JP2019052682A - 無段変速機 - Google Patents

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Takashi Saito
隆志 斎藤
洋一 辻
Yoichi Tsuji
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Abstract

【課題】バリエータと並列な動力伝達機構を備えた無段変速機において、省スペース化を実現するとともに動力伝達効率をより向上させる。【解決手段】無段変速機1は、バリエータ5とドグクラッチ8とを有する。バリエータ5は、第1プーリ51と第2プーリ52と無端帯状部材53とを有する。また、ドグクラッチ8は、第1プーリ51のプーリ軸5aと動力伝達可能に接続されたドグ歯と、第2プーリ52のプーリ軸5bに動力伝達可能に接続され、ドグ歯と噛合可能なスリーブとを有する。第2プーリ52は、可動シーブ52bと、固定シーブ52aと、可動シーブ52bに取り付けられ、先端部55aがスリーブに係合した遠心油圧キャンセラ55とを有する。遠心油圧キャンセラ55の移動に伴いスリーブが移動することにより、ドグクラッチ8のドグ歯とスリーブとが噛み合う。【選択図】図1

Description

本発明は、バリエータと並列に設けられた動力伝達機構を備える無段変速機に関するものである。
ベルトやチェーン等の無端帯状部材が二つのプーリに巻き掛けられて構成されたバリエータを有する無段変速機では、バリエータを介して入力軸から出力軸へと動力が伝達されることで変速比が変更される。
これに対し、例えば特許文献1には、バリエータと並列にギヤを介して入力軸から出力軸へと動力を伝達する動力伝達機構を設けた技術が開示されている。すなわち、変速比を所定値とする場合にこの動力伝達機構を接続することで、バリエータを介さずに入力軸から出力軸へと動力を伝達できるようにしたものである。
このような動力伝達機構を用いれば、バリエータにおける摩擦伝達による動力損失が低減されるため、動力伝達効率が向上しうる。
特開2010-53939号公報
特許文献1に記載された動力伝達機構は、その断続状態がバリエータのセカンダリプーリの可動シーブと連動する多板式のクラッチ(以下、多板クラッチという)によって切り替わるように構成されている。
このため、セカンダリプーリの可動シーブの隣には、多板クラッチを構成するプレート群やピストン等の各種部材が配置されており、例えば遠心油圧キャンセル室を配置できるようなスペースを確保することが難しいという課題がある。
また、多板クラッチでは、対向するプレート間にドラグトルクが生じるため、この分の動力損失が動力伝達効率を低下させるという課題もある。
本発明は、上述したような課題に鑑み創案されたものであり、バリエータと並列な動力伝達機構を備えた無段変速機において、省スペース化を実現するとともに動力伝達効率をより向上させることを目的の一つとする。
(1)上記目的を達成するために、本発明の無段変速機は、第1プーリと、第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに巻き掛けられた無端帯状部材と、を有するバリエータと、前記第1プーリのプーリ軸と動力伝達可能に接続されたドグ歯と、前記第2プーリのプーリ軸と動力伝達可能に接続され、前記ドグ歯と噛合可能なスリーブと、を有するドグクラッチと、を有し、前記第2プーリは、可動シーブと、固定シーブと、前記可動シーブに取り付けられ、先端部が前記スリーブと係合した遠心油圧キャンセラと、を有し、前記遠心油圧キャンセラの移動に伴い前記スリーブが移動することにより、前記ドグ歯と前記スリーブとが噛み合うことを特徴としている。
(2)前記第1プーリは、駆動側のプーリであり、前記第2プーリは、被駆動側のプーリであり、前記バリエータの変速比が最小になったときに、前記スリーブが前記ドグ歯と噛み合うことが好ましい。
(3)あるいは、前記第1プーリは、被駆動側のプーリであり、前記第2プーリは、駆動側のプーリであり、前記バリエータの変速比が最大になったときに、前記スリーブが前記ドグ歯と噛み合うことが好ましい。
(4)前記ドグクラッチが、シンクロ機構を有することが好ましい。
(5)前記無断変速機は、前記ドグクラッチと動力源との間の動力伝達経路を断続可能なクラッチを有することが好ましい。
本発明の無段変速機によれば、ドグクラッチが適用されているため、多板クラッチが適用される場合と比べて省スペース化を実現することができる。また、第2プーリの可動シーブに取り付けられた遠心油圧キャンセラの先端部がドグクラッチと係合しており、遠心油圧キャンセラの移動に伴いスリーブが移動することでドグ歯とスリーブとが噛み合うため、ドグクラッチの噛合状態の切替を可動シーブと連動させることができる。よって、スリーブを移動させるための機構を可動シーブとは別に設ける必要が無く、この点からも省スペース化を実現することができる。さらに、多板クラッチで生じるドラグトルクを無くすことができるため、動力伝達効率を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る無段変速機及びその周辺の模式的な構成図である。 図1の無段変速機における要部の模式的な断面図であり、ドグクラッチが噛合解除された状態を示している。 図1の無段変速機の作用を説明するための図(図2と同様の断面図)であり、ドグクラッチが噛合解除された状態を二点鎖線で示し、ドグクラッチが噛み合った状態を実線で示している。
以下、図面を参照して実施形態としての無段変速機について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
以下、無段変速機をCVTと略称する。
[1.構成]
図1に示すように、本実施形態に係るCVT1は、エンジン(動力源)10の動力で走行する車両に搭載されている。
CVT1は、トルクコンバータ2,中立用クラッチ3,前後進切替機構4,バリエータ5,動力伝達機構6及び切替機構7を有する。CVT1の出力回転は、減速機構20及び差動機構30を経て図示しない駆動輪に伝達される。
トルクコンバータ2は、トルク増大機能を持つ発進要素であり、エンジン10のクランク軸10aの回転を、流体を介してタービン軸2aに出力する。また、トルクコンバータ2は、図示しないロックアップ機構を有し、入出力の差回転を許容する必要が無い場合には、エンジン10のクランク軸10aの回転を、流体を介さずに直結状態でタービン軸2aに出力する。
中立用クラッチ3は、エンジン10の動力が駆動輪に伝達されないニュートラル状態をつくり出すためのものであって、エンジン10と、バリエータ5及び動力伝達機構6との間の動力伝達経路を断続可能にする。
本実施形態の中立用クラッチ3は、タービン軸2aとCVT1の入力軸1aとの間に介装され、係合状態である場合にタービン軸2aと入力軸1aとを連結し、解放状態である場合にタービン軸2aと入力軸1aとの連結を切り離す。これにより、中立用クラッチ3は、入力軸1aに動力連結された動力伝達機構6とエンジン10との動力伝達状態を断続切替する。
なお、詳細は後述するが、動力伝達機構6の動力は、切替機構7のドグクラッチ8に伝達される。このため、中立用クラッチ3が動力伝達機構6とエンジン10との動力伝達状態を断続切替することは、ドグクラッチ8とエンジン10との動力伝達状態を断続切替することに相当する。
前後進切替機構4は、タービン軸2aから入力軸1aに入力された回転の方向を正転方向(前進方向)と逆転方向(後進方向)とに切り替えてプライマリ軸5aに出力するものである。前後進切替機構4は、従来周知の遊星歯車機構と、車両の前進時に締結される前進クラッチと、車両の後進時に締結される後進ブレーキとを有する(何れも図示略)。
バリエータ5は、CVT1の入力軸1aと出力軸1bとの間に介装され、入力軸1aと出力軸1bとの間の変速比を変更する。バリエータ5は、プライマリ軸(プーリ軸)5aに連結されたプライマリプーリ(第1プーリ)51と、プライマリ軸5aと平行なセカンダリ軸(プーリ軸)5bに連結されたセカンダリプーリ(第2プーリ)52と、これらのプーリ51,52に巻き掛けられた無端帯状部材53とを有する。
プライマリ軸5aに伝達された動力は、プライマリプーリ51,無端帯状部材53,セカンダリプーリ52を順に介してセカンダリ軸5bに伝達される。すなわち、プライマリプーリ51は駆動側のプーリであって、セカンダリプーリ52は被駆動側のプーリである。なお、セカンダリ軸5bは、出力軸1bと同心状に一体に配置されている。
プライマリプーリ51は、プライマリ軸5a及び前後進切替機構4を介して入力軸1aに動力連結されている。プライマリプーリ51は、プライマリ軸5aに対して回転方向及び軸方向の何れにも移動不能な固定シーブ51aと、プライマリ軸5aに対して相対回転不能であって軸方向には移動可能な可動シーブ51bとを有する。
プライマリプーリ51の可動シーブ51bは、その背面(シーブ面と逆側の面)と、これに結合されたシリンダ部材51eと、プライマリ軸5aに固定された壁部材51cとで区画される油圧室51d内の油圧に応じてプライマリ軸5a上をスライド移動する。プライマリプーリ51の両シーブ51a,51b間に形成されるV字溝の溝幅は、可動シーブ51bの位置に応じて変化する。
セカンダリプーリ52は、セカンダリ軸5bを介して出力軸1bに動力連結されている。セカンダリプーリ52は、セカンダリ軸5bに対して回転方向及び軸方向の何れにも移動不能な固定シーブ52aと、セカンダリ軸5bに対して相対回転不能であって軸方向には移動可能な可動シーブ52bとを有する。
セカンダリプーリ52の可動シーブ52bは、その背面(シーブ面と逆側の面)と、これに結合されたシリンダ部材52eと、セカンダリ軸5bに固定された壁部材52cとで区画される油圧室52d内の油圧に応じてセカンダリ軸5b上をスライド移動する。セカンダリプーリ52の両シーブ52a,52b間に形成されるV字溝の溝幅は、可動シーブ52bの位置に応じて変化する。
バリエータ5は、両プーリ51,52の可動シーブ51b,52bを油圧によりスライド移動させることで、各プーリ51,52に対する無端帯状部材53の巻掛半径を変化させる。これにより、変速比が変更される。なお、無端帯状部材53は、例えばベルトやチェーンで形成される。
本実施形態では、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bを移動させる油圧室52dに隣接して、遠心油圧キャンセル室(以下、キャンセル室と略称する)54が形成されている。キャンセル室54は、セカンダリプーリ52の回転によって油圧室52d内に生じる遠心油圧を相殺するためのものである。キャンセル室54には、図示しない油孔を通じて油が給排される。
キャンセル室54は、具体的には、セカンダリプーリ52のシリンダ部材52e,これに一体形成されたキャンセル壁部材(遠心油圧キャンセラ)55,上述した油圧室52dの壁部をなす壁部材52c等で区画された空間である。
キャンセル壁部材55は、キャンセル室54の壁部を構成する部材であって、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bにシリンダ部材52eを介して取り付けられ(固定的に連結され)ており、可動シーブ52bに連動してセカンダリ軸5bに沿って移動する。キャンセル壁部材55は、後述する切替機構7の一部を構成する。
動力伝達機構6は、入力軸1aと出力軸1bとをバリエータ5を介さずに直結するためのものである。つまり、CVT1の入力軸1aと出力軸1bとの間には、バリエータ5を経由する経路と、バリエータ5に代えて動力伝達機構6を経由する経路との二つの動力伝達経路が並列に設けられている。
本実施形態の動力伝達機構6は、中立用クラッチ3と前後進切替機構4との間で入力軸1aに固定された入力ギヤ61と、入力ギヤ61と噛み合う中間ギヤ62と、中間ギヤ62と噛み合う出力ギヤ63とで構成されている。動力伝達機構6は、入力ギヤ61と出力ギヤ63との間でバリエータ5と並列な動力伝達経路を形成する。
入力ギヤ61は、入力軸1aと共に回転するものである。すなわち、入力ギヤ61は、入力軸1aに動力連結されている。また、中間ギヤ62は、入力ギヤ61の回転方向と出力ギヤ63の回転方向とを一致させるためのものであって、入力ギヤ61と出力ギヤ63との間で回転可能に支持されている。
出力ギヤ63は、入力ギヤ61から中間ギヤ62を介して伝達された動力を出力軸1bに伝達するためのものであって、中間ギヤ62を介して入力ギヤ61と動力連結されており、出力軸1b上に配置されている。出力ギヤ63は、出力軸1bと相対回転可能であって、後述する切替機構7の動作に応じて出力軸1bとの断続状態が切り替えられる。
動力伝達機構6は、上述した三つのギヤ61〜63の各歯数に応じた固有の変速比を有する。本実施形態では、動力伝達機構6の変速比がバリエータ5の変速比の最小値(最ハイの変速比)以下となるように、各ギヤ61〜63の歯数が設定されている。すなわち、本実施形態の動力伝達機構6は、出力軸1bの回転数を最大にする(車両が高速で走行する)場合に使用される。
切替機構7は、動力伝達機構6が形成する動力伝達経路と出力軸1bとの間の断続状態を切り替えるものである。具体的には、切替機構7は、動力伝達機構6の出力ギヤ63と出力軸1bとの動力伝達状態を断続切替する。
図2に示すように、切替機構7は、出力ギヤ63と出力軸1bとの間に介装されたドグクラッチ8と、ドグクラッチ8を動作させるためのフォークとして機能するキャンセル壁部材55とで構成される。
ドグクラッチ8は、出力ギヤ63と一体回転するドグ歯8Aと、出力軸1bと同心状に配置されて出力軸1bと一体回転するスリーブ8Bとを有する。ドグ歯8Aは、出力ギヤ63に固設された外歯である。ドグ歯8Aは、動力伝達機構6,入力軸1a及び前後進切替機構4を介して、プライマリ軸5aと動力伝達可能に接続されている。
一方、スリーブ8Bは、ドグ歯8Aと噛合可能な内歯(スリーブ歯)8hを備えた筒状の部材である。スリーブ8Bは、出力軸1bに固定されたハブ8Cと出力軸1bとを介して、セカンダリ軸5bと動力伝達可能に接続されている。
本実施形態のスリーブ8Bは、ハブ8Cの外歯にスプライン係合している。スリーブ8Bは、ハブ8C及び出力軸1bに対して相対回転不能であって軸方向には移動可能である。
なお、ハブ8Cは、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bとドグ歯8Aとの間に配置されており、出力軸1bに対して回転方向及び軸方向の何れにも移動不能に一体連結されている。
スリーブ8Bは、内歯8hとドグ歯8Aとが噛み合う噛合位置と、内歯8hとドグ歯8Aとの噛合が解除される噛合解除位置との間で移動する。本実施形態では、噛合解除位置が噛合位置よりもセカンダリプーリ52の可動シーブ52b側となるように、ドグ歯8Aに対するスリーブ8Bの移動方向が設定されている。
ドグ歯8Aとスリーブ8Bの内歯8hとが噛み合っている状態では、出力ギヤ63と出力軸1bとの間の動力伝達経路が接続されるため、動力伝達機構6を介して入力軸1aから出力軸1bへと動力が伝達される。
一方、ドグ歯8Aとスリーブ8Bの内歯8hとが噛み合っていない状態では、出力ギヤ63と出力軸1bとの間の動力伝達経路が遮断されるため、動力伝達機構6を介しては入力軸1aから出力軸1bに動力が伝達されない。
本実施形態のドグクラッチ8は、上述したドグ歯8Aとスリーブ8Bとの噛合を円滑化するための構成として、シンクロ機構80を有する。本実施形態のシンクロ機構80は、上述したドグ歯8A,スリーブ8B及びハブ8Cに加えて、キー(シンクロナイザキー)8D,スプリング8E,リング(シンクロナイザリング)8F及びコーン8G等を備えて構成されている。
キー8Dは、軸方向に延びる棒状の部材であって、ハブ8Cの外周面に沿って複数形成された溝(スプラインの溝よりも深い溝)のそれぞれに挿入配置されている。キー8Dは、それよりも内周側に配設された円環状のスプリング8E,8Eの付勢力によってスリーブ8Bの内周面に圧接されている。
キー8Dは、スリーブ8Bの内周面に凹設された溝に嵌り込むように形成された突起を有する。キー8Dは、突起がスリーブ8Bの溝に嵌り込んでいる状態では、スリーブ8Bと共にハブ8Cに対して軸方向に移動可能である。
リング8Fは、ドグ歯8Aとハブ8Cとの間に配置された環状の部材であって、その外周にスリーブ8Bの内歯8hと噛合可能な外歯を有する。リング8Fの内周面は、ドグ歯8A側に向かって拡径している。
コーン8Gは、リング8Fの内周面と対応する円錐面形状の部位であって、ドグ歯8Aと一体に設けられている。
キャンセル壁部材55は、その先端部55aがスリーブ8Bに係合している。キャンセル壁部材55は、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bの移動に連動して、先端部55aでスリーブ8Bを移動させることにより、スリーブ8Bの内歯8hをドグ歯8Aに噛み合わせる。すなわち、キャンセル壁部材55の移動に伴いスリーブ8Bが移動することで、スリーブ8Bの内歯8hとドグ歯8Aとが噛み合う。
本実施形態のキャンセル壁部材55の先端部55aは、スリーブ8Bに固定的(相対移動不能)に連結されている。このため、キャンセル壁部材55及びスリーブ8Bは、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bと一体的に、油圧室52d内の油圧に応じてセカンダリ軸5bに沿って移動する。スリーブ8Bは、このように可動シーブ52bと連動して、噛合位置と噛合解除位置との間で軸方向に移動する。
本実施形態では、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bが固定シーブ52aとの間の溝幅を最大とする位置まで移動したときにスリーブ8Bが噛合位置まで移動するように、回転歯8Aに対するスリーブ8Bの移動ストロークが設定されている。つまり、本実施形態では、バリエータ5の変速比が最小になったときに、スリーブ8Bがドグ歯8Aと噛み合うように構成されている。
[2.作用]
図2及び図3を参照して、上述したCVT1の作用について説明する。ここでは、バリエータ5の変速比が最大から最小に変化する場合(つまり、セカンダリプーリ52の溝幅が最小から最大に変化する場合)を例示する。
図2に示すように、バリエータ5の変速比が最大である場合、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bは、固定シーブ52aとの間の溝幅が最小となるように、油圧室52d内の油圧により固定シーブ52aに向かって(図2では左側に)押されている。
この場合、スリーブ8Bは、可動シーブ52bとドグ歯8Aとの間に位置し、内周面の溝にキー8Bの突起を嵌り込ませた状態に保持されている。つまり、この場合、スリーブ8Bはキャンセル壁部材55によってドグ歯8Aと噛み合わない状態に保持されている。
一方、油圧室52d内から油が排出されることで可動シーブ52bが固定シーブ52aとの間の溝幅を最大とするように(図2では右側に)移動し始めると、これに連動してキャンセル壁部材55及びスリーブ8Bがドグ歯8Aに向かって移動し始める。
スリーブ8Bと共にキー8Dがドグ歯8A側へ移動すると、キー8Dがリング8Fの側面に当接してリング8Fをコーン8Gに押し付ける。これにより、ドグ歯8Aとスリーブ8Bとの間でリング8Fを介してトルクが伝達され始め、まずスリーブ8Bとリング8Fとが回転同期を開始する。つまり、シンクロ機構80によるシンクロ動作が始まる。
可動シーブ52bが更に移動すると、リング8Fがコーン8Gに更に強く押し付けられてスリーブ8Bとリング8Fとの回転が同期する。そして、スリーブ8Bの溝とキー8Dの突起との嵌合が外れてスリーブ8Bの内歯8hがリング8Fの外歯に噛み合い始める。
このとき、リング8Fとドグ歯8Aとの回転同期(すなわち、スリーブ8Bと出力ギヤ63との回転同期)は完了している。このため、可動シーブ52bの移動によってスリーブ8Bが更に移動すると、スリーブ8Bの内歯8hは、リング8Fの外歯との噛合完了した後、ドグ歯8Aと噛み合い始める。
図3に実線で示すように、可動シーブ52bが更に移動して固定シーブ52aとの間の溝幅を最大とする位置に達すると、スリーブ8Bが噛合位置まで移動する。つまり、ドグ歯8Aとスリーブ8Bとが完全に噛み合った状態となる。これにより、シンクロ機構80によるシンクロ動作を用いた噛合が完了する。
スリーブ8Bが噛合位置にある状態では、動力伝達機構6の動力がドグ歯8Aからスリーブ8Bへと直接的に伝達される。この結果、入力軸1aの動力がバリエータ5を介さずに出力軸1bへと伝達される。
なお、バリエータ5の変速比が最小から増大する場合(つまり、セカンダリプーリ52の溝幅が最大から減少する場合)は、切替機構7が上述した動作と逆の動作をする。
具体的には、油圧室52d内に油が供給されることでセカンダリプーリ52の可動シーブ52bが固定シーブ52aに向かって(図3では左方向に)移動すると、これに連動してキャンセル壁部材55及びスリーブ8Bがドグ歯8Aから離隔する方向へ移動する。
そして、スリーブ8Bが噛合解除位置へ向かって移動することで、スリーブ8Bとドグ歯8Aとの噛合が解除される。これにより、出力ギヤ63と出力軸1bとの間の動力伝達経路が遮断される。
[3.効果]
(1)上述したCVT1によれば、動力伝達機構6の出力ギヤ63とセカンダリ軸5bとの動力伝達状態を断続切替する切替機構7にドグクラッチ8が適用されているため、多板クラッチが適用される場合と比べて省スペース化を実現することができる。
特に、ドグクラッチ8では、多板クラッチで用いられるプレート群が不要であることから、径方向の寸法を抑えることができる。また、ドグクラッチ8は多板クラッチと比べて構成がシンプルであるため、コスト削減に寄与することができる。
また、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bに取り付けられたキャンセル壁部材55の先端部55aがドグクラッチ8のスリーブ8Bに係合しており、キャンセル壁部材55の移動に伴いスリーブ8Bが移動することでドグ歯8Aとスリーブ8Bの内歯8hとが噛み合うため、ドグクラッチ8の噛合状態の切替を可動シーブ52bと連動させることができる。つまり、可動シーブ52bを利用してドグクラッチ8の噛合状態を切り替えることができる。
よって、スリーブ8Bを移動させるための機構を可動シーブ52bとは別に設ける必要が無く、この点からも省スペース化を実現することができる。
さらに、ドグクラッチ8を適用することで、多板クラッチで生じるドラグトルクを無くすことができるため、動力伝達効率を向上させることができる。したがって、エンジン10の燃費を向上させることができる。
仮に、出力ギヤ63とセカンダリ軸5bとの動力伝達状態を断続切替する構成として多板クラッチを適用する場合は、多板クラッチをセカンダリプーリ52の可動シーブ52bに隣接して配置することになるため、上述したキャンセル室54及びキャンセル壁部材55を配置するためのスペースを確保しにくくなる。また、多板クラッチによってキャンセル室54の径方向の長さが制限されるため、十分な遠心油圧を発生させることができない虞がある。
これに対し、上述したCVT1によれば、キャンセル室54を構成するキャンセル壁部材55の先端部55aをスリーブ8Bに係合させることで、キャンセル壁部材55にスリーブ8Bを移動させるフォークとしての機能を持たせることができる。よって、スリーブ8Bを移動させるフォークをキャンセル壁部材55とは別に設ける場合と比べて、部品点数が抑えられることで更なる省スペース化を図ることができる。
また、上述したドグクラッチ8は、キャンセル壁部材55の外周端部の径を制限することが無いため、キャンセル室54の径方向の長さを確保することができる。よって、キャンセル室54内に十分な遠心油圧を発生させることができる。
(2)バリエータ5の変速比が最小になったときにスリーブ8Bの内歯8hがドグ歯8Aと噛み合うため、CVT1の出力回転が最も高速となる場合に動力伝達機構6を介して動力が伝達される。これにより、動力伝達効率を更に向上させることができる。よって、エンジン10の燃費をより向上させることができる。
また、このように最小の変速比でドグクラッチ8を噛み合わせる場合、セカンダリプーリ52の可動シーブ52bにスリーブ8Bを連動させることで、変速比を減少させる(セカンダリプーリ52の溝幅を増大させる)ときの可動シーブ52bの移動方向と、噛合位置へ向かうときのスリーブ8Bの移動方向とを一致させることができる。このため、よりシンプルな構成で高回転出力時の動力伝達効率を向上させることができる。よって、更なる省スペース化及びコスト削減を図ることができる。
(3)ドグクラッチ8がシンクロ機構80を有するため、スリーブ8Bの内歯8hがドグ歯8Aに噛み合う際に発生するショックを低減することができる。
(4)上述したCVT1には、ドグクラッチ8とエンジン10との間の動力伝達経路を断続可能な中立用クラッチ3が設けられるため、ドグクラッチ8が噛み合った状態からCVT1をニュートラル状態とする場合、中立用クラッチ3を解放させることでCVT1を素早くニュートラル状態に変化させることができる。
つまり、上述したCVT1では、前後進切替機構4の前進クラッチ及び後進ブレーキとドグクラッチ8との全てを解放させることによってもニュートラル状態に変化させることが可能であるが、上述したように中立用クラッチ3を解放させれば、よりシンプルな動作でより早くエンジン10の動力伝達を遮断することができる。
[4.変形例]
本発明は、上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
例えば、上述した切替機構7がプライマリプーリ51の可動シーブ51bに設けられていてもよい。すなわち、プライマリプーリ51の可動シーブ51bにキャンセル壁部材を取り付け、このキャンセル壁部材の軸方向への移動に伴ってスリーブが移動することで、ドグクラッチの噛合状態が切り替わるように構成してもよい。
このように切替機構をプライマリプーリ51側に設置し、バリエータ5の変速比が最大になった(すなわち、プライマリプーリ51の溝幅が最大になった)ときにスリーブの内歯がドグ歯と噛み合うように構成すれば、低速回転出力時に必要なトルクを、動力伝達機構6を通じて効率よく確保することができる。
また、このように最大の変速比でドグクラッチを噛み合わせる場合、プライマリプーリ51の可動シーブ51bにスリーブを連動させることで、上述した実施形態と同様に、変速比を増大させる(プライマリプーリ51の溝幅を増大させる)ときの可動シーブ51bの移動方向と、噛合位置へ向かうときのスリーブの移動方向とを一致させることができる。このため、よりシンプルな構成で低回転出力時の動力伝達効率を向上させることができる。よって、省スペース化及びコスト削減に寄与することができる。
なお、プーリ51,52の溝幅を増大させるときの可動シーブ51b,52bの移動方向と、これに連動するスリーブの移動方向とを逆にする反転機構をキャンセル壁部材とスリーブとの間に追加してもよい。つまり、キャンセル壁部材の先端部は、可動シーブ51b,52bの移動に対してスリーブを逆行させるようにスリーブに係合していてもよく、上述したようにスリーブ8Bに固定的に連結されるものに限定されない。
このような反転機構をセカンダリプーリ52の可動シーブ52bに取り付けられたキャンセル壁部材55とスリーブ8Bとの間に設けた場合、上述した実施形態とは逆に、バリエータ5の変速比が最大になったときにスリーブ8Bを噛合位置に位置させることができる。
また、このような反転機構をプライマリプーリ51の可動シーブ51bに取り付けられたキャンセル壁部材とスリーブとの間に設けた場合、バリエータ5の変速比が最小になったときにスリーブを噛合位置に位置させることができる。
ドグクラッチ8はシンクロ機構80を有していなくてもよい。つまり、上述したキー8D,スプリング8E,リング8F,コーン8G等は省略されてもよい。
上述した動力伝達機構6の構成は一例である。なお、動力伝達機構6の変速比をバリエータ5の変速比の最小値よりも小さく(あるいは最大値よりも大きく)設定すれば、CVT1のレシオカバレッジを拡大することができる。
CVT1の動力源はエンジン10以外のもの(例えば電動モータ)であってもよい。また、CVT1は、車両に搭載されるものでなくてもよい。
1 CVT(無段変速機)
1a 入力軸
1b 出力軸
2 トルクコンバータ
2a タービン軸
3 中立用クラッチ
4 前後進切替機構
5 バリエータ
5a プライマリ軸(プーリ軸)
5b セカンダリ軸(プーリ軸)
6 動力伝達機構
7 切替機構
8 ドグクラッチ
8A ドグ歯
8B スリーブ
8C ハブ
8D キー
8E スプリング
8F リング
8G コーン
8h 内歯
10 エンジン(動力源)
10a クランク軸
20 減速機構
30 差動機構
51 プライマリプーリ(第1プーリ)
51a 固定シーブ
51b 可動シーブ
51c 壁部材
51d 油圧室
51e シリンダ部材
52 セカンダリプーリ(第2プーリ)
52a 固定シーブ
52b 可動シーブ
52c 壁部材
52d 油圧室
52e シリンダ部材
53 無端帯状部材
54 キャンセル室(遠心油圧キャンセル室)
55 キャンセル壁部材(遠心油圧キャンセラ)
55a 先端部
61 入力ギヤ
62 中間ギヤ
63 出力ギヤ
80 シンクロ機構

Claims (5)

  1. 第1プーリと、第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに巻き掛けられた無端帯状部材と、を有するバリエータと、
    前記第1プーリのプーリ軸と動力伝達可能に接続されたドグ歯と、前記第2プーリのプーリ軸と動力伝達可能に接続され、前記ドグ歯と噛合可能なスリーブと、を有するドグクラッチと、を有し、
    前記第2プーリは、可動シーブと、固定シーブと、前記可動シーブに取り付けられ、先端部が前記スリーブと係合した遠心油圧キャンセラと、を有し、
    前記遠心油圧キャンセラの移動に伴い前記スリーブが移動することにより、前記ドグ歯と前記スリーブとが噛み合う
    ことを特徴とする無段変速機。
  2. 請求項1において、
    前記第1プーリは、駆動側のプーリであり、
    前記第2プーリは、被駆動側のプーリであり、
    前記バリエータの変速比が最小になったときに、前記スリーブが前記ドグ歯と噛み合う
    ことを特徴とする無段変速機。
  3. 請求項1において、
    前記第1プーリは、被駆動側のプーリであり、
    前記第2プーリは、駆動側のプーリであり、
    前記バリエータの変速比が最大になったときに、前記スリーブが前記ドグ歯と噛み合う
    ことを特徴とする無段変速機。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、
    前記ドグクラッチが、シンクロ機構を有する
    ことを特徴とする無段変速機。
  5. 請求項1〜4の何れか一項において、
    前記ドグクラッチと動力源との間の動力伝達経路を断続可能なクラッチを有する
    ことを特徴とする無段変速機。
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