JP2019039148A - 車両用開閉体制御装置 - Google Patents

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【課題】簡素な構成にて、アシストモードにおける優れた操作感を実現すること。【解決手段】アシスト制御部としてのドアECUは、車両の開閉体としてのスライドドアを開閉操作するためのアシスト力Faを当該スライドドアに付与すべくモータを駆動源とした開閉駆動装置としてのドアアクチュエータの作動を制御する。また、操作力演算部としてのドアECUは、スライドドアに付与されるアシスト力Fa、その動作抵抗となる摺動抵抗Fv、質量M、及び動作加速度αに基づいて、スライドドアを開閉操作すべく当該スライドドアに入力される利用者の操作力Fuを演算する(Fu=M×α+Fv−Fa)。そして、目標アシスト力演算部としてのドアECUは、この演算された操作力にアシスト倍率Yを乗ずることにより、そのスライドドアに付与すべき目標アシスト力FaTを演算する(FaT=Fu×Y)。【選択図】図4

Description

本発明は、車両用開閉体制御装置に関するものである。
従来、例えば、パワースライドドア装置等、駆動源を有して車両の開閉体を開閉動作させる開閉体制御装置がある。そして、このような車両用の開閉体制御装置には、利用者が手動により開閉体を開閉操作した場合に、その開閉体にアシスト力を付与する所謂アシストモードを備えたものがある。
例えば、特許文献1に記載のパワースライドドア装置(パワーアシストドア)は、駆動源となるモータの電流値に基づいて、そのモータに対する給電量(デューティ)を調整する。具体的には、検出される電流値が第1の閾値よりも低い場合には、モータに対する給電量を増大させ、その電流値が第1の閾値より高い第2の閾値よりも高い場合には、モータに対する給電量を低減させる。即ち、モータの電流値からスライドドアに付与するアシスト力を演算することができる。そして、これにより、効果的に、そのスライドドアを開閉操作する利用者の負荷を軽減することができる。
また、例えば、特許文献2に記載のパワースライドドア装置(ドア開閉アシスト装置)は、スライドドアを開閉する利用者の操作力を検出するとともに、このスライドドアが実際よりも軽く操作できるものと仮定して、その目標操作力を演算する。そして、この目標操作力に実際の操作力を追従させるべく、そのスライドドアにアシスト力を付与する構成になっている。
特許第5431839号公報 特開2007−9650号公報
しかしながら、上記従来技術のように、電流値を閾値に比較することによりモータに対する給電量を調整する構成では、その開閉体に付与するアシスト力を利用者の感覚にあわせることが困難である。このため、その開閉体を開閉操作する際、利用者の操作感(操作フィーリング)が低下するおそれがある。そして、目標操作力に利用者の操作力を追従させるべく、その開閉体にアシスト力を付与する構成では、例えば、トルクセンサ等、その実際の操作力を検出するための追加の構成が必要となることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素な構成にて、アシストモードにおける優れた操作感を実現することのできる車両用開閉体制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、車両の開閉体を開閉操作するためのアシスト力を前記開閉体に付与すべくモータを駆動源とした開閉駆動装置の作動を制御するアシスト制御部と、前記開閉体に付与される前記アシスト力、前記開閉体の動作抵抗、前記開閉体の質量、及び前記開閉体の動作加速度に基づいて、前記開閉体を開閉操作すべく該開閉体に入力される操作力を演算する操作力演算部と、前記操作力にアシスト倍率を乗ずることにより前記開閉体に付与すべき目標アシスト力を演算する目標アシスト力演算部と、を備える。
即ち、開閉体を移動させる操作力として当該開閉体に作用する外力、開閉体に付与されるアシスト力、開閉体の動作抵抗(例えば、摺動抵抗等)、質量、及び動作加速度を用いて開閉体の力学モデルを構築する。そして、この力学モデルの運動方程式を解くことで、例えば、トルクセンサ等の特別な構成を追加することなく、演算により、その開閉体を開閉操作する利用者の操作力を求めることができる。更に、この利用者の操作力に基づき演算される目標アシスト力に対し、そのスライドドアに付与する実際のアシスト力を追従させるように当該アシスト力を制御する。そして、これにより、簡素な構成にて、アシストモードにおける優れた操作感を実現することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、前記開閉体の移動位置及び移動速度に応じた前記動作抵抗の値を保持する動作抵抗保持部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、より精度よく、演算によって、その利用者の操作力を求めることができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、前記開閉体の移動速度が速度超過閾値以下である場合の前記アシスト倍率を設定する第1のアシスト倍率設定部と、前記開閉体の移動速度が前記速度超過閾値を超える場合に、該移動速度が速度超過閾値以下である場合よりも低い値を前記アシスト倍率に設定する第2のアシスト倍率設定部と、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、その速度超過閾値を超えた移動速度の上昇を抑えることができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置において、前記第1のアシスト倍率設定部は、所定の基準倍率を前記アシスト倍率に設定するとともに、前記第2のアシスト倍率設定部は、前記速度超過閾値を超えて前記開閉体の移動速度が上昇した場合に、該移動速度の上昇に従って増加する低減倍率を演算する低減倍率演算部と、前記低減倍率を前記基準倍率から減算した値を前記アシスト倍率に設定するアシスト倍率低減部と、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、利用者の操作力に応じた安定的なアシスト力を開閉体に付与することができる。また、その速度超過閾値を超えて開閉体の移動速度が上昇するほど、この開閉体に対して付与されるアシスト力が低減される。そして、これにより、効果的に、その開閉体の移動速度を抑制することができる。更に、開閉体の移動速度が上昇することで、その基準倍率よりも大きな低減倍率が演算される。そして、これにより、利用者の操作力とは逆向きのアシスト力を発生させるような負の値がアシスト倍率に設定されることで、より効果的に、その開閉体の移動速度を抑制することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置は、前記開閉体が自重により移動する重力移動状態にあるか否かを判定する重力移動判定部と、前記重力移動状態にあると判定された場合に前記基準倍率及び前記速度超過閾値を低減する条件変更部と、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、開閉体が重力移動状態にあることを検知して、その移動速度の上昇を抑えることができる。そして、これにより、高い安全性を確保することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置において、前記アシスト制御部は、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の実行を決定した後、所定時間が経過した後に前記アシスト力の付与を開始するとともに、前記操作力演算部は、前記所定時間の経過前に測定された前記操作力の値を初期操作力として保持するものであって、前記重力移動判定部は、前記開閉体に対する前記アシスト力の付与が開始された後においても、前記操作力が前記初期操作力を基準に設定された検知判定領域内にある状態が継続している場合に、前記開閉体が重力移動状態にあると判定することが好ましい。
即ち、通常、利用者が開閉体を開閉すべく当該開閉体に入力する操作力は、その開閉体に対するアシスト力の付与が開始されることにより変化する。このため、アシスト力の付与が開始された後においても、その検出される操作力が初期操作力からあまり変化していないと判定される場合には、この開閉体に作用する外力として検出される操作力が重力であると推定することができる。そして、これにより、簡素な構成にて、精度よく、その開閉体が重力移動状態にあることを検知することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置において、前記第1のアシスト倍率設定部は、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の開始後、前記アシスト倍率を徐々に増加させることが好ましい。
上記構成によれば、円滑なアシスト力の付与を実現して、良好な操作フィーリングを確保することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置において、前記アシスト制御部は、前記開閉体の移動速度が実行閾値以上となった場合に、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の実行を決定することが好ましい。
上記構成によれば、開閉体に対するアシスト力の付与が必要とされる場合に、適切に、そのアシスト力を付与することができる。
上記課題を解決する車両用開閉体制御装置において、前記アシスト制御部は、前記開閉体の移動速度が前記実行閾値よりも低い停止閾値以下となった場合には、前記アシスト制御の実行を停止することが好ましい。
上記構成によれば、ハンチングの発生を抑えて、円滑に、そのアシスト制御の実行を開始し及び停止することができる。
本発明によれば、簡素な構成にて、アシストモードにおける優れた操作感を実現することができる。
パワースライドドア装置の概略構成図。 アシストモードに移行する際の処理手順を示すフローチャート。 スライドドアのアシスト制御に用いられる力学モデルの説明図。 アシスト制御の処理手順を示すフローチャート。 アシスト制御の実行状態と待機状態を切り替える際の処理手順を示すフローチャート。 定常状態におけるアシスト制御の態様を示す説明図(通常時及び速度超過時)。 定常状態におけるアシスト倍率設定の処理手順を示すフローチャート。 アシストモードの状態遷移図。 待機状態から定常状態に移行する際の処理手順を示すフローチャート。 定常状態におけるアシスト制御の態様を示す説明図(重力移動時)。 重力移動判定、並びに重力移動時における基準倍率及び速度超過閾値の低減について、その処理手順を示すフローチャート。
以下、車両用開閉体制御装置をパワースライドドア装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、開閉体としてのスライドドア1は、図示しない車両の側面に支持されて前後方向に移動することにより、その車両の側面に設けられたドア開口部(図示略)を開閉する。具体的には、このスライドドア1は、車両前方側(図1中、左側)に移動することにより、そのドア開口部を閉塞する全閉状態となり、車両後方側(図1中、右側)に移動することにより、そのドア開口部を介して乗員が乗降可能な全開状態となるように構成されている。そして、このスライドドア1には、当該スライドドア1を開閉操作するためのドアハンドル3が設けられている。
また、このスライドドア1には、複数のロック装置5が設けられている。尚、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全閉位置で拘束する全閉ロックとしてのフロントロック5a及びリアロック5bが設けられている。更に、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全開位置で拘束するための全開ロック5cが設けられている。そして、本実施形態のスライドドア1において、これらの各ロック装置5は、リモコン6を介してドアハンドル3に連結されている。
即ち、本実施形態のスライドドア1は、そのドアハンドル3(アウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドル)を操作することで、各ロック装置5による拘束状態が解除されるようになっている。尚、このスライドドア1は、車室内に設けられた操作スイッチ、或いは携帯機等を乗員が操作することにより、遠隔操作によっても、その各ロック装置5による拘束状態を解除することが可能になっている。そして、このスライドドア1は、そのドアハンドル3を把持部として、手動により開閉動作させることが可能となっている。
また、本実施形態のスライドドア1には、モータ10を駆動源とするドアアクチュエータ11が設けられている。更に、このドアアクチュエータ11のモータ10は、ドアECU20から駆動電力の供給を受けることにより回転する。即ち、ドアECU20は、モータ10に対する駆動電力の供給を通じてドアアクチュエータ11の作動を制御する。そして、本実施形態では、これにより、そのモータ10の駆動力に基づきスライドドア1を開作動及び閉作動させることが可能な車両用開閉体制御装置としてのパワースライドドア装置30が形成されている。
詳述すると、本実施形態のドアアクチュエータ11は、モータ10の駆動力に基づきスライドドア1を開閉駆動する開閉駆動部31を備えている。また、このドアアクチュエータ11には、その開閉駆動部31の動作に同期したパルス信号Spを出力するパルスセンサ32が設けられている。そして、本実施形態のドアECU20は、このパルスセンサ32のパルス出力に基づいて、そのドアアクチュエータ11に駆動されたスライドドア1の移動位置X、移動速度Vdr、及び動作加速度αを検出する。
更に、本実施形態のドアECU20には、ドアハンドル3や車室内、或いは携帯機等に設けられた操作入力部33の出力信号(操作入力信号Scr)が入力されるようになっている。即ち、本実施形態のドアECU20は、この操作入力信号Scrに基づいて、利用者によるスライドドア1の作動要求を検知する。そして、その要求された作動方向にスライドドア1を移動させるべく、ドアアクチュエータ11の作動を制御する構成になっている(パワーモード、オート作動)。
尚、本実施形態のパワースライドドア装置30において、このドアECU20には、更に、例えば、イグニッション信号Sig等、車両の制御信号が入力される。そして、本実施形態のドアECU20は、これらの制御信号もまた、そのスライドドア1の駆動制御に用いる構成になっている。
(アシストモード)
次に、本実施形態のパワースライドドア装置30に実装されたアシストモードの態様について説明する。
図2のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、スライドドア1の移動位置Xが全閉位置と全開位置との間の中間位置にある場合(ステップ101:YES)、そのスライドドア1がオート作動中、即ち操作入力部33を介して入力された開閉作動要求に基づきスライドドア1が移動する状態にあるかを判定する(ステップ102)。そして、オート作動中ではない場合(ステップ102:NO)には、その開閉作動要求を示す操作入力信号Scrに基づきドアアクチュエータ11の作動を制御するパワーモードから、利用者が手動によりスライドドア1を開閉操作する際、このスライドドア1にアシスト力を付与するアシストモードへと移行する構成になっている(ステップ103)。
詳述すると、図3に示すように、手動によりスライドドア1を開閉動作させる場合、このスライドドア1は、その利用者が操作力Fuを入力する方向(図3中、左側から右側)に向かって移動することになる。また、この移動により、スライドドア1には、そのスライドドア1に対する操作力Fuとは逆向き(同図中、右側から左側)の摺動抵抗Fvが作用することになる。そして、本実施形態のドアECU20は、利用者の操作力Fuに基づきスライドドア1が移動する方向(同図中、左側から右側)のアシスト力Faをスライドドア1に付与すべく、そのドアアクチュエータ11の作動を制御する(アシスト制御)。
即ち、この力学モデルの運動方程式は、スライドドア1の質量M及び動作加速度αを用いることにより次式に表される。
Fu+Fa−Fv=M×α ・・・(1)
更に、この(1)を変形することにより次式を得る。
Fu=M×α+Fv−Fa ・・・(2)
そして、本実施形態のドアECU20は、この(2)式から推定される利用者の操作力Fuを増幅してスライドドア1に付与するかたちで、そのアシスト制御を実行する構成になっている。
さらに詳述すると、図4のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、先ず、ドアアクチュエータ11の駆動源であるモータ10の電流値Imを検出する(ステップ201)。そして、このモータ10の電流値Imに基づいて、そのドアアクチュエータ11がスライドドア1に付与するアシスト力Faを演算する(現在値、ステップ202)。
次に、ドアECU20は、スライドドア1の移動位置X及び移動速度Vdrを検出する(ステップ203,204)。また、本実施形態のドアECU20は、予め、そのスライドドア1の移動位置X及び移動速度Vdrに関連付けた摺動抵抗Fvの値をマップ形式で記憶領域20mに保持する(図1参照、摺動抵抗マップ40)。そして、その検出されたスライドドア1の移動位置X及び移動速度Vdrを、この摺動抵抗マップ40に参照することにより、その移動位置X及び移動速度Vdrに応じたスライドドア1の摺動抵抗Fvを演算する(マップ演算、ステップ205)。
更に、ドアECU20は、その記憶領域20mに保持されたスライドドア1の質量Mを読み出すとともに(ステップ206)、スライドドア1の動作加速度αを検出する(ステップ207)。そして、本実施形態のドアECU20は、上記(2)式に基づいて、そのスライドドア1を開閉操作すべく当該スライドドア1に入力される利用者の操作力Fuを演算する(ステップ208)。
次に、ドアECU20は、アシスト倍率Yを設定する(ステップ209)。更に、ドアECU20は、このアシスト倍率Yを上記ステップ208において演算した操作力Fuに乗ずることにより、そのスライドドア1に付与すべき目標アシスト力FaTを演算する(FaT=Fu×Y、ステップ210)。そして、本実施形態のドアECU20は、この目標アシスト力FaTに基づいて、ドアアクチュエータ11の作動を制御、詳しくは、その駆動源であるモータ10のトルク制御を実行する構成になっている(ステップ211)。
尚、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ210において演算した目標アシスト力FaTをモータ10の目標電流値(ImT)に換算する。そして、この目標電流値(ImT)と実際の電流値Imとの偏差(|ImT−Im|)に基づいた電流フィードバック制御を実行することにより、その目標アシスト力FaTに上記ステップ202において検出されるアシスト力Faを追従させる構成になっている。
また、本実施形態のドアECU20は、パワーモードからアシストモードへの移行後(図2参照、ステップ103)、スライドドア1の移動速度Vdrが所定の実行閾値Vs1以上となった場合に、そのアシスト制御の実行を決定する。
詳述すると、図5のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、アシストモードにおいては、スライドドア1の移動速度Vdrを検出するとともに(ステップ301)、そのアシスト制御の実行条件が成立していることを示すアシストフラグがセットされているか否かを判定する(ステップ302)。更に、ドアECU20は、アシストフラグがセットされていない場合(ステップ302:NO)には、スライドドア1の移動速度Vdrが上記実行閾値Vs1以上であるか否かを判定する(ステップ303)。そして、スライドドア1の移動速度Vdrが実行閾値Vs1以上である場合(Vdr≧Vs1、ステップ303:YES)に、アシストフラグをセットして(ステップ304)、そのアシスト制御を実行する(ステップ305)。
尚、上記ステップ302において、既にアシストフラグがセットされていると判定した場合(ステップ302:YES)、ドアECU20は、上記ステップ303及びステップ304の各処理を実行することなく、上記ステップ305において、そのアシスト制御を実行する。そして、上記ステップ303において、スライドドア1の移動速度Vdrが実行閾値Vs1に満たないと判定した場合(Vdr<Vs1、ステップ303:NO)には、そのアシスト制御の実行を待機する(待機状態、ステップ306)。
また、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ305においてアシスト制御を実行する状態、即ちアシストフラグがセットされた状態にある場合には、続いて、スライドドア1の移動速度Vdrが上記実行閾値Vs1よりも低い値に設定された所定の停止閾値Vs0以下であるか否かを判定する(ステップ307)。そして、スライドドア1の移動速度Vdrが停止閾値Vs0以下である場合(Vdr≦Vs0、ステップ307:YES)には、そのアシストフラグをクリアする構成になっている(ステップ308)。
即ち、スライドドア1の移動速度Vdrが上記実行閾値Vs1よりも低い状態でアシストフラグをクリアすることにより、次回の制御周期においては、ステップ306の処理が実行される。そして、これにより、本実施形態のドアECU20は、これにより、そのアシスト制御の実行を停止する構成になっている。
また、本実施形態のドアECU20は、スライドドア1の移動速度Vdrに応じて、その目標アシスト力FaTの演算に用いるアシスト倍率Yを設定する(図4参照、ステップ209)。
詳述すると、図6に示すように、本実施形態のドアECU20は、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合(Vdr≦Vth)には、所定の基準倍率Y1を、そのアシスト倍率Yに設定する(Y=Y1)。尚、本実施形態では、この速度超過閾値Vthは、上記実行閾値Vs1よりも高い所定速度Vdr1に設定されている。そして、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vthを超える場合には(Vdr>Vth)、その移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合よりも低い値、つまりは基準倍率Y1よりも低い値をアシスト倍率Yに設定する。
具体的には、本実施形態のドアECU20は、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vthを超えて上昇した場合に、当該移動速度Vdrの上昇とともに一定の傾き(低減勾配K)で基準倍率Y1から低減するように、そのアシスト倍率Yを設定する。更に、スライドドア1の移動速度Vdrが所定速度Vdr2を超えた場合には、利用者の操作力Fuとは逆向きのアシスト力Faを発生させるような負の値(マイナス値)をアシスト倍率Yに設定する。そして、本実施形態のドアECU20は、これにより、そのスライドドア1の移動速度Vdrを抑制する構成になっている。
さらに詳述すると、図7のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、そのアシスト倍率Yの設定処理において(図4参照、ステップ209)、先ず、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下であるか否かを判定する(ステップ401)。そして、その移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合(Vdr≦Vth、ステップ401:YES)には、所定の基準倍率Y1を通常時におけるアシスト倍率Yに設定する(通常時アシスト倍率設定、Y=Y1、ステップ402)。
一方、上記ステップ401において、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vthを超えると判定した場合(Vdr>Vth、ステップ401:NO)、本実施形態のドアECU20は、その速度超過閾値Vthを超える超過速度Vosを演算する(Vos=Vdr−Vth、ステップ403)。更に、ドアECU20は、予め記憶領域20mに保持された低減勾配Kを読み出し(ステップ404)、この低減勾配Kを上記ステップ403において演算した超過速度Vosに乗算することにより低減倍率Ydを演算する(Yd=Vos×K、ステップ405)。そして、本実施形態のドアECU20は、この低減倍率Ydを上記基準倍率Y1から減算した値を速度超過時におけるアシスト倍率Yに設定する(速度超過時時アシスト倍率設定、Y=Y1−Yd、ステップ406)。
即ち、上記ステップ405において演算される低減倍率Ydは、その速度超過閾値Vthを超えてスライドドア1の移動速度Vdrが上昇することにより増加する。そして、これにより、上記ステップ406において設定されるアシスト倍率Yが低減されることにより、そのスライドドア1に付与されるアシスト力Faが低減される(図6参照)。
更に、本実施形態のパワースライドドア装置30においては、スライドドア1の移動速度Vdrが所定速度Vdr2を超えることで、その低減倍率Ydが基準倍率Y1よりも大きな値となる(Yd>Y1)。そして、これにより、アシスト倍率Yが負の値に設定されることで、その利用者の操作力Fuとは逆向きのアシスト力Faがスライドドア1に付与される構成になっている。
また、図8に示すように、本実施形態のドアECU20は、上記移動速度条件の成立によりアシスト制御の実行を決定した後(アシストフラグセット、図5参照、ステップ304及びステップ305)、二段階の移行状態(STc1,STc2)を経て、その待機状態STw(図5参照、ステップ306)から定常状態STsへと移行する。そして、この定常状態STsへの移行により、上記のように、その図4〜図7の各図に示される態様で、スライドドア1にアシスト力Faを付与する構成になっている。
詳述すると、図9のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、スライドドア1の移動速度条件が成立することによりアシスト制御を実行する場合(ステップ501:YES)には、先ず、アシストフラグのセットによりアシスト制御の実行を決定してからの経過時間tを既に計測しているか否かを判定する(ステップ502)。そして、経過時間tの計測を開始していない場合(ステップ502:NO)には、計時用のタイマをセットして、その経過時間tの計測を開始する(t=0、ステップ503)。
また、ドアECU20は、そのアシスト制御の実行を決定してからの経過時間tが第1の所定時間t1以下であるか否かを判定する(ステップ504)。尚、上記ステップ502において、既に経過時間tの計測中であると判定した場合(ステップ502:YES)には、上記ステップ503の処理を実行することなく、このステップ504の処理を実行する。そして、経過時間tが第1の所定時間t1以下である場合(t≦t1、ステップ504:YES)には、第1の移行状態である初期操作力測定状態STc1にあると判定して、そのモータ10を駆動源とするアシスト力Faが付与されない状態でスライドドア1に入力された利用者の初期操作力Fu0の測定を実行する(ステップ505)。
具体的には、この初期操作力Fu0の測定(推定演算)は、上記(2)式に「Fa=0」を代入することにより得られる次式を用いて行われる。
Fu0=M×α+Fv ・・・(3)
尚、本実施形態のドアECU20は、この初期操作力測定状態STc1において測定した初期操作力Fu0について、その移動平均値を演算する。そして、この移動平均値を随時更新するかたちで、その初期操作力Fu0を記憶領域20mに保持する構成になっている(図1参照)。
また、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ504において経過時間tが第1の所定時間t1を超えていると判定した場合(t>t1、ステップ504:NO)には、更に、その経過時間tが第2の所定時間t2以下であるか否かを判定する(ステップ506)。そして、その経過時間tが第2の所定時間t2以下である場合(t1<t≦t2、ステップ506:YES)には、第2の移行状態であるアシスト力調整状態STc2に移行して、そのアシスト倍率Yを「0」から基準倍率Y1まで徐々に増加させる(ステップ507)。
具体的には、このアシスト力調整状態STc2におけるアシスト倍率Yの徐変(徐増)処理は、そのアシスト倍率Yが所定の傾きを有して時間経過とともに直線的に増加するように行われる(図示略)。そして、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ506において経過時間tが第2の所定時間t2を超えていると判定した場合(t>t2、ステップ506:NO)に、その定常状態STsに移行する構成となっている(ステップ508)。
尚、図8に示すように、本実施形態のドアECU20は、初期操作力測定状態STc1及びアシスト力調整状態STc2にある場合においてもまた、定常状態STsにある場合と同じく、スライドドア1の移動速度Vdrが停止閾値Vs0以下となることにより、アシストフラグをクリアして待機状態STwに移行する(図5参照、ステップ307)。そして、再び、スライドドア1の移動速度Vdrが実行閾値Vs1以上となった場合に、そのアシストフラグのセットによりアシスト制御の実行を決定する構成になっている(図5参照、ステップ304)。
また、図10に示すように、本実施形態のドアECU20は、そのアシストモードの遷移状態が定常状態STsにある場合(図8参照)には、例えば、坂道駐車時等、そのスライドドア1が自重により移動する重力移動状態にあるか否かを判定する。そして、スライドドア1が重力移動状態にあることを検知した場合には、そのスライドドア1に付与するアシスト力Faを低減する構成になっている。
詳述すると、図11のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU20は、上記(2)式に基づき演算される操作力Fuの現在値と記憶領域20mに保持された上記(3)式に基づく初期操作力Fu0との差分値、即ち当該初期操作力Fu0を基準とした操作力Fuの変化量ΔFuを演算する(ΔFu=|Fu0−Fu|、ステップ601)。また、ドアECU20は、このステップ601において演算された操作力Fuの変化量ΔFuのパーセント換算値(ΔFu/Fu0×100)が、所定値β以下であるか否かを判定する(ステップ602)。更に、ドアECU20は、このステップ601の判定条件が成立した場合(ΔFu/Fu0×100≦β、ステップ602:YES)には、続いて、この状態が所定時間tgを超えて継続しているか否かを判定する(ステップ603)。そして、本実施形態のドアECU20は、このステップ602の判定条件が成立する場合(ステップ603:YES)に、そのスライドドア1が自重により移動する重力移動状態にあると判定する(重力移動状態検知、ステップ604)。
換言すると、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ602の処理を実行することにより、定常状態STsにおいて検出される操作力Fuの現在値が、初期操作力Fu0を基準とした検知判定領域内(Fu0の±β%、図示略)にあるか否かを判定する。更に、ドアECU20は、その操作力Fuが上記検知判定領域内にある場合、当該操作力Fuが初期操作力測定状態STc1において測定された初期操作力Fu0からあまり変化していないと判定する。そして、本実施形態のドアECU20は、この状態が継続する場合には、そのスライドドア1を開閉動作方向に移動させる操作力Fuとして当該スライドドア1に入力される外力が、重力であると推定する。
即ち、通常、利用者がスライドドア1を開閉すべく当該スライドドア1に入力する操作力Fuは、そのスライドドア1に対するアシスト力Faの付与が開始されることにより変化する。この点を踏まえ、本実施形態のドアECU20は、上記のように、その初期操作力測定状態STc1において測定された初期操作力Fu0からの変化量ΔFuを監視する。そして、これにより、簡素な構成にて、精度よく、そのスライドドア1が重力移動状態にあることを検知することが可能になっている。
また、本実施形態のドアECU20は、上記ステップ604において、そのスライドドア1が重力移動状態にあることを検知した場合には、アシスト倍率Yの設定(図7参照)に用いる基準倍率Y1及び速度超過閾値Vthを低減する(ステップ605及びステップ606、図10参照、Y1=Ya→Yg,Vth=Vdr1→Vdr3)。
即ち、基準倍率Y1を低減することにより、スライドドア1に付与するアシスト力Faもまた低減される。更に、速度超過閾値Vthを低減することにより、その超過速度Vosに基づいた低減倍率Yd(図7参照)が演算されるタイミングもまた早くなる。そして、これにより、より低い移動速度Vdrでアシスト力Faが低減されるとともに、より早いタイミングで(図10参照、Vdr2→Vdr4)、その利用者の操作力Fuとは逆向きのアシスト力Faを発生させるような負の値(マイナス値)がアシスト倍率Yに設定されるようになる。そして、本実施形態のパワースライドドア装置30においては、これにより、その重力移動時におけるスライドドア1の移動速度Vdrを抑制する構成になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)アシスト制御部50aとしてのドアECU20は、車両の開閉体としてのスライドドア1を開閉操作するためのアシスト力Faを当該スライドドア1に付与すべくモータ10を駆動源とした開閉駆動装置としてのドアアクチュエータ11の作動を制御する。また、操作力演算部50bとしてのドアECU20は、スライドドア1に付与されるアシスト力Fa、その動作抵抗となる摺動抵抗Fv、質量M、及び動作加速度αに基づいて、スライドドア1を開閉操作すべく当該スライドドア1に入力される利用者の操作力Fuを演算する。そして、目標アシスト力演算部50cとしてのドアECU20は、この演算された操作力にアシスト倍率Yを乗ずることにより、そのスライドドア1に付与すべき目標アシスト力FaTを演算する。
即ち、スライドドア1に作用する外力(操作力Fu)、アシスト力Fa、摺動抵抗Fv、質量M、及び動作加速度αを用いてスライドドア1の力学モデルを構築する。そして、この力学モデルの運動方程式を解くことで、例えば、トルクセンサ等の特別な構成を追加することなく、演算により、そのスライドドア1を開閉操作する利用者の操作力Fuを求めることができる(Fu=M×α+Fv−Fa)。更に、この利用者の操作力Fuに基づき演算される目標アシスト力FaTに対し(FaT=Fu×Y)、そのスライドドアに付与する実際のアシスト力Faを追従させるように当該アシスト力Faを制御する。そして、これにより、簡素な構成にて、アシストモードにおける優れた操作感を実現することができる。
これに加え、手動によりスライドドア1が開閉動作することによる回生電力の発生を抑えることができる。そして、これにより、そのモータ10に駆動電力を供給するための駆動回路を構成する各スイッチング素子の負荷を軽減することができる。
(2)動作抵抗保持部50dとしてのドアECU20は、予め、そのスライドドア1の移動位置X及び移動速度Vdrに関連付けた摺動抵抗Fvの値を摺動抵抗マップ40として記憶領域20mに保持する。これにより、より精度よく、演算によって、その利用者の操作力Fuを求めることができる。
(3)第1のアシスト倍率設定部50eとしてのドアECU20は、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合(Vdr≦Vth)には、所定の基準倍率Y1を、そのアシスト倍率Yに設定する(Y=Y1)。そして、第2のアシスト倍率設定部50fとしてのドアECU20は、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vthを超える場合には(Vdr>Vth)、その移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合よりも低い値、つまりは基準倍率Y1よりも低い値をアシスト倍率Yに設定する。
上記構成によれば、利用者の操作力Fuに応じた安定的なアシスト力Faをスライドドア1に付与することができる。そして、その速度超過閾値Vthを超えた移動速度Vdrの上昇を抑えることができる。
(4)低減倍率演算部50gとしてのドアECU20は、速度超過閾値Vthを超えてスライドドア1の移動速度Vdrが上昇した場合に、その移動速度Vdrの上昇に従って増加する低減倍率Ydを演算する。そして、アシスト倍率低減部50hとしてのドアECU20は、この低減倍率Ydを基準倍率Y1から減算した値をアシスト倍率Yに設定する(Y=Y1−Yd)。
上記構成によれば、速度超過閾値Vthを超えてスライドドア1の移動速度Vdrが上昇するほど、そのスライドドア1に付与されるアシスト力Faが低減される。そして、これにより、効果的に、そのスライドドア1の移動速度Vdrを抑制することができる。また、スライドドア1の移動速度Vdrが更に上昇することで、その基準倍率Y1よりも大きな低減倍率Ydが演算される。そして、これにより、利用者の操作力Fuとは逆向きのアシスト力Faを発生させるような負の値がアシスト倍率Yに設定されることで、より効果的に、そのスライドドア1の移動速度Vdrを抑制することができる。
(5)重力移動判定部50jとしてのドアECU20は、スライドドア1が自重により移動する重力移動状態にあるか否かを判定する。そして、条件変更部50iとしてのドアECU20は、スライドドア1が重力移動状態にあると判定された場合には、そのアシスト倍率Yの演算に用いる基準倍率Y1及び速度超過閾値Vthを低減する(Y1=Ya→Yg,Vdr1→Vdr3)。
上記構成によれば、スライドドア1が重力移動状態にあることを検知して、その移動速度Vdrの上昇を抑えることができる。そして、これにより、高い安全性を確保することができる。
(6)ドアECU20は、スライドドア1にアシスト力Faを付与するアシスト制御の実行を決定した後、第1の所定時間t1が経過した後に、そのアシスト力Faの付与を開始する。また、ドアECU20は、所定時間(第1の所定時間t1)の経過前に測定された操作力Fuの値を初期操作力Fu0として記憶領域20mに保持する。そして、ドアECU20は、スライドドア1に対するアシスト力Faの付与が開始された後においても、検出される操作力Fuが初期操作力Fu0を基準に設定された検知判定領域(Fu0の±β%)内にある状態が継続している場合に、そのスライドドア1が重力移動状態にあると判定する。
即ち、通常、利用者がスライドドア1を開閉すべく当該スライドドア1に入力する操作力Fuは、そのスライドドア1に対するアシスト力Faの付与が開始されることにより変化する。このため、アシスト力Faの付与が開始された後においても、その検出される操作力Fuが初期操作力Fu0からあまり変化していないと判定される場合には、このスライドドア1に作用する外力として検出される操作力Fuが重力であると推定することができる。そして、これにより、簡素な構成にて、精度よく、そのスライドドア1が重力移動状態にあることを検知することができる。
(7)ドアECU20は、スライドドア1にアシスト力Faを付与するアシスト制御の開始後、アシスト倍率Yを徐々に増加させる。これにより、円滑なアシスト力Faの付与を実現して、良好な操作フィーリングを確保することができる。
(8)ドアECU20は、移動速度Vdrが実行閾値Vs1以上となった場合にアシスト制御の実行を決定する。これにより、スライドドア1に対するアシスト力Faの付与が必要とされる場合に、適切に、そのアシスト力Faを付与することができる。
(9)ドアECU20は、移動速度Vdrが実行閾値Vs1よりも低い停止閾値Vs0以下となった場合にアシスト制御の実行を停止する。これにより、ハンチングの発生を抑えて、円滑に、そのアシスト制御の実行を開始し及び停止することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、車両の側面に設けられたスライドドア1を開閉体とするパワースライドドア装置30に具体化した。しかし、これに限らず、アシスト力を付与する開閉体は、車両後部に設けられたバックドアやスイング式のサイドドア等であってもよい。そして、例えば、サンルーフ等、ドア以外の開閉体を対象とする車両用開閉体制御装置に適用してもよい。
・上記実施形態では、予め、そのスライドドア1の移動位置X及び移動速度Vdrに関連付けた摺動抵抗Fvの値を摺動抵抗マップ40として記憶領域20mに保持することとしたが、その摺動抵抗Fvとして所定値(例えば、移動行程における平均値等)を保持する構成であってもよい。
・上記実施形態では、目標アシスト力FaTをモータ10の目標電流値(ImT)に換算する。そして、この目標電流値(ImT)と実際の電流値Imとの偏差(|ImT−Im|)に基づいた電流フィードバック制御を実行することにより、その目標アシスト力FaTに実際のアシスト力Faを追従させることとした。しかし、これに限らず、目標アシスト力FaTに実際のアシスト力Faを追従させることが可能であれば、例えば、その目標アシスト力FaTと実際のアシスト力Faとの偏差に基づいて、モータ10のデューティを調整する等、その制御形態は、任意に変更してもよい。そして、その目標アシスト力FaTに基づいたフィードフォワード制御を行う構成であってもよい。
・上記実施形態では、スライドドア1の移動速度Vdrが速度超過閾値Vthを超える場合(Vdr>Vth)、その超過速度Vosに所定の低減勾配Kを乗ずることにより低減倍率Ydを演算する(Yd=Vos×K)。そして、この低減倍率Ydを上記基準倍率Y1から減算した値を速度超過時におけるアシスト倍率Yに設定することとした(Y=Y1−Yd)。しかし、これに限らず、例えば、マップ演算により、その移動速度Vdrの上昇に従って増加する低減倍率Ydを演算する構成としてもよい。そして、予め定められた所定値を用いることにより、その移動速度Vdrが速度超過閾値Vth以下である場合よりも低い値をアシスト倍率Yに設定する構成であってもよい。
・また、スライドドア1の移動速度Vdrが第2の速度超過閾値(Vdr2,Vdr4)を超える場合に、その操作力とは逆向きのアシスト力Faを発生させるような負の値をアシスト倍率Yに設定する構成であってもよい。そして、その演算方法によらず、アシスト倍率Yに負の値を設定しない構成としてもよい。
・上記実施形態では、検出される操作力Fuが初期操作力Fu0を基準に設定された検知判定領域(Fu0の±β%)内にある状態が継続している場合に、そのスライドドア1が重力移動状態にあると判定することとした。しかし、これに限らず、例えば、車両に設けられた加速度センサを用いる等、その他の方法により、スライドドア1の重力移動判定を行う構成としてもよい。
・上記実施形態では、アシストモードは、基本となる定常状態STsに加えて、待機状態STw、初期操作力測定状態STc1、及びアシスト力調整状態STc2を有することとした。しかし、これに限らず、定常状態STs以外の各状態(STw,STc1,STc2)については、その有無の組み合わせを任意に変更してもよい。更に、定常状態STsについてもまた、その重力移動時における基準倍率Y1及び速度超過閾値Vthの低減制御を行わない構成としてもよい。そして、速度超過時におけるアシスト倍率Yの低減制御を行わない構成としてもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記第2のアシスト倍率設定部は、前記開閉体の移動速度が第2の速度超過閾値を超える場合に、前記操作力とは逆向きの前記アシスト力を発生させるような負の値を前記アシスト倍率に設定すること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、その利用者の操作力とは逆向きのアシスト力により開閉体を制動して、より効果的に、開閉体の移動速度を抑制することができる。
1…スライドドア(開閉体)、3…ドアハンドル、10…モータ、11…ドアアクチュエータ(開閉駆動装置)、20…ドアECU、20m…記憶領域、30…パワースライドドア装置、31…開閉駆動部、32…パルスセンサ、33…操作入力部、40…摺動抵抗マップ、50a…アシスト制御部、50b…操作力演算部、50c…目標アシスト力演算部、50d…動作抵抗保持部、50e…第1のアシスト倍率設定部、50f…第2のアシスト倍率設定部、50g…低減倍率演算部、50h…アシスト倍率低減部、50i…条件変更部、50j…重力移動判定部、X…移動位置、α…動作加速度、M…質量、K…低減勾配、Vdr…移動速度、Vth…速度超過閾値、Vdr1…所定速度、Vdr3…所定速度(重力移動時)、Vdr2…所定速度(第2の速度超過閾値)、Vdr4…所定速度(第2の速度超過閾値、重力移動時)、Vos…超過速度、Vs1…実行閾値、Vs0…停止閾値、Y…アシスト倍率、Y1(Ya,Yg)…基準倍率、Yd…低減倍率、Im…電流値、Fa…アシスト力、Fv…摺動抵抗、Fu…操作力、FaT…目標アシスト力、Fu0…初期操作力、ΔFu…変化量、β…所定値、t…経過時間、t1,t2,tg…所定時間、STs…定常状態、STw…待機状態、STc1…初期操作力測定状態、STc2…アシスト力調整状態、Sp…パルス信号、Scr…操作入力信号、Sig…イグニッション信号。

Claims (9)

  1. 車両の開閉体を開閉操作するためのアシスト力を前記開閉体に付与すべくモータを駆動源とした開閉駆動装置の作動を制御するアシスト制御部と、
    前記開閉体に付与される前記アシスト力、前記開閉体の動作抵抗、前記開閉体の質量、及び前記開閉体の動作加速度に基づいて、前記開閉体を開閉操作すべく該開閉体に入力される操作力を演算する操作力演算部と、
    前記操作力にアシスト倍率を乗ずることにより前記開閉体に付与すべき目標アシスト力を演算する目標アシスト力演算部と、を備える車両用開閉体制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記開閉体の移動位置及び移動速度に応じた前記動作抵抗の値を保持する動作抵抗保持部を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記開閉体の移動速度が速度超過閾値以下である場合の前記アシスト倍率を設定する第1のアシスト倍率設定部と、
    前記開閉体の移動速度が前記速度超過閾値を超える場合に、該移動速度が速度超過閾値以下である場合よりも低い値を前記アシスト倍率に設定する第2のアシスト倍率設定部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記第1のアシスト倍率設定部は、所定の基準倍率を前記アシスト倍率に設定するとともに、
    前記第2のアシスト倍率設定部は、
    前記速度超過閾値を超えて前記開閉体の移動速度が上昇した場合に、該移動速度の上昇に従って増加する低減倍率を演算する低減倍率演算部と、
    前記低減倍率を前記基準倍率から減算した値を前記アシスト倍率に設定するアシスト倍率低減部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記開閉体が自重により移動する重力移動状態にあるか否かを判定する重力移動判定部と、
    前記重力移動状態にあると判定された場合に前記基準倍率及び前記速度超過閾値を低減する条件変更部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  6. 請求項5に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記アシスト制御部は、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の実行を決定した後、所定時間が経過した後に前記アシスト力の付与を開始するとともに、
    前記操作力演算部は、前記所定時間の経過前に測定された前記操作力の値を初期操作力として保持するものであって、
    前記重力移動判定部は、前記開閉体に対する前記アシスト力の付与が開始された後においても、前記操作力が前記初期操作力を基準に設定された検知判定領域内にある状態が継続している場合に、前記開閉体が重力移動状態にあると判定すること、
    を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  7. 請求項3〜請求項6の何れか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記第1のアシスト倍率設定部は、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の開始後、前記アシスト倍率を徐々に増加させること、
    を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記アシスト制御部は、前記開閉体の移動速度が実行閾値以上となった場合に、前記開閉体に前記アシスト力を付与するアシスト制御の実行を決定すること、
    を特徴とする車両用開閉体制御装置。
  9. 請求項8に記載の車両用開閉体制御装置において、
    前記アシスト制御部は、前記開閉体の移動速度が前記実行閾値よりも低い停止閾値以下となった場合には、前記アシスト制御の実行を停止すること、
    を特徴とする車両用開閉体制御装置。
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