JP2019030546A - 脊髄牽引装置 - Google Patents

Abstract

【課題】脊髄牽引装置において、頭部が後方に倒れる要素を抑制し、利用者の使用性を向上させること。【解決手段】利用者の脊髄を伸ばすための牽引に用いる装置であって、背凭部２と座部１を配する臥台３にパンタグラフ機構５の上アーム４を平行して取付けることにより、牽引治療に移る際、即ち、背凭部２を水平に傾け、利用者の頭部が下方に移動する際に、その頭部の後方への移動量を減少させることができ、利用者の後方への倒れこみに対する不安を抑制することができる。【選択図】図１

Description

本発明は、椅子型の脊髄牽引装置に関するものである。

従来の椅子型の脊髄牽引装置としては、例えば、先行文献１に開示されるように、座部付近の回転軸５１を中心に、背凭部５２を後方に傾倒させて牽引位とするものが一般的であった（図１５参照）。
また、頭部が後方下部に倒れるのを抑制するために、先行文献２に開示されるように、アクチュエータ５３を伸ばして、スライドレール滑車５７を基準に、スライドレール５６をスライドさせるとともに、リクライナー傾倒支点５５を支点とし、リクライナー５４を転回させる構造を有するものもあった（図１６参照）。

特開平６−２３３７９１号 特開２０１５−２１７２３１号

しかしながら、上記の従来構成では、背凭部５２を後方に傾倒するときに、腰部付近の回転軸５１を中心として頭を後下方へ回転移動させるため、頭の位置の後方への移動量が大きく、利用者に対して、後方へ倒れこむような恐怖感を与えるおそれがあった。
また、先行文献２に記載の構成では、頭部の縦方向位置をあまり下げることなく、下半身を上方に持ち上げることで、後方へ倒れこむような恐怖感を与えることのないチルティング動作が実現可能だが、スライドレール滑車５７上をスライドレール５６が移動するため、そのガタツキや騒音が大きい問題があった。また、本先行文献は頸椎牽引を対象としているため、チルティング可動範囲が狭い。腰椎牽引で用いるチルティング可動範囲は頸椎牽引に用いる可動範囲に比べて大きくなるため、本先行文献に示す構造の延長で腰椎牽引時の治療姿勢を実現した場合には、スライドレール５６を長くする必要があり、かつスライドレール滑車部で重量を保持する必要があるため、構造的に不安定となる。

上記課題を解決するために、本発明の脊髄牽引装置は、背凭部と座部を配する臥台にパンタグラフ機構の上アームを取付けてなるものである。

上記構成により、脊髄牽引時に、利用者の頭の後方への移動量を抑制でき、利用者の恐怖感を払拭し、腰椎牽引等を安心安全に行うことができる。

本発明の第１の実施の形態に係る脊髄牽引装置の概観図 本発明の第２の実施の形態に係る脊髄牽引装置の概観図 本発明の第３の実施の形態に係る脊髄牽引装置の概観図 本発明の第１の実施例に係る脊髄牽引装置の概観図 同実施例のアーム長さ説明１を示した図 同実施例のアーム長さ説明２を示した略図 同実施例のアーム長さ説明３を示した略図 同実施例のアーム長さ説明４を示した略図 本発明の第２の実施例に係る脊髄牽引装置の概観図 同実施例の駆動方法説明略図 本発明の第３の実施例に係る脊髄牽引装置の概観図 同実施例のアーム説明略図 同実施例の駆動手段例１を示した図 同実施例の駆動手段例２を示した図 従来技術に係る別の脊髄牽引装置を示した図 従来技術に係る別の脊髄牽引装置を示した図

（実施の形態１）
以下、本発明の第１の実施の形態について、図１を用いて説明する。本実施の形態では、利用者の下肢を支持する座部１と、前記利用者の背部と頭部を支持する背凭部２を移動可能な状態に配置する椅子状の臥台３と、その臥台３の一部に、臥台３と平行して上アーム４が取付けられるパンタグラフ機構５を備えている。

上記構成において、牽引時に、利用者の下半身は、座部１に配された状態で、脇アーム１７を背凭部２に沿って、頭部方向に移動させることで、利用者の上肢を頭部方向に牽引し、腰椎を伸ばすものである。この際、利用者の脊髄への重力の影響をできるだけ除くため、予め、上半身を寝かした状態となるように、背凭部２を水平位置付近まで傾斜させる必要がある。

従来技術では、背凭部２を水平位置まで傾斜させるために、腰部付近の回転軸を中心に、背凭部２を後方に倒し込む構造であったが、本実施形態の脊髄牽引装置では、背凭部２を、パンタグラフ機構５の上アーム４に取り付け、上アーム４と下アーム６をヒンジ部７で接続し、当該ヒンジ部７における両アーム４、６の水平面に対する角度を変えることによって、臥台３の上端部８を略垂直方向に上下させるものである。当該構造によって、背凭部２の上端８が下方に移動する際に、その後方への移動量を減少させることが出来るので、利用者の不安を抑制することができる。

具体的には、基底部９に取付けられた第１下アーム６と第２下アーム１０、前記第１下アーム６と第１ヒンジ７を介して接続された第１上アーム４、及び、第２ヒンジ１２を介して接続される第２上アーム１１を有し、第２ヒンジ１２から第１下アーム６に伸縮自在なアーム（駆動手段）１３を接続している。
当該構成において、駆動手段１３の伸縮アームを伸ばすことにより、図１（ｂ）に示すように、パンタグラフ機構５は、横方向に拡大し、縦方向に縮む方向に変形することになる。この結果、臥台３は、徐々に水平方向に近づくが、このとき、パンタグラフ機構５の作用により、臥台３の上端部８は、後方にあまり移動することなく、ほぼ垂直方向に下方に移動することになる。

一方、その状態から、駆動手段１３の伸縮アームを縮めることにより、パンタグラフ機構５は、徐々に縦方向に伸び、その結果、再び、臥台３が鉛直方向に起き上がることとなり、利用者の装置への乗降を可能とする。
なお、上記説明では、第１上アーム４を臥台３に平行に取付ける構成としているが、臥台３は、金属で強固な構造を有する場合が多く、第１上アームとして兼用させることは可能である。

（実施の形態２）
本発明の第２の実施形態について、図２を用いて説明する。基本的な構造は、実施形態１と同様であるが、中心部にレール１５を配置して、片側のアームのみを用いてパンタグラフ機構を実現している。
具体的には、パンタグラフ機構の中心部に配されたレール１５を垂直方向に自立させた状態で、上アーム４の上端を前記レール１５に沿って上下方向に移動させている。この場合、駆動手段は、第２ヒンジ部が無いため、レール１５の一部に、その一端を取付けるものとする。本実施形態により、背凭部２が略水平状態となった時点でも、実施形態１と比べて、後方への第２ヒンジ部１２等の飛び出しが無くなり、余分な後方スペースが不要となる。

（実施の形態３）
本発明の第３の実施形態について、図３を用いて説明する。基本としては実施形態１と同様であるが、下アームの一方を基底部９に兼用させ、基底部９に上アームの一方１１が接続されている。その上で、第１上アーム、又は臥台３にヒンジ部７およびヒンジ部２９を接続することで、臥台３の上端部８を略垂直方向に上下させるものである。
本実施形態によっても、背凭部２が略水平状態となった時点でも、実施形態１と比べて、後方への第２ヒンジ部１２等の飛び出しが無くなり、余分な後方スペースが不要となる。

以下、本発明の第１の実施例について図４を用いて説明する。本実施例に示す脊髄牽引装置は、座部１と背凭部２を移動自在に搭載する椅子型の臥台３を有し、この臥台３にパンタグラフ機構（第１下アーム６、第１上アーム４、第１ヒンジ部７、第２下アーム１０、第２上アーム１１、第２ヒンジ部１２をその構成要素とし、駆動手段１３によって、双方の上アーム４、１１の接続部（以下「頂点部」という）の位置を上下に移動可能とする機構）が取付けられている。
また、駆動手段１３のみでは各アームの動きを抑制出来ないため、第１下アーム６の下部に歯車２０を、第２下アーム１０の下部に歯車２１を取り付け、それぞれを噛み合わせて連結することで自由度を減らすとともに、両下アーム６，１０の動きを連動させている。

上記構成において、利用開始時には、利用者が本装置に乗降し易いように、足保持部１４や座部１の位置を下げておく必要がある。そのため、パンタグラフ機構５は、第１上アーム４が垂直方向に近い傾きとなるように、その頂点部を高い位置に上昇させる。具体的には、駆動手段１３の伸縮アームを伸ばすことにより、第２ヒンジ部１２と、第１下アーム６の距離を縮めることで、本機能を実現している。
なお、本実施例では、全アーム長を等しい長さにしているが、チルティング動作の軌跡をどうするのかにより、各アーム長さや、ヒンジ位置を適宜決定すればよい。（図５〜８）

以下、本発明の第２の実施例について図９を用いて説明する。
基本的な構造は、実施例１と同様であるが、パンタグラフ機構の中心部に位置する部分にレール１５を配置して、片側のアームのみを用いてパンタグラフ機構を実現している。
具体的には、パンタグラフ機構の中心部に配されたレール１５を垂直方向に自立させた状態で、上アーム４の上端を前記レール１５に沿って上下方向に移動させている。
この場合、駆動手段は、実施例１のような伸縮アーム（駆動手段１３）を用いているが、レール１５に平行してボールネジ、台形ネジ、ベルト、チェーンなどを組み込んだモーター駆動としても良い。
図１０では例としてボールネジ２２とモーター２３を用いた図を示している。

以下、本発明の第３の実施例について図１１を用いて説明する。
基本動作としては実施例１と同様であるが、第２下アームを基底部９に兼用させ、基底部９に、第２上アーム１１を接続している。第１上アーム又は臥台３にヒンジ部７およびヒンジ部２９を接続し、当該ヒンジ部７および２９における下アーム６、上アーム１１の取付け角度を変えることによって、臥台３の上端部８を略垂直方向に上下させるものである。

図１２に示すように、治療前姿勢時の臥台３上に接続される各アーム６、１１の上端のヒンジ部７、２９について、治療姿勢位置の時のヒンジ部の位置を７ａ２、２９ｂ２とすると、第１下アーム６の下端は点７ａ１と点７ａ２を結んだ線の垂直二等分線上に、第２上アーム１１の下端は点２９ｂ１と点２９ｂ２を結んだ線の垂直二等分線上に位置する事になり、チルティング動作の軌跡等を考慮してアーム長を決定すれば良い。

図１３は、異なる駆動手段１３の取付け方法を示したものであり、パンタグラフ５の第２の下アーム１０の下端部を移動可能としており、第２上アームと第２下アームの角度を固定した状態で、当該下端部に駆動手段１３の一方を取付け、これを動かすことで、パンタグラフ５の上下方向への移動を可能としている。
この場合も、実施例１、実施例２と同様に頭部が後方へ倒れこむことがない。

駆動手段１３の配置例の一つとして、図１４を示す。
第２上アーム１１に駆動用アーム２４をヒンジ２５で接続し、駆動用アーム２４の下端にはローラー２６を設けており、ローラー２６はレール２７内を前後方向に移動可能である。
駆動手段１３は基底部９と駆動用アーム２４の下端を連結しており、駆動手段１３の伸縮により駆動用アーム２４が動く事で臥台３のチルティング動作を実現している。
図１４では駆動手段１３の例として伸縮アームを用いているが、ローラー２６はレール２７内で直線動作になるため、レール２７に平行して、例えばボールネジ、台形ネジ、ベルト、チェーンなどの直動機構を組み込む事も出来る。

１ 座部
２ 背凭部
３ 臥台
４ 上アーム（第１上アーム）
６ 下アーム（第１下アーム）
７ 第１ヒンジ
１０ 第２下アーム
１１ 第２上アーム
１２ 第２ヒンジ
１３ 駆動手段

Claims (10)

1. 利用者の脊髄を伸ばすための牽引に用いる装置であって、少なくとも背凭部を配する臥台にパンタグラフ機構の上アームを取付けてなる脊髄牽引装置。
2. 利用者の脊髄を伸ばすための牽引に用いる装置であって、少なくとも背凭部を配する臥台の一部を、パンタグラフ機構の上アームと兼用してなる脊髄牽引装置。
3. 前記パンタグラフ機構の上アームは、前記臥台に対して平行に取付けられてなる請求項１記載の脊髄牽引装置。
4. 前記パンタグラフ機構の基底部と、前記基底部に配した２つの下アームと、前記下アームと各々のヒンジ部を介して接続される２つの上アームを備え、前記２つの上アームの一方を前記臥台に取付け又は臥台の一部で兼用してなる請求項１〜３のいずれか１項に記載の脊髄牽引装置。
5. 前記パンタグラフ機構は、第１下アームと第１ヒンジ部を介して接続される第１上アームと、他方の第２下アームと第２ヒンジ部を介して接続される第２上アームを備え、前記第１下アームは、前記第１上アームより長く、前記第２下アームは、前記第２上アームより短くしてなる請求項４記載の脊髄牽引装置。
6. 前記第１下アームの長さと前記第１上アームの長さの比率を、前記第２上アームの長さと前記第２下アームの長さの比率とほぼ同等としてなる請求項５に記載の脊髄牽引装置。
7. 前記下アームの一つは、その基底部に対する角度を固定または前記基底部と兼用されてなる請求項４〜６のいずれか１項に記載の脊髄牽引装置。
8. 前記パンタグラフ機構の基底部と、前記基底部から垂直方向に配されたレールを備え、前記上アーム又は上アームを兼用する前記臥台の上端を前記レールに沿って上下方向に移動させてなる請求項１〜３のいずれか１項に記載の脊髄牽引装置。
9. 前記パンタグラフ機構を上下に伸縮させる駆動手段を有し、前記駆動手段は、その一方を前記下アームの一部に接続してなる請求項１〜８のいずれか１項に記載の脊髄牽引装置。
10. 前記臥台を上下駆動する際に、前記臥台の上端の水平方向の移動幅が、垂直方向の移動幅の１／３以下となるように制御してなる請求項１〜８のいずれか１項に記載の脊髄牽引装置。
    
    
    
    
    
    

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