JP2019035046A - 難燃組成物および難燃性複合材 - Google Patents

難燃組成物および難燃性複合材 Download PDF

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Jun Nishioka
潤 西岡
浩一郎 谷口
Koichiro Taniguchi
浩一郎 谷口
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Abstract

【課題】優れた難燃性および優れた取扱性を両立することのできる難燃組成物、および、それからなる難燃層を備える難燃性複合材を提供する。【解決手段】難燃組成物は、無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有する。シリコーンバインダーの難燃組成物における含有割合が、3質量%以上、7質量%以下である。難燃性複合材1は、難燃組成物からなる難燃層2と、難燃層2の表面に配置される2つの金属層3とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、難燃組成物および難燃性複合材に関する。
従来より、シリコーン樹脂を含有する難燃組成物が、種々の難燃用途に用いられることが知られている。
例えば、オルガノポリシロキサン100重量部と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜40重量部と、酸化鉄、酸化セリウム及び酸化チタンから選択される1種又は2種以上の燃焼抑制剤25〜250重量部とを含有するシリコーン接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−106735号公報
近年、難燃組成物には、より優れた難燃性が求められており、具体的には、ユーロクラスA1を満足するような高度な難燃性(より具体的には、不燃性)が求められる。
しかし、特許文献1に記載のシリコーン接着剤組成物は、上記した優れた難燃性を達成できない場合がある。
同時に、難燃組成物には、優れた取扱性も求められる。
本発明は、優れた難燃性および優れた取扱性を両立することのできる難燃組成物、および、それからなる難燃層を備える難燃性複合材を提供する。
本発明(1)は、無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有する難燃組成物であり、前記シリコーンバインダーの前記難燃組成物における含有割合が、3質量%以上、7質量%以下である、難燃組成物を含む。
本発明(2)は、前記無機フィラーが、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含有する、(1)に記載の難燃組成物を含む。
本発明(3)は、前記難燃組成物からISO 1182に記載の試験体を調製し、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」に従って、前記試験体の表面温度を45分間測定したときに、前記試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、常に正数である、(1)または(2)に記載の難燃組成物を含む。
本発明(4)は、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の難燃組成物からなる難燃層と、前記難燃層の表面に配置される金属層とを備える、難燃性複合材を含む。
本発明の難燃組成物は、優れた難燃性および優れた取扱性を両立することができる。
本発明の難燃性複合材は、上記した難燃組成物からなる難燃層を備えるので、難燃性に優れながら、所望の形状や厚みを有することができる。
図1は、実施例1および比較例1の「不燃性試験」の測定結果を示すグラフである。 図2は、本発明の難燃組成物からなる難燃層を備える難燃性複合材の一実施形態の断面図を示す。
[難燃組成物]
本発明の難燃組成物は、無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有する。
無機フィラーは、難燃組成物に難燃性(不燃性を含む。以下同様。)を付与する無機難燃成分である。無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH)、および、Al・nHOの両方を含む)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物(水和金属水酸化物を含む)、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩(具体的には、金属酸炭酸塩)、例えば、酸化鉄(例えば、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、四酸化三鉄(Fe)などのFeO)、シリカなどの酸化物、さらには、例えば、ガラス、タルク、カオリン、クレー、マイカ、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。無機フィラーとして、好ましくは、水酸化物、炭酸塩、酸化物、ガラスが挙げられる。
無機フィラーは、単独使用まは2種以上併用することができる。好ましくは、水酸化物、炭酸塩、酸化物およびガラスの併用が挙げられ、より好ましくは、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化鉄およびガラスの併用が挙げられ、さらに好ましくは、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムの併用が挙げられる。
好ましくは、無機フィラーは、少なくとも水酸化アルミニウムを含み、より好ましくは、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムの両方を含み、さらに好ましくは、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ガラスおよび酸化鉄を含む。
水酸化アルミニウムの分解温度は、約300℃であり、炭酸カルシウムの分解温度は、約400℃である。
そのため、水酸化アルミニウムの分解温度は、相対的に低温である。なお、水酸化アルミニウムの分解は、吸熱反応である。そのため、水酸化アルミニウムは、相対的に低温側における吸熱効果を目的として、無機フィラーに含有される。
一方、炭酸カルシウムの分解温度は、相対的に高温であり、詳しくは、水酸化アルミニウムの分解温度よりも高く、かつ、シリコーンの分解温度(約450℃)に近い。また、炭酸カルシウムの分解は、吸熱反応である。そのため、炭酸カルシウムは、相対的に高温側、より具体的には、シリコーンバインダーの分解温度(約450℃)に近い高温側における吸熱効果を目的として無機フィラーに含有される。換言すれば、炭酸カルシウムは、シリコーンバインダーの分解温度に相当する分解温度を有していることから、シリコーンバインダーの分解時における吸熱効果を目的として無機フィラーに含有される。
そのため、無機フィラーが、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含有すれば、シリコーンバインダーが分解するまでの温度範囲において、吸熱効果を奏することができる。具体的には、上記した温度範囲における低温(例えば、約300℃)側では、水酸化アルミニウムの分解反応に基づく吸熱により、難燃性を高めることができ、高温(例えば、約400℃)側では、炭酸カルシウムの分解反応に基づく吸熱により、難燃性を高めることができる。従って、低温から高温(シリコーンバインダーの分解温度に近い温度)にわたって、高い難燃性を確保することができる。
さらに、無機フィラーが、水酸化アルミニウムに加えて、炭酸カルシウムを含有すれば、無機フィラーが水酸化アルミニウムのみを含有する場合に比べて、難燃組成物からなる難燃成形体(難燃層)の取扱性が向上する。
無機フィラーが、少なくとも水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含有する場合には、炭酸カルシウムの割合は、水酸化アルミニウム100質量部に対して、例えば、25質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、75質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。また、無機フィラーが、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ガラスおよび酸化鉄を含有する場合には、ガラスの割合が、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、50質量部未満、好ましくは、40質量部以下であり、また、酸化鉄の割合が、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、例えば、2質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
無機フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、無定形状、板状、針状、球状などが挙げられ、好ましくは、無定形状が挙げられる。また、無機フィラーは、内部が緻密である緻密質タイプでもよく、あるいは、内部に空間を有するバルーンタイプであってもよい。好ましくは、緻密質タイプの無機フィラーと、バルーンタイプの無機フィラーとが併用される。緻密質タイプの無機フィラーと、バルーンタイプの無機フィラーとを併用すれば、緻密質タイプの無機フィラーの単独使用に比べて、難燃組成物の密度を低減して(例えば、2.0g/cm未満に設定して)、難燃組成物の軽量化を図ることができる。好ましくは、緻密質タイプの水酸化物、緻密質タイプの炭酸塩、バルーンタイプのガラス(ガラスバルーン)の併用が挙げられる。
無機フィラーの大きさは、特に限定されず、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上、また、5000μm以下、好ましくは、2500μm以下である。
なお、無機フィラーは、その一部(例えば、酸化鉄など)が、シリコーン系組成物(後述)に含有されていてもよい。
無機フィラーの難燃組成物における含有割合は、例えば、93質量%以上、好ましくは、94質量%以上であり、また、例えば、97質量%以下、好ましくは、96質量%以下である。具体的には、無機フィラーの難燃組成物における含有割合は、後述するシリコーンバインダーの難燃組成物における含有割合に対する残部である。無機フィラーの含有割合は、例えば、不燃性試験における残渣量に基づいて定量することができる。
シリコーンバインダーは、無機フィラー同士を接着させて、難燃組成物から所定の形状を有する難燃成形体(例えば、後述する難燃層など)を形成するためのバインダー成分である。また、シリコーンバインダーは、難燃組成物の組成物としての取扱性(具体的には、成形性あるいは形状保持性)を向上させる一方、他のバインダー(例えば、エポキシバインダーなど)に比べて難燃性に優れる難燃性バインダーである。
シリコーンバインダーは、シリコーン樹脂を含む。シリコーン樹脂は、例えば、主鎖にシロキサン結合(Si−O−Si結合)を含む硬化型シリコーン樹脂(より具体的には、熱硬化型シリコーン樹脂)であって、具体的には、付加反応硬化型シリコーン樹脂、縮合反応硬化型シリコーン樹脂などが挙げられる。シリコーン樹脂は、1液型および2液型のいずれであってもよい。
シリコーン樹脂は、単独使用または併用することができる。
シリコーン樹脂として、好ましくは、ポットライフの観点から、付加反応硬化型シリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂が縮合反応硬化型シリコーン樹脂であれば、難燃組成物から難燃層2を調製して、かかる難燃層2を金属層3で常温で挟む(囲む)ときに、水分が難燃層2に混入すると、常温でも硬化反応が意図せずに進行するので、ポットライフが短くなる場合がある。これに対して、シリコーン樹脂が付加反応硬化型シリコーン樹脂であれば、上記したような水分の難燃層2への混入があっても、硬化反応は進行しないので、十分なポットライフを確保することができる。従って、付加反応硬化型シリコーン樹脂は、縮合反応硬化型シリコーン樹脂に比べて、好適である。
なお、シリコーンバインダーは、シリコーン樹脂の硬化剤を適宜の割合で含むことができる。
シリコーンバインダーの難燃組成物における含有割合は、3質量%以上、好ましくは、4質量%以上である。また、シリコーンバインダーの難燃組成物における含有割合は、7質量%以下、好ましくは、6.5質量%以下、より好ましくは、6質量%以下、さらに好ましくは、6質量%未満である。
また、シリコーンバインダーの含有割合は、無機フィラー100質量部に対して、例えば、3質量部以上、好ましくは、4質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、6質量部以下である。
シリコーンバインダーの含有割合が上記した下限を下回ると、取扱性が顕著に低下する。つまり、シリコーンバインダーの含有割合が上記した下限を上回ると、取扱性に優れる。
一方、シリコーンバインダーの含有割合が上記した上限を上回ると、難燃性が顕著に低下する。つまり、シリコーンバインダーの含有割合が上記した下限を下回ると、難燃性に優れる。
なお、シリコーン樹脂の含有割合は、例えば、不燃性試験における残渣量に基づいて定量することができる。
また、難燃組成物は、本発明の効果を阻害しないで、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、架橋剤、硬化触媒などの添加剤を適宜の割合で含有することもできる。
次に、難燃組成物の調製について説明する。
難燃組成物を調製するには、例えば、まず、無機フィラーと、シリコーンバインダーと、必要により添加剤とを配合する。なお、無機フィラーは、その一部が上記したシリコーン系組成物に予め含まれいてもよく、その場合には、無機フィラーの一部とシリコーンバインダーを含むシリコーン系組成物と、無機フィラーの残部と、必要により添加剤とを配合する。
なお、上記したように、シリコーン系組成物は、無機フィラーの一部(例えば、FeOなど)と、シリコーンバインダーとを含む。シリコーン系組成物100質量部に対するシリコーンバインダーの含有割合は、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、100質量部未満、好ましくは、70質量部以下である。無機フィラーの一部の含有割合は、上記したシリコンバインダーのそれの残部である。
その後、各成分を、例えば、ミキサーなどで混合する。
これにより、難燃組成物を調製する。
難燃組成物の密度は、例えば、3g/cm以下、好ましくは、2g/cm未満であり、また、0.5g/cm以上である。難燃組成物の密度が上記した上限を下回れば、軽量性に優れる。
そして、この難燃組成物は、無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有し、シリコーンバインダーの含有割合が上記した上限を下回るとともに、下限を上回るので、優れた難燃性および優れた取扱性を両立することができる。
難燃組成物の難燃性は、例えば、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」によって評価することができる。
この方法では、まず、難燃組成物からISO 1182に記載の円柱形状(直径44mm、長さ50mm)を有する試験体を調製する。次いで、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」に従って、炉内温度750℃に調整した炉内に試験体を入れ、試験体の表面温度を45分間測定する。図1に、本発明の難燃組成物の一例である実施例1(実線)および比較例1(破線)の試験体の表面温度および時間の関係を示す。
図1から分かるように、実施例1から調製した試験体の表面温度の1分間当たりの変化率は、例えば、常に正数である。なお、上記した変化率が、一部、0であることも許容される。好ましくは、上記した変化率が、正数である。試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、常に正数であれば、具体的には、ISO 1182の「不燃性試験の火災試験方法」に記載の試験において、炉内の温度上昇(ΔTで定義される温度上昇)を30℃以下に設定することができ、そのため、ユーロクラスA1を満足することができる。その結果、難燃組成物は、高度な難燃性を有することができる。
一方、図2から分かるように、比較例1の難燃組成物から調製した試験体の表面温度の1分間当たりの変化率は、部分的に、負数および0を有し、具体的には、測定開始から約15分経過に、1分間当たりの変化率が、負数となる。この場合には、ISO 1182の「不燃性試験の火災試験方法」に記載の試験において、炉内の温度上昇ΔTが30℃を超えてしまい、そのため、ユーロクラスA1を満足することができない。
この難燃組成物は、上記したように、難燃性および取扱性に優れるので、種々の難燃用途に用いることができる。例えば、難燃組成物から難燃層(芯材)2を形成し、かかる難燃層2を金属層(表層材)3で囲んだ難燃性複合材1として用いることができる。
図2に示すように、難燃性複合材1は、厚み方向に直交する面方向に延びる板形状を有する難燃性複合板である。難燃性複合材1は、平坦な上面および平坦な下面を有する。難燃性複合材1は、難燃層2と、難燃層2の上面および下面(表面の一例)に配置される2つの金属層3とを備える。つまり、難燃性複合材1は、第1の金属層3Aと、難燃層2と、第2の金属層3Bとを厚み方向において順に備える。好ましくは、難燃性複合材1は、難燃層2と、2つの金属層3とのみからなる。
難燃層2は、面方向に延びる板形状を有する。また、難燃層2は、難燃性複合材1における芯材である。難燃層2の材料は、上記した難燃組成物である。
2つの金属層3のそれぞれは、難燃性複合材1の上面および下面のそれぞれを形成する金属板である。2つの金属層3は、厚み方向において難燃層2を挟み込んでいる。また、2つの金属層3は、難燃層2によって互いに接着固定されている。金属層3の材料は、アルミニウム、チタン、鉄、ステンレスなどが挙げられ、好ましくは、難燃性複合材1の軽量化を図る観点から、アルミニウムが挙げられる。2つの金属層3のそれぞれの厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上であり、また、例えば、1mm以下、好ましくは、0.5mm以下である。
難燃性複合材1の厚みは、難燃層2と、2つの金属層3との厚みの総和であって、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、10mm以下である。
この難燃性複合材1を得るには、例えば、まず、難燃組成物を2つの金属層3で挟み込み、その後、それらを熱プレスする。
具体的には、難燃組成物を、第1の金属層3Aの上面に塗布(配置)し、次いで、第2の金属層3Bを難燃組成物の上に配置して、第1の金属層3A、難燃組成物および第2の金属層3Bを順に備える積層体を作製する。
その後、積層体を、例えば、プレス、ロールなどで、厚み方向に熱プレスする。具体的には、温度が、例えば、常温(20℃)以上、好ましくは、40℃以上で、また、例えば、230℃以下、好ましくは、200℃以下で、また、圧力が、例えば、2MPa以上、また、例えば、10MPa以下で、積層体を熱プレスする。熱プレス時間は、例えば、0.5分以上、また、例えば、30分以下である。
熱プレスによって、シリコーンバインダーが熱硬化型シリコーン樹脂を含有する場合には、熱硬化型シリコーン樹脂が熱硬化する。
これにより、シート形状(または板形状)の難燃層2を、2つの金属層3で挟み込んだ状態で、形成する。
あるいは、まず、難燃組成物から難燃層2を形成し、その後、2つの金属層3で、難燃層2を圧着しながら挟み込むこともできる。
これによって、難燃層2と、それを挟み込む2つの金属層3とを備える難燃性複合材1を製造する。
そして、この難燃組成物は、無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有し、シリコーンバインダーの難燃組成物における含有割合が、3質量%以上、7質量%以下であるので、優れた難燃性および優れた取扱性を両立することができる。
また、無機フィラーが、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含有すれば、低温から高温にわたって、高い難燃性を確保することができる。さらに、難燃組成物から成形された難燃成形体(難燃層)などは、手などに接触されても、崩壊することを防止することができ、そのため、難燃組成物は、取扱性に優れる。
さらに、難燃組成物からISO 1182に記載の試験体を調製し、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」に従って、試験体の表面温度を45分間測定したときに、試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、常に正数であれば、ISO 1182の「不燃性試験の火災試験方法」に記載の試験において、炉内の温度上昇ΔTを30℃以下に設定することができ、そのため、ユーロクラスA1を満足する、高度な難燃性を難燃組成物が有することができる。
この難燃性複合材1は、上記した難燃組成物からなる難燃層2を備えるので、難燃性に優れながら、所望の板形状および厚みを有することができる。
[変形例]
変形例において、一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
一実施形態では、難燃性複合材1は、2つの金属層3を備えるが、図示しないが、この変形例では、1つの金属層3を備えることもできる。
また、一実施形態では、難燃性複合材1は、面方向に延びる板形状を有するが、例えば、図示しないが、棒形状、より具体的には、円柱形状を有することができる。この場合には、難燃層2も、円柱形状を有し、金属層3は、難燃層2が延びる方向および周方向に沿う断面略円環(リング)形状を有することもできる。
また、難燃性複合材1は、仮想線で示す塗装層4をさらに備えることもできる。塗装層4は、2つの金属層3のそれぞれの表面に配置される。塗装層4は、公知の塗料から調製され、適宜の厚みを有する。塗装層4によって、金属層3の表面を保護するとともに、難燃性複合材1に美観を付与する。
さらに、難燃性複合材1において、図示しないが、難燃層2および金属層3の界面に、接着層を設けることもできる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
まず、各実施例および各比較例で用いた原料を以下に示す。
シリコーン系組成物 KE1204:A液およびB液として準備される2液型(付加反応硬化型)であって、シリコーンバインダーを約50質量%含有、FeO(無機フィラー)を約30質量%含有、信越化学工業社製
シリコーン系組成物 KE106+CAT−RG:KE106(付加反応硬化型)およびCAT−RG(硬化剤)の質量比率10:1の混合物、いずれも信越化学工業社製
水酸化アルミニウム:製品名「B−30」、無定形状の無機フィラー、平均粒子径55〜75μm、巴工業社製
炭酸カルシウム:製品名「白竜砕石1厘」、無定形状の無機フィラー、平均粒子径400μm、旭鉱末社製
ガラスバルーン:製品名「レックス1200」、バルーンタイプの無機フィラー、平均粒子径1200μm、巴工業社製
実施例1
表1に記載の原料を、表1に記載の配合処方に従って、配合して、ヘンシェルミキサーおよびプラスグラフで順に混合して、難燃組成物を調製した。
実施例2〜比較例3
実施例1と同様に処理して、難燃組成物を調製した。
(評価)
各実施例および各比較例の難燃組成物について、以下の項目を評価した。その結果を表1に記載する。なお、不燃性について、実施例1および比較例1の表面温度および時間を図1に示す。
[不燃性(難燃性)]
難燃組成物から、難燃組成物からISO 1182に記載の円柱形状を有する試験体(難燃成形体)を、プレスにより作製した。熱プレスでは、温度が180℃、圧力が4MPaで、時間が10分であった。
その後、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」に従って、炉内温度750℃に調整した炉内に試験体を入れ、試験体の表面温度を45分間測定した。そして、不燃性を以下の基準に基づいて評価した。
○:試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、常に正数であった。
△:試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、一部、0であった。
×:試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、一部、負数であった。
なお、実施例1および比較例1については、炉内の温度上昇ΔTも、試験体の表面温度とともに測定した。
[取扱性]
上記した試験体(難燃成形体)を手で触った際の崩壊の有無等により、取扱性を以下の基準に基づいて評価した。
○:難燃成形体が、崩壊しなかった。
△:難燃成形体が、一部崩壊した。
×:難燃成形体が、簡単に全部崩壊した。
[軽量性]
難燃組成物の軽量性を、密度により以下の基準に基づいて評価した。
○:2g/cm未満
△:2g/cm以上、3g/cm未満
×:3g/cm以上
Figure 2019035046
1 難燃性複合材
2 難燃層
3 金属層

Claims (4)

  1. 無機フィラーと、シリコーンバインダーとを含有する難燃組成物であり、
    前記シリコーンバインダーの前記難燃組成物における含有割合が、3質量%以上、7質量%以下であることを特徴とする、難燃組成物。
  2. 前記無機フィラーが、水酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含有することを特徴とする、請求項1に記載の難燃組成物。
  3. 前記難燃組成物からISO 1182に記載の試験体を調製し、ISO 1182に記載の「不燃性試験の火災試験方法」に従って、前記試験体の表面温度を45分間測定したときに、
    前記試験体の表面温度の1分間当たりの変化率が、常に正数であることを特徴とする、請求項1または2に記載の難燃組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃組成物からなる難燃層と、
    前記難燃層の表面に配置される金属層と
    を備えることを特徴とする、難燃性複合材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021069273A1 (en) 2019-10-08 2021-04-15 Agfa-Gevaert N.V. Flame retardant film
KR20230037230A (ko) * 2021-09-09 2023-03-16 인하대학교 산학협력단 난연제의 제조방법, 이에 따라 제조된 dopo가 코팅된 산화철을 포함하는 난연제 및 이를 포함하는 고분자 소재

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