JP2019041859A - 吸収体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉とが直接接着した複合物が記載されている。該複合物は、親水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂同士の接触を防いで、吸水時のゲルブロッキングを抑え得るとされている。特許文献2には、吸水性ポリマーの脱落を無くし、液との接触効率を高くする観点から、水不溶性吸水性樹脂中に繊維の一部が埋め込まれた複合吸収材が記載されている。
また、特許文献3には、ウイング部を有する吸収性物品の着用感を高める観点から、縦スリットを分散配置した排泄部スリット領域と中央スリット領域とを備える吸収体が記載されている。特許文献4には、パルプ繊維等からなる矩形の吸収部が互いに離間して、伸縮性の基盤シートに配置された吸収体が記載されている。この吸収体では、前記吸収部は、ホットメルト接着剤等からなる固定部を介して基盤シートに接合されている。
しかし、パルプ繊維の減量は吸水性ポリマー材の担持力の低下を招き、該吸水性ポリマー材の脱落の可能性を高める。この脱落は吸収体の吸収性に影響するため好ましくない。
更に吸収体を組み込んだ吸収性物品においては、着用者の動作による体形変化に良好に追従することが求められている(この性能を動作追従性という。)。この点、吸収性物品のなかでも、液漏れの無い高い吸収性と肌面にフィットする着け心地の観点から、吸収体に対して高い動作追従性が重要となる。
上記の「元の長さに対する長さ」は、測定対象のシートに外力を加えずに自然状態で平な台に静置して尺を用いて測定を行う。この元の長さをaとして、1.5aまで測定対象のシートを伸ばし(元の長さに対して50%伸ばし)、伸ばす力を解放した後のシートの長さを測定する。測定は3回行い、その平均値を測定値とする。伸縮性の有無の基準は、上記したように、戻った時の長さが1.25a(125%)以下になっている場合を、伸縮性を有するとする。
それらの中でも、伸縮性基材シート4としては、薄くても引っ張り強度が比較的高く、薄くて柔軟性が付与できる観点から、不織布が好ましく用いられる。不織布においては親水性であることが好ましい。例えば、親水性の繊維を構成繊維として含む親水性不織布、合成繊維に親水性を付与した繊維を構成繊維として含む親水性不織布等が好ましく用いられる。以下、本実施形態においては、伸縮性基材シート4が不織布からなるものとして説明する。
なお、接合基部2に含まれる「熱溶融性の樹脂成分」は、この種の物品において通常の用いられるものとするこができ、該成分に応じて溶融し得る温度が定められる。吸収体10においては、接合基部2に含まれる熱溶融性の樹脂成分が溶融した状態にあり、この溶融によって液吸収性複合材3が伸縮性基材シート4に固着されている。
さらに、液吸収性複合材3の固定性の高さゆえに、液吸収性複合材3を伸縮性基材シート4の平面方向に均一に配置させることができ、吸収体10全体の液吸収性を高めることができる。
{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)
/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100(%) (式1)
この液吸収性複合材3の固定割合の比(b/a)は、85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
吸収体10の中心を幅方向に切断する。切断面を下に向けて、基板(例えば、アクリル板)に吸収体10をテープで固定し、手によって0.5秒間に20cm上下に振る動作を50回繰り返して振とうする。
振とうは、伸縮性基材シート4を非伸長状態にした場合と、元の長さに対して80%伸長状態にした場合(元の長さの180%の長さになる)との2通りで行う。「非伸長状態」とは、前記基板に吸収体を、振とう時に伸長しないように固定した状態をいう。また、「元の長さに対して80%伸長状態」とは、前記基板に吸収体を、80%伸長状態にして固定した状態をいう。この場合の振とうは、前記基板の両端(上下端)を掴んで行う。測定は3回行い、その平均値を測定値とする。
固定割合
={(振とう前の吸水性ポリマー材質量(g)−脱落した吸水性ポリマー材質量(g))/振とう前の吸水性ポリマー材質量(g)}×100 (式2)
上記測定の結果得られる{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100の値を、液吸収性複合材3の変形前後の固定割合とする。
本実施形態の吸収体10において、伸縮性基材シート4は自然状態において縦長形状を有し、吸収体10の外形をなす大きさを有する。伸縮性基材シート4の長手方向Y及び幅方向Xは、吸収体の長手方向及び幅方向に一致する。伸縮性基材シート4の長手方向Yは、吸収体10を組み込んだ吸収性物品を着用したときの着用者の前後方向に一致する。
この伸縮性基材シート4においては、少なくとも長手方向Yに沿う伸縮性を有する。好ましくは長手方向Y及び幅方向Xに沿う伸縮性を有し、より好ましくは長手方向Y及び幅方向X並びにこれらと交差する方向に沿う伸縮性を有する。
例えば、上記のように特開2007−138374号に記載の弾性繊維層と非弾性繊維層との積層体から場合、同文献明細書の段落[0027]に示される、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等からなる非弾性繊維層を、伸縮性基材シート4の表面層とすることが好ましい。非弾性繊維が芯鞘型の複合繊維である場合、芯がポリエステルやポリプレピレンの樹脂成分、鞘が低融点ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンの樹脂成分であることが好ましい。また、弾性繊維として、オレフィン系エラストマーを用いることが好ましい。オレフィン系エラストマーは、例えば、特開2009−539460号明細書の段落[0042]に記載のものなどが挙げられる。
前記樹脂成分としては、特に制限なく種々のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂等が挙げられる。
このエラストマー成分としては、種々のものと特に制限なく用いることができる。例えば、特開2009−539460号明細書の段落[0042]に記載のものなどが挙げられる。
前記エラストマー成分は、溶融性と伸長性に伴う変形に追従する観点から、樹脂成分中、下記の範囲で含まれることが好ましい。すなわち、前記エラストマー成分は、樹脂成分中、1質量%以上含まれることが好ましく、5質量%以上含まれることがより好ましく、10質量%以上含まれることが更に好ましい。また、前記エラストマー成分は、樹脂成分中、80質量%以下含まれることが好ましく、60質量%以下含まれることがより好ましく、50質量%以下含まれることが更に好ましい。具体的には、1質量%以上80質量%以下含まれることが好ましく、5質量%以上60質量%以下含まれることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下含まれることが更に好ましい。
吸水性ポリマー材1としては、吸収体に用いられるものを特に制限なく種々採用することができる。例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン−ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水性ポリマー材1及び接合基部2の平均粒径は下記の方法により測定される値である。
まず、市販の製品等から分析する場合には、有機溶媒を用いて、接着剤を溶解させ、吸収性ポリマーが固着した不織布を取り出す。次いで、日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、伸縮性基材シート4に固着されている液吸収性複合材3を撮影する(測定する吸水性ポリマー材1又は接合基部2が測定できる倍率に調整、20サンプル測定)。撮影した画像の長軸径を粒径とし、20サンプルの平均値を平均粒径とする。なお、吸水性ポリマー材1と接合基部2の見分け方は、吸水により形状変形を起こすかどうかで判別できる。
吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、例えば、液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比として示すことができる。なお、接合基部2の質量とは、1つの液吸収性複合材3において接合基部2として存在する樹脂成分全体の質量である。したがって、接合基部2が1つの液吸収性複合材3に複数ある場合は、該複数の接合基部2の樹脂成分の合計質量である。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比は、30:1〜2:1であることが好ましく、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい。
(被覆率の測定方法)
液吸収性複合材3における接合基部2の被覆率は、次の方法により測定することができる。
日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、液吸収性複合材3を静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する液吸収性複合材3が測定できる倍率に調整)を印刷し、透明PET製シート上に液吸収性複合材3全体の面積と、接合基部2それぞれの面積をなぞる。前記の画像を二値化処理する。前記二値化した画像を用い、液吸収性複合材3の面積と接合基部2の面積を得る。被覆率(%)=接合基部2の合計面積/液吸収性複合材3の面積×100として算出する。測定は10ヶ所行い、平均して被覆率とする。
また、起毛繊維51は繊維集合部52の繊維よりも可動域が大きいため、液吸収性複合材3の水膨潤時に、起毛繊維51同士の間隔が広がりやすい。そのため、液吸収性複合材3が起毛繊維51に固着されていると、液吸収性複合材3の膨潤する余地が繊維集合部4Aよりも大きくなり好ましい。また、隣接する液吸収性複合材3同士の間隔も広がり、膨潤時のゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が生じ難くなり好ましい。また、肌に触れたときの柔らかさが向上する。
液吸収前及び液吸収後における吸収体の厚みは次の方法により測定することができる。
(1)液吸収前(吸液前)の測定
評価対象の製品から、コールドスプレーを用いてホットメルト接着剤の接着力を弱め、各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収前の吸収体の厚みとする。
(2)液吸収後(吸液後)の測定
評価対象の製品に含まれるすべてのギャザーを切り取るなどの手段で無効化し、フラットな形状にする。十分な量の人工尿(液がなくならない)に表面材側から液面に30分漬ける。表面材を下側にして金網の上に30分静置し、吸収しきれなかった液をきる。製品から各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収後の吸収体の厚みとする。
また、本発明の吸収体は、液吸収性複合体3が伸縮性基材シート4の表面に露出して分散固着されているので、液膨潤を許容する空間を大きく有し、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングが生じ難い。加えて、伸縮性基材シート4が有する伸縮性により、液吸収時に液膨潤を許容する空間が拡張され、ゲルブロッキングが更に抑えられて液吸収性能が向上する。
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練する。次いで、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練する。前記加水により吸水性ポリマー材の表面に粘着性を生じさせ、これにより熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を形成し易くする。そのため、加水は、粘着性を生じさせる程度であればよい。具体的には、吸水性ポリマー材に対する質量比で、水を10倍程度加えることが好ましい。吸水性ポリマー材としては、吸収性物品等に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
次いで、加水し前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、本発明の吸収体に用いられる液吸収性複合材を得る。
なお、上記混練、乾燥、粉砕及び分級には、通常用いられる装置を特に制限なく用いることができる。
伸縮性基材シート4に対して、液吸収性複合材3を散布する。その際、伸縮性基材シートは伸長した状態で行うことが好ましい(図3(A))。これにより、伸縮性基材シート4は、液吸収性複合材3との接触面積を多くとることができ、液吸収性複合材3同士が溶融して塊を形成することを回避することができる。その結果、得られる吸収体10が非伸縮の状態にある場合(図3(B))に、液吸収性複合材3が塊にならず平面方向に並びやすくなり、液吸収時におけるゲルブロッキングの発生をより好適に抑制することができる。また、得られた吸収体10が伸長状態にある場合(図3(C))に、液吸収性複合材3が配されない隙間が少なく抑えられ、より高い液吸収性能を備えるものとなる。しかも伸長状態においても、液吸収性複合材3が塊にならず、液吸収時におけるゲルブロッキングの発生をより好適に抑制することができる。
その後、伸縮性基材シート4と液吸収性複合材3とが接触しやすくなるように、必要により、液吸収性複合材の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
次いで、液吸収性複合材を散布した基材シートに対して加熱処理を行って、接合基部及び基材シートの繊維を溶融一体化させる。ここでの加熱処理は、通常不織布に用いられる方法を特に制限なく採用することができる。その加熱温度は、基材シートの繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい。なお、基材シートが熱溶融しない成分からなる場合は、接合基部の融点に対して上記範囲の加熱温度とすることが好ましい。該加熱処理が熱風処理である場合、熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される。この熱風の風速は、上記の下限以上とすることで、基材シートの繊維及び接合基部への熱伝達し、確実に溶融固着させることができ、固定性が担保できる。一方、上記の上限以下とすることで、繊維へ熱が当たりすぎず、基材シートの風合いが良くなる。
(1)伸縮性基材シートの作製
特開2007−138374号公報明細書の実施例1に記載の、弾性繊維層の両面を非弾性繊維層で覆った伸縮性基材シート(大きさ200mm×75mm)を作製した。
具体的には、弾性繊維層は、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)からなる弾性繊維を用いた坪量40g/m2の繊維層とした。非弾性繊維層は、芯鞘構造の複合繊維(芯:ポリエチレンレテフタレート樹脂成分、鞘:ポリエチレン樹脂成分)を用いた、坪量10g/m2のエアスルー不織布とした。弾性繊維層における弾性繊維の直径は32μmとし、非弾性繊維層における複合繊維の直径は17μmとした。得た不織布の非弾性繊維層の表面にバフィング処理(起毛処理)を施して起毛繊維を形成した。
(2)液吸収性複合材の調製
前述した(液吸収性複合材の製造方法)に基づいて液吸収性複合材を調製した。具体的には、生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ 肌キレイガード ふつうの日用 羽なし 20.5cm、2017年製)の吸収体から取り出した吸水性ポリマー材30gに300gのイオン交換水を加えニーダーで5分間混合しながら均等に膨潤させた。
次いで、接合基部となる熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダー「XM−220」(商品名、三井化学株式会社製)を3.5gと、エラストマー成分SEPS「セプトンS2002」(商品名、株式会社クラレ製)を粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)でパウダー状にしたもの1.5gとを前記ニーダーに投入して更に10分間混合した。その後、電気乾燥機を用いて、105℃にて8時間乾燥を行った。次いで、粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)を用いて粉砕し、電磁ふるいを用いて分級を行い、106μmより小さい粒径、850μmより大きい粒径を除去することで、実施例1の液吸収性複合材を得た。この液吸収性複合材における接合基部の被覆率は、前述した(被覆率の測定方法)に基づいて測定した結果、24%であった。
(3)吸収体試料の作製
前記伸縮性基材シートを長手方向(Y方向)に元の長さに対して80%伸長させ、伸長した状態の伸縮性基材シートの表面(起毛繊維等の表面の繊維)に上述の液吸収性複合材を0.75g均一に散布し、飛散しないように5kgのローラーを1往復させて加圧した。次いで、140℃の熱風を風速1.4m/sで3分間を吹き付ける熱風処理を行い、液吸収性複合材の接合基部及び基材シートの構成繊維の表面成分を溶融一体化させる処理を行った。すなわち、接合基部を介して、液吸収性複合材を基材シートの繊維に固着させる処理を行った。
以上の処理を経て、実施例1の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m2))を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
この吸収体試料S1について電子顕微鏡を用いて確認したところ、液吸収性複合材は基材シートの起毛繊維の表面に接合されていた。また、液吸収性複合材3には、熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダーあるいはエラストマー成分SEPSからなる接合基部が複数、吸水性ポリマー材の表面に形成されていた。以下、実施例2及び3においても同様であった。
(4)生理用ナプキン試料の作製
生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ 肌キレイガード ふつうの日用 羽なし 20.5cm、2017年製)から吸収体を取り除き、その代わりに、吸収体試料を導入し、評価用の生理用ナプキンを作製した。
前記(2)液吸収性複合材の調製において、エラストマー成分を用いず、ポリエチレンパウダーを5.0g投入した以外は実施例1と同様にして、実施例2の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m2))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
前記(2)液吸収性複合材の調製において、ポリエチレンパウダーに代えてポリプロピレンパウダー「SA06A」(商品名、日本ポリプロ株式会社製)を粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)でパウダー状にしたもの5.0gを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m2))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
前記(1)伸縮性基材シートの作製において、伸縮性基材シートとして特開2009−539460号公報明細書の実施例1に記載の坪量30g/m2のVISTAMAXX(商品名、エクソンモービル・ジャパン製)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(30/50g/m2))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.0mmであった。
前記(1)伸縮性基材シートの作製において、伸縮性基材シートに起毛処理を行わない以外は実施例1と同様にして、実施例5の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m2))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
特開2015−42244号公報に記載の吸収体、すなわち吸収性シートを積層してなる吸収体を作製し、比較例1の吸収体試料とした。その際、高吸収性ポリマーが坪量50g/m2になるように調整した。この吸収体試料を用いて実施例1と同様にして、比較例1の生理用ナプキン試料を作製した。比較例1の吸収体試料の厚みは1.5mmであった。
特開2010−268919号公報の実施例に記載の吸収体を作製し、比較例2の吸収体試料とした。この吸収体試料を用いて実施例1と同様にして、比較例2の生理用ナプキン試料を作製した。比較例2の吸収体試料の厚みは1.8mmであった。
1.液吸収性複合材の固定割合の測定
各吸収体試料について、前述した(液吸収性複合材3の固定割合の測定方法)に基づいて、変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)、変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)を測定し、下記(式1)の固定割合を算出した。
{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)
/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100 (式1)
JIS L−1096の「ハンドロメーター」法に則して下記の方法により各吸収体試料の曲げ剛性を測定した。
すなわち、ハンドロメーター「HOM−200」(商品名、大栄科学精機製作所製)を用い、スリット溝が設けられた試験台上に各吸収体試料を乗せ、ブレードにて溝の一定深さまで押し込むときに発生する抵抗力を曲げ剛性として測定した。
上記曲げ剛性の測定では、溝内に吸収体試料を押し込む力に対する抵抗力を測定している。そのため、曲げ剛性は、値が小さいほど、吸収体を含む吸収性物品を着用している着用者の動作によって生じる力に合わせて、吸収体が動きやすいことを示す。すなわち、曲げ剛性の値が小さいほど、着用者が動いたときに吸収体がずれたような違和感が小さくなり、吸収体は、着用者に対する動作追従性に優れ、高評価となる。
各生理用ナプキン試料を水平に置き、該生理用ナプキン試料の上に、直径1cmの注入口のついたアクリル板を重ねて、該注入口から脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)6gを注入した。脱繊維馬血が全て吸収されてから3分間その状態を保持した後、前記アクリル板を取り除き、前記生理用ナプキン試料における表面シートの肌当接面上に、縦7cm、横10cmの矩形形状で坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたもの(2枚重ねのティッシュペーパー5組)を載せた。更にその上に圧力が6.6×103Paになるように重りを載せて2分間加圧した。加圧後、重り及び吸収紙を取り除き、取り除いた吸収紙の重さを測定し、その測定値から、予め求めておいた該吸収紙の使用前(乾燥状態)の重さを差し引いて、吸収紙に吸収された脱繊維馬血量を求めた。この値を液戻り量とした。液戻り量が少ないほど、液吸収性に優れ高評価となる。
2 接合基部
3 液吸収性複合材
4 伸縮性基材シート
5 繊維
10 吸収体
Claims (7)
- 吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、伸縮性基材シートに、前記接合基部を介して固着されている、吸収体。
- 下記(式1)に示す、前記液吸収性複合材の固定割合の比が85%以上である請求項1記載の吸収体。
{変形後の液吸収性複合材の固定割合
/変形前の液吸収性複合材の固定割合}×100 (式1) - 前記接合基部は前記吸水性ポリマー材の表面に直接接合されている請求項1又は2記載の吸収体。
- 前記接合基部が有する樹脂成分にエラストマー成分が含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記伸縮性基材シートは、前記接合基部が有する樹脂成分と同じ樹脂成分を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体を有する吸収性物品。
- 伸長状態の伸縮性基材シートに対して、吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材を固着する工程を有する吸収体の製造方法。
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2017
- 2017-08-30 JP JP2017165742A patent/JP2019041859A/ja active Pending
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