JP2020026852A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用していない変速機が遊転する時のトルク変動により生じる歯打ち音を低減することが可能な車両用動力伝達装置を提供する。【解決手段】入力軸4と出力軸との間には、無段変速機とギヤ機構とが並列的に接続されている。無段変速機を遊転させ、かつギヤ機構を使用する動力伝達経路を成立可能にする油圧式クラッチ機構を備える。油圧式クラッチ機構に作動油を供給する油路には押圧部が設けられている。押圧部は、作動油により入力軸4をプライマリ軸6に当接させる方向に押圧力を発生する。入力軸4およびプライマリ軸6には角部66およびテーパ部68が設けられている。角部66およびテーパ部68は、押圧力により当接した際に作用する楔効果により入力軸4とプライマリ軸6とを回転方向で一体化させる。【選択図】図4
Description
この発明は、駆動力源から伝達された動力を駆動輪に伝達するための車両用動力伝達装置に関するものである。
従来、車両の巡航時に無段変速機を使用し、発進時には無段変速機に並列に設けられたギヤ機構を使用する車両用動力伝達装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。その無段変速機のプライマリ軸には、駆動力源からトルクが入力される入力軸がスプライン結合により連結されている。また、入力軸は、第1クラッチ機構を介してギヤ機構に連結されている。ギヤ機構は、発進時の駆動トルクを大きくするために、あるいは低負荷高速走行時にエンジン回転数を低下させるために、無段変速機で設定できる変速比を超えた大きい変速比もしくは小さい変速比を設定できるように構成されている。第1クラッチ機構は、ギヤ機構を使用する際にトルクをギヤ機構に伝達する係合状態に設定され、無段変速機を使用する際には解放状態に設定される。また、無段変速機のセカンダリプーリと出力軸との間には、第2クラッチ機構が設けられている。第2クラッチ機構は、上記の第1クラッチ機構とは反対に、ギヤ機構を使用する際に解放状態に設定され、無段変速機を使用する際に係合状態に設定される。
特許文献1に記載された構成の装置では、ギヤ機構を使用して入力軸から出力軸にトルクを伝達する場合、第2クラッチ機構を解放状態にして無段変速機と出力軸との連結を解除するが、入力軸と無段変速機(特にそのプライマリプーリ)とは連結されたままとなる。したがって、無段変速機はトルクを伝達しない状態で入力軸と共に回転するいわゆる遊転状態となる。入力軸とプライマリプーリ軸とを連結しているスプラインには、回転方向に不可避的なクリアランスが存在し、またトルクの伝達に関与していない無段変速機の回転慣性が、入力軸側の回転慣性に対して小さい。そのため、入力軸に回転変動が生じた場合、スプラインにおいて上記のクリアランス分の相対回転が生じる。そのため、入力軸にトルク変動が生じると、プライマリプーリ軸が入力軸に対して連れ回らずに両者の間に相対回転が生じ、その結果、それぞれのスプライン歯同士が当接して歯打ち音が生じ、これがギヤ機構でトルクを伝達している際の騒音となる可能性がある。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ギヤ機構と並列に設けられている無段変速機が遊転している状態で、スプラインの歯打ち音を防止もしくは低減することが可能な車両用動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、この発明では、駆動力源が出力したトルクが伝達される入力軸と、前記トルクを駆動輪に伝達する出力軸と、前記入力軸にスプライン結合された入力側部材を有しかつ前記入力側部材に伝達されるトルクを連続的に変化する変速比に応じて増減して前記出力軸に伝達する無段変速機と、前記入力軸と前記出力軸との間でかつ前記無段変速機と並列に配置されかつ前記入力軸から伝達されるトルクを前記無段変速機で設定できない少なくとも一つの変速比で増減して前記出力軸に伝達するギヤ機構と、前記無段変速機を遊転させかつ前記ギヤ機構を使用する動力伝達経路を成立可能にする油圧式クラッチ機構とを備えた車両用動力伝達装置において、前記入力軸は、前記入力軸の軸線方向に移動可能に構成され、前記油圧式クラッチ機構を係合させる油圧を作用させて前記入力軸を前記入力側部材側に移動させる押圧部が設けられ、前記入力軸におけるスプライン歯の端部と前記入力側部材における前記端部に対向する箇所とに、互いに当接することによりトルク伝達可能に係合する係合部が設けられていることを特徴とするものである。
この発明によれば、発進時などにおいて走行のためのトルクをギヤ機構を介して伝達する場合、油圧式クラッチ機構に油圧を供給してその油圧式クラッチ機構を係合させる。その場合、油圧式クラッチ機構に供給した油圧が押圧部にも作用し、入力軸がその軸線方向に押圧され、入力側部材側に移動する。その結果、入力軸におけるスプライン歯の端部に形成されている係合部が入力側部材の係合部に当接し、これらの係合部の間でトルクが伝達される状態になる。油圧式クラッチ機構が係合した状態においても、入力軸と入力側部材すなわち無段変速機とは、スプライン結合によって連結されている。すなわち無段変速機は、トルクを特には伝達しないで回転するいわゆる遊転状態になっている。しかしながら、係合部が上記のように係合することにより入力軸と無段変速機とが一体となって回転するので、入力軸のスプライン歯と入力側部材(無段変速機側)のスプライン歯との相対位置が特には変化しない。したがって、入力軸にトルク変動が生じても、スプライン歯同士が当接したり、それに伴って歯打ち音などの異音が生じたりすることを防止もしくは抑制することができる。
この発明に係る動力伝達装置は、エンジンやモータなどの駆動力源が出力した動力を駆動輪に伝達するための装置であって、変速機能を備えた装置である。すなわち、一般にはトランスミッションあるいはトランスアクスルと称されている装置である。特にこの発明で対象とする装置は、入力軸から伝達されるトルクを出力軸に伝達する径路が、互いに並列の関係になっている第1動力伝達径路と第2動力伝達経路とによって構成されている。第1動力伝達経路は、無段変速機を備えている。また、第2動力伝達経路は、ギヤ機構を備えている。無段変速機は、従来知られているベルト式の無段変速機であってよい。ベルト式無段変速機は、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に搭載する動力伝達装置に適している。また、ギヤ機構は、要は、入力軸から出力軸にトルクを伝達できるギヤユニットであればよく、この発明では、無段変速機によって設定可能な変速比幅を超えた変速比を設定可能なギヤ機構である。このため、ギヤ機構は、複数のギヤを噛み合わせて構成され、そのギヤ比(歯数の比)は、無段変速機での最大変速比より大きい変速比あるいは最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成されている。なお、車両が発進する際に必要とする大きい駆動力を得るために、ギヤ機構は、無段変速機で設定可能な最大変速比より大きい変速比を設定できるように構成することが好ましい。また、走行中における駆動力源の回転数を低くして燃費を低下させるためには、ギヤ機構は、無段変速機で設定可能な最小変速比より小さい変速比を設定できるように構成することが好ましい。
以下、この発明の具体例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、この発明に係る車両用動力伝達装置1の一例を説明するためのスケルトン図である。図1に示す例はFF車に適するように構成した例であり、したがって無段変速機2としてベルト式の無段変速機が採用されており、また駆動力源はガソリンエンジン等の内燃機関(以下、エンジンと記す。)3によって構成されている。入力軸4には、エンジン3から出力されるトルクが入力される。なお。エンジン3のクランク軸と入力軸4との間に、ロックアップクラッチの付いたトルクコンバータ5を連結してもよい。
入力軸4には、無段変速機2のプライマリ軸(入力側部材)6がスプライン結合により連結されている。無段変速機2は、プライマリプーリ7とセカンダリプーリ8とを備えており、これらの間にベルト9が巻き掛けられている。プライマリプーリ7およびセカンダリプーリ8は、ベルト9を巻き掛ける溝の幅を変化させることに伴ってベルト9の巻き掛け半径を大小に変化させる。一方のプーリの溝幅を広げてベルト9の巻き掛け半径を小さくし、それに伴って他方のプーリの溝幅を小さくしてベルト9の巻き掛け半径を大きくすることで変速比が増減する。なお、ベルト9は、チェーンベルトであってもよい。
セカンダリプーリ8の回転軸10と同一軸線上には、出力軸11が入力軸4と平行に配置されている。出力軸11は、中空軸によって構成されていて、内部にセカンダリプーリ8の回転軸10が相対的に回転可能に挿通されている。出力軸11には、従動ギヤ12が一体的に設けられている。なお、図1では、FF車に適するように出力軸11および入力軸4を車幅方向に並べて配置した一例を示している。
出力軸11に伝達されるトルクは、終減速機であるフロントデファレンシャル13に伝達されるように構成されている。つまり出力軸11に出力ギヤ14が取り付けられ、この出力ギヤ14に噛み合っている大径ギヤ15が減速ギヤシャフト16に取り付けられている。減速ギヤシャフト16には、小径ギヤ17が取り付けられており、小径ギヤ17がフロントデファレンシャル13のリングギヤ18に噛み合っている。そして、フロントデファレンシャル13は、リングギヤ18を介して伝達されたトルクを左右のドライブシャフト19から駆動輪20に伝達するように構成されている。
入力軸4と出力軸11との間には、無段変速機2と並列的に配置されたギヤ機構21を備えている。ギヤ機構21は、無段変速機2によって設定可能な変速比幅を超えた変速比が設定されている。図1に示す例で説明するギヤ機構21は、前後進切換機構24を備えている。前後進切換機構24は、その前後進切換機構24から出力されるトルクの作用方向が入力軸4におけるトルクの作用方向と同じになるようにトルク伝達する前進状態と、前後進切換機構24から出力されるトルクの作用方向が入力軸4におけるトルクの作用方向は反対になるようにトルク伝達する後進状態とを設定するための機構である。この実施例では、三つの回転要素によって差動作用をなす差動機構によって前後進切換機構24が構成されている。この種の差動機構としては、従来知られている種々の差動機構を採用することができる。図1に示す例では、ダブルピニオン型の遊星歯車機構によって前後進切換機構24が構成されている。
ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、外歯歯車であるサンギヤ27と、そのサンギヤ27と同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ28と、サンギヤ27に噛み合っている第1ピニオンギヤ29と、その第1ピニオンギヤ29ならびにリングギヤ28に噛み合っている第2ピニオンギヤ30と、これら第1ピニオンギヤ29および第2ピニオンギヤ30を自転かつ公転可能に保持しているキャリヤ31とを備えている。入力軸4は、前後進切換機構24におけるキャリヤ31に一体となって回転するように連結されている。また、サンギヤ27には中空軸であるサンギヤ軸32が一体化されており、そのサンギヤ軸32の内部を入力軸4が貫通し、サンギヤ軸32と入力軸4とは相対回転できるように支持されている。サンギヤ軸32の延長部分には、駆動ギヤ34が一体的に回転するように設けられている。
前後進切換機構24には、前進走行用の第1クラッチ機構39が配置されている。第1クラッチ機構39は、油圧式の摩擦クラッチ機構になっている。第1クラッチ機構39は、前進走行時にサンギヤ軸32とキャリヤ31との間でトルクを伝達する係合状態に切り替わる。また、前後進切換機構24には、後進走行用のブレーキ機構42が配置されている。ブレーキ機構42は、後進走行時にリングギヤ28の回転を停止する係合状態に切り替わる。
さらに、前後進切換機構24には、入力軸4と平行にカウンタシャフト33が配置されている。カウンタシャフト33には、駆動ギヤ34に噛み合っているカウンタドリブンギヤ35が一体化されて設けられている。このカウンタドリブンギヤ35は駆動ギヤ34よりも大径であって、駆動ギヤ34からカウンタドリブンギヤ35に向けてトルクを伝達する場合には減速作用を生じるように構成されている。カウンタシャフト33には、カウンタドリブンギヤ35よりも径の小さいカウンタドライブギヤ36が取り付けられており、このカウンタドライブギヤ36に噛み合っている従動ギヤ12が出力軸11上に出力軸11に対して相対回転できるように配置されている。
ギヤ機構23と出力軸11との間には、第2クラッチ機構37が配置されている。第2クラッチ機構37は、カウンタシャフト33とカウンタドライブギヤ36とを連結し、またその連結を解くように構成されている。なお、第2クラッチ機構37は、係合状態と解放状態との二つの状態に切り替わる構成のものでよい。そのため、第2クラッチ機構37は、ドグクラッチなどによって構成することができる。図1には、カウンタドライブギヤ36のボス部に形成されたスプラインと、カウンタシャフト33のハブに形成したスプラインとにスリーブ38を嵌合させることによりカウンタシャフト33に伝達されるトルクをカウンタドライブギヤ36に伝達可能にする機構の一例を示している。
カウンタドライブギヤ36には、従動ギヤ12が噛み合っている。従動ギヤ12は、カウンタドライブギヤ36よりも大径であって、カウンタドライブギヤ36から従動ギヤ12に向けてトルクを伝達する場合には減速作用が生じるように構成されている。したがって、ギヤ機構21の変速比(ギヤ比)は、駆動ギヤ34とカウンタドリブンギヤ35との間の変速比と、カウンタドライブギヤ36と従動ギヤ12との間の変速比を乗算した変速比となり、ギヤ機構21は、その値が無段変速機2での最大変速比より大きくなるように構成されている。
従動ギヤ12とセカンダリプーリ8との間には、第3クラッチ機構40が配置されている。第3クラッチ機構40は、出力軸11をセカンダリプーリ8に連結する係合状態とその連結を解く解放状態とに切り替わる。第3クラッチ機構40が解放状態に切り替わると無段変速機2が遊転状態になる。第3クラッチ機構40は、要はセカンダリプーリ8と出力軸11との間でのトルクの伝達および遮断を選択的に行うことができるものであればよい。このため、第3クラッチ機構40は、摩擦クラッチや噛合式のクラッチのいずれであってもよい。
無段変速機2を経由してトルクを出力軸11に伝達する第1動力伝達経路は、第3クラッチ機構40が係合状態に、かつ第1クラッチ機構39およびブレーキ機構42が解放状態に替わることにより形成される。このとき、第2クラッチ機構37は係合状態であってもよい。また、無段変速機2を遊転させる第2動力伝達経路、つまりギヤ機構21を経由してトルクを出力軸11に伝達する第2動力伝達経路は、第1クラッチ機構39および第2クラッチ機構37が係合状態に、かつ第3クラッチ機構40およびブレーキ機構42が解放状態に切り替わることにより形成される。第2動力伝達径路は、この発明の実施形態における動力伝達経路の一例である。動力伝達装置1では、例えば車両の発進時に第2伝達経路を使用し、車両の前進走行時に第1動力伝達経路を使用する。なお、車両の後進走行時には、第1クラッチ機構39および第2クラッチ機構37が解放状態に、かつ第3クラッチ機構40およびブレーキ機構42が係合状態に切り替わる。
図2は、図1に示した動力伝達装置の要部を説明する断面図である。図2に示すように入力軸4の半径方向で外側には、第1固定軸45が固定部41と固定して配置されている。第1固定軸45は、半径方向の内側で入力軸4を回転自在に支持している。第1固定軸45の半径方向で外側には、第2固定軸50が固定部41と固定して配置されている。第2固定軸50は、第1固定軸45とその第1固定軸45の回転方向および軸線方向で一体的に連結されている。第2固定軸50の半径方向で外側には、サンギヤ軸32が配置されている。サンギヤ軸32は、第2固定軸50に対して相対的な回転が可能で、かつ軸線方向で相対的に移動可能に配置されている。サンギヤ軸32における軸線方向で一方側には、入力軸4に当接する当接部46が設けられている。当接部46は、サンギヤ軸32と入力軸4との相対回転を許容し、かつ軸線方向の相対移動を阻止する。
第1固定軸45、第2固定軸50およびサンギヤ軸32には、油圧供給機構から第1クラッチ機構39の油圧室51に作動油を供給する油路52が形成されている。油圧供給機構は、油圧源や油圧アクチュエータを含む。油路52は、第1油路53、第2油路54および第3油路55等で構成されている。第1油路53は、第1固定軸45に、軸線方向に沿って溝状に形成されている。第2油路54は、半径方向に向けた油路であって第2固定軸50に貫通して形成されている。第3油路55は、半径方向で外側に延びてサンギヤ軸32に形成されており、半径方向で外側の開口部が油圧室51に接続されている。その第3油路55は、第2油路54に対して小孔に形成されている。
入力軸4の軸線方向で一方側の端部4aの外周には、雄スプライン56が形成されている。無段変速機2のプライマリ軸6には、端部4aを軸線方向から受け入れる穴57が形成されており、雄スプライン56に係合する雌スプライン58が穴57の内周面に形成されている。雄スプライン56および雌スプライン58は、スプライン同士を円滑に結合させるために、回転方向で遊びを有して結合している。また、雄スプライン56は、雌スプライン58に対して軸線方向における所定の範囲で移動可能に結合している。所定の範囲は、雄スプライン56における軸線方向で一方側の先端が雌スプライン58における軸線方向で一方側の根元に当接する当接位置と、その当接位置から雄スプライン56の一方側の先端が他方側に所定長さだけ離れた離間位置との間の範囲となっている。
図3は、図2で説明した油路52を拡大して示す断面図である。図3に示すように第3油路55における第2油路54の接合面には、径差により受圧面59が形成されている。受圧面59は、第3油路55に対してその中心が軸線方向で一方側にズレて作られている。つまり、第3油路55は、入力軸4が離間位置の際に、第2油路54に対して中心が軸線方向で長さLの分だけ他方側にズレて配置されている。したがって、受圧面59は、第3油路55の中心を挟んで軸線方向で他方側の面積よりも一方側の面積が広くなっている。このため、受圧面59に作用する油圧により生じる押圧力は、軸線方向で他方側の押圧力よりも一方側に生じる押圧力が大きくなる。そして、サンギヤ軸32が軸線方向で一方側に向けて移動可能に配置されている。このため、受圧面59に作用する油圧によりサンギヤ軸32が図3で左向きに押される。この押圧力は、当接部46を介して入力軸4に伝達される。これにより、入力軸4がプライマリ軸6に当接する方向に向けて押される。なお、符号62は、第2固定軸50の外周面とサンギヤ軸32の内周面との間で、かつ第2油路54の軸線方向で両側に配置されたオイルシールである。上記で説明した受圧面59は、この発明における実施形態での押圧部の一例である。
図4は、第1クラッチ機構が解放時の入力軸とプライマリ軸との位置関係を示す断面図である。図5は、第1クラッチ機構が係合時の入力軸とプライマリ軸との位置関係を示す断面図である。図4に示すように入力軸4の端部4aの外周には、雄スプライン56が形成されている。プライマリ軸6の穴57の内周面には、雌スプライン58が形成されている。
雄スプライン56は、軸線方向に平行に、かつ回転方向に等間隔で溝を入力軸4の外周面から削り出して形成されている。つまり、雄スプライン56は、半径方向で外側に突出した複数の歯56aと複数の歯56aの間に配置された複数の溝56bとを有する。歯56aにおける軸線方向で一方側の先端には、面取り部64が形成されている。面取り部64は、半径方向で外側に向かうほど雌スプライン58の根元から離れる方向に傾斜する斜面になっている。面取り部64と歯56aとが繋がる部分には、角部66が設けられている。角部66は、2つの斜面で尖るように、面取り部64に繋がる一方の斜面と歯56aの先端に繋がる他方の斜面とで構成されている。
雌スプライン58は、軸線方向に平行に、かつ回転方向に等間隔で溝を穴57の内周面から削り出して形成されている。つまり、雌スプライン58は、半径方向で内側に突出した複数の歯58aと複数の歯58aの間に配置された複数の溝58bとを有する。溝58bにおける軸線方向で一方側の根元には、テーパ部68が形成されている。テーパ部68は、半径方向で内側に向かうほど入力軸4から離れる方向に傾斜する斜面になっている。
そして、図5に示すように作動油が第1クラッチ機構39に供給されると、入力軸4が軸線方向で一方側へ移動するため、複数の雄スプライン56の角部66が複数の雌スプライン58のテーパ部68に各々当接し、角部66がテーパ部68に食い込むことにより角部66の頭に楔作用が生じる。つまり角部66の尖りを構成する2つの斜面(歯56a,面取り部64)に生じる楔作用は、入力軸4が軸線方向でプライマリ軸6に押圧する力に対する反力によってプライマリ軸6が入力軸4を軸線方向で接近する方向に押し付け、入力軸4とプライマリ軸6との相対的な回転を阻止する。なお、プライマリ軸6に雌スプライン58を設け、入力軸4に雄スプライン56を設けてもよい。角部66およびテーパ部68は、この発明の実施形態である係合部の一例である。
ギヤ機構21を使用する際には、図5に示すように油圧室51に供給される作動油により入力軸4がプライマリ軸6に向けて押されて角部66とテーパ部68とが当接する。これにより、角部66の頭に生じる楔作用により入力軸4とプライマリ軸6とがトルク伝達可能に係合する。このとき、トルク変動が生じてもプライマリ軸6が入力軸4と一緒に回転しているため、雄スプライン56および雌スプライン58の間のガタにより生じる歯打ち音を低減又は防止することができる。
無段変速機2を使用する際には、第1クラッチ機構39への作動油の供給が停止される。このため、入力軸4を軸線方向で一方側に向けた押圧が停止される。このとき、第3クラッチ機構40が係合状態に切り替わるため、駆動輪20側の負荷が入力軸4とプライマリ軸6とを回転方向で連結するスプライン結合に掛かる。スプライン結合に大きな負荷が掛かると、入力軸4には、雄スプライン56が軸線方向で一方側に逃げようとする力が発生する。このため、無段変速機2を使用すると、角部66がテーパ部68から抜けて入力軸4とプライマリ軸6との回転方向での一体化が解除されることがある。この場合には、次回にギヤ機構21を使用する際に第1クラッチ機構39に作動油が供給されるため、再び入力軸4とプライマリ軸6とが回転方向で一体化される。このため、雄スプライン56および雌スプライン58の間のガタにより生じる歯打ち音を継続して低減又は防止することができる。なお、この発明に係る係合部は、上記構成に限らず、要は楔作用により入力軸4とプライマリ軸6とが回転方向で一体化されればよく、よって、雄スプライン56および雌スプライン58の少なくとも一方に、他方に向けて尖った角部を設け、他方にテーパ部68を設ければよい。
以上、この発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば前述した実施例では、動力源としてエンジンである内燃機関が適用されていたが、例えばモータを動力源として使用することができる。
また、ギヤ機構を使用する動力伝達経路を成立可能にする油圧式クラッチ機構を、上記各実施例では第1クラッチ機構39、第2クラッチ機構37、第3クラッチ機構40およびブレーキ機構42で構成しているが、この発明ではこれらに限定されない。要は複数のクラッチ機構における少なくとも一つのクラッチ機構を係合させるための油圧の作用により入力軸4をプライマリ軸6に向けて移動させるように押圧部を構成すればよい。さらに、上記クラッチ機構を設ける位置は、上記各実施例で説明した位置に限定する必要は特にはないのであって、それぞれの本来の機能を損なわない範囲で適宜な位置に設けることができる。
1…動力伝達装置、 2…無段変速機、 3…エンジン、 4…入力軸、 6…プライマリ軸、 21…ギヤ機構、 39…第1クラッチ機構、 40…第3クラッチ機構、 59…受圧面、 56…雄スプライン、 58…雌スプライン、 66…角部、 68…テーパ部。
Claims (1)
- 駆動力源が出力したトルクが伝達される入力軸と、前記トルクを駆動輪に伝達する出力軸と、前記入力軸にスプライン結合された入力側部材を有しかつ前記入力側部材に伝達されるトルクを連続的に変化する変速比に応じて増減して前記出力軸に伝達する無段変速機と、前記入力軸と前記出力軸との間でかつ前記無段変速機と並列に配置されかつ前記入力軸から伝達されるトルクを前記無段変速機で設定できない少なくとも一つの変速比で増減して前記出力軸に伝達するギヤ機構と、前記無段変速機を遊転させかつ前記ギヤ機構を使用する動力伝達経路を成立可能にする油圧式クラッチ機構とを備えた車両用動力伝達装置において、
前記入力軸は、前記入力軸の軸線方向に移動可能に構成され、前記油圧式クラッチ機構を係合させる油圧を作用させて前記入力軸を前記入力側部材側に移動させる押圧部が設けられ、
前記入力軸におけるスプライン歯の端部と前記入力側部材における前記端部に対向する箇所とに、互いに当接することによりトルク伝達可能に係合する係合部が設けられている、
ことを特徴とする車両用動力伝達装置。
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