以下、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.物理量センサー
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーの概略構成を示す平面図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、図1に示す物理量センサーが備える支持バネ部の平面図である。図4は、図3中のB−B線断面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸であるX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明を行う。また、各図において、これらの軸を矢印で示しており、当該矢印の先端側を「+」、基端側を「−」とする。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、Z軸方向から見た状態を「平面視」と言う。
図1に示す物理量センサー1は、物理量としてY軸まわりの角速度ωYを検出する角速度センサーである。物理量センサー1は、センサー部2と、センサー部2を収納しているパッケージ3と、パッケージ3内でセンサー部2をパッケージ3に対して支持している支持部4と、を備える。以下、物理量センサー1の各部を順次説明する。
(パッケージ)
パッケージ3は、図2に示すように、基板31と、基板31に接合された蓋体32と、を有する。基板31は、例えばガラスまたはシリコンで構成されており、基板31の蓋体32側の面には、凹部311が設けられている。凹部311の底面には、センサー部2の後述する固定駆動電極261a等が固定される複数の凸部312が設けられている。一方、蓋体32は、例えばシリコンで構成されており、蓋体32の基板31側の面には、凹部321が設けられている。
このような基板31および蓋体32は、例えば陽極接合により接合されている。そして、基板31の凹部311および蓋体32の凹部321によって、センサー部2および支持部4を収納する内部空間Sが形成されている。この内部空間Sは、気密空間であり、減圧状態(例えば、5×10−2〜5×10−4Pa程度)となっている。これにより、角速度の検出精度が向上する。なお、基板31の蓋体32側の面には、センサー部2に接続される配線(図示せず)が配置される溝部(図示せず)が内部空間Sの内外を跨って形成されている。この溝部によって基板31と蓋体32との間に形成される隙間は、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたCVD法等で形成されたSiO2膜(図示せず)によって塞がれている。
(センサー部)
図1に示すように、センサー部2は、平面視で、仮想直線αに対して対称な形状をなしている。なお、仮想直線αは、平面視で、センサー部2の中心C1を通り、かつ、Y軸に平行な線分(直線)である。
このセンサー部2は、平面視で仮想直線α上に跨って配置されている2つの固定部28および連結部30と、平面視で仮想直線αに対して+X軸方向側(図1中右側)に配置されている駆動部21a、検出部22a、4つの検出バネ部23a、4つの駆動バネ部24a、4つの中継部25a、2つずつの固定駆動電極261a、262a、固定検出電極27a、2つずつのモニター電極291a、292a、および連結バネ部20aと、平面視で仮想直線αに対して−X軸方向側(図1中左側)に配置されている駆動部21b、検出部22b、4つの検出バネ部23b、4つの駆動バネ部24b、4つの中継部25b、2つずつの固定駆動電極261b、262b、固定検出電極27b、2つずつのモニター電極291b、292b、および連結バネ部20bと、を有している。
これらは、固定検出電極27a、27bを除き、リン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチングによってパターニングすることで一括形成される。また、固定検出電極27a、27bは、基板31上に例えば金、クロム等の金属材料を成膜することで形成される。また、各固定駆動電極261a、262a、261b、262b、各固定部28、28および各モニター電極291a、292a、291b、292bは、それぞれ、前述した基板31の凸部312の頂面に対して例えば陽極接合により接合されている。
2つの駆動部21a、21bは、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。駆動部21aは、Y軸方向に延びている形状をなしており、駆動部21aの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部211aが設けられている。このような駆動部21aの4隅には、4つの駆動バネ部24aの一端部が接続されている。各駆動バネ部24aの他端部には、中継部25aが接続されている。中継部25aは、支持部4を介して基板31に固定されている。
ここで、各駆動バネ部24aは、駆動部21aのX軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部21aに対して+X軸方向側(検出部22aとは反対側)には、2つの固定駆動電極261aが配置され、一方、−X軸方向側(検出部22a側)には、2つの固定駆動電極262aが配置されている。各固定駆動電極261a、262aは、前述した電極部211aに対応して設けられ、対応する電極部211aに噛み合う櫛歯状をなしている。
前述した駆動部21aと同様に、駆動部21bは、Y軸方向に延びている形状をなしており、駆動部21bの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部211bが設けられている。このような駆動部21bの4隅には、4つの駆動バネ部24bの一端部が接続されている。各駆動バネ部24bの他端部には、中継部25bが接続されている。中継部25bは、支持部4を介して基板31に固定されている。
ここで、各駆動バネ部24bは、駆動部21bのX軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部21bに対して−X軸方向側(検出部22bとは反対側)には、2つの固定駆動電極261bが配置され、一方、+X軸方向側(検出部22b側)には、2つの固定駆動電極262bが配置されている。各固定駆動電極261b、262bは、前述した電極部211bに対応して設けられ、対応する電極部211bに噛み合う櫛歯状をなしている。
2つの検出部22a、22bは、前述した2つの駆動部21a、21b間において、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。検出部22aは、平面視でY軸方向を長手方向とする長方形をなしており、検出部22aの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部221aが設けられている。このような検出部22aの4隅には、4つの検出バネ部23aの一端部が接続されている。4つの検出バネ部23aのうち、駆動部21a側の2つの検出バネ部23aの他端部は、検出部22a側の2つの中継部25aに接続され、反対側の2つの検出バネ部23aの他端部は、2つの固定部28に接続されている。
ここで、各検出バネ部23aは、検出部22aのX軸方向およびZ軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、検出部22aに対して+X軸方向側(駆動部21a側)には、2つのモニター電極291aが配置され、一方、−X軸方向側(駆動部21aとは反対側)には、2つのモニター電極292aが配置されている。各モニター電極291a、292aは、前述した電極部221aに対応して設けられ、対応する電極部221aに噛み合う櫛歯状をなしている。また、このような検出部22aの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極27aが配置されている。
前述した検出部22aと同様に、検出部22bは、平面視でY軸方向を長手方向とする長方形をなしており、検出部22bの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部221bが設けられている。このような検出部22bの4隅には、4つの検出バネ部23bの一端部が接続されている。4つの検出バネ部23bのうち、駆動部21b側の2つの検出バネ部23bの他端部は、検出部22b側の2つの中継部25bに接続され、反対側の2つの検出バネ部23bの他端部は、2つの固定部28に接続されている。
ここで、各検出バネ部23bは、検出部22bのX軸方向およびZ軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、検出部22bに対して−X軸方向側(駆動部21b側)には、2つのモニター電極291bが配置され、一方、+X軸方向側(駆動部21bとは反対側)には、2つのモニター電極292bが配置されている。各モニター電極291b、292bは、前述した電極部221bに対応して設けられ、対応する電極部221bに噛み合う櫛歯状をなしている。また、このような検出部22bの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極27bが配置されている。
連結バネ部20aは、前述した駆動部21aと検出部22aとを連結している。この連結バネ部20aは、駆動部21aのX軸方向での振動を検出部22aに伝達しつつ、検出部22aのZ軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。同様に、連結バネ部20b、前述した駆動部21bと検出部22bとを連結している。この連結バネ部20bは、駆動部21bのX軸方向での振動を検出部22bに伝達しつつ、検出部22bのZ軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。
連結部30は、2つの固定部28に支持されているとともに、前述した検出部22aと検出部22bとを連結している。連結部30は、検出部22a、22bのX軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、連結部30は、検出部22a、22bのZ軸方向での振動を許容するように、2つの固定部28間を結ぶ線分まわりの捩れを伴って弾性変形可能に構成されている。また、各固定部28は、前述した基板31の凹部311の底面に設けられた凸部312の頂面に接合されている。
以上のようなセンサー部2は、次のようにして角速度ωYを検出することができる。まず、各固定駆動電極261a、261bと駆動部21a、21bとの間に第1交番電圧が印加されるとともに、各固定駆動電極262a、262bと駆動部21a、21bとの間に第1交番電圧とは位相の180度ずれた第2交番電圧が印加される。これにより、駆動部21aと駆動部21bとが互いに逆相でX軸方向に振動(駆動振動)する。このとき、この駆動振動は、連結バネ部20a、20bにより検出部22a、22bに伝達される。これにより、検出部22aと検出部22bとが互いに逆相でX軸方向に振動する。
ここで、連結バネ部20a、20bを適宜設計することで、検出部22a(または検出部22b)を駆動部21a(または駆動部21b)に対して同相または逆相で振動させることができる。また、この駆動振動に伴う検出部22a、22bのX軸方向での振動により、検出部22aとモニター電極291a、292aとの間および検出部22bとモニター電極291b、292bとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて駆動振動の状態を検出することができる。
前述したような駆動振動の状態で、物理量センサー1に角速度ωYが加わると、コリオリ力の作用により、検出部22aと検出部22bとがZ軸方向に逆相で振動(検出振動)する。この検出振動により、検出部22aと固定検出電極27aとの間および検出部22bと固定検出電極27bとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて角速度ωYを検出することができる。
ここで、検出振動の際、検出部22aと固定検出電極27aとの間の静電容量、および、検出部22bと固定検出電極27bとの間の静電容量は、一方の静電容量が増加するとき、他方の静電容量が低下する。したがって、これらの静電容量に基づく信号を差動増幅して、検出信号の高精度化を図ることができる。
(支持部)
支持部4は、図1に示すように、平面視で、仮想直線αに対して対称な形状をなしている。そして、支持部4は、前述したパッケージ3の基板31に固定されている4つの固定部41aおよび4つの固定部41bと、4つの固定部41aと前述したセンサー部2の4つの中継部25aとを接続している4つの支持バネ部42aと、4つの固定部41bと前述したセンサー部2の4つの中継部25bとを接続している4つの支持バネ部42bと、を有する。なお、以下では、中継部25a、25bをそれぞれ「中継部25」、固定部41a、41bをそれぞれ「固定部41」、支持バネ部42a、42bをそれぞれ「支持バネ部42」とも言う。
このような支持部4は、前述したセンサー部2の固定検出電極27a、27bを除く部分と一体的に形成されており、リン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチングによってパターニングすることでセンサー部2の当該部分と一括形成される。
4つの固定部41aは、前述した4つの中継部25aに対応して配置され、同様に、4つの固定部41bは、4つの中継部25bに対応して配置されている。また、各固定部41a、41bは、前述した基板31の凹部311側の面であって凹部311の外側の部分に接合されている。
各支持バネ部42a、42bは、それぞれ、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のいずれの方向にも弾性変形可能に構成されている。これにより、支持バネ部42a、42bは、固定部41a、41bからセンサー部2への振動(外乱振動)の伝達を低減する機能を有する。以下、図3に基づき、支持バネ部42について詳述する。
支持バネ部42は、図3に示すように、固定部41からX軸方向に往復しながらY軸方向に延びている折り返し部421と、折り返し部421からY軸方向に往復しながらX軸方向に延びている折り返し部422と、を有する。
折り返し部421は、X軸方向に延びている2つの梁部4211、4212と、これら梁部4211、4212の同じ側の一端部同士を接続している梁部4213と、を有する。そして、梁部4211の他端部が固定部41に接続され、梁部4212の他端部が折り返し部422に接続されている。
ここで、各梁部4211、4212のX軸方向での長さは、梁部4213のY軸方向での長さよりも長い。これにより、固定部41に加わるY軸方向およびZ軸方向での衝撃を折り返し部421で低減することができる。なお、梁部4211、4213は、屈曲した形状の屈曲部を構成し、同様に、梁部4212、4213は、屈曲した形状の屈曲部を構成している。
折り返し部422は、Y軸方向に延びている2つの梁部4221、4222と、これら梁部4221、4222の同じ側の一端部同士を接続している梁部4223と、を有する。そして、梁部4221の他端部が折り返し部421(より具体的には梁部4212の他端部)に接続され、梁部4222の他端部が中継部25に接続されている。
ここで、各梁部4221、4222のY軸方向での長さは、梁部4223のX軸方向での長さよりも長い。これにより、固定部41に加わるX軸方向およびZ軸方向での衝撃を折り返し部422で低減することができる。なお、梁部4221、4223は、屈曲した形状の屈曲部を構成し、同様に、梁部4222、4223は、屈曲した形状の屈曲部を構成している。また、梁部4212、4221も、屈曲した形状の屈曲部を構成している。
本実施形態では、図4に示すように、支持バネ部42の厚さt1が固定部41の厚さt2および中継部25の厚さ(駆動部21a、21bの厚さt3)のそれぞれと等しい。これにより、センサー部2および支持部4の形成が容易となるという利点がある。
以上のような物理量センサー1は、基板31と、基板31に固定されている固定部41(41a、41b)と、駆動振動する駆動部21a、21bを含むセンサー部2と、固定部41とセンサー部2(より具体的には中継部25)とを接続し、固定部41およびセンサー部2と一体で構成され、固定部41からセンサー部2への振動の伝達を低減する少なくとも1つ(本実施形態では複数)の支持バネ部42(42a、42b)と、を備える。
このような物理量センサー1によれば、支持バネ部42が固定部41からセンサー部2への振動(外乱振動)の伝達を低減するため、駆動部21a、21bの不要振動を低減し、ゼロ点を安定化することができる。その結果、物理量センサー1の検出精度を向上させることができる。
ここで、前述したように、駆動部21a、21bは、X軸方向(第1方向)に駆動振動し、センサー部2は、慣性力(コリオリ力)によりX軸方向とは異なるY軸方向(第2方向)に検出振動する検出部22a、22bを含む。これにより、角速度センサーである物理量センサー1を実現することができる。
このセンサー部2は、駆動部21a、21bを支持している駆動バネ部24a、24bと、検出部22a、22bを支持している検出バネ部23a、23bと、を含む。ここで、支持バネ部42のX軸方向(第1方向)でのバネ乗数は、駆動バネ部24a、24bおよび検出バネ部23a、23bのそれぞれのX軸方向でのバネ乗数よりも小さく、かつ、支持バネ部42のY軸方向(第2方向)でのバネ乗数は、駆動バネ部24a、24bおよび検出バネ部23a、23bのそれぞれのY軸方向でのバネ乗数よりも小さいことが好ましい。これにより、支持バネ部42が固定部41からセンサー部2への振動(外乱振動)の伝達を好適に低減することができる。
また、支持バネ部42は、折り返した形状の第1梁部である折り返し部421と、折り返し部421に連結され、折り返し部421とは異なる方向に折り返した形状の第2梁部である折り返し部422と、を含む。これにより、支持バネ部42の構成を簡単化しつつ、支持バネ部42が固定部41からセンサー部2への振動(様々な方向の外乱振動)の伝達を好適に低減することができる。
さらに、支持バネ部42の数は複数である。すなわち、前述した少なくとも1つの支持バネ部42は、センサー部2の互いに異なる複数の箇所(中継部25)に接続されている複数の支持バネ部42を含む。これにより、基板31に対して複数の支持バネ部42を介してセンサー部2を安定的に支持することができる。
このような支持バネ部42の特性を高める観点から、センサー部2(基板31に固定されている部分を除く)および支持バネ部42からなる振動系の共振周波数をfb[Hz]とし、駆動部21a、21bの駆動振動の周波数をfd[Hz]としたとき、fb≦fdなる関係を満たすことが好ましい。これにより、センサー部2および支持バネ部42からなる振動系の振動が駆動振動に悪影響を与えるのを低減することができる。
また、支持バネ部42の共振周波数をfc[Hz]とし、駆動部21a、21bの駆動振動の周波数をfd[Hz]としたとき、fc≦fd/√2なる関係を満たすことが好ましい。これにより、支持バネ部42の振動が駆動振動に悪影響を与えるのを低減することができる。
さらに、センサー部2(基板31に固定されている部分を除く)および支持バネ部42からなる振動系の共振周波数は、20kHz以上であることが好ましい。これにより、センサー部2の設計を容易にしつつ、センサー部2および支持バネ部42からなる振動系の共振周波数fbを駆動振動の周波数fdよりも小さくすることができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーが備える支持バネ部の平面図である。図6は、図5中のB−B線断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図5および図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態は、支持バネ部の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
本実施形態の物理量センサー1Aは、前述した第1実施形態の支持部4に代えて支持部4Aを有する。支持部4Aは、図5に示すように、固定部41と、固定部41と中継部25とを接続している支持バネ部42Aと、を有する。支持バネ部42Aは、厚さが薄くなっていること以外は、前述した第1実施形態の支持バネ部42と同様に構成されている。
具体的に説明すると、図5に示すように、支持バネ部42Aは、固定部41からX軸方向に往復しながらY軸方向に延びている折り返し部421Aと、折り返し部421AからY軸方向に往復しながらX軸方向に延びている折り返し部422Aと、を有する。
折り返し部421Aは、X軸方向に延びている2つの梁部4214、4215と、これら梁部4214、4215の同じ側の一端部同士を接続している梁部4216と、を有する。そして、梁部4214の他端部が固定部41に接続され、梁部4215の他端部が折り返し部422Aに接続されている。
折り返し部422Aは、Y軸方向に延びている2つの梁部4224、4225と、これら梁部4224、4225の同じ側の一端部同士を接続している梁部4226と、を有する。そして、梁部4224の他端部が折り返し部421A(より具体的には梁部4215の他端部)に接続され、梁部4225の他端部が中継部25に接続されている。
本実施形態では、支持部4Aの+Z軸方向側の面の一部(固定部41を除く部分)がエッチング等により除去されて凹没しており、これにより、図6に示すように、支持バネ部42Aの厚さt1が固定部41の厚さt2および中継部25の厚さ(駆動部21a、21bの厚さt3)のそれぞれよりも薄くなっている。このように、支持バネ部42Aは、駆動部21a、21bの厚さt3よりも薄い部分を含む。これにより、支持バネ部42Aの構成を簡単化しつつ、支持バネ部42Aが固定部41から駆動部21a、21b(センサー部2)への振動(特に厚さ方向であるZ軸方向の外乱振動)の伝達を好適に低減することができる。ここで、このような効果を好適に発揮させるため、t1/t2、またはt1/t3は、0.2以上0.8以下であることが好ましく、0.3以上0.6以下であることがより好ましい。
なお、図5および図6では、支持バネ部42Aの全域にわたって厚さが固定部41の厚さt2および駆動部21a、21bの厚さt3のそれぞれよりも薄くなっているが、これに限定されず、支持バネ部42Aの一部(例えば、梁部4216、4226)が固定部41の厚さt2または駆動部21a、21bの厚さt3と等しくなっていてもよい。
以上説明したような第2実施形態によっても、検出精度を向上させることができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーが備える支持バネ部の平面図である。図8は、図7中のC−C線断面図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図7および図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態は、支持バネ部の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
本実施形態の物理量センサー1Bは、前述した第1実施形態の支持部4に代えて支持部4Bを有する。支持部4Bは、図7に示すように、固定部41と、固定部41と中継部25とを接続している支持バネ部42Bと、を有する。支持バネ部42Bは、厚さが薄くなっている部分およびZ軸方向に延びている部分を有すること以外は、前述した第1実施形態の支持バネ部42と同様に構成されている。
具体的に説明すると、図7に示すように、支持バネ部42Bは、固定部41からX軸方向に往復しながらY軸方向に延びている折り返し部421Aと、折り返し部421AからY軸方向に往復しながらX軸方向に延びている折り返し部422Bと、を有する。
折り返し部422Bは、Y軸方向に延びている2つの梁部4224、4225と、これら梁部4224、4225の同じ側の一端部同士を接続している梁部4226、4227と、を有する。梁部4227は、図8に示すように、Z軸方向に延び、梁部4225と梁部4226とを接続している。
このように、支持バネ部42Bは、Z軸方向成分(基板31の厚さ方向成分)を有して延びている部分4227(第3梁部)を有する。これにより、支持バネ部42Bが固定部41から駆動部21a、21b(センサー部2)への振動の伝達を好適に低減することができる。また、センサー部2の振動スペースの確保が容易となるという利点もある。
このような支持部4Bは、駆動部21a、21b(センサー部2)と一体で構成されている。このような支持部4Bは、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いて形成することができる。
以上説明したような第3実施形態によっても、検出精度を向上させることができる。
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーの概略構成を示す平面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態は、複数の支持バネ部同士を連結する連結部を設けたこと以外は、前述した第1実施形態と同様である。
本実施形態の物理量センサー1Cは、図9に示すように、パッケージ3内でセンサー部2をパッケージ3に対して支持している支持部4Cを備える。この支持部4Cは、前述したパッケージ3の基板31に固定されている4つの固定部41aおよび4つの固定部41bと、4つの固定部41aと前述したセンサー部2とを接続している4つの支持バネ部42aと、4つの固定部41bと前述したセンサー部2とを接続している4つの支持バネ部42bと、支持バネ部42aの途中同士を連結している連結部43aおよび2つの連結部44aと、支持バネ部42bの途中同士を連結している連結部43bおよび2つの連結部44bと、を有し、これらが一体的に形成されている。
連結部43aは、+X軸方向側でY軸方向に並ぶ2つの支持バネ部42aの途中同士を連結している。この連結部43aは、棒状をなしており、一方の支持バネ部42aの途中(図3に示す梁部4223)から他方の支持バネ部42aの途中(図3に示す梁部4223)に向けてY軸方向に延びている。同様に、連結部43bは、−X軸方向側でY軸方向に並ぶ2つの支持バネ部42bの途中同士を連結している。
連結部44aは、+Y軸方向側および−Y軸方向側のそれぞれでX軸方向に並ぶ2つの支持バネ部42aの途中同士を連結している。この連結部44aは、棒状をなしており、一方の支持バネ部42aの途中(図3に示す梁部4213)から他方の支持バネ部42aの途中(図3に示す梁部4213)に向けてX軸方向に延びている。同様に、連結部44bは、+Y軸方向側および−Y軸方向側のそれぞれでX軸方向に並ぶ2つの支持バネ部42bの途中同士を連結している。
以上のように、物理量センサー1Cは、複数の支持バネ部42a、42bの途中同士を連結している連結部43a、43b、44a、44bを備える。これにより、支持バネ部42a、42bの不要振動を低減し、その不要振動が駆動振動に悪影響を与えるのを低減することができる。
以上説明したような第4実施形態によっても、検出精度を向上させることができる。
<第5実施形態>
図10は、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーの概略構成を示す平面図である。
以下、第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図10において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態の物理量センサー1Dは、物理量としてZ軸まわりの角速度ωZを検出する角速度センサーである。物理量センサー1Dは、図10に示すように、センサー部5と、センサー部5を収納しているパッケージ3と、パッケージ3内でセンサー部5をパッケージ3に対して支持している支持部4Dと、を備える。
センサー部5は、平面視で、仮想直線βに対して対称な形状をなしている。なお、仮想直線βは、平面視で、センサー部5の中心C2を通り、かつ、Y軸に平行な線分(直線)である。
このセンサー部5は、平面視で仮想直線β上に跨って配置されている2つの固定部58および連結部60と、平面視で仮想直線βに対して+X軸方向側(図10中右側)に配置されている駆動部51a、検出部52a、4つの検出バネ部53a、4つの駆動バネ部54a、4つの中継部55a、固定駆動電極56a、2つずつの固定検出電極571a、572a、2つずつのモニター電極591a、592aおよび連結バネ部50aと、平面視で仮想直線βに対して−X軸方向側(図10中左側)に配置されている駆動部51b、検出部52b、4つの検出バネ部53b、4つの駆動バネ部54b、4つの中継部55b、固定駆動電極56b、2つずつの固定検出電極571b、572b、2つずつのモニター電極591b、592bおよび連結バネ部50bと、を有している。
これらは、リン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチングによってパターニングすることで一括形成される。また、各固定駆動電極56a、56b、各固定検出電極571b、572b、各固定部58および各モニター電極591a、592a、591b、592bは、それぞれ、パッケージ3の基板31に対して例えば陽極接合により接合されている。
2つの駆動部51a、51bは、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。駆動部51aは、Y軸方向に延びている形状をなしており、駆動部51aの+X軸方向側には、櫛歯状の電極部511aが設けられている。このような駆動部51aの4隅には、4つの駆動バネ部54aの一端部が接続されている。各駆動バネ部54aの他端部には、中継部55aが接続されている。中継部55aは、支持部4Dを介して基板31に固定されている。
ここで、各駆動バネ部54aは、駆動部51aのX軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部51aに対して+X軸方向側には、固定駆動電極56aが配置されている。固定駆動電極56aは、前述した電極部511aに噛み合う櫛歯状をなしている。
前述した駆動部51aと同様に、駆動部51bは、Y軸方向に延びている形状をなしており、駆動部51bの−X軸方向側には、櫛歯状の電極部511bが設けられている。このような駆動部51bの4隅には、4つの駆動バネ部54bの一端部が接続されている。各駆動バネ部54bの他端部には、中継部55bが接続されている。中継部55bは、支持部4Dを介して基板31に固定されている。
ここで、各駆動バネ部54bは、駆動部51bのX軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部51bに対して−X軸方向側には、固定駆動電極56bが配置されている。固定駆動電極56bは、前述した電極部511bに噛み合う櫛歯状をなしている。
2つの検出部52a、52bは、前述した2つの駆動部51a、51b間において、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。検出部52aは、Y軸方向に延びている形状をなしており、検出部52aの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部521aおよび2つの電極部522aが設けられている。また、このような検出部52aの4隅には、4つの検出バネ部53aの一端部が接続されている。4つの検出バネ部53aのうち、駆動部51a側の2つの検出バネ部53aの他端部は、検出部52a側の2つの中継部55aに接続され、反対側の2つの検出バネ部53aの他端部は、2つの固定部58に接続されている。
ここで、各検出バネ部53aは、検出部52aのX軸方向およびY軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、検出部52aに対して+X軸方向側には、2つのモニター電極591aが配置され、一方、−X軸方向側には、2つのモニター電極592aが配置されている。各モニター電極591a、592aは、前述した電極部521aに対応して設けられ、対応する電極部521aに噛み合う櫛歯状をなしている。また、これらモニター電極591a、592aに対して+Y軸方向側には、2つの固定検出電極571aが検出部52aを挟むように配置され、一方、−Y軸方向側には、2つの固定検出電極572aが検出部52aを挟むように配置されている。各固定検出電極571a、572aは、前述した電極部522aに対応して設けられ、対応する電極部522aに噛み合う櫛歯状をなしている。
前述した検出部52aと同様に、検出部52bは、Y軸方向に延びている形状をなしており、検出部52bの+X軸方向側および−X軸方向側のそれぞれには、櫛歯状の2つの電極部521bおよび2つの電極部522bが設けられている。また、このような検出部52bの4隅には、4つの検出バネ部53bの一端部が接続されている。4つの検出バネ部53bのうち、駆動部51b側の2つの検出バネ部53bの他端部は、検出部52b側の2つの中継部55bに接続され、反対側の2つの検出バネ部53bの他端部は、2つの固定部58に接続されている。
ここで、各検出バネ部53bは、検出部52bのX軸方向およびY軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、検出部52bに対して−X軸方向側には、2つのモニター電極591bが配置され、一方、+X軸方向側には、2つのモニター電極592bが配置されている。各モニター電極591b、592bは、前述した電極部521bに対応して設けられ、対応する電極部521bに噛み合う櫛歯状をなしている。また、これらモニター電極591b、592bに対して+Y軸方向側には、2つの固定検出電極571bが検出部52bを挟むように配置され、一方、−Y軸方向側には、2つの固定検出電極572bが検出部52bを挟むように配置されている。各固定検出電極571b、572bは、前述した電極部522bに対応して設けられ、対応する電極部522bに噛み合う櫛歯状をなしている。
連結バネ部50aは、前述した駆動部51aと検出部52aとを連結している。この連結バネ部50aは、駆動部51aのX軸方向での振動を検出部52aに伝達しつつ、検出部52aのY軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。同様に、連結バネ部50b、前述した駆動部51bと検出部52bとを連結している。この連結バネ部50bは、駆動部51bのX軸方向での振動を検出部52bに伝達しつつ、検出部52bのY軸方向での振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。
連結部60は、2つの固定部58に支持されているとともに、前述した検出部52aと検出部52bとを連結している。連結部60は、検出部52a、52bのX軸方向での振動を許容するように、X軸方向に弾性変形可能に構成されている。また、連結部60は、検出部52a、52bのY軸方向での振動を許容するように、平面視で中心C2まわりの捩れを伴って弾性変形可能に構成されている。また、各固定部58は、基板31の凹部311の底面に設けられた凸部(図示せず)の頂面に接合されている。
以上のようなセンサー部5は、次のようにして角速度ωZを検出することができる。まず、固定駆動電極56a、56bと駆動部51a、51bとの間に交番電圧が印加される。これにより、駆動部51aと駆動部51bとが互いに逆相でX軸方向に振動(駆動振動)する。このとき、この駆動振動は、連結バネ部50a、50bにより検出部52a、52bに伝達される。これにより、検出部52aと検出部52bとが互いに逆相でX軸方向に振動する。
ここで、連結バネ部50a、50bを適宜設計することで、検出部52a(または検出部52b)を駆動部51a(または駆動部51b)に対して同相または逆相で振動させることができる。また、この駆動振動に伴う検出部52a、52bのX軸方向での振動により、検出部52aとモニター電極591a、592aとの間および検出部52bとモニター電極591b、592bとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて駆動振動の状態を検出することができる。
前述したような駆動振動の状態で、物理量センサー1Cに角速度ωZが加わると、コリオリ力の作用により、検出部52aと検出部52bとがY軸方向に逆相で振動(検出振動)する。この検出振動により、検出部52aと固定検出電極571a、572aとの間および検出部52bと固定検出電極571b、572bとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて角速度ωYを検出することができる。
ここで、検出振動の際、検出部52a、52bと固定検出電極571a、572bとの間の静電容量、および、検出部52a、52bと固定検出電極572a、571bとの間の静電容量は、一方の静電容量が増加するとき、他方の静電容量が低下する。したがって、これらの静電容量に基づく信号を差動増幅して、検出信号の高精度化を図ることができる。
以上のようなセンサー部5の中継部55a、55bは、前述したように、支持部4Dを介して基板31に固定されている。支持部4Dは、パッケージ3の基板31に固定されている4つの固定部41aおよび4つの固定部41bと、前述したセンサー部5の4つの中継部55aに接続されているフレーム部45aと、4つの固定部41aとフレーム部45aとを接続している4つの支持バネ部42aと、前述したセンサー部5の4つの中継部55bに接続されているフレーム部45bと、4つの固定部41bとフレーム部45bとを接続している4つの支持バネ部42bと、を有し、これらが一体的に形成されている。
フレーム部45aは、駆動部51aおよび固定駆動電極56aの+X軸方向側、+Y軸方向側および−Y軸方向側の部分に沿って囲むように形成されている。このようなフレーム部45aは、Y軸方向に延びている第1部分と、当該第1部分の両端部から−X軸方向に延びている2つの第2部分と、を有し、当該各第2部分には、2つの中継部55aが接続されている。
同様に、フレーム部45bは、駆動部51bおよび固定駆動電極56bの−X軸方向側、+Y軸方向側および−Y軸方向側の部分に沿って囲むように形成されている。このようなフレーム部45bは、Y軸方向に延びている第1部分と、当該第1部分の両端部から+X軸方向に延びている2つの第2部分と、を有し、当該各第2部分には、2つの中継部55bが接続されている。
このようなフレーム部45a、45bを設けることで、支持バネ部42a、42bの特性を生かしつつ、センサー部5を支持部4Dにより安定的に支持することができる。
以上のように、物理量センサー1Dにおいて、駆動部51a、51bは、X軸方向(第1方向)に駆動振動し、センサー部5は、慣性力(コリオリ力)によりX軸方向とは異なるZ軸方向(第2方向)に検出振動する検出部52a、52bを含む。これにより、角速度センサーである物理量センサー1Dを実現することができる。
また、センサー部5は、駆動部51a、51bを支持している駆動バネ部54a、54bと、検出部52a、52bを支持している検出バネ部53a、53bと、を含む。そして、支持バネ部42のX軸方向(第1方向)でのバネ乗数は、駆動バネ部54a、54bおよび検出バネ部53a、53bのそれぞれのX軸方向でのバネ乗数よりも小さく、かつ、支持バネ部42のZ軸方向(第2方向)でのバネ乗数は、駆動バネ部54a、54bおよび検出バネ部53a、53bのそれぞれのZ軸方向でのバネ乗数よりも小さいことが好ましい。これにより、支持バネ部42が固定部41からセンサー部5への振動(外乱振動)の伝達を好適に低減することができる。
以上説明したような第5実施形態によっても、検出精度を向上させることができる。
<第6実施形態>
図11は、本発明の第6実施形態に係る物理量センサーの概略構成を示す平面図である。
以下、第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
本実施形態は、センサー部の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
本実施形態の物理量センサー1Eは、物理量としてX軸まわりの角速度ωXおよびY軸まわりの角速度ωYをそれぞれ検出する角速度センサーである。物理量センサー1Eは、図11に示すように、センサー部7と、センサー部7を収納しているパッケージ3と、パッケージ3内でセンサー部7をパッケージ3に対して支持している支持部4Eと、を備える。
センサー部7は、平面視で、仮想直線γに対して対称な形状をなしている。なお、仮想直線γは、平面視で、センサー部7の中心C3を通り、かつ、Y軸に平行な線分(直線)である。
このセンサー部7は、平面視で仮想直線γ上に跨って配置されている連結部80と、平面視で仮想直線γに対して+X軸方向側(図11中右側)に配置されている駆動部71a、71c、4つずつのバネ部73a、73c、4つずつの中継部75a、75c、6つずつの固定駆動電極761a、762a、761c、762c、および固定検出電極771a、772a、771c、772cと、平面視で仮想直線γに対して−X軸方向側(図11中左側)に配置されている駆動部71b、71d、4つずつのバネ部73b、73d、4つずつの中継部75b、75d、6つずつの固定駆動電極761b、762b、761d、762d、および固定検出電極771b、772b、771d、772dと、を有している。
これらは、固定検出電極771a、772a、771c、772c、771b、772b、771d、772dを除き、リン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチングによってパターニングすることで一括形成される。また、固定検出電極771a、772a、771c、772c、771b、772b、771d、772dは、基板31上に例えば金、クロム等の金属材料を成膜することで形成される。また、各固定駆動電極761a、762a、761c、762c、761b、762b、761d、762dは、パッケージ3の基板31に対して例えば陽極接合により接合されている。
2つの駆動部71a、71bは、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。同様に、2つの駆動部71c、71dは、X軸方向に互いに離間して並んで配置されている。また、駆動部71a、71cは、Y軸方向に互いに離間して並んで配置されている。同様に、駆動部71b、71dは、Y軸方向に互いに離間して並んで配置されている。
駆動部71aは、円環状をなしている外側部711aと、外側部711aの内側に配置されている内側部712aと、外側部711aおよび内側部712aに支持されている6つの櫛歯状の電極部713a(可動駆動電極)および2つの板状の電極部714a(可動検出電極)と、を有する。
6つの電極部713aは、外側部711aと内側部712aとの間に、これらの周方向に沿って並んで配置され、外側部711aと内側部712aとを接続している。2つの電極部714aは、内側部712aに対して+X軸方向側と−X軸方向側にそれぞれ配置され、外側部711aと内側部712aとを接続している。このような駆動部71aの外周部の4箇所には、4つのバネ部73aの一端部が接続されている。各バネ部73aの他端部には、中継部75aが接続されている。中継部75aは、支持部4Eを介して基板31に固定されている。
ここで、各バネ部73aは、駆動部71aのY軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部71aの外側部711aと内側部712aとの間には、6つの固定駆動電極761aおよび6つの固定駆動電極762aが配置されている。固定駆動電極761a、762aは、各電極部713aを挟むように配置され、前述した電極部713aに噛み合う櫛歯状をなしている。また、2つの電極部714aの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極771a、772aが配置されている。
前述した駆動部71aと同様に、駆動部71bは、円環状をなしている外側部711bと、外側部711bの内側に配置されている内側部712bと、外側部711bおよび内側部712bに支持されている6つの櫛歯状の電極部713b(可動駆動電極)および2つの板状の電極部714b(可動検出電極)と、を有する。
6つの電極部713bは、外側部711bと内側部712bとの間に、これらの周方向に沿って並んで配置され、外側部711bと内側部712bとを接続している。2つの電極部714bは、内側部712bに対して+X軸方向側と−X軸方向側にそれぞれ配置され、外側部711bと内側部712bとを接続している。このような駆動部71bの外周部の4箇所には、4つのバネ部73bの一端部が接続されている。各バネ部73bの他端部には、中継部75bが接続されている。中継部75bは、支持部4Eを介して基板31に固定されている。
ここで、各バネ部73bは、駆動部71bのY軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部71bの外側部711bと内側部712bとの間には、6つの固定駆動電極761bおよび6つの固定駆動電極762bが配置されている。固定駆動電極761b、762bは、各電極部713bを挟むように配置され、前述した電極部713bに噛み合う櫛歯状をなしている。また、2つの電極部714bの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極771b、772bが配置されている。
また、駆動部71c、71dは、それぞれ、Z軸まわりに90°回転した形状となっていること以外は、前述した駆動部71a、71bと同様である。具体的には、駆動部71cは、円環状をなしている外側部711cと、外側部711cの内側に配置されている内側部712cと、外側部711cおよび内側部712cに支持されている6つの櫛歯状の電極部713c(可動駆動電極)および2つの板状の電極部714c(可動検出電極)と、を有する。
6つの電極部713cは、外側部711cと内側部712cとの間に、これらの周方向に沿って並んで配置され、外側部711cと内側部712cとを接続している。2つの電極部714cは、内側部712cに対して+Y軸方向側と−Y軸方向側にそれぞれ配置され、外側部711cと内側部712cとを接続している。このような駆動部71cの外周部の4箇所には、4つのバネ部73cの一端部が接続されている。各バネ部73cの他端部には、中継部75cが接続されている。中継部75cは、支持部4Eを介して基板31に固定されている。
ここで、各バネ部73cは、駆動部71cのX軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部71cの外側部711cと内側部712cとの間には、6つの固定駆動電極761cおよび6つの固定駆動電極762cが配置されている。固定駆動電極761c、762cは、各電極部713cを挟むように配置され、前述した電極部713cに噛み合う櫛歯状をなしている。また、2つの電極部714cの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極771c、772cが配置されている。
前述した駆動部71cと同様に、駆動部71dは、円環状をなしている外側部711dと、外側部711dの内側に配置されている内側部712dと、外側部711dおよび内側部712dに支持されている6つの櫛歯状の電極部713d(可動駆動電極)および2つの板状の電極部714d(可動検出電極)と、を有する。
6つの電極部713dは、外側部711dと内側部712dの間に、これらの周方向に沿って並んで配置され、外側部711dと内側部712dとを接続している。2つの電極部714dは、内側部712dに対して+Y軸方向側と−Y軸方向側にそれぞれ配置され、外側部711dと内側部712dとを接続している。このような駆動部71dの外周部の4箇所には、4つのバネ部73dの一端部が接続されている。各バネ部73dの他端部には、中継部75dが接続されている。中継部75dは、支持部4Eを介して基板31に固定されている。
ここで、各バネ部73dは、駆動部71dのX軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。また、駆動部71dの外側部711dと内側部712dとの間には、6つの固定駆動電極761dおよび6つの固定駆動電極762dが配置されている。固定駆動電極761d、762dは、各電極部713dを挟むように配置され、前述した電極部713dに噛み合う櫛歯状をなしている。また、2つの電極部714dの−Z軸方向側の面に対向するように、基板31の凹部311の底面上には、固定検出電極771d、772dが配置されている。
連結部80は、前述した駆動部71a、71b、71c、71dを連結している。この連結部80は、駆動部71a、71bのX軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するとともに、駆動部71c、71dのY軸まわりおよびZ軸まわりの振動を許容するように弾性変形可能に構成されている。
以上のようなセンサー部7は、次のようにして角速度ωX、ωYを検出することができる。まず、各固定駆動電極761a、761b、761c、761dと駆動部71a、71b、71c、71dとの間に第1交番電圧が印加されるとともに、各固定駆動電極762a、762b、762c、762dと駆動部71a、71b、71c、71dとの間に第1交番電圧とは位相の180度ずれた第2交番電圧が印加される。これにより、駆動部71aと駆動部71bとが互いに逆相でZ軸まわりに振動(駆動振動)するとともに、駆動部71cと駆動部71dとが互いに逆相でZ軸まわりに振動(駆動振動)する。
前述したような駆動振動の状態で、物理量センサー1Eに角速度ωYが加わると、コリオリ力の作用により、駆動部71a、71bがY軸まわりに逆相で振動(検出振動)する。この検出振動により、駆動部71aの2つの電極部714aと固定検出電極771a、772aとの間および駆動部71bの2つの電極部714bと固定検出電極771b、772bとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて角速度ωYを検出することができる。
また、前述したような駆動振動の状態で、物理量センサー1Eに角速度ωXが加わると、コリオリ力の作用により、駆動部71c、71dがX軸まわりに逆相で振動(検出振動)する。この検出振動により、駆動部71cの2つの電極部714cと固定検出電極771c、772cとの間および駆動部71dの2つの電極部714dと固定検出電極771d、772dとの間のそれぞれの距離が変化し、それに伴ってこれらの間の静電容量が変化する。したがって、これらの静電容量の変化量に基づいて角速度ωXを検出することができる。
以上のようなセンサー部7の中継部75a、75b、75c、75dは、前述したように、支持部4Eを介して基板31に固定されている。支持部4Eは、パッケージ3の基板31に固定されている4つの固定部41と、前述したセンサー部7の4つの中継部75a、75b、75c、75dに接続されているフレーム部46(枠部)と、4つの固定部41とフレーム部46とを接続している4つの支持バネ部42と、を有し、これらが一体的に形成されている。
フレーム部46は、平面視でセンサー部7の全体を囲むように枠状をなしている。このようなフレーム部46は、Y軸方向に延びている1対の第1部分と、当該1対の第1部分の両端部に接続され、X軸方向に延びている1対の第2部分と、を有する。
このようなフレーム部46を設けることで、支持バネ部42の特性を生かしつつ、センサー部7を支持部4Eにより安定的に支持することができる。
以上説明したような第6実施形態によっても、検出精度を向上させることができる。
2.慣性計測装置
図12は、本発明の慣性計測装置の実施形態を示す分解斜視図である。図13は、図12に示す慣性計測装置が備える基板の斜視図である。
図12に示す慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)2000は、いわゆる6軸モーションセンサーであり、例えば、自動車、ロボット等の移動体(計測対象物)に装着して用いられ、当該移動体の姿勢および挙動(慣性運動量)を検出する。
この慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を備え、センサーモジュール2300がアウターケース2100内に接合部材2200を介在させた状態で篏合(挿入)されている。
アウターケース2100は、箱状をなしており、このアウターケース2100の対角にある2つの角部には、計測対象物に対するネジ止めのためのネジ孔2110が設けられている。
センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を備え、インナーケース2310が基板2320を支持した状態で、前述したアウターケース2100の内部に収納されている。ここで、インナーケース2310は、アウターケース2100に対して、接合部材2200(例えばゴム製のパッキン)を介して、接着剤等により接合されている。また、インナーケース2310は、基板2320上に実装される部品の収納空間として機能する凹部2311と、基板2320上に設けられているコネクター2330を外部に露出するための開口部2312と、を有する。基板2320は、例えば、多層配線基板であり、インナーケース2310に対して接着剤等により接合されている。
図13に示すように、基板2320には、コネクター2330、角速度センサー2340X、2340Y、2340Z、加速度センサー2350および制御IC2360が実装されている。
コネクター2330は、図示しない外部装置に電気的に接続され、当該外部装置と慣性計測装置2000との間で電力、計測データ等の電気信号の送受信を行うのに用いられる。
角速度センサー2340Xは、X軸まわりの角速度を検出し、角速度センサー2340Yは、Y軸まわりの角速度を検出し、角速度センサー2340Zは、Z軸まわりの角速度を検出する。ここで、角速度センサー2340X、2340Y、2340Zは、それぞれ、前述した物理量センサー1〜1Eのうちのいずれかである。また、加速度センサー2350は、例えば、MEMS技術を用いて形成された加速度センサーであり、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向での加速度を検出する。
制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部、A/Dコンバーター等を内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。ここで、記憶部には、加速度および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラム、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータ等が記憶されている。
以上のように、慣性計測装置2000は、物理量センサー1(または1A〜1E)と、物理量センサー1(または1A〜1E)の動作を制御する制御回路である制御IC2360と、を備える。このような慣性計測装置2000によれば、物理量センサー1(または1A〜1E)の高精度な検出結果を用いることで、計測精度を高めることができる。
3.測位装置
図14は、本発明の測位装置の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図14に示す測位装置3000は、例えば、図示しない移動体に装着して用いられ、当該移動体の測位を行う装置である。当該移動体としては、例えば、自動車、オートバイ、自転車、船、電車、人間等が挙げられる。測位装置3000を人間に装着する場合、例えば、測位装置3000を時計型等の携帯情報機器等に組み込めばよい。
この測位装置3000は、測位用衛星NSからの衛星信号に基づいて測位計算を行う受信機3100と、角速度および加速度を計測する慣性計測装置3300と、受信機3100の測位計算結果および慣性計測装置3300の計測結果に基づいて受信点の位置を算出する処理を行う処理部3400と、表示部3500と、通信部3600と、を備える。
受信機3100は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機であり、アンテナ3200を介して測位用衛星NS(GPS衛星)からの衛星信号を受信し、当該衛星信号に含まれる軌道情報(エフェメリスデータやアルマナックデータ等)および時刻情報(週番号データやZカウントデータ等)に基づいて測位計算を行う。より具体的には、受信機3100は、例えば、RF(Radio Frequency)回路、ベースバンド処理回路等を有して構成され、RF回路が、アンテナ3200で受信した衛星信号のダウンコンバート、増幅等を行い、ベースバンド処理部が、RF回路からの4つ以上の衛星信号に含まれる軌道情報および時刻情報に基づいて測位計算を行い、その測位計算結果(位置情報)を出力する。なお、受信機3100は、位置情報を、時刻情報、受信状況(測位用衛星NSの捕捉数、衛星信号の強度等)等の各種情報とともに、NMEAデータとして出力してもよい。
慣性計測装置3300は、3軸の各軸まわりの角速度および各軸方向の加速度を検出する装置である。この慣性計測装置3300は、3軸の各軸まわりの角速度を検出する角速度センサー3310と、3軸の各軸方向の角速度を検出する加速度センサー3320と、角速度センサー3310および加速度センサー3320の動作を制御する制御回路3330と、を備える。ここで、慣性計測装置3300は、前述した慣性計測装置2000と同様に構成されている。そして、慣性計測装置3300は、3軸の各軸まわりの角速度および各軸方向の加速度を含む慣性情報を計測結果として出力する。
処理部3400は、受信機3100から位置情報を取得する位置情報取得部3410と、慣性計測装置3300から慣性情報を取得する慣性情報取得部3420と、位置情報取得部3410および慣性情報取得部3420からの情報を用いて演算を行う演算部3430と、を有する。この処理部3400は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリーと、を含んで構成され、メモリーに記憶されているプログラムをプロセッサーが適宜読み込んで実行することで、位置情報取得部3410、慣性情報取得部3420および演算部3430の各機能を実現する。
位置情報取得部3410は、受信機3100から取得した位置情報(測位計算結果)を所定時間ごとに統計処理(例えば平均値、中央値または最頻値を求める処理)を行い、その結果を出力する。慣性情報取得部3420は、慣性計測装置3300から取得した慣性情報(計測結果)に基づいて測位計算(例えば加速度および角速度を時間で積分する演算)を行い、その結果を出力する。演算部3430は、位置情報取得部3410および慣性情報取得部3420からの位置情報(測位計算結果)に基づいて、受信点の位置を算出し、その算出結果(位置情報)を出力する。これにより、高精度な位置情報を生成することができる。
なお、位置情報取得部3410を省略し、前述したような統計処理を行わなくてもよく、この場合、演算部3430は、受信機3100の測位計算結果をそのまま用いて前述した受信点の位置の算出を行えばよい。また、慣性情報取得部3420を省略し、慣性計測装置3300の計測結果に基づく測位計算を行わなくてもよく、この場合、演算部3430は、慣性計測装置3300の計測結果(加速度情報および角速度情報)をそのまま用いて受信機3100の測位計算結果を補正すればよい。また、受信機3100の受信状態が悪いとき、演算部3430は、慣性計測装置3300から取得した慣性情報(計測結果)に基づいて測位計算した結果を位置情報として出力してもよい。
表示部3500は、例えば、液晶パネル等で構成され、演算部3430からの位置情報を表示する機能を有する。通信部3600は、例えば、無線通信または有線通信の通信回路で構成され、演算部3430からの位置情報を外部装置(図示せず)に送信する機能を有する。
以上のように、測位装置3000は、慣性計測装置3300と、測位用衛星NSから受信した衛星信号に基づいて測位計算を行う受信機3100と、慣性計測装置3300の計測結果および受信機3100の測位計算結果に基づいて、受信点の位置を算出する処理を行う処理部3400と、を備える。このような測位装置3000によれば、慣性計測装置3300の高精度な計測結果を用いることで、測位精度を高めることができる。
4.電子機器
次に、本発明の物理量センサーを備える電子機器について説明する。
図15は、本発明の電子機器の実施形態(モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター)を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、前述した物理量センサー1〜1Eのいずれかを含む慣性計測装置2000が内蔵されている。
図16は、本発明の電子機器の実施形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、前述した物理量センサー1〜1Eのいずれかを含む慣性計測装置2000が内蔵されている。
図17は、本発明の電子機器の実施形態(デジタルスチールカメラ)を示す斜視図である。
デジタルスチールカメラ1300におけるケース1302の背面には表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラ1300には、前述した物理量センサー1〜1Eのいずれかを含む慣性計測装置2000が内蔵されており、この慣性計測装置2000の計測結果は、例えば、手振れ補正に用いられる。
以上のような電子機器は、物理量センサー1〜1Eのいずれかを備える。このような電子機器によれば、物理量センサー1〜1Eのいずれかの高精度な検出結果を用いることで、電子機器の特性(例えば信頼性)を高めることができる。
なお、本発明の電子機器は、図15のパーソナルコンピューター、図16の携帯電話機、図17のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、携帯端末用の基地局、フライトシミュレーター等に適用することができる。
5.携帯型電子機器
次に、本発明の携帯型電子機器の実施形態について説明する。
図18は、本発明の携帯型電子機器の実施形態を示す平面図である。図19は、図18に示す携帯型電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
図18に示す腕時計型の活動計1400(アクティブトラッカー)は、本発明の携帯型電子機器を適用したリスト機器である。活動計1400は、バンド1401によってユーザーの手首等の部位(被検体)に装着される。また、活動計1400は、デジタル表示の表示部1402を備えるとともに、無線通信が可能である。上述した本発明に係る物理量センサー1は、加速度を測定するセンサーや角速度を計測するセンサーとして活動計1400に組込まれている。
活動計1400は、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を備えている。また、透光性カバー1404の外側にはベゼル1405が設けられている。また、ケース1403の側面には複数の操作ボタン1406、1407が設けられている。
図19に示すように、物理量センサー1としての加速度センサー1408は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の加速度を検出し、検出した3軸加速度の大きさおよび向きに応じた信号(加速度信号)を出力する。また、角速度センサー1409は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の角速度を検出し、検出した3軸角速度の大きさおよび向きに応じた信号(角速度信号)を出力する。
表示部1402を構成する液晶ディスプレイ(LCD)では、種々の検出モードに応じて、例えば、GPSセンサー1411や地磁気センサー1412を用いた位置情報、移動量や物理量センサー1に含まれる加速度センサー1408や角速度センサー1409などを用いた運動量などの運動情報、脈拍センサー1413などを用いた脈拍数などの生体情報、もしくは現在時刻などの時刻情報などが表示される。なお、温度センサー1414を用いた環境温度を表示することもできる。
通信部1415は、ユーザー端末と図示しない情報端末との間の通信を成立させるための各種制御を行う。通信部1415は、例えば、Bluetooth(登録商標)(BTLE:Bluetooth Low Energyを含む)、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near field communication)、ANT+(登録商標)等の近距離無線通信規格に対応した送受信機や、USB(Universal Serial Bus)等の通信バス規格に対応したコネクターを含んで構成される。
処理部1410(プロセッサー)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。処理部1410は、記憶部1416に格納されたプログラムと、操作部1417(例えば操作ボタン1406、1407)から入力された信号とに基づき、各種の処理を実行する。処理部1410による処理には、GPSセンサー1411、地磁気センサー1412、圧力センサー1418、加速度センサー1408、角速度センサー1409、脈拍センサー1413、温度センサー1414、計時部1419の各出力信号に対するデータ処理、表示部1402に画像を表示させる表示処理、音出力部1420に音を出力させる音出力処理、通信部1415を介して情報端末と通信を行う通信処理、バッテリー1421からの電力を各部へ供給する電力制御処理などが含まれる。
このような活動計1400では、少なくとも以下のような機能を有することができる。
1.距離:高精度のGPS機能により計測開始からの合計距離を計測する。
2.ペース:ペース距離計測から、現在の走行ペースを表示する。
3.平均スピード:平均スピード走行開始から現在までの平均スピードを算出し表示する。
4.標高:GPS機能により、標高を計測し表示する。
5.ストライド:GPS電波が届かないトンネル内などでも歩幅を計測し表示する。
6.ピッチ:1分あたりの歩数を計測し表示する。
7.心拍数:脈拍センサーにより心拍数を計測し表示する。
8.勾配:山間部でのトレーニングやトレイルランにおいて、地面の勾配を計測し表示する。
9.オートラップ:事前に設定した一定距離や一定時間を走った時に、自動でラップ計
測を行う。
10.運動消費カロリー:消費カロリーを表示する。
11.歩数:運動開始からの歩数の合計を表示する。
このような活動計1400(携帯型電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を含んでいる。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、活動計1400は、ランニングウォッチ、ランナーズウォッチ、デュアスロンやトライアスロン等マルチスポーツ対応のランナーズウォッチ、アウトドアウォッチ、および衛星測位システム、例えばGPSを搭載したGPSウォッチ、等に広く適用できる。
また、上述では、衛星測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を用いて説明したが、他の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してもよい。例えば、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO、BeiDou(BeiDou Navigation Satellite System)、等の衛星測位システムのうち1又は2以上を利用してもよい。また、衛星測位システムの少なくとも1つにWAAS(Wide Area Augmentation System)、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)等の静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS:Satellite-based Augmentation System)を利用してもよい。
6.移動体
次に、本発明の移動体について説明する。
図20は、本発明の移動体の実施形態(自動車)を示す斜視図である。
自動車1500には、前述した物理量センサー1〜1Eのいずれかを含む慣性計測装置2000が内蔵されており、例えば、慣性計測装置2000によって車体1501の姿勢を検出することができる。慣性計測装置2000の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。
その他、このような姿勢制御は、二足歩行ロボットやラジコンヘリコプター(ドローンを含む)で利用することができる。以上のように、各種移動体の姿勢制御の実現にあたって、慣性計測装置2000が組み込まれる。
以上のように、移動体である自動車1500は、物理量センサー1〜1Eのいずれかを備える。このような自動車1500によれば、物理量センサー1〜1Eのいずれかの高精度な検出結果を用いることで、自動車1500の特性(例えば信頼性)を高めることができる。
以上、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。