以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、この実施例のドラム式洗濯機Sは、少なくとも外槽2と、ドラム3と、ドラム3を回転駆動させるモータM(図3参照)とを備えたドラムタイプの洗濯機であれば適応可能であり、以下、その一例を説明する。なお、図1に示すように、ドラム式洗濯機Sにおいて、ドア25がある方向を前側として、前後上下左右の方向を説明する。
図1に示すように、ドラム式洗濯機Sは、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて構成された筐体1を有し、乾燥機能を備えている。ドラム式洗濯機Sは、略ドラム形のドラム3の回転軸が筐体1の前面部に配置されたドア9に対してやや斜めに配置されて、その回転軸回りにドラム3が回転することによって、ドア9から投入された衣類等の洗濯物を洗濯する装置である。ドラム式洗濯機Sは、それぞれ後記する筐体1、外槽2、ドラム3、洗剤投入部20(図2参照)、給水ユニット15(給水手段)(図4参照)、操作パネル6、ダンパ5(図3参照)、操作スイッチ8a,8b(図2参照)、表示器22(図2参照)、ドア25、駆動装置M10(図3参照)と、温度センサT1(水温検出手段)と、電導度センサ4(硬度検出手段、洗剤種類検出手段、汚れ濃度検出手段)と、制御装置100(運転制御手段)(図3参照)と、等を備えている。
前記筐体1は、ドラム式洗濯機Sの外観形状を形成すると共に、そのドラム式洗濯機Sの構成部品を包み込んで保持するハウジングである。筐体1は、板金(金属、カラー鋼板)をプレス加工等によって、正面に配置される前面パネル(前板)11と、左右の側面に配置される側面パネル(側板)14A,14Bと、板金をプレス加工等によって、上面視において略コ字状に形成されて背面に配置される背面パネル(背板)16と、外槽3の底側に配置されるベース17と、外槽3の上方に配置される上面パネル(上板、トップパネル)18と、を有し、それぞれに取り付けられて、略箱形形状に形成されている。筐体1の上面部には、洗剤等を投入するための洗剤投入部20、表示器22、乾燥フィルタ37等が取り付けられている。
左右の側面パネル14A,14Bは、筐体1に内設された前面上部補強板31、前面下部補強板32、上部補強板35、上部連結補強部36にそれぞれ結合されている。また、背面パネル16は、上部連結補強部36によって上部補強板35と結合されている。上部連結補強部36は、合成樹脂により成型されたものであり、前後方向に延び、かつ、左右方向の中央部に位置するように配置されている。なお、合成樹脂としては、高強度および耐摩耗性に優れた樹脂、具体的にはPOM(ポリオキシメチレン樹脂)を選択することができる。
正面パネル11の略中央には、洗濯物を出し入れするための投入口を塞ぐドア25が、ヒンジ(図示せず)によって開閉可能に支持されている。ドア25には、ドア25のロック機構(図示せず)を解除するためのドア取手23が設けられている。ドア取手23を引くことで、ロック機構が外れてドア25が開き、ドア25を正面パネル11に押し付けることでロックされて閉じるようになっている。図3に示すように、正面パネル11の内側にはベローズ24、外槽2、ドラム3、モータM等が配置されている。前記上面パネル18には、操作パネル19、洗剤投入部20、及び、乾燥フィルタ37が配置されている。
前記上面パネル18には、水道栓からの給水ホース接続口18f、風呂の残り湯の給水ホース接続口18gが露出した状態で設けられている。上面パネル18の内部には、前記給水ユニット15、給水管P1,P2、洗剤送出管P3、給水ホース32、給水電磁弁21、風呂水給水ポンプ7等の給水に関連する部品が内設されている。また、筐体1の下部には、ダンパ5、循環ポンプ54、ベース17等が設定されている。
操作パネル19は、筐体1の上部に配列された横長のパネル部材であり、電源スイッチ9、操作スイッチ8a,8b、表示機22等が備えられている。操作パネル19は、筐体1上部に内設された制御装置100に電気的に接続されている。
操作パネル19の左側には、洗剤、漂白剤、柔軟仕上剤等を投入するための投入口を塞ぐ洗剤蓋20aが設けられている。洗剤蓋20aは、バネやダンパで構成されたヒンジ(図示せず)によって開閉可能に支持されている。洗剤蓋20aには、洗剤蓋20aのロック機構(図示せず)が設けられている。洗剤蓋20aが閉じた状態で下側に押し付けることでロック機構が外れて洗剤蓋20aが開き、洗剤蓋20aが開いた状態で下側に押し付けることでロックされて閉じるようになっている。
操作パネル19の後側には引き出し式の乾燥フィルタ37が設けられている。なお、乾燥フィルタ37は、メッシュ式のフィルタ(図示せず)を備えており、糸屑等が除去されるようになっている。乾燥フィルタ37の掃除は、乾燥フィルタ37を引き出してメッシュ部の糸屑等を拭き取ることで行う。
前記洗剤投入部20は、前記した粉末洗剤、液体洗剤(あるいは漂白剤)、柔軟仕上剤(ソフト仕上剤)等の洗剤が投入される部位であり、例えば、筐体1の上面左側前端部に配置されている。洗剤投入部は、給水ユニット15と、給水ユニット15に収納され取り外し可能な洗剤トレイ26と、洗剤トレイ26内に形成された粉末洗剤投入室26a、液体洗剤投入室26b及び柔軟仕上剤投入室26cと、洗剤トレイ26の底部に設けられた流出口27およびサイホン28と、水を洗剤投入部20に供給する給水管P1,P2と、洗剤投入部20内の洗剤及び洗剤を外槽2に供給する洗剤送出管P3等を有している。
洗剤トレイ26は、粉末洗剤が投入される粉末洗剤投入室26a、液体洗剤(あるいは漂白剤)が投入される液体洗剤投入室26b、柔軟仕上剤が投入される柔軟仕上剤投入室26cと、に区画されている。
洗剤トレイ26の後側には給水電磁弁21、風呂水給水ポンプ7、水位センサ58等の給水に関連する部品が設けられている。給水電磁弁21は、給水管P1,P2により給水ユニット15と接続されている。
ここで、給水電磁弁21は、複数の電磁弁(例えば、4つの電磁弁)で構成されており、第1電磁弁を開閉することにより給水管P1を介して粉末洗剤投入室26aおよび液体洗剤投入室26bに給水し、第2電磁弁を開閉することにより給水管P2を介して柔軟仕上剤投入室26cに給水し、第3電磁弁を開閉することにより給水管(図示せず)を介して外槽2の給水口29に直接給水し、第4電磁弁を開閉することにより給水管(図示せず)を介して送風ダクト40の水冷除湿機構(図示せず)に給水することができるようになっている。
給水ユニット15は、筐体1の上面パネル18に固定されている。給水ユニット15は、外槽2との干渉を防ぐために底面が斜めにカットされており、正面から見ると右側が浅く、左側が深くなっている。また、給水ユニットの左側後方に出水口15aが設けられている。したがって、給水ユニット15の底面は、出水口15aの位置が最も低くなるようにすり鉢状に形成されている。
粉末洗剤投入室26aには、内底に洗剤送出管P3及び給水口外槽2aに連通する流出口27が形成されている。給水管P1から粉末洗剤投入室26a内に供給された水は、時計回り方向に渦を捲くように流れて粉末洗剤を溶かして流出口27内に流れ込み洗剤送出管P3内へ流れる。
液体洗剤投入室26bには、内底に、流出口27及び洗剤送出管P3に連通するサイホン28が設けられ、渦を捲くように流れて液体洗剤を薄めてサイホン28内に流れ込み洗剤送出管P3内へ流れる。給水管P1から液体洗剤投入室26b内に供給された水は、反時計回り方向に渦を捲くように流れて液体洗剤を溶かして流出口27内に流れ込み洗剤送出管P3内へ流れる。
柔軟仕上剤投入室26cには、内底に、流出口27及び洗剤送出管P3に連通するサイホン28が設けられている。給水管P2から柔軟仕上剤投入室26c内に供給された水は、時計回り方向に渦を捲くように流れて柔軟仕上剤を薄めてサイホン28内に流れ込み洗剤送出管P3(図2参照)内へ流れる。
≪乾燥フィルタ及び乾燥ダクトの構成≫
乾燥フィルタ37の下流側には、温風を生成する乾燥ユニット38が接続されている。この乾燥ユニット38は、図示しない送風機とヒータを備えて構成され、筺体1内に設けられた上部補強板35に固定されている。送風機は、駆動用のモータ、このモータで駆動されるファン羽根車、このファン羽根車を収容するファンケースで構成されている。ヒータは、ファンケースに内蔵され、ファン羽根車から送られる空気を加熱する。ヒータは、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータなどで構成されている。
乾燥ユニット38は、ゴム製の蛇腹管50を介して送風ダクト40と接続されている。送風ダクト40は、筐体1の背面内側に設置してあり、樹脂成型によって外槽2と一体に形成された凹形状のダクト部41と、このダクト部41の一部を塞ぐように取り付けられる送風ダクトカバー43と、によって構成されている。ダクト部41は、略上下方向に伸びて形成され、外槽2の中心より右側に偏った位置に形成されている。
また、送風ダクト40の下部には、外槽2の内部(ドラム3が配置される側)と連通して、乾燥運転時の空気を吸い込む略矩形状の吸込口(図示せず)が形成されている。
ダクト部41内には、公知水冷除湿機構が設けられている。例えば、乾燥行程において、ドラム3を正逆方向に回転させながら、乾燥ユニット38を運転することで、外槽2内の空気を送風ダクト40内に吸い出し、この送風ダクト40内を通過するときに水冷除湿機構(図示せず)に給水電磁弁21より給水管(図示せず)を介して冷却水を供給し、冷却除湿する。そして、除湿された空気は、乾燥ユニット38のヒータによって加熱され、ドラム3内の洗濯物に向けて吹き付けられる。なお、乾燥手段としては、ヒータと水冷除湿機構(図示せず)を組み合わせた構成に限定されず、ヒートポンプ等を用いてもよい。
制御装置100(運転制御手段)は、モータM及び給水ユニット15を制御して洗い運転を実行可能にすると共に、電導度センサ4が検出した外槽2内の液体の電導度から電導度の算出、液体内に含有している柔軟仕上剤の有無の判定、脱水工程の短縮の判定、すすぎ工程の短縮の判定等を行う装置である。制御装置100は、マイクロコンピュータ、駆動回路、操作スイッチ8a,8bや電導度センサ4や各種センサからの入力回路等で構成される。マイクロコンピュータは、使用者の操作や、洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータは、駆動回路を介して、モータM、給水電磁弁21、排水弁53、送風ファン39等に接続され、これらの開閉、回転、通電を制御する。また、使用者にドラム式洗濯機Sに関する情報を知らせるために、表示器22やブザー等を制御する。
図3に示すように、モータMは、ドラム3を回転駆動させる装置であり、外槽2の底面の外側中央に設置されている。モータMの回転軸は、外槽2を貫通し、ドラム3に結合されている。モータMは、その回転を検出するホール素子あるいはフォトインタラプタなどで構成される回転検出装置70と、モータMに流れる電流を検出するモータ電流検出装置72とを備えている。
給水ユニット15(給水手段)は、外槽2の外部に設けられた給水口2aに水を供給して、外槽2内に給水するための装置である。給水ユニット15は、上面パネル18の背面側に設けられている。
給水ユニット15には、給水ホース(図示せず)、給水ホース接続口18fと、給水電磁弁21と、風呂水給水ポンプ7と、前記吸水ホース接続口18gと、前記水位センサ58と、前記チューブ57とが設置されている。
給水ホース(図示せず)は、水道水を洗剤、柔軟仕上剤等が投入される洗剤投入部20に給水するためのホースであり、給水ホース接続口18fに接続されている。
給水ホース接続口18fは、一端が水道水の水栓に取り付けられたホース(図示せず)の他端が接続される接続部分である。
給水電磁弁21は、洗剤投入部20の粉末洗剤投入室26a及び液体洗剤投入室26bに連通する給水管P1と、柔軟仕上剤投入室26cに連通する給水管P2とに、水道水を注水する弁体の開閉制御を電磁力で行うバルブである。粉末洗剤投入室26a、液体洗剤投入室26b及び柔軟仕上剤投入室26c内に供給された水道水は、洗剤類、柔軟仕上剤と共に洗剤送出管P3、給水口2aを介して外槽2内に注水される。
風呂水給水ポンプ7は、風呂の残り湯を吸引して取り込んで、外槽2内に注水するポンプである。
吸水ホース接続口18gは、風呂水を給水するためのホースが接続される接続部分であり、前記風呂水給水ポンプ7に連通している。
ドラム3は、外槽2内に、回転軸を中心に回転可能に支持され、洗濯物が収容される内槽であり、前端が開口された有底円筒状(ドラム形状)に形成された洗濯槽(洗濯槽兼乾燥槽)である。ドラム3の前側端面には、洗濯物を出し入れするための開口部3aが形成されており、この開口部3aの半径方向外側には、ドラム3と一体の流体バランサ(図示せず)が設けられている。ドラム3は、底面中心に図示しない回転軸を介在してモータMに連結されて、そのモータMによって回転されるようになっている。
ドラム3は、有底円筒状の容器であり、モータMの回転軸に回転可能に軸支されている。そして、ドラム3の外周壁3cには、通水及び通風のための複数の貫通孔3bが形成されている。なお、ドラム3の回転中心軸は、水平または開口部3a側が高くなるように傾斜している。
外槽2は、洗い及びすすぎの際に、使用する水が内部に注がれて一時的に貯溜されるドラム形の水槽であり、筐体1内に防振支持されている。外槽2は、衣類投入口2s側が開口された有底円筒体からなり、それぞれ後記する給水口2a、外周壁2c、底壁60、背面61、溝62、窪み部63、リブ64、電導度センサ4、排水口51等を備えている。
外槽2の後部底面には、一端側内にドラム3が回転自在に軸支され、他端側にモータMの回転軸が軸支されている。外槽2の内側には、前記回転軸を後部底面に固定したドラム3が、その回転軸を軸支することで、回転可能な状態に収納されている。その外槽2は、前面部が、ゴム製のベローズ24によって筐体1の前側内壁に弾性的に支持され、下面部が、ベース17に固定されたダンパ5により弾性的に防振支持され、さらに、上面部が、上部連結補強部36に取り付けた補助ばね(図示せず)で筐体1の天井面に弾性的に吊り下げられて、外槽2の前後方向へ倒れを防いでいる。
外槽2の後側の上部左側には、外槽2内へ水、洗剤、漂白剤、柔軟仕上剤等を含む液体を供給するための給水口2a(供給口)が設けられている。筐体1内の上部左側には給水ユニット15が設けられており、給水口2aと給水ユニット15の出水口30とは、ゴム製の蛇腹管P4で接続されている。
外槽2の後側の最下部には排水口51が設けられており、排水口51にはホース51が接続されている。ホース51は、排水弁53と接続された循環ポンプ54を介して排水ホース55に繋がっており、排水ホース55から機外へ洗濯水を排水することができる。外槽2の後部端面の最下部にはエアトラップ56が設けてあり、チューブ57で水位センサ58と接続し、外槽2内の水位を検出する。
前記したように、外槽2は、外周壁2cと底壁60とを有する。外周壁2cと底壁60は曲面で接続されている。外槽2の底壁60の背面61(内面)には、水、洗剤、漂白剤等を含む液体を給水口2aから底壁60と外周壁2cに沿って外槽2の下方部分へ導くための給水経路65(溝62)が形成されている。給水経路65は、外槽2内の上部に供給された水を、前記曲面を通って外槽2の内底部66に形成された窪み部63に流れるようにガイドする経路である。
外槽2の外周壁2cの鉛直下方の内底部66には、略凹状の窪み部63が軸方向に延在するように設けられている。窪み部63の底面63aは、平面視して矩形に形成され、全体が排水口51へ傾斜している。窪み部63の底面63aの後側は、正面視して、左後側に、電導度センサ4を有し、右側に、前記排水口51が設けられている。
窪み部63は、脱水時にドラム3の回転による遠心力で、ドラム3の貫通孔3bから外槽2の外周壁2cの内面に出て、ドラム3の回転方向と同一方向に流れる水を受け止め、排水口51へ導く機能を果たす。窪み部63は、正面視して右側上端部全体に、左側方向へ水平に突出した板状のリブ64が突設されている。そのリブ64を有する窪み部63は、前記したドラム3の回転方向(反時計回り方向)と同一方向に流れる水を受け止めて排水口51へ導く窪み部63の機能をさらに確実にしている。
窪み部63は、外槽2内の外周壁2cの内底部61の中央部に、前後方向に向けて形成された正面視して略凹部溝形状の部位であり、前記溝62の下端部62aの下方に形成されている。窪み部63には、電導度センサ4、前記リブ64、及び前記排水口51が設けられている。
溝62から落下した液体は、電導度センサ4に落下した後、排水口51側に流れ、液体が電導度センサ4上に残らないようになっている。しかも、電導度センサ4は、給水口2aから供給された水が最初に触れる位置に設けられている。したがって、水道水が給水された場合、正しく測定することができる。洗剤や柔軟仕上剤が供給された場合も、水の中に洗剤や柔軟仕上剤が含まれていることを検知することができる。また、電導度センサ4は、窪み部63の内部に配置されているので、洗剤や衣類から出た汚れが溶かされた水の電導度を検出することができるようになっている。
外槽2がドラム3とともに傾斜して配置されるため、窪み部63内の液体が排水口51へ流れ出るようになっている。
また、窪み部63の底面63aには、循環吐出口(図示せず)が形成されており、循環ポンプ54を動作させることにより、排水口51から吸い込んだ水を循環吐出口(図示せず)から吐出させることができるようになっている。なお、循環吐出口(図示せず)は、窪み部63の前側に形成されており、循環吐出口(図示せず)から吐出された水は、前側から後方向に沿って窪み部63を流れ、排水口51へと向かうようになっている。また、循環吐出口(図示せず)は、リブ64で覆われた位置に配置されており、循環吐出口(図示せず)から吐出した水がドラム3に直接当たらないようになっている。
循環ポンプ54は、ケーシング67と、糸屑フィルタ68と、ポンプ(図示せず)と、排水弁53と、を備えて構成され、ベース17に固定されている。ポンプ(図示せず)は、駆動用のモータ、このモータで駆動されるランナー、このモータの回転軸を支持しケーシング67と接続するためのカバーで構成されている。
糸屑フィルタ68は、ケーシング67に着脱可能に収容され、ケーシング内の液体に混ざった糸屑や異物を捕集し、ポンプ(図示せず)に糸屑や異物が流出しないように構成されている。これにより、モータによって回転しているランナーに糸屑や異物が絡まり、ランナーやモータが破損することを防止している。
ケーシング67はホース53を介して外槽2と接続され、ケーシング67内に外槽2内の液体を取り込む。ケーシング67とポンプ(図示せず)はケーシング67の略右側に配置され、連通穴で接続されている。ケーシング67の略右上部には2つの吐出し口(図示せず)が設けられている。ポンプ(図示せず)を回転駆動することで、窪み部63の循環吐出口(図示せず)から吐出させる循環経路と、循環ホース69を介し外槽2の開口部に設けられた吐出口(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる循環経路と、にケーシング67内の液体を吐き出す。また、ケーシング67には温度センサT1が設けられ、ケーシング67内の液体の温度を検出できるようになっている。
電導度センサ4は、洗濯に使用される液体の電導度を検出する電気伝導度センサ(硬度センサ,汚れセンサ,洗剤種類判定センサ)であり、外槽2の内底部66の底壁60寄りの位置に配置されている。
図9は、電導度検出手段を示す図であり、(a)は電極の斜視図、(b)は中央部縦断面図である。
図9(b)に示すように、電導度センサ4は、洗濯前の水道水、洗濯(洗い、すすぎ、脱水)時の洗濯水の電導度の検出するセンサであり、合成樹脂製のセンサベース71、一対の電極72A,72Bを備えて構成されている。また、電導度センサ4は、非導電
性の樹脂製のセンサベース71と導線性金属製の電極72A,72Bとがインサート成型により一体に構成されている。
センサベース71は、電極72A,72Bが支持される電極支持部71a、この電極支持部71aを外槽2に固定するための固定部71bを有している。
電極支持部71aは、円筒部71c1と、この円筒部71c1の上部を覆う上面部71c2(上面)とを有し、この上面部71c2に帯状に傾斜して延びる溝部71dが形成されている。なお、溝部71dは、円筒部71c1を正面視して凹部状に斜めに切欠形成して傾斜した流水路4aを形成している。
また、溝部71dの側壁4b,4bには、電極72A,72Bが前記側壁4b,4bの側面に面一の状態に露出して互いに対向して配置されている。また、溝部71dの底面71d4の中央には、リブ71eが電極72A,72Bに沿って形成されている。
固定部71bは、センサベース71の底面を構成する部材であり、電極支持部71aの下端部から略三角板形状の取付部71fを有している。取付部71fは、電極支持部71aに対して外側方に向けて突出して形成され、取付部71fの3つの角部には、ねじ挿通孔71f1が形成されている。
取付部71fには、ねじ挿通孔71f1と電極支持部71aとの間に、電極支持部71aを取り囲むようにして形成された環状部71gが上方に突出して形成されている。環状部71gの上端部71g1は、上下方向(高さ方向)において、電極支持部71aの鉛直方向(高さ方向)の略中間部まで延びて形成されている。
センサベース71の電極支持部71aは、底側が開放しており、電極支持部71aに設けられた電極72A,72Bの一部が円筒部71c1内において下方に向けて突出している。
図9(a)に示すように、電極72A,72Bは、いずれも同一の平板形状であり、前記溝部71d内に突出する検出部72a、電極支持部71aに固定される樹脂固定部72、検出用のコネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部72cを有している。このように、電極72A,72Bを平板形状とすることにより、電極面積を棒状の電極に比べて広く確保することができ、安定した電導度の検知が可能になる。
検出部72aは、略矩形状に形成され、樹脂固定部72bやコネクタ接続部72cよりも表面積が大きくなるように形成されている。また、検出部72aは、その長さLが溝部71dの長さLmよりも短く形成されている。また、検出部72aの上端縁部72a1は、円弧状に形成されている。このように上端縁部72a1が、円弧状に形成されることにより、角部を無くすことで糸屑などのゴミの引っ掛かりを防止することができる。
樹脂固定部72bは、検出部72aと同じ幅の第1固定部72b1と、検出部72aよりも幅狭の第2固定部72b2とを有している。
第1固定部72b1は、略T字状の貫通孔72b3を有している。第2固定部72b2は、両端縁部が第1固定部72b1からコネクタ接続部72cにかけて先細り形状となるテーパ部72b4を有している。
図9(b)に示すように、電極支持部72Aの裏側(溝部71dが形成される面とは反対側の面)には、溝部71dの側壁4b,4bに対応する位置において、下方へ突出する突条部71hが形成されている。この突条部71hには、前記貫通孔71b3が位置するようになっている。
これにより、インサート成型時の樹脂が貫通孔72b3を介して繋がることで、電極72A,72Bがセンサベース71に対して強固に支持される。また、貫通孔72b3の面積を実施形態のように大きく確保することにより、電極72A(72B)がセンサベース71に対してより強固に支持される。
電導度センサ4は、窪みの左側に配置される。このとき、電導度センサ4の溝部71dは、外槽2の外周壁2cに沿ってほぼ連続した面となるように構成されている。これにより、例えば、洗濯運転時の脱水工程において、ドラム3の貫通孔3bから外槽2に排出されたすすぎ水の一部や、給水経路65から流れ落ちた液体が溝部71d(電導度センサ4の流水露4a)を通過しやすくなる。また、溝部71dの左右の側壁4b,4bは、それぞれ僅かに窪んだ凹み部(図示せず)を有し、この凹み部に電極72A,72Bがそれぞれ嵌まるようにして配置されている。このため、電極72A,72Bは、側壁4b,4bにおいて、表面のみを露出して、側壁4b、4bにそれぞれ略面一の状態に設けられているので、糸屑等が引っ掛かることがない。
外槽2の外周壁2c、電導度センサ4の溝部71dの底面71d4は、窪みの底面部に対して大きく傾斜している。この底面71d4の傾斜角度は、例えば6度に設定されている。電導度センサ4の溝部71dの底面71d4が、このような傾斜角度に設定されることで、水が電導度センサ4上に停滞して電極72A,72Bが腐蝕するのを防止することができる。
制御装置100は、マイコン110を中心に構成される。マイコン110は、運転パターンデータベース111と、工程制御部112と、回転速度算出部113と、衣類重量算出部114と、電導度測定部115と、水温判定部116と、硬度判定部117と、洗剤種類判定部118と、汚れ濃度判定部119と、水温・硬度影響算出部120と、洗剤種類・汚れ濃度影響算出部121と、洗い時間決定部122と、を備えている。
操作スイッチ12,13は、使用者により運転コースを入力することができるようになっており、入力された信号をマイコン110に出力するようになっている。
水位センサ58は、外槽2の内部に貯留された水の水位を検出することができるようになっており、検出された信号をマイコン110に出力するようになっている。
温度センサT1は、循環ポンプ54の下部(例えば、ケーシング67)に設けられ、外槽2と循環ポンプ54の内部を循環する水の温度を検出することができるようになっている。また、外槽2から連続的に排水される水の温度を検出することもできる。温度センサT1は、循環ポンプ54以外に設けてもよい(例えば、外槽2の下部)。温度センサT2は、送風ファン39の吸気側に設けられ、外槽2から送風ファン39に吸気される空気の温度を検出することができるようになっている。温度センサT3は、送風ファン39の排気側かつヒータ(図示せず)よりも下流側に設けられ、送風ファン39からドラム3内に吹き出される空気の温度を検出することができるようになっている。なお、温度センサT1〜T3で検出された信号は、マイコン110に出力されるようになっている。
加速度センサ71は、外槽2に取り付けられ、外槽2(ドラム3)の振動を検知するようになっている。加速度センサで検知された信号は、マイコン110に出力されるようになっている。
回転検出装置70は、例えばレゾルバで構成され、モータMの回転を検出することができるようになっており、検出された信号は、マイコン110に出力されるようになっている。
モータ電流検出装置72は、モータMの電流値を検出することができるようになっており、検出された信号は、マイコン110に出力されるようになっている。
電導度センサ4は、外槽2の内部に貯留された水の電導度を検出することができるようになっており、検出された信号は、マイコン110に出力されるようになっている。
マイコン110は、操作スイッチ12,13から入力された運転コースにあった運転パターンを運転パターンデータベース111から呼び出し、洗濯または/及び乾燥を開始する機能を有する。工程制御部112は、運転パターンデータベース111から呼び出された運転パターンに基づき、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程の各工程を運転制御する機能を有する。
各工程では、工程制御部112は、表示器22、給水ユニット15、給水電磁弁21、排水弁53を制御する機能を有する。また、工程制御部112は、モータ駆動回路130を介してモータMを駆動制御し、ヒータスイッチ131のON/OFFを制御することによりヒータ(図示せず)への通電を制御し、ファン駆動回路132を介して送風ファン39を制御し、循環ポンプ駆動回路133を介して循環ポンプ54を駆動制御する機能を有する。
ここで、循環ポンプ54は、排水口51から吸い込んだ水を窪み部63の循環吐出口(図示せず)から吐出させる洗剤溶かし動作と、排水口51から吸い込んだ水を外槽2の開口部に設けられた吐出口(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる循環動作と、を切り替えて行うことができるようになっている。なお、このような動作切替可能な循環ポンプ54の構成は、循環ポンプと切替弁とにより構成されるものであってもよく、例えば、循環ポンプの回転方向を切り替えることにより吐出方向を切り替えることができる構成であってもよい。
回転速度算出部113は、モータMの回転を検出する回転検出装置70からの検出値に基づき、モータMの回転速度を算出する機能を有する。
衣類重量算出部114は、回転速度算出部113で算出された回転速度と、モータ電流検出装置72の検出値に基づいて、ドラム3内の洗濯物の重量を算出する機能を有する。洗濯物の重量が増加することによりドラム3を回転させるための負荷が大きくなり、モータMに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータMのモータ電流と回転速度により洗濯物の重量を算出することができる。
電導度測定部115は、電導度センサ4からの検出値を用いて、外槽2内に給水された水道水や、洗濯水の電導度を測定する機能を有する。
洗剤量・洗い時間決定部116は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、洗剤量および衣類の洗い時間を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
水温測定部117は、温度センサT1が測定した温度に基づいて、外槽2内に給水された水道水や洗濯液の温度を判定する機能を有するである。
硬度判定部118は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、給水された水道水の硬度を判定する機能を有するであり、詳細は後述する。
洗剤種類判定部119は、電導度測定部115が測定した電導度等に基づいて、投入された洗剤の種類を判定する機能を有するであり、詳細は後述する。
汚れ濃度判定部120は、衣類重量算出部114が判定した洗濯物の重量と、電導度測定部115が判定した洗濯水の電導度等に基づいて、洗濯水に溶出した汚れの濃度を判定する機能を有するであり、詳細は後述する。
水温・硬度影響算出部121は、水温測定部116が判定した水温と硬度判定部117が判定した硬度等により、水温・硬度の影響を受けて変化した洗浄力の変化量を判定する機能を有するであり、詳細は後述する。
洗剤・汚れ影響算出部122は、洗剤種類判定部118が判定した洗剤種類と汚れ濃度判定部119が判定した汚れ濃度等により、洗剤種類・汚れ濃度の影響を受けて変化した洗浄力の変化量を判定する機能を有するであり、詳細は後述する。
洗い動作再設定部123は、水温・硬度影響算出部120と洗剤・汚れ影響算出部121が判定した洗浄力の変化量等により、洗い時間やドラム回転時間を決定する機能を有するものであり、詳細は後述する。
次に、図11〜図13を用いて、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機Sの運転工程について説明する。図11は、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)の運転工程を説明する工程図である。
ステップS1において、工程制御部112は、ドラム式洗濯機Sの運転工程のコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は、ドア25を開けて、ドラム3の内部に選択する洗濯物を投入し、ドア25を閉じる。そして、使用者は、操作スイッチ12,13を操作することにより、運転工程のコースを選択し入力する。操作スイッチ8a,8bが操作されることにより、選択された運転工程のコースが工程制御部112に入力される。工程制御部112は、入力された運転工程のコースに基づいて、運転パターンデータベース111から対応する運転パターンを読み込み、ステップS2に進む。なお、以下の説明において、洗濯コース(洗い〜すすぎ2回〜脱水)が選択されたものとして説明する。
ステップS2において、工程制御部112は、ドラム3に投入された洗濯物の重量(布量)を検出する工程を実行する(布量センシング)。具体的には、工程制御部112は、モータMを駆動してドラム3を回転させるとともに、衣類重量算出部114が注水前の洗濯物の重量(布量)を算出する。
ステップS3において、工程制御部112は、洗剤量・運転時間を算出する工程を実行する(洗剤量運転時間算出)。例えば、洗剤量・洗い時間決定部116は、ステップS2で検出した布量、水の電導度(硬度)、水の温度に基づいて、マップ検索により、投入する洗剤量と運転時間を決定する。そして、工程制御部112は、決定された洗剤量・運転時間を表示器22に表示する。なお、水の電導度(硬度)、水の温度は、前回運転時の水の電導度(硬度)および水温をマイコン110の記憶部(図示せず)に記憶しておき、それを用いる。
ステップS4において、工程制御部112は、洗剤投入待ち工程を実行する(洗剤投入待ち工程)。例えば、工程制御部112は、所定時間待機して、ステップS5に進む。また、工程制御部112は、洗剤投入部7の開閉を検知する手段(図示せず)により、洗剤投入部20が開けられた後に閉じられた場合、洗剤が投入されたものとして、ステップS5に進む構成であってもよい。
ステップS5において、工程制御部112は、給水1(硬度測定)工程を実行する。例えば、給水電磁弁21を開弁して、洗剤トレイ26を経由せずに外槽2の給水口29に直接給水する。所定の水位に到達したら、給水電磁弁21を閉弁する。
電導度測定部115は、電導度センサ4、温度センサT1を動作させて、水道水の水温と電導度を測定して水の硬度を算出する。ここで測定した水温と水の硬度は洗剤量・洗い時間決定部116に記憶され、次回の洗剤量、洗い時間の決定に利用する。
ステップS6において、工程制御部112は、給水2(洗剤供給)工程を実行する。例えば、給水電磁弁21を開弁して、洗剤トレイ26を経由し、外槽2に沿って洗剤と水を供給する。所定の水位に到達したら、給水電磁弁21を閉弁する。このとき、水位はドラム3内に水面が現われない高さにすると衣類から汚れが溶出するのを抑制でき、望ましい。
ステップS7において、工程制御部112は、洗剤溶かし1工程を実行する(洗剤溶かし動作)。具体的には、工程制御部112は、循環ポンプ54を制御して、排水口51から吸い込んだ水と洗剤を、窪み部63の循環吐出口(図示せず)から吐出させる。循環吐出口(図示せず)から吐出された水と洗剤は、窪み部63を流れ、排水口51へと向かい、循環するようになっている。これにより、水と洗剤が攪拌され、洗剤が水に溶かされるようになっている。所定時間(例えば、10秒)が経過すると、工程制御部112は、循環ポンプ54を停止させる。
ステップS8において、洗剤種類判定部119は、洗剤種類判定を実行する(洗剤種類判定)。なお、この洗剤種類判定については、図12を用いて説明する。
ステップS200において、電導度測定部115は、洗剤溶かし動作(S7)で生成された洗剤濃度の高い洗濯液の水温tと電導度ECを計測する。なお、電導度ECを計測する際は、給水電磁弁21による外槽2への給水、循環ポンプ54による循環、モータMによるドラム3の回転は停止されていることが望ましい。
ステップS201において、洗剤種類判定部119は、ステップS200計測された電導度ECが第1閾値電導度EC1より小さいか否かを判定する。なお、第1閾値電導度EC1は、ステップS5(図11参照)で検出した洗剤投入前の水の温度および電導度(硬度)に基づいて設定される。電導度ECが第1閾値電導度EC1より小さい場合(S201・Yes)、洗剤種類判定部119の処理は、ステップS203に進む。一方、電導度ECが第1閾値電導度EC1より小さくない場合(S201・No)、洗剤種類判定部119の処理は、ステップS202に進む。
ステップS202において、洗剤種類判定部119は、ステップS200で計測された電導度ECが第2閾値電導度EC2より小さいか否かを判定する。なお、第2閾値電導度EC2は、ステップS5(図11参照)で検出した洗剤投入前の水の温度および電導度(硬度)に基づいて設定される。電導度ECが第2閾値電導度EC2より小さい場合(S202・Yes)、洗剤状態判定部119の処理は、ステップS204に進む。一方、電導度ECが第2閾値電導度EC2より小さくない場合(S202・No)、洗剤種類判定部119の処理は、ステップS205に進む。
ステップS203において、洗剤種類判定部119は、液体洗剤(濃縮)と判定し、それに合わせて電導度センサ4の特性を切り替える。洗剤種類判定部119の処理は、ステップS207に進む。
ステップS204において、洗剤種類判定部119は、液体洗剤と判定し、それに合わせて電導度センサ4の特性を切り替える。洗剤種類判定部119の処理は、ステップS208に進む。
ステップS205において、洗剤種類判定部119は、粉末洗剤と判定し、それに合わせて電導度センサ4の特性を切り替える。洗剤種類判定部119の処理は、ステップS209に進む。
ステップS203〜S205において、洗剤種類判定部119が判定した洗剤種類に合わせて電導度センサ4の特性を切り換える。例えば、電導度センサ4の発振回路80の構成部品であるコンデンサを、違う静電容量のコンデンサに接続を切り替えることで、発振回路80の周波数が変化する。そのため、電導度センサ80の読み取れる電導度の範囲も変化する。粉末洗剤は電導度が高い傾向にあるため、コンデンサの静電容量を大きくすることで、電気抵抗が低い領域で高い周波数になり、検知が容易になる。液体洗剤(濃縮)は電導度が低い傾向にあるため、コンデンサの静電容量を小さくすることで、電気抵抗が高い領域で高い周波数になり、検知が容易になる。液体洗剤は電導度が粉末洗剤、液体洗剤(濃縮)の中間にある傾向にあるため、コンデンサの静電容量を前記容量の中間にすることで、検知が容易になる。よって、例えば、電導度センサ4が粉末洗剤の電導度を検知するための特性のままだと、電導度の異なるその他の種類の洗剤を使用した際の汚れ検知が、困難になる場合がある。電導度センサ4の特性を切り替えることより、洗剤種類に応じて、最適な測定結果が得られ、電導度センサ4を複数設置する必要がなくなる。
ステップS206において、洗剤種類判定部119は、ステップS200で計測した水温tが所定の閾値温度tcより大きいか否かを判定する。水温tが閾値温度tcより大きい場合(S206・Yes)、洗剤種類判定部119の処理は、ステップS209に進む。一方、水温tが閾値温度tcより大きくない場合(S206・No)、洗剤種類判定部119の処理は、ステップS210に進む。
ステップS207〜S210において、洗剤種類判定部119は、追加の洗剤溶かし時間を判定する。
ステップS207〜S208において、洗剤種類判定部119は、追加の洗剤溶かし動作を行わないで(追加溶かし動作なし)、ステップS9の洗剤溶かし2工程を終了し、ステップS10の汚れ判定基準値測定工程(図11参照)に進む。
ステップS209において、洗剤種類判定部119は、所定時間T1(例えば、15秒)で追加の洗剤溶かし動作を行って(追加溶かし動作(T1))、ステップS9の洗剤溶かし2工程を終了し、ステップS10の汚れ判定基準値測定工程(図11参照)に進む。
ステップS210において、洗剤種類判定部119は、所定時間T2(例えば、45秒)で追加の洗剤溶かし動作を行って(追加溶かし動作(T2))、ステップS9の洗剤溶かし2工程を終了し、ステップS10の汚れ判定基準値測定工程(図11参照)に進む。なお、所定時間T2は、所定時間T1よりも長い時間が設定されている。
ステップS9において、工程制御部112は、洗剤溶かし2工程を実行する。具体的には、工程制御部112は、循環ポンプ54を制御して、排水口51から吸い込んだ水と洗剤を、窪み部63の循環吐出口(図示せず)から吐出させる。循環吐出口(図示せず)から吐出された水と洗剤は、窪み部63を流れ、排水口51へと向かい、循環するようになっている。これにより、水と洗剤が攪拌され、洗剤が水に溶かされるようになっている。ステップS207〜S210で決定した追加の溶かし時間が経過すると、工程制御部112は、循環ポンプ54を停止させ、洗剤溶かし2工程を終了し、ステップ11に進む。
ステップS10において、汚れ濃度判定部120は、ステップS203、ステップS204、ステップS205において判定された洗剤種類に応じて、汚れ濃度判定のための基準値を計算する(汚れ判定基準値測定)。この計算は、汚れが溶け出す前のステップS200で計測された電導度に基づき、衣類重量算出部114により算出される衣類重量に対応したテーブルより給水量を判定し、洗剤液がどれだけ薄まるか求める。これにより、汚れ濃度判定に必要な、汚れていない洗濯液の電導度を基準に取り、汚れ濃度判定部120の精度を高めることができる。
すすぎ運転が1回でもよい濃縮タイプの液体洗剤は、すすぎ運転が2回の液体洗剤と比較して、電導度が小さくなっているため、汚れ濃度判定部120での判定結果より、すすぎ回数を変更しても良い。
ステップS11において、工程制御部112は、回転給水工程を実行する。具体的には、給水電磁弁21を開弁して、外槽2内の洗濯液の水位を上昇させるとともに、モータMを制御してドラム3を所定の回転速度(例えば、40rpm)で正逆方向に回転させ、衣類の入れ替えを行う。また、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、2600rpm)となるように制御して、排水口51から吸い込んだ洗剤濃度の高い洗濯液を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させることにより、ドラム3の内部の衣類に染み込ませる。
そして、外槽2内の洗濯液の水位が、所定の水位まで上昇すると、給水を停止させる(例えば、給水電磁弁21を閉弁する)。回転給水工程を開始して所定時間が経過すると回転給水工程を終了し、ステップS12に進む。
ステップS12において、工程制御部112は、押し洗い工程を実行する(第1の撹拌工程)。なお、押し洗い工程とは、洗剤溶かし工程で生成された洗剤濃度の高い洗濯液を衣類に浸み込ませる工程である。洗剤濃度の高い洗濯液を衣類に浸み込ませ、さらに遠心脱水効果によって衣類に付着した汚れを洗濯液と共に衣類から押し出すことで、洗浄力が向上する。具体的には、工程制御部112は、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、3200rpm、循環流量48L/min)となるように制御して、排水口51から吸い込んだ洗濯液を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる。また、モータMを制御してドラム3を所定の回転速度(例えば、100rpm)で回転させることにより、衣類に対する遠心力が重力より勝って、ドラム3の内部の衣類をドラム3の内周壁面に張り付け、衣類に含まれている洗濯液は、衣類に付着した汚れを伴って、ドラム3の貫通穴3bを通って外槽2に押し出される。つまり、押し洗い工程では、衣類に対して洗濯液の浸透と脱水を連続的に繰り返し、衣類に含まれる洗濯液の入れ替えを促進している。本実施形態の押し洗いでは、ドラム3を正方向に回転させているが、逆方向または正逆両方向に回転させてもよい。所定の時間(例えば、3分間)が経過すると、工程制御部112は、押し洗い工程を終了し、ステップS13に進む。
ステップS13において、工程制御部112は、補給水工程を実行する。具体的には、給水電磁弁21を開弁して外槽2に給水する。所定の水位まで給水すると、給水電磁弁21を閉弁して給水を停止させ、補給水工程を終了し、ステップS14に進む。
ステップS14において、工程制御部112は、たたき洗い工程1を実行する。たたき洗い工程とは、ドラム3の回転によりドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げて、衣類に対する遠心力よりも重力が勝ることで、衣類をドラム3内の上方から落下させることにより、衣類に機械的な力を与える工程である。
具体的には、工程制御部112は、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、3200rpm、循環流量48L/min)となるように制御して、排水口51から吸い込んだ洗濯液を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる。また、工程制御部112は、モータMを制御してドラム3を所定の回転速度(例えば、40rpm)で正逆方向に回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。所定の時間(例えば、5分間)が経過すると、工程制御部112は、たたき洗い工程1を終了し、ステップS15に進む。
ステップS15において、汚れ濃度判定部120は、衣類の汚れ濃度を判定する(汚れ濃度判定)。具体的には、電導度測定部115は、洗濯液の電導度を、電導度センサ4により計測する。なお、電導度ECを計測する際は、給水電磁弁21による外槽2への給水、循環ポンプ54による循環、モータMによるドラム3の回転は停止されていることが望ましい。
ステップS15における洗濯液は、ステップS12,S14によって汚れが洗濯液に溶出している。つまり、ステップS10で算出した基準値とステップ15で計測した洗濯液の電導度の変化量(汚れ判定値)は汚れによって変化した値であり、衣類の汚れ具合を検出することが可能になる。なお、衣類に含まれる汚れ成分により汚れの変化量はプラスに変化する場合や、マイナスに変化する場合があるため、汚れの変化量を絶対値で判断してもよい。
汚れ判定値は、衣類の汚れ具合が均一である場合、衣類の量が多いほど汚れ判定値は大きくなる。汚れ濃度判定部120は、汚れ判定値と衣類重量算出部114により算出された衣類重量より、実験的に求めた関係式から汚れ濃度を計算する。汚れ濃度が計算されたら、工程制御部112は、汚れ濃度判定工程を終了し、ステップ16に進む。
ステップ16において、洗い動作再設定部123は、洗い動作再設定工程を実行する(洗い動作再設定)。洗い動作再設定は、汚れ量(汚れ濃度),水質(水温,硬度),洗剤種類などの運転中に判定した情報が洗浄性能へ与える影響度を洗浄力の変化量で判定し、洗浄力の変化量で応じて洗い時間やドラム回転時間を決定する。本発明の実施形態に係る洗浄力は、洗浄比を用いる。ちなみに、洗浄比とは、供試洗濯機の洗浄度と標準洗濯機の洗浄度の比であり、日本工業規格『家庭用電気洗濯機の性能測定方法(JISC9811)』に規定されている。つまり、洗浄比が高いほど、洗浄性能が高くなる。本実施例では洗浄力の指標として洗浄比を用いるが、これに限るものではない。例えば、衣類の色相を測るセンサ等を備え、洗い運転中の色相変化量等を用いても良い。
洗浄力への影響度は、2つの情報から洗浄比の変化量を算出し、最終的に全ての情報から洗浄比の変化量を求める。例えば、水温・硬度影響算出部121は、ステップS5で計測した水温と硬度を、実験的に求めた関係式(水質と洗浄比の関係式)に代入して洗浄比を求める。また、十分に汚れが落ちる条件(例えば、水温25℃,硬度30ppm)を水質と洗浄比の関係式に代入して得られた洗浄比を基準とし、その相対値は水温・硬度の影響を受けた洗浄比の変化量になる。
洗剤・汚れ影響算出部122は、ステップ15で算出した汚れ濃度を、実験的に求めた関係式(汚れ濃度と洗浄比の関係式)に代入して洗浄比を求める。ここで、汚れ濃度と洗浄比の関係式は洗剤種類ごとに異なる。洗剤・汚れ影響算出部122は、ステップS8で判定した洗剤種類に応じて汚れ濃度と洗浄比の関係式を選択する。また、十分に汚れが落ちる条件(例えば、汚れ濃度1倍)を汚れ濃度と洗浄比の関係式に代入して得られた洗浄比を基準とし、その相対値は洗剤種類・汚れ濃度の影響を受けた洗浄比の変化量になる。
全ての情報による洗浄比の変化量は、水温・硬度影響算出部121と洗剤・汚れ影響算出部122で求めた洗浄比の変化量の合計(洗浄力の変化量)となる。
洗い動作再設定部123は、洗浄力の変化量を、実験的に求めた関係式(洗い時間と洗浄比の関係式)に代入し、追加の洗い時間(Tw)を決定する。算出された追加の洗い時間(Tw)が所定の設定時間を超える場合、追加の洗い時間(Tw)は所定の設定時間に置換される。これにより、長時間の洗濯液浸漬による衣類の黒ずみを抑制できる。追加の洗い時間(Tw)が短縮された分の洗浄力を補うために、ドラム回転時間を延長して稼働率を上げる。たたき洗いによる機械力増加により洗浄力を向上させる。
ステップS17において、工程制御部112は、たたき洗い工程2を実行する(第2の撹拌工程)。具体的には、工程制御部112は、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、3200rpm、循環流量48L/min)となるように制御して、排水口51から吸い込んだ洗濯液を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる。また、工程制御部112は、モータMを制御してドラム3を所定の回転速度(例えば、40rpm)で正逆方向に回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。このとき、ドラムはステップS16で決定した時間だけ一方向に回転する。ステップS16で決定した追加の洗い時間(Tw)が経過すると、工程制御部112は、たたき洗い工程2を終了し、ステップS18に進む。
ステップS18において、工程制御部112は、排水工程を実行する。モータMおよび循環ポンプ54を停止させ、排水弁53を開弁して外槽2内の洗濯水を排水する。水位センサ58は、排水中の外槽2内の洗濯水の水位を監視し続ける。水位センサ58の検出値が所定の水位を下回ると、排水工程を終了し、ステップS19に進む。
ステップS19において、工程制御部112は、脱水1工程を実行する。排水弁53の開弁を維持した状態において、ドラム3を逆方向へ高速で回転させて(例えば、1250rpm)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、脱水1工程を終了し、ステップ20に進む。
ステップS20において、工程制御部112は、回転シャワー工程を実行する。ドラム3を逆方向へ中速で回転させつつ(例えば、105rpm)、排水弁53を閉弁し、給水電磁弁21を制御して、衣類に水を散布する。このときの給水電磁弁21の制御時間は、ステップS2で検出した布量に基づいて決定される。所定の時間が経過すると、給水を停止させる(例えば、給水電磁弁21を閉弁する)。また、循環ポンプ54を所定の速度(例えば、3200rpm)となるように制御して、排水口51から吸い込んだ洗濯液を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させる。所定の時間が経過すると循環ポンプ54を停止させ、排水弁53を開弁して外槽2内のすすぎ水を排水する。
ステップS21において、工程制御部112は、脱水2工程を実行する。排水弁53の開弁を維持した状態において、ドラム3を逆方向へ高速で回転させて(例えば、1250rpm)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、脱水2工程を終了し、すすぎ2工程(ステップS22〜ステップS25)に進む。
ステップS22において、工程制御部112は、給水工程を実行する。排水弁53を閉弁し、給水電磁弁21を開弁して、外槽2内にすすぎ水を供給する。所定の水位まで上昇すると、給水を停止させ(例えば、給水電磁弁21を閉弁して)、給水工程を終了し、ステップS23に進む。
ステップS23において、工程制御部112は、仕上げ剤(ソフナー)給水工程を実行する。給水電磁弁21を開弁して、外槽2内に柔軟仕上剤を含んだすすぎ水を供給し、ステップS22で外槽2内に供給されたすすぎ水と柔軟仕上剤を混ぜ合わせる。
ステップS24において、工程制御部112は、回転給水・補給水工程を実行する。給水電磁弁21を開弁して、外槽2に給水する。所定の水位まで給水すると、給水を停止させる(例えば、給水電磁弁21を閉弁する)。また、給水しつつモータMを制御してドラム3を正逆方向に回転させ(例えば、40rpm)、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、2600rpm)となるように制御して、排水口51から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させて、衣類に柔軟仕上剤を染み込ませる。
ステップS25において、工程制御部112は、すすぎ攪拌工程を実行する。すすぎ攪拌工程とは、たたき洗いと同様に、ドラム3の回転によりドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げて、衣類に対する遠心力よりも重力が勝ることで、衣類をドラム3内の上方から落下させる工程である。
具体的には、工程制御部112は、モータMを制御してドラム3を回転させ(例えば、40rpm)、循環ポンプ54を所定の回転速度(例えば、3200rpm)となるように制御して、排水口51から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル(図示せず)からドラム3の内部に吐出させて、衣類をすすぐ。そして、所定の時間が経過すると、すすぎ攪拌工程を終了し、脱水工程(ステップS26,S27)に進む。
ステップS26において、工程制御部112は、排水工程を実行する。モータMおよび循環ポンプ54を停止させ、排水弁53を開弁して外槽2内のすすぎ水を排水する。水位センサ58は、排水中の外槽2内の洗濯水の水位を監視し続ける。水位センサ58の検出値が所定の水位を下回ると、排水工程を終了し、ステップS27に進む。
ステップS27において、工程制御部112は、脱水工程を実行する。具体的には、排水弁53を開弁させるとともに、モータMを制御してドラム3を高速で回転させ(例えば、1000rpm)、衣類を遠心脱水する。そして、所定の時間が経過すると、モータMを停止させ、排水弁53を閉弁して、洗濯コース(洗い〜すすぎ〜脱水)を終了する。
以上、本実施例によれば、押し洗い(第1の撹拌工程)により、衣類に含まれている洗濯液は、衣類に付着した汚れを伴って、ドラム3の貫通穴3bを通って外槽2に押し出される。たたき洗い(第2の撹拌工程)は衣類が落下しドラム3と衝突した瞬間にのみ洗濯液の入れ替えが発生するのに対し、押し洗い工程では、衣類に対して洗濯液の浸透と脱水を連続的に繰り返すため、衣類に含まれる洗濯液の入れ替えを促進している。つまり、汚れ濃度検知のための運転時間を短縮できる。
また、遠心脱水効果により洗濯液を衣類から押し出しながら、循環ポンプ54によって外槽2内の洗濯液を衣類に循環散布している。循環散布された洗濯液が衣類に供給されるため、汚れが洗濯液に浸透しやすくなり、外槽2内の洗濯液に含まれる汚れ量は増える。汚れ量が多いほど汚れ判定値は大きくなるため、汚れ濃度判定の精度は良くなる。
以上、本実施形態に係る洗濯機として、汚れ濃度の判定手段は電導度センサ4で説明したが、本実施形態に限られるものではなく、洗濯液の状態を検知できるものであれば良い。
また、電導度センサ4(電導度検出手段)は、本実施形態の構成に限られるものではなく、洗剤液の電導度を検知できる構成であればよい。例えば発振回路80のコンデンサの静電容量を変更し、特性を切り替えると説明したが、コンデンサでなく、抵抗やコイルであってもよい。