JP2019043030A - インクジェット記録ヘッド用クリーニング液 - Google Patents

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【課題】記録ヘッドのノズル面に付着して固化した水性インクの乾燥皮膜を剥離、溶解してインクの吐出不良を改善するインクジェット記録ヘッド用クリーニング液を提供する。【解決手段】水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液であって、潮解性付与剤として式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下と、有機溶剤として2−ピロリドンを5質量%以上20質量%以下と、水とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、用紙のような記録媒体に水性インクを吐出するインクジェット記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング液に関するものである。
ファクシミリ、複写機、プリンターのような記録装置として、インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置が、高精細な画像を形成できることから広く用いられている。
このようなインクジェット記録装置では、特に水性インクを用いる場合、インクを低粘度化し、速乾性および着色成分の紙への浸透抑制を実現するため、紙面に着弾したときにインク中から水分を迅速に離脱させる方法が検討されている。例えば、顔料濃度を可能な限り高くしつつインクの低粘度を維持するように、バインダー樹脂として長鎖アルキル基や芳香環等の疎水性の高い官能基を分子内に導入し、低酸価に設計したアルカリ可溶性樹脂をできる限り少量で使用する技術はその一つである。しかしながら、この方法ではインクが乾燥して固化したときに再溶解し難くなる。
そして、長時間インクが吐出されないまま放置されていたインクジェット記録装置では、画像記録のためのインク滴と共に吐出される微小なインク滴(以下、ミストと称する)や、インク滴が記録媒体に付着した際に発生する跳ね返りミストが、記録ヘッドのインク吐出面に付着して固化する。インク吐出面のミストが徐々に増加しインク吐出ノズルに重なると、インクの直進性の悪化(飛翔曲がり)や不吐出等が発生して記録ヘッドの印字性能が低下する。
そこで、インク吐出面に付着したミストをクリーニングするクリーニング液が種々考案されており、例えば特許文献1には、異なる界面活性剤を含む2種の洗浄水からなる2液型インクジェットヘッド洗浄液が開示されている。また、特許文献2には、界面活性剤、塩基性化合物、水を含有し、かつ洗浄液のpHが9以上であるインクジェット記録ヘッド用ノズル洗浄液が開示されている。特許文献3には、アルカリ剤、アルキルアミンオキシドおよび特定の有機溶剤を含有する水系洗浄剤を用いて硬質表面を洗浄する方法が開示されている。さらに特許文献4には、グリコールエーテル系の非イオン性界面活性剤を含むインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている。
特開2009−155424号公報 特開2000−127419号公報 特開2012−67152号公報 特開2013−146965号公報
しかし、特許文献1〜4に記載の洗浄液では、顔料濃度が高く、バインダー樹脂として再溶解性の乏しいアルカリ可溶性樹脂を使用したインクや、ヘッドやノズル中でインク皮膜が固化したとき等の洗浄が厳しい条件では充分な洗浄効果が得られなかった。また、ヘッド面にクリーニング液が付着した状態で長期放置された場合、クリーニング液自体がヘッドやノズル面に固化、付着してしまうという新たな問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、記録ヘッドのノズル面に付着した水性インクの乾燥皮膜を剥離、溶解してインクの吐出不良を改善するインクジェット記録ヘッド用クリーニング液を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液である。クリーニング液は、潮解性付与剤として以下の式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下と、有機溶剤として2−ピロリドンを5質量%以上20質量%以下と、水とを含有する。

(式中、R1,R2はメチル基又はエチル基を表す。)
本発明の第1の構成によれば、記録ヘッドのインク吐出面にクリーニング液を供給し、パージインクと共にワイパーで拭き取る際に、インク吐出面に付着して固化したインクをクリーニング液に容易に溶解することができる。従って、インク吐出面を容易に且つ確実にクリーニングすることができ、長期間に亘ってインクの直進性の悪化や不吐出等の発生を抑制して画像品質を維持することができる。
インクジェット記録装置の記録部を上方から見た平面図 記録部のラインヘッドを構成する記録ヘッドの側面図 記録ヘッドをインク吐出面側から見た平面図 記録ヘッド周辺を斜め下方から見た斜視図 記録ヘッド周辺を斜め上方から見た斜視図 実施例におけるインク拭き取り性試験を説明する記録ヘッドの側面図であって、ワイパーの先端に顔料インクを載せた状態を示す図 図6の状態から記録ヘッドのインク吐出面を往路方向(右方向)にワイピングしてインク吐出面にインクの拭きのばしを形成する様子を示す図 クリーニング液を含浸させた不織布をインク吐出面に密着させる様子を示す図 インク吐出面を復路方向(左方向)にワイピングしてクリーニング液と共にインクを拭き取る様子を示す図
本発明のインクジェット記録ヘッド用クリーニング液は、潮解性付与剤として以下の式(1)で表される化合物と、有機溶剤として2−ピロリドンと、水とを含有する。以下、本発明のクリーニング液について詳細に説明する。
(潮解性付与剤)
潮解性とは、物質が空気中の水分を吸収して溶解する性質をいう。本明細書中における潮解性付与剤は、記録ヘッドのノズル面に付着したクリーニング液とインクの混合物に潮解性を付与して乾燥を防止する機能を有するものである。本発明のクリーニング液には潮解性付与剤として、下記の化学式(1)で表される化合物が配合される。

(式中、R1,R2はメチル基又はエチル基を表す。)
化学式(1)のR1,R2がプロピル基以上になると、水に対する溶解性が不十分となり、十分な拭き取り性が得られない。また、潮解性付与剤の配合量が5質量%よりも多くなると、クリーニング液の粘度が高くなりすぎるため、クリーニング液をノズル面に均一に塗布できなくなる。また、潮解性付与剤の配合量が1質量%未満であると、クリーニング液とインクの混合物の乾燥を防止するために必要な量に足りず、クリーニング性能や撥水膜の長期安定性が得られない。そのため、潮解性付与剤である化学式(1)で表される化合物の配合量はクリーニング液全体に対して1質量%以上5質量%以下とする。
(有機溶剤)
本発明のクリーニング液には、有機溶剤として2−ピロリドンが配合される。2−ピロリドンは5員環ラクタム構造を持つ有機化合物であり、水や多くの有機溶媒と互いに混合可能であるため工業用溶媒として広く用いられている。2−ピロリドンはインクの溶解性に重要な物質であり、2−ピロリドンの配合量が少なすぎると、インクが十分に溶解されず拭き取り性が低下するおそれがある。一方、2−ピロリドンの配合量が多すぎると、インクとの混和性(クリーニング液に対する顔料分散体の分散性)が低下し、却って溶解性が低下するため拭き取り性が低下するおそれがある。2−ピロリドンの配合量は、クリーニング液全体に対して5質量%以上20質量%以下とする。
(水)
水は、有機溶剤と共に潮解性付与剤を溶解する溶媒としての機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される水としては、精製水やイオン交換水が挙げられる。
その他、本発明のクリーニング液には、必要に応じて2−ピロリドン以外の有機溶剤、界面活性剤、塩基性化合物、多価アルコール、消泡剤、防腐剤等をさらに配合してもよい。本発明のクリーニング液に配合される2−ピロリドン以外の有機溶剤としては、フェノキシエタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、記録ヘッドとワイパーとの潤滑性を高めるために配合される。本発明のクリーニング液に配合される界面活性剤としては、ベタイン構造を有する両性界面活性剤が好ましい。ベタイン構造を有する両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン構造、オクタン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン構造を有するものが挙げられる。特に、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤は、潤滑効果が高くノズル面に形成される撥水膜の削れを抑制して撥水性を長期間維持できるため好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤の中でも、アルキル鎖長が長く潤滑性の高いヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。
両性界面活性剤の配合量を0.1質量%未満とすると、クリーニング効果および撥水膜に対する潤滑性が十分に発揮されない。また、両性界面活性剤の配合量が10質量%を超えると、潤滑性の向上がみられない上に両性界面活性剤がクリーニング液に溶解しきれずに分離する可能性がある。そのため、両性界面活性剤の配合量はクリーニング液全体に対して0.1質量以上10質量%以下とすることが好ましい。
(塩基性化合物)
水性インクに配合されるバインダー樹脂としては、分子内に酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が多く用いられる。そのため、インクはアルカリ性に維持しておく必要があり、クリーニング液もインクと同様にアルカリ性のものを使用する必要がある。塩基性化合物は、クリーニング液のpHをアルカリ性に維持する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される塩基性化合物としては特に限定されず、無機または有機の塩基性化合物が配合される。無機塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。有機塩基性化合物としては、低分子量の1級〜3級アミン化合物が挙げられる。これらの中でも、強アルカリであって微量でpHを調整可能な水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
本発明のクリーニング液のpHは、塩基性化合物によって8.5〜10に調整することが好ましい。クリーニング液のpHをこの範囲にすることで、皮膚に対する安全性やクリーニング液の付着する部材や撥水膜の浸食を抑制することができる。塩基性化合物の配合量は、塩基性化合物自体の塩基性の強さや他の成分の塩基性や酸性に応じて変動するが、クリーニング液のpHを前述の範囲に調整するために必要な量であればよい。
(多価アルコール)
多価アルコールは、2以上の水酸基を有する化合物であり、クリーニング液の保湿性性を高めてノズル面の乾燥を抑制する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される多価アルコールとしては、1,2−オクタンジオールや1,3−プロパンジオール等のジオール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類やグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、本発明のクリーニング液を使用するインクジェット記録装置の記録ヘッドについて説明する。図1は、インクジェット記録装置の記録部9を上方から見た図である。記録部9は、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11C、11M、11Y、および11Kを備えている。これらのラインヘッド11C〜11Kは、ベルト搬送部5を構成する搬送ベルト8の搬送面に対して所定の間隔(例えば1mm)が形成されるような高さに支持され、図1に示すように、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(図1の上下方向)に沿って複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a〜17cが千鳥状に配列されている。
図2は、記録部9のラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cの側面図、図3は、記録ヘッド17a〜17cをインク吐出面F1側から見た平面図、図4は、記録ヘッド17a周辺を斜め下方から見た斜視図、図5は、記録ヘッド17a周辺を斜め上方から見た斜視図である。なお、記録ヘッド17a〜17cは同一の形状および構成であるため、図2および図3では記録ヘッド17a〜17cを一つの図で示している。図2および図3に示すように、記録ヘッド17a〜17cのヘッド部18のインク吐出面(ノズル面)F1には、インク吐出ノズル18a(図1参照)が多数配列された複数(ここでは4ブロック)のノズル領域Ra〜Rdが設けられている。ヘッド部18の少なくともインク吐出面F1は、例えばSUS(ステンレス鋼)によって形成されている。
各ラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)のインクがラインヘッド11C〜11Kの色毎に供給される。
各記録ヘッド17a〜17cは、制御部(図示せず)からの制御信号により外部コンピューターから受信した画像データに応じて、搬送ベルト8の搬送面に吸着保持されて搬送される用紙に向かってインク吐出ノズル18aからインクを吐出する。これにより、搬送ベルト8上の用紙にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが重ね合わされたカラー画像が形成される。また、記録ヘッド17a〜17cには、クリーニング液を供給するクリーニング液供給部材60が設けられている。
図4および図5に示すように、クリーニング液供給部材60には、クリーニング液が通過するチューブからなる供給路70の下流端が接続されている。供給路70の上流端は、クリーニング液供給機構(図示せず)に接続されている。クリーニング液供給機構は、クリーニング液を収容するタンク(図示せず)と、タンクから供給路70にクリーニング液を汲み上げるポンプ(図示せず)と、によって構成されている。
供給路70は、上流端では1本の経路によって構成されているが、下流側に向かって分岐を繰り返し、12本の経路に分岐している。12本の経路は、記録ヘッド17a〜17cのクリーニング液供給部材60にそれぞれ接続されている。
インクジェット記録装置では、記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面F1を清浄にするために、長期間停止後の印字開始時および印字動作の合間には、全ての記録ヘッド17a〜17cのクリーニング液供給口60aからクリーニング液をクリーニング供給面F2に供給し、ワイパー(図示せず)によりインク吐出面F1を拭き取る記録ヘッド17a〜17cの回復動作を実行し、次の印字動作に備える。
本実施形態の構成によれば、潮解性付与剤として式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下と、有機溶剤として2−ピロリドンを5質量%以上20質量%以下と、水とを含有するクリーニング液を記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面F1に供給することにより、インク吐出面F1に付着して固化したインク滴をクリーニング液に溶解することができる。
そして、クリーニング液をパージインクと共にワイパーで拭き取ることで、インク吐出面F1を容易に且つ確実にクリーニングすることができ、長期間に亘ってインクの直進性の悪化(飛翔曲がり)や不吐出等の発生を抑制して画像品質を維持することができる。また、クリーニング液によってインク吐出面F1とワイパーとの間の潤滑性が向上するため、ワイパーとの摩擦によるインク吐出面F1の撥水膜の剥がれも効果的に抑制することができる。
その他本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[参考例]
[顔料インクの調製]
表1に示す顔料(ピグメントブルー15:3)、分散樹脂(スチレンアクリル樹脂)、溶剤(1,2−オクタンジオール)および水を、湿式分散機であるダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)に投入し、顔料分散体を得た。なお、ダイノミルに代えて、ナノグレンミル(浅田鉄鋼社製)やMSCミル(三井鉱山社製)等の他の湿式分散機も使用可能である。
分散樹脂であるスチレンアクリル樹脂の酸価が低い場合、顔料分散性が悪く微粒子化が困難となる。一方、酸価が高い場合は調製したインクの保存安定性が悪くなる。スチレンアクリル樹脂の酸価は100〜300の範囲が適当である。また、顔料分散体を調製する際は、60〜80℃の温水によりスチレンアクリル樹脂を加熱し、塩基性化合物(水酸化ナトリウム)をpHが8.0になるまで中和溶解した後で分散を行った。
分散条件としては、小径ビーズ(粒径0.5〜1.0mmのジルコニアビーズ)をベッセル内にセットし、顔料分散体の分散粒度として平均粒子径が70〜130nmになるように調製した。また、ビーズ径を変えることで分散度合いや遊離樹脂量を変化させた。顔料分散体の平均粒子径は、イオン交換水で300倍希釈した溶液を粒子径測定装置(ゼータサイザーナノ、シスメックス社製)で測定した。
調製された顔料分散体を用いて、表2に示したインク配合を行うことで、顔料インクを作製した。
※;アセチレングリコール系界面活性剤
[クリーニング液の調製]
潮解性付与剤として、R1、R2の異なる式(1)の化合物、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、塩基性化合物として1N水酸化ナトリウム水溶液、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表3に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明1〜3、比較例1)を得た。
[潮解性付与剤の構造の違いによるインク拭き取り性評価]
ノズル数が1列で166個、1ヘッド(4列)当たりのノズル数が664個のピエゾ型インクジェット記録ヘッドを作製した。そして、同一列内のノズル間ピッチを150dpi、且つ、隣り合う列を1/4ピッチずつずらして配置することで全体として解像度を600dpiとした。
インク拭き取り性の試験方法は、図6に示すようにワイパー35の先端に顔料インク22を0.3cc載せて10分間放置した。次に、図7に示すように記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面F1を往路方向(右方向)にノズル領域Ra(図3参照)の左側までワイピングしてインク吐出面FIにインク22の拭きのばしを形成した。
45℃で4日間乾燥させた後、図8に示すように、本発明1〜3、比較例1のクリーニング液を3g含浸させた不織布(ベンコット、旭化成社製)37をインク吐出面F1に30秒間密着させた後、離間させた。その後、インク吐出面F1に0.3ccのインクを吐出(パージ)し、図9に示すようにインク吐出面F1を復路方向(左方向)にワイピングしてクリーニング液と共にインク22を拭き取り、インクの取れ具合を評価した。評価基準としては、インク吐出面F1にインク付着がほぼ見られない場合を○、インク吐出面F1にインク付着が見られる場合を×とした。
[クリーニング液に対するインク分散性評価]
顔料インク/クリーニング液=1/300で希釈した溶液を調製し、顔料分散体の分散粒径(初期分散粒径)を測定した。この溶液を60℃で1時間放置し、顔料分散体の分散粒径(60℃分散粒径)を測定した。分散粒径比(=初期分散粒径/60℃分散粒径)が1.05以下であれば拭き取り性が良好である。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表4に示す。
表4から明らかなように、潮解性付与剤として式(1)中のR1、R2が共にメチル基である化合物を用いた本発明1、R1がメチル基、R2がエチル基である化合物を用いた本発明2、R1、R2が共にエチル基である化合物を用いた本発明3では、インク吐出面F1にインク付着がほぼ見られず、インク拭き取り性が良好であった。これに対し、R1がエチル基、R2がプロピル基である化合物を用いた比較例1では、インク吐出面F1にインク付着が見られた。
なお、分散粒径比は本発明1〜3、比較例1の全てにおいて1.05以下であったことから、比較例1においてインク拭き取り性が悪かった理由はクリーニング液に対するインクの分散性が問題ではなく、クリーニング液の粘度が高くなることによる拭き取り性の低下であると考えられる。
[クリーニング液の調製]
潮解性付与剤として、R1、R2が共にエチル基である式(1)の化合物(1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、ロンザジャパン社製)、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、塩基性化合物として1N水酸化ナトリウム水溶液、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表5に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明4〜6、比較例2、3)を得た。
[潮解性付与剤の配合量の違いによるインク拭き取り性評価]
実施例1と同様の方法および評価基準によりインク拭き取り性、クリーニング液に対するインク分散性を評価した。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表6に示す。
表6から明らかなように、式(1)中のR1、R2が共にエチル基である1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量を、それぞれ1質量%、2質量%、5質量%とした本発明4〜6では、インク吐出面F1にインク付着がほぼ見られず、インク拭き取り性が良好であった。
これに対し、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量をそれぞれ0.5質量%、6質量%とした比較例2、3では、インク吐出面F1にインク付着が見られた。比較例2では、潮解性付与剤である1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量が少なすぎてクリーニング液やインク22の乾燥が抑制されなかったためであると考えられる。一方、比較例3では、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量が多すぎてクリーニング液の粘度が増大し、クリーニング液がインク吐出面F1に均一に塗布されなかったためであると考えられる。
[クリーニング液の調製]
潮解性付与剤として、R1、R2が共にエチル基である式(1)の化合物(1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、ロンザジャパン社製)、界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCBH、第一工業製薬社製)、多価アルコールとして1,3−プロパンジオール、塩基性化合物として1N水酸化ナトリウム水溶液、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表7に示す配合割合(質量%)で配合し、イオン交換水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明7〜9、比較例4、5)を得た。
[2−ピロリドンの配合量の違いによるインク拭き取り性評価]
実施例1と同様の方法および評価基準によりインク拭き取り性、クリーニング液に対するインク分散性を評価した。インク拭き取り性の評価結果および分散粒径比を表8に示す。
表8から明らかなように、2−ピロリドンの配合量を、それぞれ5質量%、10質量%、20質量%とした本発明7〜9では、インク吐出面F1にインク付着がほぼ見られず、インク拭き取り性が良好であった。
これに対し、2−ピロリドンの配合量を、それぞれ3質量%、22質量%とした比較例4、5では、インク吐出面F1にインク付着が見られた。比較例4では、2−ピロリドンの配合量が少なすぎて分散粒子が密になって凝集し、粒子間にクリーニング液が入り込みにくくなるためであると考えられる。一方、比較例5では分散粒径比が1.13と大きくなっていることから、2−ピロリドンの配合量が多すぎてクリーニング液に対する顔料分散体の分散性が低下し、拭き取り性が低下したためであると考えられる。
実施例1〜3の結果から、潮解性付与剤として式(1)中のR1、R2がメチル基またはエチル基である化合物と、有機溶剤として2−ピロリドンとを配合したクリーニング液を用い、式(1)の化合物の配合量を1〜5質量%、2−ピロリドンの配合量を5〜20質量%とすることで、ノズル面に付着したインクの拭き取り性を向上する効果、および顔料分散体の分散粒径の増大を抑制する効果が得られることが確認された。
本発明は、記録媒体に水性インクを吐出するインク吐出ノズルを有するインクジェット記録ヘッドをクリーニングするクリーニング液に利用可能である。本発明の利用により、記録ヘッドのノズル面に付着して固化したインクを剥離、溶解してインクの吐出不良を改善するインクジェット記録ヘッド用クリーニング液を提供することができる。
8 搬送ベルト
17a〜17c 記録ヘッド
18 ヘッド部
18a インク吐出ノズル
22 インク
35 ワイパー
60 クリーニング液供給部材
60a クリーニング液供給口
70 供給路
F1 インク吐出面(ノズル面)
F2 クリーニング液供給面
Ra〜Rd ノズル領域

Claims (7)

  1. 水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、前記ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液であって、
    潮解性付与剤として以下の式(1)で表される化合物を1質量%以上5質量%以下と、有機溶剤として2−ピロリドンを5質量%以上20質量%以下と、水とを含有するクリーニング液。

    (式中、R1,R2はメチル基又はエチル基を表す。)
  2. ベタイン構造を有する両性界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング液。
  3. 前記両性界面活性剤が、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有することを特徴とする請求項2に記載のクリーニング液。
  4. 塩基性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリーニング液。
  5. 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項4に記載のクリーニング液。
  6. pHが8.5〜10であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のクリーニング液。
  7. 1種以上の多価アルコールをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のクリーニング液。
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