JP2019057496A - 固体電解質シート及びその製造方法、並びに全固体二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みを小さくしても優れた電池特性を得ることが可能なナトリウムイオン伝導性結晶含有固体電解質シート及びそれを用いた全固体電池を提供する。【解決手段】β’’−アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種のナトリウムイオン伝導性結晶を含有し、厚みが500μm以下かつ平面度が200μm以下であることを特徴とする固体電解質シート。【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池等の蓄電デバイスに用いられるナトリウムイオン伝導性結晶含有固体電解質シート及びその製造方法、並びにナトリウムイオン全固体二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、モバイル機器や電気自動車等に不可欠な、高容量で軽量な電源としての地位を確立している。しかし、現行のリチウムイオン二次電池には、電解質として可燃性の有機系電解液が主に用いられているため、発火等の危険性が懸念されている。この問題を解決する方法として、有機系電解液に代えて固体電解質を使用したリチウムイオン全固体電池の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、リチウムは世界的な原材料の高騰の懸念がある。そこで、リチウムに代わる材料としてナトリウムが注目されており、固体電解質としてNASICON型のNaZrSiPO12からなるナトリウムイオン伝導性結晶を使用したナトリウムイオン全固体電池が提案されている(例えば特許文献2参照)。その他、β−アルミナやβ’’−アルミナといったベータアルミナ系固体電解質も高いナトリウムイオン伝導性を示すことが知られており、これらの固体電解質はナトリウム−硫黄電池用固体電解質としても使用されている。
全固体電池において、固体電解質の厚みが薄いほど電池内のイオン移動抵抗が減少し、体積当たりのエネルギー密度も向上するため好ましい。そのため、固体電解質の薄型化が求められている。
特開平5−205741号公報 特開2010−15782号公報
固体電解質の厚みを小さくすると、電池の内部抵抗が大きくなる傾向があり、放電容量や作動電圧等の電池特性が低下するという問題がある。
従って、本発明の目的は、厚みを小さくしても優れた電池特性を得ることが可能なナトリウムイオン伝導性結晶含有固体電解質シート及びそれを用いた全固体電池を提供することを目的とする。
本発明の固体電解質シートは、β’’−アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種のナトリウムイオン伝導性結晶を含有し、厚みが500μm以下かつ平面度が200μm以下であることを特徴とする。
本発明者等の調査の結果、固体電解質の厚みを小さくした際に、電池の内部抵抗が大きくなるのは、固体電解質の平面度が原因であることをわかった。平面度とは、JISでは「平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ」と定義されている。図1は、固体電解質シートの平面度を説明するための模式的断面図である。図1に示すように、固体電解質シートの平面度は、シートの一方の面を、平行な平面で挟んだときにできる隙間の値を示す。固体電解質の平面度の値が大きいと、固体電解質表面に電極材料を均一に塗布できず、電極の厚みにムラが生じ、局所的に内部抵抗が大きい箇所が生じる。そこで、固体電解質の平面度を上記の通り小さくすることにより、電極の厚みを均一にすることができ、電池の内部抵抗を小さくすることができる。その結果、放電容量や作動電圧等の電池特性を向上させることができる。また、固体電解質の平面度が小さい場合、ハンドリング性が向上し、電池作製時におけるクラックの発生等を抑制することができる。
本発明の固体電解質シートは、モル%で、Al 65〜98%、NaO 2〜20%、MgO+LiO 0.3〜15%、ZrO 0〜20%、Y 0〜5%を含有することが好ましい。なお本明細書において、「○+○+・・・」は記載された各成分の含有量の合量を意味する。
本発明の固体電解質シートは、一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Nd、Nb、Ti、Hf及びZrから選択される少なくとも1種、A2はSi及びPから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜14)で表される結晶を含有することが好ましい。
本発明の固体電解質シートは、全固体ナトリウムイオン二次電池用として好適である。
本発明の全固体二次電池は、正極合材層、固体電解質層、負極合材層を含む全固体電池であって、固体電解質層が上記の固体電解質シートからなることを特徴とする。
本発明の固体電解質シートの製造方法は、上記の固体電解質シートを製造するための方法であって、(a)原料粉末を仮焼成する工程、(b)前記仮焼成後の原料粉末をスラリーにする工程、(c)前記スラリーを基材上に塗布、乾燥してグリーンシートを得る工程、及び、(d)前記グリーンシートを焼成することによりナトリウムイオン伝導性結晶を生成する工程、を含むことを特徴とする。
固体電解質シートをグリーンシート法により作製すると、焼成時の収縮により固体電解質シートの平面度が悪化するという問題がある。そこで、原料粉末を予め仮焼成して前駆体である複合酸化物(例えばβ−アルミナ)を生成しておき、その後の本焼成により複合酸化物をナトリウムイオン伝導性結晶に変化させる(例えばβ−アルミナをβ’’−アルミナに相転移させる)ことにより、本焼成時における収縮を抑制でき、固体電解質シートの平面度の悪化を抑制することができる。
また、特にグリーンシートの厚みが小さくなると、焼成時に亀裂が発生する場合ある。これは、焼成時における炭酸塩原料からの炭酸ガスの放出やナトリウム成分等の揮発が原因であると考えられる。一方、原料粉末を仮焼成し、炭酸ガスの放出やナトリウム成分等の揮発を予め行っておくことで、後の本焼成時における炭酸ガスの放出やナトリウム成分等の揮発が少なくなり、固体電解質シートの平面度の悪化や亀裂の問題を抑制することができる。
本発明の固体電解質シートの製造方法は、工程(d)において、グリーンシートを上セッター及び下セッターの間に設置し、かつ、グリーンシートと上セッターとの間に隙間を設けた状態で焼成を行うことが好ましい。この場合、隙間は1〜500μmであることが好ましい。このようにすれば、焼成時におけるグリーンシートの収縮に伴う平面度の悪化及び亀裂の発生をより一層抑制することができる。具体的には、グリーンシートの上下をセッターで挟むことにより、焼成時におけるグリーンシートの収縮に起因するうねりの発生を抑制できるとともに、グリーンシートと上セッターとの間にわずかに隙間を設けることにより、焼成時にグリーンシートがセッターに過度に拘束されず適度に収縮することができるため、歪みが発生しにくく亀裂の発生を抑制することができる。
本発明によれば、厚みを小さくしても優れた電池特性を得ることが可能なナトリウムイオン伝導性結晶含有固体電解質シート及びそれを用いた全固体電池を提供することができる。
固体電解質シートの平面度を説明するための模式的断面図である。 実施例における固体電解質シートの原料粉末の粉末X線回折パターンを示す図である。 実施例における仮焼成後の原料粉末の粉末X線回折パターンを示す図である。 実施例において得られた固体電解質シートの粉末X線回折パターンを示す図である。
本発明の固体電解質シートは、β’’−アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種のナトリウムイオン伝導性結晶を含有し、厚みが500μm以下かつ平面度が200μm以下であることを特徴とする。β’’−アルミナ及びNASICON結晶はナトリウムイオン伝導性に優れ、電子絶縁性が高く、さらに安定性に優れるため好ましい。
固体電解質シートの厚みが小さいほど固体電解質中のイオン伝導に要する距離が短くなり、イオン伝導性が向上するため好ましい。また、全固体電池用固体電解質として用いた場合、全固体電池の単位体積当たりのエネルギー密度が高くなる。具体的には、本発明の固体電解質シートの厚みは500μm以下であり、400μm以下、300μm以下、特に200μm以下であることが好ましい。ただし、固体電解質シートの厚みが小さすぎると、機械的強度が低下したり、正極と負極が短絡するおそれがあるため、5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上、特に50μm以上であることが好ましい。
固体電解質シートの平面度は200μm以下であり、150μm以下、100μm以下、特に50μm以下であることが好ましい。平面度の値が大きすぎると、固体電解質表面に電極材料を均一に塗布できず、電極の厚みにムラが生じ、局所的に内部抵抗が大きい箇所が生じる。その結果、放電容量や作動電圧、さらにはレート特性等の電池特性が低下する傾向がある。平面度の値の下限は特に限定されないが、現実的には1μm以上、さらには5μm以上である。
β’’−アルミナの具体例としては、三方晶の(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O)、(Al8.87Mg2.1316)(Na3.13O)、Na1.67Mg0.67Al10.3317、Na1.49Li0.25Al10.7517、Na1.72Li0.3Al10.6617、Na1.6Li0.34Al10.6617が挙げられる。なお、β’’−アルミナ以外にもβ−アルミナを含有していてもよい。β−アルミナとしては、六方晶の(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O)、(Al10.37Mg0.6316)(Na1.63O)、NaAl1117、(Al10.32Mg0.6816)(Na1.68O)が挙げられる。
本発明の固体電解質シートがβ’’−アルミナを含有する場合の具体的な組成としては、モル%で、Al 65〜98%、NaO 2〜20%、MgO+LiO 0.3〜15%、ZrO 0〜20%、Y 0〜5%を含有するものが挙げられる。組成を上記のように限定した理由を以下に説明する。
Alはβ’’−アルミナを構成する主成分である。Alの含有量は65〜98%、特に70〜95%であることが特に好ましい。Alが少なすぎると、固体電解質のイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、Alが多すぎると、ナトリウムイオン伝導性を有さないα−アルミナが残存し、固体電解質のイオン伝導性が低下しやすくなる。
NaOは固体電解質にナトリウムイオン伝導性を付与する成分である。NaOの含有量は2〜20%、3〜18%、特に4〜16%であることが好ましい。NaOが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、NaOが多すぎると、余剰のナトリウムがNaAlO等のイオン伝導性に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
MgO及びLiOはβ’’−アルミナの構造を安定化させる成分(安定化剤)である。MgO+LiOの含有量は、0.3〜15%、0.5〜10%、特に0.8〜8%であることが好ましい。MgO+LiOが少なすぎると、固体電解質中にα−アルミナが残存してイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、MgO+LiOが多すぎると、安定化剤として機能しなかったMgOまたはLiOが固体電解質中に残存して、イオン伝導性が低下しやすくなる。
ZrO及びYは、焼成時におけるβ’’−アルミナの異常粒成長を抑制し、β’’−アルミナの各粒子の密着性を向上させる効果がある。その結果、固体電解質シートのイオン伝導度が向上しやすくなる。ZrOの含有量は0〜15%、1〜13%、特に2〜10%であることが好ましい。また、Yの含有量は0〜5%、0.01〜4%、特に0.02〜3%であることが好ましい。ZrOまたはYが多すぎると、β’’−アルミナの生成量が低下して、固体電解質のイオン伝導性が低下しやすくなる。
NASICON結晶としては、一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Nd、Nb、Ti、Hf及びZrから選択される少なくとも1種、A2はSi及びPから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜14)で表される化合物からなることが好ましい。ここで、A1はY、Nb、Ti及びZrから選択される少なくとも1種であることが好ましい。このようにすることでイオン伝導性に優れた結晶を得ることができる。
なお、上記一般式における各係数の好ましい範囲は以下の通りである。
sは1.4〜5.2、2.5〜3.5、特に2.8〜3.1であることが好ましい。sが小さすぎると、ナトリウムイオンが少なくなるためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、sが大きすぎると、余剰のナトリウムがリン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム等のイオン伝導に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
tは1〜2.9、1〜2.5、特に1.3〜2であることが好ましい。tが小さすぎると、結晶中の三次元網目構造が減少するためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、tが大きすぎると、ジルコニアやアルミナ等のイオン伝導に寄与しない化合物を形成するため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
uは2.8〜4.1、2.8〜4、2.9〜3.2、特に2.95〜3.1であることが好ましい。uが小さすぎると、結晶中の三次元網目構造が減少するためイオン伝導性が低下しやすくなる。一方、uが大きすぎると、イオン伝導に寄与しない結晶を形成するためイオン伝導性が低下しやすくなる。
vは9〜14、9.5〜12、特に11〜12であることが好ましい。vが小さすぎると、A1(例えばアルミニウム成分)が低価数になるため電気絶縁性が低下しやすくなる。一方、vが大きすぎると、過酸化状態となってナトリウムイオンが酸素原子の孤立電子対から束縛されるため、イオン伝導性が低下しやすくなる。
上記NASICON結晶は、単斜晶系結晶、六方晶系結晶または三方晶系結晶、特に単斜晶系または三方晶系であればイオン伝導性に優れるため好ましい。
NASICON結晶の具体例としては、NaZrSiPO12、Na3.2Zr1.3Si2.20.810.5、NaZr1.6Ti0.4SiPO12、NaHfSiPO12、Na3.4Zr0.9Hf1.4Al0.6Si1.21.812、NaZr1.7Nb0.24SiPO12、Na3.6Ti0.20.8Si2.8、NaZr1.880.12SiPO12、Na3.12Zr1.880.12SiPO12、Na3.6Zr0.13Yb1.67Si0.112.912、NaYSi12等の結晶が挙げられる。特にNa3.12Zr1.880.12SiPO12がナトリウムイオン伝導性に優れるため好ましい。
次に、本発明の固体電解質シートの製造方法について説明する。本発明の固体電解質シートは、(a)原料粉末を仮焼成する工程、(b)前記仮焼成後の原料粉末をスラリーにする工程、(c)前記スラリーを基材上に塗布、乾燥してグリーンシートを得る工程、及び、(d)前記グリーンシートを焼成することによりナトリウムイオン伝導性結晶を生成する工程、を含む方法により製造することができる。
固体電解質シートがβ’’−アルミナを含有する場合、原料粉末は主成分としてAlを含有する。具体的には、原料粉末は、モル%で、Al 65〜98%、NaO 2〜20%、MgO+LiO 0.3〜15%、ZrO 0〜20%、Y 0〜5%を含有することが好ましい。このように組成を限定した理由は既述の通りであるため、説明を割愛する。
固体電解質シートがNASICON結晶を含有する場合、原料粉末は、モル%で、NaO 17.5〜50%、Al+Y+Yb+Nd+Nb+TiO+HfO+ZrO 12〜45%、SiO+P 24〜54%を含有することが好ましい。このように組成を限定することにより、所望のNASICON結晶を析出させることが可能となる。
原料粉末の平均粒子径(D50)は10μm以下であることが好ましい。原料粉末の平均粒子径が大きすぎると、原料粉末同士の接触面積が低下するため固相反応が十分に進行しにくくなる。また、固体電解質シートの薄型化が困難になる傾向がある。原料粉末の平均粒子径の下限は特に限定されないが、現実的には0.1μm以上である。
原料粉末を仮焼成することにより前駆体である複合酸化物(例えばβ−アルミナ)が生成し、その後の本焼成で複合酸化物をナトリウムイオン伝導性結晶に変化させる(例えばβ−アルミナをβ’’−アルミナに相転移させる)ことにより、本焼成時における収縮を抑制でき、固体電解質シートの平面度の悪化を抑制することができる。また、原料粉末を予め仮焼成しておくことで、後の本焼成時において、炭酸塩原料からの炭酸ガスの放出やナトリウム成分等の揮発が少なくなるため、グリーンシートの体積収縮が小さくなり、固体電解質シートの平面度の悪化や亀裂の発生を抑制することができる。固体電解質シートがβ’’−アルミナを含有する場合、仮焼成の温度は1000〜1400℃未満、1100〜1350℃、特に1200〜1300℃であることが好ましい。固体電解質シートがNASICON結晶を含有する場合、仮焼成の温度は900〜1200℃未満、1000〜1180℃、特に1050〜1160℃であることが好ましい。仮焼成の温度が低すぎると、上記効果が得にくくなる。一方、仮焼成の温度が高すぎると、本焼成時に焼結しにくくなるため固体電解質シートが緻密になりにくくなる。
仮焼成の時間は、上記効果が得られるように適宜調整すればよい。具体的には、仮焼成の時間は1〜20時間、2〜18時間、2〜15時間、2〜10時間、特に3〜8時間であることが好ましい。なお、仮焼成により原料粉末が凝集した場合は、所望の粒径となるように粉砕することが好ましい。
なお、仮焼成によりβ−アルミナ以外にβ’’−アルミナが生成しても構わない。あるいは、それ以外の複合酸化物が生成しても構わない。そのような複合酸化物として以下のものが挙げられる。
六方晶としては、NaAl、NaAl11、NaAl5.99.4、NaAl2234、Na2.58Al21.8134、NaAl2335、NaAl2233、Na1.5Al10.8317、Na1.22Al1117。11、Na2.74Al2238、NaLi0.35Al12.219.475、Na0.45Li0.57Al1117、Na0.47Li0.75Al1117.11、NaMgAl1525、NaMgAl1017、NaMgAl3050、Na0.47Mg0.75Al1117.11が挙げられる。
三方晶としては、Na1.77Al1117、Na1.71Al1117、NaMgAl1017、が挙げられる。
正方晶としては、NaAlが挙げられる。
立方晶としては、NaAlが挙げられる。
斜方晶としては、NaAl9.5、Na0.67Al9.33、NaAlO、が挙げられる。
単斜晶としては、Na17Al16、Na14Al13が挙げられる。
三斜晶としては、NaAlが挙げられる。
固体電解質シートがNASICON結晶を含有する場合、前駆体である複合酸化物として以下のものが挙げられる。
立方晶としては、NaZrO、(ZrO0.92(NaO)0.04、(ZrO0.95(NaO)0.025、Na2.47Zr0.13POが挙げられる。
六方晶としてはNaZrOが挙げられる。
単斜晶としてはNaSi19、NaSi、NaSi19、NaSi、NaSi(Si)、NaZrO、NaZr(POが挙げられる。
斜方晶としては(NaPO、Na、NaSi、Na14ZrSi1031が挙げられる。
三斜晶としてはNaSiOが挙げられる。
三方晶としてはNa1.3Zr1.832(PO、NaSi(Si18)、NaZr(PO、NaZr(PO、NaZr1.88(POが挙げられる。
その他、Na、Na(PO、NaPO、NaPO、Na10、Na、(NaPO、Na、NaSiO、NaSi、NaSi、NaSi、NaZrSiO、Na14ZrSi1031、Na2.8Zr6.5Si17.8が挙げられる。
仮焼成後の原料粉末に、バインダー、可塑剤、溶媒等を添加して混錬することによりスラリー化する。
溶剤は水あるいはエタノールやアセトン等の有機溶媒のいずれでも構わない。ただし、溶剤として水を用いた場合、ナトリウム成分が原料粉末から溶出してスラリーのpHが上昇し、原料粉末が凝集するおそれがある。そのため、有機溶媒を用いることが好ましい。
次に、得られたスラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)等の基材上に塗布、乾燥することによりグリーンシートを得る。スラリーの塗布はドクターブレードやダイコータ等により行うことができる。グリーンシートの厚みは0.01〜1mm、0.02〜1mm、特に0.05〜0.9mmであることが好ましい。グリーンシートの厚みが小さすぎると、固体電解質シートの機械的強度が低下したり、正極と負極が短絡するおそれがある。一方、グリーンシートの厚みが大きすぎると、固体電解質シートの厚みが大きくなって、固体電解質シート中のイオン伝導に要する距離が長くなり、単位セル当たりのエネルギー密度が低下しやすくなる。
さらに、グリーンシートを焼成することによりβ’’−アルミナが生成し、固体電解質シートを得る。具体的には、焼成によりβ−アルミナはイオン伝導性に優れるβ’’−アルミナへ相変化する。あるいは、グリーンシートを焼成することによりNASICON結晶が生成し、固体電解質シートを得る。
固体電解質シートがβ’’−アルミナを含有する場合、焼成温度は1400℃以上、1450℃以上、特に1500℃以上であることがより好ましい。焼成温度が低すぎると、固体電解質シート中において、β’’−アルミナの各粒子の焼結が不十分になり、緻密なシートになりにくいためイオン伝導度が低下しやすくなる。また、β−アルミナからβ’’−アルミナへの相変化も起きにくく、イオン伝導度が低下しやすくなる。一方、焼成温度の上限は、1750℃以下、特に1700℃以下であることが好ましい。焼成温度が高すぎるとナトリウム成分等の蒸発量が多くなり、異種結晶が析出したり、緻密性が低下する傾向がある。その結果、固体電解質シートのイオン伝導性が低下しやすくなる。なお、焼成時間は、生成したβ’’−アルミナが十分焼結されるよう適宜調整される。具体的には、10〜120分間、特に20〜80分間であることが好ましい。
固体電解質シートがNASICON結晶を含有する場合、焼成温度は1200℃以上、特に1210℃以上であることがより好ましい。焼成温度が低すぎると、緻密な固体電解質シートが得られずイオン伝導度が低下しやすくなる。また、NASICON結晶が析出しにくく、イオン伝導度が低下しやすくなる。一方、焼成温度の上限は、1400℃以下、特に1300℃以下であることが好ましい。焼成温度が高すぎるとナトリウム成分等の蒸発量が多くなり、異種結晶が析出したり、緻密性が低下する傾向がある。その結果、固体電解質シートのイオン伝導性が低下しやすくなる。なお、焼成時間は、緻密な焼結体が得られるよう適宜調整される。
なお、グリーンシートを焼成する前に等方圧プレス等のプレス処理を行うことにより、焼成後の固体電解質シートにおけるβ’’−アルミナやNASICON結晶等の各粒子の密着性が向上し、イオン伝導度が向上しやすくなる。
また、グリーンシートを上セッター及び下セッターの間に設置し、かつ、グリーンシートと上セッターとの間に隙間を設けた状態で焼成を行うことが好ましい。このようにすれば、焼成時におけるグリーンシートの収縮に伴う平面度の悪化及び亀裂の発生をより一層抑制することができる。グリーンシートと上セッターとの隙間は1〜500μm、2〜400μm、特に5〜300μmであることが好ましい。当該隙間が小さすぎると、上記効果が得にくくなる。一方、当該隙間が大きすぎると、焼成時におけるグリーンシートの収縮に起因するうねりが発生し、固体電解質シートの平面度の値が大きくなる傾向がある。
本発明の固体電解質シートはナトリウムイオン全固体二次電池用として好適である。ナトリウムイオン全固体二次電池は、本発明の固体電解質シートの一方の面に正極層、他方の面に負極層が形成されてなる。正極層及び負極層には活物質が含まれる。活物質は、正極活物質または負極活物質として作用するものであり、充放電の際には、ナトリウムイオンの吸蔵・放出を行うことができる。
正極活物質としては、NaCrO、Na0.7MnO、NaFe0.2Mn0.4Ni0.4等の層状ナトリウム遷移金属酸化物結晶やNaFeP、NaFePO、Na(PO等の、Na、M(MはCr、Fe、Mn、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素)、P、Oを含むナトリウム遷移金属リン酸塩結晶等の活物質結晶を挙げることができる。
特に、Na、M、P及びOを含む結晶は、高容量で化学的安定性に優れるため好ましい。なかでも、空間群P1またはP−1に属する三斜晶系結晶、特に一般式NaMyP(1.20≦x≦2.80、0.95≦y≦1.60)で表される結晶が、サイクル特性に優れるため好ましい。
負極活物質としては、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種の金属結晶等の活物質結晶を挙げることができる。
Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶は、サイクル特性に優れるため好ましい。さらに、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶が、Na及び/またはLiを含むと、充放電効率(充電容量に対する放電容量の比率)が高まり、高い充放電容量を維持することができるため好ましい。なかでも、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶が、斜方晶系結晶、六方晶系結晶、立方晶系結晶または単斜晶系結晶、特に空間群P21/mに属する単斜晶系結晶であれば、大電流で充放電しても容量の低下が起こりにくいため好ましい。斜方晶系結晶としては、NaTi等が、六方晶系結晶としては、NaTiO、NaTi13、NaTiO、LiNbO、LiNbO、LiNbO、LiNbO、LiTi等が、立方晶系結晶としては、NaTiO、NaNbO、LiTi12、LiNbO等が、単斜晶系結晶としては、NaTi13、NaTi、NaTiO、NaTi12、NaTi、NaTi19、NaTi、NaTi、Li1.7Nb、Li1.9Nb、Li12Nb1333、LiNb等が、空間群P21/mに属する単斜晶系結晶としては、NaTi等が挙げられる。
Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種及びOを含む結晶は、さらに、B、Si、P及びGeから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの成分は、活物質結晶とともに非晶質相を形成させやすくし、ナトリウムイオン伝導性を向上させる効果を有する。
その他に、Sn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種の金属結晶、またはSn、Bi及びSbから選ばれる少なくとも1種を含有するガラスを使用することができる。これらは、高容量であり、大電流で充放電しても容量の低下が起こりにくいため好ましい。
正極層及び負極層は、活物質と固体電解質とのコンポジットからなる電極合材層としてもよい。固体電解質は電極合材中のナトリウムイオン伝導パスとして作用し、電池の放電容量や電圧を向上させることができる。
固体電解質としては、上述の固体電解質シートを粉末状にしたものを使用することができる。
正極層及び負極層はさらに導電助剤を含有することが好ましい。導電助剤は、電極の高容量化やハイレート化を達成するために添加される成分である。導電助剤の具体例としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラック、黒鉛、コークス等や、Ni粉末、Cu粉末、Ag粉末等の金属粉末等が挙げられる。なかでも、極少量の添加で優れた導電性を発揮する高導電性カーボンブラック、Ni粉末、Cu粉末のいずれかを用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1は実施例1〜6、表2は比較例1〜5を示す。
(a−1)固体電解質シートAの作製
(スラリーの作製)
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化アルミニウム(Al)及び酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)を原料とし、モル%で、NaO 14.2%、Al 75.4%、MgO 5.4%、ZrO 4.9%、Y 0.1%となるように原料粉末を調製した。図2に原料粉末の粉末X線回折パターンを示す。なお、粉末X線回折パターンは、X線回折装置(RIGAKU社 RINT2000)を用いて測定した。実施例1〜3、5については、原料粉末を1250℃で4時間仮焼成した後、粉砕、分級したものを使用した。仮焼成後の原料粉末について粉末X線回折パターンを確認したところ、空間群P63に属する六方晶系結晶(β−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))及び空間群R−3mに属する三方晶系結晶(β’’−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))由来の回折線が確認された。図3に粉末X線回折パターンを示す。また、X線回折パターンからβ’’化率を求めたところ54%であった。なお、β’’化率は以下のようにして求めた。
β’’化率=Iβ’’/(Iβ+Iβ’’)×100%
Iβ:β−アルミナ相のピーク強度
Iβ’’: β’’−アルミナ相のピーク強度
Iβはβ−アルミナ相の(1,0,7)面の強度を4.5倍、Iβ’’はβ’’−アルミナ相の(0,2,10)面のピーク強度を4.2倍にしたものを用いた。なお、比較例1、2、4については、原料粉末に対して仮焼成を行わずにそのまま使用した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。エタノールを蒸発させた後、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学製オリコックス1700)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを用い、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、N−メチルピロリドンに分散させた後、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
(グリーンシートの作製)
PETフィルム上に、ドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。
(グリーンシートのプレス及び焼成)
得られたグリーンシートを15mm角に切断し、等方圧プレス装置を用いて90℃、40MPaで5分間プレスした。プレス後のグリーンシートを上セッター及び下セッター(いずれもMgOシート)の間に設置し、かつ、グリーンシートと上セッターとの間に10μmの隙間を設けた状態で、1600℃で30分間焼成することにより固体電解質シートAを得た。固体電解質シートAについて粉末X線回折パターンを確認したところ、空間群P63に属する六方晶系結晶(β−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))及び空間群R−3mに属する三方晶系結晶(β’’−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))由来の回折線が確認された。及び図4に粉末X線回折パターンを示す。X線回折パターンからβ’’化率を求めたところ82%であった。
(a−2)固体電解質シートBの作製
(スラリーの作製)
炭酸ナトリウム(NaCO)、イットリア安定化ジルコニア((ZrO0.97(Y0.03))、二酸化ケイ素(SiO)、メタリン酸ナトリウム(NaPO)を用いて、モル%で、NaO 25.3%、ZrO 31.6%、Y 1%、SiO 33.7%、P 8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。実施例4、6については、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕、分級したものを使用した。比較例3、5については、原料粉末に対して仮焼成を行わずにそのまま使用した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。エタノールを蒸発させた後、バインダーとしてアクリル酸エステル系共重合体(共栄社化学製オリコックス1700)、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチルを用い、原料粉末:バインダー:可塑剤=83.5:15:1.5(質量比)となるように秤量し、N−メチルピロリドンに分散させた後、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
(グリーンシートの作製)
PETフィルム上に、ドクターブレードを用いて上記で得られたスラリーを塗布し、70℃で乾燥することによりグリーンシートを得た。
(グリーンシートのプレス及び焼成)
得られたグリーンシートを15mm角に切断し、等方圧プレス装置を用いて90℃、40MPaで5分間プレスした。プレス後のグリーンシートを上セッター及び下セッター(いずれもPt板)の間に設置し、かつ、グリーンシートと上セッターとの間に10μmの隙間を設けた状態で、1220℃で40時間焼成することにより固体電解質シートBを得た。固体電解質シートBについて粉末X線回折パターンを確認したところ、NASICON結晶が確認された。
(b)平面度の測定
得られた固体電解質シートの中央部10mm角の範囲の表面形状をSURFCORDER ET4000AK(株式会社小坂研究所製)を用いて以下の条件で測定した。測定により得られた固体電解質シート表面の高さの最大値と最小値の差を平面度とした。
・X測定長さ:10mm
・X送り速さ:0.1mm/s
・Y送りピッチ:200μm
・Yライン数:51
(c)ナトリウムイオン全固体二次電池の作製
(c−1)正極活物質結晶前駆体粉末の作製
メタリン酸ナトリウム(NaPO)、酸化第二鉄(Fe)及びオルソリン酸(HPO)を原料とし、モル%で、NaO 40%、Fe 20%、P 40%となるように原料粉末を調合し、1250℃にて45分間、大気雰囲気中にて溶融を行った。その後、一対のロールに溶融ガラスを流し込み、急冷しながらフィルム状に成形することにより、正極活物質結晶前駆体を作製した。
得られた正極活物質結晶前駆体について、φ20mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、目開き120μmの樹脂製篩に通過させ、平均粒子径3〜15μmのガラス粗粉末を得た。次いで、このガラス粗粉末に対し、粉砕助剤にエタノールを用い、φ3mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を80時間行うことで、平均粒子径0.7μmの正極活物質結晶前駆体粉末を得た。
析出される活物質結晶を確認するため、質量%で、得られた正極活物質結晶前駆体粉末 93%、アセチレンブラック(TIMCAL社製 SUPER C65) 7%を十分に混合した後、窒素と水素の混合ガス雰囲気(窒素96体積%、水素4体積%)中450℃にて1時間熱処理を行った。熱処理後の粉末について粉末X線回折パターンを確認したところ、空間群P−1に属する三斜晶系結晶(NaFeP)由来の回折線が確認された。
(c−2)固体電解質粉末Aの作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化アルミニウム(Al)及び酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)を原料とし、モル%で、NaO 14.2%、Al 75.4%、MgO 5.4%、ZrO 4.9%、Y 0.1%となるように原料粉末を調合し、大気雰囲気中1250℃にて4時間焼成を行った。焼成後の粉末について、φ20mmのAl玉石を使用したボールミル粉砕を24時間行った。その後、空気分級することにより、平均粒子径D50 2.0μmの粉末を得た。得られた粉末は成形金型を用いて11MPaの圧力でφ30mmの円柱に成形した後、大気雰囲気中1600℃にて30分間熱処理を行うことにより、ナトリウムイオン伝導性結晶(β’’−アルミナ)を得た。得られたナトリウムイオン伝導性結晶は、アルミナ乳鉢、乳棒を用いて粉砕し、目開き300μmのメッシュを通過させた。得られた粉末を、φ5mmのZrO玉石を投入したFritsch社製遊星ボールミルP6を用いて300rpm−30分間(15分毎に15分間休止)粉砕し、目開き20μmのメッシュを通過させた。その後、空気分級機を使用して分級することにより、β’’−アルミナを含有する固体電解質粉末Aを得た。なお、ナトリウムイオン伝導性結晶、及びナトリウムイオン伝導性結晶粉末の作製は露点−40℃以下の環境で行った。
(c−3)固体電解質粉末Bの作製
炭酸ナトリウム(NaCO)、イットリア安定化ジルコニア((ZrO0.97(Y0.03))、二酸化ケイ素(SiO)、メタリン酸ナトリウム(NaPO)を用いて、モル%で、NaO 25.3%、ZrO 31.6%、Y 1%、SiO 33.7%、P 8.4%の組成となるように原料粉末を調合した。次に、エタノールを媒体として、原料粉末を4時間湿式混合した。その後エタノールを蒸発させ、原料粉末を1100℃で8時間仮焼成した後、粉砕し空気分級機(日本ニューマチック工業株式会社製 MDS−3型)を使用して分級した。分級した粉末をφ30mmの金型を用いて11MPaで一軸プレスにより成型し、1220℃、40時間熱処理を行うことでナトリウムイオン伝導性結晶(NASICON結晶)を含有する固体電解質を得た。
得られた固体電解質をアルミナ製の乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、目開き300μmのメッシュを通過させた。得られた粉末を、φ5mmのZrO玉石を投入したFritsch社製遊星ボールミルP6を用いて300rpm−30分間(15分毎に15分間休止)粉砕し、目開き20μmのメッシュを通過させた。その後、空気分級機を使用して分級することにより、ナトリウムイオン伝導性結晶(NASICON結晶)を含有する固体電解質粉末Bを得た。なお、ナトリウムイオン伝導性結晶、及びナトリウムイオン伝導性結晶粉末の作製は露点−40℃以下の環境で行った。
(c−4)試験電池の作製
質量%で、正極活物質結晶前駆体粉末 72%、固体電解質粉末A 25%、アセチレンブラック(TIMCAL社製 SUPER C65) 3%となるように秤量し、メノウ製の乳鉢及び乳棒を用いて約30分間混合した。混合した粉末100質量部に、10質量%のポリプロピレンカーボネート(住友精化株式会社製)を含有したN−メチルピロリドンを20質量部添加して、自転公転ミキサーを用いて十分に撹拌し、スラリー化した。なお、上記の操作はすべて露点−40℃以下の環境で行った。
表面に開口部10mm角、厚さ100μmのマスキングシールを張り付けた表に示す厚みを有する固体電解質シートAに対し、スキージを用いてスラリーを塗布し、70℃にて3時間乾燥させた。次に、窒素と水素の混合ガス雰囲気(窒素96体積%、水素4体積%)中450℃にて1時間焼成することで固体電解質シートの一方の表面に正極層を形成した。得られた正極層についてX線回折パターンを確認したところ、活物質結晶である空間群P−1に属する三斜晶系結晶(NaFeP)及びナトリウムイオン伝導性結晶である空間群P63に属する六方晶系結晶(β−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))及び空間群R−3mに属する三方晶系結晶(β’’−アルミナ=(Al10.35Mg0.6516)(Na1.65O))由来の回折線が確認された。
正極層の表面にスパッタ装置(サンユー電子株式会社製 SC−701AT)を用いて厚み300nmの金電極からなる集電体を形成した。その後、露点−60℃以下のアルゴン雰囲気中にて、対極となる金属ナトリウムを固体電解質シートの正極層が形成された層とは反対の表面に圧着し、コインセルの下蓋に載置した後、上蓋を被せてCR2032型試験電池を作製した。
なお、実施例4及び比較例3では、固体電解質シートAの代わりに表に示す厚みを有する固体電解質シートBを使用した以外は上記と同様にして試験電池を作製した。また、実施例5及び比較例4では、固体電解質粉末Aの代わりに固体電解質粉末Bを使用した以外は上記と同様にして試験電池を作製した。さらに、実施例6及び比較例5では、固体電解質シートAの代わりに表に示す厚みを有する固体電解質シートBを使用し、固体電解質粉末Aの代わりに固体電解質粉末Bを使用した以外は上記と同様にして試験電池を作製した。
(c−5)充放電試験
得られた試験電池を用いて30℃で充放電試験を行い、放電容量を測定した。結果を表1、2に示す。充放電試験において、充電(正極活物質からのナトリウムイオン放出)は、開回路電圧(OCV)から4.3VまでのCC(定電流)充電により行い、放電(正極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)は、4.3Vから2VまでCC放電により行った。Cレートは0.01Cとした。
なお、表1、2中の平均電圧及び放電容量は、Cレート0.01Cで評価した初回の平均電圧及び放電容量を意味し、急速充放電特性は、Cレート0.01Cの初回放電容量に対する0.1Cの初回放電容量の割合((0.1C/0.01C)×100(%))をそれぞれ示している。
実施例1〜6では、平均電圧が2.5〜2.8V、放電容量が61〜73mAh/g、急速充放電特性が64〜82%、エネルギー密度が37.4〜82.3mWh/cmと各特性に優れていた。一方、比較例1、3〜5では、平均電圧が2.5V以下、放電容量が52mAh/g以下、急速充放電特性が46%以下、エネルギー密度が32.0mWh/cm以下と劣っていた。なお、固体電解質シートの平面度が487μmと著しく大きい比較例2では、電池作製時に固体電解質シートが割れたため、電池特性を測定できなかった。
本発明の固体電解質シートは、ナトリウムイオン全固体二次電池、ナトリウム−硫黄電池等の電池用途の他、COセンサやNOセンサ等のガスセンサ用の固体電解質としても好適である。

Claims (8)

  1. β’’−アルミナ及びNASICON結晶から選ばれる少なくとも1種のナトリウムイオン伝導性結晶を含有し、厚みが500μm以下かつ平面度が200μm以下であることを特徴とする固体電解質シート。
  2. モル%で、Al 65〜98%、NaO 2〜20%、MgO+LiO 0.3〜15%、ZrO 0〜20%、Y 0〜5%を含有することを特徴とする請求項1に記載の固体電解質シート。
  3. 一般式NaA1A2(A1はAl、Y、Yb、Nd、Nb、Ti、Hf及びZrから選択される少なくとも1種、A2はSi及びPから選択される少なくとも1種、s=1.4〜5.2、t=1〜2.9、u=2.8〜4.1、v=9〜14)で表される結晶を含有することを特徴とする請求項1に記載の固体電解質シート。
  4. 全固体ナトリウムイオン二次電池用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質シート。
  5. 正極合材層、固体電解質層、負極合材層を含む全固体電池であって、固体電解質層が請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質シートからなることを特徴とする全固体二次電池。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質シートを製造するための方法であって、
    (a)原料粉末を仮焼成する工程、
    (b)前記仮焼成後の原料粉末をスラリーにする工程、
    (c)前記スラリーを基材上に塗布、乾燥してグリーンシートを得る工程、及び、
    (d)前記グリーンシートを焼成することによりナトリウムイオン伝導性結晶を生成する工程、
    を含むことを特徴とする固体電解質シートの製造方法。
  7. 前記工程(d)において、前記グリーンシートを上セッター及び下セッターの間に設置し、かつ、前記グリーンシートと前記上セッターとの間に隙間を設けた状態で焼成を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の固体電解質シートの製造方法。
  8. 前記隙間が1〜500μmであることを特徴とする請求項7に記載の固体電解質シートの製造方法。
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