以下に、本願に係る特典付与装置、特典付与方法及び特典付与プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る特典付与装置、特典付与方法及び特典付与プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
〔1.特典付与処理の一例〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る特典付与処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る特典付与処理の一例を示す図である。図1では、実施形態に係る特典付与装置100によって、所定のサービスにおいて購買時に利用可能な特典がユーザに付与される処理の一例を示している。なお、図1の例では、所定のサービスとして、インターネット上で提供されるショッピングサービスを例に挙げる。また、実施形態では、特典として、サービスの購買時に対価の代わりに利用可能なサービスポイント(以下、単に「ポイント」と表記する)を例に挙げる。実施形態では、かかるポイントは、上記のショッピングサービスに限らず、ショッピングサービスを運営する事業者から提供される他のサービスや、ポイント利用について提携する他のサービス等でも利用可能であるものとする。
図1に示す特典付与装置100は、特典を付与する対象となるユーザ(以下、「対象ユーザ」と表記する)を抽出するとともに、抽出したユーザに特典を付与する処理を行うサーバ装置である。特典付与装置100は、例えば、ショッピングサービスに係るウェブサイトをユーザに提供するウェブサーバ30(図1での図示は省略する)と連携し、実施形態に係る特典付与処理を実行する。
図1に示すユーザ端末101及びユーザ端末102は、スマートフォン等の情報処理端末である。また、ユーザU01及びユーザU02は、実施形態に係るショッピングサービスを利用するユーザの一例である。実施形態において、ユーザ端末101は、ユーザU01によって利用される。また、ユーザ端末102は、ユーザU02によって利用される。ユーザ端末101及びユーザ端末102は、ユーザU01やユーザU02の操作に従ってウェブサーバ30にアクセスし、ショッピングサービス等に係るウェブサイトの配信を受け付け、当該ウェブサイトを画面に表示する。なお、以下では、ユーザ端末101及びユーザ端末102を区別する必要のないときは、「ユーザ端末10」と表記する。また、ユーザU01及びユーザU02等を区別する必要のないときは、単に「ユーザ」と表記する。また、以下では、ユーザをユーザ端末10と読み替える場合がある。例えば、「ユーザU01がサービスにアクセスする」という記載は、実際には、「ユーザU01が利用するユーザ端末101がサービスにアクセスする」という状況を示す場合がある。
図1の例において、ユーザU01及びユーザU02は、ショッピングサービスにユーザアカウントの登録を行っていたり、ショッピングサービスの商品ページを閲覧していたり、ショッピングサービスを利用するためのアプリをダウンロードしていたりといった、サービスと何らかの関係性を有する。言い換えれば、ユーザU01及びユーザU02は、ショッピングサービスの利用履歴を有する。また、図1の例では、ユーザU01及びユーザU02は、所定期間内(例えば、直近2ヶ月など)において、ショッピングサービスでの購買履歴を有さないものとする。すなわち、ユーザU01及びユーザU02は、利用履歴を有するものの、ショッピングサービスに対して何らかの成果(コンバージョン)をもたらしていないユーザであるものとする。
実施形態に係る特典付与装置100は、ユーザU01及びユーザU02のように、サービスにおける利用履歴を有するが、購買に至らないユーザに対して、実施形態に係る特典付与処理を実行することで、購買に至る動機付けを与える。具体的には、特典付与装置100は、サービスを利用する各々のユーザによる当該サービスの利用履歴を取得し、取得した利用履歴に基づいて、所定の期間内に当該サービスにおいて購買履歴のないユーザである対象ユーザを抽出する。そして、特典付与装置100は、抽出した対象ユーザに、当該サービスにおける購買時に利用可能な特典を付与する。
すなわち、特典付与装置100は、一般にサービスから特典が付与されるための何らかの明示な行動(例えば、サービスでの購買行動等)がない状態にもかかわらず、所定期間内に購買履歴のないユーザに対して特典を付与する。言い換えれば、特典付与装置100は、ユーザに対して所定量の特典を先付けする。この場合、ユーザは、サービスで購買を行った後の見返りとして特典の付与を受けるのではなく、はじめから特典が付与された状態で購買を行うことができる。これにより、特典付与装置100は、ユーザの購買行動を促進させることができる。
しかしながら、無作為にユーザを抽出して特典を先付けすると、特典を付与するためのサービス側の予算を圧迫するおそれがある。そこで、特典付与装置100は、以下に説明する処理を行い、特典を付与する候補となるユーザを抽出し、抽出したユーザに対して特典を付与する。以下、図1を用いて、特典付与装置100によって行われる特典付与処理の一例を流れに沿って説明する。
まず、特典付与装置100は、予め、これから付与しようとする特典に関する情報を取得し、特典情報記憶部121に記憶する。特典に関する情報とは、例えば、ユーザに先付けする特典の量(例えば、特典の付与において準備される予算や、実際にユーザに付与するポイントの総数等により示される)や、特典が付与されるタイミングや、特典付与装置100によって付与される特典の有効期限等を含む情報である。
また、特典付与装置100は、特典を利用可能なサービス(ショッピングサービス以外の他のサービスも含む)を利用したユーザの利用履歴を取得する(ステップS11)。例えば、特典付与装置100は、ユーザU01が利用するユーザ端末101がウェブサーバ30等にアクセスしたアクセスログを取得することで、ユーザU01の利用履歴を取得する。
特典付与装置100は、例えば、ユーザU01がサービスに対して利用登録を行うために作成したアカウント情報等を利用履歴として取得する。アカウント情報には、例えば、ユーザU01が登録した性別や年齢、居住地等の属性情報が含まれる。また、特典付与装置100は、ユーザ端末101の通信キャリアや、ユーザU01のサービスにおけるユーザランク等の情報を取得してもよい。通信キャリアとは、ユーザ端末101の通信を制御する通信会社を示す。ユーザランクとは、サービス側がユーザU01に対して付与するユーザの扱いに関する情報であり、例えば、ショッピングサービスや、ショッピングサービスと提携する複数のサービス間において共通する情報が用いられる。サービス側は、例えば、ユーザU01が有料アカウントを有するか無料アカウントを有するか、あるいは、ユーザU01の複数のサービスにおける過去の購買履歴等に基づいて、「優良会員」や「一般会員」等のランク付けを各ユーザに対して行う。
特典付与装置100は、利用履歴とともに、上記のようなユーザに関する種々の情報(以下、「ユーザ情報」と総称する)を取得する。なお、図1での図示は省略するが、特典付与装置100は、ユーザU01以外にも、サービスを利用する複数のユーザ(以下、「ユーザ群」と表記する)から利用履歴を取得しているものとする。特典付与装置100は、取得したユーザ情報をユーザ情報記憶部122に格納する。
その後、特典付与装置100は、特典を付与する対象ユーザを抽出する(ステップS12)。ここで、特典付与装置100は、ステップS12の段階では、まだ特典が付与された後のユーザの行動等の情報を取得していないものとする。言い換えれば、特典付与装置100は、特典が付与されたユーザのうち、どのようなユーザ情報を有するユーザが購買に至る傾向にあるか、といった情報を有しない。この場合、特典付与装置100は、例えば、利用履歴を取得したユーザ群の中から無作為に対象ユーザを抽出してもよい。あるいは、特典付与装置100は、ユーザ群の属性情報に基づいて、ユーザ群が含む所定数のユーザを2つのグループに分け、それら2つのグループを対象ユーザとして抽出してもよい。一例として、特典付与装置100は、「20歳代の男性」の属性に該当するユーザのグループと、「30歳代の男性」の属性に該当するグループとにユーザ群を分類し、分類した2つのグループのユーザを対象ユーザとして抽出してもよい。
図1の例では、ユーザU01を含む複数のユーザが、対象ユーザとして抽出されたものとする。この場合、特典付与装置100は、ユーザU01等の各々のユーザに対して特典を付与する(ステップS13)。具体的には、特典付与装置100は、ユーザU01が有するサービスのアカウントに対して、特典として「500ポイント」を付与する。このとき、特典付与装置100は、ユーザ端末101がサービスの関係するポータルサイトにアクセスした場合に、当該ページのバナー広告等の表示領域に通知A01を表示させてもよい。通知A01は、「あなたに「500ポイント」が付与されました!」のように、ユーザU01に対してパーソナライズされて表示される。これにより、特典付与装置100は、ユーザU01に対して特典が付与されたことを周知させることができる。なお、通知は、バナー表示に限らず、例えば、メールやプッシュ通知等によって行われてもよい。
その後、特典付与装置100は、ユーザU01が特典を利用してサービスを利用したか否かを示す結果情報を取得する(ステップS14)。例えば、特典付与装置100は、結果情報として、付与した特典の有効期限が経過するまでに、ユーザU01がポイントを利用してショッピングサービスで購買を行ったか否かを判定する。すなわち、特典付与装置100は、ユーザU01が、特典が付与されたことを契機としてコンバージョンに至ったユーザであったか否かを判定する。
このとき、特典付与装置100は、ユーザU01がコンバージョンに至ったか否かという結果とともに、ユーザU01のユーザ情報を取得する。そして、特典付与装置100は、これらの結果情報を分類情報記憶部126に格納する。なお、図1では図示を省略しているが、特典が付与されたユーザは、ユーザU01以外にも、実施形態に係る特典付与処理を行うのに充分な相当数が存在するものとする。そして、特典付与装置100は、特典が実際に付与されたユーザ群のその後の特典の利用履歴である結果情報を蓄積し、結果情報を解析する。かかる処理により、特典付与装置100は、所定期間内においてショッピングサービスで購買履歴がないという前提条件を満たすユーザ群のうち、コンバージョンに至りやすいユーザがどのようなユーザ情報を有する傾向にあるかを捉えることができる。
結果情報を取得した後、特典付与装置100は、新たな特典に関する情報を取得したものとする(ステップS15)。新たな特典に関する情報とは、例えば、次に特典を付与するタイミングや、付与する特典の総量や、特典の有効期限等である。なお、このような特典に関する情報は、例えば、特典付与装置100の管理者からの入力や、特典の先付けを所望するショッピングサービス等の要求に基づいて発生する。
また、特典付与装置100は、サービスにおいて購買履歴がないものの、サービスの利用履歴があったり、アカウントを有するのみのユーザであったりするユーザの利用履歴を継続的に取得しているものとする。例えば、特典付与装置100は、かかるユーザの一例であるユーザU02を含む、複数のユーザの利用履歴を取得する(ステップS16)。
そして、特典付与装置100は、ユーザU02等の利用履歴を取得する処理を継続しつつ、ユーザU01への特典付与等で得られた結果情報(特典付与の結果)に応じて、ユーザU02を含むユーザ群を所定のセグメントに分類する(ステップS17)。
詳細は後述するが、特典付与装置100は、例えばステップS14で取得された結果情報に基づいて、コンバージョンに至りやすいユーザの性別と年齢の組合せや、通信キャリアや、ユーザランクを解析する。例えば、特典付与装置100は、既知の統計処理によって、特典が先付けされた場合に、その後最もコンバージョンに至りやすいユーザの性別と年齢の組合せが「30歳代の女性」である、といった情報を解析する。あるいは、特典付与装置100は、ある一の通信キャリアよりも、他の通信キャリアを利用しているユーザの方がコンバージョンに至りやすい、といった情報を解析する。
そして、特典付与装置100は、解析した情報に基づいて、ユーザを所定のセグメントに分類する。例えば、特典付与装置100は、ステップS14で取得された結果情報のうち、最もコンバージョンに至りやすいという結果情報が得られたユーザの性別と年齢の組合せを有するユーザが一つのセグメントに属するよう、ユーザを分類する。また、特典付与装置100は、さらに、通信キャリアやユーザランクの情報等を用いて、ユーザ群をさらに細かいセグメントに分類してもよい。
上記のような分類処理ののち、特典付与装置100は、新たに特典の付与対象となるユーザを抽出する(ステップS18)。例えば、特典付与装置100は、分類したセグメントのうち、最もコンバージョンに至りやすいと想定されるセグメントを対象ユーザとして抽出してもよい。また、特典付与装置100は、次に付与する特典の総量と最も適合するセグメントを抽出してもよい。例えば、次の特典として、各ユーザに「500ポイント」を付与することが予定されており、その総量が「1000000ポイント」であるとする。この場合、特典付与装置100は、「2000人」まで特典を付与することができるため、その人数を超えない範囲のセグメントを選択し、選択されたセグメントに属するユーザに特典を付与してもよい。このように、特典付与装置100は、特典を付与するユーザを柔軟に選択し、決定することができる。
また、特典付与装置100は、結果情報から解析された情報のみならず、特典付与装置100の管理者やショッピングサービスの管理者等から得られる知見情報を抽出処理に利用してもよい。例えば、ポイントが提携サービスでも利用可能な場合、他のサービスでポイントを過去に利用したユーザは、先付けのポイントを得たとしても、ショッピングサービスで利用する可能性が低いことが、経験的に知られているとする。この場合、特典付与装置100は、「他のサービスにおいてポイントの利用履歴があるか否か」という判定基準をさらに設けて、ユーザを抽出してもよい。具体的には、特典付与装置100は、コンバージョンに至り易い属性を有するユーザであっても、過去の所定期間(例えば1年間など)のうちに他の提携サービスにおいてポイントの利用履歴があるユーザについては対象ユーザとして抽出しない、といった処理を行う。
そして、特典付与装置100は、ステップS18で抽出された対象ユーザに特典を付与する。具体的には、特典付与装置100は、ステップS18で抽出された対象ユーザの一例であるユーザU02に特典を付与する(ステップS19)。
なお、図1での図示は省略するが、特典付与装置100は、ユーザU02が特典を利用してコンバージョンに至ったか否かを示す結果情報をさらに取得してもよい。これにより、特典付与装置100は、対象ユーザの抽出処理や、特典付与処理を最適化することができる。
また、特典付与装置100は、付与した特典の有効期限が経過する所定時間前(例えば、3日前や1日前など)に、特典を付与したユーザU02に対して、有効期限が経過する旨の警告を通知してもよい。例えば、特典付与装置100は、上記したバナー広告枠やメールやプッシュ通知等を用いて、有効期限が経過する旨の警告を通知する。
図1を用いて説明してきたように、実施形態に係る特典付与装置100は、サービスを利用する各々のユーザによる当該サービスの利用履歴を取得する。また、特典付与装置100は、取得した利用履歴に基づいて、所定の期間内に当該サービスにおいて購買履歴のないユーザである対象ユーザを抽出する。さらに、特典付与装置100は、抽出した対象ユーザに、当該サービスにおける購買時に利用可能な特典を付与する。
すなわち、特典付与装置100は、ユーザがサービスにおいて購買を行った後に特典を付与するのではなく、所定期間において購買履歴のないユーザを抽出し、抽出したユーザに対して先付けで特典を付与する。このように、特典付与装置100は、ユーザが無料で利用可能なポイントを購買行動に先だって付与することによって、サービスにおいて購買に至るまでの動機付けを強くユーザに与えることができる。また、上述のように、特典付与装置100は、特典が付与されたユーザのその後のコンバージョンの結果や、ユーザ情報や、他のサービスの利用履歴等に基づいて対象ユーザを抽出する。これにより、特典付与装置100は、コンバージョンに至る可能性の高いユーザに優先的に特典を付与することができるので、ユーザが特典を利用しないまま有効期限を経過したり、他のサービスに特典を利用されたりする状況を招きにくくすることができる。以下、このような処理を行う特典付与装置100、及び、特典付与装置100を含む特典付与システム1の構成等について、詳細に説明する。
〔2.特典付与システムの構成〕
図2を用いて、実施形態に係る特典付与装置100が含まれる特典付与システム1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る特典付与システム1の構成例を示す図である。図2に例示するように、実施形態に係る特典付与システム1には、ユーザ端末10と、ウェブサーバ30と、特典付与装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークN(例えば、インターネット)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図2に示した特典付与システム1には、複数台のユーザ端末10や、複数台のウェブサーバ30が含まれてもよい。
ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルデバイス(Wearable Device)等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、ユーザによる操作に従って、ウェブサーバ30にアクセスすることで、ウェブサーバ30から提供されるウェブサイトからウェブページを取得する。そして、ユーザ端末10は、取得したウェブページを表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)に表示する。
ウェブサーバ30は、ユーザ端末10からアクセスされた場合に、サービスに係る各種ウェブページを提供するサーバ装置である。図1の例では、ウェブサーバ30は、ショッピングサービスに係るウェブページをユーザ端末10に提供する。なお、ウェブサーバ30は、例えば、ニュースサイト、天気予報サイト、ファイナンス(株価)サイト、路線検索サイト、地図提供サイト、旅行サイト、飲食店紹介サイト、ウェブブログなどの各種サービスに係るウェブページを提供してもよい。
特典付与装置100は、サービスを利用する各々のユーザによる当該サービスの利用履歴に基づいて、所定の期間内に当該サービスにおいて購買履歴のないユーザである対象ユーザを抽出し、抽出した対象ユーザに特典を付与するサーバ装置である。
なお、特典付与装置100は、実施形態に係る処理において、ユーザ端末10を識別したり、ユーザ端末10のユーザ情報を取得したりする。例えば、ユーザ情報の取得は、ユーザ端末10のウェブブラウザやブラウザアプリと、特典付与装置100との間でやり取りされるクッキーに情報を含めることによって行うことができる。ただし、ユーザ情報を取得する手法は上記に限られない。例えば、ユーザ端末10に専用のプログラム(アプリケーション)を設定し、かかる専用プログラムからユーザ情報を特典付与装置100に送信させてもよい。また、特典付与装置100は、ユーザ端末10からアクセスを受けたウェブサーバ30から、ユーザ端末10のユーザ情報を取得してもよい。
〔3.特典付与装置の構成〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る特典付与装置100の構成について説明する。図3は、実施形態に係る特典付与装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、特典付与装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、特典付与装置100は、特典付与装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末10や、ウェブサーバ30との間で情報の送受信を行う。
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、特典情報記憶部121と、ユーザ情報記憶部122と、分類情報記憶部126とを有する。
(特典情報記憶部121について)
特典情報記憶部121は、ユーザに付与される特典に関する情報を記憶する。ここで、図4に、実施形態に係る特典情報記憶部121の一例を示す。図4は、実施形態に係る特典情報記憶部121の一例を示す図である。図4に示した例では、特典情報記憶部121は、「サービスID」、「サービス内容」、「特典ID」、「予算」、「付与タイミング」、「有効期限」といった項目を有する。
「サービスID」は、サービスを識別するための識別情報を示す。「サービス内容」は、サービスの内容を示す。「特典ID」は、特典付与装置100によって特典が付与される処理を識別するための識別情報を示す。実施形態に係る特典付与処理は、例えば、サービス側のキャンペーン等において実行されるため、特典IDは、キャンペーンや新規顧客獲得のための施策等を識別するための識別情報と言い換えてもよい。
なお、本明細書中では、図4に示したような識別情報を参照符号として用いる場合がある。例えば、サービスID「B01」によって識別されるサービスを「サービスB01」と表記する場合がある。
「予算」は、特典付与処理における予算を示す。実施形態では、予算は、ユーザに付与される特典の総量に比例するものとする。例えば、特典であるポイントが1円の価値を有すると仮定すると、予算が「1,000,000円」であれば、特典付与装置100は、特典の総量として「1,000,000ポイント」をユーザに付与する。なお、ポイントと対価の価値の関係性は、この例に限られない。
「付与タイミング」は、特典がユーザに付与されるタイミングを示す。「有効期限」は、付与された特典の有効期限を示す。
すなわち、図4に示したデータの一例は、サービスID「B01」によって識別されるサービスB01のサービスの内容が「ショッピング」であり、当該サービスにおける特典付与処理として、特典ID「E11」や「E12」や「E13」で識別される特典付与が予定されていることを示している。例えば、特典E11は、予算が「1,000,000円」であり、付与タイミングが「2017年10月1日18時00分」であり、その特典(ポイント)の有効期限が「2017年10月5日18時00分」であることを示している。
(ユーザ情報記憶部122について)
ユーザ情報記憶部122は、特典の付与対象であるユーザおよびユーザ端末10に関する情報を記憶する。図3に示すように、ユーザ情報記憶部122は、ユーザ情報を記憶するデータテーブルとして、属性テーブル123と、利用履歴テーブル124とを含む。
(属性テーブル123について)
図5に、実施形態に係る属性テーブル123の一例を示す。図5は、実施形態に係る属性テーブル123の一例を示す図である。属性テーブル123は、ユーザ端末10を利用するユーザの属性に関する情報を記憶する。図5に示した例では、属性テーブル123は、「ユーザID」、「性別」、「年齢」、「居住地」、「通信キャリア」、「ユーザランク」といった項目を有する。
「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報である。「性別」は、ユーザ端末10を利用するユーザの性別を示す。「年齢」は、ユーザ端末10を利用するユーザの年齢を示す。「居住地」は、ユーザ端末10を利用するユーザの居住地を示す。なお、「居住地」には、具体的な住所ではなく、ユーザの居住地に対応する一定の範囲を示す地域名(関東地方など)や、最寄りの駅名などが記憶されてもよい。「通信キャリア」は、ユーザ端末10の通信回線を提供している通信キャリアの社名を示す。「ユーザランク」は、サービスにおけるユーザのランクを示す。
すなわち、図5に示したデータの一例は、ユーザID「U11」によって識別されるユーザU11の性別が「男性」であり、年齢が「30歳」であり、居住地が「A県」であり、通信キャリアが「F01」であり、ユーザランクが「優良会員」であることを示している。
特典付与装置100は、例えば、サービスで利用されるアカウントの作成時にウェブサーバ30に登録される情報をウェブサーバ30から取得することにより、ユーザの属性情報を取得する。なお、属性テーブル123に記憶される属性情報は、必ずしも正確な情報でなくともよい。例えば、特典付与装置100は、ユーザのネットワーク上の行動履歴や、サービスの利用履歴や、使用しているユーザ端末10の特徴等から推定される「推定性別」や「推定年齢」等を属性テーブル123に記憶してもよい。
また、属性テーブル123には、図5で示した以外にも、ユーザの属性情報が適宜記憶されてもよい。例えば、特典を利用するサービスによっては、独身のユーザの方が結婚しているユーザよりも特典を利用する率が高かったり、その逆であったりなど、所定の傾向を示す場合がある。すなわち、ユーザが未婚であるか既婚であるかといった属性情報が、コンバージョンに影響を与える変数となりうる。この場合、特典付与装置100は、属性テーブル123に、ユーザが未婚であるか既婚であるかといった属性情報を記憶してもよい。
(利用履歴テーブル124について)
続いて、図6に、実施形態に係る利用履歴テーブル124の一例を示す。図6は、実施形態に係る利用履歴テーブル124の一例を示す図である。利用履歴テーブル124は、サービスに対するユーザの利用履歴を記憶する。図6に示した例では、利用履歴テーブル124は、「ユーザID」、「利用ログID」、「利用日時」、「利用サービスID」、「利用サービス種別」、「行動種別」、「流入元」、「滞在時間」といった項目を有する。
「ユーザID」は、図5に示した同様の項目と対応する。「利用ログID」は、サービスに関する利用履歴(ログ)を識別する識別情報を示す。「利用日時」は、サービスの利用が観測された日時を示す。なお、利用日時の項目には、ウェブサーバ30(サービス)にアクセスした瞬間の時間が記憶されてもよいし、ウェブサーバ30にアクセスしてから離脱するまでの経過時間が記憶されてもよい。
「利用サービスID」は、ユーザが利用したサービスを識別する識別情報を示す。なお、利用サービスIDの項目に記憶される識別情報は、図4に示したサービスIDと共通するものとする。「利用サービス種別」は、ユーザが利用したサービスの種別を示す。「行動種別」は、サービスにおけるユーザの行動を示す。なお、図6では、説明のため、行動種別の項目に「閲覧のみ」などのユーザ行動を説明する情報が記憶される例を示しているが、実際には、行動種別の項目には、アクセスしたウェブページ(例えば、商品ページ)を示す情報や、購買要求を行ったことを示す情報や、ウェブページから離脱したことを示す情報など、ユーザの行動のログが羅列されて記憶される。
「流入元」は、サービスにアクセスしたユーザが直前にアクセスしていたウェブページ(サービス)を示す。「滞在時間」は、ユーザが当該サービス内に滞在していた時間を示す。
すなわち、図6に示したデータの一例では、ユーザU11の利用履歴として、利用ログID「L11」や「L12」や「L13」で識別される利用ログが記憶されていることを示している。また、例えば、利用ログL11は、「2017年8月1日 10時00分」に、「ショッピング」サービスである「サービスB01」にユーザU11がアクセスしたことを示している。また、利用ログL11は、ユーザU11がサービスB01において「閲覧のみ」の行動を行っており、その流入元は「検索サイトB21」であり、滞在時間が「15分」であったことを示している。
(分類情報記憶部126について)
分類情報記憶部126は、ユーザを分類するための情報を記憶する。図3に示すように、分類情報記憶部126は、ユーザを分類するための情報を記憶するデータテーブルとして、結果情報テーブル127と、セグメントテーブル128とを含む。
(結果情報テーブル127について)
結果情報テーブル127は、過去に特典が付与されたユーザの利用履歴から解析される情報である結果情報を記憶する。図7に、実施形態に係る結果情報テーブル127の一例を示す。図7は、実施形態に係る結果情報テーブル127の一例を示す図である。図7に示した例では、結果情報テーブル127は、「ユーザID」、「特典付与日時」、「ポイント数」、「コンバージョン」、「利用サービスID」、「利用サービス種別」、「再利用の有無」、「ユーザ情報」といった項目を有する。
「ユーザID」は、図5で示した同一の項目に対応する。「特典付与日時」は、ユーザに特典が付与された日時を示す。「ポイント数」は、ユーザに付与された特典の量(ポイントの数値)を示す。
「コンバージョン」は、特典を付与されたユーザが、処理対象とするサービスにおいて実際に何らかの成果に至ったか否かを示す。図7の例では、コンバージョンの項目は、「処理対象であるサービスB01においてユーザが購買に至ったか否か」を示す。コンバージョンの項目が「1」であれば、当該ユーザが購買に至ったことを示し、コンバージョンの項目が「0」であれば、当該ユーザが購買に至っていないことを示す。また、特典が他のサービスで利用された場合も、コンバージョンの項目は「0」で示される。
「利用サービスID」及び「利用サービス種別」は、図6で示した同一の項目に対応する。「再利用の有無」は、コンバージョンに至ったユーザが、再度、当該サービスにおいて購買を行ったか否かを示す。再利用の有無の項目が「1」であれば、特典を利用し終わった後に再度購買に至った履歴があることを示し、再利用の有無の項目が「0」であれば、特典を利用し終わった後に再度購買に至った履歴がないことを示す。
「ユーザ情報」は、ユーザIDに対応するユーザのユーザ情報を示す。図7の例では、ユーザ情報の項目に記憶される情報を「H21」のような概念で示しているが、実際には、ユーザ情報の項目に記憶される情報は、例えば、図5で示した属性情報等である。なお、ユーザ情報には、ユーザに関する種々の情報が含まれてもよい。例えば、ユーザ情報には、特典を利用してサービスで購買を行ったユーザが支払った金額の合計額や、特典を利用し終わった後にサービスで購買を行ったユーザが支払った金額の合計額や、サービスで購買を行ったことを示す履歴の数等が含まれてもよい。
すなわち、図7に示したデータの一例では、ユーザU21は、「2017年9月1日 10時00分」に、「500」ポイントの特典が付与されたユーザであり、そのポイントを利用して、「ショッピング」サービスである「サービスB01」において購買に至った(コンバージョンに至った)ユーザであることを示している。また、図7では、ユーザU21が、さらにサービスB01での再利用(再度のコンバージョン)に至っていることを示している。また、図7では、ユーザU21のユーザ情報は「H21」であることを示している。
(セグメントテーブル128について)
セグメントテーブル128は、新たに特典の付与対象となるユーザのセグメントに関する情報を記憶する。図8に、実施形態に係るセグメントテーブル128の一例を示す。図8は、実施形態に係るセグメントテーブル128の一例を示す図である。図8に示すように、セグメントテーブル128は、「対象サービスID」、「集計期間」、「セグメントID」、「ユーザ数」、「ユーザ傾向」といった項目を有する。また、「ユーザ傾向」は、「属性」、「他サービスの利用」、「閲覧履歴」、「滞在時間」といった小項目を有する。
「対象サービスID」は、特典が利用される対象となるサービスを識別する識別情報を示す。なお、対象サービスIDの項目に記憶される識別情報は、図4に示したサービスIDと共通するものとする。
「集計期間」は、ユーザの利用履歴が集計される期間を示す。例えば、集計期間は、次に特典が付与されるタイミングの直近の所定期間である。図8では、「2017年10月1日」に付与される特典のタイミングの直近2ヶ月である「2017年8月1日」から「2017年9月30日」が集計期間である例を示している。なお、集計期間は、適宜変更可能である。また、集計期間の長さは、特典付与装置100によって設定されてもよいし、特典が利用されるサービス側から指定されてもよい。
「セグメントID」は、ユーザを分類したセグメントを識別する識別情報を示す。「ユーザ数」は、セグメントに属するユーザ数を示す。なお、ユーザは、セグメントの分類基準によっては、複数のセグメントに属する場合もありうる。
「ユーザ傾向」は、セグメントに属するユーザ(具体的には、ユーザ情報)の傾向を示す。言い換えれば、ユーザ傾向は、セグメントに分類するために用いられた基準となる情報を示す。
「属性」は、セグメントに属するユーザの属性情報を示す。例えば、属性が「男性、20−29歳、通信キャリアF01」の全てを満たすユーザは、セグメントSG01に属する可能性があることを示している。
「他サービスの利用」は、セグメントに属するユーザが、他サービス(実施形態で示す例では、サービスB01以外のサービス)を利用した履歴を有するか否かを示す。例えば、他サービスの利用の履歴が「なし」であるユーザは、セグメントSG01に属する可能性があることを示している。一方、過去に他サービスの利用の履歴があるユーザは、少なくともセグメントSG01には属さないことを示している。
「閲覧履歴」は、セグメントに属するユーザが、処理対象とするサービスを閲覧した履歴の回数を示す。例えば、サービスB01での集計期間における購買履歴がないものの、サービスB01を閲覧した履歴を「3回以上」有するユーザは、セグメントSG01に属する可能性があることを示している。一方、集計期間においてサービスB01を閲覧した履歴を「3回以上」有さないユーザは、少なくともセグメントSG01には属さないことを示している。
「滞在時間」は、セグメントに属するユーザが、集計期間のうちに処理対象とするサービスに滞在した時間の合計を示す。例えば、サービスB01での集計期間における購買履歴がないものの、サービスB01に滞在した時間が「1時間以上」であるユーザは、セグメントSG03に属する可能性があることを示している。一方、集計期間においてサービスB01に滞在した時間が「1時間以上」でないユーザは、少なくともセグメントSG03には属さないことを示している。
すなわち、図8に示したデータの一例では、集計期間「2017年8月1日」から「2017年9月30日」とする利用履歴に基づいて、特典付与装置100が、ユーザをセグメントID「SG01」や「SG02」や「SG03」や「SG04」で識別されるセグメントに分類したことを示している。また、図8では、セグメントSG01に属するユーザ数は「10000」人であり、そのユーザ傾向は、属性が「男性、20−29歳、通信キャリアF01」であり、他サービスの利用履歴が「なし」であり、閲覧履歴が「3回以上」であり、滞在時間については特に「指定なし」であることを示している。
なお、セグメントを分類するための基準となる情報(図8では「ユーザ傾向」が対応する)は、例えば、過去に特典が付与されたユーザ群において、コンバージョン率が高い数値を示したユーザのユーザ情報や、特典付与装置100やサービスB01の管理者等の知見によって設定される情報等が用いられる。
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、特典付与装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(特典付与プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、分類部132と、抽出部133と、特典付与部134と、通知部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
(取得部131について)
取得部131は、各種情報を取得する。例えば、取得部131は、サービスを利用する各々のユーザによる当該サービスの利用履歴を取得する。
具体的には、取得部131は、過去に特典を付与されたユーザ群の利用履歴や、特典を付与されていないユーザ群であって、サービスに対して何らかの関係性を有するユーザ群の利用履歴を有する。サービスに対する何らかの関係性を有するユーザとは、例えば、サービスにアクセスした履歴を有するユーザや、特典が利用可能なサービス(処理対象とするサービス自体ではなく、当該サービスとポイント利用で提携しているサービス等でもよい)にアカウントを作成したユーザや、当該サービスを利用するための専用アプリをダウンロードしたユーザ等をいう。
例えば、取得部131は、図6で示した利用履歴テーブル124に記憶されるような情報を、サービスの利用履歴として取得する。また、取得部131は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち、いずれのユーザがコンバージョンに至ったかというコンバージョン情報や、特典が付与されたユーザ群のうち、どのくらいの率のユーザがコンバージョンに至ったかを示すコンバージョン率等を取得してもよい。
また、取得部131は、例えばサービスの提供者等から、特典に関する情報を取得する。特典に関する情報とは、図4に示した特典情報記憶部121に記憶されるような、特典の利用対象となるサービス等を示す情報や、特典の付与にあたって準備された予算の情報等が含まれる。
また、取得部131は、利用履歴を取得するユーザのユーザ情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザ情報として、ユーザ端末10を利用するユーザの属性情報を取得する。例えば、取得部131は、ユーザ情報として、ユーザの性別、年齢、居住地、通信キャリア、ユーザランク等を取得する。
取得部131は、例えば、サービス利用履歴やユーザ情報をウェブサーバ30から取得する。なお、取得部131は、サービスの利用履歴等について、サービスに係るウェブページに埋め込まれるウェブビーコン(web beacon)等によって実現される通知機能を利用して取得してもよい。
そして、取得部131は、取得した情報を所定の記憶部に格納する。例えば、取得部131は、特典情報を取得した場合には、取得した特典情報を特典情報記憶部121に記憶する。あるいは、取得部131は、ユーザ情報を取得した場合には、取得したユーザ情報をユーザ情報記憶部122に記憶する。あるいは、取得部131は、過去に特典を付与されたユーザ群の利用履歴等の情報を分類情報記憶部126に記憶する。また、取得部131は、後述する各処理部が実行する情報処理に応じて、種々の情報を記憶部120内から取得してもよい。
(分類部132について)
分類部132は、特典付与の対象となる候補(サービスに対して何らかの利用履歴を有するユーザ)を分類する。例えば、分類部132は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの利用履歴やユーザ情報に基づいて、次に特典が付与される対象の候補となるユーザを分類する。
例えば、分類部132は、コンバージョンに至ったユーザのユーザ情報を分類の基準としてユーザを分類する。分類部132は、例えば図1のステップS12で示したように、ある異なる属性を有する2つのグループに対して特典を付与したのち、その特典付与の結果としてコンバージョンに至ったユーザが多いグループが有する属性を用いて、次回以降に特典を付与される候補となるユーザを分類する。例えば、分類部132は、「男性、20歳代」という組合せが、他の属性よりも有意にコンバージョンに至る確率が高い場合、かかる組合せの属性を一つの分類基準とする。
なお、属性間におけるコンバージョン率の差を有意であると判定するための手法は、例えば、既知の様々な統計手法を用いてもよい。例えば、上記のように属性で2グループを抽出してコンバージョン率の統計をとった場合、分類部132は、既知のABテスト等における判定基準を用いて、ある属性が他の属性よりもコンバージョン率の相違に関して有意であると判定してもよい。また、分類部132は、特典が付与されたユーザ全体のコンバージョン率と、ある属性を有するグループのコンバージョン率とを比較し、ユーザ全体のコンバージョン率よりも高い数値を有するグループの属性を用いて、ユーザを分類してもよい。また、分類部132は、特典の利用対象となるサービスごとに異なる基準でユーザを分類してもよい。
(抽出部133について)
抽出部133は、取得部131によって取得された利用履歴に基づいて、所定の期間内にサービスにおいて購買履歴のないユーザである対象ユーザを抽出する。
具体的には、抽出部133は、ユーザから取得した利用履歴を解析し、所定の期間(例えば、次に特典が付与されるタイミングの直前の2ヶ月など)において、サービスにおいて購買履歴のないユーザを抽出する。
なお、抽出部133は、上記のように購買履歴のみを基準として抽出したユーザから、さらに実際に特典を付与するユーザを選択してもよい。例えば、抽出部133は、分類部132によって分類されたセグメントを選択することにより、より詳細なユーザ情報に基づいて、特典を付与する対象ユーザを抽出することができる。
例えば、抽出部133は、対象ユーザとして、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの属性と同一又は類似する属性を有するユーザを抽出する。具体的には、抽出部133は、対象ユーザとして、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの年齢、性別又は居住地の少なくとも一つが同一又は類似であるユーザを抽出する。一例として、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの属性のうち、「男性、30歳代」の組合せが、他の属性の組合せと比較して高いコンバージョン率を示したとする。この場合、抽出部133は、分類部132によって分類されたセグメントのうち、ユーザ傾向として、「男性、30歳代」を含むセグメントを選択する。すなわち、抽出部133は、選択したセグメントに属するユーザを対象ユーザとして抽出する。
また、抽出部133は、ユーザ情報のうち性別や年齢や居住地以外の情報を抽出処理に利用してもよい。例えば、抽出部133は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち、特典を利用してサービスで購買に至ったユーザが有するユーザ端末10の通信キャリアと同一の通信キャリアの端末装置を有するユーザを、対象ユーザとして抽出してもよい。これは、一般にネットワークを介したサービスでは、通信キャリアごとに得られるポイント数が異なっていたり、ユーザの扱いが異なっていたりするなど、通信キャリアごとの独自の特典が存在することによる。このため、サービスによっては、ユーザがコンバージョンに至るか否かが通信キャリアによって影響を受ける場合がある。このようなサービスにおいて先付けの特典を付与する場合には、抽出部133が、通信キャリアによって対象ユーザの抽出を行うことにより、コンバージョンに至りやすいユーザに優先的に特典を付与することができる。
また、抽出部133は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち、特典を利用してサービスで購買に至ったユーザのサービスにおけるユーザランクと同一のユーザランクに属するユーザを対象ユーザとして抽出してもよい。一般にネットワークを介したサービスでは、サービス独自に設定されるユーザランクによって得られるポイント数が異なっていたり、ユーザの扱いが異なっていたりする場合がある。このため、サービスによっては、ユーザがコンバージョンに至るか否かがユーザランクによって影響を受ける場合がある。このようなサービスにおいて先付けの特典を付与する場合には、抽出部133が、ユーザランクによって対象ユーザの抽出を行うことにより、コンバージョンに至りやすいユーザに優先的に特典を付与することができる。
また、抽出部133は、所定の期間内にサービスにおいて購買履歴のないユーザであって、所定の期間内にサービスを閲覧した履歴が所定数を超えるユーザ又は所定の期間内にサービスに滞在した時間が所定の閾値を超えるユーザを、対象ユーザとして抽出してもよい。例えば、購買履歴がないものの、閲覧履歴が多かったり滞在時間が長かったりするユーザは、当該サービスや、当該サービスが扱う商品に関心があるユーザであると推測される。このようなユーザを対象ユーザとして抽出された結果として、購買に利用可能な特典が与えられれば、かかる特典付与処理が、商品等に関心のあるユーザを購買行動へ一押しする要因となる可能性が高い。このため、このようなユーザを対象ユーザとして抽出することで、抽出部133は、特典を先付けしたユーザのコンバージョン率を高めることができる。なお、閲覧した履歴の回数や滞在時間については、特典付与装置100が統計的に最適な数値を算出してもよいし、特典付与装置100やサービスの管理者等によって適宜設定されてもよい。
また、抽出部133は、特典の利用対象となるサービスとは異なる他のサービスであって、特典が利用可能なサービスである他のサービスに関する利用履歴がないユーザを、対象ユーザとして抽出してもよい。上述のように、特典として利用されるポイントは、提携関係のある複数のサービスで利用可能な場合がある。このような状況においては、例えば、ショッピングサービスにおける新規顧客獲得を画策したとしても、先付けした特典が他のサービス(例えば、オークションサービス等)に利用されてしまい、ショッピングサービスでのコンバージョンに貢献しない場合がある。
そこで、抽出部133は、過去に他のサービスを利用した履歴を有するユーザについては対象ユーザから除外する。これは、過去に他のサービスを利用した履歴を有するユーザは、他のユーザと比べて、特典が得られた場合に再度他のサービスを利用する可能性が高いと想定されることによる。
このように、抽出部133は、利用履歴やユーザ情報等の種々の情報に基づいて、コンバージョンに至る可能性が高いと推定されるユーザを対象ユーザとして抽出する。なお、抽出部133は、対象ユーザとして抽出したユーザ全員に特典を付与することを要しない。例えば、抽出部133は、対象ユーザとして抽出したセグメントに属するユーザ数を参照し、先付けする特典の予算でそのユーザ数分の特典を付与できないと推定される場合には、適宜、対象ユーザの人数を減らしてもよい。
例えば、抽出部133は、セグメントに属するユーザの中から、予算内で特典を付与することのできる人数だけを無作為に抽出して、抽出したユーザを対象ユーザとしてもよい。
あるいは、抽出部133は、最適なセグメントに属するユーザ数が特典の予算分よりも少ない場合には、第2に最適なセグメントをさらに選択し、選択したセグメントのユーザも対象ユーザとして抽出するよう、対象ユーザを追加してもよい。
また、抽出部133は、上記で説明した処理のうち、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザのうち、一度だけコンバージョンに至ったユーザのみならず、さらにその後サービスにおいて購買を行ったユーザ(再利用したユーザ)のユーザ情報を用いるようにしてもよい。サービスとしては、特典を利用して一度だけ購買に至るユーザではなく、継続的にサービスを利用するユーザを獲得できることが望ましい。このため、抽出部133(及び分類部132)は、特典を付与された後、一度だけコンバージョンに至ったユーザではなく、例えば、二度以上コンバージョンに至ったユーザのユーザ情報に基づいて、次回以降に特典を付与するユーザを抽出する処理を行い、継続的にサービスを利用すると予測されるユーザを優先的に抽出するようにしてもよい。
また、抽出部133は、ユーザの流入元を判定基準として、対象ユーザを抽出してもよい。例えば、ショッピングサービスで新規顧客を獲得する場合、検索サービスやポータルサイト等の一般的なサービスよりも、競合先となる他のショッピングサービス(サイト)から流入したユーザの方が、ショッピングサービスに興味関心を有する可能性が高いと想定される。このため、抽出部133は、選択したセグメントから、さらにユーザの流入元の情報を参照し、特典を付与するユーザを絞り込む(フィルタリング)する処理を行ってもよい。あるいは、抽出部133は、通常はオークションサービスを利用する頻度の高いユーザに対して、ショッピングサービスという存在を周知するため、あえてオークションサービスを利用する頻度の高いユーザに絞り込んで、対象ユーザを抽出するといった処理も行い得る。このように、抽出部133は、種々のユーザ情報を利用して、柔軟に対象ユーザを抽出することができる。
(特典付与部134について)
特典付与部134は、抽出部133によって抽出された対象ユーザに、サービスにおける購買時に利用可能な特典を付与する。例えば、特典付与部134は、特典として、対象ユーザとして抽出されたユーザのアカウントに、サービスで対価として利用可能なポイントを付与する。
このとき、特典付与部134は、サービスにおいて利用可能な期限である、有効期限が設定された特典を対象ユーザに付与する。これにより、特典付与部134は、有効期限までに特典を利用しようとする動機付けをユーザに与えることができるので、特典の利用率(すなわちコンバージョン率)を上げることができる。
(通知部135について)
通知部135は、各種情報をユーザに通知する。例えば、通知部135は、通知として、特典が付与された旨を示す情報をユーザ端末10に表示させる。例えば、通知部135は、サービスに係るウェブページのバナー広告枠や、メールや、プッシュ通知等を用いて通知を行う。
また、通知部135は、特典付与部134によって設定された有効期限の所定時間前に、特典が付与された対象ユーザに対して有効期限に関する警告を通知する。具体的には、通知部135は、有効期限の3日前や1日前のタイミングで、有効期限を経過した場合には付与された特典が利用できなくなる旨を示す情報をユーザに通知する。
なお、通知部135は、所定の条件下では、上記の通知を行うことを要しない。例えば、通知部135は、特典付与部134によって対象ユーザに付与された特典のうち、所定の閾値を超える量の特典が利用されていた場合には、警告を通知しない。すなわち、特典付与部134は、付与したすべての特典が利用されることはないと推定し、予算よりも多めの量の特典をユーザに付与する場合がある。このとき、通知を行うタイミングの前に、予算を超える特典や、予算に逼迫する量の特典が既に利用されていた場合には、通知を行うと、さらにユーザによって特典が利用される事態を招くことになり、サービス側の施策の観点から望ましくない。このため、通知部135は、通知前の特典の利用状況を参照し、所定の閾値(例えば、予算の9割以上に対応する特典の量)が既にユーザから利用されている場合には、通知を行わないようにしてもよい。
〔4.処理手順〕
次に、図9及び図10を用いて、実施形態に係る特典付与装置100による処理の手順について説明する。まず、図9を用いて、はじめてユーザに特典を付与する場合(過去に特典を付与されたユーザがいない場合)における処理手順を説明する。図9は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(1)である。
図9に示すように、特典付与装置100は、サービスにおけるユーザの利用履歴を取得する(ステップS101)。また、特典付与装置100は、特典の設定情報を取得する(ステップS102)。その後、特典付与装置100は、所定期間において購買履歴のないユーザの中から、例えば無作為に、特典を付与するユーザを抽出する(ステップS103)。
特典付与装置100は、抽出したユーザに特典を付与する(ステップS104)。その後、特典付与装置100は、特典が利用された利用履歴を取得したか否かを判定する(ステップS105)。特典が利用された場合(ステップS105;Yes)、特典付与装置100は、特典が利用されたことを示す利用履歴を取得する(ステップS106)。
一方、特典が利用されていない場合(ステップS105;No)、特典付与装置100は、特典の有効期限が経過したか否かを判定する(ステップS107)。特典の有効期限が経過した場合(ステップS107;Yes)、特典付与装置100は、特典が利用されなかったことを示す利用履歴を取得する(ステップS108)。
一方、特典の有効期限が経過していない場合(ステップS107;No)、特典付与装置100は、警告を通知する時間が到来したか否かを判定する(ステップS109)。警告を通知する時間が到来した場合(ステップS109;Yes)、特典付与装置100は、ユーザに警告を通知する(ステップS110)。
特典付与装置100は、警告を通知する時間が到来していない場合(ステップS109;No)や、ユーザに警告を通知した後は、再び、特典が利用されたか否かを判定する処理を繰り返す。
特典付与装置100は、利用履歴を取得した場合、取得した利用履歴に基づいて、特典を利用する(すなわち、コンバージョンに至る)ユーザの傾向を取得する(ステップS111)。そして、特典付与装置100は、取得したユーザの傾向(結果情報)を記憶部120内に格納する(ステップS112)。
次に、図10を用いて、過去に特典を付与されたユーザからの結果情報を得ている場合における処理手順を説明する。図10は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(2)である。
図10に示すように、特典付与装置100は、次に付与する特典の設定情報を取得する(ステップS201)。そして、特典付与装置100は、特典付与のタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS202)。特典付与のタイミングが到来していない場合(ステップS202;No)、特典付与装置100は、特典付与のタイミングが到来するまで待機する。なお、特典付与のタイミングとは、例えば図4に示した付与タイミングちょうどの時間であることを要さず、例えば、付与タイミングから所定時間前(1時間前など)であってもよい。
一方、特典付与のタイミングが到来した場合(ステップS202;Yes)、特典付与装置100は、特典を付与されていないユーザ群(すなわち、次に特典が付与される候補となるユーザ群)を分類する(ステップS203)。
そして、特典付与装置100は、分類に応じて対象ユーザを抽出する(ステップS204)。例えば、特典付与装置100は、分類したセグメントのうち、特典が付与された場合にコンバージョン率が高くなると想定されるセグメントであって、付与する特典の量(予算)に対して適切な人数が属するセグメントから、対象ユーザを抽出する。
そして、特典付与装置100は、抽出した対象ユーザに特典を付与する(ステップS205)。その後、特典付与装置100は、対象ユーザの利用履歴を取得する。かかる処理は、図9のステップS105からステップS110に対応するため、説明を省略する。
そして、特典付与装置100は、ステップS205において特典が付与された対象ユーザから新たに取得した利用履歴を結果情報に反映させる(ステップS206)。特典付与装置100は、このように結果情報の更新と特典の付与を繰り返すことにより、特典を付与するユーザの最適化を行う。
〔5.変形例〕
上述した特典付与装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、特典付与装置100の他の実施形態について説明する。
〔5−1.モデルの生成〕
上記実施形態では、特典付与装置100が、ユーザをセグメントに分類し、分類したセグメントからユーザを抽出する例を示した。ここで、特典付与装置100は、対象ユーザを抽出するためのモデルを生成し、生成したモデルを用いて対象ユーザを抽出してもよい。
例えば、特典付与装置100は、ユーザがコンバージョンに至ったか否かという結果と、各ユーザのユーザ情報との関係性を学習することにより、次に特典が付与されたユーザがコンバージョンに至るか否かを予測するためのモデルを生成する。一例として、特典付与装置100は、コンバージョンに至ったか否かを示す結果を目的変数とし、ユーザ情報を説明変数とした回帰分析による学習を行い、モデルを生成する。下記に、特典付与装置100が生成するモデルの一例を説明する。なお、特典付与装置100が生成するモデルに関する学習手法は、下記の例に限らず、種々の既知の機械学習の手法が採用されてもよい。
例えば、特典付与装置100は、ユーザがコンバージョンに至ったか否かを示す結果と、ユーザ情報との関係を示す式を生成する。さらに、特典付与装置100は、ユーザ情報の各々の特徴情報が、コンバージョンに至るという事象に対して、どのような重みを有するかを算出する。これにより、特典付与装置100は、ユーザがコンバージョンに至るという事象に対して、個々の特徴情報がどのくらい寄与するのかといった情報を得ることができる。例えば、特典付与装置100は、下記式(1)を作成する。
y(U51) = ω1・x1 + ω2・x2 + ω3・x3 + ω4・x4 ・・・+ ωN・xN ・・・(1)(Nは任意の数)
上記式(1)は、例えば、特典が付与されたユーザごとに作成される。上記式(1)において、「y」は、そのユーザが「コンバージョンに至ったか否か」という事象を示す。例えば、「y(U51)」には、ユーザU51が「コンバージョンに至った」ユーザであれば「1」が代入され、ユーザU51が「コンバージョンに至らなかった」ユーザであれば「0」が代入される。
また、上記式(1)において、「x」は、ユーザ情報を示す各説明変数に対応する。例えば、「x1」はユーザが「男性であるか否か」を示し、「x2」はユーザが「女性であるか否か」を示し、「x3」はユーザが「20歳代であるか否か」を示し、「x4」はユーザが「30歳代であるか否か」を示すものする。この場合、ユーザU51が、「男性で20歳代」であれば、「x1」には「1」が、「x2」には「0」が、「x3」には「1」が、「x4」には「0」が、それぞれ代入される。
また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の係数であり、所定の重み値を示す。具体的には、「ω1」は「x1」の重み値であり、「ω2」は「x2」の重み値であり、「ω3」は「x3」の重み値であり、「ω4」は「x4」の重み値である。このように、上記式(1)は、端末情報から抽出された特徴情報に対応する説明変数「x」と、所定の重み値「ω」とを含む変数(例えば、「ω1・x1」)を組合せることにより作成される。
なお、記載を省略しているが、上記式(1)は、さらに多くの説明変数を有する。例えば、上記式(1)は、ユーザが「40歳代であるか否か」や、「通信キャリアがF01であるか否か」や、「ユーザランクが優良会員であるか否か」等を示す説明変数を有していてもよい。
特典付与装置100は、各ユーザから結果情報を取得するたびに、上記式(1)に各ユーザの情報を代入した式を作成する。そして、特典付与装置100は、サンプルとして作成された式の演算処理を行うことにより、所定の重み値「ω」に対応する値を導出する。すなわち、特典付与装置100は、作成された各式を満たすような所定の重み値「ω」を決定する。言い換えれば、特典付与装置100は、所定の説明変数が目的変数「y」に与える影響を示す重み値「ω」を決定する。例えば、図7等で示したサービスB01においてコンバージョンに至るユーザの特徴を示す情報として、「男性である」ことが他の変数と比較して大きく寄与しているのであれば、「男性である」ことに対応する重み値「ω1」の値は、他の変数と比較して大きな値が算出されることになる。
上記のようにして、特典付与装置100は、コンバージョンに至るという事象と、ユーザ情報とを関連付けるモデルを生成する。なお、上記式(1)を用いた算出処理では、左辺を「1」や「0」そのものとするのではなく、所定の誤差を想定し、かかる誤差との差異を2乗した値が最小値となるよう近似する最小二乗法などの手法を用いて、「ω」の最適解を算出してもよい。
かかるモデルが生成された後は、特典付与装置100は、次に特典が付与される候補となるユーザ(すなわち、所定期間のうちに購買履歴を有しないユーザ)のユーザ情報をモデルに入力し、出力された値(スコア)に基づいてユーザを抽出してもよい。例えば、特典付与装置100は、出力されたスコアが高いユーザほど、コンバージョンに至る可能性が高いユーザであると推定し、かかるユーザを対象ユーザとして優先的に抽出する。
また、特典付与装置100は、モデルを生成した後に、新たに利用履歴を取得した場合には、随時、モデルを更新してもよい。これにより、特典付与装置100は、コンバージョンに至る傾向にあるユーザを抽出するためのモデルを最適化することができる。
なお、特典付与装置100が生成するモデルは上記のような回帰分析による学習モデルに限られない。例えば、特典付与装置100は、コンバージョンに至る傾向を有するか否かを基準としてユーザ群を分類するためにSVM(Support Vector Machine)を利用したり、ユーザ情報を特徴量として、所定のユーザがコンバージョンに至るか否かの可能性を算出するためにDNN(Deep Neural Network)等を利用したりといったように、既知の様々な学習器及び分類器を用いてもよい。
〔5−2.ユーザ情報の種類〕
上述した実施形態において、特典付与装置100が、ユーザ情報として、ユーザの年齢や性別や通信キャリア等の情報を取得する例を示した。ここで、特典付与装置100は、ユーザを特徴付けるために利用可能な情報であれば、上記で説明した以外の様々な情報をユーザ情報として取得してもよい。
例えば、特典付与装置100は、ユーザのネットワーク上の行動履歴をユーザ情報として用いてもよい。例えば、特典付与装置100は、ユーザ端末10から、閲覧するウェブページの種類や、ウェブ検索履歴等を取得してもよい。そして、特典付与装置100は、取得されたユーザの行動情報の類似性に基づいて、ユーザを分類したり、対象ユーザを抽出したりしてもよい。
〔5−3.媒体〕
上記実施形態では、サービスが提供されるための媒体として、ウェブサーバ30が提供するウェブページを例に挙げた。しかし、サービスは、ウェブページを媒体とするものに限らず、専用アプリ等を媒体として提供されるものであってもよい。
〔5−4.特典の量〕
上記実施形態では、特典を付与するユーザを抽出するために、過去にコンバージョンに至ったユーザのユーザ情報等を利用する例を示した。ここで、特典付与装置100は、特典を付与するユーザを最適化する処理とともに、付与する特典の量(ポイント数)を最適化する処理を行ってもよい。
すなわち、特典付与装置100は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち特典を利用してサービスで購買に至ったユーザ数の割合と、ユーザ群に付与した特典の量との関係性に基づいて、対象ユーザに付与する特典の量を決定するようにしてもよい。
例えば、上記実施形態では、各ユーザに「500ポイント」を特典として付与する例を示した。しかし、例えば、「500ポイント」よりも「1000ポイント」をユーザに付与した方が、全体としてコンバージョンに至る可能性が高くなったり、サービスに対する貢献度が向上(付与したポイント分を差し引いたとしても、総合的には購買する額が増加したなど)したりする可能性もある。
このため、特典付与装置100は、例えば、対象ユーザに特典を付与する場合に、「500ポイント」を付与するグループと、「1000ポイント」を付与するグループとに分類し、特典を付与してもよい。これにより、特典付与装置100は、ABテストのように、同じ属性等を有する対象ユーザのうち、異なるポイントを付与されたグループ間における利用履歴の相違を捉えることができる。なお、この場合、特典付与装置100は、単にコンバージョンに至ったか否かを結果情報として取得するのではなく、ユーザが購買した(サービスに対して支払った)金額の多寡等についても取得してもよい。
そして、特典付与装置100は、より効果が高いと判定されたポイント数をユーザに付与するようにしてもよい。これにより、特典付与装置100は、付与するユーザのみならず、付与する特典の量も最適化することができる。
〔5−5.特典の態様〕
上記実施形態では、特典として、提携サービス間で利用可能なポイントを例に挙げて説明した。しかし、特典は、提携サービス間で利用可能なポイントに限られず、例えば、利用可能なストア(サービス)が限定されたストアクーポンのような態様であってもよい。また、特典は、対価として利用可能なポイント等に限らず、何らかの商品との引き換えの権利等であってもよい。
〔6.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る特典付与装置100やユーザ端末10やウェブサーバ30は、例えば図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、特典付与装置100を例に挙げて説明する。図11は、特典付与装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM(Read Only Memory)1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網500を介して他の機器へ送信する。
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る特典付与装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図3に示した分類部132と抽出部133とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部120に記憶される情報は、ネットワークNを介して、外部に備えられた所定の記憶装置に記憶されてもよい。
また、上記実施形態では、特典付与装置100が、例えば、利用履歴を取得する取得処理と、対象ユーザを抽出する抽出処理と、特典を付与する特典付与処理とを行う例を示した。しかし、上述した特典付与装置100は、取得処理を行う取得装置と、抽出処理を行う抽出装置と、特典付与処理を行う特典付与装置とに分離されてもよい。この場合、取得装置は、少なくとも取得部131を有する。抽出装置は、少なくとも抽出部133を有する。特典付与装置は、少なくとも特典付与部134を有する。そして、上記の特典付与装置100による処理は、取得装置と、抽出装置と、特典付与装置との各装置を有する特典付与システム1によって実現される。
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る特典付与装置100は、取得部131と、抽出部133と、特典付与部134とを有する。取得部131は、サービスを利用する各々のユーザによる当該サービスの利用履歴を取得する。抽出部133は、取得部131によって取得された利用履歴に基づいて、所定の期間内にサービスにおいて購買履歴のないユーザである対象ユーザを抽出する。特典付与部134は、抽出部133によって抽出された対象ユーザに、サービスにおける購買時に利用可能な特典を付与する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、ユーザがサービスにおいて購買を行った後に特典を付与するのではなく、所定期間において購買履歴のないユーザを抽出し、抽出したユーザに対して先付けで特典を付与する。すなわち、特典付与装置100は、購買行動に先だって特典を付与することによって、サービスにおいて購買に至るまでの動機付けを強くユーザに与えることができる。
また、抽出部133は、対象ユーザとして、過去に特典を付与されたユーザ群のうち当該特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの属性と同一又は類似する属性を有するユーザを抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、特典が付与されたユーザがその後にコンバージョンに至った場合、そのユーザの属性に基づいて、次に特典を付与するユーザを抽出する。これにより、特典付与装置100は、コンバージョンに至る可能性の高いユーザに優先的に特典を付与できるので、その後に特典が付与されるユーザのコンバージョン率を向上させることができる。
また、抽出部133は、対象ユーザとして、過去に特典を付与されたユーザ群のうち当該特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの年齢、性別又は居住地の少なくとも一つが同一又は類似であるユーザを抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、ユーザの年齢や性別等に基づいてユーザを分類することで、コンバージョンが高くなると想定されるユーザを適切に抽出することができる。
また、抽出部133は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち、当該特典を利用してサービスで購買に至ったユーザが利用するユーザ端末10の通信キャリアと同一の通信キャリアのユーザ端末10を有するユーザを対象ユーザとして抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、サービスの購買に影響を与えると想定される通信キャリアという要素に基づいて、対象ユーザを抽出してもよい。これにより、特典付与装置100は、その後に特典が付与されるユーザのコンバージョン率を向上させることができる。
また、抽出部133は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち、当該特典を利用してサービスで購買に至ったユーザの当該サービスにおけるユーザランクと同一のユーザランクに属するユーザを対象ユーザとして抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、サービスの購買に影響を与えると想定されるユーザランクという要素に基づいて、対象ユーザを抽出してもよい。これにより、特典付与装置100は、その後に特典が付与されるユーザのコンバージョン率を向上させることができる。
また、特典付与部134は、過去に特典を付与されたユーザ群のうち当該特典を利用してサービスで購買に至ったユーザ数の割合と、当該ユーザ群に付与した特典の量との関係性に基づいて、対象ユーザに付与する特典の量を決定する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、過去の利用実績等に基づいて特典の量を決定してもよい。これにより、特典付与装置100は、ユーザに付与する特典の量を最適化することができるので、効率の良い特典付与を行うことができる。
また、抽出部133は、所定の期間内にサービスにおいて購買履歴のないユーザであって、当該所定の期間内に当該サービスを閲覧した履歴が所定数を超えるユーザ又は当該所定の期間内に当該サービスに滞在した時間が所定の閾値を超えるユーザを対象ユーザとして抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、ユーザの閲覧履歴や滞在時間に基づいて対象ユーザを抽出する。これにより、特典付与装置100は、閲覧等の行動が頻繁に観測されるユーザに対して特典を付与できるので、購買に至る一押しをユーザに与えることができる。結果として、特典付与装置100は、ユーザのコンバージョン率を向上させることができる。
また、抽出部133は、サービスとは異なる他のサービスであって、特典が利用可能なサービスである当該他のサービスに関する利用履歴がないユーザを対象ユーザとして抽出する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、特典が他のサービスで利用可能である場合、他のサービスでの利用履歴のあるユーザを排除したうえで対象ユーザを抽出することで、対象のサービスのみでポイントが利用される可能性を高めることができる。
また、特典付与部134は、サービスにおいて利用可能な有効期限が設定された特典を対象ユーザに付与する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、特典に有効期限を設定することにより、その期限内に特典を利用しようとする動機付けをユーザに与えることができるため、全体的な特典の利用率を高めることができる。
また、実施形態に係る特典付与装置100は、特典付与部134によって設定された有効期限の所定時間前に、特典が付与された対象ユーザに対して有効期限に関する警告を通知する通知部135をさらに有する。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、有効期限前に警告を通知してユーザに特典を利用する機会を失わせないようにすることで、全体的な特典の利用率を高めることができる。
また、通知部135は、特典付与部134によって対象ユーザに付与された特典のうち、所定の閾値を超える量の特典が利用されていた場合には警告を通知しない。
このように、実施形態に係る特典付与装置100は、特典が予測を超えて利用されている場合には警告を通知しないようにしてもよい。これにより、特典付与装置100は、特典を先付けするという処理において、サービス側の予算が超過するようなリスクの発生を軽減することができる。
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。