JP2019045552A - 波長変換素子、光源装置及びプロジェクター - Google Patents

波長変換素子、光源装置及びプロジェクター Download PDF

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Abstract

【課題】熱による損傷を低減するとともに波長変換効率の低下を抑制できる、波長変換素子を提供する。また、前記波長変換素子を備える光源装置を提供する。また、前記光源装置を備えるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明の波長変換素子は、励起光が入射される第1面と、第1面に対向する第2面とを有し、励起光を波長変換する波長変換層と、第2面に対向して設けられる基板と、波長変換層と基板とを接合する接合層と、を備え、接合層の内部に設けられ、波長変換層を構成する物質の熱膨張係数よりも大きく、接合層を構成する物質の熱膨張係数よりも小さい第1物質を含有する応力緩和部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、波長変換素子、光源装置及びプロジェクターに関するものである。
近年、半導体レーザー等の固体光源と、蛍光体層を備えた波長変換素子と、を組み合わせた光源装置がある。このような光源装置においては、蛍光体層の温度が上昇すると、励起光を蛍光に変換する蛍光変換効率が低下してしまう。例えば、下記特許文献1に開示の光源装置では、金属接合材によって蛍光体層を放熱基板に接合することで蛍光体の冷却効率を高めている。
この光源装置では、蛍光体層と放熱基板とで膨張係数が異なるため、蛍光体層の発熱時に熱応力で接合面が破壊するおそれがあるため、蛍光体層と放熱基板との間に蛍光体層および放熱基板の中間の膨張係数を有する物質を介在させて接合を行うようにしている。
特開2011−129354号公報
蛍光体層と放熱基板との間に蛍光体層および放熱基板の中間の膨張係数を有する物質を介在させて接合する場合、すなわち、蛍光体層と放熱基板との間に蛍光体層および放熱基板の中間の膨張係数を有する物質を挟み込んで接合を行う場合、当該中間の膨張係数を有する物質が、蛍光体層と放熱基板との間に、蛍光体層と放熱基板とに対向して層状に配置される可能性がある。
よって、上記光源装置では、蛍光体層と放熱基板との間に層状に、蛍光体層および放熱基板の中間の膨張係数を有する物質が配置されるため、蛍光体層において発生した熱が効率良く放熱基板側に伝導されないおそれがある。そのため、蛍光変換効率が低下するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、熱による損傷を低減するとともに波長変換効率の低下を抑制できる、波長変換素子を提供することを目的の一つとする。また、前記波長変換素子を備える光源装置を提供することを目的の一つとする。また、前記光源装置を備えるプロジェクターを提供することを目的の一つとする。
本発明の第1態様に従えば、励起光が入射される第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有し、前記励起光を波長変換する波長変換層と、前記第2面に対向して設けられる基板と、前記波長変換層と前記基板とを接合する接合層と、前記接合層の内部に設けられ、前記波長変換層を構成する物質の熱膨張係数よりも大きく、前記接合層を構成する物質の熱膨張係数よりも小さい第1物質を含有する応力緩和部とを備える波長変換素子が提供される。
第1態様に係る波長変換素子によれば、接合層が第1物質を含有する応力緩和部を有しない場合と比較して、接合層において第1物質を含有する応力緩和部の膨張量が低減されることにより、接合層の膨張量と波長変換層の膨張量との差が小さくなる。これにより、波長変換層に生じる熱応力が低減されるので、熱応力による蛍光発光素子の破損が起こりにくい。
また、第1物質を含有する応力緩和部は接合層の内部に設けられるため、接合層と波長変換層との間には介在しない。すなわち、第1物質を含有する応力緩和部は、接合層と波長変換層との間に層状に設けられるものではない。そのため、基板に接触する接合層が波長変換層に直接接触するので、第1物質を含有する応力緩和部は波長変換層から接合層への熱伝導性を低下させにくく、波長変換層の温度上昇が低減される。
したがって、本第1態様に係る波長変換素子によれば、熱による損傷を低減するとともに、波長変換層の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
上記第1態様において、前記応力緩和部は、前記第2面に対向して設けられ、シート状であるのが好ましい。
この構成によれば、接合層が第1物質を含有する応力緩和部を有しない場合と比較して、波長変換層の第2面に沿う方向の全体に亘って、接合層において応力緩和部の膨張量が低減されるので、接合層の膨張量をより低減できる。これにより、波長変換層に生じる熱応力をより低減できる。また、シート状からなる応力緩和部の厚みを接合層の厚みに比べて薄くすることにより、接合層の熱伝導性に影響を与えにくく、波長変換層の温度上昇に影響を与えにくい。なお、波長変換層で生じた熱を放熱し、波長変換層の温度上昇に影響を与えにくい態様であり、かつ、接合層に生じる熱応力を緩和できる態様であれば、応力緩和部のシート状の形態は、限定されない。
よって、熱による損傷を低減するとともに、波長変換層の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制した波長変換素子を提供できる。
さらにシート状である前記応力緩和部は孔部を有するのが好ましい。
この構成によれば、接合層が複数の孔部に入り込んだ状態に設けられる。これにより、接合層と応力緩和部の第1物質との接触面積が増えるので、接合層および第1物質(応力緩和部)の密着性が高くなる。よって、接合層における熱応力による影響を緩和させることができる。また、応力緩和部の孔部に入り込んだ接合層を介して、波長変換層で生じた熱が基板側へと伝達されるので、応力緩和部は接合層の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子の波長変換層の熱による損傷を低減するとともに、波長変換層の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
このように応力緩和部に孔部を設けることで、応力緩和部の熱伝導性、すなわち、第1物質の熱伝導性に関わらず、第1物質の熱膨張係数を考慮して、第1物質を選択できるので、より多くの物質の中から、第1物質を選択できる。
上記第1態様において、前記応力緩和部は、前記第2面に対向して設けられた格子状からなるのが好ましい。
格子状からなる応力緩和部は複数の孔を有するため、接合層は応力緩和部に設けられた複数の孔に入り込んだ状態に設けられる。これにより、接合層と第1物質(応力緩和部)との接触面積が増えるので、接合層および第1物質の密着性が向上する。よって、接合層における熱応力による影響を緩和させることができる。また、応力緩和部の格子状からなる形状の孔部に入り込んだ接合層を介して、波長変換層で生じた熱が基板側へと伝達されるので、応力緩和部は接合層の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子の波長変換層の熱による損傷を低減するとともに、波長変換層の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
このように応力緩和部を格子状にすることで、応力緩和部の熱伝導性、すなわち、第1物質の熱伝導性に関わらず、第1物質の熱膨張係数を考慮して、第1物質を選択できるので、より多くの物質の中から、第1物質を選択できる。
上記第1態様において、前記応力緩和部は、前記第1物質として多孔質材料を含有するのが好ましい。
応力緩和部が、第1物質として多孔質材料を含有する場合には、多孔質材料(第1物質)は複数の空孔を有するため、接合層は多孔質材料に設けられた複数の空孔に入り込んだ状態に設けられる。これにより、接合層と多孔質材料との接触面積が増えるので、接合層および多孔質材料の密着性が向上する。よって、接合層における熱応力による影響を緩和させることができる。また、応力緩和部の多孔質材料の空孔に入り込んだ接合層を介して、波長変換層で生じた熱が基板側へと伝達されるので、応力緩和部は接合層の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子の波長変換層の熱による損傷を低減するとともに、波長変換層の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
上記第1態様において、前記応力緩和部は、前記接合層の厚さ方向において、前記厚さ方向の中心より前記波長変換層側に位置するのが好ましい。
この構成によれば、接合層の波長変換層側に応力緩和部の第1物質が偏在するため、接合層における波長変換層近傍の膨張量が低減される。これにより、接合層が第1物質を含有する応力緩和部を有しない場合と比較して、接合層の膨張量と波長変換層の膨張量との差が小さくなって、波長変換層に生じる熱応力を低減できる。よって、熱応力による波長変換素子の破損を起こりにくくできる。
上記第1態様において、前記励起光は、前記波長変換層の前記第1面において、励起光照射領域に対して入射され、前記第1面の面法線方向に沿う方向から平面視した場合において、前記接合層の外形は、前記励起光照射領域より大きく、前記応力緩和部の外形は、前記励起光照射領域より大きく、前記接合層の外形より小さいのが好ましい。
この構成によれば、応力緩和部の外形が励起光照射領域より大きく、接合層の外形より小さい状態に設けられるので、波長変換層の端部に生じる熱応力を効率良く緩和できる。よって、熱応力の集中が緩和されるので、波長変換素子の熱応力による破損がより起こりにくくできる。
本発明の第2態様に従えば、上記第1態様の波長変換素子と、前記励起光を射出する発光素子と、を備えた光源装置が提供される。
第2態様に係る光源装置は、熱応力による波長変換素子の損傷を低減するとともに、波長変換素子の波長変換効率の低下を抑制できるので、信頼性を向上させた光源装置を提供できる。
本発明の第3態様に従えば、上記第2態様の光源装置と、前記光源装置からの照明光を画像情報に応じて変調して画像光を生成する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学装置と、を備えるプロジェクターが提供される。
第3態様に係るプロジェクターは、熱応力による波長変換素子の損傷が起こりにくく、波長変換素子の波長変換効率の低下を抑制した光源装置を備えるので、信頼性を向上させたプロジェクターを提供できる。
第一実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図。 照明装置の概略構成を示す図。 蛍光体層の温度が上昇している場合の波長変換素子の状態説明図。 第二実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図。 第二実施形態の波長変換素子の平面図。 第三実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図。 第四実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図。 実施例における熱流束分布のシミュレーション結果を示す図。 実施例における最大主応力分布のシミュレーション結果を示す図。 比較例における最大主応力分布のシミュレーション結果を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(第一実施形態)
まず、本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6とを備えている。
色分離光学系3は、照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bとを備えている。
第1のダイクロイックミラー7aは、照明装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)とに分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過すると共に、その他の光を反射する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射すると共に青色光LBを透過させる。
第1の全反射ミラー8aは、赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cは、青色光LBを光変調装置4Bに導く。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの後段に配置されている。
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色の画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色の画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色の画像光を形成する。
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側及び射出側各々には、偏光板(図示せず。)が配置されている。
また、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。
合成光学系5には、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bからの各画像光が入射する。合成光学系5は、各画像光を合成し、この合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
投射光学装置6は、投射レンズ群からなり、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像が表示される。
(照明装置)
続いて、本実施形態に係る照明装置2について説明する。図2は照明装置2の概略構成を示す図である。図2に示すように、照明装置2は、光源装置2Aと、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳レンズ33とを備えている。
光源装置2Aは、アレイ光源21と、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、第1の位相差板28aと、偏光分離素子50を含む光学素子25Aと、第1の集光光学系26と、波長変換素子27と、第2の位相差板28bと、第2の集光光学系29と、拡散反射素子30と、を有している。
光源装置2Aにおいて、アレイ光源21と、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、第1の位相差板28aと、光学素子25Aと、第2の位相差板28bと、第2の集光光学系29と、拡散反射素子30とは、光軸ax1上に順次配置されている。波長変換素子27と、第1の集光光学系26と、光学素子25Aと、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳レンズ33とは、光軸ax2上に順次配置されている。光軸ax1と光軸ax2とは、同一面内にあり、互いに直交する。光軸ax2は照明装置2の照明光軸に相当する。
アレイ光源21は、複数の半導体レーザー21aを備える。複数の半導体レーザー21aは光軸ax1と直交する面内において、アレイ状に配置されている。半導体レーザー21aは、例えば青色の光線B(例えばピーク波長が460nmのレーザー光)を射出する。アレイ光源21は、複数の光線Bからなる光線束BLを射出する。本実施形態において、半導体レーザー21aは特許請求の範囲の「発光素子」に相当する。
アレイ光源21から射出された光線束BLは、コリメーター光学系22に入射する。コリメーター光学系22は、アレイ光源21から射出された光線Bを平行光に変換する。コリメーター光学系22は、例えばアレイ状に配置された複数のコリメーターレンズ22aから構成されている。複数のコリメーターレンズ22aは、複数の半導体レーザー21aに対応して配置されている。
コリメーター光学系22を通過した光線束BLは、アフォーカル光学系23に入射する。アフォーカル光学系23は、光線束BLの光束径を調整する。アフォーカル光学系23は、例えば凸レンズ23a,凹レンズ23bから構成されている。
アフォーカル光学系23を通過した光線束BLは第1の位相差板28aに入射する。第1の位相差板28aは、例えば光学軸を光軸ax1の周りに回転可能とされた1/2波長板である。光線束BLは直線偏光である。第1の位相差板28aの回転角度を適切に設定することにより、第1の位相差板28aを透過した光線束BLを、偏光分離素子50に対するS偏光成分とP偏光成分とを所定の比率で含む光線とすることができる。
第1の位相差板28aを通過することでS偏光成分とP偏光成分とを含む光線束BLは光学素子25Aに入射する。光学素子25Aは、例えば波長選択性を有するダイクロイックプリズムから構成されている。ダイクロイックプリズムは、光軸ax1に対して45°の角度をなす傾斜面Kを有している。傾斜面Kは、光軸ax2に対しても45°の角度をなしている。
傾斜面Kには、波長選択特性を有する偏光分離素子50が設けられている。偏光分離素子50は、光線束BLを、偏光分離素子50に対するS偏光成分の光線束BLsとP偏光成分の光線束BLpとに分離する偏光分離機能を有している。具体的に、偏光分離素子50は、S偏光成分の光線束BLsを反射させ、P偏光成分の光線束BLpを透過させる。
また、偏光分離素子50は光線束BLとは波長帯が異なる蛍光YLを、その偏光状態にかかわらず透過させる色分離機能を有している。
偏光分離素子50から射出されたS偏光の光線束BLsは、第1の集光光学系26に入射する。第1の集光光学系26は、光線束BLsを励起光として蛍光体層34に向けて集光させる。本実施形態において、光線束BLsは特許請求の範囲の「励起光」に相当する。
本実施形態において、第1の集光光学系26は、例えば第1レンズ26a及び第2レンズ26bから構成されている。第1の集光光学系26から射出された光線束BLsは、波長変換素子27に集光した状態で入射する。
波長変換素子27は、蛍光体層34と、蛍光体層34を支持する基板35と、蛍光体層34と基板35とを接合する接合層36と、反射部37とを有している。本実施形態において、波長変換素子27は特許請求の範囲の「波長変換素子」に相当する。
本実施形態において、蛍光体層34は、複数のYAG蛍光体粒子を焼結したYAGセラミック系の蛍光体からなる。蛍光体層34は、光線束BLsが入射される入射面34Aと、該入射面34Aに対向する下面34Bとを有する。
本実施形態において、蛍光体層34は特許請求の範囲の「波長変換層」に相当し、入射面34A(図3参照)は特許請求の範囲の「第1面」に相当し、下面34B(図3参照)は特許請求の範囲の「第2面」に相当する。
蛍光体層34は、光線束BLsによって励起され、例えば500〜700nmの波長域にピーク波長を有する蛍光(黄色光)YLを射出する。
蛍光体層34で生成された蛍光YLのうち一部の蛍光YLは、反射部37によって反射され、蛍光体層34の外部へと射出される。反射部37としては反射率が高いものが好ましく、本実施形態では誘電体多層膜を用いた。このようにして、蛍光YLが蛍光体層34から第1の集光光学系26に向けて射出される。
基板35としては熱伝導性の高い金属であるAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)やセラミックAlNやダイヤモンド、Al2O3等を用いるのが好ましく、熱伝導性が高い点で本実施形態では基板35として銅板を用いた。なお、基板35の表面は接合層36との接合力を高めるためのめっき等の表面処理が施されていてもよい。
光線束BLsの入射方向に沿う方向(上方)から波長変換素子27を平面視した場合において、接合層36は蛍光体層34より外形が大きい。すなわち、接合層36の外形は蛍光体層34の外形より大きい状態で基板35上に設けられている。
接合層36としては、熱伝導性に優れた金属材料を用いるのが好ましい。本実施形態では、接合層36の材料としてナノAg粒子を用いた焼結型接合材を用いた。焼結型接合材は高い熱伝導性を有するため、蛍光体層34と基板35との熱伝導性を向上させる。そのため、蛍光体層34の熱が基板35側に効率よく放出されるので、蛍光体層34の温度上昇が抑制されて、蛍光体層34の波長変換効率の低下を防止できる。
ところで、蛍光体層34に励起光(光線束BLs)が照射されると、蛍光体層34の温度が上昇する。図3は、蛍光体層34の温度が上昇している場合の波長変換素子27の状態を説明するための図である。
蛍光体層34、基板35および接合層36は熱膨張係数が異なるため、励起光が照射された際、熱膨張係数の差に応じた熱応力が発生する。なお、熱膨張係数とは、線膨張係数と体積膨張係数とを含む概念であるが、本実施形態において、蛍光体層34、基板35および接合層36の厚みは薄いため、以下では熱膨張係数を線膨張係数として説明する。
具体的に、基板35の線膨張係数と接合層36の線膨張係数との差に比べて、接合層36の線膨張係数と蛍光体層34の線膨張係数との差は大きくなる。そのため、図3に示すように、熱による接合層36の膨張量(伸び量)は、蛍光体層34の膨張量(伸び量)よりも大きくなる。このとき、蛍光体層34に発生した熱応力によって、蛍光体層34が破断或いは基板35から剥離するおそれがある。
これに対し、本実施形態の波長変換素子27は、基板35と蛍光体層34とを接合する接合層36の内部に応力緩和部36a(第1物質36a)を含有させることで、蛍光体層34に発生する熱応力を低減させるようにしている。
具体的に第1物質36a(応力緩和部36a)の線膨張係数は、蛍光体層34を構成する物質(YAG)の線膨張係数(8×10−6/K)よりも大きく、接合層36を構成する物質(焼結金属Ag)の線膨張係数(19×10−6/K)よりも小さい。本実施形態では、第1物質36aとして、鋼(線膨張係数:12.1×10−6/K)を接合層36に含有させた。
なお、第1物質36aの材料は鋼に限定されず、例えば、チタン(線膨張係数:8.4〜8.6×10−6/K)、硬質ガラス(線膨張係数:8.5×10−6/K)、アランダム(線膨張係数:8.7×10−6/K)、白金(線膨張係数:8.8〜9.0×10−6/K)、ジルコニア(線膨張係数:8.8×10−6/K)、煉瓦(線膨張係数:9.5×10−6/K)、酸化マグネシウム(線膨張係数:9.7×10−6/K)、石英(線膨張係数:10.3×10−6/K)を用いてもよい。
また、ステンレス鋼(SUS410、線膨張係数:10.4×10−6/K)、炭素鋼(線膨張係数:10.8×10−6/K)、鉄(線膨張係数:11.8〜12.1×10−6/K)、パーマロイ(線膨張係数:12×10−6/K)、コンクリート(線膨張係数:12×10−6/K)、アンチモン(線膨張係数:12×10−6/K)、コバルト(線膨張係数:12.4×10−6/K)、インコネル(線膨張係数:12.6〜13.3×10−6/K)、ニッケル(線膨張係数:12.8〜13.4×10−6/K)を用いてもよい。
また、ビスマス(線膨張係数:13.3×10−6/K)、ハステロイ(線膨張係数:13.9×10−6/K)、金(線膨張係数:14.2〜14.3×10−6/K)、銅(線膨張係数:16.5〜16.8×10−6/K)、ベリリウム銅(線膨張係数:17.1×10−6/K)、ステンレス鋼(SUS304、線膨張係数:13.9×10−6/K)、リン青銅(線膨張係数:18.2×10−6/K)などを用いてもよい。
本実施形態において、蛍光体層34内には、複数の応力緩和部36a(第1物質36a)が埋め込まれている。各応力緩和部36a(第1物質36a)は、接合層36の厚さ方向(図3の符号Dで示す方向)において、該厚さ方向Dの中心Cより蛍光体層34側に位置している。すなわち、各応力緩和部36a(第1物質36a)は、接合層36の蛍光体層34側に偏在した状態で該接合層36に含有されている。
第1物質36aを含有する接合層36の線膨張係数は、第1物質36aを含有しない場合に比べて相対的に高くなる。そのため、励起光の照射時において、第1物質36aを含有した接合層36は膨張量が低減される。
上述のように本実施形態では、接合層36の蛍光体層34側に第1物質36aが偏在するため、接合層36の蛍光体層34近傍における膨張量が効率良く低減する。これにより、接合層36の膨張量と蛍光体層34の膨張量との差が小さくなって、蛍光体層34に生じる熱応力を低減させることができる。よって、熱応力による波長変換素子27の破損が起こりにくい。
また、第1物質36aは接合層36に含有されるため、接合層36と蛍光体層34との間には介在しない。そのため、接合層36が蛍光体層34に直接接触するので、第1物質36aは蛍光体層34から接合層36への熱伝導性を低下させにくく、蛍光体層34の温度上昇が低減される。
図2に戻って、蛍光体層34から射出された蛍光YLは、非偏光光である。蛍光YLは、第1の集光光学系26を通過した後、偏光分離素子50に入射する。そして、この蛍光YLは、偏光分離素子50からインテグレーター光学系31に向けて進む。
一方、偏光分離素子50を透過したP偏光の光線束BLpは、第2の位相差板28bによって右回り円偏光の青色光BLc1に変換され、第2の集光光学系29に入射する。第2の位相差板28bは、1/4波長板から構成されている。
第2の集光光学系29は、例えばレンズ29aから構成され、青色光BLc1を集光させた状態で拡散反射素子30に入射させる。
拡散反射素子30は、第2の集光光学系29から射出された青色光BLc1を偏光分離素子50に向けて拡散反射させる。拡散反射素子30としては、青色光BLc1をランバート反射させつつ、且つ、偏光状態を乱さないものを用いることが好ましい。
以下、拡散反射素子30によって拡散反射された光を青色光BLc2と称する。本実施形態によれば、青色光BLc1を拡散反射させることで略均一な照度分布の青色光BLc2が得られる。右回り円偏光の青色光BLc1は左回り円偏光の青色光BLc2として反射される。
青色光BLc2は第2の集光光学系29によって平行光に変換された後に再び第2の位相差板28bを透過してS偏光の青色光BLs1に変換される。青色光BLs1は、偏光分離素子50によってインテグレーター光学系31に向けて反射される。
青色光BLs1及び蛍光YLは、偏光分離素子50から互いに同一方向に向けて射出され、青色光BLs1と蛍光(黄色光)YLとが混ざった白色の照明光WLが生成される。
照明光WLは、インテグレーター光学系31に向けて射出される。インテグレーター光学系31は、例えば、レンズアレイ31a,レンズアレイ31bから構成されている。レンズアレイ31a,31bは、複数の小レンズがアレイ状に配列されたものからなる。
インテグレーター光学系31を透過した照明光WLは、偏光変換素子32に入射する。偏光変換素子32は、偏光分離膜と位相差板とから構成されている。偏光変換素子32は、非偏光の蛍光YLを含む照明光WLを直線偏光に変換する。
偏光変換素子32を透過した照明光WLは、重畳レンズ33に入射する。重畳レンズ33はインテグレーター光学系31と協同して、被照明領域における照明光WLによる照度の分布を均一化する。このようにして、照明装置2は照明光WLを射出する。
本実施形態の光源装置2Aによれば、接合層36中に、蛍光体層34と該接合層36との間の線膨張係数(熱膨張係数)を有する第1物質36aを含有するので、蛍光体層34と接合層36との線膨張係数(熱膨張係数)差による波長変換素子27の破損、具体的には蛍光体層34の破損或いは剥離が起こりにくい。
また、接合層36の蛍光体層34側に第1物質36a(応力緩和部36a)が偏在するため、接合層36の蛍光体層34近傍の膨張量が効率良く低減する。これにより、接合層36の膨張量と蛍光体層34の膨張量との差が小さくなって、蛍光体層34に生じる熱応力を低減できる。よって、熱応力による波長変換素子27の破損が起こりにくい。
また、第1物質36aは接合層36に含有されるため、接合層36と蛍光体層34との間には介在しない。すなわち、第1物質36aを含有する応力緩和部36aは、接合層36と蛍光体層34との間に層状に設けられるものではない。そのため、接合層36が直接的に蛍光体層34に接触するので、第1物質36aは蛍光体層34から接合層36への熱伝導性を低下させにくく、蛍光体層34の温度上昇を低減できる。
したがって、本実施形態の波長変換素子27によれば、熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
また、光源装置2Aを含む本実施形態の照明装置2は照明光WLを安定して射出することができる。したがって、この照明装置2を備えた本実施形態のプロジェクター1は、信頼性に優れたものとなる。
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態に係る照明装置について説明する。本実施形態と第一実施形態とは、波長変換素子の構成において異なり、それ以外の構成は共通である。そのため、以下の説明では、第一実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、その詳細については省略若しくは簡略化する。
図4は本実施形態の波長変換素子27Aの構成を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の波長変換素子27Aは、蛍光体層34と、基板35と、第1物質136a(応力緩和部136a)を含有する接合層136と、反射部37とを有している。
本実施形態において、応力緩和部136a(第1物質136a)は蛍光体層34の下面34Bに対向して設けられたシート状からなる。なお、シート状とは厚みの薄い層状からなるものを意味する。すなわち、応力緩和部136aは薄い層状からなるものであれば湾曲した形状や一部が折れ曲がった形状であってもよい。
本実施形態の第1物質136aの線膨張係数は、蛍光体層34を構成する物質の線膨張係数よりも大きく、接合層36を構成する物質の線膨張係数よりも小さい。
また、応力緩和部136aは複数の孔部137を有する。孔部137は応力緩和部136aを貫通する貫通孔である。接合層136は、応力緩和部136aに設けられた複数の孔部137に入り込んだ状態に設けられている。
これにより、接合層136と第1物質136a(応力緩和部136a)との接触面積が増えるので、接合層136および第1物質136a(応力緩和部136a)の密着性が高くなる。よって、接合層136における熱応力による影響を緩和させることができる。また、応力緩和部136aの孔部137に入り込んだ接合層136を介して、蛍光体層34で生じた熱が基板35側へと伝達されるので、応力緩和部136aは接合層136の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子27Aの蛍光体層34の熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
このように応力緩和部136aに孔部137を設けることで、応力緩和部136aの熱伝導性、すなわち、第1物質136の熱伝導性に関わらず、第1物質136の熱膨張係数を考慮して、第1物質136を選択できるので、より多くの物質の中から、第1物質136を選択できる。
第1物質136a(応力緩和部136a)は、接合層136の厚さ方向(図4の符号D1で示す方向)において、該厚さ方向の中心C1より蛍光体層34側に位置している。すなわち、第1物質136aは、接合層136の蛍光体層34側に偏在した状態で該接合層136に含有されている。
このようなシート状からなる応力緩和部136a(第1物質136a)を含有する接合層136は、複数の第1物質36aを離散的に含有させた第一実施形態の構成に比べて、蛍光体層34の下面34Bに沿う方向の全体に亘って線膨張係数が相対的に高くなる。
本実施形態の第1物質136aは、励起光の照射時に、接合層136の膨張量をより低減させる。これにより、接合層136の膨張量と蛍光体層34の膨張量との差がより小さくなるので、蛍光体層34に生じる熱応力をより低減させることができる。
図5は本実施形態の波長変換素子27Aを入射面34Aの面法線方向に沿う方向から平面視した構成を示す平面図である。
図5に示すように、波長変換素子27Aを平面視した場合において、光線束BLs(励起光)は、蛍光体層34の入射面34Aの励起光照射領域40に入射される。接合層136は、励起光照射領域40または蛍光体層34より外形が大きい。また、応力緩和部136a(第1物質136a)は、励起光照射領域40または蛍光体層34より外形が大きい。すなわち、接合層136および該接合層136に含有された第1物質136a(応力緩和部136a)は、励起光照射領域40または蛍光体層34の外形より大きく、接合層136の外形より小さい状態となっている。
一般的に熱応力は蛍光体層34の端部に集中し易い。本実施形態によれば、第1物質136aが、励起光照射領域40または蛍光体層34よりも外側にはみ出すように設けられるので、蛍光体層34の端部の接合層136の膨張量を減らすことで該蛍光体層34の端部に生じる熱応力を効率良く緩和することができる。よって、熱応力の集中が緩和されるので、波長変換素子27Aの熱応力による破損がより起こりにくくなる。
また、シート状からなる応力緩和部136a(第1物質136a)の厚みは接合層136の厚みに比べて薄いので、接合層136の熱伝導性に影響を与えにくく、蛍光体層34の温度上昇に影響を与えにくい。よって、熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制した波長変換素子27Aを提供できる。さらに、本実施形態では、応力緩和部136a(第1物質136a)に複数の孔部137を設けたので、応力緩和部136aの孔部137に入り込んだ接合層136を介して、蛍光体層34で生じた熱が基板35側へと伝達されるので、応力緩和部136aは接合層136の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子27Aの蛍光体層34の熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
このように応力緩和部136aに孔部137を設けることで、応力緩和部136aの熱伝導性、すなわち、第1物質136aの熱伝導性に関わらず、第1物質136aの熱膨張係数を考慮して、第1物質136aを選択できるので、より多くの物質の中から、第1物質136aを選択できる。
以上のように本実施形態の波長変換素子27Aにおいても、熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制することができる。
(第三実施形態)
続いて、第三実施形態に係る照明装置について説明する。本実施形態と第一実施形態とは、波長変換素子の構成において異なり、それ以外の構成は共通である。そのため、以下の説明では、第一実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、その詳細については省略若しくは簡略化する。
図6は本実施形態の波長変換素子27Bの構成を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態の波長変換素子27Bは、蛍光体層34と、基板35と、第1物質236aを含有する接合層236と、反射部37とを有している。なお、本実施形態の第1物質236aの線膨張係数は、蛍光体層34を構成する物質の線膨張係数よりも大きく、接合層236を構成する物質の線膨張係数よりも小さい。
本実施形態において、接合層236に含有される第1物質236aは蛍光体層34の下面34Bに対向する格子状からなる。具体的に、第1物質236aは複数の線状部材を格子状に編み込んだメッシュ構造からなる。そのため、第1物質236aは複数の孔237を有している。接合層236は、第1物質236aに設けられた複数の孔237に入り込んだ状態に設けられている。
これにより、接合層236と第1物質236aとの接触面積が増えるので、接合層236および第1物質236aの密着性が向上する。これにより、第1物質236aは、接合層236の膨張量を効率良く低減させることができる。
第1物質236aは、接合層236の厚さ方向(図6の符号D2で示す方向)において、該厚さ方向の中心C2より蛍光体層34側に位置している。すなわち、第1物質236aは、接合層236の蛍光体層34側に偏在した状態で該接合層236に含有されている。
このような格子状からなる第1物質236aを含有する接合層236は、第一実施形態の構成に比べて、蛍光体層34の下面34Bに沿う方向の全体に亘って線膨張係数が相対的に高くなる。そのため、励起光の照射時において、接合層236は膨張量をより低減できる。これにより、蛍光体層34に生じる熱応力を効率良く低減できる。
本実施形態においても、応力緩和部236a(第1物質236a)が蛍光体層34の外形より大きく、接合層136の外形より小さい状態に設けられるので、蛍光体層34の端部に生じる熱応力の集中が緩和される。
さらに、本実施形態では、格子状からなる応力緩和部236a(第1物質236a)に複数の孔237を設けたので、応力緩和部236aの孔237に入り込んだ接合層236を介して、蛍光体層34で生じた熱が基板35側へと伝達されるので、応力緩和部236aは接合層236の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子27Bの蛍光体層34の熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
このように応力緩和部236aを格子状(メッシュ状)とすることで、応力緩和部236aの熱伝導性、すなわち、第1物質236aの熱伝導性に関わらず、第1物質236aの熱膨張係数を考慮して、第1物質236aを選択できるので、より多くの物質の中から、第1物質236aを選択できる。
以上のように本実施形態の波長変換素子27Bにおいても、熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制することができる。
(第四実施形態)
続いて、第三実施形態に係る照明装置について説明する。本実施形態と第一実施形態とは、波長変換素子の構成において異なり、それ以外の構成は共通である。そのため、以下の説明では、第一実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、その詳細については省略若しくは簡略化する。
図7は本実施形態の波長変換素子27Cの構成を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の波長変換素子27Cは、蛍光体層34と、基板35と、第1物質336aを含有する接合層336と、反射部37とを有している。なお、本実施形態の第1物質336aの線膨張係数は、蛍光体層34を構成する物質の線膨張係数よりも大きく、接合層336を構成する物質の線膨張係数よりも小さい。
本実施形態において、接合層336に含有される第1物質336a(応力緩和部336a)は多孔質材料からなり、多数の空孔337を有している。接合層336は第1物質336aに設けられた複数の空孔337に入り込んだ状態に設けられる。
これにより、接合層336と第1物質336aとの接触面積が増えるので、接合層336および第1物質336aの密着性が向上している。よって、第1物質336aは、接合層336の膨張量を効率良く低減させることができる。
なお、多孔質材料(第1物質336a)における空孔337の割合を調整することで、空孔337に充填される接合層336の量を調整できるので、応力緩和部336a(第1物質336a)の線膨張係数を調整できるとともに、接合層336の線膨張係数を調整できる。
第1物質336aは、接合層336の厚さ方向(図7の符号D3で示す方向)において、該厚さ方向の中心C3より蛍光体層34側に位置している。すなわち、第1物質336aは、接合層336の蛍光体層34側に偏在した状態で該接合層336に含有されている。
このような多孔質材料からなる第1物質336aを用いることで、励起光の照射時において、接合層336の膨張量が低減するので、蛍光体層34に生じる熱応力を効率良く低減できる。
さらに、本実施形態では、応力緩和部336a(第1物質336a)が多孔質材料であるので、応力緩和部336aの空孔337に入り込んだ接合層336を介して、蛍光体層34で生じた熱が基板35側へと伝達されるので、応力緩和部336aは接合層336の熱伝導性を低下させにくく、波長変換素子27Cの蛍光体層34の熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制できる。
以上のように本実施形態の波長変換素子27Cにおいても、熱による損傷を低減するとともに、蛍光体層34の温度上昇による波長変換効率の低下を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態の内容に限定されることはなく、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、接合層に含有する第1物質の熱膨張係数として線膨張係数を用いたが、代わりに体積膨張係数を用いもよい。すなわち、接合層に含有される応力緩和部の第1物質の体積膨張係数は、蛍光体層を構成する物質の体積膨張係数よりも大きく、接合層を構成する物質の体積膨張係数よりも小さければよい。
また、上記実施形態では、3つの光変調装置4R,4G,4Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに適用することも可能である。また、光変調装置として、デジタルミラーデバイスを用いてもよい。
また、上記実施形態では本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
(実施例)
本発明者は、実施例と比較例とを比較し、本発明の有効性について確認した。実施例では、シミュレーションモデルとして、第1物質を含有する接合層によりYAGセラミック系の蛍光体を基板に固定した波長変換素子を用いた。
例えば、接合層を構成する物質を焼結金属Ag(線膨張係数:19×10−6/K)、第1物質を鋼(線膨張係数:12.1×10−6/K)、蛍光体層を構成する物質をYAGセラミック(線膨張係数:8×10−6/K)とした。なお、第1物質は3.4mm角のシート状からなり、複数の孔部(貫通孔)が形成されることで格子状となっている。
また、比較例では、実施例の構成から第1物質を省略したものをシミュレーションモデルとした。すなわち、比較例のシミュレーションモデルでは、接合層が第1物質を含有していない。
そして、実施例のモデルについて、蛍光体層の一方面(基材との接合面と反対側)側に励起光を入射させた際の熱流束分布と最大主応力分布とをシミュレーションで求めた。また、比較例のモデルについて、蛍光体層の一方面側に励起光を入射させた際の最大主応力分布をシミュレーションで求めた。
図8は実施例における熱流束分布のシミュレーション結果を示す図である。なお、図8において、色が濃くなるほど熱の移動量が多くなることを意味する。
図8に示されるように、実施例のシミュレーションモデルにおいて、蛍光体層60の光入射面60Aで発生した熱は、第1物質61に形成した複数の孔部62内に入り込んだ接合層63を介して基板64側に伝達されることを確認できた。これは、仮に第1物質61の熱伝導率が低い場合でも、接合層63の熱が孔部62内を迂回して基板64側に伝達できることを意味する。
すなわち、孔部62を形成することで、第1物質61による接合層63の熱伝導性への影響を小さくできることを確認できた。
したがって、仮に熱伝導性の高くない材料であっても孔部を形成することで第1物質として利用可能となる場合がある。つまり、孔部との組み合わせによって第1物質の材料選択の幅が広がることを確認できた。
図9Aは実施例における最大主応力分布のシミュレーション結果を示す図である。また、図9Bは比較例における最大主応力分布のシミュレーション結果を示す図である。なお、図9Aに示される最大主応力は157.811MPaであり、図9Bに示される最大主応力は189.709MPaである。
図9Aおよび図9Bに示されるように、比較例によれば蛍光体層の縁部に応力集中が生じるものの、実施例によれば蛍光体層の縁部の応力集中(最大主応力)を緩和できることを確認できた。これにより、接合層に第1物質を含有させることで、蛍光体層に発生する熱応力を低減できることを確認できた。すなわち、熱応力による波長変換素子の破損を起こり難くできることを確認できた。
1…プロジェクター、2A…光源装置、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、21a…半導体レーザー(発光素子)、27,27A,27B,27C…波長変換素子、34…蛍光体層、34A…入射面(第1面)、34B…下面(第2面)、35…基板、36,136,236,336…接合層、36a,61,136a,236a,336a…応力緩和部(第1物質)、40…励起光照射領域、137…孔部、C,C1,C2,C3…中心、D,D1,D2,D3…厚さ方向、YL…蛍光、BLs…光線束(励起光)。

Claims (9)

  1. 励起光が入射される第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有し、前記励起光を波長変換する波長変換層と、
    前記第2面に対向して設けられる基板と、
    前記波長変換層と前記基板とを接合する接合層と、
    前記接合層の内部に設けられ、前記波長変換層を構成する物質の熱膨張係数よりも大きく、前記接合層を構成する物質の熱膨張係数よりも小さい第1物質を含有する応力緩和部と、を備えることを特徴とする波長変換素子。
  2. 前記応力緩和部は、前記第2面に対向して設けられ、シート状であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  3. シート状である前記応力緩和部は孔部を有することを特徴とする請求項2に記載の波長変換素子。
  4. 前記応力緩和部は、前記第2面に対向して設けられ、格子状であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  5. 前記応力緩和部は、前記第1物質として多孔質材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  6. 前記応力緩和部は、前記接合層の厚さ方向において、前記厚さ方向の中心より前記波長変換層側に位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の波長変換素子。
  7. 前記励起光は、前記波長変換層の前記第1面において、励起光照射領域に対して入射され、前記第1面の面法線方向に沿う方向から平面視した場合において、
    前記接合層の外形は、前記励起光照射領域より大きく、
    前記応力緩和部の外形は、前記励起光照射領域より大きく、前記接合層の外形より小さいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の波長変換素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の波長変換素子と、
    前記励起光を射出する発光素子と、
    を備えることを特徴とする光源装置。
  9. 請求項8に記載の光源装置と、
    前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調して画像光を生成する光変調装置と、
    前記画像光を投射する投射光学装置と、
    を備えることを特徴とするプロジェクター。
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