JP2019048316A - Al含有鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Masafumi Hanao
方史 花尾
景都 鎌野
Keito Kamano
景都 鎌野
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Abstract

【課題】鋳型表面温度の変動及びブレイクアウト予知システムの誤作動を防止するとともに、鋳片の表面欠陥の発生を抑制し、安定して高品質な鋳片を製造可能なAl含有鋼の連続鋳造方法を提供する。【解決手段】Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼の連続鋳造方法であって、電磁ブレーキ強度を3000G以上、鋳型振動のストロークを3mm以上8mm以下、吐出角度が下向き30°以上45°以下の浸漬ノズルを溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下で浸漬し、前記鋳型内の溶鋼に対してモールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下、SiO2を15%以上45%以下、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下、Fを5%以上25%以下含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下とされ、CaOのSiO2に対する質量濃度比が1.3以上、凝固点が1230℃以上とされている。【選択図】なし

Description

本発明は、Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼を連続鋳造するAl含有鋼の連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造を行う際には、鋳型内の溶鋼湯面上に連続鋳造用モールドフラックス(以下、「モールドフラックス」と記載する場合がある)が添加される。このモールドフラックスは、鋳型内の溶鋼表面において溶融して鋳型壁と凝固殻との間に流入する。
そして、モールドフラックスは、鋳型壁と凝固殻との間でフラックスフィルムを形成し、鋳型と凝固殻の間で潤滑作用を奏する。
また、このフラックスフィルムによって鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。
上述のモールドフラックスは、一般的にSiO、CaO,アルカリ金属酸化物、Fを主成分とする複合酸弗化物であり、この組成中に生じる主な結晶相としてはcuspidine(CaSi)、あるいは、gehlenite(CaAlSiO)等の鉱物相となる。なお、gehlenite相は融点が高いため、フラックスフィルムの主体がgehlenite相となると、モールドフラックスの流入が阻害されてしまい、潤滑及び緩冷却化が不十分となる。
ここで、Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼を連続鋳造する際には、溶鋼中のAlがモールドフラックスの成分と反応し、モールドフラックスの特性が変化してしまい、上述のgehlenite相が形成され、潤滑作用及び緩冷却化が不十分となり、鋳片の表面に割れや凹み等の欠陥が生じるおそれがあった。
すなわち、溶鋼中のAlがSiOと反応することでSiOが消費されてしまい、フラックスフィルムが安定してcuspidine相とならず、鋳片の表面欠陥が生じることになる。
そこで、例えば、特許文献1,2には、Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼を連続鋳造する際に、鋳片の表面欠陥を抑制する技術が提案されている。
特許文献1においては、Al含有鋼を2.0m/min以上の鋳造速度で鋳造するためのモールドフラックスが提案されている。このモールドフラックスにおいては、MgO濃度と塩基度を所定の範囲に規定することにより、高融点の結晶相であるgehlenite相の生成を回避して、鋳型内潤滑不良の抑制を図っている。
また、特許文献2においては、モールドフラックスの組成を規定するとともに、溶鋼を注湯する浸漬ノズルの吐出角度、鋳型振動の条件、鋳型内溶鋼撹拌の条件を適正化することにより、鋳型内の溶鋼表面変動や熱流束を制御して、不均一凝固及び鋳片の表面割れの抑制を図っている。
特開2005−152973号公報 特開2008−030062号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、単にモールドフラックスの組成を規定しているが、このモールドフラックスの組成では、鋳型内における凝固殻の生成状況を安定して制御することができず、鋳片の表面欠陥の発生を十分に抑制することができなかった。
また、特許文献2に記載された方法では、モールドフラックスの組成とともに、鋳型内の溶鋼の流動を制御しているが、このモールドフラックスの組成や鋳型内流動の制御のみでは、凝固殻を安定して均一に形成させることができず、不均一凝固及び鋳片の表面割れ
十分に抑制することはできなかった。
ところで、Al含有鋼を連続鋳造する際には、上述のようにフラックスフィルムが結晶化することにより、凝固殻(特にその先端部)が緩冷却され、均一に成長することになるが、凝固殻自体は薄くなる。この薄い凝固殻が、浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流の衝突により、更に薄くなる場合がある。これにより、鋳型表面温度の変動が大きくなることがあった。
さらに、Al含有鋼は、高温延性が比較的高いため、その凝固殻が溶鋼の静圧を受けてフラックスフィルムを押圧するため、鋳型とフラックスフィルムとが強く接触することになり、わずかな状態変化によって鋳型温度がさらに変動しやすくなる。
通常、鋳型には熱電対が埋設されており、鋳型表面温度が連続的に計測されている。この温度変化が大きく、あるいは、不安定な挙動を示す場合には、凝固殻の破断や溶鋼の漏れ(ブレイクアウト)等のトラブルを未然に防止するために、鋳造速度を低下させる制御システム(以下、ブレイクアウト予知システム)が導入されている。
このため、緩冷却化のために結晶化しやすいモールドフラックスを用いてAl含有鋼を連続鋳造した場合には、上述の鋳型表面温度の変動に起因して、実際には凝固殻が破断していないのに、ブレイクアウト予知システムによって自動的に鋳造速度が低下し、鋳造を効率良く行うことができないといった問題があった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、鋳型表面温度の変動及びブレイクアウト予知システムの誤作動を防止するとともに、鋳片の表面欠陥の発生を抑制し、安定して高品質な鋳片を製造可能なAl含有鋼の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るAl含有鋼の連続鋳造方法は、Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼を連続鋳造するAl含有鋼の連続鋳造方法であって、鋳型内の溶鋼に作用させる電磁ブレーキ強度を3000G以上とし、鋳型振動のストロークを3mm以上8mm以下の範囲内とし、吐出角度が下向き30°以上45°以下の浸漬ノズルを、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下の範囲内で浸漬し、当該浸漬ノズルから前記鋳型内に溶鋼を供給するとともに、前記鋳型内の溶鋼に対してモールドフラックスを供給する構成とされており、前記モールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiOを15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、CaOのSiOに対する質量濃度比が1.3以上とされた組成を有し、凝固点が1230℃以上とされていること特徴としている。
この構成のAl含有鋼の連続鋳造方法によれば、鋳型内の溶鋼に作用させる電磁ブレーキ強度を3000G以上、吐出角度が下向き30°以上45°以下の浸漬ノズルを溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下の範囲内で浸漬し、当該浸漬ノズルから前記鋳型内に溶鋼を供給する構成とされていることから、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流の流速が電磁ブレーキによって抑えられることになり、鋳型表面に形成された凝固殻に強く衝突することを抑制でき、凝固殻の厚さ変動を抑制することができる。
また、鋳型振動のストロークを3mm以上としているので、モールドフラックスの流入を促進でき、緩冷却化を図ることができる。さらに、鋳型振動のストロークを8mm以下としているので、オシレーションマークが深くならず、表面割れの発生を抑制することができる。
そして、モールドフラックスとして、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiOを15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、CaOのSiOに対する質量濃度比が1.3以上とされた組成を有し、さらに凝固点が1230℃以上とされたものを用いているので、フラックスフィルムがcuspidine(CaSi)の結晶相が主体となりやすく、鋳型内を緩冷却でき、凝固殻を均一した厚さで安定して形成することが可能となる。
したがって、鋳片表面欠陥の発生を抑制し、高品質な鋳片を製造することができる。また、鋳型表面温度の変動が抑制され、ブレイクアウト予知システムの誤作動を防止でき、安定して効率的にAl含有鋼の鋳片を連続鋳造することができる。
ここで、本発明のAl含有鋼の連続鋳造方法においては、前記モールドフラックスは、前記モールドフラックスに含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWと表記した場合において、SiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足することが好ましい。
(1)式:0.9≦f(1)=(CaO)/(SiO≦1.9
(2)式:0.1≦f(2)=(CaF/{(CaO)+(SiO+(CaF}≦0.4
(3)式:0≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)+(Al}/{(CaO)+(SiO+(アルカリ金属の弗化物)+(Al}≦0.4
ここで、
(SiO=WSiO2
(Al=WAl2O3
(CaF=(W−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(CaO)=(WCaO−(CaF×0.718)
(アルカリ金属の弗化物)=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
この構成のAl含有鋼の連続鋳造方法によれば、前記モールドフラックスが、SiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fを主成分としており、これらの含有量が、上述の(1)〜(3)式を満足しているので、主にcuspidine(CaSi)からなる結晶相からなるフラックスフィルムを安定して形成することができ、均一な厚みの凝固殻を安定して成長させることが可能となる。よって、鋳片表面欠陥の発生を抑制し、高品質な鋳片を製造することができる。また、鋳型表面温度の変動が抑制され、ブレイクアウト予知システムの誤作動を防止でき、安定して効率的にAl含有鋼の鋳片を連続鋳造することができる。
上述のように、本発明によれば、鋳型表面温度の変動及びブレイクアウト予知システムの誤作動を防止するとともに、鋳片の表面欠陥の発生を抑制し、安定して高品質な鋳片を製造可能なAl含有鋼の連続鋳造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法においては、Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼からなる鋳片を連続鋳造するものである。
そして、本実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法においては、鋳型内の溶鋼に作用させる電磁ブレーキ強度を3000G以上、鋳型振動のストロークを3mm以上8mm以下の範囲内に設定している。
また、浸漬ノズルとして吐出角度が下向き30°以上45°以下のものを使用し、この浸漬ノズルを、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下の範囲内となるように、鋳型内の溶鋼中に浸漬し、当該浸漬ノズルから鋳型内に溶鋼を供給する構成としている。
さらに、鋳型内の溶鋼に対してモールドフラックスを供給し、鋳型壁と凝固殻との間でフラックスフィルムを形成させている。
ここで、本実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法に用いられるモールドフラックスについて説明する。
このモールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiOを15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、CaOのSiOに対する質量濃度比が1.3以上とされた組成を有し、凝固点が1230℃以上とされている。すなわち、SiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fを主成分とするものである。なお、本実施形態におけるモールドフラックスにおいては、溶融速度を調整するために。骨材としてC(炭素)が配合されることもある。
ここで、「その他の成分」とは、配合成分に含まれるFe等の不純物であり、上述のように意図的に添加する「C」等は含まないものである。
さらに、このモールドフラックスは、モールドフラックスに含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWと表記した場合において、主成分であるSiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足する。
(1)式:0.9≦f(1)=(CaO)/(SiO≦1.9
(2)式:0.1≦f(2)=(CaF/{(CaO)+(SiO+(CaF}≦0.4
(3)式:0≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)+(Al}/{(CaO)+(SiO+(アルカリ金属の弗化物)+(Al}≦0.4
ここで、
(SiO)h=WSiO2
(Al=WAl2O3
(CaF=(W−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(CaO)=(WCaO−(CaF×0.718)
(アルカリ金属の弗化物)=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
ここで、上述の(1)式は、モールドフラックスの組成におけるCaO/SiOの濃度比を、cuspidine(CaSi)における質量濃度比に近似するように規定したものである。 すなわち、cuspidine(CaSi)の組成におけるCaO/SiOの質量濃度比が(56×3)/(60×2)=1.4であることから、モールドフラックスの組成におけるCaO/SiOの濃度比を、1.4を中央値とした上記範囲内に規定しているのである。
(2)式及び(3)式についても、(1)式と同様に、モールドフラックスの組成が、cuspidine(CaSi)の組成に近似するようにそれぞれ規定したものである。
なお、上述の(1)〜(3)式で用いられる(CaO),(アルカリ金属の弗化物)及び(CaFについて、LiO,NaO,KOの質量濃度を用いて規定している理由を以下に示す。
モールドフラックスが溶融した状態の構造は、一般的にイオンの集合体であると考えられる。すなわち、CaFやCaO等の化合物原料を配合してモールドフラックスを製造しても、溶融状態では、Ca2+,F,O2−の各イオンになっていると考えられる。
イオン集合体の状態におけるイオン間の親和性を考慮すると、Fイオンは、Caイオンよりも、Liイオン、Naイオン及びKイオンに対して、より強い親和性を有しているため、モールドフラックスが溶融した状態では、CaFとLiO、NaO及びKOとが反応し、CaOが生成することになる。
したがって、弗化物の状態を定量的に把握する場合には、以下の2点を考慮することで精度が向上することになる。
<1> モールドフラックス中のFは、Li,Na,Kと優先的に化合する。
<2> Li,Na,Kと化合した後に残存したFがCaと化合する。
以上のことから、上述の(1)〜(3)式においては、LiO,NaO,KOの質量濃度を用いて、それぞれの化合物の質量濃度を規定している。
以上のような構成とされた本実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法によれば、鋳型内の溶鋼に作用させる電磁ブレーキ強度を3000G以上とし、吐出角度が下向き30°以上45°以下の浸漬ノズルを溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下の範囲内で浸漬し、当該浸漬ノズルから前記鋳型内に溶鋼を供給する構成とされていることから、浸漬ノズルからの溶鋼吐出流の流速が電磁ブレーキによって抑えられることになり、鋳型表面に形成された凝固殻に強く衝突することを抑制でき、凝固殻の厚さ変動を抑制することができる。
なお、吐出流の衝突を確実に抑制するためには、電磁ブレーキ強度を3500G以上とすることが好ましく、浸漬ノズルの吐出角度を下向き35°以上45°以下の範囲内とすることが好ましく、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離を300mm以上400mm以下とすることが好ましい。
また、鋳型振動のストロークを3mm以上としているので、モールドフラックスの流入を促進でき、緩冷却化を図ることができる。さらに、鋳型振動のストロークを8mm以下としているので、オシレーションマークが深くならず、表面割れの発生を抑制することができる。
なお、モールドフラックスの流入をさらに促進するためには、鋳型振動のストロークの下限を4mm以上とすることが好ましい。一方、オシレーションマークの深さをさらに浅くするためには、鋳型振動のストロークの上限を7mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態では、モールドフラックスとして、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiOを15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、CaOのSiOに対する質量濃度比が1.3以上とされた組成を有し、さらに凝固点が1230℃以上とされたものを用いているので、フラックスフィルムはcuspidine(CaSi)の結晶相が主体となり、鋳型内を安定して緩冷却でき、凝固殻を均一した厚さで安定して形成することが可能となる。
なお、CaOの含有量は45%以上55%以下の範囲内とすることが好ましく、SiOの含有量は20%以上35%以下の範囲内とすることが好ましく、アルカリ金属酸化物の一種以上の含有量を合計で0.1%以上10%以下の範囲内とすることが好ましく、Fの含有量を5%以上15%以下の範囲内とすることが好ましい。また、凝固点は1230℃以上であることが好ましい。
さらに、本実施形態では、モールドフラックスが、SiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fを主成分としており、これらの含有量が、上述の(1)〜(3)式を満足しているので、主にcuspidine(CaSi)からなる結晶相からなるフラックスフィルムを安定して形成することができ、均一な厚みの凝固殻を安定して成長させることが可能となる。
なお、モールドフラックスの組成をさらにcuspidineの組成に近似させるためには、f(1)が、1.1≦f(1)≦1.7の範囲であることが好ましく、f(2)が、0.15≦f(2)≦0.30の範囲であることが好ましく、f(3)が、0.02≦f(3)≦0.20の範囲であることが好ましい。
したがって、本実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法によれば、鋳片表面欠陥の発生を抑制し、高品質な鋳片を製造することができる。また、鋳型表面温度の変動が抑制され、ブレイクアウト予知システムの誤作動を防止でき、安定して効率的にAl含有鋼の鋳片を連続鋳造することができる。
以上、本発明の実施形態であるAl含有鋼の連続鋳造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
表1に示す組成のAl含有鋼を、垂直曲げ型連続鋳造機(以下、連鋳機)により鋳造して、熱間圧延用素材のスラブを製造した。連鋳機は2つのストランドから構成され、各ストランドの鋳型を厚み250mmおよび、幅1600mm、長さ1100mmとした。鋳型には、電磁ブレーキを適用した。電磁ブレーキのためのコイル鉄芯の中心を幅中央および、溶鋼表面の高さから下方600mmの高さに配置した。この電磁ブレーキの強度を、表3に示すように2500〜4000Gの範囲で変化させた。
溶鋼を鋳型内へ供給する浸漬ノズルには、円筒二孔型を用いて、その二孔の吐出角度を表3に示すように−60〜−15°の範囲で変化させた。また、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離を表3に示すように260〜500mmの範囲で変化させた。
引き抜き時の潤滑性を得るために鋳型を振動させており、鋳型振動のストロークを表3に示すように2〜10mmの範囲で変化させた。
鋳造中、溶鋼表面の高さを鋳型上端から80mmの位置に一定に制御しながら溶鋼を供給し、鋳造速度は1.3m/minとした。
そして、モールドフラックスとして、表2に示すモールドフラックスA,モールドフラックスBの2種類を用いた。
1回の鋳造あたりに取鍋1杯250tonの溶鋼を供して、長さ7000mmのスラブを各ストランドから5本、合計10本鋳造した。そして、ストランドごとに、電磁ブレーキの強度、浸漬ノズルの吐出角度や深さ、鋳型振動のストローク、モールドフラックスを変更し、鋳造結果を比較した。鋳造条件を表3に示す。
スラブ品質は、スラブの表面割れの個数によって評価した。スラブの表面割れは、スラブの両短辺面および両長辺面に生じる個数を目視により計測した。10本のスラブで割れ個数を計測し、スラブ当たりの割れ個数を算出した。
スラブ品質の評価として、割れ個数が0.5個/スラブ以下のものを「◎」、割れ個数が0.5個/スラブを超え、1.0個/スラブ以下のものを「○」、割れ個数が1.0個/スラブを超えるものを「×」と評価した。評価結果を表4に示す。
また、鋳型の溶鋼表面から下方300mmの位置において、両短辺面の各1か所および、両長辺面の各3か所、全8個所において鋳型銅板中に埋設した熱電対により、鋳造中の鋳型温度を計測し、8個所全部の平均値及び変動幅の最大値を評価した。評価結果を表4に示す。
さらに、温度の計測結果によりブレイクアウト予知システムが作動した場合、その作動した回数を数えた。評価結果を表4に示す。
Figure 2019048316
Figure 2019048316
Figure 2019048316
Figure 2019048316
本発明の実施例1〜9はいずれも、ブレイクアウト予知システムの作動がなく、鋳造は終始安定していた。また、実施例2〜7では一本当たりの割れ個数が0.5個以下であり、実施例1,8,9でも一本当たりの割れ個数が1.0個以下であった。
モールドフラックスを比較すると、モールドフラックスBを用いた場合と比較して、モールドフラックスAを用いた場合の方が、鋳造中の鋳型温度が低く、緩冷却効果があり、その変動幅は小さく、安定した冷却挙動を示した。その結果、モールドフラックスAを用いた場合の方が、スラブの表面割れが少なく、スラブ表面性状も良好であった。
これに対して、比較例1では、スラブ表面性状は良好であったものの、電磁ブレーキ強度が低いために、短辺面への溶鋼吐出流の衝突強度が大きくなることがあり、鋳造の終盤において2回、ブレイクアウトの予知システムが作動した。
比較例2では、浸漬ノズルの浸漬深さが浅く、浸漬ノズルと電磁ブレーキとの距離が離れたため、吐出流に働く制動力が弱くなり、吐出流の衝突強度の上昇により、ブレイクアウト予知システムの作動および、スラブの表面割れが発生した。
比較例3では、浸漬ノズルの浸漬深さが深く、ブレイクアウト予知システムは作動しなかったものの、溶鋼表面の温度が低くなったため、スラブ表面に割れが生じた。
比較例4では、鋳型振動のストロークが小さくオシレーションマークが浅いスラブ表面となったが、部分的に潤滑不良な状態が生じ、表面に割れが生じ、鋳造中にもブレイクアウト予知システムが作動した。
比較例5では、ブレイクアウト予知システムは作動しなかったものの、鋳型振動のストロークが大きくオシレーションマークが全体に深くなり、特に深い部分に沿った割れが生じた。
比較例6では、浸漬ノズルからの吐出流が、本発明の実施例に比べて上を向いていたため、短辺面への衝突強度が大きくなり、鋳型温度の変動が大きくなったため、ブレイクアウト予知システムが作動した他、スラブ表面には、短辺面に割れが生じた。
比較例7では、鋳型温度の変動は小さかったものの、浸漬ノズルからの吐出流が下方へ潜り込み、溶鋼表面への熱供給が不足したため、スラブ表面に割れが生じた。
以上のことから、本発明の実施例によれば、鋳型表面温度の変動及びブレイクアウト予知システムの誤作動を防止するとともに、スラブの表面欠陥の発生を抑制し、安定して高品質なスラブを製造可能であることが確認された。

Claims (2)

  1. Alを質量比で0.1%以上含有するAl含有鋼を連続鋳造するAl含有鋼の連続鋳造方法であって、
    鋳型内の溶鋼に作用させる電磁ブレーキ強度を3000G以上とし、鋳型振動のストロークを3mm以上8mm以下の範囲内とし、
    吐出角度が下向き30°以上45°以下の浸漬ノズルを、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離が300mm以上450mm以下の範囲内で浸漬し、当該浸漬ノズルから前記鋳型内に溶鋼を供給するとともに、前記鋳型内の溶鋼に対してモールドフラックスを供給する構成とされており、
    前記モールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiOを15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、CaOのSiOに対する質量濃度比が1.3以上とされた組成を有し、凝固点が1230℃以上とされていることを特徴とするAl含有鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記モールドフラックスは、前記モールドフラックスに含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWと表記した場合において、SiO、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足することを特徴とする請求項1に記載のAl含有鋼の連続鋳造方法。
    (1)式:0.9≦f(1)=(CaO)/(SiO≦1.9
    (2)式:0.1≦f(2)=(CaF/{(CaO)+(SiO+(CaF}≦0.4
    (3)式:0≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)+(Al}/{(CaO)+(SiO+(アルカリ金属の弗化物)+(Al}≦0.4
    ここで、
    (SiO=WSiO2
    (Al=WAl2O3
    (CaF=(W−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
    (CaO)=(WCaO−(CaF×0.718)
    (アルカリ金属の弗化物)=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
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