JP2019048921A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカ分散性及び靭性に優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤの提供。【解決手段】ブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、下記式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有し、上記ジエン系ゴム中、上記ブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、上記溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜200質量部であり、上記有機ケイ素化合物の含有量が上記ブタジエンゴムの含有量に対して1.0〜25.0質量%であるゴム組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
近年、車両走行時の低燃費性の面から、タイヤの発熱性(ヒステリシスロス)を低減することが求められている。これに対し、タイヤのトレッド部を構成するゴム成分に、シリカを配合して、タイヤの発熱性を低減する方法が知られている。
しかし、シリカはゴム成分との親和性が低く、また、シリカ同士の凝集性が高いため、ゴム成分に単にシリカを配合してもシリカが分散せず、発熱性を低減する効果が十分に得られないという問題があった。
このようななか、例えば、特許文献1には、シリカ等のフィラーを含有するゴム組成物の配合剤として好適に用いられる有機ケイ素化合物、及び、上記有機ケイ素化合物を配合したゴム組成物が開示されている。上記特許文献1によれば、上記有機ケイ素化合物を配合したゴム組成物はヒステリシスロスが低く、低燃費タイヤを実現し得る旨が記載されている。
特開2016−191040号公報
昨今、環境問題および資源問題などから、タイヤの発熱性のさらなる低減が求められ、それに伴い、シリカを含有するタイヤ用ゴム組成物にはシリカの分散性(シリカ分散性)のさらなる向上が求められている。また、求められる安全レベルの向上に伴い、ゴム組成物に対して加硫後の靭性(以下、単に「靭性」とも言う)のさらなる向上も求められている。
このようななか、本発明者が、特許文献1の実施例を参考にゴム組成物を調製したところ、そのシリカ分散性及び靭性は昨今要求されているレベルを必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、シリカ分散性及び靭性に優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、ブタジエンゴム、溶液重合スチレンブタジエンゴム、シリカ及び特定の有機ケイ素化合物を特定の量比で配合することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、後述する式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有し、
上記ジエン系ゴム中、上記ブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、上記溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、
上記シリカの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、60〜200質量部であり、
上記有機ケイ素化合物の含有量が、上記ブタジエンゴムの含有量に対して、1.0〜25.0質量%である、ゴム組成物。
(2) 上記シリカのCTAB吸着比表面積が、150〜270m/gである、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記(1)又は(2)に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、シリカ分散性及び靭性に優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す部分断面概略図である。
以下に、本発明のゴム組成物及び上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明のゴム組成物に含有される各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
[1]ゴム組成物
本発明のゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、後述する式(I)で表される有機ケイ素化合物(以下、「特定有機ケイ素化合物」とも言う)とを含有する。
ここで、上記ジエン系ゴム中、上記ブタジエンゴムの含有量は10〜90質量%であり、上記溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量は10〜90質量%である。
また、上記シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、60〜200質量部である。
また、上記有機ケイ素化合物の含有量は、上記ブタジエンゴムの含有量に対して、1.0〜25.0質量%である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明者の検討から、ブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴムとシリカとを含有するゴム組成物において、シリカはブタジエンゴムの相(ブタジエンゴム相)よりもスチレンブタジエンゴムの相(スチレンブタジエンゴム相)に分配されやすく、このようなシリカの分配の偏りがシリカ分散性の低下の1つの要因となっていることが分かっている。
ここで、後述のとおり、本発明の組成物に含有される特定有機ケイ素化合物は、骨格部分はブタジエンゴムの構造を有し、側鎖部分はアルコキシシランの構造を有する。上記骨格部分はブタジエンゴムとの親和性が高く、側鎖部分はシリカとの親和性が高い。そのため、上記特定有機ケイ素化合物は、ブタジエンゴムとシリカとを結びつけるカップリング剤として機能し、シリカのブタジエンゴム相への分配を高め、シリカの分散性を向上させるものと考えられる。
一方で、本発明者の検討から、上記特定有機ケイ素化合物によるカップリングの効果は、ブタジエンゴムとの量比によって大幅に変化し、臨界性が見られることが分かっている。
本発明の組成物はブタジエンゴムと溶液重合スチレンブタジエンゴムとシリカと特定有機ケイ素化合物とを含有するとともに、上記特定有機ケイ素化合物の含有量がブタジエンゴムに対して特定の範囲であるため、極めて高いシリカ分散性を示すものと考えられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
[ジエン系ゴム]
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、ブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含む。
ここで、上記ジエン系ゴム中、上記ブタジエンゴムの含有量は10〜90質量%であり、上記溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量は10〜90質量%である。
〔ブタジエンゴム〕
上述のとおり、ジエン系ゴムにはブタジエンゴム(以下、「BR」とも言う)が含まれる。
<含有量>
上述のとおり、ジエン系ゴム中、ブタジエンゴムの含有量は10〜90質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、30〜80質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。
〔溶液重合スチレンブタジエンゴム〕
上述のとおり、ジエン系ゴムには溶液重合スチレンブタジエンゴム(以下、「溶液重合SBR」、又は、単に「SBR」とも言う)が含まれる。
上記SBRは、スチレン(又はその誘導体)及びブタジエンを溶液重合により重合することで得られたスチレンブタジエンゴムであれば特に制限されず、スチレン(又はその誘導体)及びブタジエンに加えて、さらに、別のモノマー(例えば、イソプレン、アクリロニトリル)を重合したものであってもよい。
<スチレン単位含有量>
上記SBRにおいて、スチレン単位含有量は特に制限されない。
なお、スチレン単位含有量とは、SBRに対する、スチレン単位(スチレン(又はその誘導体)に由来する繰り返し単位)の含有量を意図する。
<ミクロ構造>
(ビニル構造)
上記SBRにおいて、ビニル構造の割合は特に制限されない。
なお、ビニル構造の割合とは、ブタジエンに由来する全繰り返し単位のうち、ビニル構造(例えば、ブタジエンが1,3−ブタジエンである場合は1,2−ビニル構造)を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
(1,4−トランス構造)
上記SBRにおいて、1,4−トランス構造の割合は特に制限されない。
なお、1,4−トランス構造の割合とは、ブタジエンに由来する全繰り返し単位のうち、1,4−トランス構造を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
(1,4−シス構造)
上記SBRにおいて、1,4−シス構造の割合は特に制限されない。
なお、1,4−シス構造の割合とは、ブタジエンに由来する全繰り返し単位のうち、1,4−シス構造を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
<好適な態様>
上記SBRは、本発明の効果がより優れる理由から、末端が変性されたSBR(末端変性SBR)であることが好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、下記好適な態様1又は2であることが好ましく、下記好適な態様2であることがより好ましい。
<好適な態様1>
上記SBRは、本発明の効果がより優れる理由から、末端にヒドロキシ基又はアルコキシシリル基を有する末端変性SBRであることが好ましく、末端にヒドロキシ基を有する末端変性SBRであることがより好ましい。
<好適な態様2>
上記SBRは、本発明の効果がより優れる理由から、スチレン単位と1,3−ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン系重合体鎖の活性末端と、ポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
また、上記共役ジエン系重合体鎖は、本発明の効果がより優れる理由から、重合体ブロックAと、上記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
上記重合体ブロックAは、イソプレン単位およびスチレン単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、スチレン単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
上記重合体ブロックBは、1,3−ブタジエン単位およびスチレン単位を含むのが好ましい。
以下、スチレン単位と1,3−ブタジエン単位とイソプレン単位とを含む共役ジエン系重合体鎖の活性末端と、ポリオルガノシロキサンとが結合してなる共役ジエン系ゴムであって、
上記共役ジエン系重合体鎖が、重合体ブロックAと、上記重合体ブロックAと一続きに形成された重合体ブロックBとを有し、
上記重合体ブロックAが、イソプレン単位およびスチレン単位を含み、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、スチレン単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000であり、
上記重合体ブロックBが、1,3−ブタジエン単位およびスチレン単位を含む共役ジエン系ゴムを、「特定共役ジエン系ゴム」とも言う。
特定共役ジエン系ゴムにおける、共役ジエン系重合体鎖、共役ジエン系重合体鎖が有する重合体ブロックA及び重合体ブロックB、並びに、ポリオルガノシロキサンについては後述のとおりである。
特定共役ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、下記工程AとBとCとをこの順に備える共役ジエン系ゴムの製造方法により製造される共役ジエン系ゴムであることが好ましい。
・工程A:イソプレンおよびスチレンを含む単量体混合物を重合することにより、イソプレン単位含有量が80〜95質量%であり、スチレン単位含有量が5〜20質量%であり、重量平均分子量が500〜15,000である、活性末端を有する重合体ブロックAを形成する工程
・工程B:上記重合体ブロックAと、1,3−ブタジエンおよびスチレンを含む単量体混合物とを混合して重合反応を継続し、活性末端を有する重合体ブロックBを、上記重合体ブロックAと一続きにして形成することにより、上記重合体ブロックAおよび上記重合体ブロックBを有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程
・工程C:上記共役ジエン系重合体鎖の上記活性末端に、ポリオルガノシロキサンを反応させる工程
各工程の具体例は特開2016−47883号公報の段落[0017]〜[0056]に記載のとおりであり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
<含有量>
上述のとおり、ジエン系ゴム中、上記SBRの含有量は10〜90質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、20〜70質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
〔BRとSBRの合計の含有量〕
ジエン系ゴム中、BRとSBRの合計の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
〔その他のジエン系ゴム〕
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、上述したBR及びSBRいずれにも該当しないジエン系ゴム(その他のジエン系ゴム)をさらに含有していてもよい。そのようなジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
ジエン系ゴム中のその他のジエン系ゴムの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0〜30質量%であることが好ましい。
〔分子量〕
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果がより優れる理由から、100,000〜10,000,000であることが好ましく、300,000〜3,000,000であることがより好ましい。
また、本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は、50,000以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5,000,000以下であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。
なお、ジエン系ゴムに含まれる少なくとも1種のジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることが好ましく、ジエン系ゴムに含まれるすべてのジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることがより好ましい。
上記Mw及びMnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
[シリカ]
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜300m/gであることが好ましく、150〜280m/gであることがより好ましく、180〜270m/gであることがさらに好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、60〜200質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、60〜130質量部であることが好ましく、70〜110質量部であることがより好ましい。
[特定有機ケイ素化合物]
本発明の組成物に含有される特定有機ケイ素化合物は、下記式(I)で表される。
上述のとおり、特定有機ケイ素化合物は、ブタジエンとシリカとを結びつけるカップリング剤として機能し、シリカのブタジエンゴム相への分配を高め、シリカの分散性を向上させるものと考えられる。

上記式(I)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、fは、0以上の数を表し、e及びgは、それぞれ独立して、0より大きい数を表し、mは、1〜3の整数を表す。ただし、各繰り返し単位の順序は任意である。
が複数存在する場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。Rが複数存在する場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
上記炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
上述のとおり、式(I)中、eは0より大きい数(好ましくは、0より大きい整数)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、40以下であることがさらに好ましい。
上述のとおり、式(I)中、fは、0以上の数(好ましくは、0以上の整数)を表す。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、1以下であることが特に好ましい。
上述のとおり、式(I)中、gは0より大きい数(好ましくは、0より大きい整数)を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
式(I)中のe、f及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、e/(e+f+g)が0.50〜0.90であることが好ましく、0.60〜0.85であることがより好ましく、0.70〜0.80であることがさらに好ましく、0.72〜0.75であることが特に好ましい。
式(I)中のe、f及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、f/(e+f+g)が0.28未満であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましく、0.10以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されず、0である。
式(I)中のe、f及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、g/(e+f+g)が0.10〜0.50であることが好ましく、0.15〜0.40であることがより好ましく、0.20〜0.30であることがさらに好ましく、0.25〜0.28であることが特に好ましい。
式(I)中のf及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、g/(f+g)が0.30以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましい。上限は特に制限されず、1である。
式(I)中のe、f及びgは、本発明の効果がより優れる理由から、(f+g)/(e+f+g)が0.05〜0.50であることが好ましく、0.10〜0.40であることがより好ましく、0.20〜0.30であることがさらに好ましく、0.20超0.30未満であることが特に好ましく、0.25〜0.28であることが最も好ましい。
特定有機ケイ素化合物の数平均分子量(Mn)は、50,000未満である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、25,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000以上であることが好ましい。
上記Mnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
〔特定有機ケイ素化合物の製造方法〕
特定有機ケイ素化合物の製造方法は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、下記スキームに示されるように、式(II)で表されるポリブタジエンと式(III)で表される有機ケイ素化合物とを白金化合物含有触媒の存在下、好ましくは白金化合物含有触媒および助触媒の存在下でヒドロシリル化することで製造する方法が好ましい。
上記式(II)及び(III)中、R、R、f、e、g及びmの定義、具体例及び好適な態様は、それぞれ上述した式(I)中のR、R、f、e、g及びmと同じである。
式(II)中のe及びf+gは、本発明の効果がより優れる理由から、e/(e+f+g)が0.50〜0.90であることが好ましく、0.60〜0.85であることがより好ましく、0.70〜0.80であることがさらに好ましく、0.72〜0.75であることが特に好ましい。
式(II)中のe及びf+gは、本発明の効果がより優れる理由から、(f+g)/(e+f+g)が0.05〜0.50であることが好ましく、0.10〜0.40であることがより好ましく、0.20〜0.30であることがさらに好ましく、0.20超0.30未満であることが特に好ましく、0.25〜0.28であることが最も好ましい。
式(II)で表されるポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は、本発明の効果がより優れる理由から、25,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1,000以上であることが好ましい。
上記Mnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
式(II)で表されるポリブタジエンは、市販品として入手することもでき、例えば、NISSO−PB B−1000、NISSO−PB B−2000、NISSO−PB B−3000(以上、日本曹達(株)製)、Ricon130、Ricon131、Ricon134、Ricon142、Ricon150、Ricon152、Ricon153、Ricon154、Ricon156、Ricon157(以上、CRAY VALLEY社製)、LBR−302、LBR−307、LBR−305、LBR−300、LBR−352、LBR−361(以上、(株)クラレ製)が上市されている。
一方、式(III)で表される有機ケイ素化合物としては、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、トリエトキシシランが好ましい。
上記ヒドロシリル化反応に用いられる白金化合物含有触媒としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等や、白金−炭素、白金−アルミナ、白金−シリカ等の担持触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化の際の選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や、生産性等の点から、式(III)で示される有機ケイ素化合物1molに対し、含有される白金原子が1×10−7〜1×10−2molとなる量が好ましく、1×10−7〜1×10−3molとなる量がより好ましい。
上記反応における助触媒としては、無機酸のアンモニム塩、酸アミド化合物及びカルボン酸から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
無機酸のアンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アミド硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられるが、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、pKaが2以上の無機酸のアンモニウム塩が好ましく、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムがより好ましい。
酸アミド化合物の具体例としては、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、アクリルアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、フタルアミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、メトキシ酢酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、乳酸、グリコール酸等が挙げられ、これらの中でも、ギ酸、酢酸、乳酸が好ましく、酢酸がより好ましい。
助触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性、選択性、コスト等の観点から式(III)で示される有機ケイ素化合物1molに対して1×10−5〜1×10−1molが好ましく、1×10−4〜5×10−1molがより好ましい。
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ヒドロシリル化反応における反応温度は特に限定されるものではなく、本発明の効果がより優れる理由から、0〜200℃が好ましい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40〜110℃がより好ましく、40〜90℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1〜60時間程度であるが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がより好ましい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、上述したブタジエンゴムの含有量に対して、1.0〜25.0質量%である。以下、ブタジエンゴムの含有量に対する特定有機ケイ素化合物の含有量を「特定Si/BR」とも言う。
特定Si/BRは、本発明の効果がより優れる理由から、3.0〜22.0質量%であることが好ましく、7.0〜18.0質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して、1.0〜20.0質量%であることが好ましく、2.0〜15.0質量%であることがより好ましく、5.0〜10.0質量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物において、特定有機ケイ素化合物の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、10質量部以上であることが好ましい。
[任意成分]
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲で上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、シランカップリング剤、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、プロセスオイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
〔カーボンブラック〕
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。上記カーボンブラックは、1種のカーボンブラックを単独で用いても、2種以上のカーボンブラックを併用してもよい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m/gであることが好ましく、70〜150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。
〔シランカップリング剤〕
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(S)で表される化合物が好ましい。
(C2n+1O)−Si−C2m−S−CO−C2k+1 式(S)
式(S)中、nは1〜3の整数を表し、mは1〜5の整数(好ましくは、2〜4の整数)を表し、kは1〜15の整数(好ましくは、5〜10の整数)を表す。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
[2]空気入りタイヤ
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造された空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表す空気入りタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔SBR1(特定共役ジエン系ゴム)の製造〕
窒素置換された100mLアンプル瓶に、シクロヘキサン(35g)、およびテトラメチルエチレンジアミン(1.4mmol)を添加し、さらに、n−ブチルリチウム(4.3mmol)を添加した。次いで、イソプレン(21.6g)、およびスチレン(3.1g)をゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、活性末端を有する重合体ブロックAを得た。この重合体ブロックAについて、重量平均分子量、分子量分布、スチレン単位含有量、イソプレン単位含有量、および1,4−結合含有量を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
次に、撹拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン(4000g)、1,3−ブタジエン(474.0g)、およびスチレン(126.0g)を仕込んだ後、上記にて得られた活性末端を有する重合体ブロックAを全量加え、50℃で重合を開始した。重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、次いで、下記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンAを、エポキシ基の含有量が1.42mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20質量%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、特定共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(イルガノックス1520、BASF社製)を少量添加し、伸展油としてフッコールエラミック30(新日本石油(株)製)を特定共役ジエン系ゴム100質量部に対して25質量部添加した後、スチームストリッピング法により固形状のゴムを回収した。得られた固形状のゴムをロールにより脱水し、乾燥機中で乾燥を行い、固形状の特定共役ジエン系ゴムを得た。
上記式(4)中、X1、X4、R1〜R3およびR5〜R8はメチル基である。上記式(4)中、mは80、kは120である。上記式(4)中、X2は下記式(5)で表される基である(ここで、*は結合位置を表す)。
なお、得られた特定共役ジエン系ゴムについて、重量平均分子量、分子量分布、3分岐以上のカップリング率、スチレン単位含有量、ビニル結合含有量、および、ムーニー粘度を測定した。測定結果を表2に示す。測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量、分子量分布および3分岐以上のカップリング率)
重量平均分子量、分子量分布および3分岐以上のカップリング率(特定共役ジエン系ゴムに対する「3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体」の割合(質量%))については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、そのチャートに基づいて求めた。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの具体的な測定条件は、以下のとおりである。
・測定器:HLC−8020(東ソー社製)
・カラム:GMH−HR−H(東ソー社製)2本を直列に連結した
・検出器:示差屈折計RI−8020(東ソー社製)
・溶離夜:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
ここで、3分岐以上のカップリング率は、全溶出面積(s1)に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の2.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積(s2)の比(s2/s1)である。
(スチレン単位含有量およびビニル結合含有量)
スチレン単位含有量およびビニル結合含有量については、H−NMRにより測定した。
(ムーニー粘度)
ムーニー粘度(ML1+4、100℃))については、JIS K6300−1:2013に準じて測定した。
〔特定有機ケイ素化合物の製造〕
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130(Cray Vally社製、数平均分子量:2,500、上述した式(II)で表されるポリブタジエン、式(II)中、(f+g)/(e+f+g)=0.28)100g、トルエン200g、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として0.52×10−4モル)、および酢酸0.31g(0.52×10−2モル)を納めた。この中に、トリエトキシシラン85g(0.52モル)を内温75〜85℃で2時間かけて滴下した後、80℃で1時間撹拌した。
撹拌終了後、減圧濃縮および濾過し、特定有機ケイ素化合物(式(I)中、e=33、f=0、g=13、粘度:2,000mPa・s、数平均分子量:4,600)を得た。
〔ゴム組成物の調製〕
下記のとおり、ゴム組成物を調製した。
<比較例1及び参考例1>
BR又はNR、及び、シランカップリング剤を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで混練りし、所定時間の経過後、ミキサーから放出して室温冷却させた。これを、下記表3又は4に示される成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分と共に1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入して混練りし、所定時間経過後、ミキサーから放出して室温冷却させた。これを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し、硫黄及び加硫促進剤を加えて混合することにより、ゴム組成物を調製した。
<比較例2〜6及び実施例1〜14並びに参考例2>
下記表3又は4に示される成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで混練りし、所定時間の経過後、ミキサーから放出して室温冷却させた。これを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し硫黄及び加硫促進剤を加えて混合することにより、ゴム組成物を調製した。
下記表3及び4における各成分の値は質量部である。
なお、ジエン系ゴムが油展品である場合、下記表3及び4のジエン系ゴムの質量部は油展オイルを除いた正味のゴムの量(質量部)を表す。
〔評価〕
得られたゴム組成物について下記のとおり評価を行った。
<未加硫ペイン効果>
得られたゴム組成物(未加硫)について、歪せん断応力測定機(RPA2000、α−テクノロジー社製)により、歪0.28%の歪せん断弾性率G′と歪30.0%の歪せん断弾性率G′とを測定し、その差G′0.28(MPa)−G′30.0(MPa)を未加硫ペイン効果として算出した。
結果を表3及び4に示す。結果は、実施例及び比較例については、比較例1を100とする指数で表し、参考例については、参考例1を100とする指数で表した。指数が小さいほどシリカ分散性に優れることを意味する。
<破断伸び>
得られたゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で15分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。そして、加硫ゴムシートを厚さ2mmのダンベル状(ダンベル状3号形)に切り出して試験片とした。
得られた試験片について、JIS K6251:2010に準じ、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で破断伸び(=破断時の伸び率)を測定した。
結果を表3及び4に示す。結果は、実施例及び比較例については、比較例1を100とする指数で表し、参考例については、参考例1を100とする指数で表した。指数が大きいほど靭性に優れることを意味する。
上記表3及び4に示される各成分の詳細は以下のとおりである。なお、BR、SBR1〜4及びNRの数平均分子量(Mn)は、50,000以上である。
・BR:日本ゼオン社製Nipol BR1220
・SBR1:上述のとおり製造したSBR1(特定共役ジエン系ゴム)(溶液重合SBR、スチレン単位含有量:42.6質量%、ビニル構造の割合:29.5モル%)
・SBR2:旭化成社製TUFDENE E581(末端にヒドロキシ基を有する末端変性溶液重合SBR、スチレン単位含有量:40質量%、ビニル構造の割合:44モル%)
・SBR3:日本ゼオン社製NS616(末端にヒドロキシ基を有する末端変性溶液重合SBR、スチレン単位含有量:20.9質量%、ビニル構造の割合:63.3モル%)
・SBR4:JSR社製HPR355(末端にアルコキシシリル基を有する末端変性溶液重合SBR、スチレン単位含有量:27質量%、ビニル構造の割合:58モル%)
・NR:天然ゴム
・シリカ1:ローディア社製ZEOSIL 1165MP、CTAB=155m/g
・シリカ2:ローディア社製ZEOSIL 200MP、CTAB=200m/g
・カーボンブラック:キャボットジャパン社製ショウブラックN339、窒素吸着比比表面積(NSA)=90m/g)
・特定有機ケイ素化合物:上述のとおり製造された特定有機ケイ素化合物
・シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ステアリン酸YR
・老化防止剤:Solutia Europe社製Santoflex 6PPD
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・硫黄:軽井沢精錬所社製油処理イオウ
・加硫促進剤CZ:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤DPG:Flexsys社製Perkacit DPG
表3中、「特定Si/BR」は、上述した「特定Si/BR」を表す。
また、表4中、「特定Si/NR」は、天然ゴムの含有量に対する特定有機ケイ素化合物の含有量を表す。
表3から分かるように、特定有機ケイ素化合物を含有しない比較例1及び2と比較して、特定有機ケイ素化合物を含有する実施例1〜14は、優れたシリカ分散性及び靭性を示した。
一方、特定有機ケイ素化合物を含有するが「特定Si/BR」が1.0質量%に満たない比較例6、及び、ブタジエンゴムを含有しない比較例3は、シリカ分散性及び靭性が不十分であった。
ここで、実施例1と実施例8〜12と比較例6との対比から分かるように、「特定Si/BR」を1.0質量%以上にすることでシリカ分散性及び靭性が大幅に向上した。すなわち、「特定Si/BR」とシリカ分散性及び靭性との間に顕著な臨界性が見られた。
また、表4から分かるように、BRの代わりにNRを使用した場合には、特定有機ケイ素化合物を配合しても、シリカ分散性及び靭性が十分に向上しなかった。
実施例1及び8〜12の対比(特定有機ケイ素化合物の含有量のみが異なる態様同士の対比)から、「特定Si/BR」が2.0〜20.0質量%である実施例1及び9〜11は、より優れたシリカ分散性及び靭性を示した。なかでも、「特定Si/BR」が5.0質量%以上である実施例1及び実施例10〜11は、さらに優れたシリカ分散性及び靭性を示した。そのなかでも、「特定Si/BR」が10.0質量%以上である実施例10〜11は、さらに優れたシリカ分散性を示した。そのなかでも、「特定Si/BR」が15.0質量%以上である実施例11は、さらに優れたシリカ分散性を示した。
実施例1と2との対比(BR及びSBR1の含有量のみが異なる態様同士の対比)から、ジエン系ゴム中のブタジエンゴムの含有量が70質量%以上である実施例2は、より優れたシリカ分散性及び靭性を示した。
実施例1と3と4との対比(シリカの含有量のみが異なる態様同士の対比)から、シリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して140質量部以下である実施例1及び3は、より優れたシリカ分散性及び靭性を示した。なかでも、シリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して100質量部以下である実施例1は、さらに優れたシリカ分散性及び靭性を示した。
実施例1と5と6と7との対比(SBRの種類のみが異なる態様同士の対比)から、SBRが特定共役ジエン系ゴムである実施例1は、より優れた靭性を示した。
実施例3と14との対比(シリカの種類のみが異なる態様同士の対比)から、CTABが180m/g以下である実施例3は、より優れたシリカ分散性及び靭性を示した。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (3)

  1. ブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、下記式(I)で表される有機ケイ素化合物とを含有し、
    前記ジエン系ゴム中、前記ブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、前記溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量が10〜90質量%であり、
    前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、60〜200質量部であり、
    前記有機ケイ素化合物の含有量が、前記ブタジエンゴムの含有量に対して、1.0〜25.0質量%である、ゴム組成物。

    上記式(I)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、fは、0以上の数を表し、e及びgは、それぞれ独立して、0より大きい数を表し、mは、1〜3の整数を表す。ただし、各繰り返し単位の順序は任意である。
  2. 前記シリカのCTAB吸着比表面積が、150〜270m/gである、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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