JP2019032469A - 光ファイバ素線の製造方法および光ファイバ素線 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法および光ファイバ素線 Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバ素線の被覆の変形を抑えつつ、巻崩れの発生を抑止することができる光ファイバ素線の製造方法を提供する。【解決手段】光ファイバ裸線に被覆が施された光ファイバ素線をボビン7に巻き取る工程を有する光ファイバ素線の製造方法であって、ひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とし、かつ、1層ひずみεnを0.01以上とする。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ素線の製造方法および光ファイバ素線に関する。
従来から、光ファイバ裸線に被覆が設けられた光ファイバ素線をボビンに巻き取る工程を有する光ファイバ素線の製造方法が用いられている。例えば下記特許文献1では、光ファイバ素線をボビンに巻き取る際の張力を、巻取り半径の増加に伴って減少させていく方法を開示している。この方法によれば、ボビンに巻かれた状態での伝送損失の測定(OTDR)の際に、損失の値が実際よりも高く測定されるのを抑え、損失をより正確に測定することが可能となる。
特開平5−273416号公報
ところで、近年では光ファイバ素線のコストダウンを目的として光ファイバ母材の大型化が進んでおり、製造効率を向上させるためには、1つのボビンに巻かれる光ファイバ素線の量を大きくする必要がある。ここで、本願発明者らが鋭意検討した結果、1つのボビンに多くの光ファイバ素線を巻き付けた場合、巻き付けの条件次第では、光ファイバ素線の被覆が変形してしまい、この変形に起因して、従来の光ファイバ素線よりも低温環境下での伝送損失が増大してしまうことが判った。
また、このような被覆の変形を抑えるために、巻き取り時の張力を小さくすると、巻崩れなどが生じやすくなってしまう。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、光ファイバ素線の被覆の変形を抑えつつ、巻崩れの発生を抑止することができる光ファイバ素線の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光ファイバ素線の製造方法は、光ファイバ裸線に被覆が設けられた光ファイバ素線をボビンに巻き取る工程を有する光ファイバ素線の製造方法であって、ひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とし、かつ、1層ひずみεを0.01以上とする。
上記第1の態様によれば、ひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とすることで、光ファイバ素線の被覆に変形が生じるのを抑えつつ、1層ひずみεを0.01以上とすることで、巻崩れの発生を抑えることができる。
本発明の上記態様によれば、ファイバ素線の被覆の変形を抑えつつ、巻崩れの発生を抑止することができる光ファイバ素線の製造方法を提供することができる。
光ファイバ素線の製造装置の概略図である。 被覆に変形が生じていない光ファイバ素線について行った温度特性試験の結果を示すグラフである。 被覆に変形が生じている光ファイバ素線について行った温度特性試験の結果を示すグラフである。
以下、本実施形態に係る光ファイバ素線の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
一般的に、光ファイバ素線は、図1に示されるような製造装置10によって、光ファイバ母材Mから線引きすることで製造される。製造装置10は、加熱ヒータ1と、冷却装置2と、被覆装置3と、被覆硬化装置4と、引き取り機5と、プーリ6と、巻取ボビン7と、を備えている。
加熱ヒータ1は、加熱炉内に挿入された光ファイバ母材Mを約2000℃以上に加熱して溶融させる。冷却装置2は、光ファイバ母材Mから引き出された光ファイバ裸線を冷却する。なお、冷却装置2を用いず、自然冷却によって光ファイバ裸線を冷却してもよい。被覆装置3は、ダイコーティングなどによって、光ファイバ裸線の外周に、UV硬化型樹脂などの被覆層をコーティングする。その後、コーティングされたUV硬化型樹脂などは、被覆硬化装置4によって硬化される。
被覆層は、一般的にはプライマリ層およびセカンダリ層の2層構造となっている。一般的に、プライマリ層のヤング率は0.3〜1.0MPa程度であり、セカンダリ層のヤング率は500〜1500MPa程度である。
引き取り機5は、例えば引取りキャプスタンであり、引き取り機5によって線引き速度が決定される。線引き速度は例えば25m/sec以上である。プーリ6は、光ファイバ素線の進行方向を変える。
巻取ボビン7は、製造された光ファイバ素線を一時的に巻き取って保持するためのボビンである。一般的な巻取ボビン7の大きさは、胴径φ300mm〜600mm程度、胴幅は500mm〜1500mm程度である。巻取ボビン7の材質は、特に限定されないが、アルミニウムやステンレスなどの金属材料の他、塩化ビニル樹脂やABS樹脂製などの樹脂材料などを適宜使用可能である。
光ファイバ素線は、巻取ボビン7に巻き付けられた後、不良部を除外する工程にて、良品候補部が適宜切り割られて、各良品候補部は50km〜200km程度の単長となる。良品候補部には、光学特性などの測定が実施される。測定の結果に基づき製品規格を満たした良品候補部は良品となり、製品として使用される。良品部は、出荷用ボビンに再度巻かれて出荷され、あるいはケーブル化まで実施されてから出荷される。
ところで、近年ではコストダウンなどを目的として、光ファイバ母材Mの大型化が進んでいる。一例では1000km上の光ファイバ素線を製造可能な大型の光ファイバ母材Mが使用されており、より大きな光ファイバ母材Mでは、4000km以上の光ファイバ素線を製造可能な場合がある。これに対して、所定の長さ(例えば500km、1000km)ごとに区切って光ファイバ素線を巻取ボビン7に巻き取ることも可能であるが、光ファイバ素線の製造効率を向上させるためには、1つの巻取ボビン7に巻き取られる光ファイバ素線の量をなるべく大きくすることが好ましい。これにより、巻取ボビン7を交換するための作業時間が短縮されるなどの効果が得られるためである。
光ファイバ素線を1つの巻取ボビン7に巻き付ける長さを大きくする方法としては、巻取ボビン7の胴径を小さくして巻き厚さを厚くしたり、単純に巻き厚さのみを厚くしたりする方法などが挙げられる。
しかしながら、光ファイバ素線のボビンへの巻き厚さが厚くなると、下層側の光ファイバ素線に大きな側圧が作用し、光ファイバの伝送損失が大きくなる。また、巻崩れが発生しやすくなる。さらには、紡糸工程で巻取ボビン7への巻取りを開始してから、次工程にて、巻取ボビン7に巻かれた光ファイバ素線を繰り出し終わるまでの時間が相対的に長くなってしまう。
巻崩れを防止するためには、巻き取り時の張力を大きくすることが有効である。つまり、強い張力を印加して巻き取るほど、巻かれた状態を維持しやすく、巻崩れが生じにくい。しかしながら、巻張力が高いと光ファイバ素線の被覆層の変形が大きくなり、この変形は、巻取ボビンから光ファイバ素線を引き出し、張力がかからない状態(フリーコイル状態)にしても戻りにくい。特に、光ファイバ素線への微小な曲げが加わった際の伝送損失を小さくするために、プライマリ層のヤング率を小さくした場合、被覆層の変形が生じやすくなる。
本願発明者らが検討した結果、このような被覆層の変形が、光ファイバの評価項目としてIEC−60793−2−50に記載されている温度特性試験(−60℃〜+85℃)の結果に影響を及ぼすことが判った。
図2および図3は、被覆層の変形と温度特性試験の結果との関係を確認したグラフである。温度特性試験の試験方法は、IEC−60793−1−52に規定されている方法を用いた。測定波長は1550nmとし、ロス(伝送損失)の変動分を測定した。図2は、被覆層が変形していない光ファイバ素線についてのグラフであり、図3は、巻取ボビン7への巻き付けによって被覆層が変形した光ファイバ素線についてのグラフである。なお、図3のデータの測定時には、光ファイバ素線を巻取ボビン7から引き出して、張力を開放した状態としている。
図2に示すように、被覆層が変形していない光ファイバ素線については、温度が−60℃となったときに、ロス変動分の値がマイナスとなっている。これは、環境温度が20℃から−60℃に低下したときに、光ファイバ素線の伝送損失が小さくなることを示している。これに対して、図3に示すように、被覆層が変形している光ファイバ素線については、温度が−60℃となったときに、ロス変動分の値がゼロの近傍まで戻っている。図2と図3との比較から、被覆層が変形している光ファイバ素線のほうが、−60℃の環境下において、伝送損失が大きくなることが判る。この現象は、光ファイバ素線を巻取ボビン7に巻き付けた際に被覆に生じた変形が、光ファイバ素線を巻取ボビン7から引き出して張力を開放しても解消せず、さらに、低温環境下における被覆層のヤング率上昇などの被覆層の特性の変化が総合的に影響し、マイクロベンド損失が増加したことが原因と考えられる。
上記のように、巻取ボビン7に光ファイバ素線を巻き付けた後、張力を開放しても被覆層の変形が解消されない現象には、巻取ボビン7に光ファイバ素線を巻き付けた状態の保持時間も関係する。保持時間は、たとえば、線引き速度2000m/minで、2000kmの光ファイバ素線を巻取ボビン7に巻き付けた際には、16.6時間程度となり、線引き後すぐに同じ線速で巻き返した場合、合計の保持時間は33時間程度となる。
なお、上記のようにボビンに光ファイバ素線を巻き付けることで生じる被覆層の変形は、巻取ボビン7への巻き取りだけでなく、例えば出荷用ボビンへの巻き取りなどの際にも生じる。従って、以下で説明する巻取条件は、巻取ボビン7以外のボビンへの巻き取りにも適用することができる。ただし、光ファイバ素線をボビンに巻き付けた状態の保持時間や巻き付け量の観点から、光ファイバ素線を製造してから製品として出荷するまでの間で、被覆層が最も変形しやすいのは紡糸工程時である。従って、下記巻取条件は、特に紡糸工程時に好適に用いることができる。
以上の説明から明らかなように、巻取ボビン7に光ファイバ素線を巻き付ける場合には、プライマリ層およびセカンダリ層のヤング率、巻き付けた状態の保持時間、巻き張力、巻き厚さなど、多くのパラメータを考慮した上で、巻崩れが発生せず、かつ被覆層が変形しない巻取条件を設定する必要がある。本願発明者らが鋭意検討した結果、以下に示す「ひずみ緩和係数Tε/K」および「1層ひずみε」の値を所定の範囲内とすることで、良好な巻取条件が得られることが判った。
(ひずみ緩和係数Tε/K
ひずみ緩和係数Tε/Kは、側圧Pf[Pa]、ひずみε、保持時間Tw[hour]、ひずみ保持時間Tε[hour]、および被覆係数Kcoatなどによって算出されるパラメータである。
ここで、「側圧Pf」は、光ファイバ素線に作用する側圧であり、巻張力および巻厚さなどに基づいて算出される。「ひずみε」は、被覆層のうち、最もヤング率が小さい層のヤング率Ep[Pa]に基づいて算出される。ひずみεは、側圧によって被覆層がどの程度変形するかを数値化したものである。なお、Epは、通常はプライマリ層のヤング率である。
「保持時間Tw」は、ボビンへの光ファイバ素線の巻き取りを開始してから、光ファイバ素線を当該ボビンから引き出し終わるまでの時間である。すなわち、保持時間Twは、光ファイバ素線がボビンに巻かれた状態で保持される時間の合計値である。「ひずみ保持時間Tε」は、ひずみεおよび保持時間Twに基づいて算出される。ひずみ保持時間Tεは、被覆の変形の残りやすさを数値化したものである。「被覆係数Kcoat」は、被覆層の物性などに基づいて、光ファイバ裸線が受ける外力の大きさを数値化したものである。
以下、ひずみ緩和係数Tε/Kの具体的な算出方法について説明する。
Pfは以下の数式(1)で定義される。ここで、F[N]は巻張力であり、h[m]は巻厚さであり、D[m]はボビンの胴径であり、d[m]は光ファイバ素線の外径である。
Figure 2019032469
ひずみεは、Pfおよび先述のEp[Pa]、に基づき、ε=Pf/Epとして算出される。
ひずみ保持時間Tεは、保持時間Twと、ひずみεと、の積である。つまり、Tε=ε×Twである。
被覆係数Kcoatは、以下の数式(2)により算出される。なお、被覆係数Kcoatについては、Baldauf et al, IEICE Vol.E76-B, No.4 April 1993に開示されている。数式(2)において、tp[m]はプライマリ層の厚さであり、Es[Pa]はセカンダリ層のヤング率であり、ts[m]はセカンダリ層の厚さであり、Rs[m]は被覆外径であり、H0はセカンダリ剛性(
数式(3)参照)であり、μはボビン表面係数である。これらのパラメータを調整することで、被覆係数Kcoatを調整することができる。なお、被覆が1つの層で構成されている場合には、Ep=Esとなる。
Figure 2019032469
また、数式(2)におけるセカンダリ剛性H0は、以下の数式(3)により得られる。数式(3)において、rp[m]はプライマリ層の外径であり、rs[m]はセカンダリ層の外径である。なお、被覆が一つの層で形成されている場合には、rsを被覆の外径とし、rpを光ファイバ裸線の外径とする。
Figure 2019032469
以上のひずみ保持時間Tεおよび被覆係数Kcoatを用いた下記数式(4)により、ひずみ緩和係数Tε/Kが算出される。
Figure 2019032469
上記数式(4)は、以下の数式(5)のように表現することも可能である。
Figure 2019032469
詳細は後述するが、上記のひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とすることで、前述した光ファイバの温度特性試験を実施した際に−60℃での損失が増加に転じる現象を防ぐことができる。また、被覆層に側圧がかかることで変形が生じたとしても、後工程での出荷ボビンへの巻き付けやケーブル化に向けた各工程において、被覆層の変形を容易に元に戻すことができる。これにより、低温環境下における光ファイバ素線のマイクロベンド特性を良好に維持することができる。
ここで、ひずみ緩和係数Tε/Kを小さくするためには、プライマリ層のヤング率Epを大きくしたり、巻き厚さhやひずみ保持時間Tεを小さくしたりすることが考えられる。しかしながら、プライマリ層Epのヤング率を大きくすると、マイクロベンド特性が低下してしまう。また、巻き厚さhやひずみ保持時間Tεを小さくすると、1つのボビンに巻き付けることができる光ファイバ素線の量が小さくなり、製造効率の低下につながってしまう。
これらのことを考慮すると、ひずみ緩和係数Tε/Kを小さくするために巻張力Fを小さくすることが考えられるが、巻張力Fを小さくすると巻崩れや巻跳ねが発生する可能性が高まる。なお、巻崩れとは光ファイバ素線を巻いた層が崩れることであり、巻跳ねとは、緩んだ光ファイバ素線が層から飛び出ることである。
そこで、巻崩れや巻跳ねの生じない条件を鋭意検討した結果、以下に示す「1層ひずみε」を所定の範囲内とすることで、適切な巻き条件が得られることが判った。
(1層ひずみε
1層ひずみεは、ボビンに巻き付けられた光ファイバ素線の各層(トラバース毎)の「巻き付け応力Pn」と、前述のEpと、から算出されるパラメータである。
巻き付け応力Pnは、以下の数式(6)により算出される。数式(6)において、Df[m]は光ファイバ素線をボビンに巻いているときの巻径(直径)であり、d[m]は光ファイバ素線の外径である。なお、ボビンに巻かれた最下層の光ファイバ素線については、Df=Dとなり、最上層の光ファイバ素線については、Df=D+2×hとなる。
Figure 2019032469
上記の巻き付け応力Pnを用いて、一層ひずみεは、ε=Pn/Epにより算出される。以上より、1層ひずみεは以下の数式(7)により定義される。
Figure 2019032469
詳細は後述するが、上記のように定義される1層ひずみεを0.01以上とし、必ず被覆材が微小に変形する巻圧力とすることで、ボビンに光ファイバ素線を巻き取る際の巻崩れや、巻跳ねの発生を防ぐことができる。なお、1層ひずみεの値は、ボビンに巻かれた状態の光ファイバ素線の各層でそれぞれ異なるが、上層であるほど1層ひずみεの値が小さくなり、下層であるほど1層ひずみεの値が大きくなる。従って、最上層の光ファイバ素線について、1層ひずみεが0.01以上であれば、そのボビンに巻かれた光ファイバ素線全体の1層ひずみεが0.01以上となる。
以下、表1および表2に示す具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
Figure 2019032469
Figure 2019032469
(実施例1)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを100gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは101となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.017、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.014となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(実施例2)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを100gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは110時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは279となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.017、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.014となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例1)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを100gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは130時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは330となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.017、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.014となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生しなかったが、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行ったところ、−60℃での損失増加現象がみられた(図3参照)。
(実施例3)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを110gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは100時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは279となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.019、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.016となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例2)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを110gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは110時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは307となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.019、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.016となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生しなかったが、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行ったところ、−60℃での損失増加現象がみられた(図3参照)。
(実施例4)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを100gf、巻厚さhを100mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは65時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは292となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.017、ボビン最上層(Df:φ650mm)で0.012となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例3)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを100gf、巻厚さhを100mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは70時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは314となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.017、ボビン最上層(Df:φ650mm)で0.012となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生しなかったが、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行ったところ、−60℃での損失増加現象がみられた(図3参照)。
(実施例5)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを70gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは71となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.012、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.010となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例4)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=1.0MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを60gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1196となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは61となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.010、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.009となった。
この条件では、ボビン巻取り時に巻崩れが発生してしまい、巻き取られた光ファイバ素線全体が損傷してしまった。
(実施例6)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.61MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを70gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは483となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは288となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.020、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.016となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例5)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.61MPa、セカンダリ層がEs=1000MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを75gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは483となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは309となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.021、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.018となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生しなかったが、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行ったところ、−60℃での損失増加現象がみられた(図3参照)。
(実施例7)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.6MPa、セカンダリ層がEs=800MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ200μm、セカンダリ層の外径rsはφ250μmである。巻取り条件は、巻張力Fを70gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは566となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは250となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.020、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.017となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(実施例8)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.6MPa、セカンダリ層がEs=800MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ180μm、セカンダリ層の外径rsはφ230μmである。巻取り条件は、巻張力Fを60gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは1182となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは121となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.019、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.015となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(実施例9)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.4MPa、セカンダリ層がEs=800MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ180μm、セカンダリ層の外径rsはφ230μmである。巻取り条件は、巻張力Fを50gf、巻厚さhを40mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは552となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは267となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.024、ボビン最上層(Df:φ530mm)で0.020となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生せず、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行っても、−60℃での損失増加現象は見られず、良好な結果であった(図2参照)。
(比較例6)
大型光ファイバ母材を使用して、線引き速度2000m/minで、全長2000kmの光ファイバ素線を製造し、巻取ボビンに巻き付けた。この時使用した被覆材のヤング率は、プライマリ層がEp=0.4MPa、セカンダリ層がEs=800MPaである。光ファイバ裸線の外径はφ125μmであり、プライマリ層の外径rpはφ180μm、セカンダリ層の外径rsはφ230μmである。巻取り条件は、巻張力Fを50gf、巻厚さhを50mmとした。巻取りボビンの胴径Dはφ450mmのものを使用した。巻取ボビンの材質はアルミニウムであり、この場合のボビン表面係数はμ=3である。紡糸開始後から次工程の巻き返し完了までの保持時間Twは40時間であった。
この結果、被覆係数Kcoatは552となり、ひずみ緩和係数Tε/Kは325となった。また、1層ひずみεは、ボビン最下層(Df:φ450mm)で0.024、ボビン最上層(Df:φ550mm)で0.019となった。
この条件では、ボビン巻取り時およびボビン巻き返し時に巻崩れは発生しなかったが、最下層の光ファイバ素線をフリーコイル状態として温度特性試験を行ったところ、−60℃での損失増加現象がみられた(図3参照)。
上記実施例1〜9および比較例1〜6に示したように、プライマリヤング率、セカンダリヤング率、ファイバ径、プライマリ径、セカンダリ径などを調整することで、被覆係数Kcoatを調整することができる。さらに、保持時間、巻張力、巻厚さ、ボビン径などを調整することで、ひずみ緩和係数Tε/Kを調整することができる。
温度特性試験の結果に着目すると、ひずみ緩和係数Tε/Kが292以下の場合(実施例4等参照)には結果が良好であったのに対し、ひずみ緩和係数Tε/Kが307以上の場合(比較例2等参照)には結果が良好ではなかった。このことから、ひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とすることで、被覆層の変形が抑えられ、温度特性試験の結果が良好な光ファイバ素線が得られると考えられる。
また、光ファイバ巻径、巻張力、プライマリヤング率などを調整することで、1層ひずみεを調整することができる。
巻崩れの発生の有無に着目すると、1層ひずみεが0.009である比較例4では巻崩れが発生したのに対し、1層ひずみεが0.010以上である場合には巻崩れが発生していない。このことから、1層ひずみεを0.010以上とすることで、ボビン巻取り時の巻崩れの発生を抑えることができると考えられる。
以上説明したように、ひずみ緩和係数Tε/Kおよび1層ひずみεを適正な値とすることにより、巻崩れが発生せず、被覆層の変形を抑えた温度特性試験の結果が良好な光ファイバ素線を得ることができる。またこれらの条件は、被覆層のヤング率や、被覆径などのパラメータの影響を含んだ条件であり、非常に汎用性が高く、将来にわたる被覆材の変更や被覆径の変更に柔軟に対応できるという格別な効果を有する。
特に、ひずみ緩和係数Tε/Kが292以下となるように、巻張力、巻厚さ、および保持時間の少なくとも1つの条件を設定することで、上記の最適な巻き取り条件を容易に設定することができる。
また、ひずみ緩和係数Tε/Kが292以下となるように、プライマリコート径およびセカンダリコート径の少なくとも1つを設定することで、上記の最適な巻き取り条件を容易に設定することができる。
また、1層ひずみεが0.01以上となるように、巻張力を設定することで、上記の最適な巻き取り条件を容易に設定することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
7…巻取ボビン 10…製造装置

Claims (5)

  1. 光ファイバ裸線に被覆が設けられた光ファイバ素線をボビンに巻き取る工程を有する光ファイバ素線の製造方法であって、
    以下の(2)式、(3)式、および(5)式によって定義されるひずみ緩和係数Tε/Kを292以下とし、かつ、下記式(7)で定義される1層ひずみεを0.01以上とする、光ファイバ素線の製造方法。
    Figure 2019032469
    Figure 2019032469
    Figure 2019032469
    Figure 2019032469
  2. 前記ひずみ緩和係数Tε/Kが292以下となるように、巻張力、巻厚さ、および保持時間の少なくとも1つの条件を設定する工程を有する、請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  3. 前記ひずみ緩和係数Tε/Kが292以下となるように、プライマリコート径およびセカンダリコート径の少なくとも1つを設定する工程を有する、請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  4. 前記1層ひずみεが0.01以上となるように、巻張力を設定する工程を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバ素線の製造方法によって製造された、光ファイバ素線。
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