JP2019056952A - 車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム - Google Patents

車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より適切な運転制御を実行することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。【解決手段】実施形態の車両制御装置は、車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識部と、前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御する運転制御部であって、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる運転制御部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
近年、車両を自動的に制御することについて研究が進められている。これに関連して、走行中の道路を横断する横断者が検出された場合に、車両を道路の中央側に寄せて横断者の手前で停止又は減速するように走行するための経路を生成し、生成した経路で自動走行を実行する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2017−102666号公報
しかしながら、従来の技術では、立体横断施設の有無に基づく自動運転制御については考慮されていなかった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より適切な運転制御を実行することができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
(1):車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識部(131)と、前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御する運転制御部(142、144、160)であって、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる運転制御部と、を備える車両制御装置(100)である。
(2):(1)において、前記車両が走行する車線の対向車線が前記立体横断施設の付近で渋滞しているか否かを判定する渋滞判定部(133)と、前記車両の周辺に存在する移動体を認識する移動体認識部(132)と、を更に備え、前記運転制御部は、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合において、前記渋滞判定部により前記対向車線の道路が渋滞していると判定された場合、前記移動体認識部により移動体が認識されているか否かに拘わらず、前記走行モードで前記車両を走行させるものである。
(3):(1)または(2)において、前記車両が走行する道路の幅を認識する道路幅認識部(134)を更に備え、前記運転制御部は、前記道路幅認識部により認識された道路の幅が所定幅以下である場合に、前記走行モードで前記車両を走行させるものである。
(4):(2)において、前記運転制御部は、前記移動体認識部により認識された移動体が前記立体横断施設に向かわずに、前記車両が走行する道路に近づいていると判定された場合に、前記走行モードで前記車両を走行させるものである。
(5):(2)において、前記車両が走行する道路に描画された横断歩道を認識する道路標識認識部(135)を更に備え、前記運転制御部は、前記移動体認識部により認識された移動体から見て、前記立体横断施設よりも遠い位置に、前記道路標識認識部により横断歩道が認識された場合に、前記走行モードで前記車両を走行させるものである。
(6):(1)〜(4)のうち何れか一つにおいて、前記車両が走行する道路に描画された横断歩道を認識する道路標識認識部(135)を更に備え、前記運転制御部は、前記立体横断施設と前記道路標識認識部により認識された横断歩道との距離が所定距離以下である場合に、前記走行モードで前記車両を走行させないものである。
(7):(1)〜(6)のうち何れか一つにおいて、前記車両が走行する道路に設置された信号機を認識する信号機認識部(136)を更に備え、前記運転制御部は、前記信号機認識部により認識された信号機が、前記立体横断施設の位置から所定距離以内に存在する場合に、前記走行モードで前記車両を走行させないものである。
(8):立体横断施設認識部が、車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識し、運転制御部が、前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御し、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる、車両制御方法である。
(9):車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識部を備える車両に搭載されるコンピュータに、前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御させ、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる、プログラムである。
(1)〜(9)によれば、より適切な運転制御を実行することができる。
実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。 第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。 歩道橋PBを認識した場合に目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 渋滞判定部133による判定結果に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 歩行者の挙動に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 道路標識認識部135による認識結果に基づいて自車両Mの目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 歩道橋PBと横断歩道CW1との距離に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 信号機認識部136による認識結果に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 歩道橋PB1の形状に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。 実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、以下の説明では、自動運転車両を用いて説明する。自動運転とは、乗員の操作に依らずに、車両の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して車両を走行させることである。また、自動運転車両は、乗員による手動運転が行われてもよい。手動運転とは、後述する運転操作子の操作量に応じて、後述する車両の走行駆動力出力装置、ブレーキ装置、およびステアリング装置が制御される。
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機を備える場合、電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置(車両制御装置の一例)100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。また、物体認識装置16は、必要に応じて、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キー等を含む。
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。経路決定部53により決定された地図上経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された地図上経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所等が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力される。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。認識部130は、例えば、立体横断施設認識部131と、移動体認識部132と、渋滞判定部133と、道路幅認識部134と、道路標識認識部135と、信号機認識部136とを備える。行動計画生成部140は、例えば、加速抑制運転制御部142と、接触回避運転制御部144とを備える。また、加速抑制運転制御部142と、接触回避運転制御部144と、第2制御部160とを合わせたものが「運転制御部」の一例である。また、行動計画生成部140により生成された目標軌道に基づいて自車両Mを走行させるモードを「第1走行モード」と、加速抑制運転制御部142により生成された目標軌道に基づいて自車両Mを走行させるモードを「第2走行モード」と、接触回避運転制御部144により生成された目標軌道に基づいて自車両Mを走行させるモードを「第3走行モード」と称することとする。
第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等を利用した画像認識手法による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示等がある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現される。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体には、対向車両や静止した障害物が含まれる。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、認識部130は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mがこれから通過するカーブの形状を認識する。認識部130は、カーブの形状をカメラ10の撮像画像から実平面に変換し、例えば、二次元の点列情報、或いはこれと同等なモデルを用いて表現した情報を、カーブの形状を示す情報として行動計画生成部140に出力する。
また、認識部130は、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレール等を含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、道路標識、信号機、料金所、その他の道路事象を認識する。
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。また、これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
また、認識部130は、上記の認識処理において、認識精度を導出し、認識精度情報として行動計画生成部140に出力してもよい。例えば、認識部130は、一定期間において、道路区画線を認識できた頻度に基づいて、認識精度情報を生成する。認識部130の立体横断施設認識部131、移動体認識部132、渋滞判定部133、道路幅認識部134、道路標識認識部135、および信号機認識部136の機能については、後述する。
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応した自動運転が実行されるように、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。行動計画生成部140の加速抑制運転制御部142および接触回避運転制御部144の機能については、後述する。
第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140、加速抑制運転制御部142、または接触回避運転制御部144により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[目標軌道の生成について]
次に、実施形態における目標軌道の生成について具体的に説明する。行動計画生成部140、加速抑制運転制御部142、および、接触回避運転制御部144は、以下に説明する何れかの手法、または組み合わせによって、自車両Mを第1または第2走行モードで走行させるための目標軌道を生成する。
(第1の手法)
一般的に、車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設は、その道路や交差点を横断する歩行者が多く、歩行者が横断するために信号機を設置すると道路渋滞が発生してしまうと予測される場所に設置される。立体横断施設とは、例えば、横断歩道橋、地下横断歩道である。横断歩道橋とは、例えば、道路を跨ぐように架けられた歩行者または自転車、自動車等の移動体が通行可能な陸橋である。また、地下横断歩道とは、例えば、移動体が道路を横断するための地下道である。
このような立体横断施設が設置された道路や交差点では、道路環境等によって、立体横断施設を利用せずに直接道路を横断する移動体も考えられる。そこで、第1の手法において、立体横断施設認識部131は、自車両Mが走行する車線の前方に存在する立体横断施設を認識し、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により立体横断施設が認識された場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。これが、上述した第2走行モードで走行するための目標軌道である。第2走行モードとは、立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で自車両Mを走行させる走行モードである。以下では、立体横断施設の一例として横断歩道橋を用い、移動体の一例として歩行者を用いて説明する。
図3は、歩道橋PBを認識した場合に目標軌道を生成する手法について説明するための図である。図3の例では、自車両Mの走行車線L1と、対向車両mが走行する対向車線L2とを含む道路と、走行車線L1および対向車線L2を横断する歩道橋PBとが示されている。
立体横断施設認識部131は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mが走行中の走行車線L1を横断する歩道橋PBを認識する。また、立体横断施設認識部131は、例えば、自車両Mの位置と、第1地図情報54または第2地図情報62とを照合して、自車両Mの進行方向における、自車両Mとの距離が第1距離D1以内の範囲に存在する歩道橋PBを認識する。第1距離D1は、例えば、100[m]程度の値である。
[加速抑制運転制御部の機能]
加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合に、歩道橋PBの位置を基準とした第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。第2走行モード適用区間Zは、例えば、自車両Mから見て歩道橋PBの手前側における歩道橋までの距離が第2距離D2である位置から、自車両Mから見て歩道橋PBの向う側における歩道橋までの距離が第3距離D3の位置までの区間である。第2距離D2と第3距離D3は、それぞれ30[m]程度の距離である。また、加速を抑制した状態とは、自車両Mの定速走行、減速走行、または停止を含む。
[移動体認識部の機能]
移動体認識部132は、カメラ10の撮像画像から、歩道橋PBの付近にいる歩行者を認識する。歩道橋PBの付近は、例えば、歩道橋PBの位置から10[m]程度の範囲である。また、移動体認識部132は、認識した歩行者の挙動を認識してもよい。歩行者の挙動とは、例えば、移動方向である。移動方向は、例えば、三次元座標を基準にした速度ベクトルで表される方向である。また、移動体認識部132は、歩道橋PBの付近にいる歩行者の相対距離を認識してもよい。
[接触回避運転制御部の機能]
接触回避運転制御部144は、例えば、走行車線L1を横断する横断歩行者と接近している場合に、横断歩行者との接触を回避するための目標軌道を生成する。例えば、接触回避運転制御部144は、移動体認識部132により認識された自車両Mに対する横断歩行者の相対距離および相対速度から、自車両Mと横断歩行者が将来接触する確率を計算する。例えば、接触回避運転制御部144は、相対距離が近くなるほど接触する確率が高くなり、相対速度が大きいほど接触する確率が大きくなる傾向を有する関数を用いることで、自車両Mと横断歩行者とが接触する確率を計算する。例えば、関数は、相対速度を相対距離で除算する関数である。
そして、接触回避運転制御部144は、計算した確率が第1閾値Th1以上であるか否かを判定する。接触回避運転制御部144は、自車両Mと横断歩行者とが接触する確率が第1閾値Th1以上である場合に、接触する確率が低くなるような目標軌道を生成する。具体的には、接触回避運転制御部144は、横断歩行者が自車両Mと接触せずに走行車線L1を横断できるように、横断歩行者の手前で自車両Mを停止したり、操舵により横断歩行者を避ける目標軌道を生成する。これが、上述した第3走行モードで走行するための目標軌道である。
取得部162は、加速抑制運転制御部142により生成された目標軌道を取得した場合、または接触回避運転制御部144により生成された目標軌道を取得した場合に、HMI30に含まれる表示装置に、目標軌道に相当する走行モード(第2または第3走行モード)を示す情報を表示させてもよい。これにより、乗員は、第2または第3走行モードによる加速抑制または接触回避の運転制御が実行される、またはされていることを容易に把握することができる。なお、第2の手法以降についても、上述した接触回避運転制御部144および取得部162の処理が行われる。
上述した第1の手法によれば、歩道橋PBを認識した場合に、移動体認識部132により歩行者が認識されているか否かに拘わらず、歩道橋PBの付近で加速を抑制する目標軌道に基づいて、第2走行モードで自車両Mを走行させることで、例えば、歩道橋PBによる死角領域から歩行者が横断してきた場合であっても、速やかに接触回避の運転制御を実行することができる。したがって、歩道橋PBの有無等の道路環境に基づいて、より適切な運転制御を実行することができる。
(第2の手法)
例えば、歩道橋PBが設置されている場合であっても横断する道路が渋滞中であれば、歩行者が横断しやすいと判断して、渋滞車両の隙間から歩行者が横断してくる可能性が高くなることが予想される。そこで、第2の手法において、渋滞判定部133は、対向車線L2が渋滞しているか否かを判定し、加速抑制運転制御部142は、渋滞判定部133により対向車線L2が渋滞していると判定された場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。
[渋滞判定部の機能]
図4は、渋滞判定部133による判定結果に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。例えば、渋滞判定部133は、上述した第2走行モード適用区間Z、或いは異なる区間に存在する対向車両mの台数を認識し、認識した台数が所定台数以上である場合に、対向車線L2が渋滞していると判定する。
また、渋滞判定部133は、例えば、所定時間(例えば、5[秒]程度)内に走行車線L1を走行中の自車両Mとすれ違った対向車両mの台数を対向車線L2の交通量として算出し、算出した交通量が所定量以上である場合に、対向車線L2が渋滞していると判定してもよい。また、渋滞判定部133は、認識部130により認識された対向車両mの速度が所定速度(例えば、5[km/h])以下である場合に、対向車線L2が渋滞していると判定してもよい。また、渋滞判定部133は、通信装置20により外部装置(例えば、交通管理サーバ)にアクセスし、外部装置から自車両Mの位置に基づく対向車線L2の交通情報を取得し、対向車線L2が渋滞しているか否かを判定してもよい。
第2の手法において、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、且つ、渋滞判定部133により対向車線L2が渋滞していると判定された場合に、移動体認識部132により歩行者が認識されているか否かに拘わらず、第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
上述した第2の手法によれば、横断歩道橋PB付近で対向車線が渋滞している場合に、歩行者が認識できているか否かに拘わらず、自車両Mの加速を抑制した走行モードで自車両Mを走行させることで、図4の例のように、対向車線L2側から横断してきた歩行者P1が対向車両mの死角領域に隠れている場合であっても、歩行者P1を認識した後、速やかに接触回避制御を行うことができる。
(第3の手法)
第3の手法において、道路幅認識部134は、自車両Mの走行車線L1および対向車線L2の幅を認識し、加速抑制運転制御部142は、道路幅認識部134により認識された道路幅が所定幅(例えば、4[m]程度)以下である場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。また、所定幅とは、車線数に基づく合計の幅であってもよい。例えば、双方向一車線の計2車線の道路であり、それぞれの車線幅が4[m]とした場合、第所定幅は、その合計の8[m]となる。また、道路幅認識部134は、道路幅に代えて(または加えて)、道路に含まれる車線数(例えば、双方向一車線の場合には、二車線)であってもよい。
図3に戻り、道路幅認識部134は、例えば走行車線L1および対向車線L2のそれぞれの道路幅WL1およびWL2を認識し、認識した道路幅の合計値が所定幅以下である場合に、歩行者が横断歩道橋を利用せずに直接横断する可能性があると推定する。
第3の手法において、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、且つ、道路幅認識部134により道路幅が所定幅以下である場合に、第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
上述した第3の手法によれば、自車両Mの走行車線L1および対向車線L2を含む道路幅が短く、歩行者が直接横断しやすいと推定される道路である場合に、自車両Mの加速を抑制した走行モードで自車両Mを走行させることで、歩道橋PBの有無や道路幅等の道路環境に基づいて、より適切な運転制御を実行することができる。
(第4の手法)
第4の手法において、移動体認識部132は、歩行者の移動方向を認識し、加速抑制運転制御部142は、移動体認識部132により認識された歩行者の移動方向が歩道橋PBの入口方向ではなく、横断する道路方向(すなわち、自車両Mの走行車線L1に向かう方向)であると推定される場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。
図5は、歩行者の挙動に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。第4の手法において、移動体認識部132は、歩道橋PBの入口付近にいる歩行者P2を認識する。入口付近は、例えば、入口から5[m]程度の範囲内の領域である。また、移動体認識部132は、歩行者P2の移動方向を認識する。移動体認識部132は、歩行者P2の移動方向が歩道橋PBの入口方向(図5の矢印a1が指し示す方向)であると認識した場合に、歩行者P2が歩道橋PBを利用すると推定する。また、移動体認識部132は、歩行者P2の移動方向が走行車線L1の方向(図5の矢印a2が差し示す方向)であると認識した場合に、歩行者が歩道橋PBを利用せずに、走行車線L1および対向車線L2を直接横断すると推定する。
第4の手法において、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、且つ、移動体認識部132により歩行者が車線方向に移動していると推定された場合に、第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
上述した第4の手法によれば、歩道橋PBを利用せずに走行車線L1および対向車線L2を直接横断する可能性が高いと推定される歩行者P2が認識された場合に、自車両Mの加速を抑制した走行モードで自車両Mを走行させることで、歩行者P2が実際に車線を直接横断してきた場合であっても、速やかに接触回避制御を行うことができる。第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
(第5の手法)
第5の手法において、道路標識認識部135は、自車両Mが走行する道路に描画された横断歩道を認識し、加速抑制運転制御部142は、歩行者の位置から横断歩道までの距離が、歩行者の位置から歩道橋PBまでの距離よりも遠い場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。
[道路標識認識部の機能]
図6は、道路標識認識部135による認識結果に基づいて自車両Mの目標軌道を生成する手法について説明するための図である。道路標識認識部135は、例えば、カメラ10の撮像画像から、走行車線L1の前方の道路に描かれた横断歩道CW1の位置を認識する。また、道路標識認識部135は、カメラ10の撮像画像から、走行車線L1の側端部付近に設置された横断歩道であることを示す道路標識CW2の位置を認識してもよい。また、道路標識認識部135は、自車両Mの位置と、第1地図情報54または第2地図情報62とを照合して、自車両Mの前方の横断歩道CW1または道路標識CW2の位置を認識してもよい。
加速抑制運転制御部142は、例えば、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識されると共に、道路標識認識部135により横断歩道CW1が認識できた場合であって、且つ、移動体認識部132により歩行者P3が認識された場合に、歩行者P3から歩道橋PBまでの距離である第4距離D4、および歩行者P3から横断歩道CW1までの距離である第5距離D5を算出する。そして、加速抑制運転制御部142は、第4距離D4が第5距離D5以下である場合に、歩行者P3が横断歩道CW1を利用せずに道路を横断するものと推定し、第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
上述した第5の手法によれば、歩行者P3に対する横断歩道CW1および歩道橋PBの位置関係に基づいて、歩行者P3が横断歩道CWや歩道橋PBを利用せずに走行車線L1および対向車線L2を直接横断すると推定して、自車両Mの加速を抑制した走行モードで自車両Mを走行させることで、歩行者P3が実際に車線を横断してきた場合であっても、速やかに接触回避制御を行うことができる。
(第6の手法)
第6の手法において、加速抑制運転制御部142は、歩道橋PBと、横断歩道CW1との距離を算出し、算出した距離が第2閾値Th2以下である場合に、歩道橋PBに基づく自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成しないようにする。第2閾値Th2は、例えば、10[m]程度の値である。
図7は、歩道橋PBと横断歩道CW1との距離に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。立体横断施設認識部131は、自車両Mの前方の歩道橋PBの位置を認識する。道路標識認識部135は、自車両Mの前方の横断歩道CW1の位置を認識する。加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により認識された歩道橋PBの位置から、道路標識認識部135により認識された横断歩道CW1の位置までの距離である第6距離D6を算出し、算出した第6距離D6が第2閾値Th2以下である場合に、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成しない。
なお、この場合には、行動計画生成部140は、交差点や横断歩道、踏切、信号機等の所定のポイントを通過する通過イベントに応じて自車両Mが走行する目標軌道を生成する。具体的には、行動計画生成部140は、横断歩道CW1の直前(自車両Mから見て横断歩道CW1の直前に停止線SLが描かれている場合には、停止線SLの位置)で停車できるような速度で走行するような目標軌道を生成する。なお、行動計画生成部140は、移動体認識部132により自車両Mの前方に歩行者を認識してなく、歩行者がいないことが明らかな場合には、上述したように横断歩道CW1の直前で停車できるような速度に制御しなくてもよい。また、行動計画生成部140は、横断歩道CW1により、自車両Mの進路の前方を横断し、または横断しようとする歩行者P4が認識された場合に、横断歩道CW1の直前で一時停止し、かつ、その歩行者P4の通行を妨げないように目標軌道を生成する。これが、上述した第1走行モードで走行するための目標軌道である。
上述した第6の手法によれば、歩道橋PBよりも車線を直接横断する可能性が高い横断歩道CW1を基準にした目標軌道に基づいて、自車両Mを走行させることができる。したがって、歩道橋PBの有無や横断歩道の有無等の道路環境に基づいて、より適切な運転制御を実行することができる。
(第7の手法)
第7の手法において、信号機認識部136は、道路上に設置された信号機を認識し、加速抑制運転制御部142は、信号機の認識結果に基づいて、歩道橋PBに基づく自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成しないようにする。
図8は、信号機認識部136による認識結果に基づいて目標軌道を生成する手法について説明するための図である。第7の手法において、信号機認識部136は、道路標識認識部135により認識された横断歩道CW1の付近の信号機TL1およびTL2を認識する。また、信号機認識部136は、カメラ10の撮像画像から、走行車線L1側の信号機TL1による通過許否情報を認識する。通過拒否情報とは、例えば、走行車線L1を走行する車両(自車両Mを含む)が横断歩道CW1を通過してよいか否かを示す情報である。
そして、加速抑制運転制御部142は、歩道橋PBと信号機TL1との距離である第7距離D7を算出し、算出した第7距離D7が第3閾値Th3以下である場合に、歩道橋PBに基づく自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成しないようにする。第3閾値Th3は、例えば、10[m]程度の値である。
なお、この場合には、行動計画生成部140は、通過イベントに応じて自車両Mが走行する目標軌道を生成する。具体的には、行動計画生成部140は、信号機認識部136により認識される通過許否情報が横断歩道CW1の通過を許可する信号(例えば、青信号)である場合に、走行車線L1および対向車線L2の外側に歩行者P5が認識された場合であっても、加速抑制制御を行わずに走行する目標軌道を生成する。また、行動計画生成部140は、通過許否情報が横断歩道CW1の通過を否定する信号(例えば、赤信号)である場合に、横断歩道CW1の直前で停止する目標軌道を生成する。また、信号機TLの信号が赤信号から青信号に切り替わった場合、行動計画生成部140は、通過が可能になったものと判定し自車両Mを走行させる目標軌道を生成する。これが、上述した第1走行モードで走行するための目標軌道である。
上述した第7の手法によれば、自車両Mが歩道橋PBの付近を走行する場合であっても、信号機TL1から得られる情報を優先して生成された目標軌道に基づいて、自車両Mを走行させることができる。したがって、歩道橋PBの有無や横断歩道CW1の有無、信号機ST1の有無等の道路環境に基づいて、より適切な運転制御を実行することができる。
(第8の手法)
例えば、歩道橋PBは、歩行者だけでなく自転車も利用できるように歩道橋PBを登るまたは降りる経路をなだらかな傾斜にする場合がある。また、歩道橋PBが設置される場所によっては、歩道橋PBを登るまたは降りる経路に折り返しが設けられていたり、道路や交差点から離れて位置に歩道橋PBの出入口が設けられている場合がある。このような歩道橋PBの場合には、道路を横断するための移動距離が、道路を直接横断する距離よりも長くなるため、歩行者が歩道橋PBを利用せずに、道路を直接横断してくる可能性が高いと推定される。そこで、第8の手法において、立体横断施設認識部131は、自車両Mの走行車線L1の前方に存在する歩道橋PBの形状を認識し、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、歩道橋PB形状から推定される入口から出口までの距離が第4閾値Th4以上である場合に、自車両Mの加速を抑制する目標軌道を生成する。第4閾値Th4は、例えば、車線幅WL1とWL2との合計の2倍の長さに相当する距離である。
図9は、歩道橋PB1の形状に基づいて、目標軌道を生成する手法について説明するための図である。立体横断施設認識部131は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mが走行中の走行車線L1を横断する歩道橋PB1を認識する。また、立体横断施設認識部131は、歩道橋PB1の形状から歩道橋の入口から出口までの距離である第8距離D8を推定する。また、立体横断施設認識部131は、自車両Mの位置と、第1地図情報54または第2地図情報62とを照合して、自車両Mの前方の歩道橋PB1の位置、および第8距離D8を認識してもよい。
加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、更に第8距離D8が第4閾値Th4以上である場合に、第2走行モード適用区間Zにおいて、自車両Mの加速を抑制した状態で歩道橋PBを通過する目標軌道を生成する。
また、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により認識された歩道橋PB1の形状に基づいて、歩道橋PB1の入口の数が所定数より少ない場合、出入口の位置が道路または交差点から所定距離以上離れている場合、または、歩道橋PB1の登りや下りの勾配に折り返しがある場合に、歩行者P6が歩道橋PB1を利用せずに、道路を直接横断してくるものと推定し、加速を抑制する運転制御を実行してもよい。
上述した第8の手法によれば、歩道橋PBの形状に基づいて、歩行者P6が歩道橋PB1を利用しない可能性の高いと推定される場合に、自車両Mの加速を抑制した走行モードで自車両Mを走行させることで、歩行者P6が実際に走行車線L1および対向車線L2を直接横断してきた場合であっても、速やかに接触回避制御を行うことができる。
また、上述した第1〜第8の手法では、自車両Mの加速を抑制することについて説明したが、加速抑制運転制御部142は、自動ブレーキや警報等も含めた接触回避支援を作動させやすくしてもよい。但し、自動ブレーキや警報等も含めた接触回避支援の作動は、場合によっては過剰作動となる可能性もあるため、接触回避支援を作動させやすくする手法としては、上述した加速抑制を行うことが、より好ましい。
また、加速抑制運転制御部142は、上述した第1〜第8の手法のうち、加速抑制の制御を行う条件を複数満たす場合に、加速抑制の制御の内容を変更してもよい。例えば、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識された場合であって、渋滞判定部133により対向車線L2が渋滞していると判定され、更に道路幅認識部134により認識された道路幅が所定幅以下である場合に、加速抑制制御として自車両Mを減速させる目標軌道を生成する。
更に、加速抑制運転制御部142は、上記の条件に加えて、移動体認識部132により認識された歩行者の位置が、走行車線L1から所定距離(例えば、5[m]程度)以内である場合には、加速抑制制御として自車両Mを一時停止させる目標軌道を生成する。このように、複数の条件を満たすことで、歩行者が歩道橋PBを利用せずに道路を直接横断する確信度が高くなるため、加速抑制運転制御部142は、確信度の高さに応じて加速抑制制御の内容を変更することで、より適切な運転制御を実行することができる。
[処理フロー]
図10は、実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定の周期或いは所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。また、本フローチャートの処理は、自車両Mが自動運転中に実行される処理を示している。
まず、加速抑制運転制御部142は、立体横断施設認識部131により歩道橋PBが認識されたか否かを判定する(ステップS100)。歩道橋PBが認識された場合、加速抑制運転制御部142は、道路標識認識部135により、歩道橋PBから所定距離(上述した第2閾値)以内にある横断歩道CW1を認識したか否かを判定する(ステップS102)。横断歩道CW1が認識されていない場合、加速抑制運転制御部142は、信号機認識部136により歩道橋PB付近に信号機TL1が認識されたか否かを判定する(ステップS104)。歩道橋PB付近に信号機TL1が認識されていない場合、加速抑制運転制御部142は、歩道橋PBの位置から所定範囲内(第2走行モード適用区間Z内)で加速を抑制する目標軌道を生成する(ステップS106)。
また、ステップS104の処理において、歩道橋PB付近に信号機TL1が認識された場合、行動計画生成部140は、信号機TL1による通過拒否情報に基づいて目標軌道を生成する(ステップS108)。
また、ステップS102の処理において、歩道橋PBから所定距離以内にある横断歩道CW1が認識された場合、加速抑制運転制御部142は、信号機認識部136により横断歩道CW1を利用して道路を横断する歩行者のための信号機TL1が認識されたか否かを判定する(ステップS110)。信号機TL1が認識された場合、行動計画生成部140は、信号による通過拒否情報に基づいて目標軌道を生成する(ステップS108)。また、信号機TL1が認識されなかった場合、行動計画生成部140は、横断歩道CW1の位置に基づいて目標軌道を生成する(ステップS112)。
また、ステップS100の処理において、歩道橋PBが認識されなかった場合、加速抑制運転制御部142は、道路標識認識部135により横断歩道CW1が認識されたか否かを判定する(ステップS114)。横断歩道CW1が認識された場合、行動計画生成部140は、横断歩道CW1の位置に基づいて目標軌道を生成する(ステップS112)。また、横断歩道CW1が認識されなかった場合、加速抑制運転制御部142は、信号機認識部136により信号機TL1が認識されたか否かを判定する(ステップS116)。信号機TL1が認識された場合、行動計画生成部140は、横断歩道CW1の位置に基づいて目標軌道を生成する(ステップS108)。また、信号機TL1が認識されなかった場合、行動計画生成部140は、障害物の有無等の他の周辺環境等に基づいて目標軌道を生成する(ステップS118)。
次に、第2制御部160は、生成された目標軌道に基づいて自車両Mの自動運転を実行する(ステップS120)。これにより、本フローチャートの処理は終了する。
なお、本実施形態においては、上述したフローチャートの処理に加えて、上述した対向車線L2が渋滞しているか否か、歩道橋PBによる横断する車線の幅が所定幅以下であるか否か、または、歩行者の位置や移動方向に基づいて加速を抑制する目標軌道を生成するか否かを判定してもよい。
上述した実施形態によれば、自車両Mが走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識し、自車両Mの乗員の操作に依らずに、少なくとも自車両の加減速を制御する運転制御部であって、自車両Mが認識された立体横断施設を通過する場合に、自車両Mの加速を抑制した状態で走行する走行モードで自車両Mを走行させることで、より適切な運転制御を実行することができる。
[ハードウェア構成]
上述した実施形態の自動運転制御装置100は、例えば、図11に示すようなハードウェアの構成により実現される。図11は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、RAM100−3、ROM100−4、フラッシュメモリやHDD等の二次記憶装置100−5、およびドライブ装置100−6が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100−6には、光ディスク等の可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100−5に格納されたプログラム100−5aがDMAコントローラ(不図示)等によってRAM100−3に展開され、CPU100−2によって実行されることで、第1制御部120、および第2制御部160が実現される。また、CPU100−2が参照するプログラムは、ドライブ装置100−6に装着された可搬型記憶媒体に格納されていてもよいし、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に格納されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識処理と、
前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御する運転制御処理であって、前記車両が前記立体横断施設認識処理により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる運転制御処理と、
を実行するように構成されている、
車両制御装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…ファインダ、16…物体認識装置、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、60…MPU、80…運転操作子、100…自動運転制御装置、120…第1制御部、130…認識部、131…立体横断施設認識部、132…移動体認識部、133…渋滞判定部、134…道路幅認識部、135…道路標識認識部、136…信号機認識部、140…行動計画生成部、142…加速抑制運転制御部、144…接触回避運転制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、M…自車両

Claims (9)

  1. 車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識部と、
    前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御する運転制御部であって、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる運転制御部と、
    を備える車両制御装置。
  2. 前記車両が走行する車線の対向車線が前記立体横断施設の付近で渋滞しているか否かを判定する渋滞判定部と、
    前記車両の周辺に存在する移動体を認識する移動体認識部と、を更に備え、
    前記運転制御部は、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合において、前記渋滞判定部により前記対向車線の道路が渋滞していると判定された場合、前記移動体認識部により移動体が認識されているか否かに拘わらず、前記走行モードで前記車両を走行させる、
    請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記車両が走行する道路の幅を認識する道路幅認識部を更に備え、
    前記運転制御部は、前記道路幅認識部により認識された道路の幅が所定幅以下である場合に、前記走行モードで前記車両を走行させる、
    請求項1または2に記載の車両制御装置。
  4. 前記運転制御部は、前記移動体認識部により認識された移動体が前記立体横断施設に向かわずに、前記車両が走行する道路に近づいていると判定された場合に、前記走行モードで前記車両を走行させる、
    請求項2に記載の車両制御装置。
  5. 前記車両が走行する道路に描画された横断歩道を認識する道路標識認識部を更に備え、
    前記運転制御部は、前記移動体認識部により認識された移動体から見て、前記立体横断施設よりも遠い位置に、前記道路標識認識部により横断歩道が認識された場合に、前記走行モードで前記車両を走行させる、
    請求項2に記載の車両制御装置。
  6. 前記車両が走行する道路に描画された横断歩道を認識する道路標識認識部を更に備え、
    前記運転制御部は、前記立体横断施設と前記道路標識認識部により認識された横断歩道との距離が所定距離以下である場合に、前記走行モードで前記車両を走行させない、
    請求項1から4のうち何れか1項に記載の車両制御装置。
  7. 前記車両が走行する道路に設置された信号機を認識する信号機認識部を更に備え、
    前記運転制御部は、前記信号機認識部により認識された信号機が、前記立体横断施設の位置から所定距離以内に存在する場合に、前記走行モードで前記車両を走行させない、
    請求項1から6のうち何れか1項に記載の車両制御装置。
  8. 立体横断施設認識部が、車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識し、
    運転制御部が、前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御し、前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる、
    車両制御方法。
  9. 車両が走行する道路と立体的に交差する立体横断施設を認識する立体横断施設認識部を備える車両に搭載されるコンピュータに、
    前記車両の乗員の操作に依らずに、少なくとも前記車両の加減速を制御させ、
    前記車両が前記立体横断施設認識部により認識された前記立体横断施設を通過する場合、前記立体横断施設を通過しない場合に比べて接触回避支援を作動させやすくした状態で前記車両が走行する走行モードで前記車両を走行させる、
    プログラム。
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