JP7165000B2 - 多孔質膜を用いたお茶飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
このように、膜ろ過法による除濁操作は、前記した従来の加圧浮上法、砂ろ過法等にはない利点が多くあるために、従来法の代替又は補完手段として、海水淡水化前処理等への普及が進んでおり、また、多孔質膜として以下の特許文献1に記載されるような樹脂により構成される有機膜が多用されている。
かかる問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、多孔質ろ過膜を用いるろ過工程、及び洗浄液(薬液)を使用した洗浄工程を含むお茶飲料の製造方法において、薬液耐性、ろ過性能に優れ、かつ、高寿命の方法を提供することである。
[1]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、お茶の微細片を含有する茶葉抽出液を通過させて、該お茶の微細片からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むお茶飲料の製造方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、
該洗浄液が、0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液であり、かつ、該洗浄工程において、該多孔質膜に付着した茶葉の成分が除去される、
ことを特徴とする前記お茶飲料の製造方法。
[2]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、お茶の微細片を含有する茶葉抽出液を通過させて、該お茶の微細片からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むお茶飲料の製造方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
該洗浄液が、0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液であり、かつ、該洗浄工程において、該多孔質膜に付着した茶葉の成分が除去される、
ことを特徴とする前記お茶飲料の製造方法。
[3]以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、お茶の微細片を含有する茶葉抽出液を通過させて、該お茶の微細片からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むお茶飲料の製造方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
該洗浄液が、0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液であり、かつ、該洗浄工程において、該多孔質膜に付着した茶葉の成分が除去される、
ことを特徴とする前記お茶飲料の製造方法。
[4]前記多孔質膜は、該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm2超10μm2未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記多孔質膜の表面開口率は25~60%である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[8]前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧80%である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、LX/L0×100≧80%である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[10]前記多孔質膜は中空糸膜である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記多孔質膜を構成する樹脂は熱可塑性樹脂である、前記[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記熱可塑性樹脂はフッ素樹脂である、前記[11]に記載の方法。
[13]前記フッ素樹脂は、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれる、前記[12]に記載の方法。
[14]前記熱可塑性樹脂はポリエチレン(PE)である、前記[11]に記載の方法。
[15]前記多孔質膜に付着した茶葉の成分が、蛋白質、糖質、タンニン、及びこれらの複合物からなる群から選ばれる、前記[1]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16]前記洗浄工程は、前記洗浄液による洗浄を行う洗浄液工程と、その後、残存する洗浄液成分を除去するためのリンス水による濯ぎを行うリンス工程とを含む、前記[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17]前記リンス工程で使用するリンス水の量は、前記多孔質膜の単位面積当たり100L/m2以下である、前記[16]に記載の方法。
[18]前記リンス工程終了時のろ液中の塩素濃度が0.1ppm以下であり、かつ、前記過酸化物が過酸化水素である場合、該過酸化水素濃度が5ppm以下であり、前記過酸化物が過炭酸塩類又は過硫酸塩類である場合、該過炭酸塩類又は過硫酸塩類の濃度が5ppm以下である、前記[16]又は[17]に記載の方法。
本実施形態のお茶飲料の製造方法は、以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、お茶の微細片を含有する茶葉抽出液を通過させて、該お茶の微細片からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むお茶飲料の製造方法である。
多孔質膜の形状としては特に制限はなく、平膜、管状膜、中空糸膜を挙げることができるが、ろ過装置の省スペース性の観点から、すなわち、膜モジュール単位体積当たりの膜面積を大きくすることができるため、中空糸膜が好ましい。
本明細書中、用語「多孔質膜の内部」とは、多数の細孔が形成されている膜厚(肉厚)部を指す。
一般に、ペットボトル入りのウーロン茶、緑茶、紅茶等は、茶葉でお茶を入れるように抽出した茶葉抽出液から茶葉(お茶の微細片)を分離し、紅茶の場合には、砂糖、ミルク、レモン果汁などを加えて調合し、加熱殺菌し、充填し、密栓、冷却、箱詰めして、出荷される。調合において、微粉砕茶葉抽出液を合わせる場合もある。本実施形態にける膜ろ過工程は、茶葉抽出液から茶葉(お茶の微細片)を分離する工程において使用される。
「リンス水」は、特に制限なく、水道水、脱イオン水、井戸水等であることができる。
洗浄液(薬液)として0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液を用いることで、多孔質膜のろ過面からの付着物(茶葉抽出液中のお茶の微細片)を効果的に分解・除去することができる。洗浄液(薬液)中の過酸化物(酸化剤)の濃度は、0.2重量%以上1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。洗浄液(薬液)中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、0.1重量%以上0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以上0.5重量%以下がさらに好ましい。
「過酸化物」は特に制限されず、過酸化水素水、過炭酸塩類、過硫酸塩類等を挙げることができる。
本実施形態のお茶飲料の製造方法におけるろ過工程に用いる多孔質膜の構造、素材(材料)、及び製造方法を、以下、詳述する。
多孔質膜は、該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であるもの;同各領域において、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるもの;同各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるもの;のいずれかである。好ましい多孔質膜は、同各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、1μm2超10μm2未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であるものである。
尚、前記各領域内では、中空糸多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面と、該内側表面に平行する断面との間では、樹脂部の存在分布の差異、すなわち、孔の連通性の異方性は事実上無視することができる。本明細書中、用語「樹脂部」とは、多孔質膜において多数の孔を形成する、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分である。図1に黒色で示す部分が樹脂部であり、白色の部分が孔である。
多孔質膜内部には、膜の内側から外側まで屈曲しながら連通している連通孔が形成されており、多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であれば、孔の連通性が高い(すなわち、膜内部の連通孔の存在割合が高い)ものとなり、被処理液のフラックス(透水量、透水性)、洗浄後の透水量保持率が高く、引張破断伸度で指標される薬液洗浄後の膜へのダメージも軽減される。しかしながら、樹脂部の総面積に対する1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計の割合が高すぎると、多孔質膜において多数の孔を形成する、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分が細すぎるものとなるため、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であることを維持しつつ、1μm2超の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上30%以下で存在するものが好ましく、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下で存在するものがより好ましく、1μm2超10μm2未満の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上15%以下で存在するものがさらに好ましい。1μm2超の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上30%以下で存在すれば、樹脂から構成される3次元網目構造の樹状骨格部分が細すぎないため、多孔質膜の強度、引張破断伸度を適切に維持することができる。
多孔質膜を構成する樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、フッ素樹脂がより好ましい。フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれるものが挙げられる。
熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、オレフィンとハロゲン化オレフィンとの共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン、それらの混合物が挙げられる。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(ヘキサフルオロプロピレンのドメインを含んでもよい)、これらの混合物が挙げられる。これらの樹脂は、は熱可塑性ゆえに取り扱い性に優れ、且つ強靱であるため、膜素材として優れる。これらの中でもフッ化ビニリデン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、ヘキサフルオロプロピレン樹脂又はそれらの混合物、エチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー又はコポリマー、あるいは、ホモポリマーとコポリマーの混合物は、機械的強度、化学的強度(耐薬品性)に優れ、且つ成形性が良好であるために好ましい。より具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合物、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合物、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、第2の溶剤は、第1の溶剤と異なり、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、及びエポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。炭素数6以上30以下の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等が挙げられる。また、エポキシ化植物油としては、エポキシ大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
第1の溶剤は、熱可塑性樹脂と第1の溶剤との比率が20:80の第1の混合液において、第1の混合液の温度を第1の溶剤の沸点まで上げても、熱可塑性樹脂が第1の溶剤に均一に溶解しない非溶剤であることが好ましい。
第2の溶剤は、熱可塑性樹脂と第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度で熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解する良溶剤であることが好ましい。
第2の溶剤は、熱可塑性樹脂と第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃では熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解せず、第2の混合液の温度が100℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度では熱可塑性樹脂が第2の溶剤に均一に溶解する貧溶剤であることがより好ましい。
この場合、第1の溶剤は、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であって、ポリフッ化ビニリデンと第1の溶剤との比率が20:80の第1の混合液において、第1の混合液の温度を第1の溶剤の沸点まで上げても、ポリフッ化ビニリデンが第1の溶剤に均一に溶解しない非溶剤であることができる。非溶媒としては、アジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DOA)が好ましい。
また、上記多孔質中空糸膜は、第1の溶剤とは異なる第2の溶剤を含んでもよい。この場合、第2の溶剤は、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油からなる群から選択される少なくとも1種であって、ポリフッ化ビニリデンと第2の溶剤との比率が20:80の第2の混合液において、第2の混合液の温度が25℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度でポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解する良い溶剤であることが好ましい。また、第2の溶剤は、第2の混合液の温度が25℃ではポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解せず、第2の混合液の温度が100℃より高く第2の溶剤の沸点以下のいずれかの温度ではポリフッ化ビニリデンが第2の溶剤に均一に溶解する貧溶剤であることがより好ましい。貧溶媒としては、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)が好ましい。
多孔質膜は、洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%であるものが好ましい。また、洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%であるものが好ましい。
引張破断伸度の初期値は60%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上、特に好ましくは120%以上である。引張破断伸度の測定方法については後述する。
0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液に対する耐性(膜に対するダメージの起こり難さ)は、薬液循環洗浄前後の引張破断伸度の保持率(薬液循環洗浄後伸度保持率)によって指標することができ、具体的には、実液ろ過につづいて該薬液の循環洗浄による一連の工程を行った後の引張破断伸度(洗浄工程後の多孔性中空糸膜の引張破断伸度E1に相当する)が、初期値(洗浄工程前の膜の引張破断伸度E0に相当する)に対して98%以上で保持されていることが好ましい。
また、上記初期値E0と、実液のろ過につづいて該薬品の循環洗浄による一連の工程をX回(Xは2~10の整数である。)繰り返した後の膜の引張破断伸度EXとの関係は、EX/E0≧97%であることが好ましい。
多孔質膜としては、ろ過工程前の多孔質膜のフラックスL0と、洗浄工程後の多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧80%であるものが好ましい。
また、多孔質膜としては、ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、LX/L0×100≧80%であるものが好ましい。
以下、多孔質中空糸膜の製造方法について説明する。但し、本実施形態のろ過方法に用いる多孔質中空糸膜の製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
本実施形態のろ過方法に用い多孔質中空糸膜の製造方法は、(a)溶融混練物を準備する工程と、(b)溶融混練物を多重構造の紡糸ノズルに供給し、紡糸ノズルから溶融混練物を押し出すことによって中空糸膜を得る工程と、(c)可塑剤を中空糸膜から抽出する工程とを含むものであることができる。溶融混練物が添加剤を含む場合には、工程(c)の後に、(d)添加剤を中空糸膜から抽出する工程をさらに含んでもよい。
溶融混練物は、熱可塑性樹脂と溶剤の二成分からなるものであってもよく、熱可塑性樹脂、添加剤、及び溶剤の三成分からなるものであってもよい。溶剤は、後述するように、少なくとも非溶剤を含む。
工程(c)で使用する抽出剤としては、塩化メチレンや各種アルコールなど熱可塑性樹脂は溶けないが可塑剤と親和性が高い液体を使用することが好ましい。
添加剤を含まない溶融混練物を使用する場合には、工程(c)を経て得られる中空糸膜を多孔質中空糸膜として使用してもよい。添加剤を含む溶融混練物を使用して多孔質中空糸膜を製造する場合には、工程(c)後に、中空糸膜から(d)添加剤を抽出除去して多孔性中空糸膜を得る工程をさらに経ることが好ましい。工程(d)における抽出剤には、湯、又は酸、アルカリなど使用した添加剤を溶解できるが熱可塑性樹脂は溶解しない液体を使用することが好ましい。
多孔質中空糸膜内部の無機微粉について、蛍光X線等により存在する元素を同定することで、存在する無機微粉の素材(材料)を同定することができる。
添加剤として有機物を使用する場合、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子を使用すると中空糸膜に親水性を付与することができる。また、グリセリン、エチレングリコールなど粘度の高い添加剤を使用すると溶融混練物の粘度をコントロールすることができる。
本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法では、熱可塑性樹脂の非溶剤を、良溶剤又は貧溶剤に混合させる。混合後の混合溶媒は使用する熱可塑性樹脂の非溶媒である。このように膜の原材料として非溶剤を用いると、3次元網目構造を持つ多孔質中空糸膜が得られる。その作用機序は必ずしも明らかではないが、非溶剤を混合させて、より溶解性を低くした溶剤を用いた方がポリマーの結晶化が適度に阻害され、3次元網目構造になりやすいと考えられる。例えば、非溶剤、及び貧溶剤又は良溶剤は、フタル酸エステル、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、リン酸エステル、炭素数6以上30以下の脂肪酸、エポキシ化植物油等の各種エステル等からなる群から選ばれる。
熱可塑性樹脂を常温で溶解させることができる溶剤を良溶剤、常温では溶解できないが高温にして溶解させることができる溶剤をその熱可塑性樹脂の貧溶剤、高温にしても溶解させることができない溶剤を非溶剤と呼ぶが、良溶剤、貧溶剤、及び非溶剤は、以下のようにして判定することができる。
試験管に2g程度の熱可塑性樹脂と8g程度の溶剤を入れ、試験管用ブロックヒーターにて10℃刻み程度でその溶剤の沸点まで加温し、スパチュラなどで試験管内を混合し、熱可塑性樹脂が溶解するものが良溶剤又は貧溶剤、溶解しないものが非溶剤である。100℃以下の比較的低温で溶解するものが良溶剤、100℃以上沸点以下の高温にしないと溶解しないものを貧溶剤と判定する。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、溶剤としてアセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、セバシン酸ジブチル又はアジピン酸ジブチルを用いると、200℃程度でPVDFはこれらの溶剤に均一に混ざり合い溶解する。他方、溶剤としてアジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル、又はセバシン酸ビス2エチルヘキシルを用いると温度を250℃まで上げても、PVDFはこれらの溶剤には溶解しない。
また、熱可塑性樹脂としてエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用い、溶剤としてアジピン酸ジエチルを用いると、200℃程度でETFEは均一に混ざり合い溶解する。他方、溶剤としてアジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DIBA)を用いると溶解しない。
また、熱可塑性樹脂としてエチレン-モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)を用い、溶剤としてクエン酸トリエチルを用いると200℃程度で均一に溶解し、トリフェニル亜リン酸(TPP)を用いると溶解しない。
多孔質中空糸膜を、長さ方向に直交する断面でカミソリを使って薄くスライスし、100倍拡大鏡にて、外径と内径を測定した。一つのサンプルについて、長さ方法に30mm間隔で60箇所の切断面で測定を行い、平均値を中空糸膜の外径と内径とした。
多孔質中空糸膜を、長さ方向に直交する断面で円環状に裁断し、10%リンタングステン酸+四酸化オスミウム染色を実施し、エポキシ樹脂に包埋した。次いで、トリミング後、試料断面にBIB加工を施して平滑断面を作製し、導電処理し、検鏡試料を作製した。作製した検鏡試料を、HITACHI製電子顕微鏡SU8000シリーズを使用し、加速電圧1kVで膜の断面の電子顕微鏡(SEM)画像を5,000~30,000倍で、膜厚(肉厚部)断面の内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域(図2~5における丸1~丸4)内で所定の視野で撮影した。平均孔径に応じて倍率を変えて測定することができ、具体的には、平均孔径が0.1μm以上の場合には、5000倍、平均孔径が0.05μm以上0.1μm未満の場合には、10,000倍、平均孔径が0.05μm未満の場合には、30,000倍とした。尚、視野のサイズは、2560×1920ピクセルとした。
画像処理には、ImageJを用い、撮影したSEM画像に対してThreshold処理(Image-Adjust-Treshold:大津法(Otsuを選択))を施すことより、孔の部分と樹脂部とで二値化した。
表面開口率:二値化画像の樹脂部と孔部との割合を算出することにより表面開口率を測定した。
樹脂部の面積分布:ImageJの「Analyze Particle」コマンド(Analyz Particle:Size0.10-Infinity)を使用し、撮影したSEM画像に含まれる二値化された粒状の樹脂部の大きさをそれぞれ計測した。SEM画像に含まれる全樹脂部の総面積をΣSとし、1μm2以下の樹脂部の面積をΣS(<1μm2)とした場合に、ΣS(<1μm2)/ΣSを算出することによって、1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積割合を算出した。同様に、所定範囲の面積を有する樹脂部の面積割合を算出した。
尚、二値化処理を施す際のノイズ除去については、0.1μm2未満の面積の樹脂部をノイズとして除去し、0.1μm2以上の面積の樹脂部を分析対象とした。また、ノイズ除去は、メディアンフィルタ処理(Process-Filters-Median:Radius:3.0pixels)を施すことによって行った。
また、SEM画像の端で切れている粒状の樹脂部についても計測対象とした。また、「Incude Holes」(穴をうめる)の処理は行わなかった。また、「雪だるま」型を「扁平」型などに形状を補正する処理は行わなかった。
平均細孔孔径:ImageJの「Plugins-Bone J-Thickness」コマンドを使用して測定した。尚、空間サイズは空隙に入る最大の円サイズとして定義した。
多孔質中空糸膜をエタノールに浸漬した後、純水浸漬を数回繰り返した後、約10cm長の湿潤中空糸膜の両端に注射針を挿入し、膜間差圧0.03MPaの圧力で25℃の純水を循環ろ過し、膜の内側表面から透過してくる純水量を測定し、下記式:
初期純水フラックス[L/m2/h]=60×(透過水量[L])/{π×(膜内径[m])×(膜有効長[m])×(測定時間[min])}
により純水フラックスを決定し、透水性を評価した。
尚、「膜有効長」は、注射針が挿入されている部分を除いた、正味の膜長を指す。
実液としてろ過すべきお茶の微細片を含有する茶葉抽出液、具体的には、濁度296NTU、Brix0.3%の抽出液を用いた。
まず、(i)循環容器に純水を投入し、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過を行って2分間透過水を採取し、初期透水量とした。
次いで、(ii)配管内の水を抜いた後、循環容器に茶葉抽出液を100mL投入し、ろ過側に90%回収するまで膜間差圧0.1MPaになるように循環ろ過した。
次いで、(iii)配管の中の茶葉抽出液を抜いた後、循環容器に純水を投入し、水洗後、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過し水洗を行った。
次いで、(iv)配管の中の水を抜いた後、循環容器に調合した薬液を投入し、水洗後、膜循環ろ過を行って30分薬液洗浄を行った。薬液には0.5%次亜塩素酸ナトリウム又は1%過酸化水素水を用いた。
次いで、配管の中の薬液を抜いた後、循環容器に純水を投入し、水洗後、膜間差圧=0.03MPaになるように循環ろ過を行い、出てきた透過水を10L/m2のタイミングで繰り返し採取し、透過水の塩素濃度が0.1ppm以下、過酸化水素濃度が5ppm以下になった時点で水洗を終了し、そのリンス水量を記録した。また、引き続き同じ膜間差圧で循環ろ過を行って2分間透過水を採取、透水量とし、初期透水量と比較した。
各パラメーターは、下記式で算出した:
膜間差圧={(入圧)+(出圧)}/2
膜内表面積[m2]=π×(中空糸膜内径[m])×(中空糸膜有効長[m])
膜面線速[m/s]=4×(循環水量[m3/s])/{π×(膜内径[m])2}。また、操作は全て25℃、膜面線速1.0m/秒で行った。
サンプルとして多孔質中空糸膜をそのまま用い、張破断伸度をJIS K7161に従って算出した。た。引張破断時の荷重と変位を以下の条件で測定した。
測定機器:インストロン型引張試験機(島津製作所製AGS-5D)
チャック間距離:5cm
引張り速度:20cm/分
上記(4)で実液のろ過につづく薬液の循環洗浄による一連の工程を10回繰り返した。そして、引張破断伸度の初期値(浸漬前の引張破断伸度)をE0とし、洗浄工程を10回繰り返した後の多孔性中空糸膜の引張破断強度の値をE10とし、E10/E0を「10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率(%)」として算出して、薬液耐性を評価した。
また、初期純水透水量をL0(フラックスL0)とし、実液のろ過につづく薬液の循環洗浄による一連の工程(4)をL10(フラックスL10)とし、L10/L0を「10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率(%)」として算出した。
熱可塑性樹脂としてPVDF樹脂(クレハ社製、KF-W#1000)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてアジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DOA)32.9質量%と、貧溶剤としてアセチルクエン酸トリブチル(ATBC, 沸点343℃)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてDOAとATBCを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は258~270分であり、連通性の高い膜であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は98%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率97%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は82%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は82%であり、透水量を維持でき、かつ、薬液劣化による膜の大孔径化も見られなかった。
熱可塑性樹脂としてETFE樹脂(旭硝子社製、TL-081)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてアジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DOA)32.9質量%と、貧溶剤としてアジピン酸ジイソブチル(DIBA)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてDOAとDIBAを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は240~258分であり、連通性の高い膜であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は98%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率97%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は86%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は87%であり、透水量を維持でき、かつ、薬液劣化による膜の大孔径化も見られなかった。
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂としてECTFE樹脂(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、Halar901)40質量%と、微粉シリカ(一次粒径:16nm)23質量%と、非溶剤としてトリフェニル亜リン酸(TPP)32.9質量%と、貧溶剤としてアジピン酸ビス2-エチルヘキシル(DOA)4.1質量%とを用いて、溶融混練物を調製した。得られた溶融混連物の温度は240℃であった。得られた溶融混連物を2重管構造の紡糸ノズルを用い、中空糸状押出し物を120mmの空走距離を通した後、30℃の水中で固化させ、熱誘起相分離法により多孔質構造を発達させた。得られた中空糸状押出し物を、5m/分の速度で引き取り、かせに巻き取った。巻き取った中空糸状押出し物をイソプロピルアルコール中に浸漬させてTPPとDOAを抽出除去し、次いで、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を水置換し、次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、更に水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去して、多孔質中空糸膜を作製した。
得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、3次元網目構造を有していた。また、フラックス(透水性)が高く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は270~291分であり、連通性の高い膜であった。また、薬液浸漬後引張破断伸度保持率は99%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の引張破断伸度保持率98%と高かった。さらに、薬液浸漬後透水量保持率は83%であり、10サイクル繰り返し薬液洗浄後の透水量保持率は80%であり、薬液劣化も見られなかった。
溶剤をATBCのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして製膜し、比較例1の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスが低く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は1187~1365分であり、連通性の低い膜であり、薬液浸漬後破断伸度保持率も92%と低かった。
微粉シリカを0%とし、溶剤をγ-ブチロラクトンのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして製膜し、比較例2の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスは低く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は360~412分であり、連通性の低い膜であり、薬液浸漬後破断伸度保持率は86%と低かった。
溶剤をDOAのみとした以外は、実施3と同様にして製膜し、比較例3の中空糸膜を得た。得られた多孔質膜の配合組成及び製造条件並びに各種物性を以下の表1示す。得られた多孔質中空糸膜は、球晶構造を有していた。また、フラックスは低く、実液1~10バッチ目のフラックス(90%回収するまでの時間)は1267~1354分であり、連通性の低い膜であり、薬液浸漬後破断伸度保持率も84%と低かった。
Claims (15)
- 以下の工程:
3次元網目構造の樹脂から構成される多孔質膜に、お茶の微細片を含有する茶葉抽出液を通過させて、該お茶の微細片からろ液を分離するろ過工程;及び
該多孔質膜に洗浄液を通過又は浸漬させて、該多孔質膜の内部を洗浄する洗浄工程;
を含むお茶飲料の製造方法であって、
該多孔質膜の内側表面に直交する膜厚方向における膜断面のSEM画像における、該内側表面を含む視野、該膜の外側表面を含む視野、及びこれらの視野の間を等間隔で撮影した2視野の合計4視野の各領域において、0.1μm2以上1μm2以下の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して70%以上であり、かつ、1μm2 超の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して2%以上30%以下であり、かつ、10μm2以上の面積を有する樹脂部の面積の合計が、該樹脂部の総面積に対して15%以下であり、かつ、
該洗浄液が、0.01重量%以上0.5重量%以下の次亜塩素酸ナトリウム又は0.1重量%以上1重量%以下の過酸化物を含有する水溶液であり、かつ、該洗浄工程において、該多孔質膜に付着した茶葉の成分が除去される、
ことを特徴とする前記お茶飲料の製造方法。 - 前記多孔質膜の表面開口率は25~60%である、請求項1に記載の方法。
- 前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜の引張破断伸度E1との関係が、E1/E0×100≧98%である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記洗浄工程前の前記多孔質膜の引張破断伸度E0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜の引張破断伸度EXとの関係が、EX/E0×100≧97%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程後の前記多孔質膜のフラックスL1との関係が、L1/L0×100≧80%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ろ過工程前の前記多孔質膜のフラックスL0と、前記洗浄工程をX回(ここで、Xは2~10の整数である。)繰り返した後の前記多孔質膜のフラックスLXとの関係が、LX/L0×100≧80%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記多孔質膜は中空糸膜である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記多孔質膜を構成する樹脂は熱可塑性樹脂である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記熱可塑性樹脂はフッ素樹脂である、請求項8に記載の方法。
- 前記フッ素樹脂は、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-モノクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ヘキサフルオロプロピレン樹脂、及びこれら樹脂の混合物からなる群から選ばれる、請求項9に記載の方法。
- 前記熱可塑性樹脂はポリエチレン(PE)である、請求項8に記載の方法。
- 前記多孔質膜に付着した茶葉の成分が、蛋白質、糖質、タンニン、及びこれらの複合物からなる群から選ばれる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記洗浄工程は、前記洗浄液による洗浄を行う洗浄液工程と、その後、残存する洗浄液成分を除去するためのリンス水による濯ぎを行うリンス工程とを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リンス工程で使用するリンス水の量は、前記多孔質膜の単位面積当たり100L/m2以下である、請求項13に記載の方法。
- 前記リンス工程終了時のろ液中の塩素濃度が0.1ppm以下であり、かつ、前記過酸化物が過酸化水素である場合、該過酸化水素濃度が5ppm以下であり、前記過酸化物が過炭酸塩類又は過硫酸塩類である場合、該過炭酸塩類又は過硫酸塩類の濃度が5ppm以下である、請求項13又は14に記載の方法。
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