(実施形態1)
図1乃至図8には、実施形態1の運搬用容器9を示している。
運搬用容器9は折り畳み式の容器であり、図1、図2には組立て状態の運搬用容器9を示し、図3乃至図5には折畳み状態の運搬用容器9を示している。図6には組立て状態の運搬用容器9を上下に二個積み重ねた様子を示し、図8には折畳み状態の運搬用容器9を上下に二個積み重ねた様子を示している。
まず、運搬用容器9の構成について、図1、図2の組立て状態に基づいて説明する。
運搬用容器9は、口枠部1と、口枠部1の下方に位置する底板部2と、口枠部1と底板部2の間で起立するように構成された四枚の側板3を備える。口枠部1、底板部2及び四枚の側板3は、いずれも合成樹脂製である。
口枠部1について、さらに説明する。
口枠部1は、各々が一直線状に形成された四つの辺部11を有する。四つの辺部11のうち隣接するもの同士が平面視にてL字状に繋がることで、口枠部1は平面視矩形枠状の外形を有する。
四つの辺部11は、第一方向D1を長手方向とする一対の辺部11と、第二方向D2を長手方向とする別の一対の辺部11から成る。第一方向D1と第二方向D2は、平面視において互いに直交する方向である。
実施形態1の運搬用容器9では、第一方向D1を長手方向とする各辺部11の長さ寸法(第一方向D1の寸法)が、第二方向D2を長手方向とする各辺部11の長さ寸法(第二方向D2の寸法)よりも大きい。つまり、第一方向D1を長手方向とする各辺部11が、口枠部1の長側の辺部11であり、第二方向D2を長手方向とする各辺部11が、口枠部1の短側の辺部11である。
口枠部1は、その内周面1aの一部が凹んだ形状の口枠側係合部61を、四箇所に有する。より具体的には、四つの辺部11の内周面11aに一つずつ位置するように、四つの口枠側係合部61が形成されている。
各口枠側係合部61は、口枠部1の内方に向けて開口し、且つ、上方に向けて開口するように、口枠部1の上縁の内側の角部分に形成されている。第一方向D1を長手方向とし、第二方向D2を短手方向とする辺部11においては、長手方向である第一方向D1の中央部分に、口枠側係合部61が形成されている。第二方向D2を長手方向とし、第一方向D1を短手方向とする辺部11においては、長手方向である第二方向D2の中央部分に、口枠側係合部61が形成されている。
本願における各辺部11の長手方向の中央部分は、各辺部11の長手方向の厳密な意味での中央に限定されず、該中央を基準として或る程度の範囲を含む。具体的には、各辺部11の長手方向の中央部分の範囲を、各辺部11の基準となる中央から、各辺部11の長手方向の両端部までの長さの1/2の範囲で設定することが可能である。また、各辺部11の長手方向の中央部分の範囲を、各辺部11の基準となる中央から、各辺部11の長手方向の両端部までの長さの1/3、または1/4の範囲で設定することも可能である。
また、各辺部11の長手方向の中央部分の範囲を、各辺部11の基準となる中央(厳密な意味での中央)から、各辺部11の長手方向の両端部までの長さの約10%の範囲内(好ましくは7%の範囲内、より好ましくは4%の範囲内)で設定することも可能である。
加えて、口枠部1は、下方に向けて開口するように形成された凹状の上側係合部71を、その下端1dの四箇所に有する。より具体的には、四つの辺部11の下端11dに一つずつ位置するように、上側係合部71が形成されている。
第一方向D1を長手方向とする辺部11においては、その第一方向D1の中央部分に上側係合部71が形成されている。第二方向D2を長手方向とする辺部11においては、その第二方向D2の中央部分に上側係合部71が形成されている。
底板部2について、さらに説明する。
底板部2は、全体として平面視矩形状に形成されている。底板部2の周縁部25は、各々が一直線状である四つの縁部251を含む。四つの縁部251のうち隣接するもの同士が平面視にてL字状に繋がることで、周縁部25は全体として平面視矩形枠状に構成されている。
四つの縁部251は、第一方向D1を長手方向とする一対の縁部251と、第二方向D2を長手方向とする別の一対の縁部251から成る。
底板部2の下面2dの四箇所からは、底板側係合部62が下方に向けて突出している。
より具体的には、底板部2の周縁部25の下面25dから、四つの底板側係合部62が突出している。第一方向D1を長手方向とし、第二方向D2を短手方向とする縁部251においては、長手方向である第一方向D1の中央部分から、底板側係合部62が突出している。第二方向D2を長手方向とし、第一方向D1を短手方向とする縁部251においては、長手方向である第二方向D2の中央部分から、底板側係合部62が突出している。
本願における各縁部251の長手方向の中央部分は、各縁部251の長手方向の厳密な意味での中央に限定されず、該中央を基準として或る程度の範囲を含む。具体的には、各縁部251の長手方向の中央部分の範囲を、各縁部251の基準となる中央から、各縁部251の長手方向の両端部までの長さの1/2の範囲で設定することが可能である。また、各縁部251の長手方向の中央部分の範囲を、各縁部251の基準となる中央から、各縁部251の長手方向の両端部までの長さの1/3、または1/4の範囲で設定することも可能である。
また、各縁部251の長手方向の中央部分の範囲を、各縁部251の基準となる中央(厳密な意味での中央)から、各縁部251の長手方向の両端部までの長さの約10%の範囲内(好ましくは7%の範囲内、より好ましくは4%の範囲内)で設定することも可能である。
また、底板部2の下面2dには、格子状に交差する多数のリブから成る突段部23が設けられている。突段部23は、底板部2の下面2dのうち、周縁部25の矩形枠状の下面25dを除いた部分から、下方に向けて突出している。突段部23と、これを囲む箇所に位置する四つの底板側係合部62は、一体に形成されている。
加えて、底板部2は、上方に向けて凸状に形成された下側係合部72を、その周縁部25の上端25cの四箇所に有する。より具体的には、周縁部25に含まれる四つの縁部251の上端251cに一つずつ位置するように、下側係合部72が形成されている。
第一方向D1を長手方向とする縁部251においては、その第一方向D1の中央部分に下側係合部72が形成されている。第二方向D2を長手方向とする縁部251においては、その第二方向D2の中央部分に下側係合部72が形成されている。
四枚の側板3について、さらに説明する。
四枚の側板3は、一対の折曲板4と、一対のあおり板5とから成る。
一対の折曲板4はそれぞれ、水平軸まわりに回転自在なヒンジ部分45を有する。ヒンジ部分45は、折曲板4の上側半部と下側半部を、所定範囲内で回転自在に連結する部分である。
各折曲板4の上端縁部は、口枠部1が有する四つの辺部11のうち対応する一つの辺部11に対して、水平軸まわりに回転自在に連結されている。各折曲板4の下端縁部は、底板部2が有する四つの縁部251のうち対応する一つの縁部251に対して、水平軸まわりに回転自在に連結されている。各折曲板4は、口枠部1と底板部2の間において、内側に向けて略く字状に折れ曲がり可能に構成されている。
一対のあおり板5の各上端縁部は、口枠部1が有する四つの辺部11のうち対応する一つの辺部11に対して、水平軸まわりに回転自在に連結されている。各あおり板5の下端縁部は、底板部2が有する四つの縁部251のうち対応する一つの縁部251に対して、着脱自在に係止する。各あおり板5は、口枠部1と底板部2の間において、内側に向けて揺動自在に構成されている。
上記構成を備える運搬用容器9を折り畳むには、一対のあおり板5をそれぞれ内側に向けて回転させ、一対の折曲板4をそれぞれ内側に向けて略く字状に折り曲げる。これにより、運搬用容器9は、図3、図5に示すような折畳み状態となる。
折畳み状態の運搬用容器9においては、口枠部1と、これの下方にある底板部2の周縁部25が、上下に重なって位置する。
より具体的には、口枠部1が有する四つの辺部11と、底板部2の周縁部25が有する四つの縁部251とが、一対一で上下に重なって位置する。
上下に重なる辺部11と縁部251において、辺部11に形成された凹状の上側係合部71と、縁部251に形成された凸状の下側係合部72とが、僅かなクリアランスを介して係合することで、口枠部1と底板部2の間での水平方向の位置ずれ(以下「横ズレ」という。)が抑制される。
ここでのクリアランスは、辺部11と縁部251の長手方向において設定されたクリアランスである。つまり、第一方向D1を長手方向とする辺部11と縁部251においては、上側係合部71と下側係合部72の間に、第一方向D1のクリアランスが形成される。図4に示す上側係合部71と下側係合部72の場合、両者の間のクリアランスは、図示のクリアランスC1とクリアランスC2の和である。第二方向D2を長手方向とする辺部11と縁部251においては、上側係合部71と下側係合部72の間に、第二方向D2のクリアランスが形成される。
図6、図7に示すように、組立て状態の運搬用容器9が上下に複数積み重なった(スタッキングされた)状態においては、下側の運搬用容器9の口枠部1に、上側の運搬用容器9の底板部2が載置される。以下において、上下の運搬用容器9を区別するときには、下側の運搬用容器9に符号9Lを付し、上側の運搬用容器9に符号9Uを付す。
上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1の開口には、上側の運搬用容器9Uの底板部2の突段部23が嵌り込み、上下の運搬用容器9L,9Uの間の位置決めがなされる。突段部23と口枠部1の間には、水平方向にクリアランスが設定されている。ここでのクリアランスは、成形後の熱収縮等を考慮して、第一方向D1において片側で2.5mm、全体で5mmに設定され、同様に、第二方向D2において片側で2.5m、全体で5mmに設定されている。
また、上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態では、下側の運搬用容器9Lの口枠部1が有する四つの辺部11と、上側の運搬用容器9Uの底板部2の周縁部25が有する四つの縁部251とが、一対一で上下に重なって位置する。
上下に重なる辺部11と縁部251において、辺部11に形成された凹状の口枠側係合部61と、縁部251から突出するように形成された凸状の底板側係合部62とが、僅かなクリアランスを介して係合する。これにより、下側の運搬用容器9Lと上側の運搬用容器9Uの間での横ズレが抑制される。
ここでのクリアランスは、辺部11と縁部251の長手方向において設定されたクリアランスである。つまり、第一方向D1を長手方向とする辺部11と縁部251においては、口枠側係合部61と底板側係合部62の間に、第一方向D1のクリアランスが形成される。図7に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、両者の間のクリアランスは、図示のクリアランスC3とクリアランスC4の和である。第二方向D2を長手方向とする辺部11と縁部251においては、口枠側係合部61と底板側係合部62の間に、第二方向D2のクリアランスが形成される。
ここで、口枠側係合部61とこれに係合する底板側係合部62との間のクリアランスは、口枠部1とこれに嵌る突段部23との間のクリアランス(=5mm)よりも、小さな寸法(たとえば3mm)で設定されている。図7に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、図示のクリアランスC3とクリアランスC4がそれぞれ1.5mmであるから、口枠側係合部61と底板側係合部62の間のクリアランスは、クリアランスC3,C4の和で3mmである。
なお、口枠側係合部61と底板側係合部62との間のクリアランスは、上記のような片側(C3=C4=)1.5mm、合計(C3+C4=)3mmに限定されず、片側0.5mm〜1.5mm、合計1mm〜3mm(好ましくは片側0.5mm〜1mm、合計1mm〜2mm)の範囲内で設定することが可能である。
上記した各構成を備える運搬用容器9によれば、組立て状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が傾くことが抑えられる。
つまり、組立て状態の運搬用容器9を上下に積み重ねた状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1に形成された四つの口枠側係合部61と、上側の運搬用容器9Uに形成された四つの底板側係合部62とが一対一に係合することで、上下の運搬用容器9L,9Uの間の横ズレが、第一方向D1と第二方向D2の両方において効果的に抑制される。
ここで、各口枠側係合部61は、口枠部1の辺部11の中央部分に位置し、各底板側係合部62は、底板部2の縁部251の中央部分に位置するので、口枠部1と底板部2の少なくとも一方に成形後の熱収縮や経年変化が生じても、これが横ズレ抑制の機能に影響を及ぼすことは抑えられる。
また、上記した各構成を備える運搬用容器9によれば、図8に示すように、折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が大きく傾くことが効果的に抑えられる。
つまり、折畳み状態の運搬用容器9を上下に積み重ねた状態においても、四つの口枠側係合部61と、四つの底板側係合部62とが一対一に係合することで、第一方向D1と第二方向D2の両方において横ズレが抑制される。
加えて、折畳み状態の運搬用容器9において、口枠部1が有する四つの上側係合部71と、底板部2が有する四つの下側係合部72とが一対一に係合することで、各運搬用容器9における口枠部1と底板部2の間の横ズレが抑制される。そのため、折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際の全体の傾きが、一層効果的に抑制される。
既述の如く、折畳み状態の運搬用容器9を積み重ねて運ぶ際には、特に多数(たとえば20個程度)の運搬用容器9を積み重ねる場合が多く、その分だけ全体が大きく傾きやすくなるが、実施形態1の運搬用容器9においては、口枠側係合部61と底板側係合部62の係合と、上側係合部71と下側係合部72の係合の両方によって、全体の傾きがより効果的に抑えられる。
ここで、各上側係合部71は、口枠部1の辺部11の中央部分に位置し、各下側係合部72は、底板部2の縁部251の中央部分に位置するので、口枠部1や底板部2に成形後の熱収縮や経年変化が生じても、これが横ズレ抑制の機能に影響を及ぼすことは抑えられる。
さらに、実施形態1の運搬用容器9においては、各口枠側係合部61が、口枠部1の内方に向けて開口するように凹状に形成されているので、各口枠側係合部61に水や埃がたまり難くなっている。実施形態1では、各口枠側係合部61の底面を略水平に設けているが、該底面を、口枠部1の内方に近づくほど下方に位置するように傾斜させて設けた場合には、洗浄後の水切りがさらに良好となる。
(実施形態2)
図9乃至図12には、実施形態2の運搬用容器9を示している。以下において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図9等に示すように、実施形態2の運搬用容器9において、四箇所の口枠側係合部61の各々は、口枠部1の外周面1bの一部が凹んだ形状を有する。より具体的には、口枠部1が備える四つの辺部11の外周面11bに一つずつ位置するように、四つの口枠側係合部61が形成されている。
各口枠側係合部61は、口枠部1の外方に向けて開口し、且つ、上方に向けて開口するように、口枠部1の上縁の外側の角部分に形成されている。第一方向D1を長手方向とする辺部11においては、その第一方向D1の中央部分に口枠側係合部61が形成されている。第二方向D2を長手方向とする辺部11においては、その第二方向D2の中央部分に口枠側係合部61が形成されている。
図10に示すように、実施形態2の運搬用容器9において、底板部2から突出する四箇所の底板側係合部62の各々は、突段部23との間に距離をあけて位置している。
図11、図12に示すように、実施形態2の運搬用容器9においても、上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1の開口に、上側の運搬用容器9Uの底板部2の突段部23が嵌り込むとともに、下側の運搬用容器9Lの口枠部1に形成された四つの口枠側係合部61と、上側の運搬用容器9Uに形成された四つの底板側係合部62とが、一対一に係合する。
凹状の口枠側係合部61と凸状の底板側係合部62の間には、僅かなクリアランスが形成される。図12に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、両者の間のクリアランス(辺部11と縁部251の長手方向である第一方向D1のクリアランス)は、図示のクリアランスC5とクリアランスC6の和である。
実施形態2の運搬用容器9においても、口枠側係合部61とこれに係合する底板側係合部62との間のクリアランスは、口枠部1とこれに嵌る突段部23との間のクリアランス(たとえば5mm)よりも、小さな寸法(たとえば3mm)で設定されている。
口枠側係合部61と底板側係合部62との間のクリアランスは、上記のような片側(C5=C6=)1.5mm、合計(C5+C6=)3mmに限定されず、片側0.5mm〜1.5mm、合計1mm〜3mm(好ましくは片側0.5mm〜1mm、合計1mm〜2mm)の範囲内で設定することが可能である。
したがって、実施形態2の運搬用容器9によれば、組立て状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が傾くことが抑えられる。折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際には、各運搬用容器9において上側係合部71と下側係合部72が係合することによっても、全体の傾きが抑えられる。
さらに、実施形態2の運搬用容器9においては、各口枠側係合部61が、口枠部1の外方に向けて開口するように凹状に形成されているので、各口枠側係合部61に水や埃がたまり難くなっている。実施形態2の運搬用容器9では、各口枠側係合部61の底面を略水平に設けているが、該底面を、口枠部1の外方に近づくほど下方に位置するように傾斜させて設けた場合には、洗浄後の水切りがさらに良好となる。また、実施形態2の運搬用容器9では、各口枠側係合部61が口枠部1の内方に向けて開口していないので、各口枠側係合部61に収納物が引っ掛かりにくいという利点がある。
(実施形態3)
図13乃至図16には、実施形態3の運搬用容器9を示している。以下において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図13等に示すように、実施形態3の運搬用容器9において、四箇所の口枠側係合部61の各々は、口枠部1の上面1cの一部が凹んだ形状を有する。より具体的には、口枠部1が備える四つの辺部11の上面11cに一つずつ位置するように、四つの口枠側係合部61が形成されている。
各口枠側係合部61は、口枠部1の上方に向けて開口する凹溝状の係合部であり、口枠部1の内外方向に連通するように形成されている。第一方向D1を長手方向とする辺部11においては、その第一方向D1の中央部分に、第二方向D2に貫通する凹溝状の口枠側係合部61が形成されている。第二方向D2を長手方向とする辺部11においては、その第二方向D2の中央部分に、第一方向D1に貫通する凹溝状の口枠側係合部61が形成されている。
図14等に示すように、実施形態3の運搬用容器9において、底板部2から突出する四箇所の底板側係合部62の各々は、突段部23と一体に形成されている。
各底板側係合部62は、底板部2の縁部251の幅方向の全域に亘って形成されている。第一方向D1を長手方向とする縁部251においては、その第二方向D2の全域に亘って底板側係合部62が形成されている。第二方向D2を長手方向とする縁部251においては、その第一方向D1の全域に亘って底板側係合部62が形成されている。
図15、図16に示すように、実施形態3の運搬用容器9においても、上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1の開口に、上側の運搬用容器9Uの突段部23が嵌り込むとともに、四つの口枠側係合部61と四つの底板側係合部62とが、一対一に係合する。
凹状の口枠側係合部61と凸状の底板側係合部62の間には、僅かなクリアランスが形成される。図16に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、両者の間のクリアランス(辺部11と縁部251の長手方向である第一方向D1のクリアランス)は、図示のクリアランスC7とクリアランスC8の和である。
実施形態3の運搬用容器9においても、口枠側係合部61とこれに係合する底板側係合部62との間のクリアランスは、口枠部1とこれに嵌る突段部23との間のクリアランス(たとえば5mm)よりも、小さな寸法(たとえば3mm)で設定されている。
口枠側係合部61と底板側係合部62との間のクリアランスは、上記のような片側(C7=C8=)1.5mm、合計(C7+C8=)3mmに限定されず、片側0.5mm〜1.5mm、合計1mm〜3mm(好ましくは片側0.5mm〜1mm、合計1mm〜2mm)の範囲内で設定することが可能である。
したがって、実施形態3の運搬用容器9によれば、組立て状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が傾くことが抑えられる。折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際には、各運搬用容器9において上側係合部71と下側係合部72が係合することによっても、全体の傾きが抑えられる。
さらに、実施形態3の運搬用容器9においては、各口枠側係合部61が、口枠部1の内方と外方に向けて開口する凹溝状に形成されているので、各口枠側係合部61に水や埃がたまり難くなっている。実施形態3の運搬用容器9では、各口枠側係合部61の底面を略水平に設けているが、該底面を、口枠部1の内方及び又は外方に近づくほど下方に位置するように傾斜させて設けた場合には、洗浄後の水切りがさらに良好となる。
(実施形態4)
図17乃至図20には、実施形態4の運搬用容器9を示している。以下において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図17等に示すように、実施形態4の運搬用容器9において、口枠部1の上面1cには、四つの辺部11の上面11cに一つずつ位置するように口枠側係合部61が形成されている。
各口枠側係合部61は、上方に向けて開口する凹溝状の係合部である。第一方向D1を長手方向とする辺部11においては、その第一方向D1の中央部分に口枠側係合部61が形成され、第二方向D2を長手方向とする辺部11においては、その第二方向D2の中央部分に口枠側係合部61が形成されている。各口枠側係合部61は、辺部11の上面11cの内外の縁から距離をあけて位置している。各口枠側係合部61には、他の運搬用容器9の底板側係合部62が引っ掛かることのできる係合面615が、全周に亘って形成されている(図20参照)。
図18等に示すように、実施形態4の運搬用容器9において、底板部2から突出する四箇所の底板側係合部62の各々は、突段部23から距離をあけて位置し、且つ、底板部2の外周縁から距離をあけて位置する。
図19、図20に示すように、実施形態4の運搬用容器9においても、上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1の開口に、上側の運搬用容器9Uの突段部23が嵌り込むとともに、四つの口枠側係合部61と四つの底板側係合部62とが、一対一に係合する。
凹状の口枠側係合部61と凸状の底板側係合部62の間には、僅かなクリアランスが形成される。図20に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、両者の間のクリアランス(辺部11と縁部251の長手方向である第一方向D1のクリアランス)は、図示のクリアランスC9とクリアランスC10の和である。
実施形態4の運搬用容器9においても、口枠側係合部61とこれに係合する底板側係合部62との間のクリアランスは、口枠部1とこれに嵌る突段部23との間のクリアランス(たとえば5mm)よりも、小さな寸法(たとえば3mm)で設定されている。
口枠側係合部61と底板側係合部62との間のクリアランスは、上記のような片側(C9=C10=)1.5mm、合計(C9+C10=)3mmに限定されず、片側0.5mm〜1.5mm、合計1mm〜3mm(好ましくは片側0.5mm〜1mm、合計1mm〜2mm)の範囲内で設定することが可能である。
したがって、実施形態4の運搬用容器9によれば、組立て状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が傾くことが抑えられる。折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際ときには、各運搬用容器9において上側係合部71と下側係合部72が係合することによっても、全体の傾きが抑えられる。
さらに、実施形態4の運搬用容器9においては、各口枠側係合部61が口枠部1の内方に向けて開口していないので、各口枠側係合部61に収納物が引っ掛かりにくいという利点がある。
(実施形態5)
図21乃至図24には、実施形態5の運搬用容器9を示している。以下において、実施形態1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図21等に示すように、実施形態5の運搬用容器9において、口枠部1の内周面1aには、内方に向けて突出するように凸状の口枠側係合部61が形成されている。口枠側係合部61は、四つの辺部11の内周面11aに一つずつ形成されている。
各辺部11の内周面11aの上端部には、凹段部15が形成されている。各辺部11の凹段部15は、各辺部11の長手方向の全域に亘るように平面視一直線状に形成されており、その長手方向の中央部分には、凸状の口枠側係合部61が形成されている。言い換えれば、各辺部11の内周面11aの上端部において、各辺部11の凹段部15を長手方向において分断するように、凸状の口枠側係合部61が形成されている。
第一方向D1を長手方向とする辺部11においては、その第一方向D1の中央部分に口枠側係合部61が形成され、第二方向D2を長手方向とする辺部11においては、その第二方向D2の中央部分に口枠側係合部61が形成されている。
図22等に示すように、実施形態5の運搬用容器9の底板部2の各縁部251には、その長手方向の中央部分に、凹状の底板側係合部62が設けられている。各縁部251の底板側係合部62は、各縁部251の下面251dから下方に突出する一対の突起255の間に形成されている。
一対の突起255は、各縁部251の長手方向に距離をあけて互いに平行に形成された一対のリブである。各突起255は、突段部23と一体に形成され、且つ、底板部2の外周縁からは距離をあけて位置する。
各縁部251の底板側係合部62は、その内方を突段部23で仕切られ、その上方を各縁部251の下面251dで仕切られ、且つ、各縁部251の長手方向の両側を一対の突起255で仕切られることで、外方及び下方に開口するように形成されている。
図23、図24に示すように、実施形態5の運搬用容器9においても、上下に運搬用容器9L,9Uが積み重なった状態において、下側の運搬用容器9Lの口枠部1の開口に、上側の運搬用容器9Uの突段部23が嵌り込むとともに、四つの凸状の口枠側係合部61と四つの凹状の底板側係合部62とが、一対一に係合する。
凸状である口枠側係合部61と、凹状である底板側係合部62の間には、僅かなクリアランスが形成される。図24に示す口枠側係合部61と底板側係合部62の場合、両者の間のクリアランス(辺部11と縁部251の長手方向である第一方向D1のクリアランス)は、図示のクリアランスC11とクリアランスC12の和である。
実施形態5の運搬用容器9においても、口枠側係合部61とこれに係合する底板側係合部62との間のクリアランスは、口枠部1とこれに嵌る突段部23との間のクリアランス(たとえば5mm)よりも、小さな寸法(たとえば3mm)で設定されている。
口枠側係合部61と底板側係合部62との間のクリアランスは、上記のような片側(C11=C12=)1.5mm、合計(C11+C12=)3mmに限定されず、片側0.5mm〜1.5mm、合計1mm〜3mm(好ましくは片側0.5mm〜1mm、合計1mm〜2mm)の範囲内で設定することが可能である。
したがって、実施形態5の運搬用容器9によれば、組立て状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に、全体が傾くことが抑えられる。折畳み状態の運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際ときには、各運搬用容器9において上側係合部71と下側係合部72が係合することによっても、全体の傾きが抑えられる。
実施形態5の運搬用容器9においては、各口枠側係合部61の両側の凹段部15の底面を略水平に設けているが、該底面を、口枠部1の内方に近づくほど下方に位置するように傾斜させて設けた場合には、洗浄後の水切りが良好となる。
(変形例)
以上、実施形態1−5の運搬用容器9について説明したが、運搬用容器9は上述した形態に限定されず、各構成において適宜の変更を行うことが可能である。
まず、口枠側係合部61と底板側係合部62の各種の変形例について説明する。
実施形態1−5の運搬用容器9においては、口枠側係合部61が口枠部1の四箇所に設けられ、底板側係合部62が底板部2の四箇所に設けられているが、口枠側係合部61と底板側係合部62の数は、少なくとも一つであればよい。
つまり、実施形態1−5の運搬用容器9では、口枠部1の各辺部11に一つずつ口枠側係合部61が形成されているが、口枠部1の全体で少なくとも一つの口枠側係合部61が形成されていればよく、その範囲内において、各辺部11の口枠側係合部61の数は任意に設定可能(ゼロを含む)である。
なお、口枠部1が備える四つの辺部11のうち、長側の各辺部11には、少なくとも一つの口枠側係合部61が形成されていることが好ましい。一例として、長側の各辺部11には一つ又はそれ以上の口枠側係合部61が形成され、短側の各辺部11には口枠側係合部61が形成されないことも有り得る。
同様に、実施形態1−5の運搬用容器9では、底板部2の各縁部251に一つずつ底板側係合部62が形成されているが、周縁部25の全体で少なくとも一つの底板側係合部62が形成されていればよく、その範囲内において、各縁部251の底板側係合部62の数は任意に設定可能(ゼロを含む)である。
なお、底板部2が備える四つの縁部251においても、長側の各縁部251には、少なくとも一つの底板側係合部62が形成されていることが好ましい。一例として、長側の各縁部251には一つ又はそれ以上の底板側係合部62が形成され、短側の各縁部251には底板側係合部62が形成されないことも有り得る。
また、実施形態2の運搬用容器9においては、口枠側係合部61を口枠部1の外周面1bに凹状に設けているが、口枠側係合部61を口枠部1の外周面1bに凸状に設けることも可能である。この場合、底板側係合部62は、底板部2において凹溝状に形成することが好ましい。
また、実施形態3,4の運搬用容器9においては、口枠側係合部61を口枠部1の上面1cに凹状に設けているが、口枠側係合部61を口枠部1の上面1cに凸状に設けることも可能である。この場合、底板側係合部62は、底板部2の下面2dにおいて凹溝状に形成することが好ましい。
また、実施形態1−5の運搬用容器9において、口枠部1に形成される四つの口枠側係合部61は互いに同一の形態を有しているが、互いに異なる形態を有することも可能である。たとえば、口枠部1が有する二対の辺部11のうち、一対の辺部11には実施形態1の口枠側係合部61が形成され、他の一対の辺部11には実施形態2の口枠側係合部61が形成されることも有り得る。
その他、口枠部1においては、実施形態1−5の口枠側係合部61の多様な組み合せが採用可能であるが、対向する一対の辺部11同士は、同一形状であること(即ち、口枠側係合部61の配置や形状が同一であること)が、口枠部1全体の強度に方向性が生じることが抑えられるという点で、好ましい。
同様に、実施形態1−5の運搬用容器9において、底板部2に形成される四つの底板側係合部62は互いに同一の形態を有しているが、互いに異なる形態を有することも可能である。たとえば、底板部2が有する二対の縁部251のうち、一対の縁部251には実施形態1の底板側係合部62が形成され、他の一対の縁部251には実施形態2の底板側係合部62が形成されることも有り得る。
底板部2においても、実施形態1−5の底板側係合部62の多様な組み合せが採用可能であるが、対向する一対の縁部251同士は、同一形状であること(即ち、底板側係合部62の配置や形状が同一であること)が、底板部2全体の強度に方向性が生じることが抑えられるという点で、好ましい。
次に、上側係合部71と下側係合部72の各種の変形例について説明する。
実施形態1−5の運搬用容器9においては、上側係合部71が口枠部1の四箇所に設けられ、下側係合部72が底板部2の四箇所に設けられているが、上側係合部71と下側係合部72の数は、少なくとも一つであればよい。
つまり、実施形態1−5の運搬用容器9では、口枠部1の各辺部11に一つずつ上側係合部71が形成されているが、口枠部1の全体で少なくとも一つの上側係合部71が形成されていればよく、その範囲内において、各辺部11の上側係合部71の数は任意に設定可能(ゼロを含む)である。
なお、口枠部1が備える四つの辺部11のうち、長側の各辺部11には、少なくとも一つの上側係合部71が形成されていることが好ましい。一例として、長側の各辺部11には一つ又はそれ以上の上側係合部71が形成され、短側の各辺部11には上側係合部71が形成されないことも有り得る。
同様に、実施形態1−5の運搬用容器9では、底板部2の各縁部251に一つずつ下側係合部72が形成されているが、周縁部25の全体で少なくとも一つの下側係合部72が形成されていればよく、その範囲内において、各縁部251の下側係合部72の数は任意に設定可能(ゼロを含む)である。
なお、底板部2が備える四つの縁部251のうち、長側の各縁部251には、少なくとも一つの下側係合部72が形成されていることが好ましい。一例として、長側の各縁部251には一つ又はそれ以上の下側係合部72が形成され、短側の各縁部251には下側係合部72が形成されないことも有り得る。
また、実施形態1−5の運搬用容器9において、上側係合部71とこれに係合する下側係合部72を、図25A乃至図25Cに例示するような他の構成に変更することも可能である。
図25Aに示す変形例1では、口枠部1が備える上側係合部71を、下方に向けて突出するように凸状に形成し、これに対応して底板部2が備える下側係合部72を、下方に向けて凹状に形成している。
この場合も、折畳み状態の運搬用容器9において、凸状の上側係合部71と凹状の下側係合部72が僅かなクリアランスを介して係合することで、口枠部1と底板部2の間での横ズレが抑制される。
図25Bに示す変形例2では、口枠部1が備える凸状の上側係合部71を、口枠部1の辺部11から下方に向けて突出するリブ状の突起17で形成し、これに対応する凹状の下側係合部72を、底板部2の縁部251から内方に突出する一対の突起257の間に形成している。一対の突起257は、縁部251の長手方向に距離をあけて互いに平行に位置する。一対の突起257と縁部251に囲まれた凹溝状の部分が、上方及び内方に開口した下側係合部72である。
この場合も、折畳み状態の運搬用容器9において、リブ状の上側係合部71と凹溝状の下側係合部72が僅かなクリアランスを介して係合することで、口枠部1と底板部2の間での横ズレが抑制される。加えて、この場合には、上方から荷重が掛かったときに口枠部1が変形することが、リブ状の上側係合部71と凹溝状の下側係合部72の係合によって効果的に抑制される。
図25Cに示す変形例3では、底板部2が備える下側係合部72を、縁部251から内方に向けて突出するリブ状の突起259で形成し、これに対応する上側係合部71を、口枠部1の辺部11から下方に突出する一対の突起19の間に形成している。一対の突起19は、辺部11の長手方向に距離をあけて互いに平行に位置する。一対の突起19と辺部11に囲まれた凹溝状の部分が、下方及び外方に開口した上側係合部71である。
この場合も、折畳み状態の運搬用容器9において、凹溝状の上側係合部71とリブ状の下側係合部72が僅かなクリアランスを介して係合することで、口枠部1と底板部2の間での横ズレが抑制される。加えて、この場合には、上方から荷重が掛かったときに口枠部1が変形することが、凹溝状の上側係合部71とリブ状の下側係合部72の係合によって効果的に抑制される。
口枠部1と底板部2においては、複数の上側係合部71の形状を互いに相違させること、及び、複数の下側係合部72の形状を互いに相違させることも可能である。
たとえば、口枠部1が有する一対の辺部11に実施形態1の上側係合部71が形成され、他の一対の辺部11には変形例1の上側係合部71が形成されるとともに、底板部2が有する一対の縁部251に実施形態1の下側係合部72が形成され、他の一対の縁部251には変形例1の下側係合部72が形成されることも有り得る。
なお、対向する一対の辺部11においては、上側係合部71の配置や形状が同一であることが、口枠部1全体の強度に方向性が生じることが抑えられるという点で、好ましい。同様に、対向する一対の縁部251においては、下側係合部72の配置や形状が同一であることが、底板部2全体の強度に方向性が生じることが抑えられるという点で、好ましい。
(作用効果)
以上、添付図面に基づいて説明したように、実施形態1,5の運搬用容器9は、下記の構成を具備する。
つまり、実施形態1,5の運搬用容器9は、矩形枠状の口枠部1と、矩形状の周縁部25を有する底板部2と、口枠部1と底板部2との間で起立するように構成された複数の側板3を備える。複数の側板3は、一対の折曲板4を含む。実施形態1,5の運搬用容器9は、一対の折曲板4のそれぞれを折り曲げることで、口枠部1と底板部2が上下に重なって折り畳まれる。
実施形態1,5の運搬用容器9において、口枠部1は、その内周面1aに少なくとも一つの口枠側係合部61を有する。底板部2は、少なくとも一つの底板側係合部62を有する。
実施形態1,5の運搬用容器9は、この運搬用容器9を上下に複数個積み重ねた状態において、下側の運搬用容器9(9L)に形成された少なくとも一つの口枠側係合部61と、上側の運搬用容器9(9U)に形成された少なくとも一つの底板側係合部62とが係合し、下側の運搬用容器9(9L)と上側の運搬用容器9(9U)の間の水平方向の位置ずれを抑制するように構成されている。
したがって、実施形態1,5の運搬用容器9によれば、この運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に全体が傾くことが、口枠側係合部61と底板側係合部62の係合によって、効果的に抑えられる。そのため、複数積み重ねた運搬用容器9を移動させる際にも、荷崩れを生じることが抑えられる。
また、実施形態2の運搬用容器9は、下記の構成を具備する。
つまり、実施形態2の運搬用容器9は、矩形枠状の口枠部1と、矩形状の周縁部25を有する底板部2と、口枠部1と底板部2との間で起立するように構成された複数の側板3を備える。複数の側板3は、一対の折曲板4を含む。実施形態2の運搬用容器9は、一対の折曲板4のそれぞれを折り曲げることで、口枠部1と底板部2が上下に重なって折り畳まれる。
実施形態2の運搬用容器9において、口枠部1は、その外周面1bに少なくとも一つの口枠側係合部61を有する。底板部2は、少なくとも一つの底板側係合部62を有する。
実施形態2の運搬用容器9は、この運搬用容器9を上下に複数個積み重ねた状態において、下側の運搬用容器9(9L)に形成された少なくとも一つの口枠側係合部61と、上側の運搬用容器9(9U)に形成された少なくとも一つの底板側係合部62とが係合し、下側の運搬用容器9(9L)と上側の運搬用容器9(9U)の間の水平方向の位置ずれを抑制するように構成されている。
したがって、実施形態2の運搬用容器9によれば、この運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に全体が傾くことが、口枠側係合部61と底板側係合部62の係合によって、効果的に抑えられる。そのため、複数積み重ねた運搬用容器9を移動させる際にも、荷崩れを生じることが抑えられる。
また、実施形態3,4の運搬用容器9は、下記の構成を具備する。
つまり、実施形態3,4の運搬用容器9は、矩形枠状の口枠部1と、矩形状の周縁部25を有する底板部2と、口枠部1と底板部2との間で起立するように構成された複数の側板3を備える。複数の側板3は、一対の折曲板4を含む。実施形態3,4の運搬用容器9は、一対の折曲板4のそれぞれを折り曲げることで、口枠部1と底板部2が上下に重なって折り畳まれる。
実施形態3,4の運搬用容器9において、口枠部1は、その上面1cに、 凹状または凸状に形成された少なくとも一つの口枠側係合部61を有する。底板部2は、凸状または凹状に形成された少なくとも一つの底板側係合部62を有する。
実施形態3,4の運搬用容器9は、この運搬用容器9を上下に複数個積み重ねた状態において、下側の運搬用容器9(9L)に形成された少なくとも一つの口枠側係合部61と、上側の運搬用容器9(9U)に形成された少なくとも一つの底板側係合部62とが係合し、下側の運搬用容器9(9L)と上側の運搬用容器9(9U)の間の水平方向の位置ずれを抑制するように構成されている。
したがって、実施形態3,4の運搬用容器9によれば、この運搬用容器9を上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に全体が傾くことが、口枠側係合部61と底板側係合部62の係合によって、効果的に抑えられる。そのため、複数積み重ねた運搬用容器9を移動させる際にも、荷崩れを生じることが抑えられる。
また、実施形態1−5の運搬用容器9は、下記の構成を具備する。
つまり、実施形態1−5の運搬用容器9は、矩形枠状の口枠部1と、矩形状の周縁部25を有する底板部2と、口枠部1と底板部2との間で起立するように構成された複数の側板3を備える。複数の側板3は、一対の折曲板4を含む。実施形態1−5の運搬用容器9は、一対の折曲板4のそれぞれを折り曲げることで、口枠部1と底板部2が上下に重なって折り畳まれる。
実施形態1−5の運搬用容器9において、口枠部1は、少なくとも一つの上側係合部71を有する。底板部2は、少なくとも一つの下側係合部72を有する。
実施形態1−5の運搬用容器9は、この運搬用容器9が折り畳まれた状態において、少なくとも一つの上側係合部71と、少なくとも一つの下側係合部72とが係合し、口枠部1と底板部2の間の水平方向の位置ずれを抑制するように構成されている。
したがって、実施形態1−5の運搬用容器9によれば、この運搬用容器9を折畳み状態で上下に複数(多数)積み重ねて運ぶ際に全体が大きく傾くことが、それぞれの運搬用容器9で上側係合部71と下側係合部72が係合することによって、効果的に抑えられる。そのため、複数積み重ねた運搬用容器9を移動させる際にも、荷崩れを生じることが抑えられる。