は連続的に設けられている。
【選択図】図3
Description
本明細書が開示する技術は、SiC(炭化シリコン)基板を有する半導体素子に関する。
特許文献1に、SiC基板を有する半導体素子が開示されている。SiCは、ワイドバンドギャップを有しており、半導体素子の低いオン抵抗と高いオフ耐圧を両立し得る半導体材料として、その採用が拡大している。特許文献1に記載の半導体素子は、縦型の半導体素子であり、SiC基板の上面に設けられた上面電極と、SiC基板の下面に設けられた下面電極とをさらに備える。この種の半導体素子は、リードフレームやその他の導体とともにパッケージされ、半導体モジュールの内部に搭載される。
半導体モジュール内では、半導体素子の下面電極が、リードフレームといった導体にはんだ付けされており、下面電極と当該導体との間にはんだの層が形成されている。このはんだの層について、本発明者らの研究によると、半導体素子に断続的な通電が行われ、半導体モジュール内で温度変動が繰り返されると、はんだが下面電極の中心に向けて凝集していくことが確認された。この現象は、SiC基板を有する半導体素子が採用され、従来よりも高温域での使用が可能となった結果、初めて観測されたものである。このようなはんだの凝集が進行していくと、半導体素子は凸状に湾曲していくことになり、半導体素子が意図しないダメージを受けるおそれが生じる。
従って、本明細書では、上述したはんだの凝集を抑制し得る技術を提供する。
上記の課題を解決するために、本明細書は半導体素子を開示する。この半導体素子は、SiC基板と、SiC基板の上面に設けられた上面電極と、SiC基板の下面に設けられた下面電極とを備える。下面電極の表面には、下面電極の中心を取り囲む閉じた経路に沿って、第1の突出部が断続的又は連続的に設けられている。
ここでいう下面電極の中心とは、半導体素子を平面視したときの下面電極の中心を意味する。例えば、下面電極がSiC基板の下面の全体に亘って設けられている場合、下面電極の中心は半導体素子の中心に一致する。また、閉じた経路とは、例えば、円、長円、楕円又はその他の閉曲線や、四角形、六角形又はその他の多角形等が挙げられる。閉じた経路は、曲線のみで構成されてもよいし、直線のみで構成されてもよいし、曲線と直線との組み合わせによって構成されてもよい。
上記した半導体素子では、下面電極の表面に第1の突出部が設けられており、はんだの移動が物理的に抑制される。特に、第1の突出部は、下面電極の中心を取り囲む閉じた経路に沿って設けられているので、はんだが下面電極の中心に向けて凝集するような挙動が効果的に抑制される。
本技術の一実施形態では、前記した閉じた経路が円であるとよい。即ち、第1の突出部が、下面電極の中心を取り囲む円に沿って、連続的又は断続的に設けられているとよい。この場合、特に限定されないが、円の中心が下面電極の中心に一致してもよい。このような構成によると、はんだの凝集する挙動を等方的に抑制することができる。一例ではあるが、第1の突出部を設ける位置(即ち、ここでは円の半径)は、半導体素子に生じ得る応力分布に応じて設計するとよい。但し、他の実施形態として、閉じた経路は、例えば下面電極の外形に合わせて、矩形又はそれに類似する形状であってもよい。
本技術の一実施形態では、第1の突出部の高さが、下面電極の厚みよりも大きくてもよい。この場合、SiC基板の下面が突出部内へ突出しているとよい。即ち、突出部が、下面電極だけでなく、SiC基板によって構成されているとよい。このような構成によると、第1の突出部を比較的に高く形成することができるので、はんだの凝集をより効果的に抑制することができる。但し、他の実施形態のとして、第1の突出部が下面電極のみによって構成され、SiC基板の下面が完全に平坦であってもよい。
本技術の一実施形態では、下面電極の表面に、前記の閉じた経路を取り囲む第2の閉じた経路に沿って、第2の突出部が断続的又は連続的に設けられていてもよい。このような構成によると、二重に設けられた二つの突出部によって、はんだの凝集をより効果的に抑制することができる。他の実施形態として、下面電極の表面には、三以上の突出部が多重に設けられてもよい。一例ではあるが、複数の突出部を設ける場合、そのうちの一つの突出部を、半導体素子に生じる応力が最も集中する位置に合わせて配置するとよい。
上記した実施形態では、第2の突出部の高さが、第1の突出部の高さと異なってもよい。これらの突出部の高さについても、例えば予測されるはんだの挙動や、半導体素子に生じ得る応力分布に応じて設計するとよく、それによってはんだの凝集を効果的に抑制することができる。
図面を参照して、実施例の半導体素子10について説明する。図1−図4に示すように、半導体素子10は、SiC基板12と、SiC基板12の上面12aに設けられた上面電極14と、SiC基板12の下面12bに設けられた下面電極20とを備える。半導体素子10は、いわゆるパワー半導体素子であり、SiC基板12の内部に例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)といったスイッチング素子の構造が形成されている。なお、SiC基板12の内部には、スイッチング素子の構造に加えて、又は代えて、pn接合型ダイオードやショットキーバリアダイオードといったダイオードの構造が形成されていてもよい。SiC基板12の内部構造については特に限定されない。
上面電極14及び下面電極20は、例えば金属材料といった導体で構成されている。上面電極14は、SiC基板12の上面12aにオーミック接触しており、下面電極20は、SiC基板12の下面12bにオーミック接触している。上面電極14及び下面電極20の具体的な構成は特に限定されない。上面電極14及び下面電極20は、チタン、アルミニウム、ニッケル、金又はその他の金属材料や、それらの金属材料の少なくとも一つを含む合金を用いて構成することができる。一例ではあるが、本実施例における下面電極20は、オーミック接触層22と表面電極層24とを含む多層構造を有している。
本実施例の半導体素子10は、絶縁膜16と保護膜18とをさらに備える。絶縁膜16と保護膜18は、SiC基板12の上面12a側に設けられている。絶縁膜16は、酸化シリコンといった絶縁材料で構成されており、SiC基板12の周縁に沿って枠状に延びている。保護膜18は、エポキシ樹脂といった樹脂材料で構成されており、絶縁膜16上に位置するとともに、SiC基板12の周縁に沿って枠状に延びている。なお、本技術の適用に関して絶縁膜16及び保護膜18は必ずしも必要とされない。
下面電極20の表面20aには、突出部26が設けられている。突出部26は、下面電極20の中心CTを取り囲む円に沿って、連続的に延びている。ここでいう下面電極20の中心CTとは、半導体素子10を平面視したときの下面電極20の中心を意味する。一例ではあるが、本実施例の半導体素子10では、下面電極20がSiC基板12の下面12bの全体に亘って設けられているので、下面電極20の中心CTは半導体素子10の中心に一致する。また、突出部26が描く円の中心は、下面電極20の中心CTに一致している。
ここで、上記した突出部26は、必ずしも円に沿って設けられる必要はない。他の実施形態として、突出部26は、長円、楕円又はその他の閉曲線に沿って延びるように設けられてもよい。あるいは、突出部26は、四角形、六角形又はその他の多角形に沿って延びるように設けられてもよい。これらの例示に限られず、突出部26は、下面電極20の中心CTを取り囲む閉じた経路に沿って、断続的又は連続的に設けられていればよい。そして、この閉じた経路は、曲線のみで構成されてもよいし、直線のみで構成されてもよいし、曲線と直線との組み合わせによって構成されてもよい。これらの点については、後述する突出部126、128、226、228、326についても同様である。
図4に示すように、突出部26の高さH26は、下面電極20の厚みT20よりも大きい。従って、突出部26の一部はSiC基板12によって構成されており、SiC基板12の下面12bが突出部26内へ突出している。このような構成によると、下面電極20の構成やその形成手順を複雑にすることなく、比較的に大きな高さH26を有する突出部26を下面電極20の表面20aに形成することができる。但し、他の実施形態として、突出部26は下面電極20のみによって構成されてもよい。この場合、下面電極20は、オーミック接触層22と表面電極層24に加えて、第3の構成要素をさらに有してもよい。この点については、後段において図16を参照しながら詳細に説明する。
図5に示すように、本実施例の半導体素子10は、リードフレーム58やその他の導体54、56とともにパッケージされ、半導体モジュール50の内部に搭載されることができる。図5に例示する半導体モジュール50は、半導体素子10を封止する封止体52に加えて、上部導体プレート54、導体スペーサ56及びリードフレーム58を備える。半導体素子10は、リードフレーム58上に配置されており、半導体素子10の下面電極20は、封止体52の内部ではんだ層55を介してリードフレーム58に接合されている。リードフレーム58は、封止体52の下面52bにおいて外部に露出している。これにより、リードフレーム58は、半導体モジュール50の電気回路の一部を構成するだけでなく、半導体素子10の熱を外部へ放出する放熱板としても機能する。
半導体素子10の上面電極14には、導体スペーサ56を介して上部導体プレート54が接合されている。上部導体プレート54と導体スペーサ56との間、及び、導体スペーサ56と半導体素子10の上面電極14との間は、それぞれはんだ層57、59を介して接合されている。上部導体プレート54は、封止体52の上面52aにおいて外部に露出している。これにより、上部導体プレート54は、半導体モジュール50の電気回路の一部を構成するだけでなく、半導体素子10の熱を外部へ放出する放熱板としても機能する。従って、半導体モジュール50は、封止体52の上面52a及び下面52bに放熱板が露出する両面冷却構造を有する。但し、半導体素子10は、両面冷却構造の半導体モジュール50に限定されず、他の様々な構成を有する半導体モジュールにも採用されることができる。
半導体モジュール50では、半導体素子10へ断続的な通電が行われると、半導体モジュール50の温度が繰り返し変動する。この温度変動に伴い、半導体モジュール50の各構成要素は、それぞれ膨張と収縮とを繰り返す。このとき、半導体モジュール50の各構成要素は、互いに異なる線膨張係数を有するので、半導体モジュール50内に生じる応力分布は一様とならず、半導体素子10にも局所的に高い応力が生じ得る。この点に関して、図6(A)(B)に示すように、突出部26を有さない半導体素子10Xが採用されていると、半導体素子10Xとリードフレーム58との間のはんだ層59において、はんだが下面電極20の中心CTに向けて凝集していくことが確認された。そして、このようなはんだの凝集が進行していくと、半導体素子10Xは凸状に湾曲していくことになり(図6(B)参照)、半導体素子10Xが意図しないダメージを受けるおそれが生じる。
上記の問題に対して、本実施例の半導体素子10では、下面電極20の表面20aに突出部26が設けられており、上記したはんだの移動が物理的に抑制される。特に、突出部26は、下面電極20の中心CTを取り囲む閉じた経路(ここでは、下面電極20の中心CTを中心とする円)に沿って設けられているので、はんだが下面電極20の中心CTに向けて凝集するような挙動が効果的に抑制される。これにより、半導体素子10やはんだ層59の意図しない変形が抑制され、半導体素子10やはんだ層59に生じる応力が緩和される。
突出部26の具体的な位置や形状は特に限定されない。一例として、突出部26を設ける位置(ここでは、突出部26が描く円の半径)は、半導体素子10に生じ得る応力分布に応じて設計するとよい。半導体素子10に生じ得る応力分布は、実験又はシミュレーションによって求めることができ、その結果に応じて突出部26を設計することによって、半導体素子10やはんだ層59に生じる応力を効果的に緩和することができる。
図7、図8は、他の実施例の半導体素子110を示す。この半導体素子110では、下面電極20の表面20aに、第1の突出部126と第2の突出部128が設けられている。第1の突出部126は、下面電極20の中心CTを取り囲む円に沿って、連続的に延びている。第2の突出部128は、第1の突出部126を取り囲む円に沿って、連続的に延びている。一例ではあるが、第1の突出部126が描く円と、第2の突出部128が描く円は共に、その中心が下面電極20の中心CTに一致する。即ち、二つの突出部126、128は同心円を描くように設けられている。このように、複数の突出部126、128を多重に設けることによって、はんだの凝集をより効果的に抑制することができる。この場合、それらの突出部126、128のうちの一つを、半導体素子110に生じる応力が最も集中する位置に合わせて配置するとよい。
図9、図10は、他の実施例の半導体素子210を示す。この半導体素子210でも同様に、下面電極20の表面20aに、第1の突出部226と第2の突出部228が設けられている。但し、この半導体素子210では、図7、図8に示す半導体素子110と比較して、第1の突出部226の高さと第2の突出部228の高さが互いに相違している。このように、複数の突出部226、228の高さについても、例えば予測されるはんだの挙動や、半導体素子10に生じ得る応力分布に応じて設計するとよく、それによってはんだの凝集を効果的に抑制することができる。
図11、図12は、他の実施例の半導体素子310を示す。この半導体素子310では、下面電極20の表面20aに、突出部326が形成されている。この突出部326は、下面電極20の中心CTを取り囲む円に沿って断続的に延びており、この点において前出の突出部26、126、128、326と相違している。このように、突出部326が断続的に形成されていても、はんだの凝集を有意に抑制することができる。なお、図7及び図8に示す半導体素子110や、図9及び図10に示す半導体素子210においても、突出部26、126、128、326の一部又は全部が、断続的に延びるように設けられてもよい。
次に、図13−図16を参照しながら、半導体素子10の製造方法をいくつか例示する。但し、半導体素子10の製造方法は、ここで例示されるものに限定されない。図13を参照して、製造方法の第1の例について説明する。この製造方法では、図13(A)に示すように、先ずSiC基板12を用意し、SiC基板12の上面12aに、絶縁膜16、上面電極14及び保護膜18を形成する。SiC基板12の内部には、必要に応じて、スイッチング素子やダイオードの構造の一部又は全部を形成しておくとよい。その後、SiC基板12の下面12bを機械加工(例えば研削)することにより、SiC基板12を所望の寸法まで薄くする。
次に、図13(B)に示すように、突出部26を設ける位置に合わせてマスク30を形成することにより、SiC基板12の下面12bを選択的にエッチングする。これにより、SiC基板12の下面12bに、突出部26aが形成される。このエッチングは、例えばドライエッチングによって実施することができる。但し、エッチングの具体的な手法については特に限定されない。次に、図13(C)に示すように、SiC基板12の下面12bに、下面電極20のオーミック接触層22を形成する。オーミック接触層22は、例えばスパッタリングによって形成することができる。但し、オーミック接触層22を形成する具体的な手法は特に限定されない。
最後に、図13(D)に示すように、オーミック接触層22上に、下面電極20の表面電極層24を形成する。これにより、二層構造を有する下面電極20が形成されるとともに、下面電極20の表面20aに突出部26が形成される。表面電極層24についても、例えばスパッタリングによって形成することができるが、表面電極層24を形成する具体的な手法は特に限定されない。このような製造方法によると、突出部26の一部がSiC基板12によって構成される。即ち、SiC基板12の下面12bが突出部26内へ突出し、突出部26の高さH26が下面電極20の厚みT20よりも大きくなる(図4参照)。なお、図13に示した第1の例の製造方法は、図1−図4に示す半導体素子10に限られず、図7及び図8に示す半導体素子110、図9及び図10に示す半導体素子210、並びに、図11及び図12に示す半導体素子310のいずれにも採用することができる。
図14を参照して、製造方法の第2の例を説明する。この製造方法では、図14(A)に示すように、先ずSiC基板12を用意し、SiC基板12の上面12aに、絶縁膜16、上面電極14及び保護膜18を形成する。SiC基板12の内部には、必要に応じて、スイッチング素子やダイオードの構造の一部又は全部を形成しておくとよい。その後、SiC基板12の下面12bを機械加工(例えば研削)することにより、SiC基板12を所望の寸法まで薄くする。この段階でのSiC基板12の厚みは、前述した製造方法における図13(A)の段階と比較して、突出部26の高さH26(図4参照)の分だけ薄くする。
次に、図14(B)に示すように、突出部26を設ける位置に合わせて、SiC基板12の下面12bを選択的に(即ち、部分的に)エピタキシャル成長させる。これにより、SiC基板12の下面12bに、突出部26aが形成される。次に、図14(C)に示すように、SiC基板12の下面12bにオーミック接触層22を形成し、図14(D)に示すように、オーミック接触層22上に表面電極層24を形成する。これにより、下面電極20が形成される。これらの工程については、図13(C)、(D)に示す工程と同様である。この製造方法によっても、突出部26の一部はSiC基板12によって構成される。即ち、SiC基板12の下面12bが突出部26内へ突出し、突出部26の高さH26が下面電極20の厚みT20よりも大きくなる(図4参照)。なお、図14に示した第2の例の製造方法は、図1−図4に示す半導体素子10に限られず、図7及び図8に示す半導体素子110、図9及び図10に示す半導体素子210、並びに、図11及び図12に示す半導体素子310のいずれにも採用することができる。
図15を参照して、製造方法の第3の例を説明する。この製造方法では、図15(A)に示すように、先ずSiC基板12を用意し、SiC基板12の上面12aに、絶縁膜16、上面電極14及び保護膜18を形成する。SiC基板12の内部には、必要に応じて、スイッチング素子やダイオードの構造の一部又は全部を形成しておくとよい。その後、SiC基板12の下面12bを機械加工(例えば研削)するときに、突出部26の位置及び形状に合わせたプロファイルを有する砥石32を用いることによって、SiC基板12の下面12bに突出部26aを形成する。これにより、SiC基板12の薄板化と突出部26の形成とが同時に実施される。
次に、図15(B)に示すように、SiC基板12の下面12bにオーミック接触層22を形成し、図15(C)に示すように、オーミック接触層22上に表面電極層24を形成する。これにより、下面電極20が形成される。これらの工程については、図13(C)及び(D)に示す工程と同様である。この製造方法によっても、突出部26の一部はSiC基板12によって構成される。即ち、SiC基板12の下面12bが突出部26内へ突出し、突出部26の高さH26が下面電極20の厚みT20よりも大きくなる(図4参照)。なお、図15に示した第3の例の製造方法は、図1−図4に示す半導体素子10に限られず、図7及び図8に示す半導体素子110、並びに、図9及び図10に示す半導体素子210のいずれにも採用することができる。また、図15に示した第3の例の製造方法において、砥石32によるSiC基板12の薄板化(図15(A)参照)の後に、SiC基板12の突出部26aの一部を選択的にエッチングする工程を付加することで、図11及び図12に示す半導体素子310の製造を行うこともできる。
図16を参照して、製造方法の第4の例を説明する。この製造方法では、図16(A)に示すように、先ずSiC基板12を用意し、SiC基板12の上面12aに、絶縁膜16、上面電極14及び保護膜18を形成する。SiC基板12の内部には、必要に応じて、スイッチング素子やダイオードの構造の一部又は全部を形成しておくとよい。その後、SiC基板12の下面12bを機械加工(例えば研削)することにより、SiC基板12を所望の寸法まで薄くする。次に、図16(B)に示すように、SiC基板12の下面12bに、下面電極20のオーミック接触層22を形成する。この製造方法では、前述した他の製造方法と異なり、SiC基板12の平坦な下面12b上にオーミック接触層22が形成される。
次に、図16(C)に示すように、突出部426(図16(D)参照)を設ける位置に合わせて、オーミック接触層22上に突出電極425を形成する。即ち、突出電極425は、突出部26と同様に、下面電極20の中心CTを取り囲む円(又は、その他の閉じた経路)に沿って、連続的に(又は断続的に)に形成される。突出電極425は、例えば金属といった導体で形成され、図16(D)に示すように、完成後の半導体素子410では下面電極20の一部を構成する。最後に、図16(D)に示すように、オーミック接触層22及び突出電極425上に、表面電極層24を形成する。このように、第4の例の製造方法によると、突出部426が下面電極20のみによって構成された半導体素子410を製造することができる。SiC基板12の下面12bに突出部26aを設ける必要がないので、当該突出部26aの形成に起因するSiC基板12へのダメージを避けることができる。
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
10、110、210、310、410:半導体素子
10X:突出部を有さない半導体素子
12:SiC基板
14:上面電極
20:下面電極
20a:下面電極の表面
22:下面電極のオーミック接触層
24:下面電極の表面電極層
26、126、226、326、426:下面電極の突出部又は第1の突出部
26a:SiC基板の突出部
30:マスク
32:砥石
50:半導体モジュール
52:封止体
54:上部導体プレート
55、57、59:はんだ層
56:導体スペーサ
58:リードフレーム
128、228:下面電極の第2の突出部
425:下面電極の突出電極
10X:突出部を有さない半導体素子
12:SiC基板
14:上面電極
20:下面電極
20a:下面電極の表面
22:下面電極のオーミック接触層
24:下面電極の表面電極層
26、126、226、326、426:下面電極の突出部又は第1の突出部
26a:SiC基板の突出部
30:マスク
32:砥石
50:半導体モジュール
52:封止体
54:上部導体プレート
55、57、59:はんだ層
56:導体スペーサ
58:リードフレーム
128、228:下面電極の第2の突出部
425:下面電極の突出電極
Claims (6)
- SiC基板と、
前記SiC基板の上面に設けられた上面電極と、
前記SiC基板の下面に設けられた下面電極と、
を備え、
前記下面電極の表面には、前記下面電極の中心を取り囲む閉じた経路に沿って、第1の突出部が断続的又は連続的に設けられている、
半導体素子。 - 前記閉じた経路は円である、請求項1に記載の半導体素子。
- 前記円の中心は、前記下面電極の前記中心に一致する、請求項2に記載の半導体素子。
- 前記第1の突出部の高さは、前記下面電極の厚みよりも大きく、
前記SiC基板の前記下面が、前記第1の突出部内へ突出している、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体素子。 - 前記下面電極の前記表面には、前記閉じた経路を取り囲む第2の閉じた経路に沿って、第2の突出部が断続的又は連続的に設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体素子。
- 前記第2の突出部の高さは、前記第1の突出部の高さと異なる、請求項5に記載の半導体素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017180623A JP2019057594A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 半導体素子 |
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---|---|---|---|
JP2017180623A JP2019057594A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 半導体素子 |
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