以下、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す平面図である。図2は、図1中のA-A線断面図である。図3は、図1の物理量センサーが有する素子部を示す平面図である。図4は、図3に示す素子部の振動モードを説明するための模式図である。図5は、図3に示す素子部の部分拡大平面図である。なお、各図には、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、説明の便宜上、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。
図1に示す物理量センサー1は、Z軸まわりの角速度ωzを検出することのできる角速度センサーである。物理量センサー1は、基板2と、蓋体3と、素子部4と、を有している。
図1に示すように、基板2は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、基板2は、上面に開放する凹部21を有している。凹部21は、素子部4と基板2との接触を防止(抑制)するための逃げ部として機能する。また、基板2は、凹部21の底面から突出する複数のマウント22(221、222、223、224、225)を有している。そして、これらマウント22の上面に素子部4が接合されている。これにより、基板2との接触が防止された状態で、基板2に素子部4を固定することができる。また、基板2は、上面に開放する溝部23、24、25、26、27、28を有している。
基板2としては、例えば、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)等の可動イオン(アルカリ金属イオン、以下Na+で代表する)を含むガラス材料(例えば、テンパックスガラス(登録商標)、パイレックスガラス(登録商標)のような硼珪酸ガラス)で構成されたガラス基板を用いることができる。これにより、例えば、後述するように、基板2と素子部4とを陽極接合することができ、これらを強固に接合することができる。また、光透過性を有する基板2が得られるため、物理量センサー1の外側から、基板2を介して素子部4の状態を視認することができる。ただし、基板2の構成材料としては、特に限定されず、シリコン基板、セラミックス基板等を用いてもよい。
図1に示すように、溝部23、24、25、26、27、28には、それぞれ、配線73、74、75、76、77、78が配置されている。配線73、74、75、76、77、78は、それぞれ、素子部4と電気的に接続されている。また、配線73、74、75、76、77、78の一端部は、それぞれ、蓋体3の外側に露出し、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドPとして機能する。
図1に示すように、蓋体3は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、図2に示すように、蓋体3は、下面に開放する凹部31を有している。蓋体3は、凹部31内に素子部4を収納するようにして、基板2の上面に接合されている。そして、蓋体3および基板2によって、その内側に、素子部4を収納する収納空間Sが形成されている。
また、図2に示すように、蓋体3は、収納空間Sの内外を連通する連通孔32を有している。そのため、連通孔32を介して、収納空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、連通孔32内には封止部材33が配置され、封止部材33によって連通孔32が気密封止されている。なお、収納空間Sは、減圧状態、特に真空状態であることが好ましい。これにより、粘性抵抗が減り、素子部4を効率的に振動させることができる。
このような蓋体3としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、蓋体3としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。また、基板2と蓋体3との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋体3の材料によって適宜選択すればよいが、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基板2の上面および蓋体3の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等が挙げられる。本実施形態では、ガラスフリット39(低融点ガラス)を介して基板2と蓋体3とが接合されている。
素子部4は、収納空間Sに配置されており、マウント22の上面に接合されている。素子部4は、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をドライエッチング法(シリコンディープエッチング)によってパターニングすることで形成することができる。以下、素子部4について詳細に説明する。なお、以下では、Z軸方向からの平面視で、素子部4の中心Oと交わり、Y軸方向に延びる直線を「仮想直線α」とも言う。
図3に示すように、素子部4の形状は、仮想直線αに対して対称である。また、素子部4は、仮想直線αの両側に配置された駆動部41A、41Bを有している。駆動部41Aは、櫛歯状の可動駆動電極411Aと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Aと噛み合って配置された固定駆動電極412Aと、を有している。同様に、駆動部41Bは、櫛歯状の可動駆動電極411Bと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Bと噛み合って配置された固定駆動電極412Bと、を有している。
また、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、マウント221の上面に接合され、基板2に固定されている。また、可動駆動電極411A、411Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続されており、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、配線74と電気的に接続されている。
また、素子部4は、駆動部41Aの周囲に配置された4つの固定部42Aと、駆動部41Bの周囲に配置された4つの固定部42Bと、を有している。そして、各固定部42A、42Bは、マウント222の上面に接合され、基板2に固定されている。
また、素子部4は、各固定部42Aと可動駆動電極411Aとを連結する4つの駆動ばね43Aと、各固定部42Bと可動駆動電極411Bとを連結する4つの駆動ばね43Bと、を有している。各駆動ばね43AがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411AのX軸方向への変位が許容され、各駆動ばね43BがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411BのX軸方向への変位が許容される。
配線73、74を介して可動駆動電極411A、411Bと固定駆動電極412A、412Bとの間に駆動電圧を印加すると、可動駆動電極411Aと固定駆動電極412Aとの間および可動駆動電極411Bと固定駆動電極412Bとの間にそれぞれ静電引力が発生し、可動駆動電極411Aが駆動ばね43AをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動すると共に、可動駆動電極411Bが駆動ばね43BをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動する。駆動部41A、41Bは、仮想直線αに対して対称的に配置されているため、可動駆動電極411A、411Bは、図4に示すように、互いに接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動する。そのため、可動駆動電極411A、411Bの振動がキャンセルされ、振動漏れを低減することができる。以下では、この振動モードを「駆動振動モード」とも言う。
なお、本実施形態の物理量センサー1では、静電引力によって駆動振動モードを励振させる静電駆動方式となっているが、駆動振動モードを励振させる方式としては、特に限定されず、例えば、圧電駆動方式、磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することもできる。
また、図3に示すように、素子部4は、駆動部41A、41Bの間に配置された検出部44A、44Bを有している。検出部44Aは、櫛歯状の可動検出電極441Aと、櫛歯状をなし可動検出電極441Aと噛み合って配置された固定検出電極442A、443Aと、を有している。固定検出電極442A、443Aは、Y軸方向に並んで配置されており、それぞれ、可動検出電極441AをX軸方向両側から挟み込むように一対配置されている。
同様に、検出部44Bは、櫛歯状の可動検出電極441Bと、櫛歯状をなし可動検出電極441Bと噛み合って配置された固定検出電極442B、443Bと、を有している。固定検出電極442B、443Bは、Y軸方向に並んで配置されており、それぞれ、可動検出電極441BをX軸方向の両側から挟み込むように一対配置されている。また、固定検出電極442A、443A、442B、443Bは、それぞれ、マウント223の上面に接合され、基板2に固定されている。
可動検出電極441A、441Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定検出電極442A、443Bは、それぞれ、配線75と電気的に接続され、固定検出電極443A、442Bは、それぞれ、配線76と電気的に接続されている。物理量センサー1の駆動時には、可動検出電極441Aと固定検出電極442Aとの間および可動検出電極441Bと固定検出電極443Bとの間に静電容量Caが形成され、可動検出電極441Aと固定検出電極443Aとの間および可動検出電極441Bと固定検出電極442Bとの間に静電容量Cbが形成される。
また、素子部4は、検出部44A、44Bの間に配置された2つの固定部451、452を有している。固定部451、452は、それぞれ、マウント22(224)の上面に接合され、基板2に固定されている。固定部451、452は、それぞれ、Y軸方向に延在する長尺状となっている。また、固定部451、452は、Y軸方向に並び、間隔を空けて配置されている。本実施形態では、固定部451、452を介して可動駆動電極411A、411Bや可動検出電極441A、441Bが配線73と電気的に接続されている。
また、素子部4は、可動検出電極441Aと固定部42A、451、452とを連結する4つの検出ばね46Aと、可動検出電極441Bと固定部42B、451、452とを連結する4つの検出ばね46Bと、を有している。各検出ばね46AがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのX軸方向への変位が許容され、Y軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのY軸方向への変位が許容される。同様に、各検出ばね46BがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのX軸方向への変位が許容され、Y軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのY軸方向への変位が許容される。
また、素子部4は、駆動部41Aと検出部44Aとの間に位置し、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとを連結する梁47Aと、駆動部41Bと検出部44Bとの間に位置し、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとを連結する梁47Bと、を有している。そのため、図4に示すように、駆動振動モードでは、可動検出電極441A、441Bも、可動駆動電極411A、411Bと一体となってX軸方向に逆相で振動する。言い換えると、駆動振動モードでは、可動駆動電極411A、可動検出電極441Aおよび梁47Aの集合体4Aと、可動駆動電極411B、可動検出電極441Bおよび梁47Bの集合体4Bと、がX軸方向に逆相で振動する。
このような駆動振動モードで駆動させている最中に物理量センサー1に角速度ωzが加わると、可動検出電極441A、441Bは、コリオリの力によって、図4中の矢印Aに示すように、検出ばね46A、46BをY軸方向に弾性変形させつつY軸方向に逆相で振動する(この振動を「検出振動モード」とも言う)。検出振動モードでは、可動検出電極441A、441BがY軸方向に振動するため、可動検出電極441Aと固定検出電極442A、443Aとのギャップおよび可動検出電極441Bと固定検出電極442B、443Bとのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Ca、Cbがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Ca、Cbの変化に基づいて、角速度ωzを求めることができる。
検出振動モードでは、静電容量Caが大きくなると静電容量Cbが小さくなり、反対に、静電容量Caが小さくなると静電容量Cbが大きくなる。そのため、配線75から出力される検出信号(静電容量Caの大きさに応じた信号)と、配線76から出力される検出信号(静電容量Cbの大きさに応じた信号)とを差動演算(減算処理:Ca-Cb)することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく角速度ωzを検出することができる。
また、図3に示すように、素子部4は、その中央部(検出部44A、44Bの間)に位置するフレーム48を有している。このフレーム48について具体的に説明すると、図5に示すように、フレーム48は、平面視で、略H状をなしており、Y軸方向プラス側に位置する欠損部481(凹部)と、Y軸方向マイナス側に位置する欠損部482(凹部)と、を有している。別の言い方をすれば、フレーム48は、X軸方向に隙間を空けて配置され、互いにY軸方向に延在する第1アーム483および第2アーム484と、第1アーム483と第2アーム484との間に配置され、第1アーム483と第2アーム484の中央部同士を接続する接続部485と、を有している。このような構成とすることで、比較的単純な形状で、欠損部481、482を有するフレーム48を形成することができる。
そして、一本の長尺状の連続した固定部451が欠損部481の内外に亘って配置されており、一本の長尺状の連続した固定部452が欠損部482の内外に亘って配置されている。すなわち、固定部451は、フレーム48側(Y軸方向マイナス側)の端部が欠損部481の内側に位置し、反対側(Y軸方向プラス側)の端部が欠損部481の外側に位置している。同様に、固定部452は、フレーム48側(Y軸方向プラス側)の端部が欠損部482の内側に位置し、反対側(Y軸方向マイナス側)の端部が欠損部482の外側に位置している。このように、固定部451、452の一部を欠損部481、482内に収納する構成とすることで、固定部451、452をY軸方向になるべく長く配置することができる。そのため、例えば、前述した従来の構成と比べ、素子部4全体を大きくすることなく、固定部451、452を大きくすることができ、その分、素子部4と基板2との接合強度を高めることができる。
固定部451、452の欠損部481、482内に位置する部分の長さL1は、特に限定されないが、固定部451、452の全長L0に対し、L1/L0を好ましくは1/5以上4/5以下とすることができ、より好ましくは1/4以上2/3以下とすることができる。これにより、前述した効果がより顕著なものとなる。
また、素子部4は、固定部451とフレーム48との間に位置し、固定部451とフレーム48とを接続するフレームばね51と、固定部452とフレーム48との間に位置し、固定部452とフレーム48とを接続するフレームばね52と、を有している。フレームばね51、52は、それぞれ、欠損部481、482内に位置し、Y軸方向に延在しており、X軸方向に弾性変形可能となっている。
また、図3に示すように、素子部4は、フレーム48と検出部44Aとの間に位置し、フレーム48と可動検出電極441Aとを接続する接続ばね40Aと、フレーム48と検出部44Bとの間に位置し、フレーム48と可動検出電極441Bとを接続する接続ばね40Bと、を有している。より具体的には、接続ばね40Aは、第1アーム483と可動検出電極441Aとの間に位置し、第1アーム483の両端部と可動検出電極441Aの中央部とを接続している。同様に、接続ばね40Bは、第2アーム484と可動検出電極441Bとの間に位置し、第2アーム484の両端部と可動検出電極441Bの中央部とを接続している。接続ばね40Aは、検出ばね46Aと共に可動検出電極441Aを支持する機能を有している。同様に、接続ばね40Bは、検出ばね46Bと共に可動検出電極441Bを支持する機能を有している。これにより、可動検出電極441A、441Bをより安定した姿勢で支持することができる。
なお、検出振動モードでは、可動検出電極441A、441Bが逆相で振動すると、フレーム48が接続ばね40A、40Bおよびフレームばね51、52をそれぞれ弾性変形させながら、中心Oを中心としてZ軸まわりに回動するようになっている。そのため、フレームばね51、52、フレーム48および接続ばね40A、40Bによっては、検出振動モードの励振が阻害されない。
また、図3に示すように、素子部4は、駆動振動モードでの可動検出電極441A、441Bの振動状態を検出するためのモニター部49A、49Bを有している。モニター部49Aは、可動検出電極441Aに配置された櫛歯状の可動モニター電極491Aと、櫛歯状をなし可動モニター電極491Aと噛み合って配置された固定モニター電極492A、493Aと、を有している。同様に、モニター部49Bは、可動検出電極441Bに配置された櫛歯状の可動モニター電極491Bと、櫛歯状をなし可動モニター電極491Bと噛み合って配置された固定モニター電極492B、493Bと、を有している。固定モニター電極492A、493A、492B、493Bは、それぞれ、マウント225の上面に接合され、基板2に固定されている。
なお、モニター部49Aでは、可動モニター電極491AのX軸方向プラス側に固定モニター電極492Aが位置し、X軸方向マイナス側に固定モニター電極493Aが位置している。一方、モニター部49Bでは、可動モニター電極491BのX軸方向マイナス側に固定モニター電極492Bが位置し、X軸方向プラス側に固定モニター電極493Bが位置している。
また、可動モニター電極491A、491Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続されており、固定モニター電極492A、492Bは、配線77と電気的に接続されており、固定モニター電極493A、493Bは、配線78と電気的に接続されている。物理量センサー1の駆動時には、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極492Bとの間に静電容量Ccが形成され、可動モニター電極491Aと固定モニター電極493Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極493Bとの間に静電容量Cdが形成される。
前述したように、駆動振動モードでは、可動検出電極441A、441BがX軸方向に振動するため、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492A、493Aとのギャップおよび可動モニター電極491Bと固定モニター電極492B、493Bとのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Cc、Cdがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Cc、Cdの変化に基づいて、可動検出電極441A、441Bの振動状態を検出することができる。
以上、物理量センサー1について説明した。このような物理量センサー1は、前述したように、基板2と、可動検出電極441A(第1検出振動体)と、可動検出電極441B(第2検出振動体)と、平面視で、可動検出電極441Aと可動検出電極441Bとの間に配置されているフレーム48と、フレーム48と可動検出電極441Aとを接続している接続ばね40A(第1接続ばね)と、フレーム48と可動検出電極441Bとを接続している接続ばね40B(第2接続ばね)と、平面視で、可動検出電極441A、441Bの間に配置され、基板2に固定されている固定部451(第1固定部)および固定部452(第2固定部)と、固定部451とフレーム48とを接続しているフレームばね51(第1フレームばね)と、固定部452とフレーム48とを接続しているフレームばね52(第2フレームばね)と、を含み、可動検出電極441A、441Bは、X軸方向(可動検出電極441A、441Bが並んでいる第1方向)に振動する。また、フレーム48は、平面視で、Y軸方向(第1方向と直交する第2方向)の一方の側に開放している欠損部481(第1凹部)と、Y軸方向の他方の側に開放している欠損部482(第2凹部)と、が設けられている。そして、固定部451は、平面視で、欠損部481の内外に亘って配置され、固定部452は、平面視で、欠損部482の内外に亘って配置されている。このような構成とすることで、前述した従来の構成ように、フレーム48の内側と外側とで固定部を分離する必要がなくなる。また、固定部451、452をY軸方向になるべく長く配置することができる。そのため、従来構成と比べて、固定部451、452を大きくすることができ、その分、素子部4と基板2との接合強度を高めることができる。
また、前述したように、物理量センサー1では、フレーム48は、長手方向がY軸方向に沿っている第1アーム483と、第1アーム483とX軸方向に間隔を空けて配置され、長手方向がY軸方向に沿っている第2アーム484と、平面視で、固定部451と固定部452との間に配置され、第1アーム483と第2アーム484とを接続している接続部485と、を有している。これにより、フレーム48の形状が単純なものとなり、フレーム48の形成が容易となる。
また、前述したように、物理量センサー1では、フレームばね51は、固定部451と接続部485とを接続し、フレームばね52は、固定部452と接続部485とを接続している。これにより、例えば、フレームばね51、52をY軸に延びる直線状に形成することができ、フレームばね51、52の形状が単純なものとなる。
また、前述したように、物理量センサー1では、接続ばね40Aは、第1アーム483と可動検出電極441Aとを接続し、接続ばね40Bは、第2アーム484と可動検出電極441Bとを接続している。これにより、接続ばね40Aによって、可動検出電極441Aとフレーム48とを容易に接続することができ、接続ばね40Bによって、可動検出電極441Bとフレーム48とを容易に接続することができる。
また、前述したように、物理量センサー1は、固定部451と可動検出電極441Aおよび固定部452と可動検出電極441Aをそれぞれ接続している一対の検出ばね46A(第1検出ばね)と、固定部451と可動検出電極441Bおよび固定部452と可動検出電極441Bをそれぞれ接続している一対の検出ばね46B(第2検出ばね)と、を含んでいる。これにより、接続ばね40Aおよび検出ばね46Aによって可動検出電極441Aをより安定した姿勢で支持することができる。同様に、接続ばね40Bおよび検出ばね46Bによって可動検出電極441Bをより安定した姿勢で支持することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す部分拡大平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図6では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図6に示すように、本実施形態では、フレームばね51は、変形部511と、変形部511とフレーム48との間に位置し、これらを接続する梁512と、変形部511と固定部451との間に位置し、これら接続する梁513と、を有している。梁512、513は、それぞれ、Y軸方向に延在しており、X軸方向に弾性を有している。また、変形部511は、Y軸方向に並んで配置され、互いにX軸方向に延在する一対のアーム511a、511bと、アーム511a、511bの両端を接続する一対の接続部511cと、を有し、枠状となっている。このような変形部511は、Y軸方向に弾性を有している。
また、本実施形態では、フレームばね52は、変形部521と、変形部521とフレーム48との間に位置し、これらを接続する梁522と、変形部521と固定部452との間に位置し、これら接続する梁523と、を有している。梁522、523は、それぞれ、Y軸方向に延在しており、X軸方向に弾性を有している。また、変形部521は、Y軸方向に並んで配置され、互いにX軸方向に延在する一対のアーム521a、521bと、アーム521a、521bの両端を接続する一対の接続部521cと、を有し、枠状となっている。このような変形部521は、Y軸方向に弾性を有している。
このように、本実施形態の物理量センサー1では、フレームばね51は、その途中に位置し、Y軸方向に弾性変形可能な変形部511(第1変形部)を含み、フレームばね52は、その途中に位置し、Y軸方向に弾性変形可能な変形部521(第2変形部)を含んでいる。そのため、例えば、検出振動モードで駆動している際に生じる応力を変形部511、521がY軸方向に弾性変形することで吸収、緩和することができる。そのため、例えば、フレームばね51、52とフレーム48との接続部やフレームばね51、52と固定部451、452との接続部への応力集中が緩和され、これら箇所の破損を効果的に抑制することができる。そのため、より優れた機械的強度を有する物理量センサー1となる。
以上、第2実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、変形部511、521が枠状をなしているが、これに限定されず、例えば、蛇行形状となっていてもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す部分拡大平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図7に示すように、本実施形態では、フレームばね51は、固定部451とフレーム48の第1アーム483とを接続するばね片51Aと、固定部451とフレーム48の第2アーム484とを接続するばね片51Bと、を有している。ばね片51Aは、欠損部481内で蛇行して配置されており、固定部451のY軸方向マイナス側の端部と第1アーム483のY軸方向プラス側の端部とを接続している。同様に、ばね片51Bは、欠損部481内で蛇行して配置されており、固定部451のY軸方向マイナス側の端部と第2アーム484のY軸方向プラス側の端部とを接続している。
また、フレームばね52は、固定部452とフレーム48の第1アーム483とを接続するばね片52Aと、固定部452とフレーム48の第2アーム484とを接続するばね片52Bと、を有している。ばね片52Aは、欠損部482内で蛇行して配置されており、固定部452のY軸方向プラス側の端部と第1アーム483のY軸方向マイナス側の端部とを接続している。同様に、ばね片52Bは、欠損部482内で蛇行して配置されており、固定部452のY軸方向プラス側の端部と第2アーム484のY軸方向マイナス側の端部とを接続している。
このように、フレームばね51は、固定部451と第1アーム483とを接続し、かつ、固定部451と第2アーム484とを接続している。また、フレームばね52は、固定部452と第1アーム483とを接続し、かつ、固定部452と第2アーム484とを接続している。このような構成によれば、フレーム48の四隅にフレームばね51、52が接続されるため、フレームばね51、52によって、フレーム48をより安定した姿勢で支持することができる。また、ばね片51A、51B、52A、52Bが蛇行しているため、例えば、前述した第1実施形態と比べて、フレームばね51、52を長くすることができる。そのため、フレームばね51、52がより柔軟となり、フレームばね51、52で応力を緩和し易くなる。そのため、例えば、フレームばね51、52とフレーム48との接続部やフレームばね51、52と固定部451、452との接続部への応力集中が緩和され、これら箇所の破損を効果的に抑制することができる。そのため、より優れた機械的強度を有する物理量センサー1となる。
以上、第3実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図8は、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図8に示すように、本実施形態の素子部4では、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとがばね53Aによって接続され、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとがばね53Bによって接続されている。ばね53A、53Bは、それぞれ、X軸方向に弾性を有している。
このような構成によれば、駆動振動モードにおいて、ばね53Aが弾性変形することで、可動検出電極441Aの振幅が可動駆動電極411Aの振幅よりも大きくなり、ばね53Bが弾性変形することで、可動検出電極441Bの振幅が可動駆動電極411Bの振幅よりも大きくなる。そのため、例えば、前述した第1実施形態のように可動駆動電極411A、411Bと可動検出電極441A、441Bとが梁47A、47Bで接続され、可動検出電極441A、441Bの振幅が可動駆動電極411A、411Bの振幅と同じ場合と比べて、可動検出電極441A、441Bの振幅が大きくなる。そして、それに伴って、角速度ωyが加わった際に作用するコリオリの力も前述した第1実施形態よりも大きくなる。したがって、角速度ωyの検出感度が向上する。
なお、駆動振動モードでは、ばね53Aを弾性変形させることで可動検出電極441Aが可動駆動電極411Aと接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動し、ばね53Bを弾性変形させることで可動検出電極441Bが可動駆動電極411Bと接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動することが好ましい。これにより、基板2への振動漏れを効果的に低減することができ、Q値がより向上する。ただし、これに限定されず、可動検出電極441Aが可動駆動電極411Aと同相で振動し、可動検出電極441Bが可動駆動電極411Bと同相で振動してもよい。
以上、第4実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図9は、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第5実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図9に示す物理量センサー1は、Y軸まわりの角速度ωyを検出することのできる角速度センサーである。このような物理量センサー1では、前述した第1実施形態の構成から固定検出電極442A、443A、442B、443Bが省略されており、検出部44Aが可動検出電極441Aから構成され、検出部44Bが可動検出電極441Bから構成されている。
その代わりに、物理量センサー1は、凹部21の底面に配置され、可動検出電極441Aと対向配置された固定検出電極81と、可動検出電極441Bと対向配置された固定検出電極82と、を有している。図示しないが、固定検出電極81は、配線75と電気的に接続され、固定検出電極82は、配線76と電気的に接続されている。物理量センサー1の駆動時には、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間に静電容量Caが形成され、可動検出電極441Bと固定検出電極82との間に静電容量Cbが形成される。
このような構成では、駆動振動モードで駆動させている最中に物理量センサー1に角速度ωyが加わると、コリオリの力によって、Z軸方向に逆相で振動する。そのため、可動検出電極441Aと固定検出電極81とのギャップおよび可動検出電極441Bと固定検出電極82とのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Ca、Cbがそれぞれ変化する。したがって、静電容量Ca、Cbの変化に基づいて角速度ωyを求めることができる。
以上、第5実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る慣性計測装置について説明する。
図10は、本発明の第6実施形態に係る慣性計測装置の分解斜視図である。図11は、図10に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。
図10に示す慣性計測装置2000(IMU:Inertial Measurement Unit)は、自動車や、ロボットなどの運動体(被装着装置)の姿勢や、挙動(慣性運動量)を検出する装置である。慣性計測装置2000は、3軸の加速度センサーと、3軸の角速度センサーと、を備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。なお、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンや、デジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。また、センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。
アウターケース2100の外形は、慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を防止するための凹部2311や後述するコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200(例えば、接着剤を含浸させたパッキン)を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
図11に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340z、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサー2350などが実装されている。また、基板2320の側面には、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340xおよびY軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。なお、角速度センサー2340z、2340x、2340yとしては、特に限定されず、例えば、コリオリの力を利用した振動ジャイロセンサーを用いることができる。特に、Z軸方向の角速度を検出するものとして、前述した第1実施形態から第4実施形態までの構成を用いることができ、Y軸方向およびX軸方向の角速度を検出するものとして、前述した第5実施形態の構成を用いることができる。また、加速度センサー2350としては、特に限定されず、例えば、静電容量型の加速度センサーを用いることができる。
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板2320には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
以上、慣性計測装置2000(慣性計測装置)について説明した。このような慣性計測装置2000は、物理量センサーとしての角速度センサー2340z、2340x、2340yおよび加速度センサー2350と、これら各センサー2340z、2340x、2340y、2350の駆動を制御する制御IC2360(制御回路)と、を含んでいる。これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い慣性計測装置2000が得られる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る移動体測位装置について説明する。
図12は、本発明の第7実施形態に係る移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。図13は、図12に示す移動体測位装置の作用を示す図である。
図12に示す移動体測位装置3000は、移動体に装着して用い、当該移動体の測位を行うための装置である。移動体としては、特に限定されず、自転車、自動車(四輪自動車およびバイクを含む)、電車、飛行機、船等のいずれでもよいが、本実施形態では四輪自動車として説明する。移動体測位装置3000は、慣性計測装置3100(IMU)と、演算処理部3200と、GPS受信部3300と、受信アンテナ3400と、位置情報取得部3500と、位置合成部3600と、処理部3700と、通信部3800と、表示部3900と、を有している。なお、慣性計測装置3100としては、例えば、前述した第6実施形態の慣性計測装置2000を用いることができる。
また、慣性計測装置3100は、3軸の加速度センサー3110と、3軸の角速度センサー3120と、を有している。演算処理部3200は、加速度センサー3110からの加速度データおよび角速度センサー3120からの角速度データを受け、これらデータに対して慣性航法演算処理を行い、慣性航法測位データ(移動体の加速度および姿勢を含むデータ)を出力する。
また、GPS受信部3300は、受信アンテナ3400を介してGPS衛星からの信号(GPS搬送波。位置情報が重畳された衛星信号)を受信する。また、位置情報取得部3500は、GPS受信部3300が受信した信号に基づいて、移動体測位装置3000(移動体)の位置(緯度、経度、高度)、速度、方位を表すGPS測位データを出力する。このGPS測位データには、受信状態や受信時刻等を示すステータスデータも含まれている。
位置合成部3600は、演算処理部3200から出力された慣性航法測位データおよび位置情報取得部3500から出力されたGPS測位データに基づいて、移動体の位置、具体的には移動体が地面のどの位置を走行しているかを算出する。例えば、GPS測位データに含まれている移動体の位置が同じであっても、図13に示すように、地面の傾斜等の影響によって移動体の姿勢が異なっていれば、地面の異なる位置を移動体が走行していることになる。そのため、GPS測位データだけでは移動体の正確な位置を算出することができない。そこで、位置合成部3600は、慣性航法測位データ(特に、移動体の姿勢に関するデータ)を用いて、移動体が地面のどの位置を走行しているのかを算出する。なお、当該判定は、三角関数(鉛直方向に対する傾きθ)を用いた演算によって比較的簡単に行うことができる。
位置合成部3600から出力された位置データは、処理部3700によって所定の処理が行われ、測位結果として、表示部3900に表示されるようになっている。また、位置データは、通信部3800によって外部装置に送信されるようになっていてもよい。
以上、移動体測位装置3000について説明した。このような移動体測位装置3000は、前述したように、慣性計測装置3100と、測位用衛星から位置情報が重畳された衛星信号を受信するGPS受信部3300(受信部)と、受信した衛星信号に基づいて、GPS受信部3300の位置情報を取得する位置情報取得部3500(取得部)と、慣性計測装置3100から出力された慣性航法測位データ(慣性データ)に基づいて、移動体の姿勢を演算する演算処理部3200(演算部)と、算出された姿勢に基づいて位置情報を補正することにより、移動体の位置を算出する位置合成部3600(算出部)と、を含んでいる。これにより、本発明の慣性計測装置の効果を享受でき、信頼性の高い移動体測位装置3000が得られる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る電子機器について説明する。
図14は、本発明の第8実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図14に示すモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1110と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1120と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなパーソナルコンピューター1100(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1110と、補正回路1120と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係る電子機器について説明する。
図15は、本発明の第9実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図15に示す携帯電話機1200(PHSも含む)は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1210と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1220と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このような携帯電話機1200(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1210と、補正回路1220と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態に係る電子機器について説明する。
図16は、本発明の第10実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図16に示すデジタルスチールカメラ1300は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、ケース1302の背面には表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
このようなデジタルスチールカメラ1300には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1320と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1330と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなデジタルスチールカメラ1300(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1320と、補正回路1330と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態のパーソナルコンピューターおよび携帯電話機、本実施形態のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等に適用することができる。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態に係る携帯型電子機器について説明する。
図17は、本発明の第11実施形態に係る携帯型電子機器を示す平面図である。図18は、図17に示す携帯型電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
図17に示す腕時計型の活動計1400(アクティブトラッカー)は、本発明の携帯型電子機器を適用したリスト機器である。活動計1400は、バンド1401によってユーザーの手首等の部位(被検体)に装着される。また、活動計1400は、デジタル表示の表示部1402を備えると共に、無線通信が可能である。上述した本発明に係る物理量センサー1は、加速度を測定するセンサーや角速度を計測するセンサーとして活動計1400に組込まれている。
活動計1400は、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を備えている。また、透光性カバー1404の外側にはベゼル1405が設けられている。また、ケース1403の側面には複数の操作ボタン1406、1407が設けられている。
図18に示すように、物理量センサー1としての加速度センサー1408は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の加速度を検出し、検出した3軸加速度の大きさおよび向きに応じた信号(加速度信号)を出力する。また、角速度センサー1409は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の角速度を検出し、検出した3軸角速度の大きさおよび向きに応じた信号(角速度信号)を出力する。
表示部1402を構成する液晶ディスプレイ(LCD)では、種々の検出モードに応じて、例えば、GPSセンサー1411や地磁気センサー1412を用いた位置情報、移動量や物理量センサー1に含まれる加速度センサー1408や角速度センサー1409などを用いた運動量などの運動情報、脈拍センサー1413などを用いた脈拍数などの生体情報、もしくは現在時刻などの時刻情報などが表示される。なお、温度センサー1414を用いた環境温度を表示することもできる。
通信部1415は、ユーザー端末と図示しない情報端末との間の通信を成立させるための各種制御を行う。通信部1415は、例えば、Bluetooth(登録商標)(BTLE:Bluetooth Low Energyを含む)、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near field communication)、ANT+(登録商標)等の近距離無線通信規格に対応した送受信機や、USB(Universal Serial Bus)等の通信バス規格に対応したコネクターを含んで構成される。
処理部1410(プロセッサー)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。処理部1410は、記憶部1416に格納されたプログラムと、操作部1417(例えば操作ボタン1406、1407)から入力された信号とに基づき、各種の処理を実行する。処理部1410による処理には、GPSセンサー1411、地磁気センサー1412、圧力センサー1418、加速度センサー1408、角速度センサー1409、脈拍センサー1413、温度センサー1414、計時部1419の各出力信号に対するデータ処理、表示部1402に画像を表示させる表示処理、音出力部1420に音を出力させる音出力処理、通信部1415を介して情報端末と通信を行う通信処理、バッテリー1421からの電力を各部へ供給する電力制御処理などが含まれる。
このような活動計1400では、少なくとも以下のような機能を有することができる。
1.距離:高精度のGPS機能により計測開始からの合計距離を計測する。
2.ペース:ペース距離計測から、現在の走行ペースを表示する。
3.平均スピード:平均スピード走行開始から現在までの平均スピードを算出し表示する。
4.標高:GPS機能により、標高を計測し表示する。
5.ストライド:GPS電波が届かないトンネル内などでも歩幅を計測し表示する。
6.ピッチ:1分あたりの歩数を計測し表示する。
7.心拍数:脈拍センサーにより心拍数を計測し表示する。
8.勾配:山間部でのトレーニングやトレイルランにおいて、地面の勾配を計測し表示する。
9.オートラップ:事前に設定した一定距離や一定時間を走った時に、自動でラップ計
測を行う。
10.運動消費カロリー:消費カロリーを表示する。
11.歩数:運動開始からの歩数の合計を表示する。
このような活動計1400(携帯型電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を含んでいる。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、活動計1400は、ランニングウォッチ、ランナーズウォッチ、デュアスロンやトライアスロン等マルチスポーツ対応のランナーズウォッチ、アウトドアウォッチ、および衛星測位システム、例えばGPSを搭載したGPSウォッチ、等に広く適用できる。
また、上述では、衛星測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を用いて説明したが、他の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してもよい。例えば、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO、BeiDou(BeiDou Navigation Satellite System)、等の衛星測位システムのうち1又は2以上を利用してもよい。また、衛星測位システムの少なくとも1つにWAAS(Wide Area Augmentation System)、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)等の静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS:Satellite-based Augmentation System)を利用してもよい。
<第12実施形態>
次に、本発明の第12実施形態に係る移動体について説明する。
図19は、本発明の第12実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図19に示す自動車1500は、本発明の移動体を適用した自動車である。この図において、自動車1500には、加速度センサーおよび角速度センサーの少なくとも一方(好ましくは両方を検出できる複合センサー)として機能する物理量センサー1が内蔵されており、物理量センサー1によって車体1501の姿勢を検出することができる。物理量センサー1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502(姿勢制御部)に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。ここで、物理量センサー1としては、例えば、前述した各実施形態と同様のものを用いることができる。
このような自動車1500(移動体)は、物理量センサー1と、車体姿勢制御装置1502(姿勢制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、物理量センサー1は、他にも、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
また、移動体としては、自動車1500に限定されず、例えば、飛行機、ロケット、人工衛星、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
以上、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、物理量センサーとして角速度を検出するものについて説明したが、これに限定されず、例えば、加速度を検出するものであってもよい。また、加速度と角速度の両方を検出するものであってもよい。