以下、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す平面図である。図2は、図1中のA-A線断面図である。図3は、図1の物理量センサーが有する素子部を示す平面図である。図4は、図1の物理量センサーに印加する電圧を示す図である。図5は、図3に示す素子部の振動モードを説明するための模式図である。図6および図7は、それぞれ、図3に示す素子部が有するストッパーを示す側面図である。図8および図9は、図3に示す素子部の部分拡大平面図である。図10は、検出ばねが弾性変形した状態を示す側面図である。図11および図12は、それぞれ、プルイン臨界点を説明するための側面図である。図13および図14は、それぞれ、図1に示す物理量センサーの変形例を示す側面図である。
各図には、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。
なお、本願明細書において、「直交」とは、90°で交わっている場合の他、90°から若干傾いた角度(例えば、90°±5°)で交わっている場合も含むものである。具体的には、X軸がYZ平面の法線方向に対して±5°程度傾いている場合、Y軸がXZ平面の法線方向に対して±5°程度傾いている場合、Z軸がXY平面の法線方向に対して±5°程度傾いている場合、についても「直交」に含まれる。
図1に示す物理量センサー1は、Y軸まわりの角速度ωyを検出することのできる角速度センサーである。物理量センサー1は、基板2と、蓋体3と、素子部4と、を有している。
図1に示すように、基板2は、矩形の平面視形状を有している。また、基板2は、上面に開放する凹部21を有している。凹部21は、素子部4と基板2との接触を防止(抑制)するための逃げ部として機能する。また、基板2は、凹部21の底面から突出する複数のマウント22(221、222、224、225)を有している。そして、これらマウント22の上面に素子部4が接合されている。これにより、基板2との接触が防止された状態で、基板2に素子部4を固定することができる。また、基板2は、上面に開放する溝部23、24、25、26、27、28を有している。
基板2としては、例えば、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)等の可動イオン(アルカリ金属イオン)を含むガラス材料(例えば、テンパックスガラス(登録商標)、パイレックスガラス(登録商標)のような硼珪酸ガラス)で構成されたガラス基板を用いることができる。これにより、例えば、後述するように、基板2と素子部4とを陽極接合することができ、これらを強固に接合することができる。また、光透過性を有する基板2が得られるため、物理量センサー1の外側から、基板2を介して素子部4の状態を視認することができる。ただし、基板2の構成材料としては、特に限定されず、シリコン基板、セラミックス基板等を用いてもよい。
図1に示すように、凹部21の底面には固定検出電極81、82が配置されている。また、溝部23、24、25、26、27、28には、配線73、74、75、76、77、78が配置されている。配線73、74、77、78は、それぞれ、素子部4と電気的に接続されており、配線75、76は、固定検出電極81、82と電気的に接続されている。また、配線73、74、75、76、77、78の一端部は、それぞれ、蓋体3の外側に露出し、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドPとして機能する。
図1に示すように、蓋体3は、矩形の平面視形状を有している。また、図2に示すように、蓋体3は、下面に開放する凹部31を有している。蓋体3は、凹部31内に素子部4を収納するようにして、基板2の上面に接合されている。そして、蓋体3および基板2によって、その内側に、素子部4を収納する収納空間Sが形成されている。
また、図2に示すように、蓋体3は、収納空間Sの内外を連通する連通孔32を有している。そのため、連通孔32を介して、収納空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、連通孔32内には封止部材33が配置され、封止部材33によって連通孔32が気密封止されている。なお、収納空間Sは、減圧状態、特に真空状態であることが好ましい。これにより、粘性抵抗が減り、素子部4を効率的に振動させることができる。
このような蓋体3としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、蓋体3としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。また、基板2と蓋体3との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋体3の材料によって適宜選択すればよいが、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基板2の上面および蓋体3の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等が挙げられる。本実施形態では、ガラスフリット39(低融点ガラス)を介して基板2と蓋体3とが接合されている。
素子部4は、収納空間Sに配置されており、マウント22の上面に接合されている。素子部4は、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をドライエッチング法(シリコンディープエッチング。特にボッシュ法)によってパターニングすることで形成することができる。以下、図3に基づいて、素子部4について詳細に説明する。なお、以下では、Z軸方向からの平面視で、素子部4の中心Oと交わり、Y軸方向に延びる直線を「仮想直線α」とも言う。
図3に示すように、素子部4の形状は、仮想直線αに対して対称である。また、素子部4は、仮想直線αの両側に配置された2つの駆動部41A、41Bを有している。駆動部41Aは、櫛歯状の可動駆動電極411Aと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Aと噛み合って配置された固定駆動電極412Aと、を有している。同様に、駆動部41Bは、櫛歯状の可動駆動電極411Bと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Bと噛み合って配置された固定駆動電極412Bと、を有している。
また、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、マウント221の上面に接合され、基板2に固定されている。また、可動駆動電極411A、411Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、配線74と電気的に接続されている。
また、素子部4は、駆動部41Aの周囲に配置された4つの固定部42Aと、駆動部41Bの周囲に配置された4つの固定部42Bと、を有している。そして、各固定部42A、42Bは、マウント222の上面に接合され、基板2に固定されている。
また、素子部4は、各固定部42Aと可動駆動電極411Aとを連結する4つの駆動ばね43Aと、各固定部42Bと可動駆動電極411Bとを連結する4つの駆動ばね43Bと、を有している。各駆動ばね43AがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411AのX軸方向への変位が許容され、各駆動ばね43BがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411BのX軸方向への変位が許容される。
可動駆動電極411A、411Bを振動させるには、例えば、配線73を介して図4に示す電圧V1を可動駆動電極411A、411Bに印加し、配線74を介して図4に示す電圧V2を固定駆動電極412A、412Bに印加する。電圧V1は、GND基準(例えば、0.9V程度の電位)よりも大きい15V程度の定電圧であり、電圧V2は、GND基準を中心とした矩形波である。
これにより、可動駆動電極411Aと固定駆動電極412Aとの間および可動駆動電極411Bと固定駆動電極412Bとの間にそれぞれ静電引力が発生し、可動駆動電極411Aが駆動ばね43AをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動すると共に、可動駆動電極411Bが駆動ばね43BをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動する。前述したように、駆動部41A、41Bは、仮想直線αに対して対称的に配置されているため、可動駆動電極411A、411Bは、互いに接近、離間するようにX軸方向に逆相で振動する。そのため、可動駆動電極411A、411Bの振動がキャンセルされ、振動漏れを低減することができる。以下では、この振動モードを「駆動振動モード」とも言う。
なお、駆動振動モードを励振することができれば、電圧V1、V2としては、特に限定されない。また、本実施形態の物理量センサー1では、静電引力によって駆動振動モードを励振させる静電駆動方式となっているが、励振させる方式は、特に限定されず、例えば、圧電駆動方式、磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することもできる。
また、素子部4は、駆動部41Aと仮想直線αとの間に位置する検出部44Aと、駆動部41Bと仮想直線αとの間に位置する検出部44Bと、を有している。検出部44Aは、板状の可動検出電極441Aで構成されている。同様に、検出部44Bは、板状の可動検出電極441Bで構成されている。また、可動検出電極441Aは、固定検出電極81と対向して配置され、可動検出電極441Bは、固定検出電極82と対向して配置されている。
可動検出電極441A、441Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定検出電極81は、配線75と電気的に接続され、固定検出電極82は、配線76と電気的に接続されている。そして、物理量センサー1の駆動時には、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間に静電容量Caが形成され、可動検出電極441Bと固定検出電極82との間に静電容量Cbが形成される。
また、素子部4は、検出部44A、44Bの間に配置された2つの固定部451、452を有している。固定部451、452は、それぞれ、マウント224の上面に接合され、基板2に固定されている。なお、本実施形態では、固定部451、452を介して、可動駆動電極411A、411Bや可動検出電極441A、441Bが配線73と電気的に接続されている。
また、素子部4は、可動検出電極441Aと固定部42A、451、452とを連結する4つの検出ばね46Aと、可動検出電極441Bと固定部42B、451、452とを連結する4つの検出ばね46Bと、を有している。各検出ばね46AがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのX軸方向への変位が許容され、Z軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのZ軸方向への変位が許容される。同様に、各検出ばね46BがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのX軸方向への変位が許容され、Z軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのZ軸方向への変位が許容される。
また、素子部4は、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとの間に位置し、これらを接続する梁47Aと、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとの間に位置し、これらを接続する梁47Bと、を有している。そのため、図5に示すように、駆動振動モードでは、可動検出電極441A、441Bも、可動駆動電極411A、411Bと一体となってX軸方向に逆相で振動する。言い換えると、駆動振動モードでは、可動駆動電極411A、可動検出電極441Aおよび梁47Aの集合体である可動体4Aと、可動駆動電極411B、可動検出電極441Bおよび梁47Bの集合体である可動体4Bと、がX軸方向に逆相で振動する。
このような駆動振動モードで駆動させている最中に物理量センサー1に角速度ωyが加わると、可動検出電極441A、441Bは、コリオリの力によって、図5中の矢印Aに示すように、検出ばね46A、46BをZ軸方向に弾性変形させつつZ軸方向に逆相で振動する。なお、以下では、この振動モードを「検出振動モード」とも言う。検出振動モードでは、可動検出電極441A、441BがZ軸方向に振動するため、可動検出電極441Aと固定検出電極81とのギャップおよび可動検出電極441Bと固定検出電極82とのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Ca、Cbがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Ca、Cbの変化に基づいて、角速度ωyを求めることができる。
検出振動モードでは、静電容量Caが大きくなると静電容量Cbが小さくなり、反対に、静電容量Caが小さくなると静電容量Cbが大きくなる。そのため、配線75から出力される検出信号(静電容量Caの大きさに応じた信号)と、配線76から出力される検出信号(静電容量Cbの大きさに応じた信号)とを差動演算(減算処理:Ca-Cb)することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく角速度ωyを検出することができる。
また、図3に示すように、素子部4は、その中央部(検出部44A、44Bの間)に位置するフレーム48を有している。フレーム48は、「H」形状をなし、Y軸方向プラス側に位置する欠損部481(凹部)と、Y軸方向マイナス側に位置する欠損部482(凹部)と、を有している。そして、欠損部481の内外に亘って固定部451が配置されており、欠損部482の内外に亘って固定部452が配置されている。これにより、固定部451、452をそれぞれY軸方向に長く形成することができ、その分、基板2との接合面積が増え、基板2と素子部4との接合強度が増す。
また、素子部4は、固定部451とフレーム48との間に位置し、これらを接続するフレームばね488と、固定部452とフレーム48との間に位置し、これらを接続するフレームばね489と、を有している。フレームばね488、489は、それぞれ、Y軸方向に延在しており、X軸方向に弾性変形可能となっている。
また、素子部4は、フレーム48と可動検出電極441Aとの間に位置し、これらを接続する接続ばね40Aと、フレーム48と可動検出電極441Bとの間に位置し、これらを接続する接続ばね40Bと、を有している。接続ばね40Aは、検出ばね46Aと共に可動検出電極441Aを支持し、接続ばね40Bは、検出ばね46Bと共に可動検出電極441Bを支持している。これにより、可動検出電極441A、441Bをより安定した姿勢で支持することができ、可動検出電極441A、441Bの不要振動(スプリアス)を低減することができる。
また、素子部4は、駆動振動モードでの可動検出電極441A、441Bの振動状態を検出するためのモニター部49A、49Bを有している。モニター部49Aは、可動検出電極441Aに配置された櫛歯状の可動モニター電極491Aと、櫛歯状をなし可動モニター電極491Aと噛み合って配置された固定モニター電極492A、493Aと、を有している。同様に、モニター部49Bは、可動検出電極441Bに配置された櫛歯状の可動モニター電極491Bと、櫛歯状をなし可動モニター電極491Bと噛み合って配置された固定モニター電極492B、493Bと、を有している。また、固定モニター電極492A、493A、492B、493Bは、それぞれ、マウント225の上面に接合され、基板2に固定されている。
モニター部49Aでは、可動モニター電極491AのX軸方向プラス側に固定モニター電極492Aが位置し、X軸方向マイナス側に固定モニター電極493Aが位置している。一方、モニター部49Bでは、可動モニター電極491BのX軸方向マイナス側に固定モニター電極492Bが位置し、X軸方向プラス側に固定モニター電極493Bが位置している。
可動モニター電極491A、491Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定モニター電極492A、492Bは、配線77と電気的に接続され、固定モニター電極493A、493Bは、配線78と電気的に接続されている。そして、物理量センサー1の駆動時には、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極492Bとの間に静電容量Ccが形成され、可動モニター電極491Aと固定モニター電極493Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極493Bとの間に静電容量Cdが形成されている。
前述したように、駆動振動モードでは、可動検出電極441A、441BがX軸方向に振動するため、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492A、493Aとのギャップおよび可動モニター電極491Bと固定モニター電極492B、493Bとのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Cc、Cdがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Cc、Cdの変化に基づいて、可動検出電極441A、441Bの振動状態を検出することができる。
また、素子部4は、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への過度な変位を規制する機能を有するストッパー5を有している。ストッパー5は、固定部451と可動検出電極441Aとを接続する検出ばね46A(46A’)に設けられたストッパー51Aと、固定部452と可動検出電極441Aとを接続する検出ばね46A(46A”)に設けられたストッパー52Aと、固定部451と可動検出電極441Bとを接続する検出ばね46B(46B’)に設けられたストッパー51Bと、固定部452と可動検出電極441Bとを接続する検出ばね46B(46B”)に設けられたストッパー52Bと、を有している。このように、ストッパー5を素子部4と一体化することで、ストッパー5の形成が容易となる。また、素子部4の他の部分との位置ずれが抑制されるため、ストッパー5の位置精度が高く、ストッパー5としての機能を精度よく発揮することができる。
ストッパー51Aは、検出ばね46A’からX軸方向プラス側に延出し、同様に、ストッパー52Aは、検出ばね46A”からX軸方向プラス側に延出している。また、ストッパー51Aは、可動検出電極441Aとの接触を避けるようにして、可動検出電極441Aの外側(Y軸方向マイナス側)に位置し、ストッパー52Aは、可動検出電極441Aとの接触を避けるようにして、可動検出電極441Aの外側(Y軸方向プラス側)に位置している。
また、ストッパー51Bは、検出ばね46B’からX軸方向マイナス側に延出し、同様に、ストッパー52Bは、検出ばね46B”からX軸方向マイナス側に延出している。また、ストッパー51Bは、可動検出電極441Bとの接触を避けるようにして、可動検出電極441Bの外側(Y軸方向マイナス側)に位置し、ストッパー52Bは、可動検出電極441Bとの接触を避けるようにして、可動検出電極441Bの外側(Y軸方向プラス側)に位置している。
ここで、Y軸方向に並んで配置されたストッパー51A、51Bについて、ストッパー51Aをストッパー51Bと反対側(X軸方向プラス側)に向けて延出させ、ストッパー51Bをストッパー51Aと反対側(X軸方向マイナス側)に向けて延出させているため、これらの接触を防止できる。そのため、ストッパー51A、51Bをそれぞれ十分に長く形成することができる。同様に、Y軸方向に並んで配置されたストッパー52A、52Bについて、ストッパー52Aをストッパー52Bと反対側(X軸方向プラス側)に向けて延出させ、ストッパー52Bをストッパー52Aと反対側(X軸方向マイナス側)に向けて延出させているため、これらの接触を防止できる。そのため、ストッパー52A、52Bをそれぞれ十分に長く形成することができる。よって、後述するように、より確実に、ストッパー51A、52A、51B、52Bを可動検出電極441A、441Bよりも先に凹部21の底面に接触させることができ、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への過度な変位を抑制することができる。
図6および図7に示すように、検出振動モードにおいて可動検出電極441A、441BがX軸方向に逆相で振動すると、当該振動に伴って検出ばね46A’、46A”、46B’、46B”が仮想直線αまわりに揺動(回動)するようにして弾性変形する。そして、このような検出ばね46A’、46A”、46B’、46B”の弾性変形に伴って、ストッパー51A、52A、51B、52Bが仮想直線αまわりに揺動(回動)するようにして傾斜し、傾斜が大きくなると、その先端部が基板2(凹部21の底面)に接触する。
具体的には、図6に示すように、可動検出電極441AがZ軸方向マイナス側に変位し、可動検出電極441BがZ軸方向プラス側に変位する場合には、可動検出電極441Aよりも先にストッパー51A、52Aの先端部が凹部21の底面に接触する。反対に、図7に示すように、可動検出電極441AがZ軸方向プラス側に変位し、可動検出電極441BがZ軸方向マイナス側に変位する場合には、可動検出電極441Bよりも先にストッパー51B、52Bの先端部が凹部21の底面に接触する。このようにストッパー51A、52Aまたはストッパー51B、52Bが可動検出電極441Aまたは可動検出電極441Bよりも先に凹部21の底面に接触することで、可動検出電極441A、441Bのそれ以上のZ軸方向への変位が規制される。そのため、ストッパー51A、52A、51B、52Bによれば、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への過度な変位を効果的に抑制することができる。
特に、図8に示すように、ストッパー51A、52Aは、その回転中心軸である仮想直線αから遠ざかる方向に検出ばね46A’、46A”から延出し、その先端部(凹部21と接触する箇所)と仮想直線αとの離間距離Da1が、可動検出電極441Aと仮想直線αとの離間距離Da2よりも大きくなっている。すなわち、Da1>Da2の関係を満足している。そのため、図6に示すように、ストッパー51A、52Aの先端部のZ軸方向への変位量La1が、可動検出電極441AのZ軸方向への変位量La2よりも大きくなる。すなわち、La1>La2の関係を満足する。これにより、より確実に、可動検出電極441Aよりも先にストッパー51A、52Aを凹部21と接触させることができる。
同様に、図8に示すように、ストッパー51B、52Bは、その回転中心軸である仮想直線αから遠ざかる方向に検出ばね46B’、46B”から延出し、その先端部(凹部21と接触する箇所)と仮想直線αとの離間距離Db1が、可動検出電極441Bと仮想直線αとの離間距離Db2よりも大きくなっている。すなわち、Db1>Db2の関係を満足している。そのため、図7に示すように、ストッパー51B、52Bの先端部のZ軸方向への変位量Lb1が、可動検出電極441BのZ軸方向への変位量Lb2よりも大きくなる。すなわち、Lb1>Lb2の関係を満足する。これにより、より確実に、可動検出電極441Bよりも先にストッパー51B、52Bを凹部21と接触させることができる。
ここで、検出ばね46A’、46A”、46B’、46B”の形状について詳細に説明する。ただし、検出ばね46A’、46A”、46B’、46B”は、対称的に形成されているため、以下では、検出ばね46A’の形状について代表して説明し、他の検出ばね46A”、46B’、46B”については、その説明を省略する。
図9に示すように、検出ばね46A’は、Y軸方向に複数回往復する蛇行形状となっている。具体的には、検出ばね46A’は、Y軸方向に延在し、X軸方向に離間して配置された6本のアーム461a、461b、461c、461d、461e、461fを有している。アーム461aは、検出ばね46B’と共通化されており、そのY軸方向プラス側の端部において固定部451と接続している。
また、検出ばね46A’は、アーム461a、461bのY軸方向マイナス側の端部同士を接続する接続部462と、アーム461b、461cのY軸方向プラス側の端部同士を接続する接続部463と、アーム461c、461dのY軸方向マイナス側の端部同士を接続する接続部464と、アーム461d、461eのY軸方向プラス側の端部同士を接続する接続部465と、アーム461e、461fのY軸方向マイナス側の端部同士を接続する接続部466と、アーム461fのY軸方向プラス側の端部と可動検出電極441Aとを接続する接続部467と、を有している。
なお、以下では、説明の便宜上、アーム461a、461b、461c、461d、461e、461fを「アーム461a~461f」とも言い、接続部462、463、464、465、466、467を「接続部462~467」とも言う。
そして、このような形状の検出ばね46A’において、ストッパー51Aは、接続部464に配置されている。以下、この理由について詳細に説明する。検出ばね46A’では、まず、接続部462~467のいずれかにストッパー51Aを設けることが好ましい。接続部462~467は、アーム461a~461fと比べて検出ばね46A’の特性(例えば、ばね定数)に与える影響が小さい。そのため、ストッパー51Aを設けることによる検出ばね46A’の特性変化を小さく抑えることができる。また、接続部462~467は、アーム461a~461fと比べて捩じれ変形し難いし、捩じれの程度がアーム461a~461fと比べて安定している。そのため、ストッパー51Aの変位を制御し易くなる。
さらには、接続部462~467のうちでも、Y軸方向マイナス側に位置する接続部462、464、464のいずれかにストッパー51Aを設けることが好ましい。これら接続部462、464、466は、素子部4の外側に面しているため、他の部分に邪魔されることなくストッパー51Aを配置することができ、かつ、ストッパー51Aを長く形成することができる。
さらには、接続部462、464、466のうちでも、検出ばね46A’の両端部から遠い場所(中央部)に位置する接続部464にストッパー51Aを設けることが好ましい。中央部に位置する接続部464は、図10に示すように、両端部に位置する接続部462、466と比べてZ軸まわりの回転角度θzが大きくなる。そのため、接続部464にストッパー51Aを設けることで、ストッパー51AのZ軸方向への変位量La1をより大きくすることができ、より確実に、可動検出電極441Aよりも先に凹部21の底面に接触させることができる。また、ストッパー51AのZ軸方向への変位量La1が大きくなる分、ストッパー51Aを短くすることもできる。そのため、ストッパー51Aの剛性を高めることができ、ストッパー51Aの破損を効果的に抑制することができる。
以上の理由から、ストッパー51Aは、接続部464に配置されている。ただし、ストッパー51Aの配置としては、特に限定されない。例えば、ストッパー51Aは、アーム461a~461fのいずれかに配置されていてもよいし、接続部464以外の接続部462、463、465、466、467のいずれかに配置されていてもよい。また、ストッパー51Aは、検出ばね46Aに2つ以上配置されていてもよい。
なお、上述の説明において、ストッパー5は、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への過度な変位を規制することができる、と述べたが、この「Z軸方向への過度な変位」とは、例えば、可動検出電極441A、441Bが基板2(凹部21の底面)にぶつかってしまう程の変位が挙げられる。このような変位が生じると、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間に発生している静電引力によってこれらが張り付いたり、可動検出電極441Bと固定検出電極82との間に発生している静電引力によってこれらが張り付いたりし、素子部4を振動させることができなくなってしまう。すなわち、角速度ωyを検出できなくなってしまう。また、検出ばね46A、46Bが過度に変形してしまい、当該部分が破損するおそれもある。
そこで、ストッパー51A、52Aは、可動検出電極441Aが凹部21の底面に接触する前に凹部21の底面に接触し、ストッパー51B、52Bは、可動検出電極441Bが凹部21の底面に接触する前に凹部21の底面に接触する。これにより、前述した可動検出電極441A、441Bと固定検出電極81、82との貼り付きや素子部4の破損を効果的に抑制することができる。
また、前記「Z軸方向への過度な変位」とは、例えば、図11に示すように、可動検出電極441Aを自然状態に戻そうとする機械ばね力Fa1(素子部4の弾性変形した各部が自然状態に復帰しようとする力)と、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間に生じる静電引力Fa2と、の関係がFa1<Fa2となってしまう程の変位、あるいは、図12に示すように、可動検出電極441Bを自然状態に戻そうとする機械ばね力Fb1と、可動検出電極441Bと固定検出電極82との間に生じる静電引力Fb2と、の関係がFb1<Fb2となってしまう程の変位が挙げられる。このような変位が生じると、機械ばねが静電引力に抗することができなくなり、可動検出電極441Aと固定検出電極81とが張り付いたり、可動検出電極441Bと固定検出電極82とが張り付いたりし、素子部4を振動させることができなくなってしまう。すなわち、角速度ωyを検出できなくなってしまう。なお、Fa1=Fa2となる可動検出電極441Aの位置およびFb1=Fb2となる可動検出電極441Bの位置をそれぞれ「プルイン臨界点Zp」と言う。
そこで、ストッパー51A、52Aは、図11に示すように、可動検出電極441Aがプルイン臨界点Zpまで変位する前に、すなわちFa1>Fa2の状態で凹部21の底面に接触する。同様に、図12に示すように、ストッパー51B、52Bは、可動検出電極441Bがプルイン臨界点Zpまで変位する前に、すなわちFb1>Fb2の状態で凹部21の底面に接触する。これにより、前述した可動検出電極441A、441Bと固定検出電極81、82との貼り付きを効果的に抑制することができる。
ここで、ストッパー51A、52A、51B、52Bの優れている点として、ストッパー51A、52A、51B、52Bの延在長さ(X軸方向の長さ)を調整することで、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への変位範囲を制限できることにある。前述したように、素子部4は、シリコン基板をドライエッチング法によってパターニングすることで形成されるが、当該方法によれば、ストッパー51A、52A、51B、52Bの延在長さを精度よく制御することができる。そのため、ストッパー5は、その機能をより確実に、かつ、精度よく発揮することができる。
以上、ストッパー5について説明した。ただし、ストッパー51A、52A、51B、52Bの構成としては、特に限定されず、例えば、本実施形態のような直線状に限定されず、途中で湾曲、屈曲していてもよい。また、本実施形態のようなX軸方向に延びる1本のものに限定されず、例えば、途中で複数本に分岐していてもよい。
物理量センサー1は、図3、図6および図7に示すように、凹部21の底面であって、ストッパー51A、52A、51B、52Bと接触する箇所に配置された電極83を有している。電極83は、配線73と電気的に接続されており、ストッパー51A、52A、51B、52Bと同電位となっている。これにより、次のような効果を発揮することができる。
物理量センサー1の駆動中に発生する電界によって、基板2内のアルカリ金属イオン(Na+)が凹部21の底面側に移動し、凹部21の底面が帯電する。そして、ストッパー51A、52A、51B、52Bと接触する箇所から基板2の表面が露出していると、ストッパー51A、52A、51B、52Bと基板2との接触時に、基板2の表面にある電荷がストッパー51A、52A、51B、52Bを介して素子部4に移動し、当該電荷の移動によって素子部4の特性が変動してしまう。そのため、角速度ωyの検出精度が低下するおそれがある。これに対して、ストッパー51A、52A、51B、52Bと接触し得る箇所に、ストッパー51A、52A、51B、52Bと同電位の電極83を配置することで、上述したような電荷の移動がなくなるため、角速度ωyの検出精度の低下を効果的に抑制することができる。
以上、本実施形態の物理量センサー1について説明した。このような物理量センサー1は、前述したように、基板2と、基板2に対して変位可能な部分を有する素子部4と、を有している。そして、素子部4は、可動検出電極441A、441Bと、可動検出電極441Aを基板2に対して接近、離間するZ軸方向(第1方向)に変位可能に支持する検出ばね46Aと、可動検出電極441Bを基板2に対して接近、離間するZ軸方向(第1方向)に変位可能に支持する検出ばね46Bと、可動検出電極441A、441Bと共にZ軸方向に変位し、可動検出電極441A、441Bよりも先に基板2と当接し得るストッパー5と、を有している。このように、ストッパー5を有することで、可動検出電極441A、441BのZ軸方向への過度な変位を規制することができ、可動検出電極441A、441Bの基板2への貼り付きや破損を効果的に抑制することができる。また、ストッパー5を素子部4と一体化することで、ストッパー5の形成が容易となる。また、素子部4の他の部分との位置ずれが抑制されるため、ストッパー5の位置精度が高く、ストッパー5としての機能を精度よく発揮することができる。
なお、本実施形態では、基板2が「本発明の基板」となっているが、これに限定されず、例えば、蓋体3が「本発明の基板」であってもよい。すなわち、図13に示すように、ストッパー5が基板2(凹部21の底面)に接触するのではなくて、蓋体3(凹部31の底面)に接触する構成であってもよい。なお、この場合、電極83を省略してもよい。また、図14に示すように、ストッパー5が基板2(凹部21の底面)および蓋体3(凹部31の底面)の両方に接触する構成であってもよい。
また、前述したように、物理量センサー1では、ストッパー5(51A、52A、51B、52B)は、可動検出電極441A、441BよりもZ軸方向への変位量が大きい。すなわち、La1>La2およびLb1>Lb2の関係を満足している。これにより、より確実に、可動検出電極441Bよりも先にストッパー51B、52Bを凹部21と接触させることができる。なお、前述した通り、La1は、ストッパー51A、52Aの先端部のZ軸方向への変位量、La2は、可動検出電極441AのZ軸方向への変位量、Lb1は、ストッパー51B、52Bの先端部のZ軸方向への変位量、Lb2は、可動検出電極441BのZ軸方向への変位量である。
また、前述したように、物理量センサー1では、ストッパー5(51A、52A、51B、52B)は、検出ばね46A、46Bに配置されている。具体的には、ストッパー51A、52Aが検出ばね46Aに配置され、ストッパー51B、52Bが検出ばね46Bに配置されている。これにより、ストッパー5(51A、52A、51B、52B)の配置が容易となる。ただし、ストッパー5(51A、52A、51B、52B)の配置としては、特に限定されず、例えば、後述する第4実施形態でも説明するように、接続ばね40A、40Bに配置してもよい。
また、前述したように、物理量センサー1では、検出ばね46A’は、Y軸方向(第1方向に直交する第2方向)に延在し、X軸方向(Z軸方向およびY軸方向に直交する第3方向)に離間して配置された複数のアーム461a~461fと、X軸方向に隣り合うアーム同士を接続する接続部462~467と、を有している。そして、ストッパー51Aは、接続部462~467(本実施形態では接続部464)に配置されている。接続部462~467は、アーム461a~461fと比べて検出ばね46A’の特性に与える影響が小さい。そのため、ストッパー51Aを設けることによる検出ばね46A’の特性変化を小さく抑えることができる。また、接続部462~467は、アーム461a~461fと比べて捩じれ変形し難いし、捩じれの程度がアーム461a~461fと比べて安定している。そのため、ストッパー51Aの変位を制御し易くなる。ストッパー52Aが配置された検出ばね46A”、ストッパー51Bが配置された検出ばね46B’、ストッパー52Bが配置された検出ばね46B”についても同様である。
また、前述したように、物理量センサー1では、検出ばね46A’は、3つ以上(本実施形態では7つ)の接続部462~467を有し、ストッパー51Aは、3つ以上の接続部462~467のうち、検出ばね46A’の一端に最も近い接続部462および検出ばね46A’の他端に最も近い接続部467を除いたうちの1つ(本実施形態では接続部464)に配置されている。中央部に位置する接続部464は、両端部に位置する接続部462、467と比べてZ軸まわりの回転角度θzが大きくなる。そのため、接続部464にストッパー51Aを設けることで、ストッパー51AのZ軸方向への変位量をより大きくすることができ、より確実に、可動検出電極441Aよりも先に凹部21の底面に接触させることができる。また、ストッパー51AのZ軸方向への変位量をより大きくすることができる分、ストッパー51Aの長さを短くすることもできる。そのため、ストッパー51Aの剛性を高めることができ、ストッパー51Aの破損を効果的に抑制することができる。ストッパー52Aが配置された検出ばね46A”、ストッパー51Bが配置された検出ばね46B’、ストッパー52Bが配置された検出ばね46B”についても同様である。
また、前述したように、物理量センサー1では、基板2のストッパー5と当接し得る箇所に配置されている電極83を有している。また、電極83は、ストッパー5と同電位である。これにより、基板2から素子部4への電荷の移動がなくなるため、角速度ωyの検出精度の低下を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、物理量センサー1では、基板2に配置され、可動検出電極441A、441Bと対向配置されている固定検出電極81、82を有している。これにより、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間の静電容量Caの変化と、可動検出電極441Bと固定検出電極82との間の静電容量Cbの変化と、に基づいて角速度ωyを検出することができるため、物理量センサー1の構成が簡単なものとなる。
また、前述したように、物理量センサー1では、可動検出電極は、可動検出電極441A(第1可動検出電極)および可動検出電極441B(第2可動検出電極)を有している。そして、可動検出電極441Aおよび可動検出電極441Bは、Z軸方向に逆相で変位する。可動検出電極441A、441Bの振動がキャンセルされて、基板2への振動漏れを低減することができる。また、固定検出電極81から出力される検出信号(静電容量Caの大きさに応じた信号)と、固定検出電極82から出力される検出信号(静電容量Cbの大きさに応じた信号)とを差動演算(減算処理:Ca-Cb)することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく角速度ωyを検出することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図15は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す部分拡大平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4(ストッパー51A、52A、51B、52B)の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図15では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。また、ストッパー51A、52A、51B、52Bは、互いに同様の構成であるため、以下では、ストッパー51Aについて代表して説明し、ストッパー52A、51B、52Bについてはその説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態の素子部4では、ストッパー51Aの先端部が先細りしている。すなわち、ストッパー51Aは、先端側に向けて幅W(Y軸方向の長さ)が漸減するテーパー部511Aを有している。これにより、例えば、前述した第1実施形態のように、テーパー部511Aを有さず幅Wがほぼ一定な構成と比較して、ストッパー51Aの先端部を柔らかくすることができる。そのため、ストッパー51Aが凹部21の底面と接触した際の衝撃を、ストッパー51Aの先端部が変形することで緩和することができる。これにより、素子部4の破損を効果的に抑制することができ、機械的強度の高い物理量センサー1が得られる。なお、本実施形態のテーパー部511Aでは、幅Wの漸減率が一定であるが、これに限定されず、幅Wの漸減率が変化していてもよい。
以上のように、本実施形態の物理量センサー1では、ストッパー51Aは、先端が自由端である長尺状をなし、先端側に向けて幅が漸減するテーパー部511Aを有している。そのため、ストッパー51Aが凹部21の底面と接触した際の衝撃を、ストッパー51Aの先端部が変形することで緩和することができる。これにより、素子部4の破損を効果的に抑制することができ、機械的強度の高い物理量センサー1が得られる。ストッパー52A、51B、52Bについても同様である。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図16は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す部分拡大平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4(ストッパー51A、52A、51B、52B)の構成が異なること以外は、前述した第2実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図16では、前述した第2実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。また、ストッパー51A、52A、51B、52Bは、互いに同様の構成であるため、以下では、ストッパー51Aについて代表して説明し、ストッパー52A、51B、52Bについてはその説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態の素子部4では、ストッパー51Aは、テーパー部511Aの先端側に位置する広幅部512Aを有しており、広幅部512Aが凹部21の底面と接触するようになっている。また、広幅部512Aの幅W2は、テーパー部511Aの先端の幅W1(すなわち最小幅)よりも大きい。このように、広幅部512Aを設け、この広幅部512Aが凹部21の底面と接触する構成とすることで、例えば、前述した第2実施形態の構成と比べて、ストッパー51Aの凹部21の底面との接触面積を大きくすることができる。そのため、ストッパー51Aが凹部21の底面と接触した際の応力集中を緩和でき、かつ、テーパー部511Aによって衝撃を緩和することができる。これにより、素子部4の破損をより効果的に抑制することができ、機械的強度の高い物理量センサー1が得られる。なお、本実施形態では、広幅部512Aの平面視形状が矩形であるが、これに限定されず、例えば、各角部が面取りされていてもよいし、円形、長円形、楕円形、三角形、五角形以上の多角形等であってもよい。
以上のように、本実施形態の物理量センサー1では、ストッパー51Aは、テーパー部511Aの先端側に位置し、テーパー部511Aの先端の幅W1よりも太い広幅部512Aを有している。そのため、ストッパー51Aが凹部21の底面と接触した際の応力集中を緩和でき、かつ、テーパー部511Aによって衝撃を緩和することができる。これにより、素子部4の破損をより効果的に抑制することができ、機械的強度の高い物理量センサー1が得られる。ストッパー52A、51B、52Bについても同様である。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図17は、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す部分拡大平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4(ストッパー51A、52A、51B、52B)の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図17では、前述した第2実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図17に示すように、本実施形態の素子部4では、接続ばね40Aにストッパー51A、52Aが配置されており、接続ばね40Bにストッパー51B、52Bが配置されている。また、ストッパー51A、52Aを配置するために、可動検出電極441Aに一対の切り欠きK11、K12が形成され、ストッパー51B、52Bを配置するために、可動検出電極441Bに一対の切り欠きK21、K22が形成されている。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る慣性計測装置について説明する。
図18は、本発明の第5実施形態に係る慣性計測装置の分解斜視図である。図19は、図18に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。
図18に示す慣性計測装置2000(IMU:Inertial Measurement Unit)は、自動車や、ロボットなどの運動体(被装着装置)の姿勢や、挙動(慣性運動量)を検出する慣性計測装置である。慣性計測装置2000は、3軸の加速度センサーと、3軸の角速度センサーと、を備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に固定部としてのネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。なお、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンや、デジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。また、センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。
アウターケース2100の外形は、前述した慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を防止するための凹部2311や後述するコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200(例えば、接着剤を含浸させたパッキン)を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
図19に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340z、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサー2350などが実装されている。また、基板2320の側面には、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340xおよびY軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。なお、角速度センサー2340z、2340x、2340yとしては、特に限定されず、例えば、コリオリの力を利用した振動ジャイロセンサーを用いることができる。特に、Y軸方向の角速度を検出するものとして、前述した実施形態の構成を用いることができる。また、加速度センサー2350としては、特に限定されず、例えば、静電容量型の加速度センサーを用いることができる。
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板2320には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
以上、慣性計測装置2000について説明した。このような慣性計測装置2000は、物理量センサーとしての角速度センサー2340z、2340x、2340yおよび加速度センサー2350と、これら各センサー2340z、2340x、2340y、2350の駆動を制御する制御IC2360(制御回路)と、を含んでいる。これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い慣性計測装置2000が得られる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る移動体測位装置について説明する。
図20は、本発明の第6実施形態に係る移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。図21は、図20に示す移動体測位装置の作用を示す図である。
図20に示す移動体測位装置3000は、移動体に装着して用い、当該移動体の測位を行うための装置である。移動体としては、特に限定されず、自転車、自動車(四輪自動車およびバイクを含む)、電車、飛行機、船等のいずれでもよいが、本実施形態では四輪自動車として説明する。移動体測位装置3000は、慣性計測装置3100(IMU)と、演算処理部3200と、GPS受信部3300と、受信アンテナ3400と、位置情報取得部3500と、位置合成部3600と、処理部3700と、通信部3800と、表示部3900と、を有している。なお、慣性計測装置3100としては、例えば、前述した慣性計測装置2000を用いることができる。
また、慣性計測装置3100は、3軸の加速度センサー3110と、3軸の角速度センサー3120と、を有している。演算処理部3200は、加速度センサー3110からの加速度データおよび角速度センサー3120からの角速度データを受け、これらデータに対して慣性航法演算処理を行い、慣性航法測位データ(移動体の加速度および姿勢を含むデータ)を出力する。
また、GPS受信部3300は、受信アンテナ3400を介してGPS衛星からの信号(GPS搬送波。位置情報が重畳された衛星信号)を受信する。また、位置情報取得部3500は、GPS受信部3300が受信した信号に基づいて、移動体測位装置3000(移動体)の位置(緯度、経度、高度)、速度、方位を表すGPS測位データを出力する。このGPS測位データには、受信状態や受信時刻等を示すステータスデータも含まれている。
位置合成部3600は、演算処理部3200から出力された慣性航法測位データおよび位置情報取得部3500から出力されたGPS測位データに基づいて、移動体の位置、具体的には移動体が地面のどの位置を走行しているかを算出する。例えば、GPS測位データに含まれている移動体の位置が同じであっても、図21に示すように、地面の傾斜等の影響によって移動体の姿勢が異なっていれば、地面の異なる位置を移動体が走行していることになる。そのため、GPS測位データだけでは移動体の正確な位置を算出することができない。そこで、位置合成部3600は、慣性航法測位データ(特に、移動体の姿勢に関するデータ)を用いて、移動体が地面のどの位置を走行しているのかを算出する。なお、当該判定は、三角関数(鉛直方向に対する傾きθ)を用いた演算によって比較的簡単に行うことができる。
位置合成部3600から出力された位置データは、処理部3700によって所定の処理が行われ、測位結果として、表示部3900に表示されるようになっている。また、位置データは、通信部3800によって外部装置に送信されるようになっていてもよい。
以上、移動体測位装置3000について説明した。このような移動体測位装置3000は、前述したように、慣性計測装置3100と、測位用衛星から位置情報が重畳された衛星信号を受信するGPS受信部3300(受信部)と、受信した衛星信号に基づいて、GPS受信部3300の位置情報を取得する位置情報取得部3500(取得部)と、慣性計測装置3100から出力された慣性航法測位データ(慣性データ)に基づいて、移動体の姿勢を演算する演算処理部3200(演算部)と、算出された姿勢に基づいて位置情報を補正することにより、移動体の位置を算出する位置合成部3600(算出部)と、を含んでいる。これにより、慣性計測装置3100(2000)の効果を享受でき、信頼性の高い移動体測位装置3000が得られる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る電子機器について説明する。
図22は、本発明の第7実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図22に示すモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1110(制御部)と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなパーソナルコンピューター1100(電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1110(制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る電子機器について説明する。
図23は、本発明の第8実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図23に示す携帯電話機1200(PHSも含む)は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1210(制御部)と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このような携帯電話機1200(電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1210(制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係る電子機器について説明する。
図24は、本発明の第9実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図24に示すデジタルスチールカメラ1300は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、ケース1302の背面には表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
このようなデジタルスチールカメラ1300には、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1320(制御部)と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなデジタルスチールカメラ1300(電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う制御回路1320(制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態のパーソナルコンピューターおよび携帯電話機、本実施形態のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等に適用することができる。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態に係る携帯型電子機器について説明する。
図25は、本発明の第10実施形態に係る携帯型電子機器を示す平面図である。図26は、図25に示す携帯型電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
図25に示す腕時計型の活動計1400(アクティブトラッカー)は、本発明の携帯型電子機器を適用したリスト機器である。活動計1400は、バンド1401によってユーザーの手首等の部位(被検体)に装着される。また、活動計1400は、デジタル表示の表示部1402を備えると共に、無線通信が可能である。上述した本発明に係る物理量センサー1は、加速度を測定する加速度センサー1408や角速度を計測する角速度センサー1409として活動計1400に組込まれている。
活動計1400は、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を備えている。また、透光性カバー1404の外側にはベゼル1405が設けられている。また、ケース1403の側面には複数の操作ボタン1406、1407が設けられている。
図26に示すように、加速度センサー1408は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の加速度を検出し、検出した3軸加速度の大きさおよび向きに応じた信号(加速度信号)を出力する。また、角速度センサー1409は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の角速度を検出し、検出した3軸角速度の大きさおよび向きに応じた信号(角速度信号)を出力する。
表示部1402を構成する液晶ディスプレイ(LCD)では、種々の検出モードに応じて、例えば、GPSセンサー1411や地磁気センサー1412を用いた位置情報、移動量や物理量センサー1に含まれる加速度センサー1408や角速度センサー1409などを用いた運動量などの運動情報、脈拍センサー1413などを用いた脈拍数などの生体情報、もしくは現在時刻などの時刻情報などが表示される。なお、温度センサー1414を用いた環境温度を表示することもできる。
通信部1415は、ユーザー端末と図示しない情報端末との間の通信を成立させるための各種制御を行う。通信部1415は、例えば、Bluetooth(登録商標)(BTLE:Bluetooth Low Energyを含む)、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near field communication)、ANT+(登録商標)等の近距離無線通信規格に対応した送受信機や、USB(Universal Serial Bus)等の通信バス規格に対応したコネクターを含んで構成される。
処理部1410(プロセッサー)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。処理部1410は、記憶部1416に格納されたプログラムと、操作部1417(例えば操作ボタン1406、1407)から入力された信号とに基づき、各種の処理を実行する。処理部1410による処理には、GPSセンサー1411、地磁気センサー1412、圧力センサー1418、加速度センサー1408、角速度センサー1409、脈拍センサー1413、温度センサー1414、計時部1419の各出力信号に対するデータ処理、表示部1402に画像を表示させる表示処理、音出力部1420に音を出力させる音出力処理、通信部1415を介して情報端末と通信を行う通信処理、バッテリー1421からの電力を各部へ供給する電力制御処理などが含まれる。
このような活動計1400では、少なくとも以下のような機能を有することができる。
1.距離:高精度のGPS機能により計測開始からの合計距離を計測する。
2.ペース:ペース距離計測から、現在の走行ペースを表示する。
3.平均スピード:平均スピード走行開始から現在までの平均スピードを算出し表示する。
4.標高:GPS機能により、標高を計測し表示する。
5.ストライド:GPS電波が届かないトンネル内などでも歩幅を計測し表示する。
6.ピッチ:1分あたりの歩数を計測し表示する。
7.心拍数:脈拍センサーにより心拍数を計測し表示する。
8.勾配:山間部でのトレーニングやトレイルランにおいて、地面の勾配を計測し表示する。
9.オートラップ:事前に設定した一定距離や一定時間を走った時に、自動でラップ計
測を行う。
10.運動消費カロリー:消費カロリーを表示する。
11.歩数:運動開始からの歩数の合計を表示する。
このような活動計1400(携帯型電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を含んでいる。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、活動計1400は、ランニングウォッチ、ランナーズウォッチ、デュアスロンやトライアスロン等マルチスポーツ対応のランナーズウォッチ、アウトドアウォッチ、および衛星測位システム、例えばGPSを搭載したGPSウォッチ等に広く適用できる。
また、上述では、衛星測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を用いて説明したが、他の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してもよい。例えば、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO、BeiDou(BeiDou Navigation Satellite System)、等の衛星測位システムのうち1又は2以上を利用してもよい。また、衛星測位システムの少なくとも1つにWAAS(Wide Area Augmentation System)、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)等の静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS:Satellite-based Augmentation System)を利用してもよい。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態に係る移動体について説明する。
図27は、本発明の第11実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図27に示す自動車1500は、本発明の移動体を適用した自動車である。この図において、自動車1500には、物理量センサー1が内蔵されており、物理量センサー1によって車体1501の姿勢を検出することができる。物理量センサー1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502(姿勢制御部)に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。ここで、物理量センサー1としては、例えば、前述した各実施形態と同様のものを用いることができる。
このような自動車1500(移動体)は、物理量センサー1と、物理量センサー1から出力された検出信号に基づいて制御を行う車体姿勢制御装置1502(制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、物理量センサー1は、他にも、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
また、移動体としては、自動車1500に限定されず、例えば、飛行機、ロケット、人工衛星、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
以上、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、物理量センサーとして角速度を検出するものについて説明したが、これに限定されず、例えば、加速度を検出するものであってもよい。また、加速度と角速度の両方を検出するものであってもよい。