JP2001264606A - テープ状光ファイバ心線の製造方法 - Google Patents

テープ状光ファイバ心線の製造方法

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JP2001264606A
JP2001264606A JP2000369882A JP2000369882A JP2001264606A JP 2001264606 A JP2001264606 A JP 2001264606A JP 2000369882 A JP2000369882 A JP 2000369882A JP 2000369882 A JP2000369882 A JP 2000369882A JP 2001264606 A JP2001264606 A JP 2001264606A
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electron beam
resin
coating
tape
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JP2000369882A
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Tomoyuki Hattori
知之 服部
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テープ状光ファイバ心線の一括被覆表面の粘
着性に基づくタック現象を抑え、かつ伝送特性も良好で
Bellcoreの疲労係数規格を満足させる。 【解決手段】 ガラスファイバ上に紫外線硬化型樹脂の
被覆を施してなる光ファイバ2を複数本平行に並べてそ
れらを覆うように一括被覆を施したテープ状光ファイバ
心線10の製造方法であって、複数本平行に並べた光フ
ァイバ2上に塗布装置7にて電子線硬化型樹脂を塗布し
て該樹脂に電子線照射装置9にて加速電圧40kV〜2
50kVの電子線を照射して硬化させ一括被覆となす。
また、複数条平行に並べたテープ状光ファイバ心線10
上に、塗布装置12にて電子線硬化型樹脂を塗布して該
樹脂に電子線照射装置14にて加速電圧40kV〜25
0kVの電子線を照射して硬化させ連結一括被覆となす
ことも出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として光ファイ
バケーブルの中に収容されて使用されるテープ状光ファ
イバ心線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3(A)(B)はそれぞれ、光ファイ
バケーブルの主要部材として広く用いられているテープ
状光ファイバ心線の横断面図である。図3において、2
1はガラスファイバ、22は被覆、23は光ファイバ、
24は一括被覆、25はテープ状光ファイバ心線、26
は連結一括被覆、27は連結型のテープ状光ファイバ心
線である。図3(A)に示すテープ状光ファイバ心線2
5は、石英ガラスを主成分とするガラスファイバ21上
に紫外線硬化型樹脂の被覆22を施してなる光ファイバ
3を複数本平行に並べて、それらを覆うように樹脂から
なる一括被覆24を施したものである。
【0003】また、図3(B)の連結型のテープ状光フ
ァイバ心線27は、上記のテープ状光ファイバ心線と同
様のテープ状光ファイバ心線25を更に複数条平行に並
べて、それらを覆うように樹脂からなる連結一括被覆2
6を施したものであって、複数条の図3(A)に示すテ
ープ状光ファイバ心線が幅方向に連結されているもので
ある。この連結型のテープ状光ファイバ心線27は、使
用時にはその端末部において複数条のテープ状光ファイ
バ心線に分割することが多いので、分割型テープ状光フ
ァイバ心線とも呼ばれることもある。ここでは、特にこ
とわらない限り、テープ状光ファイバ心線とは図3
(A)の形態のもの及び図3(B)の形態のものの両方
を指すものとする。
【0004】また、図3(A)及び図3(B)では、ガ
ラスファイバ21上の被覆22は1層として描いている
が、被覆22は一般に、比較的柔らかい紫外線硬化型樹
脂からなる層の上に比較的硬い紫外線硬化型樹脂からな
る層を設け更に着色層を設けて構成する。また、着色層
は設けない場合もある。また、被覆22の層数は2又は
3に限られるものではない。
【0005】また、光ファイバケーブルに上記のテープ
状光ファイバ心線を用いるに当たって多くの場合は、抗
張力体の周囲に表面に溝を形成したプラスチック成形体
を設けてなるスロット部材又はスペーサ部材等と呼ばれ
る収容体の溝内に複数条のテープ状光ファイバ心線を積
層して収容する。
【0006】また、従来技術によるテープ状光ファイバ
心線の一括被覆あるいは連結一括被覆は、並列した光フ
ァイバ上又は並列したテープ状光ファイバ心線上に、紫
外線硬化型樹脂を塗布してその樹脂に紫外線を照射して
硬化させることによって形成される。この被覆形成工程
においては、紫外線硬化型樹脂を塗布した後、紫外線照
射装置に入るまで未硬化の樹脂が空気に曝されるが、そ
の時樹脂の表面には酸素が吸収され、その酸素の存在に
よって紫外線を照射しても樹脂の硬化促進が抑えられ
る。従って、樹脂の表面は一部未硬化の状態で残ること
がある。
【0007】また、製造されたテープ状光ファイバ心線
は、通常ボビンに層状に巻き取られる。その時、紫外線
硬化型樹脂からなる被覆層の表面部分は柔らかくて粘着
性があると、次工程でそのボビンからテープ状光ファイ
バ心線を繰出す時に、巻付けた各層のテープ状光ファイ
バ心線同士が互いに粘着してスムーズに繰出せないとい
ったタック現象が起きることがある。著しい場合は、各
層のテープ状光ファイバ心線の一括被覆又は連結一括被
覆同士が粘着して無理に引出すと一括被覆又は連結一括
被覆が破れるということも起きる。
【0008】そこで、テープ状光ファイバ心線の一括被
覆又は連結一括被覆を滑り易くして粘着性を軽減する方
法が採られている。特開平7−209564号公報に記
載された方法は、紫外線硬化型樹脂にフッ素含有有機化
合物を添加するものである。また、特開平8−2174
95号公報に記載された方法は、紫外線硬化型樹脂中に
シリコーン構造を含ませるか、樹脂材料中にシリカ微粒
子を添加する方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、フッ素系有
機化合物あるいはシリコーン構造を含む有機化合物は、
一般に紫外線硬化型樹脂として使用されるウレタンアク
リレート樹脂あるいはエポシキアクリレート樹脂との相
溶性が悪く、保存中に相分離を起こし易い。また、テー
プ状光ファイバ心線の紫外線硬化型樹脂の塗布及び紫外
線照射の製造工程における製造線速を早くすると、塗布
装置内のダイス部分で剪断力が樹脂に加わり相分離を起
こし易い。
【0010】相分離を起こしたまま光ファイバ上に樹脂
を塗布し紫外線を照射すると、ベース樹脂とフッ素系有
機化合物等の添加物との表面エネルギーが異なり一括被
覆又は連結一括被覆の表面に凹凸が形成される。このよ
うな一括被覆又は連結一括被覆の表面に凹凸が生じたテ
ープ状光ファイバ心線を積層して収容し光ファイバケー
ブルとすると、光ファイバに不均一な側圧が作用して光
ファイバの伝送損失等の特性が悪化する。また、シリカ
微粒子を添加する場合も、一括被覆又は連結一括被覆の
表面に凹凸が形成され易く、その凹凸によって光ファイ
バの伝送損失が増加することがある。
【0011】また、紫外線硬化型樹脂を使用する場合、
紫外線の照射によって輻射熱を受ける。このため、樹脂
の硬化反応時には硬化反応熱と輻射熱の双方によって、
一括被覆の温度が100℃以上にもなることがある。そ
れによって、反応が終わって冷却した一括被覆は硬化収
縮による歪みと冷却に伴う温度低下による歪みを受けて
テープ状光ファイバ心線の伝送特性が悪化することがあ
る。
【0012】本発明は、被覆表面の粘着性に基づくタッ
ク現象を抑制し、紫外線硬化型樹脂の相分離に伴う被覆
表面を凹凸形成という問題点を解消し、かつ硬化反応時
の樹脂温度を低くすることによって樹脂内に残留する歪
みを小さくして、伝送特性の良好なるテープ状光ファイ
バ心線を製造する方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のテープ状光ファ
イバ心線の製造方法は、ガラスファイバ上に紫外線硬化
型樹脂の被覆を施してなる光ファイバを複数本平行に並
べてそれらを覆うように一括被覆を施したテープ状光フ
ァイバ心線の製造方法、又は該テープ状光ファイバ心線
を更に複数条平行にしてそれらを覆うように連結一括被
覆を施した連結型のテープ状光ファイバ心線の製造方法
であって、複数本平行に並べた光ファイバ上又は複数条
平行に並べたテープ状光ファイバ心線上に、それらを覆
うように電子線硬化型樹脂を塗布して該樹脂に電子線照
射装置にて加速電圧40kV〜250kVの電子線を照
射して硬化させ一括被覆又は連結一括被覆となすもので
ある。
【0014】このようにして製造したテープ状光ファイ
バ心線は、一括被覆又は連結一括被覆に電子線硬化型樹
脂を使って加速電圧を一定の範囲にした電子線の照射に
よって硬化させることで、その表面の硬化をより促進さ
せることが出来る。それによって表面の粘着性が抑えら
れるので、ボビンからのテープ状光ファイバ心線等の繰
出しをスムーズに行なうことが出来る。また、本発明の
テープ状光ファイバ心線の製造方法では、電子線の加速
電圧を上記一定範囲にすることによって、Bellco
re−GR−20 issue2(1998)の疲労係
数規格を満足した良好な特性の製品とすることが出来
る。
【0015】また本発明の製造方法においては、一括被
覆及び連結一括被覆のみを電子線硬化型樹脂としてい
る。光ファイバ自体の被覆に電子線硬化型樹脂を使って
電子線を照射すると、その内部のガラスファイバに強い
電子線が照射されることになり、ガラスファイバに格子
欠陥等が生じ特性が悪化する恐れがある。それを避ける
ために光ファイバ自体の被覆の場合は、紫外線硬化型樹
脂を使って紫外線照射によって硬化させる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法に係るテープ状
光ファイバ心線は、先に示した図3(A)又は図3
(B)と同様の横断面を有するものであるが、従来技術
によるものと異なり、一括被覆24又は連結一括被覆2
6は、電子線硬化型樹脂を塗布して電子電を照射するこ
とによって形成する。また図1は、本発明に係るテープ
状光ファイバ心線の製造工程の主要部を示す図であっ
て、1は供給ボビン、2は光ファイバ、3はダンサーロ
ーラ、4はガイドローラ、5は集線装置、6は樹脂供給
装置、7は塗布装置、8は連結筒、9は電子線照射装
置、10はテープ状光ファイバ心線、11は樹脂供給装
置、12は塗布装置、13は連結筒、14は電子線照射
装置、15は連結型のテープ状光ファイバ心線、16は
引取り機、17はダンサーローラ、18は巻取りボビン
である。
【0017】複数個設置した供給ボビン1にはそれぞ
れ、図示しない別の製造工程にて製造されたガラスファ
イバ上に被覆を設けた光ファイバ2が巻付けられてい
る。その供給ボビン1からそれぞれ繰出された光ファイ
バ2は、ダンサーローラ3及びガイドローラ4を経て集
線装置5に至る。図3(B)に示す形態の8心の連結型
のテープ状光ファイバ心線を製造する場合、供給ボビン
1を8個とし、繰出された8本の光ファイバ2を集線装
置5に集める。集線装置5では8本の光ファイバ2を4
本ずつ2群に分けて、それぞれ光ファイバ2を平行に並
べて塗布装置7に向かわせる。塗布装置7には2つのダ
イス孔を有するダイスがあり、それぞれの光ファイバの
群を別のダイス孔に通して群毎に樹脂供給装置6から電
子線硬化型樹脂を供給して塗布を行なう。
【0018】塗布装置7の2つのダイス孔をそれぞれ4
本の光ファイバ2が通過する間に、それぞれ4本の光フ
ァイバ2上に電子線硬化型樹脂が塗布され、続いて電子
線照射装置9に入って加速電圧40kV〜250kVの
電子線が照射されて樹脂が硬化し一括被覆が形成され
る。そして2条のテープ状光ファイバ心線10が出来
る。また、塗布装置7を出て電子線照射装置9に入るま
での間は、筒状体の連結筒8で連結して窒素ガス等の不
活性ガス雰囲気とし、未硬化の樹脂が空気に触れるのを
避けることが望ましい。また、連結筒8は2つ割に出来
るようにし、作業開始時の線通し等の作業の障害になら
ないようにすることが好ましい。なお、電子線照射装置
内も不活性ガス雰囲気とすることが望ましい。また図1
においては、集線装置5から塗布装置12に至る間の8
本の光ファイバ2及び2条のテープ状光ファイバ心線1
0は、紙面に対して垂直方向に配列されているので、1
本の如く描いている。
【0019】次に2条のテープ状光ファイバ心線10
は、平行に並べられて塗布装置12に入り、樹脂供給装
置11から供給された連結一括被覆となる電子線硬化型
樹脂が2条のテープ状光ファイバ心線10の上に一括し
て覆うように塗布され、続いて連結筒13を通って電子
線照射装置14に入って樹脂に加速電圧40kV〜25
0kVの電子線が照射され樹脂が硬化する。なお、連結
筒13も連結筒8と同様の構成及び機能をもつもので、
窒素ガス等の不活性ガスで満たされている。また、電子
線照射装置14を出た連結型のテープ状光ファイバ心線
15は、引取り機16及びダンサローラ17を通って巻
取りボビン18に巻き取られる。
【0020】また、図3(A)に示す形態の4心のテー
プ状光ファイバ心線を製造する場合は、集線装置5にて
4本の光ファイバ12を平行に並べて塗布装置7に供給
する。なお、塗布装置7は1つのダイス孔を有するもの
を使用する。そして、塗布装置12乃至電子線照射装置
14は取り外して、電子線照射装置9を出たテープ状光
ファイバ心線10を、直接引取り機16によって引取る
ことによって4心のテープ状光ファイバ心線の製造を行
なうことが出来る。
【0021】また、図1では、図3(B)の形態の連結
型のテープ状光ファイバ心線を製造するに当たって、一
括被覆及び連結一括被覆を共に電子線硬化型樹脂で製造
する例を示したが、連結型のテープ状光ファイバ心線の
場合は、内部の一括被覆で覆った段階で巻取りリールに
巻き取られることがないので、連結一括被覆のみを電子
線硬化型樹脂で形成し、内部の一括被覆は紫外線硬化型
樹脂で形成することも可能である。
【0022】表1は、4心のテープ状光ファイバ心線を
電子線照射装置の加速電圧を4段階に変えて製造し、そ
の性能をチェックした結果を示す表である。なお、テー
プ状光ファイバ心線は次の条件で製造した。外径125
μmの石英ガラスを主成分とするシングルモード型ガラ
スファイバにウレタンアクリレート樹脂からなる紫外線
硬化型樹脂を2層被覆し、更に紫外線硬化型樹脂からな
る着色層を形成し外径250μmの光ファイバを製造し
た。その光ファイバを4本平行に並べてそれらを覆うよ
うに塗布装置にて一括被覆となる電子線硬化樹脂を塗布
し、電子線照射装置にて表1に示す加速電圧の電子線を
塗布された樹脂に照射して硬化させた。なお、この時の
製造線速は300m/分とし、巻取りボビンに巻取る時
の巻取り張力は1.5Nとした。
【0023】また、一括被覆の電子線硬化型樹脂は、P
PG(ポリプロピレングリコール)、TDI(トリレン
ジイソシアネート)、HEA(ヒドロキシエチルアクリ
レート)を共重合させたウレタンアクリレート系オリゴ
ノマーをベースオリゴノマーとし、希釈性モノマーとし
てテトラエチレングリコールジアクリレート、トリアヌ
ルイソシアヌレートを用いた。
【0024】また、出来上がったテープ状光ファイバ心
線の性能は次によって調べた。伝送損失は、波長1.5
5μmにおいてOTDRにて各光ファイバの伝送損失を
測定し、その平均値を求めた。ゲル分率は、一括被覆を
剃刀で剥ぎ取り、メチルエチルケトンに60℃にて16
時間浸漬して、その前後の重量変化から算出した。べた
つきはリールに巻き取ったテープ状光ファイバ心線をリ
ールからスムーズに繰出せるか否かで調べた。また、疲
労係数は、光ファイバに応力が加わった時ガラスに生じ
る亀裂の伝播の速さに関する指標であって、国際的に光
ファイバの業界で使用されているBellcore規格
では、疲労係数は18以上であることが求められる。な
お疲労係数の測定は、Bellcore−GR−20
issue2(1998)の規定に従って行なった。
【0025】
【表1】
【0026】この結果によると、加速電圧が30kVの
場合は、未硬化で残っている樹脂が多くてゲル分率が低
い。これに伴って、一括被覆の表面がべたついており、
リールからの繰出しもスムーズでない。また、伝送損失
も加速電圧50kV、240kVの場合に比べて大き
い。また、加速電圧が270kVの場合は、ゲル分率は
高く樹脂の硬化は十分であるが、疲労係数が17となっ
ており、Bellcore規格の疲労係数18以上を達
成していない。また、その伝送損失も、加速電圧240
kVの場合に比べて20%以上大きい。
【0027】一方、加速電圧50kV、240kVの場
合は、伝送損失は十分満足出来る値であり、一括被覆の
べたつきも無く、疲労係数もBellcore規格の1
8以上を十分に満足している。これらの結果から、加速
電圧は40kV〜250kVの範囲とすれば、テープ状
光ファイバ心線の性能としては、満足出来るものが製造
出来ると判断される。
【0028】以上、一括被覆及び連結一括被覆を電子線
硬化型樹脂を塗布した後、加速電圧40kV〜250k
Vの電子線を照射して硬化させる例を示したが、電子線
照射装置を2段以上に間隔を明けて配置し、それぞれ電
子線を照射するようにすることも出来る。これによっ
て、それぞれの電子線照射装置間においてテープ状光フ
ァイバ心線は空気に触れて冷却されるので、電子線照射
時の樹脂温度を比較的小さくすることが出来、樹脂内に
残留する歪みを小さくし、伝送特性の良いテープ状光フ
ァイバ心線を得ることが出来る。図2は、そのテープ状
光ファイバ心線の製造工程の主要部を示す図であって、
9、9’は2段に配置した電子線照射装置である。な
お、図2の製造工程は一括被覆工程のみで連結一括被覆
工程の無いものを図示しているが、一括被覆工程に続い
て連結一括被覆工程を配置することも出来る。
【0029】また、電子線硬化型樹脂として、樹脂のガ
ラス転移点が70℃〜90℃の樹脂を選ぶことによっ
て、硬化時の応力緩和を早くし、更にテープ状光ファイ
バ心線の一括被覆に残留する歪みを小さくし、歪みによ
る悪影響を低減させることが出来る。ガラス転移点が7
0℃未満になると一括被覆樹脂の硬さが低下し、被覆除
去器による被覆除去において、被覆かすがガラスファイ
バ上に付着して残り易い。また、ガラス転移点が90℃
を超えると、樹脂硬化時の応力緩和が遅くなり、テープ
状光ファイバ心線として伝送特性の良好なものが得られ
難い。
【0030】外径125μmの石英ガラスを主成分とす
る分散シフト型ガラスファイバにウレタンアクリレート
樹脂からなる紫外線硬化型樹脂を2層被覆し、更に紫外
線硬化型樹脂からなる着色層を形成し外径250μmの
光ファイバ2を製造した。続いて図2に示す製造工程に
よって、その光ファイバを4本平行にして塗布装置7に
てガラス転移点の異なる種々の電子線硬化型樹脂を塗布
し、電子線照射装置9及び9’にて電子線を照射して硬
化させた。なお、その時の製造線速は300m/分とし
た。また、その時の電子線照射装置9、9’の加速電圧
は、それぞれ80kV、100kVとした。なお、電子線
硬化型樹脂のガラス転移点は、PPG(ポリプロピレン
グリコール)の分子量及びトリアヌルイソシアヌレート
の添加量を変えることによって調整した。(PPGの分
子量を小さくしたり、トリアヌルイソシアヌレートの添
加量を多くしたりすると、ガラス転移点は上昇する。)
【0031】そして、樹脂硬化時の温度及び製造された
テープ状光ファイバ心線の伝送損失及び一括被覆の除去
性を調べたところ、表2の結果が得られた。なお、ケー
ス番号13は比較のために示したもので、一括被覆とし
てケース番号11の電子線硬化型樹脂に光開始剤イルガ
キュア184(チバスペシャルティケミカル製)を添加
した紫外線硬化型樹脂を用いて塗布し、2段の紫外線照
射装置して紫外線照射を行い、樹脂硬化をさせたもので
ある。
【0032】また、製造したテープ状光ファイバ心線か
ら一括被覆をかみそりで切り出し、動的粘弾性を周波数
11Hzで測定して、損失正接が最大を示した温度をガ
ラス転移点とした。樹脂硬化時の温度は、電子線照射装
置の出口で非接触型熱流束センサー型温度計を用いて、
一括被覆の表面温度を測定したものである。伝送損失
は、OTDRにより波長1.55μmにて各光ファイバ
の伝送損失の測定を行い、4心の平均をとったものであ
る。被覆除去性は加熱式の被覆除去器を用いて被覆除去
を行った際、ガラスファイバ上に被覆のかすが残留する
ものを不良とし、被覆かすが殆ど残らないものを良好と
した。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果によれば、ケース番号11、1
2はガラス転移点が70℃〜90℃の範囲の電子線硬化
型樹脂を用いた例であるが、硬化時の樹脂温度も60℃
以下と低く、伝送損失も0.209dB/km以下で基
準値の0.25dB/km以下となっている。ケース番
号14の例は、ガラス転移点が50℃と低く、伝送損失
は小さいが、樹脂が柔らかいため一括被覆の除去性が悪
い。また、ケース番号15の例は、ガラス転移点が10
0℃と高いため、伝送損失が0.237dB/kmと大
きい。また、ケース番号13の紫外線硬化型樹脂でもっ
て一括被覆としたものは、ガラス転移点は73℃であっ
て70℃〜90℃の範囲内にはあるものの、樹脂硬化時
の温度は電子線硬化の場合に比べて高く、伝送損失も高
い。
【0035】
【発明の効果】本発明のテープ状光ファイバ心線の製造
方法は、複数本平行に並べた光ファイバ上又は複数条平
行に並べたテープ状光ファイバ心線上に、それらを覆う
ように電子線硬化型樹脂を塗布して該樹脂に電子線照射
装置にて加速電圧40kV〜250kVの電子線を照射
して硬化させ一括被覆又は連結一括被覆となすものであ
るので、一括被覆又は連結一括被覆の表面の硬化をより
促進させることが出来、表面の粘着性を抑えてタック現
象が発生しないようにし、ボビンからのテープ状光ファ
イバ心線の繰出しをスムーズに行なえるように出来る。
特に、テープ状ファイバ心線の製造線速を大きくしたと
きでも、タック現象の発生を抑えることができ、生産性
を高めることが出来る。
【0036】また、本発明のテープ状光ファイバ心線の
製造方法では、光ファイバの寿命を左右する重要な規格
であるBellcore規格の疲労係数規格を十分に満
足し、伝送損失の低い良好な特性の製品を得ることが出
来る。また、塗布装置と電子線照射装置との間を連結筒
で覆い、塗布された線が空気に触れないようにすること
によって、電子線硬化型樹脂の空気接触による硬化阻害
の発生を防止することが出来る。
【0037】電子線照射装置を2段以上とし、複数回に
分けて電子線を照射させるようにした場合は、電子線照
射装置間においてテープ状光ファイバ心線が空気に触れ
るため、硬化時の樹脂温度を下げることが出来、それに
よって一括被覆内に残留する歪みも小さくなるので、伝
送損失の悪化を抑制することが出来る。また、電子線硬
化型樹脂のガラス転移点を70℃〜90℃とすることに
よって、硬化時の応力緩和を早くし、更にテープ状光フ
ァイバ心線の一括被覆に残留する歪みを小さくし、歪み
による悪影響を低減させることが出来る。また、これら
電子線照射装置を多段にして硬化時の樹脂温度を下げる
こと、及び樹脂のガラス転移点を70℃〜90℃にして
一括被覆に残留する歪みを小さくすることは、通常のシ
ングルモード型光ファイバの場合も効果を発揮するが、
微小な側圧によってもマイクロベンドが生じ易い実効断
面積の大きい分散シフト型光ファイバの製造に特に有効
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテープ状光ファイバ心線の製造工
程の主要部を示す図である。
【図2】本発明に係るテープ状光ファイバ心線の製造工
程の別の例における主要部を示す図である。
【図3】(A)(B)はそれぞれ、テープ状光ファイバ
心線の横断面図である。
【符号の説明】
1:供給ボビン 2:光ファイバ 3:ダンサーローラ 4:ガイドローラ 5:集線装置 6:樹脂供給装置 7:塗布装置 8:連結筒 9、9’:電子線照射装置 10:テープ状光ファイバ心線 11:樹脂供給装置 12:塗布装置 13:連結筒 14:電子線照射装置 15:連結型のテープ状光ファイバ心線 16:引取り機 17:ダンサーローラ 18:巻取りボビン 21:ガラスファイバ 22:被覆 23:光ファイバ 24:一括被覆 25:テープ状光ファイバ心線 26:連結一括被覆 27:連結型のテープ状光ファイバ心線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスファイバ上に紫外線硬化型樹脂の
    被覆を施してなる光ファイバを複数本平行に並べてそれ
    らを覆うように一括被覆を施したテープ状光ファイバ心
    線の製造方法、又は該テープ状光ファイバ心線を更に複
    数条平行にしてそれらを覆うように連結一括被覆を施し
    た連結型のテープ状光ファイバ心線の製造方法におい
    て、複数本平行に並べた光ファイバ上又は複数条平行に
    並べたテープ状光ファイバ心線上に、それらを覆うよう
    に電子線硬化型樹脂を塗布して該樹脂に電子線照射装置
    にて加速電圧40kV〜250kVの電子線を照射して
    硬化させ一括被覆又は連結一括被覆となすことを特徴と
    するテープ状光ファイバ心線の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電子線硬化型樹脂を塗布した後電子
    線照射装置に入るまでは、塗布された電子線硬化型樹脂
    を不活性ガス雰囲気に曝し空気には曝さないようにする
    ことを特徴とする請求項1に記載のテープ状光ファイバ
    心線の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電子線照射装置を2段以上に間隔を
    明けて配置し、それぞれ電子線を照射することを特徴と
    する請求項1に記載のテープ状光ファイバ心線の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記電子線硬化型樹脂として、ガラス転
    移点が70℃〜90℃の範囲の樹脂を使用することを特
    徴とする請求項1に記載のテープ状光ファイバ心線の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009025041A1 (ja) * 2007-08-22 2009-02-26 The Furukawa Electric Co., Ltd. 光ファイバリボン芯線
CN112505867A (zh) * 2020-12-10 2021-03-16 长飞光纤光缆股份有限公司 一种光纤着色并带一体线

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