本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係る配線長計測装置100が適用される空調システム1000について説明する。空調システム1000は、1又は複数の機器が一対の通信線により接続されたシステムである。一対の通信線は、一対の通信線間の電圧によりデータを送受信するためのものである。一対の通信線は、第1の電位に設定される通信線と、第2の電位に設定される通信線と、を備える。この一対の通信線には、途中で分岐するものも含まれる。
配線長計測装置100は、配線長計測装置100から、空調システム1000に含まれる1又は複数の機器のうち計測対象の機器までの配線長を計測する装置である。以下、計測対象の機器を、適宜、第1の機器という。配線長計測装置100は、上記一対の通信線のうち、配線長計測装置100と第1の機器とを接続する部分の長さを計測する装置である。配線長計測装置100は、第1の機器がデータを送信するときに一対の通信線上における第1の機器の接続位置において一対の通信線間が低インピーダンスで接続されることを利用し、TDR(Time Domain Reflectometry)計測により配線長を計測する。
図1に示すように、空調システム1000は、室外機200と、室内機300と、室内機400と、室内機500と、ケーブル610と、ケーブル620と、ケーブル630と、負荷抵抗700と、を備える。室外機200と室内機300と室内機400と室内機500とを、適宜、機器という。各機器は、一対の通信線を介して、AMI(Alternate Mark Inversion cord)、NRZ(Non Return to Zero)、CMI(Code Mark Inversion code)などの伝送路符号を用いたベースバンド変調方式で相互に通信する。本実施形態では、伝送路符号として、デューティ比が50%のAMIが採用されるものとする。本実施形態では、1を送信するときに一対の通信線間の電圧を0Vに設定し、0を送信するときにデューディ比50%で一対の通信線間の電圧を5Vと−5Vとで極性を切り替えながら交互に設定する。
各機器は、ケーブル610,620,630により相互に接続される。具体的には、室外機200と室内機300とはケーブル610により接続され、室内機300と室内機400とはケーブル620により接続され、室内機400と室内機500とはケーブル630により接続される。このように、本実施形態では、各機器は、直列に接続される。このため、本実施形態では、ケーブル610,620,630の接続により構成される一対の通信線は、基本的に、機器との接続部分以外では分岐しない。
室外機200は、室外に設置される空調機である。室外機200は、一対の通信線が接続される端子201,202を備える。室内機300,400,500は、室内に設置される空調機である。室内機300は、一対の通信線が接続される端子301,302を備える。室内機400は、一対の通信線が接続される端子401,402を備える。室内機500は、一対の通信線が接続される端子501,502を備える。室外機200および室内機300,400,500は、通信に関する構成に関しては、基本的に同様である。
ケーブル610,620,630は、ベースバンド変調方式の通信に用いられるケーブルである。本実施形態では、ケーブル610,620,630は、シールドが施されたツイストペアケーブル、つまり、STP(Shielded Twisted Pair)ケーブルである。ただし、ケーブル610,620,630は、シールドが施されていないツイストペアケーブル、つまり、UTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルであってもよいし、平行ケーブルであってもよい。以下、図2を参照して、ケーブル610の構成について説明する。
ケーブル610は、芯線611と、芯線612と、絶縁部材613と、絶縁部材614と、シールド線615と、絶縁部材616とを備える。芯線611と芯線612とは、電力や電気信号を送信するための電線であり、例えば、銅やアルミニウムにより構成される。絶縁部材613は、芯線611を被覆する絶縁体である。絶縁部材614は、芯線612を被覆する絶縁体である。絶縁部材613,614は、例えば、塩化ビニール樹脂などにより構成される。
シールド線615は、芯線611と芯線612とを被覆して遮蔽する。つまり、シールド線615は、外部空間から放射されたノイズが芯線611,612に進入することを防止する。また、シールド線615は、芯線611,612から外部空間にノイズが放射されることを防止する。また、シールド線615は、機器のシャーシに接続され、接地される。シールド線615は、例えば、銅やアルミニウムにより構成される。絶縁部材616は、シールド線615を被覆する絶縁体である。
ケーブル620,630の構成は、長さを除き、基本的には、ケーブル610の構成と同様である。本実施形態では、ケーブル610の長さをL1とし、ケーブル620の長さをL2とし、ケーブル630の長さをL3とする。ケーブル620は、芯線621と、芯線622と、を備える。ケーブル630は、芯線631と、芯線632と、を備える。
端子201と端子301とは芯線611により接続され、端子202と端子302とは芯線612により接続される。端子301と端子401とは芯線621により接続され、端子302と端子402とは芯線622により接続される。端子401と端子501とは芯線631により接続され、端子402と端子502とは芯線632により接続される。芯線611と芯線621と芯線631とは、直列に接続されて通信線15を構成する。芯線612と芯線622と芯線632とは、直列に接続されて通信線16を構成する。通信線15と通信線16とは、通信に用いられる一対の通信線を構成する。
負荷抵抗700は、一対の通信線間、つまり、通信線15と通信線16との間に、電圧が印加されるときに、負荷電流が流れる抵抗である。従って、いずれかの機器により一対の通信線間に5Vの電圧が印加された場合、負荷抵抗700の両端間に5Vの電圧が印加される。負荷抵抗700の抵抗値は、例えば、数十Ωから数百Ωである。なお、本実施形態では、通信線16の電位よりも通信線15の電位の方が高いことが、一対の通信線間に正の極性の電圧が印加されたことを意味し、通信線16の電位よりも通信線15の電位の方が低いことが、一対の通信線間に負の極性の電圧が印加されたことを意味する。従って、例えば、通信線16の電位よりも通信線15の電位の方が5V高いことは、一対の通信線間に+5Vが印加されたことを意味し、通信線16の電位よりも通信線15の電位の方が5V低いことは、一対の通信線間に−5Vが印加されたことを意味する。
本実施形態では、負荷抵抗700の一端は、電線13を介して端子201に接続され、負荷抵抗700の他端は、電線14を介して端子202に接続される。このように本実施形態では、負荷抵抗700が、一対の通信線上における室外機200の接続部分に接続される例について説明する。
本実施形態では、端子121と端子201とは、電線11を介して接続され、端子122と端子202とは、電線12を介して接続される。このように、本実施形態では、配線長計測装置100が、一対の通信線上における室外機200の接続部分に接続される例について説明する。
本実施形態では、電線11,12の長さは、L1,L2,L3に比べて、十分に短い。従って、配線長計測装置100は、第1の機器を室外機200とした場合、極めて短い長さ(例えば、数十cm)を配線長として計測し、第1の機器を室内機300とした場合、L1を配線長として計測し、第1の機器を室内機400とした場合、L1+L2を配線長として計測し、第1の機器を室内機500とした場合、L1+L2+L3を配線長として計測する。
次に、図3を参照して、配線長計測装置100の機能について説明する。図3に示すように、配線長計測装置100は、機能的には、操作受付部101と、送信部102と、検知部103と、パルス印加部104と、波形測定部105と、受信部106と、アドレス特定部107と、記憶部108と、波形比較部109と、配線長算出部110と、表示部111と、を備える。送信手段は、例えば、送信部102に対応する。検知手段は、例えば、検知部103に対応する。パルス印加手段は、例えば、パルス印加部104に対応する。波形測定手段は、例えば、波形測定部105に対応する。受信手段は、例えば、受信部106に対応する。アドレス特定手段は、例えば、アドレス特定部107に対応する。記憶手段は、例えば、記憶部108に対応する。配線長算出手段は、例えば、配線長算出部110に対応する。表示手段は、例えば、表示部111に対応する。
操作受付部101は、ユーザから各種の操作を受け付ける。操作受付部101は、例えば、配線長計測処理の開始指示、計測対象となる機器の指定を受け付ける。操作受付部101の機能は、例えば、タッチスクリーン(図示せず)、ボタン(図示せず)、マウス(図示せず)、キーボード(図示せず)の機能により実現される。
送信部102は、第1の機器に応答データを送信することを要求する要求データを、一対の通信線を介して第1の機器に送信する。要求データは、例えば、送信元のアドレスとして配線長計測装置100のアドレスを含み、送信先のアドレスとして第1の機器のアドレスを含む。要求データは、応答データを送信することを第1の機器に要求するデータである。送信部102は、要求データの内容に応じて一対の通信線間に印加する電圧を変化させる。一対の通信線間に印加される電圧は、5V、0V、−5Vのいずれかである。以下、図4を参照して、一対の通信線を介して送受信されるデータの構成について説明する。
データは、フレーム単位で送受信される。図4に示すように、1つのフレームは、例えば、送信元のアドレスを示すフィールドと、送信先のアドレスを示すフィールドと、コマンドの内容を示すフィールドと、データの内容を示すフィールドとを備える。1つのフィールドは、例えば、スタートビットに対応するビット(ST)と、8ビットのデータに対応するビット(D0−D7)と、パリティビットに対応するビット(P)と、ストップビットに対応するビット(SP)とを備える。本実施形態では、通信速度が9600bpsであり、1ビット期間が約104μsecである。
0に対応するビットデータを送信するときの信号波形は、今回の極性が正である場合、前半の52μsecが5Vであり、後半の52μsecが0Vである電圧波形となり、今回の極性が負である場合、前半の52μsecが−5Vであり、後半の52μsecが0Vである電圧波形となる。なお、0に対応するビットデータを送信する場合、前回の極性とは逆の極性で電圧が印加される。1に対応するビットデータを送信するときの信号波形は、104μsecの期間0Vである電圧波形となる。
図4には、1ビット目の0を送信するときに、前半(t0−t1)が5Vであり、後半(t1−t2)が0Vであり、2ビット目の0を送信するときに、前半(t2−t3)が−5Vであり、後半(t3−t4)が0Vであり、3ビット目の1を送信するときに、前半(t4−t5)と後半(t5−t6)とが0Vであり、4ビット目の0を送信するときに、前半(t6−t7)が5Vであり、後半(t7−t8)が0Vである例を示す。ここで、一対の通信線間の電圧が5V又は−5Vとなる期間(Tlow)は、データを送信する機器により、一対の通信線間が低インピーダンスで接続される。以下、図5を参照して、その理由を説明する。
図5は、室内機300がデータを送信するときに、一対の通信線上における室内機300の接続位置において、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されることを説明するための図である。図5には、室内機300が備える構成のうち、通信に関する構成のみを示している。なお、通信に関する構成(トランシーバの構成)は、基本的に、室外機200、室内機300,400,500の間で大きな差はない。図5に示すように、室内機300は、通信に関する構成として、送信部310と、受信部320と、制御部330と、電源部340とを備える。
送信部310は、制御部330による制御に従ってデータを送信する回路である。具体的には、送信部310は、制御部330による制御信号に従って、一対の通信線間に印加する電圧を変化させる。一対の通信線間に印加される電圧は、5V、0V、−5Vのいずれかである。送信部310は、スイッチング素子311と、スイッチング素子312と、スイッチング素子313と、スイッチング素子314とを備える。
スイッチング素子311の電流路の一端は電源端子に接続され、スイッチング素子311の電流路の他端は通信線15に接続され、スイッチング素子311の制御端子は制御部330に接続される。スイッチング素子312の電流路の一端は通信線15に接続され、スイッチング素子312の電流路の他端は接地端子に接続され、スイッチング素子312の制御端子は制御部330に接続される。スイッチング素子313の電流路の一端は電源端子に接続され、スイッチング素子313の電流路の他端は通信線16に接続され、スイッチング素子313の制御端子は制御部330に接続される。スイッチング素子314の電流路の一端は通信線16に接続され、スイッチング素子314の電流路の他端は接地端子に接続され、スイッチング素子314の制御端子は制御部330に接続される。
スイッチング素子311,312,313,314は、例えば、NPN(Negative Positive Negative)トランジスタである。この場合、例えば、コレクタが電流路の一端であり、エミッタが電流路の他端であり、ベースが制御端子である。
受信部320は、データを受信し、受信したデータを示す信号を制御部330に供給する回路である。具体的には、受信部320は、一対の通信線間に印加されている電圧を検出し、検出した電圧に応じた信号を制御部330に供給する。より詳細には、受信部320は、通信線15と通信線16との間に印加されている電圧が、5V、0V、−5Vのいずれであるのかを検出し、5V、0V、−5Vのいずれかを示す信号を制御部330に供給する。受信部320は、例えば、A/D(Analog/Digital)変換器(図示せず)を備える。
制御部330は、通信に関わる制御を実行する。具体的には、制御部330は、送信部310を制御して、送信するデータに応じた電圧を、通信線15と通信線16との間に印加する。また、制御部330は、通信線15と通信線16との間に印加された電圧に応じた信号を、受信部320から受信する。制御部330は、受信部320により要求データが受信された場合、送信部310を制御して応答データを配線長計測装置100に送信する。応答データは、例えば、送信元のアドレスとして室内機300のアドレスを含み、送信先のアドレスとして配線長計測装置100のアドレスを含む。制御部330の機能は、例えば、プロセッサ(図示せず)の機能により実現される。
電源部340は、通信用の直流電圧であるVccを供給する回路である。本実施形態では、Vccは5Vである。電源部340は、内部インピーダンスが0である理想的な直流電源である直流電源341と、電源部340に内在するインピーダンスである内部インピーダンス342と、を備えるものと見做すことができる。内部インピーダンス342は、基本的に、電源部340に内在する内部抵抗である。内部インピーダンス342の値は、例えば、負荷抵抗700の値よりも十分に低く、低インピーダンスと言える。内部インピーダンス342の値は、例えば、数Ω以下である。
次に、室内機300がデータを送信するときの送信部310及び制御部330の動作について説明する。上述したように、制御部330は、送信部310を制御して、送信するデータに応じた電圧を、通信線15と通信線16との間に印加する。ここで、通信線15と通信線16との間に印加する電圧は、5V、0V、−5Vのいずれかである。
制御部330は、5Vを印加する場合、図5に示すように、スイッチング素子311,314をONし、スイッチング素子312,313をOFFにする。この場合、図5に太い実線の矢印で示すように、電源部340から供給される電流は、電源端子、スイッチング素子311、通信線15、負荷抵抗700、通信線16、スイッチング素子314、接地端子の順で流れる。ここで、スイッチング素子311,314がONにされると、図5に太い破線の矢印で示すように、通信線15と通信線16とが電源部340を介して接続される。このため、スイッチング素子311,314がONにされると、通信線15と通信線16とが内部インピーダンス342により接続され、通信線15と通信線16とが低インピーダンスで接続される。
制御部330は、−5Vを印加する場合、スイッチング素子312,313をONし、スイッチング素子311,314をOFFにする。この場合、電源部340から供給される電流は、電源端子、スイッチング素子313、通信線16、負荷抵抗700、通信線15、スイッチング素子312、接地端子の順で流れる。ここで、スイッチング素子312,313がONにされると、通信線15と通信線16とが電源部340を介して接続されるため、通信線15と通信線16とが内部インピーダンス342を介して接続される。従って、通信線15と通信線16とが低インピーダンスで接続され、通信線15と通信線16とがほぼ短絡された状態となる。
一方、制御部330は、0Vを印加する場合、スイッチング素子311,312,313,314をOFFにする。この場合、通信線15と通信線16とが電源部340を介して接続されないため、通信線15と通信線16とが内部インピーダンス342により接続されず、通信線15と通信線16とが低インピーダンスで接続されない。
以上説明したように、室内機300により通信線15と通信線16との間に5V又は−5Vが印加される場合、室内機300により通信線15と通信線16との間が低インピーダンスで接続される。一方、室内機300により通信線15と通信線16との間に0Vが印加される場合、室内機300により通信線15と通信線16との間が低インピーダンスで接続されない。
ここで、一対の通信線間の電圧が0Vとなる期間(Thi)は、いずれの機器によっても、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されない期間である。一対の通信線間の電圧が0Vとなる期間(Thi)は、いずれの機器もデータを送信していない期間、いずれかの機器がビットデータとして1を送信している期間、又は、いずれかの機器がビットデータとして0を送信している期間のうち後半の期間である。
ここで、データには、ACKコード以外のデータである通常のデータと、ACKコードとがある。ACKコードは、通常のデータを正常に受信したことを送信元の機器に通知するためのデータである。ACKコードは、通常のデータの送信が完了した時刻から予め定められた時間であるTw1が経過した時刻に返信が開始される。一方、通常のデータは、前のデータの送信が完了した時刻から予め定められた時間であるTw2が経過した時刻に返信が開始される。ここで、Tw1は、基本的に、Tw2よりも短い。従って、ACKコードは、通常のデータよりも優先して送信される。
ACKコードは、送信元の機器のアドレスと送信先の機器のアドレスとを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ACKコードは、通常のデータと同様に、0又は1のビットデータにより構成される。ACKコードは、例えば、0x09である。本実施形態では、理解を容易にするため、ACKコードでなく通常のデータのみが用いられるものとする。
送信部102は、基本的に、送信部310と制御部330と電源部340とを組み合わせた構成である。つまり、送信部102は、例えば、4つのスイッチング素子(図示せず)を備え、4つのスイッチング素子の状態を制御することにより、通信線15と通信線16との間に電圧を印加する。具体的には、送信部102は、通信線15と通信線16との間に5V又は−5Vを印加する場合、2つのスイッチング素子をONし、2つのスイッチング素子をOFFすることにより、通信線15と通信線16とのうち一方の通信線の電位を5Vにし、他方の通信線の電位を0Vにする。また、送信部102は、通信線15と通信線16との間に0Vを印加する場合、4つのスイッチング素子をOFFすることにより、通信線15と通信線16との間の電圧を0Vにする。
検知部103は、一対の通信線間に第1の電圧が印加されたことを検知する。第1の電圧は、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されるときの一対の通信線間の電圧であり、例えば、5V(又は、−5V)である。検知部103は、第1の電圧以外の電圧から第1の電圧に変化するエッジを検知する。本実施形態では、検知部103は、0Vから5Vに変化するエッジを検知する。検知部103の機能は、例えば、コンパレータ(図示せず)の機能により実現される。
パルス印加部104は、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されているときに、一対の通信線上における基準位置において一対の通信線間に電圧パルスを印加する。なお、基準位置は、一対の通信線上における配線長計測装置100が接続される位置である。ここで、第1の機器がデータを送信する際に、第1の機器により一対の通信線間に第1の電圧が印加されているときに、第1の機器により一対の通信線間が低インピーダンスで接続される。
本実施形態では、第1の機器が送信するデータには、第1の機器のアドレスが含まれているものとする。電圧パルスは、例えば、図6に示すように、電圧の振幅がVpの矩形パルスである。Vpは、例えば、5V以下であり、数V程度の電圧である。また、電圧パルスのパルス幅は、1ビット期間の半分よりも短い。例えば、L1+L2+L3が1000m程度であり、絶縁部材616がポリ塩化ビニルである場合、電圧パルスのパルス幅は、12μS程度であることが好適である。パルス印加部104の機能は、例えば、直流電源(図示せず)とスイッチング素子(図示せず)と制御回路(図示せず)とが協働することにより実現される。
波形測定部105は、基準位置において一対の通信線間の電圧波形を測定する。測定される電圧波形は、基本的に、図6に示すように、図4に示す信号波形に電圧パルスが重畳された電圧波形である。ただし、測定される電圧波形上では、重畳されている電圧パルスは、反射波の影響を受けた波形として観測される。つまり、電圧パルスは、反射波により干渉された干渉波として観測される。この反射波は、基本的に、一対の通信線上における第1の機器の接続位置で発生する反射波である。波形測定部105の機能は、例えば、A/D変換器(図示せず)の機能により実現される。
受信部106は、一対の通信線間の電圧を検出し、第1の機器のアドレスを含むデータを受信する。本実施形態では、受信部106は、波形測定部105により測定された電圧波形から1フレーム分のデータを再構成することにより、第1の機器からデータを受信する。受信部106の機能は、例えば、プロセッサ(図示せず)の機能により実現される。
アドレス特定部107は、受信部106により受信されたデータから、このデータを送信した機器のアドレスを特定する。アドレス特定部107は、例えば、1フレーム分のデータに含まれる送信元のアドレスを示すフィールドのデータから、このデータを送信した機器のアドレスを特定する。このように、アドレス特定部107は、受信部106によりデータが受信された場合、このデータに含まれる第1の機器のアドレスを、このデータの送信元の機器のアドレスとして特定する。アドレス特定部107の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
記憶部108は、モデル波形を示す情報(以下、適宜「モデル波形情報」という。)を記憶する。モデル波形は、電圧パルスに電圧パルスの反射波が重畳された波形の一部分のモデル波形である。つまり、モデル波形は、電圧パルスに電圧パルスの反射波が重畳されるときに波形測定部105により測定される電圧波形のモデルである。また、モデル波形は、反射波の先頭位置、つまり、反射波の重畳開始位置を含み、第1の時間長を有する。記憶部108の機能は、例えば、フラッシュメモリ(図示せず)の機能により実現される。以下、図6と図7とを参照して、反射波とモデル波形とについて説明する。
まず、図6に示すように、t0からt1までの期間に一対の通信線間に5Vが印加される場合において、t10からt12までの期間に電圧パルスが印加された場合を想定する。この場合、t0からt10までの期間に測定される電圧は、5Vである。また、t10からt11までの期間に測定される電圧は、5V+Vpである。ここで、t11は、t10において配線長計測装置100から出力された電圧パルスが、第1の機器である室内機300で反射し、この反射により発生した反射波が配線長計測装置100に到達した時刻である。従って、t10からt11までの時間であるTrは、電圧パルスが配線長計測装置100と室内機300との間を往復するのに要する時間(以下、適宜「パルス往復時間」という。)である。
ここで、配線長計測装置100から出力された電圧パルスが室内機300で反射する理由について説明する。まず、一対の通信線は、長さ以外は同様の構成である、ケーブル610,620,630が直列に接続されて構成される。従って、一対の通信線を分布定数回路とみなしたとき、特性インピーダンスは、基本的に、一対の通信線のどの部分においても同程度である。ここで、分布定数回路に電圧パルスを印加した場合、特性インピーダンスが整合していない位置で、反射が生じる。具体的には、特性インピーダンスが急激に増大する位置では正の反射が生じ、特性インピーダンスが急激に減少する位置では負の反射が生じる。
室内機300がデータを送信する場合において、一対の通信線間に5Vを印加する場合、一対の通信線上における室内機300の接続位置において、一対の通信線間が電源部340の内部インピーダンスで接続される。この内部インピーダンスは、非常に小さいため、一対の通信線間は、室内機300の接続位置において短絡されたような状態となる。その結果、室内機300の接続位置では、一対の通信線の特性インピーダンスが低くなり、室内機300の接続位置において、負の反射が生じる。このため、図6に示すように、t11からt12の間、電圧パルスは電圧パルスの反射波により干渉された波形として観測される。t11により示される反射波の先頭位置は、電圧値の低下が開始される位置を示し、電圧値が変化する位置を示すため、適宜、変化点という。
ここで、特に、電圧パルスが反射波により干渉されたときの電圧の低下の仕方は、基本的に、ケーブル610の種類や室内機300が備えるトランシーバ(例えば、送信部310、受信部320、制御部330、電源部340)の種類に依存するが、ケーブル610の長さにはあまり依存しない。つまり、ケーブル610の長さが変わっても、基本的に、測定される電圧波形上において電圧パルスが反射波により干渉され始める部分の電圧波形はあまり変わらない。そこで、新たに測定される電圧波形上において電圧パルスが反射波により干渉され始める部分を特定するために、この部分の電圧波形をモデル波形として予め用意しておくことが好適である。
モデル波形は、例えば、配線長計測装置100により測定された電圧波形、つまり、図6に示す電圧波形から抽出することができる。ここで、ユーザは、例えば、巻き尺によりケーブル610の長さを測定し、ケーブル610の長さに対応するパルス往復時間であるTrを求める。そして、測定された電圧波形から、電圧パルスの立ち上がり時刻であるt10からTrだけ経過した時刻であるt11を中心として、第1の時間長であるT1分の電圧波形をモデル波形として抽出することができる。
なお、ケーブル620,630は、ケーブル610と同様の種類であり、長さ以外は、ケーブル610と同様の構成である。また、室外機200、室内機400,500は、室内機300が備えるトランシーバと同様の構成を備える。従って、どの機器が第1の機器であっても、測定される電圧波形上において電圧パルスが反射波により干渉され始める部分の電圧波形はあまり変わらない。このため、ケーブル610の種類とトランシーバの種類との組み合わせ毎に、1つのモデル波形を用意しておけばよい。
波形比較部109は、記憶部108に記憶されたモデル波形情報により示されるモデル波形と、波形測定部105により測定された電圧波形から抽出される第1の時間長分の部分波形(以下、適宜「抽出波形」という。)と、を比較する。波形比較部109は、測定された電圧波形から抽出される抽出波形のうち、モデル波形に最も類似する抽出波形を特定する。そして、波形比較部109は、特定した抽出波形の抽出位置を特定し、特定した抽出位置から電圧パルスの先頭位置までの長さをパルス往復時間として特定する。この抽出位置は、特定された抽出波形の中心位置である。
どのような抽出波形をモデル波形に最も類似する抽出波形とみなすのかは、適宜、調整することができる。例えば、波形比較部109は、測定された電圧波形から抽出される抽出波形のうち、モデル波形との相関係数が最も大きい抽出波形を、モデル波形に最も類似する抽出波形とみなすことができる。この場合、波形比較部109は、例えば、抽出位置の初期値を電圧パルスの先頭位置にして、抽出波形とモデル波形との相関係数を求める処理と、抽出位置をT1よりも短いT2だけシフトする処理とを、抽出位置が電圧パルスの末尾位置になるまで繰り返す。そして、波形比較部109は、相関係数が最大となる抽出位置を特定する。波形比較部109の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
モデル波形及び抽出波形がn個の要素(n個の電圧値)を含む場合、相関係数は、例えば、相関係数をr、モデル波形を構成するi番目の要素をxi、抽出波形を構成するi番目の要素をyi、モデル波形を構成するn個の要素の平均値をmx、抽出波形を構成するn個の要素の平均値をmyとして、式(1)により表すことができる。
配線長算出部110は、波形比較部109により特定されたパルス往復時間から、配線長を算出する。配線長は、例えば、配線長(m)をD、真空中における光速(m/sec)をVc、パルス往復時間(sec)をTr、ケーブル610,620,630の実効比誘電率をεrとして、式(2)により表すことができる。配線長算出部110は、第1の機器を示す情報(以下、適宜「機器識別情報」という。)と算出した配線長を示す情報(以下、適宜「配線長情報」という。)と、を対応付けた情報(以下、適宜「対応付け情報」という。)を、記憶部108に記憶させる。配線長算出部110の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
表示部111は、受信部106により応答データが受信された場合、記憶部108に記憶された対応付け情報を取得し、第1の機器を示す機器識別情報と、配線長計測装置100から第1の機器までの配線長を示す配線長情報と、を対応付けて表示する。なお、機器識別情報は、例えば、第1の機器の名称、第1の機器の型番、第1の機器のアドレス、第1の機器の設置位置を示す情報である。表示部111の機能は、例えば、プロセッサ(図示せず)とタッチスクリーン(図示せず)とが協働することにより実現される。
次に、図8に示すフローチャートを参照して、配線長計測装置100が実行する配線長計測処理について説明する。この配線長計測処理は、配線長計測方法を実現するための処理である。配線長計測処理は、配線長計測装置100の電源が投入されると開始される。
まず、配線長計測装置100は、計測開始指示があるか否かを判別する(ステップS101)。例えば、配線長計測装置100は、操作受付部101に対して、配線長の計測の開始を指示する操作がユーザによりなされたか否かを判別する。なお、ユーザは、一対の通信線上における室外機200の接続位置に配線長計測装置100を接続した後に、上記操作を実行する。配線長計測装置100は、計測開始指示がないと判別すると(ステップS101:NO)、ステップS101に処理を戻す。
配線長計測装置100は、計測開始指示があると判別すると(ステップS101:YES)、第1の機器を選択する(ステップS102)。例えば、配線長計測装置100は、第1の機器として、空調システム1000が備える全ての機器(室外機200、室内機300,400,500)の中から1つの機器を選択する。以下、第1の機器として、室内機300が選択されるものとして説明する。
配線長計測装置100は、ステップS102の処理を完了すると、要求データを送信する(ステップS103)。具体的には、送信部102は、送信元の機器のアドレスとして配線長計測装置100のアドレスを含み、送信先の機器のアドレスとして室内機300のアドレスを含み、コマンドとしてデータの返信を要求するコマンドを含む要求データを送信する。一方、室内機300は、要求データを受信すると、応答データを送信する。応答データは、例えば、送信元の機器のアドレスとして室内機300のアドレスを含み、送信先の機器のアドレスとして配線長計測装置100のアドレスを含む。
配線長計測装置100は、ステップS103の処理を完了すると、エッジを検出する(ステップS104)。具体的には、検知部103は、室内機300による応答データの送信に伴って一対の通信線間の電圧が0Vから5Vに変化したことを検知する。
配線長計測装置100は、ステップS104の処理を完了すると、電圧波形の測定を開始する(ステップS105)。つまり、波形測定部105は、検知部103によりエッジが検知されたことに応答して、一対の通信線間の電圧波形の測定を開始する。
配線長計測装置100は、ステップS105の処理を完了すると、電圧パルスを印加する(ステップS106)。つまり、パルス印加部104は、波形測定部105により電圧波形の測定が開始されたことに応答して、一対の通信線間に電圧パルスを印加する。
配線長計測装置100は、ステップS106の処理を完了すると、データを受信する(ステップS107)。具体的には、受信部106は、波形測定部105により測定された電圧波形をビットデータに変換する処理を、1フレーム分のデータが取得されるまで繰り返す。
配線長計測装置100は、ステップS107の処理を完了すると、電圧波形の測定を終了する(ステップS108)。具体的には、波形測定部105は、受信部106により1フレーム分のデータが取得されたことに応答して、電圧波形の測定を終了する。
配線長計測装置100は、ステップS108の処理を完了すると、データを送信した機器を特定する(ステップS109)。具体的には、アドレス特定部107は、受信部106により受信された1フレーム分のデータに含まれる送信元アドレスから、データを送信した機器を特定する。なお、データを送信した機器は、基本的には、要求データの送信先の機器であるが、他の機器である可能性もある。この場合、例えば、第1の機器は、他の機器に置き換えられると好適である。
配線長計測装置100は、ステップS109の処理を完了すると、測定された電圧波形とモデル波形とを比較する(ステップS110)。具体的には、波形比較部109は、抽出波形の抽出位置を電圧パルスの先頭位置に設定した後、抽出波形とモデル波形との相関係数を算出する処理と、抽出位置をシフトする処理とを、抽出位置が電圧パルスの末尾位置に至るまで繰り返す。
配線長計測装置100は、ステップS110の処理を完了すると、パルス往復時間を算出する(ステップS111)。具体的には、波形比較部109は、測定された電圧波形上において、相関係数が最大である抽出位置から電圧パルスの先頭位置までの長さを特定し、特定した長さをパルス往復時間として算出する。
配線長計測装置100は、ステップS111の処理を完了すると、配線長を算出する(ステップS112)。具体的には、配線長算出部110は、式(2)を用いて、波形比較部109により特定されたパルス往復時間から配線長を算出する。
配線長計測装置100は、ステップS112の処理を完了すると、未選択の機器があるか否かを判別する(ステップS113)。具体的には、配線長計測装置100は、空調システム1000に含まれる機器のうち第1の機器として選択されていない機器があるか否かを判別する。配線長計測装置100は、未選択の機器があると判別すると(ステップS113:YES)、ステップS102に処理を戻し、第1の機器として選択済みでない機器を選択する。
配線長計測装置100は、未選択の機器がないと判別すると(ステップS113:NO)、機器識別情報と配線長情報とを対応付けて表示する(ステップS114)。例えば、表示部111は、図9に示す画面900を表示する。
図9に示すように、画面900は、機器毎に機器識別情報と配線長情報とを対応付けて提示する画面である。具体的には、画面900は、室外機200から配線長計測装置100までの配線長が50cmであり、室内機300から配線長計測装置100までの配線長が20mであり、室内機400から配線長計測装置100までの配線長が30mであり、室内機500から配線長計測装置100までの配線長が50mであることを提示する画面である。
図9に示すように、画面900には、画像911,912,913,914,921,922,923,924が表示される。画像911,912,913,914は、それぞれ、室外機200、室内機300,400,500を示す機器識別情報を示す画像である。画像921,922,923,924は、それぞれ、配線長計測装置100から室外機200、室内機300,400,500までの配線長を示す配線長情報を示す画像である。
画像911と画像921とは、「室外機」という名称により識別される室外機200が第1の機器として選択されたときに、配線長計測装置100から室外機200までの配線長が50cmであることを示す。画像912と画像922とは、「室内機A」という名称により識別される室内機300が第1の機器として選択されたときに、配線長計測装置100から室内機300までの配線長が20mであることを示す。画像913と画像923とは、「室内機B」という名称により識別される室内機400が第1の機器として選択されたときに、配線長計測装置100から室内機400までの配線長が30mであることを示す。画像914と画像924とは、「室内機C」という名称により識別される室内機500が第1の機器として選択されたときに、配線長計測装置100から室内機500までの配線長が50mであることを示す。
配線長計測装置100は、ステップS114の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。
以上説明したように、本実施形態では、配線長計測装置100の接続位置から第1の機器の接続位置(一対の通信線間が低インピーダンスで接続された位置)までの配線長が計測される。具体的には、本実施形態では、第1の機器がデータを送信し、第1の機器の接続位置において一対の通信線間が低インピーダンスで接続されているときに、基準位置において一対の通信線間に電圧パルスが印加され、基準位置において測定された電圧波形上における電圧パルスの先頭位置から電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに対応する配線長が求められる。このため、本実施形態によれば、低コストで容易に基準位置から第1の機器までの配線長を求めることができる。
なお、一対の通信線上における基準位置からみて、一対の通信線上において特定インピーダンスが低下する位置は、一対の通信線上における第1の機器(データ送信中の機器)の接続位置だけである。このため、配線長計測装置100は、基準位置から第1の機器の接続位置までの配線長を適切に特定することができる。
また、本実施形態では、第1の機器を示す機器識別情報と配線長情報とが対応付けられて表示される。このため、本実施形態によれば、配線長計測装置100から第1の機器までの配線長を、ユーザに分かりやすく知らせることができる。
また、本実施形態では、第1の機器から送信されたデータは、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていることを検知するためのトリガとして用いられる他、第1の機器を特定するためにも用いられる。このため、本実施形態によれば、配線長の計測対象である第1の機器を、容易に特定することができる。
また、本実施形態では、測定された電圧波形から抽出される抽出波形のうち、反射波の先頭位置を含むモデル波形との相関係数が最大である抽出波形の抽出位置から、電圧パルスの先頭位置までの長さであるパルス往復時間に対応する配線長が特定される。このため、本実施形態によれば、配線長を正確に求めることができる。
また、本実施形態では、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されたことが、一対の通信線間に第1の電圧が印加されたことの検知により検知される。このため、本実施形態によれば、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されたことを、容易に検知することができる。
また、本実施形態では、データを送信することを要求する要求データが第1の機器に送信される。このため、本実施形態によれば、速やかに配線長を求めることができる。
なお、本実施形態において求められた配線長は、様々な用途に用いることができる。例えば、ユーザは、求められた配線長から信号波形をシミュレーションすることにより、通信品質を推定することが可能である。つまり、ユーザは、求められた配線長から、通信エラーの発生確率が高い機器を推定したり、再現性の低い通信不具合を洗い出したり、通信不具合への対策を立案したり、サンプリング位置を決定したりすることができる。
(実施形態2)
実施形態1では、測定された電圧波形のうち電圧パルスの重畳部分である部分波形から、一対の通信線上における第1の機器の接続位置で発生した反射波の先頭位置を特定する例について説明した。しかしながら、電圧パルスの反射波は、厳密には、第1の機器の接続位置以外の位置でも発生する。例えば、第1の機器が室内機300である場合、電圧パルスの反射波は、室内機300の接続位置だけでなく、室内機400の接続位置、及び、室内機500の接続位置でも発生する。このため、測定された電圧波形上において、室内機300の接続位置以外の位置においても、電圧値の低下が観測される可能性が高い。この場合、上記部分波形から、単純に、室内機300の接続位置で発生した反射波の先頭位置を特定することが難しい。
そこで、本実施形態では、第1の機器の接続位置以外の位置で発生した反射波の影響を減らして、第1の機器の接続位置で発生した反射波の先頭位置を特定する手法について説明する。以下、主に、実施形態1と差異がある点について説明する。
本実施形態では、検知部103は、一対の通信線間に第1の電圧が印加されたことと一対の通信線間に第1の電圧とは異なる第2の電圧が印加されたこととを検知する。第1の電圧は、例えば、5V、又は、−5Vである。第2の電圧は、例えば、0Vである。
パルス印加部104は、第1の機器によりデータが送信され、一対の通信線上における第1の機器の接続位置において一対の通信線間が低インピーダンスで接続されているときに、基準位置において一対の通信線間に第1の電圧パルスを印加する。また、パルス印加部104は、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていないときに、基準位置において一対の通信線間に第2の電圧パルスを印加する。
つまり、パルス印加部104は、一対の通信線間に第1の電圧が印加されたことに応答して、一対の通信線間に第1の電圧パルスを印加し、一対の通信線間に第2の電圧が印加されたことに応答して、一対の通信線間に第2の電圧パルスを印加する。第1の電圧パルスと第2の電圧パルスとは、いずれも、実施形態1で説明した電圧パルスである。つまり、基本的に、第1の電圧パルスの振幅と第2の電圧パルスの振幅とは等しく、第1の電圧パルスのパルス幅と第2の電圧パルスのパルス幅とも等しい。
一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていないことは、一対の通信線上におけるいずれの機器の接続位置においても、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていないことを意味する。つまり、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていないときは、一対の通信線間の電圧が0Vであるときである。なお、一対の通信線間の電圧が0Vであるときは、いずれの機器もデータを送信していないとき、いずれかの機器がビットデータとして1を送信しているとき、又は、いずれかの機器がビットデータとして0を送信している期間のうち後半の期間に対応するときである。
記憶部108は、モデル波形を示す情報(以下、適宜「モデル波形情報」という。)を記憶する。モデル波形は、差分波形の一部分のモデル波形である。モデル波形は、反射波の先頭位置を含み、第1の時間長を有する。差分波形は、第1の部分波形と第2の部分波形との差分波形である。第1の部分波形は、測定された電圧波形のうち第1の電圧パルスの重畳部分である。第2の部分波形は、測定された電圧波形のうち第2の電圧パルスの重畳部分である。差分波形は、具体的には、第1の部分波形と第2の部分波形とを、第1の電圧パルスの先頭位置と第2の電圧パルスの先頭位置とを重ねて電圧値の差分をとった波形である。
波形比較部109は、記憶部108に記憶されたモデル波形情報により示されるモデル波形と、測定された電圧波形から求められた差分波形から抽出される第1の時間長分の部分波形(以下、適宜「抽出波形」という。)と、を比較する。波形比較部109は、差分波形から抽出される抽出波形のうち、モデル波形に最も類似する抽出波形を特定する。そして、波形比較部109は、特定した抽出波形の抽出位置を特定する。この抽出位置は、特定された抽出波形の中心位置である。そして、波形比較部109は、差分波形上における、第1の電圧パルスの先頭位置から、特定した抽出位置までの長さをパルス往復時間として特定する。
どのような抽出波形をモデル波形に最も類似する抽出波形とみなすのかは、適宜、調整することができる。例えば、波形比較部109は、差分波形から抽出される抽出波形のうち、モデル波形との相関係数が最も大きい抽出波形を、モデル波形に最も類似する抽出波形とみなすことができる。なお、抽出波形とモデル波形との相関係数を求める手法は、実施形態1で示した通りである。
ここで、配線長算出部110は、電圧波形上における電圧パルスの先頭位置から反射波の先頭位置までの長さに対応する配線長として、以下の配線長を算出する。具体的には、配線長算出部110は、差分波形上における、第1の電圧パルスの先頭位置から反射波の先頭位置までの長さ、に対応する配線長を算出する。より詳細には、配線長算出部110は、差分波形上における、第1の電圧パルスの先頭位置から、差分波形から抽出される第1の時間長分の抽出波形のうちモデル波形との相関係数が最大である抽出波形の抽出位置までの長さ、に対応する配線長を算出する。
次に、図10を参照して、本実施形態において測定される電圧波形について説明する。本実施形態では、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されているとき、つまり、一対の通信線間に5V又は−5Vが印加されているときに、一対の通信線間に第1の電圧パルスが印加される。また、本実施形態では、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されていないとき、つまり、一対の通信線間に0Vが印加されているときに、一対の通信線間に第2の電圧パルスが印加される。
ここで、パルス印加部104により一対の通信線間に印加される第1の電圧パルスの形状と、パルス印加部104により一対の通信線間に印加される第2の電圧パルスの形状とは同じである。しかしながら、分布定数回路とみなされる一対の通信線の特性インピーダンスの分布状況は、第1の電圧パルスの印加時と第2の電圧パルスの印加時とで異なる。従って、第1の電圧パルスによって発生する反射波の形状と、第2の電圧パルスによって発生する反射波の形状とは異なる。
具体的には、第1の電圧パルスの印加時には、一対の通信線間が第1の機器の接続位置において低インピーダンスで接続されている。従って、第1の電圧パルスの印加時には、第1の機器の接続位置において特性インピーダンスが低下し、第1の機器の接続位置において負の反射が発生する。一方、第2の電圧パルスの印加時には、一対の通信線間が第1の機器の接続位置において低インピーダンスで接続されていない。従って、第2の電圧パルスの印加時には、第1の機器の接続位置において特性インピーダンスが低下せず、第1の機器の接続位置において負の反射が発生しない。
このように、第1の機器の接続位置においては、第1の電圧パルスの印加時と第2の電圧パルスの印加時とで、特性インピーダンスの変化の仕方が大きく異なる。従って、第1の電圧パルスの印加時と第2の電圧パルスの印加時とで、第1の機器の接続位置における反射波の発生状況が大きく異なる。
一方、第1の機器の接続位置以外の位置においては、第1の電圧パルスの印加時と第2の電圧パルスの印加時とで、特性インピーダンスの変化の仕方があまり変わらない。従って、第1の電圧パルスの印加時と第2の電圧パルスの印加時とで、第1の機器の接続位置以外の位置における反射波の発生状況はあまり変わらない。そこで、第1の電圧パルスの重畳部分である第1の部分波形と第2の電圧パルスの重畳部分である第2の部分波形との差分波形上において、反射波の影響を強く受けている位置を、第1の機器の接続位置に対応する位置と見做すことが好適である。
図10に示すように、t0からt1までの期間に5Vが印加され、t1からt2までの期間に0Vが印加され、t10からt12までの期間に第1の電圧パルスが印加され、t21からt23までの期間に第2の電圧パルスが印加された場合を想定する。
この場合、t10からTrが経過した時刻であるt11以降、第1の機器の接続位置において発生した、第1の電圧パルスの反射波が観測される。Trは、第1の電圧パルスが配線長計測装置100と第1の機器との間を往復するのに要するパルス往復時間である。この反射波は、負の反射波であるため、観測される電圧値は、t11を境にして低下する。一方、t21からTrが経過した時刻であるt22以降、第1の機器の接続位置において第2の電圧パルスの反射波は発生しないため、反射波が観測されない。従って、観測される電圧値は、t22を境にして低下しない。
つまり、t11直後の期間における電圧波形の形状と、t22直後の期間における電圧波形の形状とは、大きく異なる。一方、t11直後以外の期間における電圧波形の形状と、t22直後以外の期間における電圧波形の形状とは、大きく異ならない。このため、差分波形は、t11及びt22直後の期間に対応する期間でのみ形状が大きく変化する波形となる。
次に、図11を参照して、差分波形について説明する。図11において、第1の部分波形を太線21で示し、第2の部分波形を細線22で示し、差分波形を破線23で示す。なお、モデル波形は、基本的に、破線23で示される差分波形のうち、破線24で囲まれた領域内の波形と同様の波形である。第1の部分波形は、第1の電圧パルスの先頭位置を縦軸に合わせている。第2の部分波形は、第2の電圧パルスの先頭位置を縦軸に合わせている。差分波形は、第1の電圧パルスの先頭位置及び第2の電圧パルスの先頭位置に対応する位置を縦軸に合わせている。
また、第1の部分波形、第2の部分波形、差分波形、抽出波形などの波形は、基本的に、相関係数を求めるために用いられる。ここで、相関係数は、基本的に、波形の形状に依存し、波形全体が電圧軸方向にオフセットされていても変化しない。そこで、本実施形態では、第1の部分波形及び差分波形として、5V分のオフセット電圧を除外した波形を採用している。また、理解を容易にするため、図11では、第2の部分波形を100mV分、下方向にオフセットし、差分波形を100mV分、上方向にオフセットしている。
第1の部分波形は、0から0.2までの期間に電圧値が低下し、0.2からt3までの期間に電圧値が上昇し、t3以降に電圧値がなだらかに低下する波形である。第2の部分波形は、0から0.2までの期間に電圧値が低下し、0.2からt3までの期間に電圧値が上昇し、t3以降に電圧値がなだらかに上昇したり低下したりする波形である。差分波形は、0からt3までの期間に電圧値がほぼ一定値に維持され、t3以降に電圧値が低下する波形である。このように、差分波形は、第1の部分波形と第2の部分波形とが同様に変化する期間は、電圧値がほぼ一定値に維持され、第1の部分波形の変化と第2の部分波形の変化とが異なる期間は、電圧値が変化する波形となる。
従って、差分波形は、第1の部分波形の変化と第2の部分波形の変化とが大きくなる位置であるt3を特定するのに好適な波形である。なお、t3は、第1の機器の接続位置に対応する時刻であり、第1の機器の接続位置において発生した反射波の影響が出始める時刻である。一方、第1の部分波形は、t3以降に電圧値が低下するが、0から0.2までの期間にも電圧値が低下する。このため、第1の部分波形は、第1の機器の接続位置において発生した反射波の影響が出始める時刻を特定することが困難である可能性がある波形である。
次に、図12に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る配線長計測装置100が実行する配線長計測処理について説明する。
まず、配線長計測装置100は、計測開始指示があるか否かを判別する(ステップS201)。配線長計測装置100は、計測開始指示がないと判別すると(ステップS201:NO)、ステップS201に処理を戻す。配線長計測装置100は、計測開始指示があると判別すると(ステップS201:YES)、第1の機器を選択する(ステップS202)。
配線長計測装置100は、ステップS202の処理を完了すると、データを送信する(ステップS203)。このように、本実施形態では、配線長計測装置100は、第1の機器に応答データを送信させるための要求データではなく、第1の機器にACKコードを送信させるためのデータである通常のデータを送信する。配線長計測装置100は、ステップS203の処理を完了すると、電圧波形の測定を開始する(ステップS204)。
配線長計測装置100は、ステップS204の処理を完了すると、低インピーダンス期間を検出する。(ステップS205)。例えば、配線長計測装置100は、データの送信が完了した時刻から、Tw1が経過したことを検出する。或いは、配線長計測装置100は、一対の通信線間の電圧が0Vから5Vに変化したことを検知してもよい。配線長計測装置100は、ステップS205の処理を完了すると、第1の電圧パルスを印加する(ステップS206)。
配線長計測装置100は、ステップS206の処理を完了すると、高インピーダンス期間を検出する。(ステップS207)。例えば、配線長計測装置100は、データの送信が完了した時刻から、Tw1が経過し、更に、1ビット期間の半分の時間が経過したことを検出する。或いは、配線長計測装置100は、一対の通信線間の電圧が5Vから0Vに変化したことを検知してもよい。配線長計測装置100は、ステップS207の処理を完了すると、第2の電圧パルスを印加する(ステップS208)。
配線長計測装置100は、ステップS208の処理を完了すると、ACKコードを受信する(ステップS209)。配線長計測装置100は、ステップS209の処理を完了すると、電圧波形の測定を終了する(ステップS210)。
配線長計測装置100は、ステップS210の処理を完了すると、差分波形を生成する(ステップS211)。具体的には、配線長計測装置100は、測定された電圧波形から第1の電圧パルスが重畳された第1の部分波形と第2の電圧パルスが重畳された第2の部分波形とを抽出する。そして、配線長計測装置100は、第1の部分波形と第2の部分波形とを時間軸を合わせた上で、電圧値の差分をとる。例えば、配線長計測装置100は、第1の部分波形及び第2の部分波形を構成する全ての電圧値に対して、第1の部分波形を構成する電圧値から第2の部分波形を構成する電圧値を除算する処理を実行する。
配線長計測装置100は、ステップS211の処理を完了すると、差分波形とモデル波形とを比較する(ステップS212)。具体的には、波形比較部109は、抽出波形の抽出位置を第1の電圧パルスの先頭位置に設定した後、抽出波形とモデル波形との相関係数を算出する処理と、抽出位置をシフトする処理とを、抽出位置が第1の電圧パルスの末尾位置に至るまで繰り返す。
配線長計測装置100は、ステップS212の処理を完了すると、パルス往復時間を算出する(ステップS213)。具体的には、配線長計測装置100は、差分波形上において、相関係数が最大である抽出位置から第1の電圧パルスの先頭位置までの長さを特定し、特定した長さをパルス往復時間として算出する。
配線長計測装置100は、ステップS213の処理を完了すると、配線長を算出する(ステップS214)。配線長計測装置100は、ステップS214の処理を完了すると、未選択の機器があるか否かを判別する(ステップS215)。配線長計測装置100は、未選択の機器があると判別すると(ステップS215:YES)、ステップS202に処理を戻し、第1の機器として選択済みでない機器を選択する。
配線長計測装置100は、未選択の機器がないと判別すると(ステップS215:NO)、機器識別情報と配線長情報とを対応付けて表示する(ステップS216)。配線長計測装置100は、ステップS216の処理を完了すると、ステップS201に処理を戻す。
本実施形態では、第1の機器の接続位置以外の位置において発生した反射波の影響がほぼキャンセルされた差分波形に基づいて、第1の機器の接続位置において発生した反射波の先頭位置が特定され、この反射波の先頭位置から配線長が特定される。このため、本実施形態によれば、低コストで容易に基準位置から第1の機器までの配線長を正確に求めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
(変形例1)
実施形態1では、一対の通信線上における室外機200の接続位置に配線長計測装置100が接続される例について説明した。配線長計測装置100が接続される位置は、この例に限定されない。例えば、図13に示すように、一対の通信線上における室内機300の接続位置に配線長計測装置100が接続されてもよい。なお、変形例1では、空調システム1000自体は、実施形態1に係る空調システム1000と同様であり、配線長計測装置100の接続位置だけが実施形態と異なる。
変形例1では、端子121と端子301とは、電線11を介して接続され、端子122と端子302とは、電線12を介して接続される。配線長計測装置100は、第1の機器を室外機200とした場合、L1を配線長として計測し、第1の機器を室内機300とした場合、極めて短い長さ(例えば、数十cm)を配線長として計測し、第1の機器を室内機400とした場合、L2を配線長として計測し、第1の機器を室内機500とした場合、L2+L3を配線長として計測する。
変形例1においても、配線長計測装置100の接続位置から第1の機器の接続位置(一対の通信線間が低インピーダンスで接続された位置)までの配線長が適切に計測される。
(変形例2)
実施形態1及び変形例1では、室外機200と室内機300と室内機400と室内機500とが直列に接続された空調システム1000に適用する例について説明した。適用する空調システムの配線トポロジは、この例に限定されない。変形例2では、図14を参照して、室内機300に対して、室外機200と室内機400と室内機500とが並列に接続された空調システム1100に適用する例について説明する。
変形例2では、室外機200と室内機300とがケーブル610により接続され、室内機300と室内機400とがケーブル620により接続され、室内機300と室内機500とがケーブル630により接続される。つまり、端子201と端子301とは芯線611により接続され、端子202と端子302とは芯線612により接続される。端子301と端子401とは芯線621により接続され、端子302と端子402とは芯線622により接続される。端子301と端子501とは芯線631により接続され、端子302と端子502とは芯線632により接続される。
芯線611と芯線621と芯線631とは、スター型に接続されて通信線15を構成する。芯線612と芯線622と芯線632とは、スター型に接続されて通信線16を構成する。通信線15と通信線16とは、通信に用いられる一対の通信線を構成する。また、変形例2では、変形例1と同様に、一対の通信線上における室内機300の接続位置に配線長計測装置100が接続される。
配線長計測装置100は、第1の機器を室外機200とした場合、L1を配線長として計測し、第1の機器を室内機300とした場合、極めて短い長さ(例えば、数十cm)を配線長として計測し、第1の機器を室内機400とした場合、L2を配線長として計測し、第1の機器を室内機500とした場合、L3を配線長として計測する。
変形例2においても、配線長計測装置100の接続位置から第1の機器の接続位置(一対の通信線間が低インピーダンスで接続された位置)までの配線長が適切に計測される。
(他の変形例)
実施形態1では、負荷抵抗700が、一対の通信線上における室外機200の接続部分に接続される例について説明した。負荷抵抗700の接続箇所は、この例に限定されない。例えば、負荷抵抗700が、一対の通信線上における室内機500の接続部分に接続されてもよい。また、負荷抵抗700の個数は、複数個であってもよい。例えば、室外機200の接続部分と室内機500の接続部分とのそれぞれに負荷抵抗700が接続されてもよい。
実施形態1では、空調システムに適用する例について説明した。適用する通信システムは、空調システムに限定されない。ベースバンド変調方式を採用する種々の通信システムに適用することができる。例えば、照明機器と照明制御装置とを備える照明システムに適用することができる。
実施形態1では、伝送路符号として、デューティ比が50%のAMIを採用する例について説明した。本発明において、AMIにおけるデューティ比は、50%でなくてもよい。また、AMI以外の伝送路符号を採用することができる。例えば、NRZ(Non Return to Zero)、CMI(Code Mark Inversion code)などの伝送路符号を採用することができる。どのような伝送路符号を採用する場合であっても、データを送信する機器のみが、通信用の電源の内部インピーダンスにより、一対の伝送路間を低インピーダンスで接続する構成であればよい。
実施形態1では、通信用の電源電圧が5Vであり、一対の通信線間に印加される電圧が、5V、0V、−5Vのいずれかである例について説明した。通信用の電源電圧が5Vに限定されないことは勿論である。例えば、通信用の電源電圧は、12Vであってもよい。この場合、一対の通信線間に印加される電圧は、12V、0V、−12Vのいずれかとなる。また、伝送路符号によっては、一対の通信線間に印加される電圧のレベルの個数が、3つではなく、2つであってもよい。例えば、通信用の電源電圧が5Vである場合、一対の通信線間に印加される電圧が、5V、0Vのいずれかであってもよい。また、例えば、通信用の電源電圧が12Vである場合、一対の通信線間に印加される電圧が、12V、0Vのいずれかであってもよい。なお、3つのレベル、又は、2つのレベルのうち、少なくとも1つのレベルにおいて、一対の通信線間が低インピーダンスで接続されればよい。
実施形態1では、送信部102や送信部310が備えるスイッチング素子が、NPNトランジスタである例について説明した。スイッチング素子は、PNP(Positive Negative Positive)トランジスタであってもよい。また、スイッチング素子は、バイポーラトランジスタでなくてもよい。例えば、スイッチング素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。つまり、スイッチング素子は、データの送信時に、一対の通信線間を、通信用の電源の内部インピーダンスで接続するものであれば、どのようなものでもよい。
実施形態1では、受信部106は、波形測定部105により測定された電圧波形から、データを再構成する例について説明した。受信部106は、受信部320と同様に、一対の通信線間の電圧を直接検出して、データを受信してもよい。
実施形態1では、空調システム1000が備える全ての機器に対して、配線長が算出される例について説明した。特定の機器のみに対して、配線長が算出されてもよい。この場合、例えば、操作受付部101が、配線長の計測の開始を指示する操作とともに特定の機器を指定する操作をユーザから受け付けることが好適である。
実施形態1では、配線長計測装置100が、第1の機器に対して要求データを送信することにより、第1の機器に応答データを送信させる例について説明した。配線長計測装置100は、第1の機器に対して要求データを送信しなくてもよい。この場合、配線長計測装置100は、第1の機器が自発的又は他の機器による要求に従ってデータを送信したことを検知したことに応答して、配線長を計測する処理(例えば、ステップS104からステップS112までの処理)を実行すればよい。
実施形態1では、ケーブル610,620,630が2本の芯線を含む例について説明した。ケーブル610,620,630に含まれる芯線の本数は3本以上であってもよい。この場合、3本以上の電線芯線から選択される2本の芯線を上述した一対の通信線を構成する芯線とみなして、上述した配線長計測処理を実行することができる。
本発明に係る配線長計測装置の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を本発明に係る配線長計測装置として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2017年8月24日に出願された、日本国特許出願特願2017−161080に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2017−161080の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。