JP2019041859A - 吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者の動作による体形変形に良好に追従する「動作追従性」と液吸収性の向上とを両立し得る吸収体を提供する。【解決手段】吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、伸縮性基材シートに、前記接合基部を介して固着されている、吸収体。【選択図】図1

Description

本発明は、おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる吸収体に関する。
吸収性物品内に配置される吸収体について、吸収性物品の吸収性や装着性を向上させる観点からいくつかの技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉とが直接接着した複合物が記載されている。該複合物は、親水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂同士の接触を防いで、吸水時のゲルブロッキングを抑え得るとされている。特許文献2には、吸水性ポリマーの脱落を無くし、液との接触効率を高くする観点から、水不溶性吸水性樹脂中に繊維の一部が埋め込まれた複合吸収材が記載されている。
また、特許文献3には、ウイング部を有する吸収性物品の着用感を高める観点から、縦スリットを分散配置した排泄部スリット領域と中央スリット領域とを備える吸収体が記載されている。特許文献4には、パルプ繊維等からなる矩形の吸収部が互いに離間して、伸縮性の基盤シートに配置された吸収体が記載されている。この吸収体では、前記吸収部は、ホットメルト接着剤等からなる固定部を介して基盤シートに接合されている。
特開2015−71125号公報 特開昭63−73956号公報 特開2015−42244号公報 特開2010−268919号公報
吸収性物品に用いられる吸収体は、装着感の向上の観点から、更なる薄型化が求められている。そのため、吸収体の吸収性能を吸水性ポリマー材(いわゆるSAPと呼ばれる表面架橋された高分子材料)によって担保し、嵩のあるパルプ繊維の量を極限まで削減することが試みられている。
しかし、パルプ繊維の減量は吸水性ポリマー材の担持力の低下を招き、該吸水性ポリマー材の脱落の可能性を高める。この脱落は吸収体の吸収性に影響するため好ましくない。
更に吸収体を組み込んだ吸収性物品においては、着用者の動作による体形変化に良好に追従することが求められている(この性能を動作追従性という。)。この点、吸収性物品のなかでも、液漏れの無い高い吸収性と肌面にフィットする着け心地の観点から、吸収体に対して高い動作追従性が重要となる。
本発明は、上記の点に鑑み、着用者の動作による体形変形に良好に追従する「動作追従性」と液吸収性の向上とを両立し得る吸収体に関する。
本発明は、吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、伸縮性基材シートに、前記接合基部を介して固着されている、吸収体を提供する。
本発明の吸収体は、着用者の動作による体形変形に良好に追従する「動作追従性」と液吸収性の向上とを両立させることができる。
本発明に係る吸収体の好ましい実施形態を、液吸収前の状態として模式的に示す斜視図であり、符号Pで示す円内の図は液吸収性複合材の繊維への固着状態を模式的に示す部分拡大説明図である。 液吸収性複合材が伸縮性基材シートの起毛繊維に固着されている状態を模式的に示す説明図である。 (A)は、本発明に係る吸収体の製造過程において伸縮性基材シートを伸長した状態で液吸収性複合材を固着させる工程を模式的に示す説明図であり、(B)は(A)の工程を経て得られた吸収体の非伸長の状態を示す説明図であり、(C)は(A)の工程を経て得られた吸収体の伸長した状態を示す説明図である。
なお、図3おいて、伸縮性基材シートが伸長した状態(図3(A)及び(C))と、伸縮性基材シートが非伸長の状態(図3(B))とが比較して分かるよう、該伸縮性基材シートが有するエラストマー繊維を格子状に便宜的に示した。
以下、本発明の吸収体について、好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。なお、本発明の吸収体は、例えば生理用ナプキンや乳幼児用ないし大人用のおむつ等の吸収性物品の液保持部として適用することが好ましい。ただし、本発明の吸収体はこれに限定されるものではない。
本実施形態の吸収体10は、図1に示すように、伸縮性基材シート4と、吸水性ポリマー材1の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部2を有する液吸収性複合材3とを有する。なお、図1においては液吸収性複合材3を模式的に示しており、液吸収性複合材3の大きさ、数及び配置パターンは図1に示したものに限定されず適宜設定できる。
伸縮性基材シート4における「伸縮性」とは、伸ばすことができ、かつ元の長さに対して50%伸ばした状態(元の長さの150%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの125%以下の長さまで戻る性質を言う。伸縮性基材シート4は、上記に定義される「伸縮性」をシート平面における少なくとも一方向において有しており、複数の方向において満たすことが好ましい。
上記の「元の長さに対する長さ」は、測定対象のシートに外力を加えずに自然状態で平な台に静置して尺を用いて測定を行う。この元の長さをaとして、1.5aまで測定対象のシートを伸ばし(元の長さに対して50%伸ばし)、伸ばす力を解放した後のシートの長さを測定する。測定は3回行い、その平均値を測定値とする。伸縮性の有無の基準は、上記したように、戻った時の長さが1.25a(125%)以下になっている場合を、伸縮性を有するとする。
伸縮性基材シート4としては、伸縮性があり、液吸収性複合材3が有する接合基部2と融着接合できるものであれば、種々の材料からなるものであってもよい。例えば、弾性を有する繊維を含む不織布や、弾性樹脂を含むフィルム(弾性フィルム)や、発泡などの手段によって構造中に3次元ネットワークを形成させた弾性樹脂からなる弾性多孔質体などを挙げることができる。
それらの中でも、伸縮性基材シート4としては、薄くても引っ張り強度が比較的高く、薄くて柔軟性が付与できる観点から、不織布が好ましく用いられる。不織布においては親水性であることが好ましい。例えば、親水性の繊維を構成繊維として含む親水性不織布、合成繊維に親水性を付与した繊維を構成繊維として含む親水性不織布等が好ましく用いられる。以下、本実施形態においては、伸縮性基材シート4が不織布からなるものとして説明する。
本実施形態の吸収体10において、液吸収性複合材3は、接合基部2を介して、伸縮性基材シート4に固着されている。主に伸縮性基材シート4の表面(本実施形態においては第1面A側の面)に固着されており、場合によっては伸縮性基材シート4内部に入り込んで固着されているものがあってもよい。より具体的には、液吸収性複合材3は接合基部2を介して、第1面A側において、伸縮性基材シート4をなす不織布を構成する繊維5の表面に固着(溶融一体化)されている。繊維5に固着された複数の液吸収性複合材3は、伸縮性基材シート4の平面上に点在して分散配置されている。この固着は、接合基部2が含む熱溶融性の樹脂成分の熱溶融による。さらに本実施形態においては、前記固着は、接合基部2に含まれる熱溶融性の樹脂成分と不織布の繊維5の樹脂成分との両方の熱溶融による。そのため、液吸収性複合材3の吸収体10における固定性(脱落し難さ、安定性)は、従来の接着剤による接合、繊維同士の絡みによる担持、等と比べてはるかに高く強固である。
なお、接合基部2に含まれる「熱溶融性の樹脂成分」は、この種の物品において通常の用いられるものとするこができ、該成分に応じて溶融し得る温度が定められる。吸収体10においては、接合基部2に含まれる熱溶融性の樹脂成分が溶融した状態にあり、この溶融によって液吸収性複合材3が伸縮性基材シート4に固着されている。
吸収体10において、液吸収性複合材3の固定性の高さによって、伸縮性基材シート4が様々な外力(引張やねじれ等)で伸長した場合にも液吸収性複合材3が脱落し難い。これにより吸収体10の吸収性能は伸長状態でも維持される。例えば、吸収体10を吸収性物品に組み込むなどして使用する場合に、着用者の体形の変化に対して伸縮性基材シート4が伸長するとともに、固着された液吸収性複合材3が体形変化に追従して排泄液をしっかりと吸収保持する。このように吸収体10は、着用者に対する高い動作追従性(着け心地)と優れた吸収性とを両立し得る。
また、吸収体10において、伸縮性基材シート4の伸長に伴って、固定性の高い液吸収性複合材3同士の間隔が拡がる。この間隔の拡がりにより、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングの発生が抑えられ、吸収体10の優れた吸収性が発現し得る。
さらに、液吸収性複合材3の固定性の高さゆえに、液吸収性複合材3を伸縮性基材シート4の平面方向に均一に配置させることができ、吸収体10全体の液吸収性を高めることができる。
吸収体10における液吸収性複合材3の固定性は、下記の測定方法によって得られる、下記(式1)で表される変形前後の固定割合によって示すことができる。
{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)
/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100(%) (式1)
この液吸収性複合材3の固定割合の比(b/a)は、85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
(液吸収性複合材3の固定割合の測定方法)
吸収体10の中心を幅方向に切断する。切断面を下に向けて、基板(例えば、アクリル板)に吸収体10をテープで固定し、手によって0.5秒間に20cm上下に振る動作を50回繰り返して振とうする。
振とうは、伸縮性基材シート4を非伸長状態にした場合と、元の長さに対して80%伸長状態にした場合(元の長さの180%の長さになる)との2通りで行う。「非伸長状態」とは、前記基板に吸収体を、振とう時に伸長しないように固定した状態をいう。また、「元の長さに対して80%伸長状態」とは、前記基板に吸収体を、80%伸長状態にして固定した状態をいう。この場合の振とうは、前記基板の両端(上下端)を掴んで行う。測定は3回行い、その平均値を測定値とする。
伸縮性基材シート4を非伸長状態で振とうした場合の固定割合を「変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)」とする。伸縮性基材シート4を元の長さに対して80%伸長した状態で振とうした場合の固定割合を「変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)」とする。
固定割合(a)、固定割合(b)はいずれも下記(式2)に基づき算出する。
固定割合
={(振とう前の吸水性ポリマー材質量(g)−脱落した吸水性ポリマー材質量(g))/振とう前の吸水性ポリマー材質量(g)}×100 (式2)
上記測定の結果得られる{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100の値を、液吸収性複合材3の変形前後の固定割合とする。
なお、液吸収性複合材3は、本実施形態のように伸縮性基材シート4の第1面A側のみに配される場合に限らず、第1面A側及び該第1面A側とは反対側の第2面B側の両面に配されていてもよい。吸収体10は、吸収性物品の液吸収保持部として組み込む際には、第1面A側及び第2面B側のいずれの面を着用者の肌面側に向けて配置してもよい。第1面A側にのみ液吸収性複合材3が配される場合は、第1面A側を肌面側に向けて配置することが好ましい。以下、他の実施形態においても同様である。また、吸収体10は、単層で使用してもよく、複数層で使用してもよい。
次に、伸縮性基材シート4、液吸収性複合材3それぞれについて説明する。
まず、伸縮性基材シート4について詳述する。
本実施形態の吸収体10において、伸縮性基材シート4は自然状態において縦長形状を有し、吸収体10の外形をなす大きさを有する。伸縮性基材シート4の長手方向Y及び幅方向Xは、吸収体の長手方向及び幅方向に一致する。伸縮性基材シート4の長手方向Yは、吸収体10を組み込んだ吸収性物品を着用したときの着用者の前後方向に一致する。
この伸縮性基材シート4においては、少なくとも長手方向Yに沿う伸縮性を有する。好ましくは長手方向Y及び幅方向Xに沿う伸縮性を有し、より好ましくは長手方向Y及び幅方向X並びにこれらと交差する方向に沿う伸縮性を有する。
伸縮性基材シート4は、不織布からなる場合、吸収性物品に用いられる種々の不織布を特に制限なく用いることができる。例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布などが挙げられる。例えば、特開2007−138374号明細書の段落[0009]〜[0076]に記載の伸縮性不織布が挙げられる。該伸縮性不織布は、弾性繊維層の少なくとも一面に非弾性繊維層が積層されてなる。この伸縮性不織布は、弾性繊維層となる弾性繊維の連続フィラメントを含む弾性繊維ウエブと非弾性繊維層となる非弾性繊維ウエブとを積層して熱風処理し、一対の凹凸ロール間によって延伸加工して得られる。
また、伸縮性基材シートをなす不織布に用いることができる繊維材料は特に制限されない。液吸収性複合材3の接合基部2との固着をより強くする観点から、接合基部2との相溶性の高い成分が表面にある繊維を用いることが好ましい。特に、伸縮性基材シート4は、接合基部2が有する樹脂成分と同じ樹脂成分を有することがより好ましく、オレフィン系の樹脂成分を有することがより好ましい。このような樹脂成分が伸縮性基材シート4のシート表面にあることが特に好ましい。
例えば、上記のように特開2007−138374号に記載の弾性繊維層と非弾性繊維層との積層体から場合、同文献明細書の段落[0027]に示される、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等からなる非弾性繊維層を、伸縮性基材シート4の表面層とすることが好ましい。非弾性繊維が芯鞘型の複合繊維である場合、芯がポリエステルやポリプレピレンの樹脂成分、鞘が低融点ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンの樹脂成分であることが好ましい。また、弾性繊維として、オレフィン系エラストマーを用いることが好ましい。オレフィン系エラストマーは、例えば、特開2009−539460号明細書の段落[0042]に記載のものなどが挙げられる。
伸縮性基材シート4を構成する繊維のより具体的な例としては次のようなものが挙げられる。すなわち、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられる。該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)とPE(鞘)、PP(芯)とPE(鞘)、PP(芯)と低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維が挙げられる。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレートと低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)とPE(鞘)、PET(芯)と低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
次に、液吸収性複合材3について詳述する。
液吸収性複合材3は、前述のとおり、吸水性ポリマー材1の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部2を有してなる。接合基部2は、吸水性ポリマー材1の全体でなく一部を覆う限り、1つの液吸収性複合材3に1つ配されていてよく、複数配されていてもよい。
液吸収性複合材3は、従来のように単に繊維同士の絡まりで担持されているではなく、熱溶融性の接合基部2を介して伸縮性基材シート4の表面に固着されているので、吸収体における固定性が高い。さらに言えば、液吸収性複合材3の接合基部2の樹脂成分と繊維5とが溶融して一体化された状態で接合されているため、単に接着剤等を介して接合されるものよりも接合強度が高い。これにより、液吸収前の液吸収性複合材3の移動が抑えられ、肌に触れたときの異物感が抑えられる。そのため、液吸収性複合材3の脱落防止用のコアラップシートが吸収体10には必要ない。また、液吸収性複合材3の固定性が高いことから、液吸収性複合材3の脱落による吸収体10の型崩れや破壊が、液吸収前後を通じて生じ難い。
液吸収性複合材3と伸縮性基材シート4との強固な溶融固着により、吸収体10は従来の液保持部をなすパルプ繊維集合体(繊維ウエブ)を必要としない。吸収体10は、パルプ繊維を含まず、伸縮性基材シート4と液吸収性複合材3とのみからなるシート状にされ、従来のパルプ繊維集合体を含むものと比べて更に薄型化される。吸収体の薄型化によって、吸収性物品の柔らかさが向上し、使用時における前記異物感が抑えられる。このことが、前述した吸収体の型崩れや破壊の抑制と相俟って、吸収体10を組み込んだ吸収性物品における装着感を向上させ得る。
加えて、吸収体10においては、上記の強固な溶融固着により、液吸収性複合材3は、伸縮性基材シート4の表面に露出して固定されている。したがって、液吸収性複合材3を構成する吸水性ポリマー材1は、従来の、吸水性ポリマー材を繊維シート間に挟持固定したものや、吸水性ポリマー材を袋状部に閉じ込めたものに比べて、液膨潤を許容する空間を大きくとることができる。これにより、伸縮性基材シート4の伸縮性と相俟って、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングをより高いレベルで抑制することができる。
さらに、前述した強固な溶融固着による液吸収性複合材3の強固な固定性により、伸縮性基材シート4の表面において、液吸収性複合材3の密度制御を精度よく行うことができ、該液吸収性複合材3の好適な分散配置の制御が可能となる。
液吸収性複合材3では、吸水性ポリマー材1と接合基部2とが直接的に接合されていることが好ましい。直接的な接合とは、接着剤等の介在しない接合をいう。直接的な接合としては、例えば、吸水性ポリマー材1の含水時の粘着性による接合、接合基部2の樹脂成分の溶融による接合等が挙げられる。すなわち、吸水性ポリマー材1及び接合基部2自体が有する接着性を利用して、必要最小限の接合面積で接合されることが好ましい。これにより、接合基部2が覆う部分以外の吸水性ポリマー材1の表面の液吸収性を、接着剤等で阻害せず、十分に確保することができる。液吸収性複合材3において、接合基部2の一部が吸水性ポリマー材1に埋め込まれた状態になっており、かつ接合基部2の一部が吸水性ポリマー材1の表面から外に出ている状態になっている。これにより、接合基部2は吸水性ポリマー材1から外力や膨潤した際に脱落しにくく、かつ伸縮性基材シート4の表面への溶融固着も可能になり、固定性が向上する。
接合基部2は、親水性及び疎水性のいずれをも選択することができる。吸水性ポリマー材への液の引き込み性を上げる点から、接合基部2は親水性であることが好ましい。接合基部2を構成する樹脂成分自体が親水性であってもよいし、親水性の活性剤を付与してもよい。一方、接合基部2が疎水性である場合でも被覆率の制御で吸液阻害を起こさないように制御することができる。
接合基部2を構成する樹脂成分は、伸縮性基材シート4の表面(本実施形態における繊維5)との溶融固着のため、熱溶融性を有する。
前記樹脂成分としては、特に制限なく種々のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂等が挙げられる。
また、接合基部2を構成する樹脂成分には、エラストマー成分が含有されていることが好ましい。これにより、伸縮性基材シート4の伸長に伴う変形が生じても接合基部2が追従して伸長でき、変形前後を通じて液吸収性複合材3の固定割合を高めることができる。
このエラストマー成分としては、種々のものと特に制限なく用いることができる。例えば、特開2009−539460号明細書の段落[0042]に記載のものなどが挙げられる。
前記エラストマー成分は、溶融性と伸長性に伴う変形に追従する観点から、樹脂成分中、下記の範囲で含まれることが好ましい。すなわち、前記エラストマー成分は、樹脂成分中、1質量%以上含まれることが好ましく、5質量%以上含まれることがより好ましく、10質量%以上含まれることが更に好ましい。また、前記エラストマー成分は、樹脂成分中、80質量%以下含まれることが好ましく、60質量%以下含まれることがより好ましく、50質量%以下含まれることが更に好ましい。具体的には、1質量%以上80質量%以下含まれることが好ましく、5質量%以上60質量%以下含まれることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下含まれることが更に好ましい。
接合基部2の形状は、吸水性ポリマー材1の表面に接合できるものであれば特に制限されず種々のものを採用できる。例えば、繊維状、粒状(パウダー)が挙げられる。吸水性ポリマー材1の表面に均一に接合基部2を付着させ、固定性を向上させる観点から、粒状(パウダー)であることが好ましい。粒状(パウダー)である場合、繊維5への固着をより強くする観点から、球形状であることがより好ましい。
接合基部2の大きさは、吸水性ポリマー材1の表面の一部を覆う大きさであり、吸水性ポリマー材1よりも小さいものである。接合基部2が粒状(パウダー)の樹脂成分からなる場合、平均粒径は小さい程パッキング性が良くなるが、下記の範囲であれば、吸水性ポリマー材1の表面を接合基材2で覆う際に隙間が生じ、吸水性ポリマー材1の吸水性を発揮することができ好ましい。この観点から、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。前記平均粒径は、下記の範囲であれば、吸水性ポリマー材1に接合基材2が接合された後、外力により接合基材2が吸水性ポリマー材1から脱落しにくく好ましい。この観点から、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、65μm以下が更に好ましい。具体的には、前記平均粒径は、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上80μm以下がより好ましく、20μm以上65μm以下が更に好ましい。なお、接合基部2の樹脂成分の平均粒径は、後述する(平均粒径の測定方法)で測定される粒径である。
吸水性ポリマー材1は、水を吸収することによってゲル状になり水を保持し得るものである。吸収した水の保持性ため、表面架橋された高分子材料である。自重の20倍以上の液を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
吸水性ポリマー材1としては、吸収体に用いられるものを特に制限なく種々採用することができる。例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン−ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水性ポリマー材1の形状は、吸収体に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
吸水性ポリマー材1の大きさは、吸収体10の液吸収性に寄与し、吸水前の状態及び吸水後の膨潤した状態いずれにおいても伸縮性基材シート4への固着が保持される範囲で設定されることが好ましい。具体的には、吸水性ポリマー材1が粒状である場合、吸水性ポリマー材1の平均粒径は、吸収体10の液吸収性の観点から、膨潤する前の状態で、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300μm以上が更に好ましい。また、前記平均粒径は、伸縮性基材シート4への固着をより強くする観点から、1000μm以下が好ましく、650μm以下がより好ましく、500μm以下が更に好ましい。具体的には、前記平均粒径は200μm以上1000μm以下が好ましく、250μm以上650μm以下がより好ましく、300μm以上500μm以下が更に好ましい。なお、吸水性ポリマー材1が「膨潤する前の状態」とは、室温22℃、湿度50%で平衡状態に達した後の状態をいう。吸水性ポリマー材1の平均粒径は、後述する(平均粒径の測定方法)で測定される粒径である。
吸水性ポリマー材1及び接合基部2が粒状である場合、接合基部2の平均粒径は、吸水性ポリマー材1の平均粒径よりも小さいことが好ましい。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の平均粒径の比は、5:1〜100:1であることが好ましく、8:1〜70:1であることがより好ましく、10:1〜50:1であることが更に好ましい。これにより、吸水性ポリマー材1の表面を接合基材2で覆う際に隙間が生じ、吸水性ポリマー材1の吸水性を発揮することができる。
(平均粒径の測定方法)
吸水性ポリマー材1及び接合基部2の平均粒径は下記の方法により測定される値である。
まず、市販の製品等から分析する場合には、有機溶媒を用いて、接着剤を溶解させ、吸収性ポリマーが固着した不織布を取り出す。次いで、日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、伸縮性基材シート4に固着されている液吸収性複合材3を撮影する(測定する吸水性ポリマー材1又は接合基部2が測定できる倍率に調整、20サンプル測定)。撮影した画像の長軸径を粒径とし、20サンプルの平均値を平均粒径とする。なお、吸水性ポリマー材1と接合基部2の見分け方は、吸水により形状変形を起こすかどうかで判別できる。
液吸収性複合材3において、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、伸縮性基材シート4への固定性(安定性)と吸水性ポリマー材1の吸水性との関係で設定できる。伸縮性基材シート4への固定性の観点からは、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は高いほど好ましい。一方、吸水性ポリマー材1の吸水性の観点からは、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は低いほど好ましい。前記被覆の程度は、両性能のバランスを考慮して設定できる。
吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、例えば、液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比として示すことができる。なお、接合基部2の質量とは、1つの液吸収性複合材3において接合基部2として存在する樹脂成分全体の質量である。したがって、接合基部2が1つの液吸収性複合材3に複数ある場合は、該複数の接合基部2の樹脂成分の合計質量である。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比は、30:1〜2:1であることが好ましく、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい。
また、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、下記のSEM観察による測定により得られる接合基部2の被覆率(面積率)として示すこともできる。該被覆率は、6%以上80%以下であることが好ましく、8%以上60%以下であることがより好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい。
(被覆率の測定方法)
液吸収性複合材3における接合基部2の被覆率は、次の方法により測定することができる。
日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、液吸収性複合材3を静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する液吸収性複合材3が測定できる倍率に調整)を印刷し、透明PET製シート上に液吸収性複合材3全体の面積と、接合基部2それぞれの面積をなぞる。前記の画像を二値化処理する。前記二値化した画像を用い、液吸収性複合材3の面積と接合基部2の面積を得る。被覆率(%)=接合基部2の合計面積/液吸収性複合材3の面積×100として算出する。測定は10ヶ所行い、平均して被覆率とする。
本実施形態において、不織布からなる伸縮性基材シート4について、液吸収性複合材3が固着される繊維5が、図2に示すように、起毛した繊維51(以下、起毛繊維51ともいう。)であることがより好ましい。起毛繊維51とは、伸縮性基材シート4の本体を構成する繊維集合部52の表面から繊維が飛び出した部分をいう。起毛繊維51は、繊維の一端が他の繊維と接合せずに自由端となって飛び出した部分であってもよく、ループ状に飛び出した部分であってもよい。このことから、起毛繊維51は、繊維集合部52よりも繊維間距離の大きい領域にある繊維であるといえる。この起毛繊維51が伸縮性基材シート4の平面上から飛び出していることで、液吸収性複合材3とよく絡み、液吸収性複合材3上の接合基部2と繊維が接触しやすいため、液吸収性複合材3の固定性が向上する。なお、起毛は、バフィング処理(起毛処理)など通常用いられる種々の方法により行うことができる。このような起毛繊維51は、前述のように弾性繊維層の表面を非弾性繊維層が覆うものとする場合に、該非弾性繊維層に形成することができ好ましい。
また、起毛繊維51は繊維集合部52の繊維よりも可動域が大きいため、液吸収性複合材3の水膨潤時に、起毛繊維51同士の間隔が広がりやすい。そのため、液吸収性複合材3が起毛繊維51に固着されていると、液吸収性複合材3の膨潤する余地が繊維集合部4Aよりも大きくなり好ましい。また、隣接する液吸収性複合材3同士の間隔も広がり、膨潤時のゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が生じ難くなり好ましい。また、肌に触れたときの柔らかさが向上する。
本実施形態において、吸収体10の液吸収前の厚みは、薄型化による装着感の向上の観点から、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。また、吸収体10の液吸収前の厚みは、吸水性ポリマーの保持量の確保と固定性の観点から、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、1.0mm以上が更に好ましい。吸収体の厚みは、後述する測定方法により確認することができる。
吸収体10において、ゲルブロッキングを防止し優れた吸収性能を実現する観点から、液の吸収前後における厚みの変化が2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることが更に好ましい。また、液の吸収前後における厚みの変化は、液吸収後における装着感の向上の観点から、18倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましく、8倍以下であることが更に好ましく、6倍以下であることが特に好ましい。
また、吸収体10において、液吸収後の厚みは、薄型化による装着感の向上の観点から、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましい。また、液吸収後の厚みは、ゲルブロッキングを防止し優れた吸収性能を実現する観点から、1.0mm以上が好ましく、1.6mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。
(吸収体の厚みの測定方法)
液吸収前及び液吸収後における吸収体の厚みは次の方法により測定することができる。
(1)液吸収前(吸液前)の測定
評価対象の製品から、コールドスプレーを用いてホットメルト接着剤の接着力を弱め、各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収前の吸収体の厚みとする。
(2)液吸収後(吸液後)の測定
評価対象の製品に含まれるすべてのギャザーを切り取るなどの手段で無効化し、フラットな形状にする。十分な量の人工尿(液がなくならない)に表面材側から液面に30分漬ける。表面材を下側にして金網の上に30分静置し、吸収しきれなかった液をきる。製品から各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収後の吸収体の厚みとする。
このように、本発明の吸収体は、伸縮性基材シート4の伸縮性を備え、かつ、液吸収性複合体3の伸縮性基材シート4への固定性が高く、脱落が抑制されている。そのため、本発明の吸収体は、着用者に対する高い「動作追従性(着け心地)」と優れた吸収性とを両立したものとなる。
さらに本発明の吸収体は、従来ものから更なる薄型化を実現でき、液吸収前の液吸収性複合体3の脱落及び移動が抑えられ、肌に触れたときの異物感が抑えられる。すなわち、吸収体の薄型化による吸収性物品の柔らかさの向上とともに、前記異物感が抑えられて、装着感が向上する。さらに吸収後において、液吸収性複合体3の脱落による吸収体の型崩れが抑えられ、この点からも装着感が向上する。
また、本発明の吸収体は、液吸収性複合体3が伸縮性基材シート4の表面に露出して分散固着されているので、液膨潤を許容する空間を大きく有し、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングが生じ難い。加えて、伸縮性基材シート4が有する伸縮性により、液吸収時に液膨潤を許容する空間が拡張され、ゲルブロッキングが更に抑えられて液吸収性能が向上する。
次に、本発明の吸収体の好ましい製造方法について、基材シートが不織布からなる場合として説明する。
(液吸収性複合材の形成工程)
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練する。次いで、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練する。前記加水により吸水性ポリマー材の表面に粘着性を生じさせ、これにより熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を形成し易くする。そのため、加水は、粘着性を生じさせる程度であればよい。具体的には、吸水性ポリマー材に対する質量比で、水を10倍程度加えることが好ましい。吸水性ポリマー材としては、吸収性物品等に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
次いで、加水し前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、本発明の吸収体に用いられる液吸収性複合材を得る。
なお、上記混練、乾燥、粉砕及び分級には、通常用いられる装置を特に制限なく用いることができる。
(液吸収性複合材の固着工程)
伸縮性基材シート4に対して、液吸収性複合材3を散布する。その際、伸縮性基材シートは伸長した状態で行うことが好ましい(図3(A))。これにより、伸縮性基材シート4は、液吸収性複合材3との接触面積を多くとることができ、液吸収性複合材3同士が溶融して塊を形成することを回避することができる。その結果、得られる吸収体10が非伸縮の状態にある場合(図3(B))に、液吸収性複合材3が塊にならず平面方向に並びやすくなり、液吸収時におけるゲルブロッキングの発生をより好適に抑制することができる。また、得られた吸収体10が伸長状態にある場合(図3(C))に、液吸収性複合材3が配されない隙間が少なく抑えられ、より高い液吸収性能を備えるものとなる。しかも伸長状態においても、液吸収性複合材3が塊にならず、液吸収時におけるゲルブロッキングの発生をより好適に抑制することができる。
その後、伸縮性基材シート4と液吸収性複合材3とが接触しやすくなるように、必要により、液吸収性複合材の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
次いで、液吸収性複合材を散布した基材シートに対して加熱処理を行って、接合基部及び基材シートの繊維を溶融一体化させる。ここでの加熱処理は、通常不織布に用いられる方法を特に制限なく採用することができる。その加熱温度は、基材シートの繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい。なお、基材シートが熱溶融しない成分からなる場合は、接合基部の融点に対して上記範囲の加熱温度とすることが好ましい。該加熱処理が熱風処理である場合、熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される。この熱風の風速は、上記の下限以上とすることで、基材シートの繊維及び接合基部への熱伝達し、確実に溶融固着させることができ、固定性が担保できる。一方、上記の上限以下とすることで、繊維へ熱が当たりすぎず、基材シートの風合いが良くなる。
本発明の吸収体は、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッドなどの身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品に液保持部として好適に用いられる。
本発明の吸収体を含む吸収性物品は、典型的には、前記吸収体を肌側の表面シートと非肌側の裏面シートとで挟持して構成される。吸収性物品の構成部材には、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば、表面シートとしては、液透過性のある肌触りの柔らかいものを用いることができ、例えば、エアスルー不織布等の各種の不織布などが挙げられる。また、表面シートは、複数の不織布からなるものでもよく、不織布と他の素材との組み合わせからなるものであってもよい。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
(1)伸縮性基材シートの作製
特開2007−138374号公報明細書の実施例1に記載の、弾性繊維層の両面を非弾性繊維層で覆った伸縮性基材シート(大きさ200mm×75mm)を作製した。
具体的には、弾性繊維層は、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)からなる弾性繊維を用いた坪量40g/mの繊維層とした。非弾性繊維層は、芯鞘構造の複合繊維(芯:ポリエチレンレテフタレート樹脂成分、鞘:ポリエチレン樹脂成分)を用いた、坪量10g/mのエアスルー不織布とした。弾性繊維層における弾性繊維の直径は32μmとし、非弾性繊維層における複合繊維の直径は17μmとした。得た不織布の非弾性繊維層の表面にバフィング処理(起毛処理)を施して起毛繊維を形成した。
(2)液吸収性複合材の調製
前述した(液吸収性複合材の製造方法)に基づいて液吸収性複合材を調製した。具体的には、生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ 肌キレイガード ふつうの日用 羽なし 20.5cm、2017年製)の吸収体から取り出した吸水性ポリマー材30gに300gのイオン交換水を加えニーダーで5分間混合しながら均等に膨潤させた。
次いで、接合基部となる熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダー「XM−220」(商品名、三井化学株式会社製)を3.5gと、エラストマー成分SEPS「セプトンS2002」(商品名、株式会社クラレ製)を粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)でパウダー状にしたもの1.5gとを前記ニーダーに投入して更に10分間混合した。その後、電気乾燥機を用いて、105℃にて8時間乾燥を行った。次いで、粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)を用いて粉砕し、電磁ふるいを用いて分級を行い、106μmより小さい粒径、850μmより大きい粒径を除去することで、実施例1の液吸収性複合材を得た。この液吸収性複合材における接合基部の被覆率は、前述した(被覆率の測定方法)に基づいて測定した結果、24%であった。
(3)吸収体試料の作製
前記伸縮性基材シートを長手方向(Y方向)に元の長さに対して80%伸長させ、伸長した状態の伸縮性基材シートの表面(起毛繊維等の表面の繊維)に上述の液吸収性複合材を0.75g均一に散布し、飛散しないように5kgのローラーを1往復させて加圧した。次いで、140℃の熱風を風速1.4m/sで3分間を吹き付ける熱風処理を行い、液吸収性複合材の接合基部及び基材シートの構成繊維の表面成分を溶融一体化させる処理を行った。すなわち、接合基部を介して、液吸収性複合材を基材シートの繊維に固着させる処理を行った。
以上の処理を経て、実施例1の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m))を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
この吸収体試料S1について電子顕微鏡を用いて確認したところ、液吸収性複合材は基材シートの起毛繊維の表面に接合されていた。また、液吸収性複合材3には、熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダーあるいはエラストマー成分SEPSからなる接合基部が複数、吸水性ポリマー材の表面に形成されていた。以下、実施例2及び3においても同様であった。
(4)生理用ナプキン試料の作製
生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ 肌キレイガード ふつうの日用 羽なし 20.5cm、2017年製)から吸収体を取り除き、その代わりに、吸収体試料を導入し、評価用の生理用ナプキンを作製した。
(実施例2)
前記(2)液吸収性複合材の調製において、エラストマー成分を用いず、ポリエチレンパウダーを5.0g投入した以外は実施例1と同様にして、実施例2の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
(実施例3)
前記(2)液吸収性複合材の調製において、ポリエチレンパウダーに代えてポリプロピレンパウダー「SA06A」(商品名、日本ポリプロ株式会社製)を粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)でパウダー状にしたもの5.0gを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
(実施例4)
前記(1)伸縮性基材シートの作製において、伸縮性基材シートとして特開2009−539460号公報明細書の実施例1に記載の坪量30g/mのVISTAMAXX(商品名、エクソンモービル・ジャパン製)を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(30/50g/m))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.0mmであった。
(実施例5)
前記(1)伸縮性基材シートの作製において、伸縮性基材シートに起毛処理を行わない以外は実施例1と同様にして、実施例5の吸収体試料(伸縮性基材シート/液吸収性複合材(60/50g/m))及び生理用ナプキン試料を作製した。この吸収体試料の厚みは1.2mmであった。
(比較例1)
特開2015−42244号公報に記載の吸収体、すなわち吸収性シートを積層してなる吸収体を作製し、比較例1の吸収体試料とした。その際、高吸収性ポリマーが坪量50g/mになるように調整した。この吸収体試料を用いて実施例1と同様にして、比較例1の生理用ナプキン試料を作製した。比較例1の吸収体試料の厚みは1.5mmであった。
(比較例2)
特開2010−268919号公報の実施例に記載の吸収体を作製し、比較例2の吸収体試料とした。この吸収体試料を用いて実施例1と同様にして、比較例2の生理用ナプキン試料を作製した。比較例2の吸収体試料の厚みは1.8mmであった。
(試験)
1.液吸収性複合材の固定割合の測定
各吸収体試料について、前述した(液吸収性複合材3の固定割合の測定方法)に基づいて、変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)、変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)を測定し、下記(式1)の固定割合を算出した。
{変形後の液吸収性複合材の固定割合(b)
/変形前の液吸収性複合材の固定割合(a)}×100 (式1)
2.曲げ剛性の測定
JIS L−1096の「ハンドロメーター」法に則して下記の方法により各吸収体試料の曲げ剛性を測定した。
すなわち、ハンドロメーター「HOM−200」(商品名、大栄科学精機製作所製)を用い、スリット溝が設けられた試験台上に各吸収体試料を乗せ、ブレードにて溝の一定深さまで押し込むときに発生する抵抗力を曲げ剛性として測定した。
上記曲げ剛性の測定では、溝内に吸収体試料を押し込む力に対する抵抗力を測定している。そのため、曲げ剛性は、値が小さいほど、吸収体を含む吸収性物品を着用している着用者の動作によって生じる力に合わせて、吸収体が動きやすいことを示す。すなわち、曲げ剛性の値が小さいほど、着用者が動いたときに吸収体がずれたような違和感が小さくなり、吸収体は、着用者に対する動作追従性に優れ、高評価となる。
3.液戻り量の測定
各生理用ナプキン試料を水平に置き、該生理用ナプキン試料の上に、直径1cmの注入口のついたアクリル板を重ねて、該注入口から脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)6gを注入した。脱繊維馬血が全て吸収されてから3分間その状態を保持した後、前記アクリル板を取り除き、前記生理用ナプキン試料における表面シートの肌当接面上に、縦7cm、横10cmの矩形形状で坪量30g/mの吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたもの(2枚重ねのティッシュペーパー5組)を載せた。更にその上に圧力が6.6×10Paになるように重りを載せて2分間加圧した。加圧後、重り及び吸収紙を取り除き、取り除いた吸収紙の重さを測定し、その測定値から、予め求めておいた該吸収紙の使用前(乾燥状態)の重さを差し引いて、吸収紙に吸収された脱繊維馬血量を求めた。この値を液戻り量とした。液戻り量が少ないほど、液吸収性に優れ高評価となる。
上記の各試験の結果は下記表1に示す通りであった。
上記表1に示す通り、実施例1〜5の吸収体の方が、比較例1〜2の吸収体の何れよりも、曲げ剛性が大幅に低かった。このため、実施例1〜5の吸収体は、曲げやすくなって着用者の動作による体形変形に良好に追従する「動作追従性」を備えることが分かった。また、実施例1〜5の吸収体の方が、比較例1〜2の吸収体よりも、固定性が高く、液戻り量が少なかった。このため、実施例1〜5の吸収体は、液吸収性に優れたものとなり、比較例1〜2の吸収体よりも液吸収性能が高かった。このように、実施例1〜5の吸収体は、比較例1〜2の吸収体よりも、動作追従性と液吸収性とを両立させることができた。
1 吸水性ポリマー材
2 接合基部
3 液吸収性複合材
4 伸縮性基材シート
5 繊維
10 吸収体

Claims (7)

  1. 吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、伸縮性基材シートに、前記接合基部を介して固着されている、吸収体。
  2. 下記(式1)に示す、前記液吸収性複合材の固定割合の比が85%以上である請求項1記載の吸収体。
    {変形後の液吸収性複合材の固定割合
    /変形前の液吸収性複合材の固定割合}×100 (式1)
  3. 前記接合基部は前記吸水性ポリマー材の表面に直接接合されている請求項1又は2記載の吸収体。
  4. 前記接合基部が有する樹脂成分にエラストマー成分が含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収体。
  5. 前記伸縮性基材シートは、前記接合基部が有する樹脂成分と同じ樹脂成分を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体を有する吸収性物品。
  7. 伸長状態の伸縮性基材シートに対して、吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材を固着する工程を有する吸収体の製造方法。

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