JP2019048290A - 多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法 - Google Patents

多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄工程を含む多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法において、界面活性剤を含有する洗浄液(薬液)を用いた場合に、濯ぎのためのリンス水の量を低減することができ、さらに薬液耐性、ろ過性能に優れ、かつ、高寿命のろ過方法の提供。【解決手段】以下の工程:3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;を含むろ過方法であって、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、ことを特徴とする前記ろ過方法。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄工程を含む多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法に関する。より詳しくは、本発明は、洗浄工程を含む多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法において、洗浄液(薬液)に対する耐性に優れたろ過方法に関する。
懸濁水である海水、河川水、湖沼水、地下水等の天然水源から飲料水や工業用水を得るための上水処理、下水等の生活排水を処理して再生水を製造し、放流可能な清澄水にするための下水処理、細胞により有用物を製造するための培養ブロスからの細胞の除去等には、懸濁物を分離・除去するための固液分離操作(除濁操作)が必要である。かかる除濁操作においては、上水処理に関しては懸濁水である天然水源水由来の濁質物(粘土、コロイド、細菌等)が除去され、下水処理に関しては下水中の懸濁物、活性汚泥等により生物処理(2次処理)した処理水中の懸濁物(汚泥等)が除去され、そして培養ブロスからの細胞の除去に関しては、細胞から培地、酵素、蛋白質、アミノ酸、核酸、有機物等の有用物、消泡剤等が分離される。従来、培養ブロスからの菌体分離(除濁操作)には、遠心分離法、珪藻土ろ過法により行われてきたが、近年、これらの方法に代えて、膜ろ過法が普及しつつある。
従来、これらの除濁操作は、主に、加圧浮上法、沈殿法、砂ろ過法、凝集沈殿砂ろ過法、遠心分離法、珪藻土ろ過法等により行われてきたが、近年、これらの方法に代えて、膜ろ過法が普及しつつある。膜ろ過法の利点としては、(1)得られる水質の除濁レベルが高く、かつ、安定している(得られる水の安全性が高い)こと、(2)ろ過装置の設置スペースが小さくてすむこと、(3)自動運転が容易であること等が挙げられる。例えば、海水淡水化逆浸透ろ過の前処理では、加圧浮上法の代替手段として、又は加圧浮上法の後段として、加圧浮上処理された処理水の水質をさらに向上するために膜ろ過法が用いられている。これら膜ろ過による除濁操作には、平均孔径が数nm〜数百nmの範囲の平膜又は中空糸状の多孔質限外ろ過膜や精密ろ過膜が用いられる。
このように、膜ろ過法による除濁操作は、前記した従来の加圧浮上法、砂ろ過法等にはない利点が多くあるために、従来法の代替又は補完手段として、海水淡水化前処理等への普及が進んでおり、また、多孔質膜として以下の特許文献1に記載されるような樹脂により構成される有機膜が多用されている。
特開2011−168741号公報
前記したように、多孔質膜として樹脂により構成される有機膜が多用されているものの、樹脂素材で多孔質ろ過膜を作製する際、製膜方法が異なると膜を構成する素材のミクロ構造に差異が現れる。通常、ろ過運転を継続すると膜は目詰まりを起こすため、多孔質ろ過膜を用いたろ過方法の運転には、洗浄工程が伴う。他方、洗浄工程に界面活性剤を含有する洗浄液(薬剤)を使用した場合に、濯ぎに使用するリンス水の量が多量となり、その処分が問題となる場合がある。また、薬液の使用が膜の強度劣化を誘発する場合がある。このとき、多孔質ろ過膜を構成する素材のミクロ構造に差異があると、繰り返される洗浄工程で使用するリンス水量や、洗浄液(薬液)による多孔質ろ過膜へのダメージの程度が異なる結果、廃液処理、ろ過性能、寿命等に影響を及ぼすという問題がある。
かかる問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、洗浄工程を含む多孔質膜を用いた培養ブロスのろ過方法において、界面活性剤を含有する洗浄液(薬液)を用いた場合に、濯ぎのためのリンス水の量を低減することができ、さらに薬液耐性、ろ過性能に優れ、かつ、高寿命のろ過方法を提供することである。
本願発明者は、前記した課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、多孔質ろ過膜の被処理液側である膜の内側からろ液側である膜の外側に至る細孔の連通性が良好な膜を使用することで、洗浄工程で使用する洗浄液(薬液)として、界面活性剤含有水溶液を使用した場合に、濯ぎのためのリンス水の量を低減でき、さらに薬液による膜の劣化も最小限に抑えることができることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むろ過方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、
該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
ことを特徴とする前記ろ過方法。
[2]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むろ過方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水あり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
ことを特徴とする前記ろ過方法。
[3]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むろ過方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
ことを特徴とする前記ろ過方法。
[4]前記多孔質膜は、該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm超10μm未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のろ過方法。
[5]前記多孔質膜の表面開口率は25〜60%である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のろ過方法。
[6]前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のろ過方法。
[7]前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜100の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のろ過方法。
[8]前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧97%である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のろ過方法。
[9]前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜100の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、110%≧LX/L0×100≧80%である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のろ過方法。
[10]前記多孔質膜は中空糸膜である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のろ過方法。
[11]前記多孔質膜を構成する樹脂は熱可塑性樹脂である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載のろ過方法。
[12]前記熱可塑性樹脂はフッ素樹脂である、前記[11]に記載のろ過方法。
[13]前記フッ素樹脂は、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれる、前記[12]に記載のろ過方法。
[14]前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(PE)である、前記[11]に記載のろ過方法。
[15]前記洗浄液が、0.1重量%以上4重量%以下の水酸化ナトリウム及び0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜苛性水溶液を更に含み、該洗浄工程において、該次亜苛性水溶液による洗浄後、又は該洗浄と同時に、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行う、前記[1]〜[14]のいずれかに記載のろ過方法。
[16]前記リンス水による濯ぎにおいて、20L/m以下の該リンス水の使用により泡立ちが消滅する、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のろ過方法。
[17]前記消泡剤がシリコーン系消泡剤である、前記[1]〜[16]のいずれかに記載のろ過方法。
[18]前記界面活性剤含有水溶液は、ポリアルキレングリコール系の界面活性剤を含有する、前記[1]〜[17]のいずれかに記載のろ過方法。
[19]前記有用物は、酵素、蛋白質、アミノ酸、核酸、及び有機物からなる群から選ばれる、前記[1]〜[18]のいずれかに記載のろ過方法。
[20]前記ろ過工程の前に、遠心分離、フィルタープレス、及び篩処理からなる群から選ばれる前処理工程をさらに含む、前記[1]〜[19]のいずれかに記載のろ過方法。
[21]前記洗浄工程は、前記消泡剤を除去するための前記界面活性剤含有水溶液による洗浄を行う洗浄工程と、その後、残存する界面活性剤を除去するための前記リンス水による濯ぎを行うリンス工程とを含む、前記[1]〜[20]のいずれかに記載の方法。
[22]前記界面活性剤含有水溶液中の界面活性剤の濃度が0.1〜2重量%である、前記[1]〜[21]のいずれかに記載の方法。
[23]前記リンス工程で使用するリンス水の量は、前記多孔質膜の単位面積当たり100L/m以下である、前記[21]又は[22]に記載の方法。
[24]前記リンス工程終了時のろ液中の界面活性剤の残留濃度が10ppm以下である、前記[21]〜[23]のいずれかに記載の方法。
本発明に係る培養ブロスのろ過方法は、多孔質ろ過膜の(被処理液側である膜の内側からろ液側である膜の外側に至る細孔の連通性が良好な膜を使用するため、洗浄工程で使用する洗浄液(薬液)として、界面活性剤含有水溶液を使用した場合に、濯ぎのためのリンス水の量を低減し、さらに薬液による膜の劣化を最小限に抑えることができるため、該薬液を使用した洗浄工程を含む多孔質ろ過膜を用いる培養ブロスのろ過方法において、濯ぎのためのリンス水の量を低減でき、さらに薬液耐性、ろ過性能に優れ、かつ、高寿命のろ過方法である。
本実施形態のろ過方法に用いる多孔質膜の断面のSEM画像の一例である(黒部分は樹脂、白部分は細孔(開孔)を示す)。 実施例1で用いた多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(丸1〜丸4)において、樹脂部の総面積に対する、所定面積を有する樹脂部の面積の合計の割合(%)を示すヒストグラムである。 実施例2で用いた多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(丸1〜丸4)において、樹脂部の総面積に対する、所定面積を有する樹脂部の面積の合計の割合(%)を示すヒストグラムである。 実施例3で用いた多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(丸1〜丸4)において、樹脂部の総面積に対する、所定面積を有する樹脂部の面積の合計の割合(%)を示すヒストグラムである。 比較例2で用いた多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(丸1〜丸4)において、樹脂部の総面積に対する、所定面積を有する樹脂部の面積の合計の割合(%)を示すヒストグラムである。
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態ともいう。)について詳細に説明する。尚、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<ろ過方法>
本実施形態のろ過方法は、3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むろ過方法であって、
該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
ことを特徴とする。
前記有用物は、特に制限されないが、酵素、蛋白質、アミノ酸、核酸、有機物等が挙げられ、細胞、例えば、有用蛋白質を生産する遺伝子組み換え細胞、例えば、CHO細胞により製造されるべき、酵素、蛋白質等を挙げることができる。
また、前記ろ過工程の前、後又は前後に、遠心分離、珪藻土ろ過、他の膜分離、篩処理等の追加の処理工程をさらに含んでもよい。
リンス水は特に制限されず、純水、脱イオン水、水道水等を挙げることができる。
多孔質膜の形状としては特に制限はなく、平膜、管状膜、中空糸膜を挙げることができるが、ろ過装置の省スペース性の観点から、すなわち、膜モジュール単位体積当たりの膜面積を大きくすることができるため、中空糸膜が好ましい。
本実施形態のろ過方法におけるろ過工程としては、例えば、多孔質中空糸膜の中空部(内側表面)に細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロス(被処理液)を供給し、多孔質中空糸膜の膜厚(肉厚)部を通過させ、多孔質中空糸膜の外側表面から滲み出した液体をろ液として取り出す、いわゆる内圧式のろ過工程であってもよいし、多孔質中空糸膜の外側表面から被処理液を供給し、多孔質中空糸膜の内側表面から滲み出したろ液を、中空部を介して取り出す、いわゆる外圧式のろ過工程であってもよい。
本明細書中、用語「多孔質膜の内部」とは、多数の細孔が形成されている膜厚(肉厚)部を指す。
また、本実施形態のろ過方法における洗浄工程は、多孔質膜に洗浄液として、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水(純水)を含み、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行うことを特徴とする。すなわち、洗浄工程は、消泡剤を除去するための界面活性剤含有水溶液による洗浄を行う洗浄工程と、その後、残存する界面活性剤を除去するためのリンス水による濯ぎを行うリンス工程とを含むことができる。
前記消泡剤は特に制限されないが、例えば、ポリアルキレングルコール系消泡剤であることができる。
かかる洗浄液は、0.1重量%以上4重量%以下の水酸化ナトリウム及び0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜苛性水溶液を更に含むことができ、該洗浄工程において、該次亜苛性水溶液による洗浄後、又は該洗浄と同時に、該消泡剤及び界面活性剤を除去するためのリンス水の洗浄を行う。
前記リンス水は、多孔質膜に残存する界面活性剤を除去するためのものであり、通常、水であるが、濯ぎのためのリンス水の量に悪影響を及ぼさない限り、他の成分を含有したものであってもよい。
前記界面活性剤水溶液中に含有される界面活性剤は特に制限されないが、例えば、前記界面活性剤含有水溶液は、陰イオン系の界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤中の界面活性剤の濃度も特に制限されないが、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%であることができる。
前記リンス工程で使用するリンス水の量は、好ましくは、前記多孔質膜の単位面積当たり100L/m以下、より好ましくは50L/m以下であることができ、リンス水による濯ぎにおいて、20L/m以下のリンス水の使用により泡立ちが消滅することがさらに好ましい。
前記リンス工程後に前記ろ過工程終了時の残留濃度は、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下であることができる。
本実施形態の培養ブロスのろ過方法に用いる多孔質膜の構造、素材(材料)、及び製造方法を、以下、詳述する。
<多孔質膜>
本実施形態の培養ブロスのろ過方法に用いる多孔質膜は、該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であるもの;同各領域において、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるもの;同各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるもの;のいずれかである。好ましい多孔質膜は、同各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、1μm超10μm未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるものである。
図1は、本実施形態のろ過方法に用いる多孔質膜の断面のSEM画像の一例である。かかるSEM画像は、中空糸多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の領域の内、内側に最も近い領域の内、内側に最も近い領域内の所定視野を撮影して得たSEM画像写真を二値化処理した画像である。
尚、前記各領域内では、中空糸多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面と、該内側表面に平行する断面との間では、樹脂部の存在分布の差異、すなわち、孔の連通性の異方性は事実上無視することができる。
本明細書中、用語「樹脂部」とは、多孔質膜において多数の孔を形成する、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分である。図1に黒色で示す部分が樹脂部であり、白色の部分が孔である。
多孔質膜内部には、膜の内側から外側まで屈曲しながら連通している連通孔が形成されており、多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であれば、孔の連通性が高い(すなわち、膜内部の連通孔の存在割合が高い)ものとなり、被処理液のフラックス(透水量、透水性)、洗浄後の透水量保持率が高く、引張破断伸度で指標される薬液洗浄後の膜へのダメージも軽減される。しかしながら、樹脂部の総面積に対する1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計の割合が高すぎると、多孔質膜において多数の孔を形成する、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分が細すぎるものとなるため、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であることを維持しつつ、1μm超の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上30%以下で存在するものが好ましく、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下で存在するものがより好ましく、1μm超10μm未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上15%以下で存在するものがさらに好ましい。1μm超の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上30%以下で存在すれば、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分が細すぎないため、多孔質膜の強度、引張破断伸度を適切に維持することができる。
図2〜5は、それぞれ、実施例1、実施例2、実施例3、比較例2で用いた多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(丸1〜丸4)において、樹脂部の総面積に対する、所定面積を有する樹脂部の面積の合計の割合(%)を示すヒストグラムである。図1には、樹脂部が粒状に表れている。図2〜5は、この粒状の樹脂部のそれぞれの面積を計測し、その粒状の樹脂部の面積毎について、各領域内の所定サイズの視野における全樹脂部の総面積に対する面積割合をヒストグラムとして示している。図2〜5における丸1は、多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の領域の内、最も内側に近い領域の番号であり、丸4は、最も内側に近い領域の番号である。例えば、実施例1丸1は、実施例1の多孔質中空糸膜の最も内側の領域内の所定サイズの視野を撮影したときのヒストグラムである。多孔質中空糸膜の各領域内の樹脂部の面積分布の測定方法については、後述する。
多孔質膜の表面開口率は25〜60%であることが好ましく、より好ましくは25〜50%であり、更に好ましくは25〜45%である。処理対象液と接触する側の表面開口率が25%以上であれば、目詰まり、膜表面擦過による透水性能の劣化が小さくなるため、ろ過安定性を高めることができる。他方、表面開口率が高く、孔径が大きすぎると、要求される分離性能を発揮できないおそれがある。そのため、多孔質膜の平均細孔径は100〜700nmであることが好ましく、20〜600nmがより好ましい。平均細孔径が30〜400nmであれば、分離性能は十分であり、孔の連通性も確保できる。表面開口率、平均細孔径の測定方法については、それぞれ後述する。
多孔質膜の膜厚は、好ましくは80〜1,000μmであり、より好ましくは100〜300μmである。膜厚が80μm以上であれば、膜の強度が確保でき、他方、1000μm以下であれば、膜抵抗による圧損が小さくなる。
多孔質中空糸膜の形状としては、円環状の単層膜を挙げることができるが、分離層と分離層を支持する支持層とで違う孔径を持つ多層膜であってもよい。また、膜の内側表面と外側表面で、突起を持つなど異形断面構造であてもよい。
(多孔質膜の素材(材質))
多孔質膜を構成する樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、フッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれるものが挙げられる。
熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィンとの共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン、それらの混合物が挙げられる。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(ヘキサフルオロプロピレンのドメインを含んでもよい)、これらの混合物が挙げられる。これらの樹脂は、は熱可塑性ゆえに取り扱い性に優れ、且つ強靱であるため、膜素材として優れる。これらの中でもフッ化ビニリデン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、ヘキサフルオロプロピレン樹脂又はそれらの混合物、エチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー又はコポリマー、あるいは、ホモポリマーとコポリマーの混合物は、機械的強度、化学的強度(耐薬品性)に優れ、且つ成形性が良好であるために好ましい。より具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合物、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合物、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。
多孔質膜は、熱可塑性樹脂以外の成分(不純物等)を5質量%程度まで含み得る。例えば、多孔質膜製造時に用いる溶剤が含まれる。後述するように、多孔質膜の製造時に溶剤として用いた第1の溶剤(以下、非溶剤ともいう)、第2の溶剤(以下、良溶剤若しくは貧溶剤ともいう)、又はその両方が含まれる。これらの溶剤は、熱分解GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)により検出することができる。
第1の溶剤は、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、及びエポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
また、第2の溶剤は、第1の溶剤と異なり、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、及びエポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。炭素数6以上30以下の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等が挙げられる。また、エポキシ化植物油としては、エポキシ大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
第1の溶剤は、熱可塑性樹脂と第1の溶剤との比率が20:80の第1の混合液において、第1の混合液の温度を第1の溶剤の沸点まで上げても、熱可塑性樹脂が第1の溶剤に均一に溶解しない非溶剤であることが好ましい。
第2の溶剤は、熱可塑性樹脂と第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度で熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解する良溶剤であることが好ましい。
第2の溶剤は、熱可塑性樹脂と第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃では熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解せず、第2の混合液の温度が100℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度では熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解する貧溶剤であることがより好ましい。
また、本実施形態の培養ブロスのろ過方法においては、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた多孔質中空糸膜であって、第1の溶剤(非溶剤)を含むものを用いることができる。
この場合、第1の溶剤は、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であって、ポリフッ化ビニリデンと第1の溶剤との比率が20:80の第1の混合液において、第1の混合液の温度を第1の溶剤の沸点まで上げても、ポリフッ化ビニリデンが第1の溶剤に均一に溶解しない非溶剤であることができる。非溶媒としては、アジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DOA)が好ましい。
また、上記多孔質中空糸膜は、第1の溶剤とは異なる第2の溶剤を含んでもよい。この場合、第2の溶剤は、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であって、ポリフッ化ビニリデンと第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度でポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解する良い溶剤であることが好ましい。また、第2の溶剤は、第2の混合液の温度が25℃ではポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解せず、第2の混合液の温度が100℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度ではポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解する貧溶剤であることがより好ましい。貧溶媒としては、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)が好ましい。
(多孔質膜の物性)
多孔質膜は、洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%であるものが好ましい。また、洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%であるものが好ましい。
引張破断伸度の初期値は60%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上、特に好ましくは120%以上である。引張破断伸度の測定方法については後述する。
洗浄液(薬液)として、界面活性剤含有水溶液のみを使用する場合、例えば、1重量%ドデシル硫酸ナトリウムを含有するもののみを使用する場合には、膜の薬液耐性は特に問題とならないが、該洗浄液として、界面活性剤含有水溶液に加えて、0.1重量%以上4重量%以下の水酸化ナトリウム及び0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜苛性水溶液を使用する場合には、薬液耐性(膜に対するダメージの起こり難さ)が問題となる。その場合、膜の薬液耐性は、4重量%水酸化ナトリウム及び0.5重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜苛性水溶液を耐性試験薬液として用いて、該薬液循環ろ過洗浄前後の引張破断伸度の保持率(薬液循環ろ過後伸度保持率)によって指標することができ、具体的には、実液のろ過につづく薬液循環洗浄による一連の工程を行った後の引張破断伸度(洗浄工程後の多孔性中空糸膜の引張破断伸度E1に相当する)が、初期値(洗浄工程前の膜の引張破断伸度E0に相当する)に対して98%以上で保持されていることが好ましい。
また、上記初期値E0と、実液のろ過につづく薬液循環洗浄による一連の工程をX回(Xは2〜10の整数である。)繰り返した後の膜の引張破断伸度EXとの関係は、EX/E0≧97%であることが好ましい。
また、実用上の観点から、多孔質膜の圧縮強度は0.2MPa以上が好ましく、より好ましくは0.3〜1.0MPa、更に好ましくは0.4〜1.0MPaである。
(多孔質膜の透水性能)
多孔質膜としては、ろ過工程前の多孔質膜のフラックスL0と、洗浄工程後の多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧80%であるものが好ましい。
また、多孔質膜としては、ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、LX/L0×100≧80%であるものが好ましい。
<多孔質膜の製造方法>
以下、多孔質中空糸膜の製造方法について説明する。但し、本実施形態のろ過方法に用いる多孔質中空糸膜の製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
本実施形態のろ過方法に用い多孔質中空糸膜の製造方法は、(a)溶融混練物を準備する工程と、(b)溶融混練物を多重構造の紡糸ノズルに供給し、紡糸ノズルから溶融混練物を押し出すことによって中空糸膜を得る工程と、(c)可塑剤を中空糸膜から抽出する工程とを含むものであることができる。溶融混練物が添加剤を含む場合には、工程(c)の後に、(d)添加剤を中空糸膜から抽出する工程をさらに含んでもよい。
溶融混練物の熱可塑性樹脂の濃度は好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜45質量%であり、更に好ましくは30〜45質量%である。この値が20質量%以上であれば、機械的強度を高くすることができ、他方、60質量%以下であれば、透水性能を高くすることができる。溶融混練物は添加剤を含んでもよい。
溶融混練物は、熱可塑性樹脂と溶剤の二成分からなるものであってもよく、熱可塑性樹脂、添加剤、及び溶剤の三成分からなるものであってもよい。溶剤は、後述するように、少なくとも非溶剤を含む。
工程(c)で使用する抽出剤としては、塩化メチレンや各種アルコールなど熱可塑性樹脂は溶けないが可塑剤と親和性が高い液体を使用することが好ましい。
添加剤を含まない溶融混練物を使用する場合には、工程(c)を経て得られる中空糸膜を多孔質中空糸膜として使用してもよい。添加剤を含む溶融混練物を使用して多孔質中空糸膜を製造する場合には、工程(c)後に、中空糸膜から(d)添加剤を抽出除去して多孔性中空糸膜を得る工程をさらに経ることが好ましい。工程(d)における抽出剤には、湯、又は酸、アルカリなど使用した添加剤を溶解できるが熱可塑性樹脂は溶解しない液体を使用することが好ましい。
添加剤として無機物を使用してもよい。無機物は無機微粉が好ましい。溶融混練物に含まれる無機微粉の一次粒径は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは5nm以上30nm未満である。無機微粉の具体例としては、シリカ(微粉シリカを含む)、酸化チタン、塩化リチウム、塩化カルシウム、有機クレイ等が挙げられ、これらのうち、コストの観点から微粉シリカが好ましい。上述の「無機微粉の一次粒径」は電子顕微鏡写真の解析から求めた値を意味する。すなわち、まず無機微粉の一群をASTM D3849の方法によって前処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡写真に写された3000〜5000個の粒子直径を測定し、これらの値を算術平均することで無機微粉の一次粒径を算出することができる。
多孔質中空糸膜内部の無機微粉について、蛍光X線等により存在する元素を同定することで、存在する無機微粉の素材(材料)を同定することができる。
添加剤として有機物を使用する場合、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子を使用すると中空糸膜に親水性を付与することができる。また、グリセリン、エチレングリコールなど粘度の高い添加剤を使用すると溶融混練物の粘度をコントロールすることができる。
次に、本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法における(a)溶融混練物を準備する工程について詳細に説明する。
本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法では、熱可塑性樹脂の非溶剤を、良溶剤又は貧溶剤に混合させる。混合後の混合溶媒は使用する熱可塑性樹脂の非溶媒である。このように膜の原材料として非溶剤を用いると、3次元網目構造を持つ多孔質中空糸膜が得られる。その作用機序は必ずしも明らかではないが、非溶剤を混合させて、より溶解性を低くした溶剤を用いた方がポリマーの結晶化が適度に阻害され、3次元網目構造になりやすいと考えられる。例えば、非溶剤、及び貧溶剤又は良溶剤は、フタル酸エステル、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油等の各種エステル等からなる群から選ばれる。
熱可塑性樹脂を常温で溶解させることができる溶剤を良溶剤、常温では溶解できないが高温にして溶解させることができる溶剤をその熱可塑性樹脂の貧溶剤、高温にしても溶解させることができない溶剤を非溶剤と呼ぶが、良溶剤、貧溶剤、及び非溶剤は、以下のようにして判定することができる。
試験管に2g程度の熱可塑性樹脂と8g程度の溶剤を入れ、試験管用ブロックヒーターにて10℃刻み程度でその溶剤の沸点まで加温し、スパチュラなどで試験管内を混合し、熱可塑性樹脂が溶解するものが良溶剤又は貧溶剤、溶解しないものが非溶剤である。100℃以下の比較的低温で溶解するものが良溶剤、100℃以上沸点以下の高温にしないと溶解しないものを貧溶剤と判定する。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、溶剤としてアセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、セバシン酸ジブチル又はアジピン酸ジブチルを用いると、200℃程度でPVDFはこれらの溶剤に均一に混ざり合い溶解する。他方、溶剤としてアジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル、又はセバシン酸ビス2エチルヘキシルを用いると温度を250℃まで上げても、PVDFはこれらの溶剤には溶解しない。
また、熱可塑性樹脂としてエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用い、溶剤としてアジピン酸ジエチルを用いると、200℃程度でETFEは均一に混ざり合い溶解する。他方、溶剤としてアジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DIBA)を用いると溶解しない。
また、熱可塑性樹脂としてエチレン−モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)を用い、溶剤としてクエン酸トリエチルを用いると200℃程度で均一に溶解し、トリフェニル亜リン酸(TPP)を用いると溶解しない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例における各物性値は以下の方法で各々求めた。
(1)多孔質中空糸膜の外径、内径
多孔質中空糸膜を、長さ方向に直交する断面でカミソリを使って薄くスライスし、100倍拡大鏡にて、外径と内径を測定した。一つのサンプルについて、長さ方法に30mm間隔で60箇所の切断面で測定を行い、平均値を中空糸膜の外径と内径とした。
(2)電子顕微鏡撮影
多孔質中空糸膜を、長さ方向に直交する断面で円環状に裁断し、10%リンタングステン酸+四酸化オスミウム染色を実施し、エポキシ樹脂に包埋した。次いで、トリミング後、試料断面にBIB加工を施して平滑断面を作製し、導電処理し、検鏡試料を作製した。作製した検鏡試料を、HITACHI製電子顕微鏡SU8000シリーズを使用し、加速電圧1kVで膜の断面の電子顕微鏡(SEM)画像を5,000〜30,000倍で、膜厚(肉厚部)断面の内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(図2〜5における丸1〜丸4)内で所定の視野で撮影した。平均孔径に応じて倍率を変えて測定することができ、具体的には、平均孔径が0.1μm以上の場合には、5000倍、平均孔径が0.05μm以上0.1μm未満の場合には、10,000倍、平均孔径が0.05μm未満の場合には、30,000倍とした。尚、視野のサイズは、2560×1920ピクセルとした。
画像処理には、ImageJを用い、撮影したSEM画像に対してThreshold処理(Image−Adjust−Treshold:大津法(Otsuを選択))を施すことより、孔の部分と樹脂部とで二値化した。
表面開口率:二値化画像の樹脂部と孔部との割合を算出することにより表面開口率を測定した。
樹脂部の面積分布:ImageJの「Analyze Particle」コマンド(Analyz Particle:Size0.10−Infinity)を使用し、撮影したSEM画像に含まれる二値化された粒状の樹脂部の大きさをそれぞれ計測した。SEM画像に含まれる全樹脂部の総面積をΣSとし、1μm以下の樹脂部の面積をΣS(<1μm)とした場合に、ΣS(<1μm)/ΣSを算出することによって、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積割合を算出した。同様に、所定範囲の面積を有する樹脂部の面積割合を算出した。
尚、二値化処理を施す際のノイズ除去については、0.1μm未満の面積の樹脂部をノイズとして除去し、0.1μm以上の面積の樹脂部を分析対象とした。また、ノイズ除去は、メディアンフィルタ処理(Process−Filters−Median:Radius:3.0pixels)を施すことによって行った。
また、SEM画像の端で切れている粒状の樹脂部についても計測対象とした。また、「Incude Holes」(穴をうめる)の処理は行わなかった。また、「雪だるま」型を「扁平」型などに形状を補正する処理は行わなかった。
平均細孔孔径:ImageJの「Plugins−Bone J−Thickness」コマンドを使用して測定した。尚、空間サイズは空隙に入る最大の円サイズとして定義した。
(3)フラックス(透水性、初期純水フラックス)
多孔質中空糸膜をエタノールに浸漬した後、純水浸漬を数回繰り返した後、約10cm長の湿潤中空糸膜の両端に注射針を挿入し、膜間差圧0.03MPaの圧力で25℃の純水を循環ろ過し、膜の内側表面から透過してくる純水量を測定し、下記式:
初期純水フラックス[L/m/h]=60×(透過水量[L])/{π×(膜内径[m])×(膜有効長[m])×(測定時間[min])}
により純水フラックスを決定し、透水性を評価した。
尚、「膜有効長」は、注射針が挿入されている部分を除いた、正味の膜長を指す。
(4)実液ろ過方法
実液としてろ過すべき培養ブロス、具体的には、ポリアルキレングルコール系の消泡剤を0.1%仕込んだアミノ酸ブロス(浮遊物質濃度(suspended substance)濃度1.5%、Brix5.7%のアミノ酸)を用いた。
まず、(i)循環容器に純水を投入し、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過を行って2分間透過水を採取し、初期透水量とした。
次いで、(ii)配管内の水を抜いた後、循環容器にアミノ酸ブロスを100mL投入し、ろ過側に80%回収するまで膜間差圧=0.1MPaになるように循環ろ過した。
次いで、(iii)配管の中のアミノ酸ブロスを抜いた後、循環容器に純水を投入し、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過し水洗を行った。
次いで、(iv)配管の中の水を抜いた後、循環容器に調合した薬液を投入し、膜循環ろ過を行って30分薬液洗浄を行った。薬液には0.5%のドデシル硫酸ナトリウム、0.5%の次亜塩素酸ナトリウム、4%の苛性ソーダを混合させた水溶液を用いた。
次いで、(V)配管の中の薬液を抜いた後、循環容器に純水を投入し、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過を行い、出てきた透過水を10L/m2のタイミングで繰り返し採取、透過水の界面活性剤濃度が10ppm以下になった時点で水洗を終了し、そのリンスの水量を記録した。また、引き続き同じ膜間差圧で循環ろ過を行って2分間透過水を採取、透水量とし、初期透水量と比較した。
各パラメーターは、下記式で算出した:
膜間差圧={(入圧)+(出圧)}/2
膜内表面積[m]=π×(中空糸膜内径[m])×(中空糸膜有効長[m])
膜面線速[m/s]=4×(循環水量[m/s])/{π×(膜内径[m])}。また、操作は全て25℃、膜面線速1.0m/秒で行った。
(5)引張破断伸度(%)
サンプルとして多孔質中空糸膜をそのまま用い、張破断伸度をJIS K7161に従って算出した。た。引張破断時の荷重と変位を以下の条件で測定した。
測定機器:インストロン型引張試験機(島津製作所製AGS-5D)
チャック間距離:5cm
引張り速度:20cm/分
(6)薬液耐性試験
上記(4)で述べた実液のろ過につづく薬液の循環洗浄による一連の工程を10回繰り返した。そして、引張破断伸度の初期値(浸漬前の引張破断伸度)をE0とし、洗浄工程を10回繰り返した後の多孔性中空糸膜の引張破断強度の値をE10とし、E10/E0を「10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率(%)」として算出して、薬液耐性を評価した。
また、初期純水透水量をL0(フラックスL0)とし、実液のろ過につづく薬液の循環洗浄による一連の工程(4)を10回繰り返し、洗浄工程後透水量をL10(フラックスL10)とし、L10/L0を「10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率(%)」として算出した。
(7)界面活性剤含有水溶液で洗浄した後リンス水で濯いだときの泡切れの評価
上記(4)の(V)の循環ろ過で水洗開始後、1mLずつろ過水を採水して、5mLの瓶に入れて激しく20回上下に振とうさせ1分後の泡の高さを測定した。泡の高さを1mm以下となった時点を泡切れ水量と判断した。
[実施例1]
熱可塑性樹脂としてPVDF樹脂(クレハ社製、KF−W#1000)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてアジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DOA)32.9質量%と、貧溶剤としてアセチルクエン酸トリブチル(ATBC, 沸点343℃)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてDOAとATBCを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は238〜252分であり、連通性の高い膜であった。また、リンス水により泡切れ評価は良好であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は98%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率97%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は81%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は80%であり、透水量を維持でき、かつ、薬液劣化による膜の大孔径化も見られなかった。
[実施例2]
熱可塑性樹脂としてETFE樹脂(旭硝子社製、TL−081)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてアジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DOA)32.9質量%と、貧溶剤としてアジピン酸ジイソブチル(DIBA)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてDOAとDIBAを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は238〜250分であり、連通性の高い膜であった。また、リンス水により泡切れ評価は良好であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は98%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率98%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は82%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は83%であり、透水量を維持でき、かつ、薬液劣化による膜の大孔径化も見られなかった。
[実施例3]
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂としてECTFE樹脂(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、Halar901)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてトリフェニル亜リン酸(TPP)32.9質量%と、貧溶剤としてアジピン酸ビス2−エチルヘキシル(DOA)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてTPPとDOAを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は242〜252分であり、連通性の高い膜であった。また、リンス水により泡切れ評価は良好であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は99%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率97%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は83%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は80%であり、薬液劣化も見られなかった。
[比較例1]
溶剤をATBCのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして製膜し、比較例1の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスが低く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は867〜1056分であり、連通性の低い膜であり、リンス水により泡切れ評価も悪く、薬液浸漬後破断伸度保持率も88%と低かった。
[比較例2]
微粉シリカを0%とし、溶剤をγ-ブチロラクトンのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして製膜し、比較例2の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスは低く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は280〜387分であり、連通性の低い膜であり、リンス水により泡切れ評価も悪く、薬液浸漬後破断伸度保持率は87%と低かった。
[比較例3]
溶剤をDOAのみとした以外は、実施3と同様にして製膜し、比較例3の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスは低く、実液1〜10バッチ目のフラックス(80%回収するまでの時間)は795〜1114分であり、連通性の低い膜であり、リンス水により泡切れ評価も悪く、薬液浸漬後破断伸度保持率も86%と低かった。
以上の結果から、連通性が良好な膜は、リンス水の泡切れが良く、薬液耐性、ろ過性能に優れ、高寿命であることが分かった。
本発明に係る培養ブロスのろ過方法は、多孔質ろ過膜の(被処理液側である膜の内側からろ液側である膜の外側に至る細孔の連通性が良好な膜を使用するため、洗浄工程で使用する洗浄液(薬液)として、界面活性剤含有水溶液を使用した場合に、リンス水よる泡切れが良好であり、薬液耐性、ろ過性能に優れ、高寿命である。それゆえ、本発明に係る培養ブロスのろ過方法は、懸濁物を分離・除去するための固液分離操作において好適に利用可能である。

Claims (24)

  1. 以下の工程:
    3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
    該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
    を含むろ過方法であって、
    該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、
    該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
    ことを特徴とする前記ろ過方法。
  2. 以下の工程:
    3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
    該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
    を含むろ過方法であって、
    該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
    該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
    ことを特徴とする前記ろ過方法。
  3. 以下の工程:
    3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、細胞、培地、有用物、及び消泡剤を含有する培養ブロスを通過させて、該細胞からろ液を分離するろ過工程;及び
    該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
    を含むろ過方法であって、
    該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、10μm以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
    該洗浄液が、界面活性剤含有水溶液、及びリンス水であり、かつ、該洗浄工程において、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行い、その後、残存する界面活性剤を除去するための該リンス水による濯ぎを行う、
    ことを特徴とする前記ろ過方法。
  4. 前記多孔質膜は、該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm超10μm未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のろ過方法。
  5. 前記多孔質膜の表面開口率は25〜60%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のろ過方法。
  6. 前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のろ過方法。
  7. 前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜100の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のろ過方法。
  8. 前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧97%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のろ過方法。
  9. 前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2〜100の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、110%≧LX/L0×100≧80%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のろ過方法。
  10. 前記多孔質膜は中空糸膜である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のろ過方法。
  11. 前記多孔質膜を構成する樹脂は熱可塑性樹脂である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のろ過方法。
  12. 前記熱可塑性樹脂はフッ素樹脂である、請求項11に記載のろ過方法。
  13. 前記フッ素樹脂は、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれる、請求項12に記載のろ過方法。
  14. 前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(PE)である、請求項11に記載のろ過方法。
  15. 前記洗浄液が、0.1重量%以上4重量%以下の水酸化ナトリウム及び0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウムを含有する次亜苛性水溶液を更に含み、該洗浄工程において、該次亜苛性水溶液による洗浄後、又は該洗浄と同時に、該消泡剤を除去するための該界面活性剤含有水溶液による洗浄を行う、請求項1〜14のいずれか1項に記載のろ過方法。
  16. 前記リンス水による濯ぎにおいて、20L/m以下の該リンス水の使用により泡立ちが消滅する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のろ過方法。
  17. 前記消泡剤がシリコーン系消泡剤である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のろ過方法。
  18. 前記界面活性剤含有水溶液は、ポリアルキレングリコール系の界面活性剤を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のろ過方法。
  19. 前記有用物は、酵素、蛋白質、アミノ酸、核酸、及び有機物からなる群から選ばれる、請求項1〜18のいずれか1項に記載のろ過方法。
  20. 前記ろ過工程の前に、遠心分離、フィルタープレス、及び篩処理からなる群から選ばれる前処理工程をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のろ過方法。
  21. 前記洗浄工程は、前記消泡剤を除去するための前記界面活性剤含有水溶液による洗浄を行う洗浄工程と、その後、残存する界面活性剤を除去するための前記リンス水による濯ぎを行うリンス工程とを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記界面活性剤含有水溶液中の界面活性剤の濃度が0.1〜2重量%である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記リンス工程で使用するリンス水の量は、前記多孔質膜の単位面積当たり100L/m以下である、請求項21又は22に記載の方法。
  24. 前記リンス工程終了時のろ液中の界面活性剤の残留濃度が10ppm以下である、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
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