JP2019043885A - レボセチリジン2塩酸塩の製造方法 - Google Patents

レボセチリジン2塩酸塩の製造方法 Download PDF

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一弘 吉田
健一 安藤
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Abstract

【課題】医薬品として有用であるレボセチリジン2塩酸塩を高純度且つ高収率で製造する方法の提供。【解決手段】工程1乃至5の工程を有するレボセチリジン2塩酸塩の製造方法。工程1:式(3)で表される化合物と水酸化リチウムとを、水の存在下で反応させる工程;工程2:工程1で得られた反応混合物と芳香族炭化水素溶媒、好ましくはトルエンとを混合し、分液する工程;工程3:工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールから選ばれる1以上の有機溶媒をpH1.7〜3の範囲内で混合し、分液する工程;工程4:工程3で得られた有機層を脱水する工程;工程5:工程4で得られた混合物と塩化水素とを混合し、レボセチリジン2塩酸塩を得る工程【選択図】なし

Description

本発明は、レボセチリジン2塩酸塩の製造方法に関する。
レボセチリジン2塩酸塩、即ち、式(1)
Figure 2019043885
で表される化合物(以下、化合物(1)とも記す)は、第3世代の抗ヒスタミン薬のひとつである。
特許文献1には、セチリジン(レボセチリジンのラセミ混合物)2塩酸塩の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、レボセチリジンのカリウム塩からレボセチリジン2塩酸塩を製造する方法が開示されている。
米国特許第4525358号明細書 国際公開第2009/022327号
特許文献2では、レボセチリジン2塩酸塩の製造において、好ましくは塩化メチレンを用いることが開示されている。塩化メチレンは水質汚濁防止法における施行令第2条有害物質に指定されており、その使用及び排出は厳しく制限されるため、工業的製造において使用を避けることが望ましい。
また、特許文献2には、原料として用いるレボセチリジンカリウム塩について、レボセチリジンカリウム塩、水、及びトルエンを混合した際にエマルジョン化するため分液できないこと、更には前記の理由により分液には好ましくは酢酸エチルを用いる必要があると記載されている。しかしながら、酢酸エチルは、塩化水素等の酸性化合物との混合によって部分的に加水分解を受け、エタノール及び酢酸を生じるため、これらが不純物となり得るとともに、これらが目的物又は他の不純物と反応して新たな不純物を生じる可能性があり、医薬品製造おいて使用を避けることが好ましい。
本発明は、医薬品として有用であるレボセチリジン2塩酸塩を高純度且つ高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
レボセチリジン2塩酸塩の製造方法を検討した結果、以下の製造方法により、製造工程における分液性がよく、レボセチリジン2塩酸塩を高純度且つ高収率で製造することができた。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 工程1乃至5の工程を有する式(1)
Figure 2019043885
で表される化合物の製造方法:
工程1:式(3)
Figure 2019043885
〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。〕
で表される化合物(以下、化合物(3)とも記す)と水酸化リチウムとを、水の存在下で反応させる工程;
工程2:工程1で得られた反応混合物と芳香族炭化水素溶媒とを混合し、分液する工程;
工程3:工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒を混合し、分液する工程;
工程4:工程3で得られた有機層を脱水する工程;
工程5:工程4で得られた混合物と塩化水素とを混合し、式(1)で表される化合物を得る工程。
[2] R1がエチル基である[1]に記載の製造方法。
[3] 工程3における混合液のpHが1.7〜3の範囲内である[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 芳香族炭化水素溶媒がトルエンである[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5] 式(2)
Figure 2019043885
で表される化合物(以下、化合物(2)とも記す)。
本発明により、医薬品として有用であるレボセチリジン2塩酸塩を高純度且つ高収率で製造することができる。
実施例4で得られたレボセチリジン2塩酸塩の固体の粉末X線回折チャートである。 実施例5で得られたレボセチリジン2塩酸塩の固体の粉末X線回折チャートである。
以下、本発明について詳細に説明する。
工程1について説明する。工程1では、化合物(3)と水酸化リチウムとを、水の存在下で反応させることにより、化合物(2)、即ちレボセチリジンリチウム塩を得ることができる。
炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられるが、原料の入手性や反応性の観点から、エチル基が好ましい。
化合物(3)は、有機溶媒と混合した溶液として使用してもよい。化合物(3)と混合する溶媒としては、当該反応を阻害しないものであればよいが、工程2で用いられる芳香族炭化水素溶媒が好ましい。工程2で用いられる芳香族炭化水素溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等が挙げられ、トルエンが好ましく用いられる。
水酸化リチウムの使用量は、化合物(3)1モルに対して1モル以上であればよく、通常1モル〜5モル、好ましくは1モル〜2モルである。
水酸化リチウムは、通常、水溶液として使用される。
反応は、化合物(3)と水酸化リチウムとを混合することにより行われる。具体的には、化合物(3)に水酸化リチウム水溶液を添加する、又は、水酸化リチウム水溶液に化合物(3)を添加する、方法が挙げられる。添加は、滴下により行うことがより好ましい。
上記混合は、通常1℃〜80℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で行われる。
混合物のpHは、通常9〜15の範囲内である。
水の使用量は、化合物(3)1重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは1〜2重量部である。
工程1の反応は、工程2で用いられる芳香族炭化水素溶媒をさらに混合して行ってもよい。工程2で用いられる芳香族炭化水素溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等が挙げられ、トルエンが好ましく用いられる。
反応は通常1℃〜80℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で行う。
反応時間は通常1〜2時間である。
工程1で得られた混合物は、化合物(2)、即ちレボセチリジンリチウム塩を含有する。
工程1で得られた混合物を工程2で用いる反応容器に移す際、工程1の反応容器の内面を洗浄してロスを減らすため、工程2の分液を阻害しない洗浄溶媒で洗浄してもよい。工程2の分液を阻害しない洗浄溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、アセトン等の非プロトン性溶媒が挙げられ、その使用量は、化合物(3)1重量部に対して通常、0.01〜1重量部である。
工程2について説明する。工程2では、工程1で得られた混合物と芳香族炭化水素溶媒とを混合し、分液する。
芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン等が挙げられ、好ましくはトルエンが用いられる。
芳香族炭化水素溶媒の使用量は、工程1で使用した化合物(3)1重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは2〜4重量部である。
芳香族炭化水素溶媒に加え、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒をさらに用いてもよい。
ケトン溶媒の使用量は、工程1で使用した化合物(3)1重量部に対して、通常0.1〜1重量部、好ましくは0.2〜0.5重量部である。
工程1で得られた混合物と芳香族炭化水素溶媒との混合は、工程1で得られた混合物に芳香族炭化水素溶媒を添加する、芳香族炭化水素溶媒に工程1で得られた混合物を添加する、又は、工程1において予め芳香族炭化水素溶媒を添加して反応させる、方法により実施できる。操作性の観点から、工程1で得られた混合物に、芳香族炭化水素溶媒を添加する、又は、芳香族炭化水素溶媒に工程1で得られた混合物を添加する、方法が好ましい。
混合は、通常1℃〜80℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で行う。
分液は、混合物を通常1℃〜80℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で、通常1分〜2時間撹拌した後、通常1℃〜80℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で静置することにより実施できる。化合物(2)は水層に分配される。
必要により、工程2を繰り返し行ってもよい。
工程2により、工程1で得られた混合物に含まれる不純物の大半が有機層に抽出されることから、水層に含まれる化合物(2)を高い純度で得ることができる。化合物(2)の純度は、上記分液で得られた水層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の分析手段により確認することができる。また、有機層に抽出された不純物の含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の分析手段により確認することができる。
工程3について説明する。工程3では、工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の溶媒を混合し、分液する。
塩化水素の使用量は、工程1で使用する水酸化リチウム1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.5〜2.5モルである。
塩酸(塩化水素の水溶液)を用いる場合は、その濃度は限定されないが、濃塩酸が好ましく用いられる。
メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒の使用量は、工程1で使用する化合物(3)1重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは3〜4重量部である。
メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒に加え、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒をさらに用いてもよい。
芳香族炭化水素溶媒の使用量は、工程1で使用する化合物(3)1重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒の混合は、具体的には、
(1)工程2で得られた水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒との混合物に塩化水素を添加する、
(2)塩酸に工程2で得られた水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒との混合物を添加する、
(3)塩化水素とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒との混合物に工程2で得られた水層を添加する、
(4)工程2で得られた水層に塩化水素を添加した後、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒を添加する、
(5)塩酸に工程2で得られた水層を添加した後、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒を添加する、
方法により実施できる。操作性の観点から、(1)、又は(4)の方法が好ましく、(1)がより好ましい。
塩化水素を混合することは、塩化水素を添加する方法で実施することが好ましく、具体的には、塩酸を添加する、又は塩化水素ガスを吹き込む、方法により実施できる。
工程2で得られた水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒との混合物に塩化水素を添加することは、具体的には、工程2で得られた水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒とを混合した後、該混合物に塩酸を添加する、又は、該混合物に塩化水素ガスを吹き込む、方法により実施できる。操作性の観点から、工程2で得られた水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒とを混合した後、該混合物に塩酸を添加することが好ましい。塩酸の添加は、滴下により行うことが好ましい。
工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒を混合することにより、混合物のpHを1.2〜3.5の範囲内にすることが好ましく、1.7〜3の範囲内にすることがより好ましく、2〜3の範囲内にすることが特に好ましい。
混合は、通常1℃〜60℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で実施される。
分液は、混合物を通常1℃〜60℃の範囲内、好ましくは40℃〜50℃の範囲内で、通常1分〜2時間撹拌した後、通常1℃〜60℃の範囲内、好ましくは40℃〜50℃の範囲内で、通常1分〜2時間静置することにより実施できる。
目的物が中間層又は水層に分配された場合、該中間層又は該水層と酸又は塩基とを混合することによりpHを調整した後、該中間層又は該水層とメチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒とを混合し、再度分液することもできる。
工程4について説明する。工程4では、工程3で得られた有機層を脱水する。
脱水は、例えば、工程3で得られた有機層と水に非混和性の溶媒とを混合した後に濃縮すること;工程3で得られた有機層を濃縮した後に、水に非混和性の溶媒を加え、更に濃縮すること、により実施することができ、工程3で得られた有機層を濃縮した後に、水に非混和性の溶媒を加え、更に濃縮する方法が好ましい。
水に非混和性の溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサンおよび石油エーテル);芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン);エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソールおよびジフェニルエーテル);ケトン溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン)等;及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、芳香族溶媒(特に、トルエン)、ケトン溶媒(特に、メチルエチルケトン)、及びそれらの混合物が挙げられる。
工程3で得られた有機層と水に非混和性の溶媒との混合は、例えば、工程3で得られた有機層に、水に非混和性の溶媒を添加する;水に非混和性の溶媒に、工程3で得られた有機層を添加する、等の方法により実施できる。
工程3で得られた有機層と水に非混和性の溶媒との混合は、通常1℃〜80℃、好ましくは1℃〜50℃で行われる。
濃縮は、通常1℃〜80℃、好ましくは1℃〜50℃で実施される。
濃縮により、混合物に含まれる水分量を例えば25重量%以下、好ましくは8.6重量%以下にすることができる。
必要により、目的の水分量になるまで工程4を繰り返し行ってもよい。
工程5について説明する。工程5では、工程4で得られた混合物と塩化水素とを混合することにより、化合物(1)、即ち、レボセチリジン2塩酸塩を得る。
塩化水素の使用量は、工程1で用いる化合物(3)1モルに対して、通常1モル〜3モル、好ましくは1モル〜2モルである。
工程4で得られた混合物と塩化水素との混合は、工程4で得られた混合物に塩化水素を添加する、又は、塩酸(塩化水素の水溶液)に工程4で得られた混合物を添加する、方法により実施できる。操作性の観点から、工程4で得られた混合物に塩化水素を添加することにより行うことが好ましい。
工程4で得られた混合物に塩化水素を添加することは、具体的には、工程4で得られた混合物に塩酸を添加する、又は、工程4で得られた混合物に塩化水素ガスを吹き込む、方法により実施できる。操作性の観点から、工程4で得られた混合物に塩酸を添加することが好ましい。塩酸の添加は、滴下により行うことが好ましい。
工程4で得られた混合物と塩化水素との混合は、通常1〜80℃の範囲内、好ましくは20〜30℃の範囲内で実施される。
反応の進行に伴い、化合物(1)が固体として析出する。反応中に反応系の流動性を損なわないために、工程4で得られた混合物と塩化水素との混合前に工程4で得られた混合物と貧溶媒とを予め混合しておいてもよいし、工程4で得られた混合物と塩化水素との混合の途中で貧溶媒を添加してもよい。操作性の観点から、工程4で得られた混合物と塩化水素との混合前に工程4で得られた混合物と貧溶媒とを混合する方法により実施することが好ましい。
貧溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等のケトン溶媒が挙げられ、アセトン又はメチルエチルケトンが好ましく用いられる。
貧溶媒の使用量は、工程1で用いる化合物(3)1重量部に対して通常5〜20重量部、好ましくは10〜14重量部である。
工程5で得られた混合物と貧溶媒との混合は、通常1℃〜50℃の範囲内、好ましくは20℃〜30℃の範囲内で実施される。
上記の操作により化合物(1)が結晶として析出する。化合物(1)の晶析を促進させるために、必要により、化合物(1)の種結晶を反応系に添加してもよい。種結晶の添加は、通常1℃〜50℃の範囲内、好ましくは20〜30℃の範囲内で実施できる。
前記晶析開始後の混合物を、通常1℃〜50℃、好ましくは20℃〜30℃で、通常1分〜10時間、好ましくは1分〜1時間保持して、化合物(1)を晶析させる。
晶析した化合物(1)は、固液分離操作により取得することができる。固液分離操作としては、例えば、濾過、デカンテーション等が挙げられる。固液分離操作により得られた化合物(1)の結晶は、必要により、溶媒による洗浄を行ってもよい。洗浄に用いられる溶媒としては、例えばケトン溶媒が挙げられ、好ましくはアセトンが用いられる。
得られた化合物(1)の結晶は、通常、常圧又は減圧下で乾燥を行う。
本発明により取得できる化合物(1)の純度は、通常99.5%以上である。化合物(1)の純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の分析手段により確認することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
以下の実施例において、反応系中の化合物(6)の含量は、下記のHPLC分析条件−1に従って高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、面積百分率法で求めた。
HPLC分析条件−1
・測定機器:島津製作所製 LC−10Avp
・移動相 A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
・カラム:ODSカラム
内径4.6mm、長さ150mm、粒子径3μm
・カラム温度:40℃
・流速:1.0 mL/min
・UV波長:230 nm
・注入量:10μl
・タイムプログラム
Figure 2019043885
以下の実施例において、化合物(1)、即ち、レボセチリジン2塩酸塩の純度は、下記のHPLC分析条件−2に従って高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、面積百分率法で求めた。
HPLC分析条件−2
・測定機器:島津製作所製 LC−10Avp
・移動相:水(6.6%)/1M H2SO4水(0.4%)/アセトニトリル(93%)混合液
・カラム:シリカゲルカラム(USPコード L03)
内径4.6mm、長さ250mm、粒子径5μm
・カラム温度:30℃
・流速:1.0 mL/min
・UV波長:230 nm
・注入量:10μl
以下の実施例において、化合物(1)、即ち、レボセチリジン2塩酸塩の固体の粉末X線回折は下記の条件で測定した。
粉末X線回折(XRD)測定条件
X線回折装置:MiniFlexII(株式会社リガク製)
X線出力:CuKα、30kV、15mA
サンプリング幅:0.02°
走査範囲:2°〜40°
以下の実施例において、レボセチリジンの分配率は、分液後に得られた有機層と水層(生じた場合は中層も)の重量を測定し、各層のレボセチリジンの含量をHPLC分析条件−1を用いて定量した後、各層のレボセチリジン含量の総量を100%に換算することにより求めた。
参考例1
1−[(R)−(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン40.0g、炭酸水素ナトリウム14.1gおよびN−メチル−2−ピロリドン78.1gの混合物を120℃に加熱し、エチル(2−クロロエトキシ)アセテート27.9gを30分かけて滴下した後、6時間攪拌した。得られた懸濁液を室温まで冷却した後、水200gとトルエン69gとを混合した後に分液を行った。得られた有機層に水を120g加えて再度分液を行い、式(6)
Figure 2019043885
で表される化合物(以下、化合物(6)とも記す)のトルエン溶液を得た。
実施例1
参考例1で得られた化合物(6)のトルエン溶液に水32gを加え、室温で水酸化リチウム一水和物7.0gを水44gに溶かした溶液を滴下した後、化合物(6)が0.2%以下となるまで攪拌した。得られた溶液、洗浄用のN−メチル−2−ピロリドン8g、トルエン139g及びアセトン25gを混合した後に分液を行った。分液した水層にトルエン139gとアセトン13gを加えて再度分液を行った。さらに、分液した水層にトルエン139gとアセトン9gを加えて再度分液を行った。得られた水層にトルエン35gとメチルエチルケトン193gとを加え、35%塩酸29.1gを滴下してpHを2.4とした後に45℃まで加熱して分液した。得られた有機層にトルエン35gを加えた後、残量が95gになるまで濃縮を行った。さらにメチルエチルケトン97gとトルエン35gを加えて残量が99gになるまで濃縮を行い、さらにメチルエチルケトン24gとトルエン9gを加えて残量が101gになるまで濃縮を行った。室温でメチルエチルケトン64gとアセトン411gを加え、35%塩酸7.3gを滴下した後、レボセチリジン2塩酸塩を0.04g添加した。次いでアセトン316gを滴下し、1.5時間撹拌した後に35%塩酸6.9gを滴下した。得られた懸濁液を濾過した後、得られた固体をアセトン95gで洗浄した。得られた結晶を40℃減圧下で乾燥し、レボセチリジン2塩酸塩54.6gを得た。純度は99.8%以上であった。
比較例1−1(工程1で水酸化リチウムに代えて水酸化ナトリウムを用いた例)
化合物(6)のトルエン溶液(1−[(R)−(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン12.5gを用いて参考例1に従い得た)に水10gを加え、室温で水酸化ナトリウム2.1gを水14gに溶かした溶液を滴下した後、化合物(6)が0.2%以下となるまで攪拌した。得られた溶液、洗浄用のN−メチル−2−ピロリドン3g、トルエン43g及びアセトン8gを混合したところ、系内はエマルジョン化しており分液は不可能であった。
比較例1−2(工程1で水酸化リチウムに代えて水酸化カリウムを用いた例)
化合物(6)のトルエン溶液(1−[(R)−(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン12.5gを用いて参考例1に従って得た)に水10gを加え、室温で水酸化カリウム2.9gを水13gに溶かした溶液を滴下した後、化合物(6)が0.2%以下となるまで攪拌した。得られた溶液、洗浄用のN−メチル−2−ピロリドン3g、トルエン43g及びアセトン8gを混合したところ、系内はエマルジョン化しており分液は不可能であった。
実施例2−1(工程3で用いる溶媒の効果)
化合物(6)のトルエン溶液(1−[(R)−(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン12.5gを用いて参考例1に従い得た)に水10gを加え、室温で水酸化リチウム一水和物2.2gを水14gに溶かした溶液を滴下した後、化合物(6)が0.2%以下となるまで攪拌した。得られた溶液、洗浄用のN−メチル−2−ピロリドン3g、トルエン43g及びアセトン8gを混合した後に分液を行った。分液した水層にトルエン43gとアセトン4gを加えて再度分液を行った。さらに、分液した水層にトルエン43gとアセトン3gを加えて再度分液を行い、化合物(2)の水溶液を得た。
上記化合物(2)水溶液の14%重量を用い、トルエン2gと1−ブタノール9gを加え、35%塩酸1.3gを滴下した後に45℃まで加熱して分液した。有機層と水層についてレボセチリジンの分配率を確認した。結果を[表1]に記す。
実施例2−2及び2−3並びに比較例2−1〜2−4(工程3で用いる溶媒の効果)
実施例2−1の方法に準じて、1−ブタノールに代えて、2−ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)又はメチルイソブチルケトン(MIBK)の各溶媒を用いた場合における有機層と水層(生じた場合は中層も)の分配率を確認した。結果を[表1]に記す。
トルエン、酢酸エチル、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)又はメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いた場合には、目的物は主に水層に分配されるため、高純度のレボセチリジン2塩酸塩を得るためには、工程5以降の操作が煩雑になる、若しくは更なる操作又は工程が必要となる。更には、トルエン、酢酸エチル、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)又はメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いた場合には、分液後に3層に分離するため、操作性が悪く、目的物の収率も低下する。
[表1] 各層における分配率(%)
Figure 2019043885
実施例3(工程3における混合液のpHと分配率との関係)
化合物(6)のトルエン溶液(1−[(R)−(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン12.5gを用いて参考例1に従い得た)に水10gを加え、室温で水酸化リチウム一水和物2.2gを水14gに溶かした溶液を滴下した後、化合物(6)が0.2%以下となるまで攪拌した。得られた溶液、洗浄用のN−メチル−2−ピロリドン3g、トルエン43g及びアセトン8gを混合した後に分液を行った。分液した水層にトルエン43gとアセトン4gを加えて再度分液を行った。さらに分液した水層にトルエン43gとアセトン3gを加えて再度分液を行った。得られた水層にトルエン11gとメチルエチルケトン60gを加えた。この溶液に35%塩酸を滴下して、有機層と水層(生じた場合は中層も)について各混合物のpH値におけるレボセチリジンの分配率を確認した。結果を[表2]に示す。
[表2] 各層における分配率(%)
Figure 2019043885
実施例4
実施例1と同じ方法で得られたレボセチリジン2塩酸塩13.0g、水5g及びアセトン16gを混合攪拌し、25℃で溶解させた後、アセトン36g及びレボセチリジン2塩酸塩の種結晶0.01gを加えた。同温度で6時間攪拌し結晶を析出させ、さらにアセトン170gを2時間かけて滴下し、同温度で7.5時間攪拌した。得られた結晶を濾過し、アセトン31gで洗浄した後に、40℃減圧下で乾燥し、レボセチリジン2塩酸塩11.9gを得た。得られたレボセチリジン2塩酸塩の固体の粉末X線回折チャートを図1に示す。
実施例5
実施例1で得られたレボセチリジン2塩酸塩45.0g、水17g及びアセトン55gを混合攪拌し、24℃で溶解させた後、アセトン127g、水1g及びレボセチリジン2塩酸塩の種結晶0.05gを加えた。同温度で2時間攪拌し結晶を析出させ、さらにアセトン587gを2時間かけて滴下し、同温度で2.5時間攪拌した。得られた結晶を濾過し、アセトン107gで洗浄した後に、40℃減圧下で乾燥し、レボセチリジン2塩酸塩40.3gを得た。得られたレボセチリジン2塩酸塩の固体の粉末X線回折チャートを図2に示す。
本発明により、医薬品として有用であるレボセチリジン2塩酸塩を高純度且つ高収率で製造することができる。

Claims (5)

  1. 工程1乃至5の工程を有する式(1)
    Figure 2019043885
    で表される化合物の製造方法:
    工程1:式(3)
    Figure 2019043885
    〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。〕
    で表される化合物と水酸化リチウムとを、水の存在下で反応させる工程;
    工程2:工程1で得られた反応混合物と芳香族炭化水素溶媒とを混合し、分液する工程;
    工程3:工程2で得られた水層、塩化水素、並びに、メチルエチルケトン、1−ブタノール、及び2−ブタノールからなる群より選ばれる1以上の有機溶媒を混合し、分液する工程;
    工程4:工程3で得られた有機層を脱水する工程;
    工程5:工程4で得られた混合物と塩化水素とを混合し、式(1)で表される化合物を得る工程。
  2. 1がエチル基である請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程3における混合液のpHが1.7〜3の範囲内である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 芳香族炭化水素溶媒がトルエンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 式(2)
    Figure 2019043885
    で表される化合物。
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