JP2019044423A - 地下室の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工コストを抑えることができるだけでなく、設計の自由度も高い地下室の施工方法を提供する。【解決手段】地面1に穴2を掘る穴掘り工程と、穴2の底部を締め固める転圧工程と、穴2の底部に、底版部6b及び側版部6aを有する擁壁用L型コンクリートブロック6を互いに向かい合うように設置していく擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、擁壁用L型コンクリートブロック6の前面側及び背面側に矩形型パネル8を設置する矩形型パネル設置工程と、穴2における擁壁用コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外側に位置する部分9を埋め戻す埋め戻し工程と、擁壁用コンクリートブロック6及び矩形型パネル8で囲まれた領域の上側に地下室の天井を施工する天井施工工程とを経ることにより、地下室を施工する。【選択図】図9
Description
本発明は、地下室を施工するための地下室の施工方法に関する。
シェルターに対する需要が高まってきたこと等に呼応して、近年、一般住宅においても地下室を設置したいと考える人が増えてきている。しかし、地下室を施工しようとすると、地下室の床下地や壁下地となる部分を構築するために、地面に掘った穴の内部に矢板を設置してその矢板内にコンクリートを打設して養生する必要があるだけでなく、地下水対策も施さなければならない等、現場での工程が著しく増大する。このため、地下室を施工すると、建築コストが著しく高くなるため、日本においては、一部の裕福層を除いて、一般住宅に地下室が普及するまでに至っていない。
このような実状に鑑みてか、これまでには、地面に掘った穴に、工場等で予め組み立てられた地下室ユニットを設置することにより地下室を施工する技術(例えば特許文献1を参照。)も提案されている。しかし、このように地下室ユニットを設置する工法は、必ずしも建築コストが安くなるとは限らない。というのも、地下室ユニットの構成部品の製造又は購入や、地下室ユニットの組み立てや工場等から施工現場への輸送にもコストがかかることに加えて、施主の要望等に応じた間取りの地下室を施工しようとすると、地下室ユニットを一から設計しなければならない等、設計コストが増大する虞もあるからである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、施工コストを抑えることができるだけでなく、設計の自由度も高い地下室の施工方法を提供するものである。
上記課題は、
地面における地下室を設ける箇所に穴を掘る穴掘り工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部を締め固める転圧工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部に、底版部及び側版部を有する擁壁用L型コンクリートブロックを互いに向かい合うように設置していく擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、
擁壁用L型コンクリートブロック設置工程で設置された擁壁用L型コンクリートブロックの前面側及び背面側に、矩形型パネルを設置する矩形型パネル設置工程と、
穴掘り工程で掘られた穴における、擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルの外側に位置する部分を埋め戻す埋め戻し工程と、
擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた領域の上側に地下室の天井を施工する天井施工工程と、
を経ることにより、
地下室を施工することを特徴とする地下室の施工方法
を提供することによって解決される。
地面における地下室を設ける箇所に穴を掘る穴掘り工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部を締め固める転圧工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部に、底版部及び側版部を有する擁壁用L型コンクリートブロックを互いに向かい合うように設置していく擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、
擁壁用L型コンクリートブロック設置工程で設置された擁壁用L型コンクリートブロックの前面側及び背面側に、矩形型パネルを設置する矩形型パネル設置工程と、
穴掘り工程で掘られた穴における、擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルの外側に位置する部分を埋め戻す埋め戻し工程と、
擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた領域の上側に地下室の天井を施工する天井施工工程と、
を経ることにより、
地下室を施工することを特徴とする地下室の施工方法
を提供することによって解決される。
ここで、「擁壁用L型コンクリートブロック」は、底版部と、当該底版部の一方の側縁から起立した側版部とを有する断面L型を為し、その側版部で壁状の壁面を構築するものであれば限定されない。このような形態を有するコンクリートブロックであれば、土留用ブロックや水路用ブロック等も、本発明における「擁壁用L型コンクリートブロック」の概念に含まれるものとする。
また、「擁壁用L型コンクリートブロックを互いに向かい合うように設置」とは、一方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部と、他方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部とが向かい合う向きとなるように、前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックと前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックとを断面「U」字状に設置することを云う。前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける側版部と、前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける側版部との間が、地下室として利用される空間となる。
また、「擁壁用L型コンクリートブロックを互いに向かい合うように設置」とは、一方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部と、他方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部とが向かい合う向きとなるように、前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックと前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックとを断面「U」字状に設置することを云う。前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける側版部と、前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける側版部との間が、地下室として利用される空間となる。
本発明の施工方法で地下室を施工すると、擁壁用L型コンクリートブロックの側版部や、矩形型パネルが、地下室の壁下地となることに加えて、擁壁用L型コンクリートブロックの底版部を、地下室の床下地として機能させることも可能である。このため、現場で矢板を施工したりコンクリートを打設したりといった手間を軽減することができる。また、擁壁用L型コンクリートブロックや矩形型パネルは、市販品をそのまま購入して使用することも可能であるため、地下室を構築するための部材の製造コストや購入コストを抑えることも可能である。特に、擁壁用L型コンクリートブロックは、各種寸法のものが市販されており、比較的安価に入手することが可能である。さらに、本発明の施工方法は、地下室の広さや間取りが変わった場合であっても、擁壁用L型コンクリートブロックの個数や配置を変化させることで対応することができる等、設計の自由度が高いものとなっている。
本発明の地下室の施工方法においては、
穴掘り工程で掘られた穴の底部及び内壁面に防水シートを敷設する防水シート敷設工程を、転圧工程と擁壁用L型コンクリートブロック設置工程との間に設け、
防水シート敷設工程で敷設された防水シートにおける、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面から外側に食み出た部分を、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面に沿わせて、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの底面及び外面が防水シートで包まれた状態とする防水シート包含工程を、矩形型パネル設置工程と、埋め戻し工程との間に設ける
ことも好ましい。
穴掘り工程で掘られた穴の底部及び内壁面に防水シートを敷設する防水シート敷設工程を、転圧工程と擁壁用L型コンクリートブロック設置工程との間に設け、
防水シート敷設工程で敷設された防水シートにおける、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面から外側に食み出た部分を、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面に沿わせて、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの底面及び外面が防水シートで包まれた状態とする防水シート包含工程を、矩形型パネル設置工程と、埋め戻し工程との間に設ける
ことも好ましい。
これにより、防水シートを用いるという比較的簡素な方法であるにもかかわらず、隣り合う擁壁用L型コンクリートブロックの隙間や、擁壁用L型コンクリートブロックと矩形型パネルとの隙間等に地下水等が入り込まないようにして、地下室の防水性を高めることが可能になる。
本発明の地下室の施工方法においては、
擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた内側空間の底部に、地下室の床下地となるコンクリートを打設する床下地コンクリート打設工程を、矩形型パネル設置工程の後に設ける
ことも好ましい。
擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた内側空間の底部に、地下室の床下地となるコンクリートを打設する床下地コンクリート打設工程を、矩形型パネル設置工程の後に設ける
ことも好ましい。
というのも、地下室の横幅を広く確保する場合等には、前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部と、前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックにおける底版部との間に隙間が形成されることもあるところ、床下地コンクリート打設工程を設けることによって、前記隙間をコンクリートで埋めるとともに、地下室の床面を略水平にならすことも可能になるからである。加えて、前記一方の擁壁用L型コンクリートブロックと前記他方の擁壁用L型コンクリートブロックとをコンクリートで繋ぎ、地下室の強度を高めることも可能になるからである。
本発明の地下室の施工方法においては、
天井施工工程を、
擁壁用L型コンクリートブロックの上端面及び矩形型パネルの上端面に梁材を施工する梁材施工工程と、
梁材施工工程で施工された梁材の上面に板材を施工する板材施工工程と、
板材施工工程で施工された板材の上に、建物における地上部分の基礎を構築するコンクリートを打設する建物基礎コンクリート打設工程と、
で構成することも好ましい。
天井施工工程を、
擁壁用L型コンクリートブロックの上端面及び矩形型パネルの上端面に梁材を施工する梁材施工工程と、
梁材施工工程で施工された梁材の上面に板材を施工する板材施工工程と、
板材施工工程で施工された板材の上に、建物における地上部分の基礎を構築するコンクリートを打設する建物基礎コンクリート打設工程と、
で構成することも好ましい。
これにより、建物における地上部分の基礎を地下室の天井下地として機能させることが可能になり、地下室の天井下地を別途施工する必要がなくなる。にもかかわらず、地下室の壁下地や床下地だけでなく、天井下地もコンクリートで形成することができ、地下室を防音性や放射線の遮蔽性能に優れたものとすることが可能になる。この構成は、地下室をシェルターとして用いる場合に特に好適である。
本発明の地下室の施工方法においては、穴掘り工程で掘られた穴の底部に砕石を敷く砕石敷設工程を、穴掘り工程と転圧工程との間に設けることも好ましい。これにより、転圧工程において、穴の底部を締め固めやすくすることが可能になる。砕石敷設工程を設ける場合には、敷設した砕石の上面をコンクリート(いわゆる「捨てコン」)で処理することも好ましい。これにより、それに続く擁壁用L型コンクリートブロック設置工程や矩形型パネル設置工程の精度を高めることが可能になる。
以上のように、本発明によって、施工コストを抑えることができるだけでなく、設計の自由度も高い地下室の施工方法を提供することが可能になる。
本発明に係る地下室の施工方法の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。本実施態様の地下室の施工方法は、後述するように、穴掘り工程と、砕石敷設工程と、転圧工程と、捨てコンクリート処理工程と、防水シート敷設工程と、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、矩形型パネル設置工程と、防水シート包含工程と、埋め戻し工程と、床下地コンクリート打設工程と、天井施工工程とを経ることにより、地下室を施工するものとなっている。以下、これらの各工程について詳しく説明する。
1.穴掘り工程
図1は、本発明に係る地下室の施工方法において、穴掘り工程を終えた状態を示した図である。穴掘り工程は、図1に示すように、地面1における地下室を設ける箇所に穴2を掘る工程である。穴2の形状や寸法は、施工する地下室の形状や寸法に応じて適宜決定される。本実施態様の地下室の施工方法において、穴2は、その壁面を傾斜させて掘っているが、施工現場の状況等からこのような施工が難しい場合には、図示省略の矢板等を用いて、穴2の壁面を鉛直に形成することもできる。
図1は、本発明に係る地下室の施工方法において、穴掘り工程を終えた状態を示した図である。穴掘り工程は、図1に示すように、地面1における地下室を設ける箇所に穴2を掘る工程である。穴2の形状や寸法は、施工する地下室の形状や寸法に応じて適宜決定される。本実施態様の地下室の施工方法において、穴2は、その壁面を傾斜させて掘っているが、施工現場の状況等からこのような施工が難しい場合には、図示省略の矢板等を用いて、穴2の壁面を鉛直に形成することもできる。
2.砕石敷設工程及び転圧工程
図2は、本発明に係る地下室の施工方法において、砕石敷設工程及び転圧工程を終えた状態を示した図である。砕石敷設工程は、図2に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部に砕石3を敷く工程となっている。また、転圧工程は、穴掘り工程で掘られた穴2の底部を転圧機等で締め固める工程となっている。これにより、穴2の底部を締め固めて安定させ、その場所に施工される地下室が沈下しにくくすることが可能になる。
図2は、本発明に係る地下室の施工方法において、砕石敷設工程及び転圧工程を終えた状態を示した図である。砕石敷設工程は、図2に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部に砕石3を敷く工程となっている。また、転圧工程は、穴掘り工程で掘られた穴2の底部を転圧機等で締め固める工程となっている。これにより、穴2の底部を締め固めて安定させ、その場所に施工される地下室が沈下しにくくすることが可能になる。
3.捨てコンクリート処理工程
図3は、本発明に係る地下室の施工方法において、捨てコンクリート処理工程を終えた状態を示した図である。捨てコンクリート処理工程は、図3に示すように、砕石敷設工程で敷設された砕石3の上面をコンクリート4(いわゆる「捨てコン」)で処理する工程である。これにより、後述する擁壁用L型コンクリートブロック設置工程や矩形型パネル設置工程の精度を高めることが可能になる。
図3は、本発明に係る地下室の施工方法において、捨てコンクリート処理工程を終えた状態を示した図である。捨てコンクリート処理工程は、図3に示すように、砕石敷設工程で敷設された砕石3の上面をコンクリート4(いわゆる「捨てコン」)で処理する工程である。これにより、後述する擁壁用L型コンクリートブロック設置工程や矩形型パネル設置工程の精度を高めることが可能になる。
4.防水シート敷設工程
図4は、本発明に係る地下室の施工方法において、防水シート敷設工程を終えた状態を示した図である。防水シート敷設工程は、図4に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部及び内壁面に防水シート5を敷設する工程である。これにより、施工される地下水の内部に地下水が侵入しないようにすることが可能になる。
図4は、本発明に係る地下室の施工方法において、防水シート敷設工程を終えた状態を示した図である。防水シート敷設工程は、図4に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部及び内壁面に防水シート5を敷設する工程である。これにより、施工される地下水の内部に地下水が侵入しないようにすることが可能になる。
5.擁壁用L型コンクリートブロック設置工程
図5は、本発明に係る地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程を行っている途中の状態を示した図である。図6は、本発明に係る地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程を終えた状態を示した図である。擁壁用L型コンクリートブロック設置工程は、図4及び図5に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部に擁壁用L型コンクリートブロック6を設置していく工程である。本実施態様の地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック6は、油圧ショベル等の建設機械7を用いて設置している。
図5は、本発明に係る地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程を行っている途中の状態を示した図である。図6は、本発明に係る地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程を終えた状態を示した図である。擁壁用L型コンクリートブロック設置工程は、図4及び図5に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2の底部に擁壁用L型コンクリートブロック6を設置していく工程である。本実施態様の地下室の施工方法において、擁壁用L型コンクリートブロック6は、油圧ショベル等の建設機械7を用いて設置している。
擁壁用L型コンクリートブロック6としては、図6に示すように、穴2の底部に設置される底版部6bと、底版部6bの一方の側縁から上向きに起立して設けられた側版部6aとを有する断面L型のもの(L型コンクリートブロック)を用いる。この種のL型コンクリートブロックは、擁壁用(土留用や水路用のものも含む。)に様々な寸法のものが市販されているため、比較的安価に入手することができる。
擁壁用L型コンクリートブロック設置工程において、擁壁用L型コンクリートブロック6は、図6に示すように、一方(同図における左側)の擁壁用L型コンクリートブロック6における底版部6bと、他方(同図における右側)の擁壁用L型コンクリートブロック6における底版部6bとが向かい合う向きとなるように、一方の擁壁用L型コンクリートブロック6と他方の擁壁用L型コンクリートブロック6とを断面「U」字状に設置する。この向かい合って配置された一対の擁壁用L型コンクリートブロック6の側版部6aの間の空間が、地下室として利用されることになる。
このため、地下室の横幅(図6における左右方向の幅)を広く確保したい場合には、一対の擁壁用L型コンクリートブロック6を、その側版部6aの隙間が広くなるように、互いに離した状態で設置する。また、地下室の縦幅(図6における紙面に垂直な方向の幅)を広く確保したい場合には、一対の擁壁用L型コンクリートブロック6を、縦幅方向に並べて設置する。さらに、地下室を平面視矩形状以外の形状(例えば平面視「L」字状)にしたい場合には、その形状に合わせて、擁壁用L型コンクリートブロック6の配置を変更する。このように、施工する地下室の寸法や形状が変わった場合であっても、擁壁用L型コンクリートブロック6の個数や配置を変更することで容易に対応することができる。
6.矩形型パネル設置工程
図7は、本発明に係る地下室の施工方法において、矩形型パネル設置工程を行っている途中の状態を示した図である。図8は、本発明に係る地下室の施工方法において、矩形型パネル設置工程を終えた状態を示した図である。矩形型パネル設置工程は、図7及び図8に示すように、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程で設置された擁壁用L型コンクリートブロック6の前面側及び背面側に、矩形型パネル8を設置する工程である。
図7は、本発明に係る地下室の施工方法において、矩形型パネル設置工程を行っている途中の状態を示した図である。図8は、本発明に係る地下室の施工方法において、矩形型パネル設置工程を終えた状態を示した図である。矩形型パネル設置工程は、図7及び図8に示すように、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程で設置された擁壁用L型コンクリートブロック6の前面側及び背面側に、矩形型パネル8を設置する工程である。
図7及び図8では、背面側(紙面奥側)の矩形型パネル8のみを図示しているが、前面側(紙面手前側)にも矩形型パネル8が設置される。これにより、断面「U」字状に設置された擁壁用L型コンクリートブロック6の前面側と背面側の開口部分を、矩形型パネル8で蓋をし、地下室の四方をコンクリートで囲った状態とすることが可能になる。本実施態様の地下室の施工方法において、矩形型パネル8は、油圧ショベル等の建設機械7を用いて設置している。
矩形型パネル8としては、プレキャストコンクリートからなる平版状のコンクリートスラブや、ALC(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート)パネル等が用いられる。この矩形型パネル8も、擁壁用L型コンクリートブロック6と同様、市販されているものを購入すると比較的安価に入手することができる。このような矩形型パネル8は、水路や貯水槽等に蓋をするためのコンクリートスラブや、橋梁を構築するためのコンクリートスラブや、耐火構造物の耐火壁等として、各種のものが市販されている。
矩形型パネル8は、擁壁用L型コンクリートブロック6に対して固定される。矩形型パネル8の固定方法は、特に限定されない。矩形型パネル8の固定方法としては、ボルトで縫う方法のほか、擁壁用L型コンクリートブロック6における側版部6aの外面及び矩形型パネル8の外面をシート材や紐材等で締め付ける方法や、セメント等の接着材料を用いる方法等が挙げられる。
7.防水シート包含工程
図9は、本発明に係る地下室の施工方法において、防水シート包含工程を終えた状態を示した図である。防水シート包含工程は、図9に示すように、防水シート敷設工程で敷設された防水シート5における、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面から外側に食み出た部分を、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面に沿わせる工程である。これにより、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の底面及び外面を、防水シート5で包んだ状態とすることが可能になる。防水シート5における、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面に沿う部分は、接着剤を塗布等しておいてもよい。
図9は、本発明に係る地下室の施工方法において、防水シート包含工程を終えた状態を示した図である。防水シート包含工程は、図9に示すように、防水シート敷設工程で敷設された防水シート5における、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面から外側に食み出た部分を、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面に沿わせる工程である。これにより、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の底面及び外面を、防水シート5で包んだ状態とすることが可能になる。防水シート5における、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外面に沿う部分は、接着剤を塗布等しておいてもよい。
8.埋め戻し工程
図10は、本発明に係る地下室の施工方法において、埋め戻し工程を終えた状態を示した図である。埋め戻し工程は、図10に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2における、擁壁用コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外側に位置する部分(図9における符号「9」で示される部分)を埋め戻す工程である。埋め戻す土は、穴2を掘ったときに出た土を使用すると好ましい。埋め戻した部分は、必要に応じて、転圧機等で締め固める。
図10は、本発明に係る地下室の施工方法において、埋め戻し工程を終えた状態を示した図である。埋め戻し工程は、図10に示すように、穴掘り工程で掘られた穴2における、擁壁用コンクリートブロック6及び矩形型パネル8の外側に位置する部分(図9における符号「9」で示される部分)を埋め戻す工程である。埋め戻す土は、穴2を掘ったときに出た土を使用すると好ましい。埋め戻した部分は、必要に応じて、転圧機等で締め固める。
9.床下地コンクリート打設工程及び天井施工工程
図11は、本発明に係る地下室の施工方法において、床下地コンクリート打設工程及び天井施工工程を終えた状態を示した図である。
図11は、本発明に係る地下室の施工方法において、床下地コンクリート打設工程及び天井施工工程を終えた状態を示した図である。
床下地コンクリート打設工程は、図11に示すように、擁壁用L型コンクリートブロック6及び矩形型パネル8で囲まれた内側空間の底部に、地下室の床下地となるコンクリート10(ならしコンクリート)を打設する工程である。本実施態様の地下室の施工方法において、向かい合って配置された一対の擁壁用L型コンクリートブロック9は、その底版部6bの間に隙間が形成された状態で設置されていたところ、この床下地コンクリート打設工程を行うことにより、この隙間をコンクリート10で埋めることが可能になる。また、地下室の床面を略水平にならすだけでなく、向かい合って配置された一対の擁壁用L型コンクリートブロック6をコンクリート10で繋ぎ、地下室の強度を高めることが可能になる。コンクリート10の上面には、必要に応じて、クッションフロアやカーペット等の床材11を敷設するとよい。
また、天井施工工程は、図11に示すように、擁壁用コンクリートブロック6及び矩形型パネル8で囲まれた領域の上側に地下室の天井を施工する工程である。本実施態様の地下室の施工方法において、天井施工工程は、梁材施工工程と、板材施工工程と、建物基礎コンクリート打設工程とを経ることによって行っている。
ここで、梁材施工工程は、図11に示すように、擁壁用L型コンクリートブロック6の上端面及び矩形型パネル8の上端面に木梁12(梁材)を施工する工程である。また、板材施工工程は、梁材施工工程で施工された梁材12の上面に合板13(板材)を施工する工程である。さらに、建物基礎コンクリート打設工程は、板材施工工程で施工された板材13の上に、建物における地上部分の基礎14を構築するコンクリートを打設する工程である。基礎14には、地下室に降りるための開口部(図示省略)を設ける。
このように、建物における地上部分の基礎14を地下室の天井下地として利用することにより、地下室の天井下地を別途施工する必要がなくなる。にもかかわらず、地下室の壁下地や床下地だけでなく、天井下地もコンクリートで形成することができ、地下室を防音性や放射線の遮蔽性能に優れたものとすることが可能になる。このため、施工された地下室は、放射線の遮蔽性能が要求されるシェルターや、防音性が要求されるスタジオ等として好適に使用することができる。また、非常時に駆け込むパニックルームとしても使用することができる。勿論、倉庫等として使用することも可能である。
10.地下室の施工後
地下室を施工した後(建物における地上部分の基礎14を施工した後)は、基礎14の上に、建物における地上部分を施工する。これにより、地下室を有する建物が施工される。本実施態様の地下室の施工方法において、建物は、一般住宅を想定しているが、本発明に係る地下室の施工方法は、一般住宅を施工する場合に限定されず、各種の建物を施工する際に採用することができる。
地下室を施工した後(建物における地上部分の基礎14を施工した後)は、基礎14の上に、建物における地上部分を施工する。これにより、地下室を有する建物が施工される。本実施態様の地下室の施工方法において、建物は、一般住宅を想定しているが、本発明に係る地下室の施工方法は、一般住宅を施工する場合に限定されず、各種の建物を施工する際に採用することができる。
11.その他
以上では、本実施態様の地下室の施工方法を、穴掘り工程と、砕石敷設工程と、転圧工程と、捨てコンクリート処理工程と、防水シート敷設工程と、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、矩形型パネル設置工程と、防水シート包含工程と、埋め戻し工程と、床下地コンクリート打設工程と、天井施工工程とを、この順で経る場合を例に挙げて説明したが、各工程を行う順番は、それが不可能でない限り適宜変更することが可能である。例えば、埋め戻し工程と床下地コンクリート打設工程の順番は逆にすることができる。
以上では、本実施態様の地下室の施工方法を、穴掘り工程と、砕石敷設工程と、転圧工程と、捨てコンクリート処理工程と、防水シート敷設工程と、擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、矩形型パネル設置工程と、防水シート包含工程と、埋め戻し工程と、床下地コンクリート打設工程と、天井施工工程とを、この順で経る場合を例に挙げて説明したが、各工程を行う順番は、それが不可能でない限り適宜変更することが可能である。例えば、埋め戻し工程と床下地コンクリート打設工程の順番は逆にすることができる。
1 地面
2 穴
3 砕石
4 コンクリート(捨てコン)
5 防水シート
6 擁壁用L型コンクリートブロック
6a 側版部
6b 底版部
7 建設機械
8 矩形型パネル
9 穴掘り工程で掘られた穴における、擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルの外側に位置する部分
10 ならしコンクリート(床下地用のコンクリート)
11 床材
12 木梁(梁材)
13 合板(板材)
14 建物における地上部分の基礎
2 穴
3 砕石
4 コンクリート(捨てコン)
5 防水シート
6 擁壁用L型コンクリートブロック
6a 側版部
6b 底版部
7 建設機械
8 矩形型パネル
9 穴掘り工程で掘られた穴における、擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルの外側に位置する部分
10 ならしコンクリート(床下地用のコンクリート)
11 床材
12 木梁(梁材)
13 合板(板材)
14 建物における地上部分の基礎
Claims (5)
- 地面における地下室を設ける箇所に穴を掘る穴掘り工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部を締め固める転圧工程と、
穴掘り工程で掘られた穴の底部に、底版部及び側版部を有する擁壁用L型コンクリートブロックを互いに向かい合うように設置していく擁壁用L型コンクリートブロック設置工程と、
擁壁用L型コンクリートブロック設置工程で設置された擁壁用L型コンクリートブロックの前面側及び背面側に、矩形型パネルを設置する矩形型パネル設置工程と、
穴掘り工程で掘られた穴における、擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルの外側に位置する部分を埋め戻す埋め戻し工程と、
擁壁用コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた領域の上側に地下室の天井を施工する天井施工工程と、
を経ることにより、
地下室を施工することを特徴とする地下室の施工方法。
- 穴掘り工程で掘られた穴の底部及び内壁面に防水シートを敷設する防水シート敷設工程を、転圧工程と擁壁用L型コンクリートブロック設置工程との間に設け、
防水シート敷設工程で敷設された防水シートにおける、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面から外側に食み出た部分を、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの外面に沿わせて、擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルの底面及び外面が防水シートで包まれた状態とする防水シート包含工程を、矩形型パネル設置工程と、埋め戻し工程との間に設ける
請求項1記載の地下室の施工方法。
- 擁壁用L型コンクリートブロック及び矩形型パネルで囲まれた内側空間の底部に、地下室の床下地となるコンクリートを打設する床下地コンクリート打設工程を、矩形型パネル設置工程の後に設ける
請求項1又は2記載の地下室の施工方法。
- 天井施工工程が、
擁壁用L型コンクリートブロックの上端面及び矩形型パネルの上端面に梁材を施工する梁材施工工程と、
梁材施工工程で施工された梁材の上面に板材を施工する板材施工工程と、
板材施工工程で施工された板材の上に、建物における地上部分の基礎を構築するコンクリートを打設する建物基礎コンクリート打設工程と、
で構成された請求項1〜3いずれか記載の地下室の施工方法。
- 穴掘り工程で掘られた穴の底部に砕石を敷く砕石敷設工程を、穴掘り工程と転圧工程との間に設けた請求項1〜4いずれか記載の地下室の施工方法。
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JP2020183626A (ja) * | 2019-04-27 | 2020-11-12 | 清政 上郡 | 建物の基礎構造 |
-
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- 2017-08-31 JP JP2017167196A patent/JP2019044423A/ja active Pending
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