JP2019052689A - ワンウェイクラッチおよびワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、特許文献1に記載されるワンウェイクラッチは、複数の遊星ギヤがアウタ部材の内部に収容される構成であったため、ワンウェイクラッチが全体的に大きくなっていた。
即ち、ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置が備えるワンウェイクラッチは、軸心方向に沿って形成される第1挿通孔を有するインナ部材と、前記インナ部材を前記軸心を中心として回転可能に収容し、前記インナ部材の外周面と対向する内周面から径方向内側に突出する複数の内歯を有する円筒状のアウタ部材と、前記インナ部材に前記軸心方向と直交する径方向へスライド可能に設けられ、径方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部を有するスライド部材とを備え、一方の前記爪部の先端と他方の前記爪部の先端との間の寸法が、前記複数の内歯の先端を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、前記爪部は、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記スライド部材がスライド方向にスライドして前記爪部が前記内歯から退避するとともに前記アウタ部材が前記インナ部材とは独立して回転し、前記内歯と前記係合面とが当接すると、前記内歯と前記係合面とが係合して前記アウタ部材と前記インナ部材とが一体的に回転する。
図1〜図4に示すワンウェイクラッチ1は、本発明に係るワンウェイクラッチの一実施形態であり、アウタ部材10と、インナ部材20と、スライド部材30と、蓋部材40とを備えている。
内歯13は、アウタ部材10の周方向に沿って等間隔で配置されている。内歯13は、各内歯13の先端(第1面13aと第2面13bとの境界部)を通る円Cの中心が軸心Pとなるように形成されている。
インナ部材20の溝部23が形成されている部分には、インナ部材20(インナ本体21および嵌合突起22)を軸心P方向に貫通する第1挿通孔21aが形成されている。
溝部23は、溝部23の延出方向に沿って形成される一対の側面23aを有している。各側面23aには、それぞれガイド片24が形成されている。ガイド片24は溝部23の延出方向に沿って形成されている。
インナ部材20はアウタ部材10の内部に収容されており、アウタ部材10内に収容されるインナ部材20の嵌合突起22は、アウタ部材10の嵌合孔11bに回転可能に嵌合している。インナ部材20とアウタ部材10とは、軸心Pを中心として相対的に回転可能に構成されている。アウタ部材10に収容されたインナ本体21の外周面は、アウタ部材10の内歯13と対向している。
溝部23の側面23aに形成されるガイド片24は、スライド部材30をスライド方向に案内するとともに、スライド部材30の軸心P方向への移動を規制している。スライド部材30は、軸心Pを中心としてインナ部材20と一体的に回転可能に構成されている。
爪部31は、アウタ部材10の一側への回転方向における上流側に配置される退避面31aと、アウタ部材10の一側への回転方向において退避面31aよりも下流側に配置される係合面31bとを有している。退避面31aは、径方向外側へいくに従ってアウタ部材10の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成されている。退避面31aは、外側に向って凸となる円弧形状に形成されている。係合面31bは、アウタ部材10の他側への回転方向と直交する面に形成されている。
このように構成されるワンウェイクラッチ1は、次のように動作する。
なお、以下のワンウェイクラッチ1の動作についての説明においては、スライド部材30の両端部に形成される爪部31のうち、一方の爪部31を爪部311と表し、他方の爪部31を爪部312と表す。また、アウタ部材10の各内歯13を、アウタ部材10を一側へ回転させた際に爪部31と当接する順に内歯131、内歯132、内歯133、内歯134、と適宜表す。
図5(a)には、爪部311が円Cよりも径方向外側に位置しており、爪部312は円Cから径方向外側にはみ出していない状態を示している。図5(a)に示す状態では、内歯131は爪部311よりもアウタ部材10の一側への回転方向の上流側に位置している。
また、内歯131の第1面131aは、径方向外側へいくに従ってアウタ部材10の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成されているため、爪部311の内歯131からの退避をさらに円滑にすることが可能となっている。
爪部311が円Cから外側にはみ出していない状態となるまでスライド部材30がスライドした後は、内歯131は爪部311と噛み合うことなく、爪部311よりもアウタ部材10の一側への回転方向の下流側に移動する。
スライド部材30が、爪部311が円Cから外側にはみ出していない状態となるスライド位置にあるときには、爪部312が円Cから外側にはみ出した状態となっている。
スライド部材30は、爪部312が円Cから外側にはみ出していない状態となるまでスライドし、その後内歯132は爪部312と噛み合うことなく、爪部312よりもアウタ部材10の一側への回転方向の下流側に移動する。
図7(a)には、爪部311が円Cよりも外側に位置しており、爪部312は円Cから外側にはみ出していない状態を示している。図7(a)に示す状態では、内歯131は爪部311よりもアウタ部材10の他側への回転方向の上流側に位置している。
内歯131と爪部311とが係合した後にアウタ部材10が他側へ回転すると、スライド部材30はスライド方向にスライドすることなく、内歯131と爪部311との係合状態が維持され、インナ部材20がアウタ部材10と一体的に回転する。
さらに、内歯131の第2面131bは、アウタ部材10の他側への回転方向と直交する面に形成されているため、内歯131と爪部311とが確実に係合可能となっている。
次に、ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置100について説明する。
ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置100は、ワンウェイクラッチ1を図8に示す回転ダンパ装置5に装着することによって構成することができる。
図8、図9に示すように、回転ダンパ装置5は、ハウジング50と、ロータ60と、蓋体54と、粘性体56とを備えている。
ロータ翼61はハウジング50内に回転可能に収容されている。ロータ翼61の中心部におけるロータ軸62側とは反対側には軸受孔63が形成されている。軸受孔63が支持軸52に回転可能に嵌合することで、ロータ60がハウジング50に回転可能に支持されている。
ロータ軸62は、ハウジング50内に収容されるロータ翼61から貫通孔54aを通じて、ハウジング50の外部に突出している。ロータ軸62におけるハウジング50の外部に突出している部分は、略四角柱形状に形成されている。
ロータ翼61に付与する回転抵抗の大きさは、粘性体56の粘度やロータ翼61の形状を適宜変更することで、調整することが可能である。
ロータ軸62と蓋体54との間には、O−リングなどのシール部材58が介装されており、ロータ軸62と蓋体54との間から粘性体56が漏出することを防いでいる。
インナ部材20における第1挿通孔21aの孔形状は、ロータ軸62の軸形状に対応した形状に形成されており、インナ部材20とロータ軸62とは、ロータ軸62の回転軸心を中心として一体的に回転可能となっている。ロータ軸62が第1挿通孔21aに挿入された状態では、ロータ軸62の回転軸心とワンウェイクラッチ1の軸心Pとが一致している。
また、ロータ軸62の短手方向の寸法と、第2挿通孔32の短手方向の寸法とは略同じ寸法に形成されている。
第2挿通孔32にロータ軸62が挿入された状態では、ロータ軸62の長手面62aと第2挿通孔32のガイド面32aとが摺接した状態となる。
つまり、第2挿通孔32のガイド面32aは、スライド部材30をスライド方向へ案内する案内面として作用している。
この場合、インナ部材20に接続されるロータ軸62も回転しないため、アウタ部材10は回転抵抗が付与されることなく回転する。
この場合、ワンウェイクラッチ1においては、スライド部材30のスライド位置にかかわらず、アウタ部材10とインナ部材20とが確実に一体的に回転可能であるため、アウタ部材10に回転ダンパ装置100による回転方向の負荷を確実に付与することが可能である。
ワンウェイクラッチ1は次のように構成することもできる。
本実施形態のワンウェイクラッチ7は、第1実施形態のワンウェイクラッチ1にかかるアウタ部材10、インナ部材20、およびスライド部材30に代えて、アウタ部材70、インナ部材80、およびスライド部材90を有するものである。
インナ部材80の溝部83が形成されている側の面とは反対側の面には、回転ダンパ装置5のロータ軸62が挿入される挿入孔が形成されている。軸心Pは前記挿入孔の軸心であり、前記挿入孔の中心を通っている。
インナ部材80は、第1実施形態におけるインナ部材20の溝部23に形成されるガイド片24は有していない。
スライド部材90は、軸心Pを中心としてインナ部材80と一体的に回転可能に構成されている。
爪部91は、アウタ部材70の一側への回転方向における上流側に配置される退避面91aと、アウタ部材70の一側への回転方向において退避面91aよりも下流側に配置される係合面91bとを有している。退避面91aは、径方向外側へいくに従ってアウタ部材70の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成されている。係合面91bは、径方向外側へいくに従ってアウタ部材70の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成されている。
ワンウェイクラッチ7における他の構成は、第1実施形態におけるワンウェイクラッチ1の構成と同様であるため、説明を省略する。
従って、アウタ部材70がインナ部材80に対して他側へ回転して、内歯73の第2面73bと爪部91の係合面91bとが当接した際に、内歯73と爪部91とが確実に係合することが可能となっている。
本実施形態においては、ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置100は以下のようなワンウェイクラッチ1を備えている。
つまり、ワンウェイクラッチ1は、軸心P方向に沿って形成される第1挿通孔21aを有するインナ部材20と、インナ部材20を軸心Pを中心として回転可能に収容し、インナ部材20の外周面と対向する内周面から径方向内側に突出する複数の内歯13を有する円筒状のアウタ部材10と、インナ部材20に軸心P方向と直交する径方向へスライド可能に設けられ、径方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部31を有するスライド部材30とを備え、一方の爪部31の先端と他方の爪部31の先端との間の寸法Lが、複数の内歯13の先端を通り軸心Pを中心とする円Cの径よりも大きく形成され、爪部31は、アウタ部材10がインナ部材20に対して一側へ回転することにより内歯13に当接する退避面31aと、アウタ部材10がインナ部材20に対して他側へ回転することにより内歯13に当接する係合面31bとを有し、内歯13と退避面31aとが当接すると、スライド部材30がスライド方向にスライドして爪部31が内歯13から退避するとともにアウタ部材10がインナ部材20とは独立して回転し、内歯13と係合面31bとが当接すると、内歯13と係合面31bとが係合してアウタ部材10とインナ部材20とが一体的に回転する。
5 回転ダンパ装置
10 アウタ部材
11 アウタ本体
12 外歯ギア
13 内歯
13a 第1面
13b 第2面
20 インナ部材
21 インナ本体
21a 第1挿通孔
23 溝部
24 ガイド片
30 スライド部材
31 爪部
31a 退避面
31b 係合面
32 第2挿通孔
32a ガイド面
40 蓋部材
50 ハウジング
54 蓋体
56 粘性体
60 ロータ
61 ロータ翼
62 ロータ軸
100 ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置
P 軸心
Claims (6)
- 軸心方向に沿って形成される第1挿通孔を有するインナ部材と、
前記インナ部材を前記軸心を中心として回転可能に収容し、前記インナ部材の外周面と対向する内周面から径方向内側に突出する複数の内歯を有する円筒状のアウタ部材と、
前記インナ部材に前記軸心方向と直交する径方向へスライド可能に設けられ、径方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部を有するスライド部材とを備え、
一方の前記爪部の先端と他方の前記爪部の先端との間の寸法が、前記複数の内歯の先端を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、
前記爪部は、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、
前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記スライド部材がスライド方向にスライドして前記爪部が前記内歯から退避するとともに前記アウタ部材が前記インナ部材とは独立して回転し、前記内歯と前記係合面とが当接すると、前記内歯と前記係合面とが係合して前記アウタ部材と前記インナ部材とが一体的に回転する、
ことを特徴とするワンウェイクラッチ。 - 前記退避面は、径方向外側へいくに従って前記アウタ部材の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成され、
前記係合面は、前記アウタ部材の他側への回転方向と直交する面、または径方向外側へいくに従って前記アウタ部材の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。 - 前記内歯は、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して一側へ回転することにより前記爪部と当接する第1面と、前記アウタ部材が前記インナ部材に対して他側へ回転することにより前記爪部と当接する第2面とを有し、
前記第1面は、径方向外側へいくに従って前記アウタ部材の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成され、
前記第2面は、前記アウタ部材の他側への回転方向と直交する面、または径方向外側へいくに従って前記アウタ部材の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワンウェイクラッチ。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載された前記ワンウェイクラッチと、
ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に収容されたロータ翼および前記ロータ翼の回転軸線に沿って延出し前記ワンウェイクラッチの前記第1挿通孔に挿通されるロータ軸を有したロータと、前記ハウジング内に封入され前記ロータ翼に回転抵抗を付与する粘性体とを備えた回転ダンパ装置と、
を備え、
前記ワンウェイクラッチの前記インナ部材と、前記回転ダンパ装置の前記ロータとが一体的に回転可能である、
ことを特徴とするワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。 - 前記スライド部材は、前記軸心方向に沿って形成される第2挿通孔を有し、
前記第2挿通孔に、前記ロータ軸が挿通される、
ことを特徴とする請求項4に記載のワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。 - 前記第2挿通孔は、前記スライド部材を前記スライド方向へ案内する案内面を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。
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