特許文献1の中折れシートバックでは、モータの駆動によってアッパサイドフレームの回動範囲が定められているため、アッパサイドフレームの回動範囲を容易に決めることができないという問題があった。
本発明は、このような背景に鑑み、中折れシートバックにおいて、ロアサイドフレームに対してアッパサイドフレームの回動範囲を容易に定めることのできる構造を設けることを課題とする。
このような課題を解決するために、上下方向に延在する左右一対のロアサイドフレーム(6)と、前記ロアサイドフレームのそれぞれの上端部に左右に延びる回動軸(X)を中心として回動可能に取り付けられた左右一対のアッパサイドフレーム(7)と、前記アッパサイドフレームのそれぞれを互いに接続するアッパフレーム(5)とを有し、前記ロアサイドフレーム及び前記アッパサイドフレームのそれぞれは、互いに当接することによって前記ロアサイドフレームに対する前記アッパサイドフレームの回動範囲を定めるストッパ(6ED、6FD、7B、7C)を有することを特徴とする中折れシートバック(S2)が用いられる。
この構成によれば、アッパサイドフレームとロアサイドフレームとのそれぞれに、互いに当接するストッパを設けることによって、アッパサイドフレームの回動範囲を容易に定めることができる。
また、上記の態様において、前記ストッパは、前記ロアサイドフレームに設けられた下ストッパ(6ED、6FD)と、前記アッパサイドフレームに設けられた上ストッパ(7B、7C)とを含み、前記下ストッパ及び前記上ストッパの一方の全体が、左右方向において他方の左端及び右端の間に位置するとよい。
この構成によれば、上ストッパと下ストッパの一方が左右方向における全体に渡って他方に当接するため、上ストッパと下ストッパとの相対位置のずれに依らず、当接する領域を確保することができる。
また、上記の態様において、前記ロアサイドフレームの上端部(6A)及び前記アッパサイドフレームの下端部(7A)はそれぞれ、左右を向き、互いに対向する板状に形成され、前記ロアサイドフレームの上端部及び前記アッパサイドフレームの下端部の一方に、前縁及び後縁において他方に向けて曲げ起こされた前後一対の縁壁(7B、7C)が形成され、他方の前面及び後面と、前記縁壁のそれぞれの端部(6ED、6FD)とに、それぞれ前記ストッパが形成されているとよい。
この構成によれば、ロアサイドフレーム及びアッパサイドフレームに容易にストッパを設けることができる。
また、上記の態様において、前記アッパサイドフレームの下端部は、前記ロアサイドフレームの上端部の左右外方に配置され、前記アッパサイドフレームの下端部の前縁及び後縁に前後一対の上側縁壁(7B、7C)が形成され、2つの前記上側縁壁の下端部それぞれに前記上ストッパが形成され、前記ロアサイドフレームの前面及び後面にそれぞれ前記下ストッパ(6ED、6FD)が形成されているとよい。
この構成によれば、アッパサイドフレームの下端部の剛性を向上させることができる。
また、上記の態様において、前記ロアサイドフレームの上端部の前縁及び後縁は、前記アッパサイドフレームの下端部と相反する方向にそれぞれ曲げ起こされて前後一対の下側縁壁(6E、6F)を形成し、前記下側縁壁の壁面(6ED、6FD)に、それぞれ前記下ストッパが形成されているとよい。
この構成によれば、ロアサイドフレームの上端部の剛性を向上させることができる。
また、上記の態様において、前記下側縁壁の前縁には、上方に向かって後方に傾斜する第1傾斜面(6ED)を有する第1段部(6EC)が形成され、前記下側縁壁の後縁には、上方に向かって前方に傾斜する第2傾斜面(6FD)を有する第2段部(6FC)が形成され、前記第1傾斜面及び第2傾斜面に前記下ストッパが形成されているとよい。
この構成によれば、上側縁壁の下端部とロアサイドフレームの上側縁壁の下端部が当接する面とのなす角度を大きくすることができるため、アッパサイドフレームの下端部の変形を防止することができる。
また、上記の態様において、前記ロアサイドフレームの少なくとも一方に固定され、前記ロアサイドフレームに沿って直進運動する出力部(17A)を備えたアクチュエータ(17)と、前記アッパサイドフレームに回動可能に結合された上端部、及び前記出力部に結合された下端部を備え、前記出力部の運動に応じて前記アッパサイドフレームを回動させるリンク(25)とを有し、前記リンクは、少なくとも一部が前記ロアサイドフレームの上端部及び前記アッパサイドフレームの下端部の間に配置されているとよい。
この構成によれば、リンクの一部がロアサイドフレームとアッパサイドフレームとによって覆われるため、外部への露出面積が減る。そのため、リンクへの異物の噛み込みを抑制することができる。
また、上記の態様において、前記ロアサイドフレームの上端部の前記アッパサイドフレームの下端部側の側面には、前記リンクを受容する第1凹部(6J)が形成されているとよい。
この構成によれば、リンクが凹部内に受容され、ロアサイドフレームの外方に突出しないため、リンクと異物との接触を防止することができる。また、ロアサイドフレームの上端部の剛性を高めることができる。
また、上記の態様において、前記第1凹部の前記リンクの上端部に対応する位置には、内方に凹む第2凹部(6L)が形成され、前記リンクの上端部と前記アッパサイドフレームとの締結部分が前記第2凹部に収容されているとよい。
この構成によれば、リンクの上端部とアッパサイドフレームとの締結部分が可動し易くなり、リンクが変位し易くなる。また、ロアサイドフレームの上端部の剛性をより高めることができる。
また、上記の態様において、前記第1凹部及び前記第2凹部は、前記ロアサイドフレームの後縁に延びているとよい。
この構成によれば、リンクの組付が容易になる。また、第1凹部及び第2凹部によって、リンクの変位が妨げられ難くなり、シートバックの中折れ動作が円滑になる。
このように本発明によれば、中折れシートバックにおいて、ロアサイドフレームに対してアッパサイドフレームの回動範囲を容易に定めることのできる構造を設けることができる。
また、下ストッパ及び上ストッパの一方の全体が、左右方向において他方の左端及び右端の間に位置する構成によれば、上ストッパと下ストッパの一方が左右方向における全体に渡って他方に当接するため、上ストッパと下ストッパとの相対位置のずれに依らず、当接する領域を確保することができる。
ロアサイドフレームの上端部及びアッパサイドフレームの下端部の一方に、前縁及び後縁において他方に向けて曲げ起こされた前後一対の縁壁が形成されてストッパが形成されている構成によれば、ロアサイドフレーム及びアッパサイドフレームに容易にストッパを設けることができる。
アッパサイドフレームの下端部の前縁及び後縁に前後一対の上側縁壁が形成されている構成によれば、アッパサイドフレームの下端部の剛性を向上させることができる。
ロアサイドフレームの上端部の前縁及び後縁がそれぞれ曲げ起こされて前後一対の下側縁壁を形成している構成によれば、ロアサイドフレームの上端部の剛性を向上させることができる。
ロアサイドフレームに第1傾斜面及び第2傾斜面が形成されている構成によれば、上側縁壁の下端部とロアサイドフレームの上側縁壁の下端部が当接する面とのなす角度を大きくすることができるため、アッパサイドフレームの下端部の変形を防止することができる。
リンクは、少なくとも一部がロアサイドフレームの上端部及びアッパサイドフレームの下端部の間に配置されている構成によれば、リンクの一部がロアサイドフレームとアッパサイドフレームとによって覆われるため、外部への露出面積が減る。そのため、リンクへの異物の噛み込みを抑制することができる。
ロアサイドフレームの上端部のアッパサイドフレームの下端部側の側面には、リンクを受容する第1凹部が形成されている構成によれば、リンクが凹部内に受容され、ロアサイドフレームの外方に突出しないため、リンクと異物との接触を防止することができる。また、ロアサイドフレームの上端部の剛性を高めることができる。
第1凹部に第2凹部が形成され、リンクの上端部とアッパサイドフレームとの締結部分が第2凹部に収容されている構成によれば、リンクの上端部とアッパサイドフレームとの締結部分が可動し易くなり、リンクが変位し易くなる。また、ロアサイドフレームの上端部の剛性をより高めることができる。
第1凹部及び第2凹部は、ロアサイドフレームの後縁に延びている構成によれば、リンクの組付が容易になる。また、第1凹部及び第2凹部によって、リンクの変位が妨げられ難くなり、シートバックの中折れ動作が円滑になる。
以下、図面を参照して、本発明に係る中折れシートバックを自動車の後部座席(2列目及び3列目を含む)に適用した実施形態について説明する。以下の説明では、シートSに着座した乗員を基準にして左右を定める。左右対称に設けられる一対の構成については、共通の番号を付し、説明を省略することがある。
図1及び図2に示されるように、シートSは、座面を形成するシートクッションS1と、背凭れ面を形成するシートバックS2と、ヘッドレストS3と、スライドレールS4とを有する。スライドレールS4は、自動車のフロアに前後に延びるように設けられ、シートクッションS1を前後にスライド移動可能に支持する。シートバックS2はリクライニング機構1を介してシートクッションS1に対して回動(傾倒)可能に連結されており、ヘッドレストS3はシートバックS2の上部に上下方向にスライド可能に設けられている。
シートバックS2は、シートクッションS1に対して回動(傾倒)可能に設けられた下部シートバックS2Aと、下部シートバックS2Aに対して回動(傾倒)可能に設けられた上部シートバックS2Bと、バックボードBとを有する。ヘッドレストS3は上部シートバックS2Bに結合されている。バックボードBは、下部シートバックS2Aの後方に配置されたバックボード下部BAと、上部シートバックS2Bの後方に配置されたバックボード上部BBとにより構成される。
シートクッションS1は、シートクッションフレームにパッド及び表皮を被せることによって構成されている。シートバックS2の前部及び側部はシートバックフレームF(FA及びFB(図3参照))にパッドP及び表皮SKを被せることによって構成され、シートバックS2の後部はシートバックフレームFにバックボードBを被せることによって構成されている。ヘッドレストS3は、ヘッドレストフレームにパッド及び表皮を被せることによって構成されている。パッドは、ポリウレタンフォーム等の弾力性を有するクッション材から形成され、表皮SKは本皮や合成皮革、布地等から形成され、バックボードBは合成樹脂等から形成される。
本実施形態では、下部シートバックS2Aの前部には下部ヒータHAが、上部シートバックS2Bの前部には上部ヒータHBがそれぞれ設けられている。上部ヒータHB及び下部ヒータHAはそれぞれシート状に形成され、表皮SKとパッドPとの間に敷設されている。上部ヒータHBには電力を供給するためハーネスHCが設けられている。
シートバッグに設けられるパッドPは乗員の背中部分に対応する主部P1と、中央部の左右に設けられ、主部に連続した左右一対の側部P2とを備えている。主部P1と左右の側部P2との間にはそれぞれ、上下に延びる溝部P3が形成されている。図9に示されるように、溝部P3にはワイヤ部材P4が埋設され、表皮SKの縫合部が所定のフックP5を用いてワイヤ部材P4に吊り込まれている。ハーネスHCは、左側の溝部P3において、表皮SKの縫合部とパッドPとの間に配設されて、下部シートバックS2Aの下端にまで延びている。中折れ動作(上部シートバックS2Bの下部シートバックS2Aに対する回動)が行われるときに、ハーネスHCが溝部P3に収容されているため、中折れ動作に追随してハーネスHCは溝部P3の内部で屈曲する。そのため、上部シートバックS2Bの回動が阻害されず、中折れ動作を円滑に行うことができる。
図示省略するが、シートクッションフレームは、前後に延びる左右一対のクッションサイドフレームや、各クッションサイドフレームの前部間に掛け渡された前部フレーム、各クッションサイドフレームの後部間に掛け渡された後部フレーム等を有し、枠形に形成されている。スライドレールS4は各クッションサイドフレームに取り付けられている。
図3に示されるように、シートバックフレームFは、略上下に延びる左右一対のサイドフレーム2と、左右に延びて両端において両サイドフレーム2の下部に結合したロアフレーム4と、左右に延びて両端において両サイドフレーム2の上部に結合した逆U字状のアッパフレーム5とを有して枠形に形成されている。
サイドフレーム2は、上下方向に分割されたロアサイドフレーム6とアッパサイドフレーム7によって構成されている。ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7はそれぞれ板金部材(板状金属部材)によって形成されている。
アッパサイドフレーム7は、ロアサイドフレーム6の上部に左右方向の回動軸X回りに回動可能に取り付けられている。ロアフレーム4はロアサイドフレーム6に例えば溶接により結合され、アッパフレーム5はアッパサイドフレーム7に例えば溶接により結合されている。ロアフレーム4及びロアサイドフレーム6によりシートバックフレーム下部FAが構成され、アッパサイドフレーム7及びアッパフレーム5によりシートバックフレーム上部FBが構成される。
図4に示すように、左右のロアサイドフレーム6はそれぞれ、主面が左右を向き、上下に延びている。各ロアサイドフレーム6の上部はその下部に比べて左右外方に膨出している。右側のロアサイドフレーム6の上部には所定の位置に左右に貫通する受容孔6Gが形成されている。左右のロアサイドフレームにはそれぞれ脆弱部6Hが設けられている。脆弱部は所定以上の荷重が加わったときに変形する部分であり、変形によって後突時に乗員に加わった荷重が吸収され、乗員への負担が低減される。本実施形態では、脆弱部は左右のロアサイドフレーム6の後縁下部において略三角形状に切欠かれた部分として形成されている。脆弱部6Hがロアサイドフレーム6に設けられているため、脆弱部6HはシートバックS2の全体に加わる荷重を受けやすくなる。そのため、より乗員への負担を低減することができる。
ロアサイドフレーム6の上端部6Aには、他の部分に対して前後幅が狭く形成され、左右から見て略方形に形成された突端部6Bが形成されている。ロアサイドフレーム6の上端部6Aには、前縁に沿って左右方向の内側に曲げ起こされた下側縁壁前部6Eが形成され、後縁に沿って左右方向の内側に曲げ起こされた下側縁壁後部6Fが形成されている。下側縁壁前部6Eは、突端部6Bの下方に位置する第1下側縁壁前部6EAと、突端部6Bの前縁に位置する第2下側縁壁前部6EBと、それらを接続する第1段部6ECを備えている。第1下側縁壁前部6EAは、第2下側縁壁前部6EBの下方、且つ前方に位置し、第1段部6ECは、第1下側縁壁前部6EAの上端及び第2下側縁壁前部6EBの下端を接続している。第1段部6ECは上方に向かって後方に延びている。第1段部6ECには、上方に向かって後方に傾斜し、斜め前上方を向く第1傾斜面6EDが形成されている。下側縁壁後部6Fは、突端部6Bの下方に位置する第1下側縁壁後部6FAと、突端部6Bの後縁に位置する第2下側縁壁後部6FBと、それらを接続する第2段部6FCを備えている。第1下側縁壁後部6FAは、第2下側縁壁後部6FBの下方、且つ後方に位置し、第2段部6FCは第1下側縁壁後部6FAの上端及び第2下側縁壁後部6FBを接続している。第2段部6FCは上方に向かって前方に延びている。第2段部6FCには、上方に向かって前方に傾斜し、斜め後上方を向く第2傾斜面6FDが形成されている。第1傾斜面6ED及び第2傾斜面6FDは上方に向く面として形成されていてもよい。
下側縁壁前部6Eと下側縁壁後部6Fとは分離している。そのため、ロアサイドフレーム6は、上端部6Aの前縁、上縁及び後縁に沿って左右方向の内側に曲げ起こした場合に比べて作製し易い。
図5に示すように、ロアサイドフレーム6の左右方向外側を向く面の上部には、左右方向内側に凹んだ第1凹部6Jが形成されている。第1凹部6Jは、ロアサイドフレーム6の延在方向(上下)及び後方に延び、ロアサイドフレーム6の突端部6Bの後縁及びロアサイドフレーム6の上端部6Aの後縁に到達している。第1凹部6Jの下端には、ロアサイドフレーム6を厚み方向に貫通する貫通孔6Kが形成されている。貫通孔6Kは、ロアサイドフレーム6の長手方向(上下)に延びた長孔状に形成されている。
第1凹部6Jが形成されることによって、ロアサイドフレーム6の上部の剛性が高められる。貫通孔6Kを形成することによるロアサイドフレーム6の上部の剛性の低下が、ロアサイドフレーム6の上部に第1凹部6Jが形成されることによって抑制されている。
第1凹部6Jには、突端部6Bの下部において、左右方向内方に凹んだ第2凹部6Lが形成されている。第2凹部6Lは後方に延び、突端部6Bの後縁に到達している。
図4及び図5に示すように、アッパサイドフレーム7は、主面が左右を向き、上下に延びている。アッパサイドフレーム7の下端部7Aは、ロアサイドフレーム6の上端部6Aの左右方向外方に配置され、ロアサイドフレーム6の上端部6Aと左右方向において対向している。アッパサイドフレーム7の前縁及び後縁には、左右方向の内側に曲げ起こされた上側縁壁前部7B及び上側縁壁後部7Cが形成されている。上側縁壁前部7Bは第2下側縁壁前部6EBの前方に配置され、上側縁壁後部7Cは第2下側縁壁後部6FBの後方に配置されている。すなわち、第2下側縁壁前部6EB及び第2下側縁壁後部6FBは、前後方向において上側縁壁前部7B及び上側縁壁後部7Cの間に配置されている。上側縁壁前部7Bの下端は第1段部6ECの第1傾斜面6EDと隙間をおいて対向し、上側縁壁後部7Cの下端は第2段部6FCの第2傾斜面6FDと隙間をおいて対向している。
図7(A)に示されるように、上側縁壁前部7Bの下端の左右方向の幅(左右幅)は、第1傾斜面6EDの左右幅よりも大きい。第1傾斜面6EDの左端は上側縁壁前部7Bの下端左端の右方に位置し、第1傾斜面6EDの右端は上側縁壁前部7Bの下端右端の左方に位置している。すなわち、左右方向において、第1傾斜面6EDの全体は上側縁壁前部7Bの左端及び右端の間に位置している。図7(B)に示されるように、上側縁壁後部7Cの下端の左右幅は、第2傾斜面6FDの左右幅よりも大きい。左右方向において、第2傾斜面6FDの全体は上側縁壁後部7Cの左端及び右端の間に位置している。
アッパサイドフレーム7の下端部7Aは、左右に延びる軸部材22によってロアサイドフレーム6の上端部6Aに回動可能に結合されている。軸部材22の中心が、アッパサイドフレーム7及びロアサイドフレーム6の回動軸Xとなる。軸部材22は、第2下側縁壁前部6EB及び第2下側縁壁後部6FBの間に配置されている。よって、第1段部6EC、第1下側縁壁前部6EA、第2段部6FC及び第2下側縁壁後部6FBは、軸部材22の下方に位置している。ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7が結合された状態において、下側縁壁前部6E及び下側縁壁後部6Fはロアサイドフレーム6からアッパサイドフレーム7側と相反する側に突出し、上側縁壁前部7B及び上側縁壁後部7Cはアッパサイドフレーム7からロアサイドフレーム6側に突出している。上側縁壁前部7Bは軸部材22の前方を上方から下方に延在し、上側縁壁後部7Cは軸部材22の後方を上方から下方に延在している。アッパサイドフレーム7の下端部7Aは、第2凹部6Lと重なる位置に配置されている。
左右の下側縁壁後部6Fはそれぞれ、第1凹部6Jの後方において、他の部分に比べて大きく内方に突出した部分である突出部6Mを有している。その突出部6Mの突端には更に上方に突出するように逆U字状の鋼棒からなる第1ボード取付部9が固定されている。第1ボード取付部9は、バックボード下部BAをシートバックフレーム下部FAに取り付けるために使用される。つまり、突出部6Mがバックボード下部BAを支持するためのバックボード支持部となっている。また、突出部6Mがロアサイドフレーム6の剛性の高い部分である第1凹部6Jの近傍に設けられているため、バックボード下部BAの荷重を支持することができ、荷重が加わった場合にロアサイドフレーム6が変形し難い。
アッパサイドフレーム7は上端部近傍において、他の部分に比べて大きく内方に突出しており、当該突出部分がバックボード上部BBをシートバックフレーム上部FBに取り付けるための第2ボード取付部11を構成している。アッパフレーム5の左右に延在する上部には、ヘッドレストS3を支持するための一対のヘッドレスト保持部12が接合されている。アッパフレーム5の概ね上下方向に延在する左右の柱部分には、板状の補強フレーム13が左右方向に延在するように掛け渡されている。補強フレーム13にはバックボード上部BBを固定するための貫通孔13Aが形成されており、補強フレーム13はバックボード上部BBを固定するための第3ボード取付部としても機能する。補強フレーム13には、その下縁に沿って前方に延出するフランジ部13Bが形成されている。
左右のロアサイドフレーム6の下部には、両ロアサイドフレーム6を接続する上側連結ワイヤ31及び下側連結ワイヤ32が架設されている。上側連結ワイヤ31及び下側連結ワイヤ32は共に連続略S字状に屈曲された金属製の棒状部材によって形成されている。上側連結ワイヤ31は下側連結ワイヤ32の上方に位置し、上側連結ワイヤ31の両端は、ロアサイドフレーム6の下部において、概ね前後方向における略中央部分に結合され、下側連結ワイヤ32の両端は、ロアサイドフレーム6の下端においてその後部に結合されている。上側連結ワイヤ31及び下側連結ワイヤ32は、その屈曲部分が撓むことで、乗員の腰部を弾性的に支持する。
上側連結ワイヤ31と補強フレーム13との間には、それらに掛け渡された格子状部材33が設けられている。格子状部材33は、上側連結ワイヤ31と補強フレーム13との間に左右に離れて掛け渡された左枠部材34A及び右枠部材34Bと、左枠部材34A及び右枠部材34Bとの間に左右に掛け渡された複数の線状部材35と、左枠部材34A及び右枠部材34Bの間において線状部材35をまとめて結合する上下連結部材36とを備える。左枠部材34A、右枠部材34B、及び上下連結部材36は、金属製の棒状部材からなる。線状部材35は上下に平行に概ね等間隔に配置され、両端において左枠部材34A及び右枠部材34Bに巻付いて固定されている。
フランジ部13Bには、左枠部材34A及び右枠部材34Bに対応する位置に、それぞれ上下に貫通する貫通孔13C、13Dが形成されている。左枠部材34A及び右枠部材34Bの上端はそれぞれ、その貫通孔13C、13Dを通過して上方に延びている。補強フレーム13の前後方向を向く壁面には、左枠部材34A及び右枠部材34Bの上部に対応する位置に、上下方向に延びる長穴13E、13Fが形成されている。左枠部材34Aの上端及び右枠部材34Bの上端はそれぞれ下方に屈曲してJ字状をなし、長穴13E、13Fに掛け止めされている。左枠部材34A及び右枠部材34Bの上端は長穴13E、13Fに対して移動することができる。左枠部材34A及び右枠部材34Bの上端が掛け止めされる部分が長穴状に形成されているため、シートバックS2の中折れ動作時において、左枠部材34Aの上端及び右枠部材34Bの上端がそれぞれ上下方向に移動し易く、中折れ動作を円滑に行うことができる。左枠部材34Aの下端及び右枠部材34Bの下端はそれぞれ上側連結ワイヤ31に結束具37を用いて結合されている。前方からの荷重が加わると格子状部材33が撓み、乗員の背中が弾性的に支持される。
右側のロアサイドフレーム6の内面側下部には、右側のアッパサイドフレーム7を傾動駆動するためのアクチュエータ17が取り付けられている。アクチュエータ17は、電動モータ18と、電動モータ18の出力軸に接続された減速機構と、減速機構の回転運動を直進運動に変換する送りねじやボールねじ等の変換機構とを備え、その出力部17Aを直進運動させる伸縮駆動するものであり、公知の様々な機構を適用することができる。アクチュエータ17は、出力部17Aをロアサイドフレーム6に沿って延在させる向きでロアサイドフレーム6の受容孔6Gに内側から重なる位置にボルト等により固定されている。
左側のロアサイドフレーム6の内面側下部には、車両衝突時に着席者の側方に展開されるエアバッグ19が取り付けられている。エアバッグ19がロアサイドフレーム6に取付けられているため、エアバッグ19が安定して支持される。また、上部シートバックS2Bの位置に拠らず、エアバッグ19を所望の態様で展開させることができる。エアバッグ19がロアサイドフレーム6の内側に配置されているため、有効な空間を利用してエアバッグ19を取り付けることが可能になり、ロアサイドフレーム6の外側に配置する場合に比べて、シートバックS2の左右幅を小さくすることができる。
図4は右側のサイドフレーム2の内面を、図5は右側のサイドフレーム2の外面を示しており、それぞれアッパサイドフレーム7がロアサイドフレーム6と概ね平行になった通常使用状態の位置(アッパサイドフレーム7が最も後傾した位置。以下、後傾位置という。)にある状態を示している。シートSの通常使用状態では、ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7は共に鉛直線に対して後傾しているが、ここでは、これらの部材の延在方向が上下であるものとして、またアッパサイドフレーム7が後傾位置にあるものとして部材等の位置関係(上下関係及び前後関係)を説明する。
図5に示すように、第1凹部6Jにはリンク25が受容されている。リンク25は、板金部材であり、第1凹部6Jの長手方向に延在している。リンク25は、ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7の間に両部材と平行に配置されている。リンク25の下端は、貫通孔6Kと対向する位置に配置されている。リンク25の下端には、貫通孔6Kを通過してロアサイドフレーム6の左右方向内方に突出した第1ピン24が回動可能に結合されている。第1ピン24は貫通孔6Kに上下方向に摺動自在に係合している。第1ピン24の左右方向内方の端部には、アクチュエータ17の出力部17Aが連結されている。
リンク25の上端は、ロアサイドフレーム6の第2凹部6Lと及びアッパサイドフレーム7の間に配置されている。アッパサイドフレーム7の左右方向内側の面に貫通孔7Dが形成され、リンク25の上端及びアッパサイドフレーム7は左右に延びる第2ピン27によって回動可能に結合されている。第2ピン27はロアサイドフレーム6の第2凹部6L及びアッパサイドフレーム7の間に位置している。第2ピン27は、軸部材22の後方、且つ、軸部材22と第1ピン24とを結ぶ直線の後方に配置されている。
図8に示されるように、本実施形態ではリンク25の上端には六角形状の貫通孔25Aが形成されている。第2ピン27は半ねじのボルトによって形成され、頭部27A、根角部27B、及びねじ部27Cを記載の順に備えている。根角部27Bは貫通孔25Aに適合する六角柱状に形成されている。ねじ部27Cの頭部側端部には雄ねじが形成されていない円柱部27CAが設けられている。リンク25の上端及びアッパサイドフレーム7は、リンク25のロアサイドフレーム6側から第2ピン27を通し、ねじ部27Cにアッパサイドフレーム7の左右外方からナット28を結合させることによって結合されている。結合時には、アッパサイドフレーム7の貫通孔7Dに円柱部27CAが通過しているため、リンク25及びアッパサイドフレーム7とは相対回転可能となっている。締結時には、根角部27Bがリンク25の貫通孔25Aに嵌め合うことによって回転が規制されるため、ねじ部27Cにナット28を結合させ易い。根角部27Bを四角柱状とし、リンク25の貫通孔25Aを四角形状としてもよい。
次に、アッパサイドフレーム7の動作を説明する。図6(A)は図4と同様にアッパサイドフレーム7が後傾位置にある状態を示し、図6(B)はアッパサイドフレーム7が最も前傾した位置(以下、前傾位置という。)にある状態を示している。
アクチュエータ17の伸張駆動によって、出力部17Aに連結された第1ピン24が貫通孔6Kに沿ってロアサイドフレーム6に平行に上方に直進する。これに伴い、リンク25が第1ピン24を略中心として後方へ傾動すると共に第2ピン27を上方に押し上げる。これによって、アッパサイドフレーム7が回動軸Xを中心にして前方へ傾動し、アッパサイドフレーム7は、上側縁壁前部7Bの下端が第1傾斜面6EDに当接した前傾位置となる。前傾位置では上側縁壁前部7Bの下端が第1傾斜面6EDに当接しているため、アッパサイドフレーム7のロアサイドフレーム6に対する回動(前傾)が規制される。よって、上側縁壁前部7Bの下端及び第1傾斜面6EDはそれぞれ、アッパサイドフレーム7のロアサイドフレーム6に対する回動範囲を決定するストッパとして機能する。上側縁壁前部7Bの下端は上ストッパとして機能し、第1傾斜面6EDは下ストッパとして機能する。
アクチュエータ17が短縮駆動された場合には、出力部17Aに連結された第1ピン24が貫通孔6Kに沿ってロアサイドフレーム6と平行に下方に直進する。これに伴い、リンク25が第1ピン24を略中心として前方へ傾動すると共に、第2ピン27を下方に引き下げる。これによって、アッパサイドフレーム7が回動軸Xを中心にして後方へ傾動し、上側縁壁後部7Cの下端が第2傾斜面6FDに当接した後傾位置となる。後傾位置では上側縁壁後部7Cの下端が第2傾斜面6FDに当接しているため、アッパサイドフレーム7のロアサイドフレーム6に対する回動(後傾)が規制される。よって、上側縁壁後部7Cの下端及び第2傾斜面6FDは、アッパサイドフレーム7のロアサイドフレーム6に対する回動範囲を決定するストッパとして機能する。上側縁壁後部7Cの下端は上ストッパとして機能し、第2傾斜面6FDは下ストッパとして機能する。
次に、このように構成されたシートバックS2の効果について、図4〜図7を参照して説明する。アクチュエータ17を駆動し、出力部17Aを直線運動させることによって、シートバックフレーム上部FBを傾動させるリンク機構16が形成されている。また、上側縁壁前部7Bの下端、上側縁壁後部7Cの下端、第1傾斜面6ED及び第2傾斜面6FDがストッパとして機能し、アッパサイドフレーム7の回動範囲を定めることができる。前傾位置、及び後傾位置において、ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7が互いに当接しているため、後突等によって、上部シートバックS2Bに荷重が加わった場合でも、軸部材22に荷重が集中せず、シートバックフレームFの変形を防止することができる。
図6(A)及び図7(A)に示されるように、後傾位置にあるとき、第2傾斜面6FDは上側縁壁後部7Cの下端に当接している。このとき、第2傾斜面6FDは、左右方向において上側縁壁後部7Cの下端における右端と左端との間に位置している。そのため、大きな荷重等によって、ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7の相対位置のずれが生じた場合でも当接面積が変化しない。また、上側縁壁後部7Cの下端から第2傾斜面6FDに加わる荷重が左右方向に不均一になりにくく、第2傾斜面6FD及び上側縁壁後部7Cの変形が防止される。また、ロアサイドフレーム6を左右方向に移動させる荷重が加わりにくく、ロアサイドフレーム6の変形が防止される。
図6(B)及び図7(B)に示されるように、前傾位置にあるとき、第1傾斜面6EDは上側縁壁前部7Bの下端に当接している。このとき、第1傾斜面6EDは、左右方向において上側縁壁前部7Bの下端における右端と左端との間に位置している。そのため、大きな荷重等によって、ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7の相対位置のずれが生じた場合でも当接面積が変化しない。また、上側縁壁前部7Bの下端から第1傾斜面6EDに加わる荷重が左右方向に不均一になりにくく、第1傾斜面6ED及び上側縁壁前部7Bの変形が防止される。また、ロアサイドフレーム6を左右方向に移動させる荷重が加わりにくく、ロアサイドフレーム6の変形が防止される。
ロアサイドフレーム6及びアッパサイドフレーム7を曲げ起こすことによって、回動範囲を定めるストッパ(上側縁壁前部7B、上側縁壁後部7C、第1傾斜面6ED、及び第2傾斜面6FD)を形成することができるため、回動範囲を定めるために別途部材を用意する必要がない。よって、ストッパを容易に形成することができ、構造が簡素である。
ロアサイドフレーム6の上端部6Aに、下側縁壁前部6E、及び下側縁壁後部6Fが設けられているため、ロアサイドフレーム6の剛性が向上する。また、アッパサイドフレーム7の下端部7Aに、上側縁壁前部7B及び上側縁壁後部7Cが設けられているため、アッパサイドフレーム7の剛性が向上する。
リンク25の上端部がロアサイドフレーム6の上端部6Aとアッパサイドフレーム7の下端部7Aとによって覆われ、外部への露出面積が減るため、異物がリンク25に接触し難くなる。これにより、リンク25への異物の噛み込みが抑制される。リンク25は、第1凹部6Jに受容され、ロアサイドフレーム6の外方に突出しないため、異物がリンク25に一層接触し難くなる。第1凹部6Jが設けられることによって、ロアサイドフレーム6の上端部6Aの剛性が向上している。
第1傾斜面6ED、及び第2傾斜面6FDに、上側縁壁前部7B、及び上側縁壁後部7Cがそれぞれ当接することによって、回動が規制されている。第1傾斜面6EDは上方に向かって後方に延びているため、ロアサイドフレーム6の延在方向に平行な場合に比べて、上側縁壁前部7Bの下端が第1傾斜面6EDにより垂直に近い角度で当接する。そのため、上側縁壁前部7Bには、上側縁壁後部7Cから離れる方向の荷重が加わりにくくなる。第2傾斜面6FDは上方に向かって後方に延びているため、ロアサイドフレーム6の延在方向に平行な場合に比べて、上側縁壁後部7Cの下端が第2傾斜面6FDにより垂直に近い角度で当接する。そのため、上側縁壁後部7Cには、上側縁壁前部7Bから離れる方向の荷重が加わりにくくなる。よって、アッパサイドフレーム7の下端部7Aの変形を防止することができる。
第2凹部6Lに第2ピン27の頭部27Aが収容されているため、第2ピン27が移動し易い。そのため、リンク25の上端部とアッパサイドフレーム7との締結部分が可動し易くなり、リンク25が変位し易くなる。また、第2凹部6Lが形成されることによって、ロアサイドフレーム6の上端の剛性が向上する。
第1凹部6J及び第2凹部6Lは、ロアサイドフレーム6の後縁に延びている。そのため、アッパサイドフレーム7が後傾位置から前傾位置に変位するときに、第1ピン24に対するリンク25の後傾が妨げられ難くなり、シートバックS2の中折れ動作が円滑になる。また、リンク25をロアサイドフレーム6の後縁から挿入することができるため、リンク25の組付が容易になる。
また、ロアサイドフレーム6の延在方向に沿って延び、アクチュエータ17の出力部17Aを案内する貫通孔6Kがロアサイドフレーム6に形成されている。そのため、アクチュエータ17の出力部17Aのがたつきが防止され、シートバックS2の中折れ動作が円滑になる。
そしてアクチュエータ17の出力部17Aとリンク25とが、左右方向に延在して貫通孔6Kに係合する第1ピン24を介して互いに連結され、貫通孔6Kが第1ピン24を介して出力部17Aを案内している。そのため、専用の被ガイド部や被ガイド部材を設ける必要がなく、構成が簡素化されている。
図3に示されるように、ロアサイドフレーム6の上部が左右外方に膨出している。そのため、アクチュエータ17をロアサイドフレーム6の上部の間に収容する空間を確保することができ、アクチュエータ17を容易に組み付けることができる。アクチュエータ17が受容孔6Gに重なる位置に配置されているため、受容孔6Gが設けられていない場合に比べて、アクチュエータ17及びロアサイドフレーム6全体の左右方向の幅を小さくすることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができ、例えば、鉄道車両や航空機、船舶などの乗物用シートや家具用又はオフィス用のいす等にも適用することができる。また、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
上記実施形態では、ロアサイドフレーム6の上端部6Aがアッパサイドフレーム7の下端部7Aの左右方向内側に位置していたが、ロアサイドフレーム6の上端部6Aがアッパサイドフレーム7の下端部7Aの左右方向外側に位置していてもよい。ロアサイドフレーム6の上端部6Aをアッパサイドフレーム7の下端部7Aの左右方向外側に配置することによって、ロアサイドフレーム6の左右幅を大きくすることができ、シートバックフレームFの剛性を向上させることができる。
下側縁壁6C、上側縁壁前部7B、及び上側縁壁後部7Cの構成は適宜変更することができる。例えば、上側縁壁前部7B、及び上側縁壁後部7Cを左右方向外向き(ロアサイドフレーム6と相反する向き)に突出させてもよい。
上記実施形態では、図10に示されるように、上部シートバックS2B及び下部シートバックS2Aは一体のパッドPを用いて形成されていたが、2つの上部パッドPB及び下部パッドPAを用いて形成されていてもよい。上部シートバックS2Bは上部パッドPBを用いて形成され、下部シートバックS2Aは下部パッドPAを用いて形成されている。上部シートバックS2Bには上部ヒータHBが設けられている。上部ヒータHBのハーネスHCは上部パッドPB及び下部パッドPAの間を通過して後方に延び、下部パッドPAの後方を通過して下方に延びるように敷設されるとよい。更に、上部パッドPBに上部シートバックS2Bの後傾によってハーネスHCに生じた余長を逃がすための凹部50が形成されているとよい。
シートバックS2の内部にファンを設ける場合には、アッパサイドフレーム7又はアッパフレーム5に結合されていてもよい。その場合は、乗員の姿勢に追随させることができるため、シートSの快適性が向上する。また、ファンはロアサイドフレーム6又はロアフレーム4に結合されていてもよい。その場合は、ファンに設けられたハーネスを容易に配線することができる。
上記実施形態では、上側縁壁前部7Bの下端が直接、第1傾斜面6EDに当接するように構成されていたが、上側縁壁前部7Bの下端及び第1傾斜面6EDの少なくとも一方にゴムや不織布などを貼り付けてもよい。ゴムや不織布などを貼り付けることによって、当接時の異音の発生やサイドフレーム2の変形を防止することができる。同様に、上側縁壁後部7Cの下端及び第2傾斜面6FDの少なくとも一方にゴムや不織布などを貼り付けることによって、異音の発生やサイドフレーム2の変形を防止してもよい。