JP2019029573A - 太陽電池及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止の際に発電層と導電層とが剥離しにくい太陽電池及び太陽電池の製造方法。【解決手段】絶縁性基材1の一方の面Aに、第一導電層4aと、光電変換層を含む発電層5と、第二導電層6とがこの順に積層された1以上の発電部10を備え、絶縁性基材1は、任意の端部が絶縁性基材1の他方の面Bの方向に折り曲げられた第一折曲部14を有し、第一導電層4aは発電部10の外側に向かって延び、かつ、第一折曲部14の表面に追随して形成された第一延設導電層4bを有し、第一延設導電層4bと電気的に接合された第一取出し配線24を備える太陽電池100。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池及び太陽電池の製造方法に関する。
近年、有機無機ハイブリッドのペロブスカイト化合物を含む光電変換層を備えた太陽電池が高い光電変換効率を示すことの報告がなされている(非特許文献1参照)。
従来、太陽電池において、発電部と、発電部から電気を取り出す取出し配線とは、基材の一方の面に設けられていた。これを、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層(発電層)を備えた太陽電池に適用した場合、取出し配線設置後の太陽電池を、封止樹脂材料(封止材)によって加熱プレスして封止すると、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極層(導電層)が、光電変換層から剥離してしまうという問題が生じた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、封止の際に発電層と導電層とが剥離しにくい太陽電池及び太陽電池の製造方法を提供する。
本発明者等は、発電部の表面と、発電部の近傍に設けられた取出し配線との間に、格段に大きな段差が形成されていることに着目し、検討した。
その結果、発電部の表面と、発電部の近傍に設けられた取出し配線との間に、格段に大きな段差が形成されないように、基材に折曲部を形成することで、封止の際の光電変換層と第二導電層との剥離を抑制できることを見出した。
さらに、本発明者等は、基材の端部を基材裏面に折り返し、かつ取出し配線を基材の基材裏面に設け、基材表面の導通部(第一導電層)と取出し配線とを接合し、かつ、前記取出し配線と基材裏面の絶縁部とを固定することが好適であることを見出した。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1]絶縁性基材の一方の面に、第一導電層と、光電変換層を含む発電層と、第二導電層とがこの順に積層された1以上の発電部を備え、
前記絶縁性基材は、任意の端部が前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられた第一折曲部を有し、
前記第一導電層は前記発電部の外側に向かって延び、かつ、前記第一折曲部の表面に追随して形成された第一延設導電層を有し、
前記第一延設導電層と電気的に接合された第一取出し配線を備える太陽電池。
[2]前記発電部の上面を含む仮想面と、前記第一取出し配線とは、交差していない、[1]に記載の太陽電池。
[3]前記第一折曲部は、前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられ、次いで前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部に近づくように折り曲げられた、[1]又は[2]に記載の太陽電池。
[4]前記第一取出し配線は、前記絶縁性基材の他方の面に位置し、
前記第一取出し配線が前記第一延設導電層と電気的に接合され、かつ、前記第一取出し配線が前記他方の面に固定されている、[3]に記載の太陽電池。
[5]前記第一取出し配線が前記第一折曲部により形成された第一折曲縁に沿って延び、かつ、前記第一取出し配線の少なくとも一端が、平面視において前記絶縁性基材の外側に突出している、[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池。
[6]前記絶縁性基材は、前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部が前記他方の面の方向に折り曲げられた第二折曲部を有し、
前記第一導電層は前記発電部の外側に向かって延び、かつ、前記第二折曲部の表面に追随して形成された第二延設導電層を有し、
前記第二延設導電層と電気的に接合された第二取出し配線を備える、[1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池。
[7]前記発電部の上面を含む仮想面と、前記第二取出し配線とは、交差していない、[6]に記載の太陽電池。
[8]前記第二折曲部は、前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられ、次いで前記第一折曲部に近づくように折り曲げられた、[6]又は[7]に記載の太陽電池。
[9]前記第二取出し配線は、前記絶縁性基材の他方の面に位置し、
前記第二取出し配線が前記第二延設導電層と電気的に接合され、かつ、前記第二取出し配線が前記他方の面に固定されている、[8]に記載の太陽電池。
[10]前記第二取出し配線が前記第二折曲部により形成された第二折曲縁に沿って延び、かつ、前記第二取出し配線の少なくとも一端が、平面視において前記絶縁性基材の外側に突出している、[6]〜[9]のいずれかに記載の太陽電池。
[11]前記絶縁性基材が平面視矩形であり、前記第一折曲部により形成された第一折曲縁と、前記第二折曲部により形成された第二折曲縁とが、前記発電部を挟んで位置する、[6]〜[10]のいずれかに記載の太陽電池。
[12]前記発電部を覆う封止材を備えた、[1]〜[11]のいずれかに記載の太陽電池。
[13]前記絶縁性基材の前記一方の面に前記第一導電層が形成された電極形成基材における任意の端部を前記他方の面の臨む方向に折り曲げて、前記第一折曲部と前記第一延設導電層とを形成し、
前記第一延設導電層と前記第一取出し配線とを電気的に接合する、[1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
[14]前記第一取出し配線を前記他方の面に固定する工程をさらに有する、[13]に記載の太陽電池の製造方法。
[15]前記絶縁性基材の前記一方の面に前記第一導電層が形成された電極形成基材における前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部を前記他方の面の方向に折り曲げて、前記第二折曲部と前記第二延設導電層とを形成し、
前記第二延設導電層と前記第二取出し配線とを電気的に接合する、[6]〜[10]のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
[16]前記第二取出し配線を前記他方の面に固定する工程をさらに有する、[15]に記載の太陽電池の製造方法。
[17]前記発電部を封止材で覆い、前記封止材を加熱プレスして封止する工程をさらに有する、[13]〜[16]のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
本発明によれば、封止の際に発電層と導電層とが剥離しにくい太陽電池及び太陽電池の製造方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る太陽電池の概略平面図である。 図1に示すII−II線断面図である。 (a)本発明の第一実施形態に係る発電部の積層構造の一例を示す概略断面図である。(b)本発明の第一実施形態に係る発電部の積層構造の他の一例を示す概略断面図である。(c)本発明の第一実施形態に係る発電部の積層構造の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る太陽電池の概略断面図である。 本発明の第二実施形態に係る太陽電池の概略平面図である。 本発明の第三実施形態に係る太陽電池の概略平面図である。 本発明の第四実施形態に係る太陽電池の概略断面図である。 従来の太陽電池の封止プロセスを模式的に表した拡大断面図である。 比較例1の発電部表面の拡大写真である。 比較例1の発電部表面の拡大写真である。
本発明の太陽電池は、絶縁性基材の一方の面に1以上の発電部を備え、前記絶縁性基材の任意の端部に第一折曲部を備える。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
[第一実施形態]
図2に示すように、本発明の第一実施形態に係る太陽電池100は、絶縁性基材1の一方の面(表面)Aに、第一導電層4aと、発電層5と、第二導電層6とがこの順に積層された発電部10を備える太陽電池である。太陽電池100は、絶縁性基材1の他方の面Bに第一取出し配線24と第二取出し配線26とを備える。
図1に示すように、本実施形態の太陽電池100は、平面視矩形である。発電部10は、平面視矩形に形成されている。第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延びている。
図2に示すように、絶縁性基材1は、発電部10を挟んで位置する両端部に、第一折曲部14と第二折曲部16とを有する。
平面視において、第一折曲部14は、第一折曲縁P1を形成している。平面視において、第二折曲部16は、第二折曲縁P2を形成している。
第一折曲部14は、絶縁性基材1の一方の端部が他方の面Bの臨む方向に折り曲げられ、次いで、第二折曲縁P2の方向に折り曲げられている。即ち、第一折曲部14は、絶縁性基材1の他方の面Bに折り返されている。
第二折曲部16は、絶縁性基材1の他方の端部が他方の面Bの臨む方向に折り曲げられ、次いで、第一折曲縁P1の方向に折り曲げられている。即ち、第二折曲部16は、絶縁性基材1の他方の面Bに折り返されている。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ、第一折曲部14の表面に追随して形成された第一延設導電層4bを備える。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ、第二折曲部16の表面に追随して形成された第二延設導電層4cを備える。
第一導電層4aは、分断部12によって、第一延設導電層4bを含む領域と、第二延設導電層4cを含む領域とに分断されている。分断部12は、第一導電層4aを貫通している。この構成により、第一延設導電層4bを含む領域と、第二延設導電層4cを含む領域とは、電気的に独立している。絶縁性基材1は、分断部12によっては分断されていない。
分断部12は、図1のY方向に延びており、平面視矩形に形成された絶縁性基材1におけるX方向に沿った両辺に亘っている。
第二導電層6は、第一延設導電層4bを含む領域において、第一導電層4aと電気的に接合されており、かつ、第二延設導電層4cを含む領域において、第一導電層4aと電気的に接合されていない。
第一取出し配線24は、第一延設導電層4bに接合されている。即ち、第一取出し配線24は、第一延設導電層4bと電気的に接合されている。加えて、第一取出し配線24は、絶縁性基材1の他方の面Bに固定されている。
第二取出し配線26は、第二延設導電層4cに接合されている。即ち、第二取出し配線26は、第二延設導電層4cと電気的に接合している。加えて、第二取出し配線26は、絶縁性基材1の他方の面Bに固定されている。
本実施形態において、第一取出し配線24及び第二取出し配線26は、絶縁性基材1の他方の面Bに設けられている。このため、第一取出し配線24及び第二取出し配線26は、発電部10の上面E0を含む仮想面Qと交差していない。即ち、発電部10の上面E0の臨む方向(Z方向)を上方とした場合、第一取出し配線24の上端E1及び第二取出し配線26の上端E2は、いずれも発電部10の上面E0よりも下方に位置している。
<絶縁性基材>
絶縁性基材1は絶縁性を有する。絶縁性基材1としては、例えば、従来の太陽電池に使用される基材が挙げられる。前記基材としては、例えば、合成樹脂製の可撓性を有するフィルム、金属箔が絶縁性材料で被覆された基材が挙げられる。
絶縁性基材1としては、例えば、図2に示すように、金属箔2の全面に絶縁層3が形成された形態が挙げられる。絶縁性基材1が金属箔2を有すると、絶縁性基材1の端部を折り曲げたときに、折り曲げられた形状を保持しやすいため好ましい。
金属箔2の種類は特に限定されず、ステンレス箔のほか、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属が好適である。
金属箔2の厚みは、例えば1μm〜500μmが好ましく、2μm〜200μmがより好ましく、5μm〜100μmがさらに好ましい。
金属箔2の厚みが、上記範囲の下限値以上であると、太陽電池100の強度を十分に保つことができる。
金属箔2の厚みが、上記範囲の上限値以下であると、絶縁性基材1の端部を他方の面Bの臨む方向に折り曲げやすい。
絶縁層3は、特に限定されず、公知の絶縁体が適用可能であり、絶縁性樹脂のほか、例えば、従来の電子デバイスの絶縁層を構成する金属酸化物が挙げられる。具体的には、二酸化ジルコニウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム(AlO、Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)等が例示できる。これらのうち、特に酸化アルミニウム(III)(Al)が好ましい。
絶縁層3を形成する絶縁体は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
絶縁層3は、金属箔2の全面を絶縁処理することにより得られる。金属箔2の全面を絶縁処理する方法としては、例えば、酸化処理、アルマイト処理、絶縁材料を塗布する方法等が挙げられる。
絶縁性基材1の材料が合成樹脂である場合、その合成樹脂としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)が、薄く、軽く、かつフレキシブルな太陽電池を製造する観点から好ましい。
絶縁性基材1の厚みは特に限定されず、例えば、0.01mm〜3mmが好ましい。
<第一導電層>
第一導電層4aは、絶縁性基材1の一方の面Aに積層されている。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ、第一折曲部14の表面に追随して形成されている。即ち、第一折曲部14の表面には、第一導電層4aから延設された第一延設導電層4bが形成されている。第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ、第二折曲部16の表面に追随して形成されている。即ち、第二折曲部16の表面には、第一導電層4aから延設された第二延設導電層4cが形成されている。
第一導電層4aにおいて、第一延設導電層4bを含む領域と、第二延設導電層4cを含む領域とは、電気的に独立している。そのため、それぞれの領域が電極として機能しうる。
第一延設導電層4bと第二延設導電層4cとは、それぞれ表出している。第一延設導電層4b及び第二延設導電層4cの各々に後述する取出し配線を接合することにより、外部回路へと電流を取り出すことができる。
第一導電層4aの材料は特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル、チタン、ニオブ、モリブデン、コバルト、ルテニウム、インジウム、スズ及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属のほか、これらの合金類または酸化物、あるいはその積層膜が好適である。
第一導電層4aの厚みは特に限定されず、例えば、10nm〜1000nmが好ましい。
<発電層>
発電層5は、光電変換層を含む層である。図3に本実施形態の発電部10の積層構造を示す。図3(a)に示すように、発電部10の積層構造は、絶縁性基材1の一方の面に第一導電層4aと、電子輸送層7と、光電変換層8と、正孔輸送層9と、第二導電層6とが、この順に積層されて構成される。
本実施形態の発電層5は、電子輸送層7と、光電変換層8と、正孔輸送層9とから構成される。光電変換層8は、ペロブスカイト化合物を含む。光照射によってペロブスカイト化合物で生じた電子は、正孔を遮蔽する電子輸送層7を介して第一導電層4aへと輸送される。一方、光照射によってペロブスカイト化合物で生じた正孔は、電子を遮蔽する正孔輸送層9を介して第二導電層6へと輸送される。
以下に、発電層5を構成する各層について詳細に説明する。
(光電変換層)
光電変換層8は、受光した光を電気エネルギーに変換し、光電変換を行う層である。光電変換層8は、ペロブスカイト化合物を含む。
光電変換層8は、図2に示すように、分断部12においては、絶縁性基材1の上にも積層されている。
ペロブスカイト化合物の種類は、特に限定されず、公知の太陽電池に使用されるペロブスカイト化合物が適用可能であり、結晶構造を有し、典型的な化合物半導体と同様にバンドギャップ励起による光吸収を示すものが好ましい。例えば、公知のペロブスカイト化合物であるCHNHPbIは、色素増感太陽電池の増感色素と比べて、単位厚み当たりの吸光係数(cm−1)が1桁高いことが知られている。
光電変換層8の厚みは特に限定されず、例えば、10nm〜10000nmが好ましく、50nm〜1000nmがより好ましく、100nm〜500nmがさらに好ましい。
光電変換層8の厚みが、上記範囲の下限値以上であると、光電変換層8における光の吸収効率が高まり、より優れた光電変換効率が得られる。
光電変換層8の厚みが、上記範囲の上限値以下であると、光電変換層8内で発生した光電子が第一導電層4aに到達する効率が高まり、より優れた光電変換効率が得られる。
(電子輸送層)
電子輸送層7は、光電変換層8で発生した電子を、第一導電層4aへと輸送する層として機能する。
電子輸送層7は、第一導電層4aと光電変換層8との間に配置されていることが好ましい。
電子輸送層7が配置されていると、起電力の損失が抑制され、光電変換効率が向上する。電子輸送層7は、上記効果を得る観点から、非多孔性の緻密層であることが好ましい。
電子輸送層7の材料は特に限定されず、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、例えば、公知の太陽電池の電子輸送層のN型半導体が適用できる。前記有機材料として、例えば、Poly(benzimidazobenzophenanthroline)(略称:BBL)などのN型高分子半導体、[6.6] Diphenyl C62 bis(butyric acid methyl ester)(略称:ビス-PCBM)などのフラーレン誘導体が挙げられる。
前記無機材料としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、等の電子伝導性に優れた金属酸化物半導体が例示できる。また、5価の元素がドープされたSi、Cd、ZnSなどの化合物半導体も適用できる場合がある。これらのうち、特に酸化チタンが電子伝導性に優れるので好ましい。
電子輸送層7を構成する材料の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
電子輸送層7の層数は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
電子輸送層7の合計の厚みは特に限定されないが、例えば5nm〜500nm程度が挙げられる。5nm以上であると上記損失を抑制する効果が充分に得られ、500nm以下であると内部抵抗を低く抑えることができる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層9は、光電変換層8で発生した正孔を、第二導電層6へと輸送する層として機能する。
正孔輸送層9は、第二導電層6と光電変換層8との間に配置されていることが好ましい。
正孔輸送層9が配置されていると、起電力の損失が抑制され、光電変換効率が向上する。正孔輸送層9は、上記効果を得る観点から、非多孔性の緻密層であることが好ましい。
正孔輸送層9が光電変換層8と第二導電層6との間に配置されていると、逆電流の発生を抑制することができ、第二導電層6から光電変換層8へ電子が移動する効率が高められる。この結果、光電変換効率及び電圧が高められる。
正孔輸送層9の材料は特に限定されず、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、例えば、公知の太陽電池の正孔輸送層のP型半導体が適用できる。前記有機材料として、例えば、2,2',7,7'-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenilamine)-9,9'-spirobifluorene(略称:spiro−OMeTAD)、Poly(3-hexylthiophene)(略称:P3HT)、polytriarylamine(略称:PTAA)等が挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、CuI、CuSCN、CuO、CuO等の銅化合物やNiO等のニッケル化合物等が挙げられる。
正孔輸送層9を構成する材料の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
正孔輸送層9の層数は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
正孔輸送層9の合計の厚みは特に限定されず、例えば、1nm〜1000nmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましく、30nm〜500nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、高い起電力を得ることができる。
上記範囲の上限値以下であると、内部抵抗をより低減することができる。
発電層5の厚みは特に限定されず、例えば、10nm〜10μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜1μmがさらに好ましい。
発電層5の厚みが上記範囲の下限値以上であると、高い起電力を得ることができる。
発電層5の厚みが上記範囲の上限値以下であると、内部抵抗をより低減することができる。
太陽電池100において、光電変換層8が光を吸収すると、層内で電子及び正孔が発生する。電子は電子輸送層7に受容され、第一導電層4aが構成する作用極(負極)に移動する。一方、正孔は正孔輸送層9を介して第二導電層6が構成する対極(正極)に移動する。
太陽電池100によって発電された電流は、第一取出し配線24及び第二取出し配線26を介して外部回路へ取り出され得る。
電子輸送層7及び正孔輸送層9の配置は、図3(a)のような配置に限られず、図3(b)に示すように、電子輸送層7が第二導電層6と光電変換層8との間に配置され、かつ、正孔輸送層9が第一導電層4aと光電変換層8との間に配置されていてもよい。
この場合、太陽電池100における正極と負極とが入れ替わった太陽電池が得られる。
本実施形態の太陽電池100によれば、光電変換層8の両面に電子輸送層7及び正孔輸送層9が配置されていることにより、起電力の損失が抑制され、光電変換効率がより向上する。
発電層5の層構成は、上述した例に限定されず、図3(b)に示すように、絶縁性基材1の一方の面に第一導電層4aと、正孔輸送層9と、光電変換層8と、電子輸送層7と、第二導電層6とが、この順に積層されていてもよい。
また、図3(c)に示すように、正孔輸送層9を含まず、絶縁性基材1の一方の面に第一導電層4aと、電子輸送層7と、光電変換層8と、第二導電層6とが、この順に積層されていてもよい。
光電変換効率をより向上させる観点から、発電層5の層構成は、図3(a)に示す電子輸送層7と、光電変換層8と、正孔輸送層9とが、この順に積層された構成であることが好ましい。
<第二導電層>
第二導電層6の材料は、導電性を有する層であれば特に限定されず、透明層を形成し得る材料が好ましい。第二導電層6としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、二酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物が好適である。この他、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素から構成されるアモルファス半導体(IGZO)等の無機透明導電膜、グラフェン等の導電性カーボン膜、光透過可能な極薄金属膜やこれらの積層膜が挙げられる。極薄金属膜としては、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属が適用できる。
第二導電層6を構成する材料の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
第二導電層6の厚みは特に限定されず、例えば、10nm〜500nmが好ましい。
本実施形態において、第一導電層4aと発電層5と第二導電層6との積層体が、発電部10である。
発電部10の厚みは特に限定されず、例えば、100nm〜5000nmが好ましい。
<取出し配線>
第一取出し配線24は、第一折曲縁P1に沿って延び、第一取出し配線24の一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出している。第二取出し配線26は、第二折曲縁P2に沿って延び、第二取出し配線26の一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出している。
第一取出し配線24と、第二取出し配線26とは、導電性である。本実施形態の太陽電池100は、第一取出し配線24と、第二取出し配線26とを備えることにより、発電層5で発生した電気を外部回路へと取り出すことが可能となる。
第一取出し配線24と、第二取出し配線26とは、絶縁性基材1の他方の面Bにおいて離間している。
第一取出し配線24と、第二取出し配線26とが、離間していることにより、第一取出し配線24と、第二取出し配線26とが接触して、第一折曲部14と第二折曲部16とが短絡しない。
図1において、第一取出し配線24は、一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出している。第一取出し配線24の一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していることにより、発電部10を覆う封止材を設けた後も、太陽電池100から容易に電流を取り出すことができる。
第一取出し配線24は、両端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していてもよい。第一取出し配線24の両端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していることにより、発電部10を覆う封止材を設けた後も、太陽電池100からより容易に電流を取り出すことができる。加えて、太陽電池100を他の太陽電池と電気的に接続することにより、複数の太陽電池が接続された太陽電池モジュールを形成することができる。
図1において、第二取出し配線26は、一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出している。第二取出し配線26の一端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していることにより、発電部10を覆う封止材を設けた後も、太陽電池100から容易に電流を取り出すことができる。
第二取出し配線26は、両端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していてもよい。第二取出し配線26の両端が絶縁性基材1のY方向の外側に突出していることにより、発電部10を覆う封止材を設けた後も、太陽電池100からより容易に電流を取り出すことができる。加えて、太陽電池100を他の太陽電池と電気的に接続することにより、複数の太陽電池が接続された太陽電池モジュールを形成することができる。
第一取出し配線24の材料は、導電性を有していればよく、特に限定されない。第一取出し配線24の材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属が好適である。第一取出し配線24としては、アルミニウム、銅、ニッケル等の配線材が好ましい。
第一延設導電層4bとの接合方法については、特に限定されない。第一延設導電層4bとの接合方法としては、導電性接着剤を用いた貼り付け、ハンダ接合、超音波接合、抵抗接合、導電性接着剤を介した圧着接合、加熱接合等が挙げられる。
絶縁性基材1の他方の面Bに固定する観点から、導電性接着剤付配線テープが好ましく、導電性が良好な銅リボンテープが特に好ましい。
第一取出し配線24の厚みは、特に限定されず、例えば、0.05mm〜1mmが好ましい。
第一取出し配線24は、電気抵抗を低減するために、幅広であることが好ましい。第一取出し配線24の幅は、例えば、2mm〜50mmが好ましい。
第二取出し配線26の材料、接合方法、厚み及び幅は、第一取出し配線24と同様である。第二取出し配線26の材料と第一取出し配線24の材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第二取出し配線26の接合方法と第一取出し配線24の接合方法とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第二取出し配線26の厚み及び幅と、第一取出し配線24の厚み及び幅とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
<封止材>
太陽電池100は、発電部10が封止材で封止されていてもよい。
図4の太陽電池400は、太陽電池100の絶縁性基材1及び発電部10を覆う封止材30を備える。
太陽電池400の第一取出し配線24は、絶縁性基材1の外側に突出していている。このため、第一取出し配線24は、封止材30の外部に突出している。なお、第一取出し配線24が絶縁性基材1の外側に突出していない場合、第一取出し配線24と電気的に接合され、かつ封止材30の外側に突出する他の配線を設ける。
前記他の取出し配線は、絶縁性基材1を封止材30で覆った後に、封止材30を穿孔して第一取出し配線24と接合してもよい。
太陽電池400の第二取出し配線26は、絶縁性基材1の外側に突出していている。このため、第二取出し配線26は、封止材30の外部に突出している。なお、第二取出し配線26が絶縁性基材1の外側に突出していない場合、第二取出し配線26と電気的に接合され、かつ封止材30の外側に突出する他の配線を設ける。
前記他の取出し配線は、絶縁性基材1を封止材30で覆った後に、封止材30を穿孔して第二取出し配線26と接合してもよい。
太陽電池400は、封止材30を備えることで、物理的ダメージ、酸化、吸湿等を抑えることができる。
封止材30の種類は特に限定されず、公知の太陽電池で使用されている封止樹脂を適用できる。封止樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂等の紫外線硬化性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等の熱硬化性樹脂;ポリビニルブチラール(PVB)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリオレフィン、ポリスチレン、アイオノマー樹脂、イソブチレン系エラストマー等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。太陽電池400が屋外で使用されることを考慮して、耐候性に優れるシリコーン樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)が好ましい。
封止材30の厚みは特に限定されず、絶縁性基材1の一方の面Aの側では、発電部10を覆うような厚みであればよい。絶縁性基材1の他方の面Bの側では、第一取出し配線24及び第二取出し配線26を覆うような厚みであればよい。
一方の面Aの封止材30の厚みは、例えば、0.1μm〜1000μmが好ましく、1μm〜800μmがより好ましく、10μm〜600μmがさらに好ましい。
封止材30の厚みが上記下限値以上であると、発電部10の劣化を抑制しやすい。上記上限値以下であると、封止の際の発電層5と導電層(第一導電層4a又は第二導電層6、あるいはその両方)との剥離を生じにくくしやすい。
他方の面B及び側面の封止材30の厚みは特に限定されず、例えば、0.1μm〜1000μmが好ましい。
封止材30の厚みは、備える封止材30の体積量等により調整できる。
<作用・効果>
図8に、従来の太陽電池900における封止プロセスを模式的に表した拡大断面図を示す。太陽電池900は、絶縁性基材1の一方の面に発電部10を備え、発電部10の近傍に取出し配線924が設けられている。太陽電池900には、発電部10を構成する第二導電層6の表面と、取出し配線924との間に、大きな段差Dが形成される。前記の段差Dが大きいと、絶縁性基材1を封止材30で覆い、封止材30を加熱プレスして封止する際、大きな圧力が必要となる。このため、加圧解放時に大きな復元力Fが働き、前記の段差Dの近傍にある第二導電層6が復元力Fによって発電層5から剥がされやすくなる。
なお、この復元力Fによって、発電層5と第一導電層4aとの界面においても剥離が生じ得る。
本実施形態の太陽電池によれば、絶縁性基材の両端部が、他方の面に折り返されているため、取出し配線を他方の面に設けることができる。
図4の太陽電池400のように、第一取出し配線24及び第二取出し配線26を絶縁性基材1の他方の面Bに設けることで、絶縁性基材1の一方の面Aの発電部10の近傍に大きな段差は形成されない。このため、太陽電池100を封止する際の圧力は小さくなり、加圧解放時の復元力Fは小さくなる。その結果、封止の際の発電層5と導電層(第一導電層4a又は第二導電層6、あるいはその両方)との剥離を生じにくくすることができる。
本実施形態によれば、第一取出し配線24が絶縁性基材1の他方の面Bに固定されている。このため、折り曲げられた第一折曲部14が第一取出し配線24によって固定されるので、第一折曲部14の形状を維持しやすい。
本実施形態によれば、第二取出し配線26が絶縁性基材1の他方の面Bに固定されている。このため、折り曲げられた第二折曲部16が第二取出し配線26によって固定されるので、第二折曲部16の形状を維持しやすい。
[第二実施形態]
図5に、本発明の第二実施形態に係る太陽電池200の概略断面図を示す。第一実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の太陽電池200は、発電部群10aを有する。発電部群10aは、2以上の発電部10で構成される。
絶縁性基材1は、発電部群10aを挟んで互いに対向する位置の端部が、絶縁性基材1の他方の面Bの臨む方向に折り曲げられている。
発電部群10aは、2以上の発電部10がX方向に並んで形成されている。但し、発電部群10aは、2以上の発電部10が図1のY方向に並んで形成されていてもよい。また、発電部群10aは、X方向、Y方向ともに2以上の発電部10が並んで形成されていてもよい。
発電部群10aにおいて、各々の発電部10の間は、第一導電層4a及び第二導電層6で電気的に接合されている。各々の発電部10における第一導電層4aは、分断部12によって分断されている。
発電部群10aにおいて、各々の発電部10は、平面視短冊状や平面視碁盤の目状に配置されている。各々の発電部10の配置は、平面視短冊状や平面視碁盤の目状の配置に限らず、平面視円環状に配置されてもよく、不規則に配置されてもよい。
本実施形態において、各々の発電部10の第二導電層6は、相互に電気的に独立している。つまり、各々の発電部10は、異なる電位を有する。太陽電池200において、第一折曲部14と第二折曲部16とを電極端子とした場合、各々の発電部10は電極端子に対して、直列つなぎで接合されていることになる。このため、本実施形態の太陽電池200によれば、太陽電池200の出力電圧を高めることができる。
太陽電池200は、発電部群10aが封止材で封止されていてもよい。
太陽電池200は、封止材を備えることで、物理的ダメージ、酸化、吸湿等を抑えることができる。
本実施形態では、上述した第一実施形態の封止材30と同様の封止材を適用できる。
[第三実施形態]
図6の太陽電池300は、絶縁性基材1の両端部が他方の面Bの臨む方向に折り曲げられた第一折曲部314及び第二折曲部316を備える。第一折曲部314及び第二折曲部316は、他方の面Bの臨む方向に延びるに従い、両端部が互いに離れる。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ第一折曲部314の表面に追随して形成された第一延設導電層304bを備える。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ第二折曲部316の表面に追随して形成された第二延設導電層304cを備える。
太陽電池300は、第一延設導電層304b上に第一取出し配線324を備える。太陽電池300は、第二延設導電層304c上に第二取出し配線326を備える。
本実施形態において、第一取出し配線324及び第二取出し配線326は、絶縁性基材1の一方の面Aに設けられている。
第一取出し配線324及び第二取出し配線326は、発電部10の上面E0を含む仮想面Qと交差していない。即ち、発電部10の上面E0の臨む方向(Z方向)を上方とした場合、第一取出し配線324の上端E3及び第二取出し配線326の上端E4は、いずれも発電部10の上面E0よりも下方に位置している。
第一折曲部314の折曲角θ1は、180°未満であればよく、150°以下が好ましく、120°以下がより好ましく、100°以下がさらに好ましい。折曲角θ1が上記上限値以下であると、第一取出し配線324の上端E3の位置を低くできる。折曲角θ1の下限は特に限定されず、90°超が好ましい。
第二折曲部316の折曲角θ2は、折曲角θ1と同様である、折曲角θ1と折曲角θ2とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の太陽電池300によれば、第一折曲部314を備えることで、第一取出し配線324を絶縁性基材1の一方の面Aに取り付けた場合でも、第一取出し配線324の上端E3の位置を低くできる。このため、発電部10と第一取出し配線324との間の大きな段差の形成を抑制でき、発電部10の上面E0に働く復元力を小さくできる。その結果、封止の際の発電層5と導電層(第一導電層4a又は第二導電層6、あるいはその両方)との剥離を生じにくくすることができる。
加えて、本実施形態の太陽電池300によれば、第二折曲部316を有することで、第二取出し配線326を絶縁性基材1の一方の面Aに取り付けた場合でも、第二取出し配線326の上端E4の位置を低くできる。
第一取出し配線324の材質は、第一取出し配線24と同様である。第二取出し配線326の材質は、第二取出し配線26と同様である。第二取出し配線326の材質は、第一取出し配線324の材質と同じでもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の太陽電池300において、第一取出し配線324の上端E3及び第二取出し配線326の上端E4の双方又はいずれか一方が、発電部10の上面E0の上方に位置していてもよい。即ち、上端E3及び上端E4の双方又はいずれか一方が、仮想面Qの上方に位置していてもよい。
導電層の剥離を抑制する観点から、第一取出し配線324の上端E3は、仮想面Qに対し、同等又は下方に位置することが好ましい。上端E3が仮想面Qの上方に位置する場合、上端E3と仮想面Qとの距離は、第一導電層4aの表面から上面E0までの距離の0%超50%以下が好ましく、0%超20%以下がより好ましい。
導電層の剥離を抑制する観点から、第二取出し配線326の上端E4は、仮想面Qに対し、同等又は下方に位置することが好ましい。上端E4が仮想面Qの上方に位置する場合、上端E4と仮想面Qとの距離は、上端E3と仮想面Qとの距離と同様である。
本実施形態の太陽電池300において、第一取出し配線324及び第二取出し配線326の双方又はいずれか一方は、さらに、他方の面Bに固定されていてもよい。
太陽電池300は、発電部10が封止材で封止されていてもよい。
太陽電池300は、封止材を備えることで、物理的ダメージ、酸化、吸湿等を抑えることができる。
本実施形態では、上述した第一実施形態の封止材30と同様の封止材を適用できる。
[第四実施形態]
第四実施形態の太陽電池500について、図面を参照して説明する。
第一〜第三実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
図7の太陽電池500は、第一折曲部514と第二折曲部516とを備える。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ第一折曲部514に追随する第一延設導電層504bを備える。
第一導電層4aは、発電部10の外側に向かって延び、かつ第二折曲部516に追随する第二延設導電層504cを備える。
第一折曲部514及び第二折曲部516は、絶縁性基材1の端部が他方の面Bの臨む方向に折れ曲げられ、次いで、仮想面Qと平行に延びている。
太陽電池500は、第一延設導電層504b上に第一取出し配線524を備える。太陽電池500は、第二延設導電層504c上に第二取出し配線526を備える。
本実施形態において、第一取出し配線524及び第二取出し配線526は、絶縁性基材1の一方の面Aに設けられている。
本実施形態において、第一取出し配線524及び第二取出し配線526は、発電部10の上面E0を含む仮想面Qと交差していない。即ち、発電部10の上面E0の臨む方向(Z方向)を上方とした場合、第一取出し配線524の上端E5及び第二取出し配線526の上端E6とは、いずれも発電部10の上面E0よりも下方に位置している。
本実施形態の太陽電池500において、第一取出し配線524の上端E5及び第二取出し配線526の上端E6の双方又はいずれか一方が、発電部10の上面E0の上方に位置していてもよい。即ち、上端E5及び上端E6の双方又はいずれか一方が、仮想面Qの上方に位置していてもよい。
導電層の剥離を抑制する観点から、第一取出し配線524の上端E5は、仮想面Qに対し、同等又は下方に位置することが好ましい。上端E5が仮想面Qの上方に位置する場合、上端E5と仮想面Qとの距離は、第一導電層4aの表面から上面E0までの距離の0%超50%以下が好ましく、0%超20%以下がより好ましい。
導電層の剥離を抑制する観点から、第二取出し配線526の上端E6は、仮想面Qに対し、同等又は下方に位置することが好ましい。上端E6が仮想面Qの上方に位置する場合、上端E6と仮想面Qとの距離は、上端E5と仮想面Qとの距離と同様である。
太陽電池500は、発電部10が封止材で封止されていてもよい。
太陽電池500は、封止材を備えることで、物理的ダメージ、酸化、吸湿等を抑えることができる。
本実施形態では、上述した第一実施形態の封止材30と同様の封止材を適用できる。
[その他の実施形態]
第一〜第四実施形態は、平面視矩形の太陽電池である。しかし、太陽電池の平面視の形状は矩形に限られず、5角形等の多角形であってもよいし、円形、楕円形であってもよい。
第一〜第四実施形態は、平面視矩形の発電部が形成されているが、発電部の平面視の形状は矩形に限られず、5角形等の多角形であってもよいし、円形、楕円形であってもよい。
第一、第三、第四実施形態は、発電部の数が一つであるが、発電部の数は一つに限られず、2以上であってもよい。
第一〜第四実施形態は、発電部を挟んだ両側に、折曲部を備える。本発明はこれに限定されず、第一折曲部及び第二折曲部のいずれか一方を備えればよい。ただし、本発明の効果をさらに高めるためには、第一折曲部及び第二折曲部の双方を備えることが好ましい。
第一〜第二実施形態は、絶縁性基材の他方の面Bに第一取出し配線及び第二取出し配線が取り付けられている。取出し配線は、第一取出し配線だけでもよい。
第三〜第四実施形態は、絶縁性基材の一方の面Aに第一取出し配線及び第二取出し配線が取り付けられている。取出し配線は、第一取出し配線だけでもよい。
第一〜第四の実施形態は、光電変換層が第一導電層の分断部をまたぐように積層されている。光電変換層の第一折曲部の側の端部は、第一導電層の分断部にあってもよい。
第一〜第四の実施形態は、第二導電層が光電変換層の第一折曲部の側の端部を覆って第一導電層と電気的に接合されている。第二導電層は、光電変換層を貫通して第一導電層と電気的に接合されていてもよい。
以上説明してきた太陽電池は、1つが単独で使用されてもよく、2以上の太陽電池が組み合わされて使用されてもよい。この場合、それぞれの太陽電池は、結線ユニット等を介して電気的に接合されていてもよい。
≪太陽電池の製造方法≫
本発明の太陽電池の製造方法は、電極形成基材の任意の端部を他方の面Bの臨む方向に折り曲げて、第一折曲部14と第一延設導電層4bとを形成する工程(第一折曲工程)と、第一延設導電層4bと第一取出し配線24とを電気的に接合する工程(第一取付工程)とを有する。電極形成基材は、絶縁性基材1の一方の面Aに、第一導電層4aが形成されたものである。
図2に基づき、本発明の太陽電池の製造方法の一例について説明する。
まず、絶縁性基材1の一方の面Aに、第一導電層4aを形成することにより電極形成基材を得る。絶縁性基材1の一方の面Aに、第一導電層4aを形成する方法は特に限定されず、例えば、スパッタ法、蒸着法等の公知の成膜方法が適用できる。
続いて、電極形成基材の第一導電層4aを分断して、分断部12を形成する(分断処理)。分断処理の方法は、特に限定されず、例えば、レーザースクライブによって分断部12を形成する方法が挙げられる。
次に、第一導電層4aの上に発電層5を形成する。発電層5を形成する方法は特に限定されず、例えば、スパッタ法、塗布法、蒸着法等の公知の成膜方法が挙げられる。
次に、発電層5の上に第二導電層6を形成する。第二導電層6を形成する方法は特に限定されず、例えば、スパッタ法、蒸着法等の公知の成膜方法が挙げられる。
以上の工程により、絶縁性基材1の一方の面Aに第一導電層4aと、発電層5と、第二導電層6とをこの順に積層した発電部10が得られる。
次に、電極形成基材の端部を折り曲げ、第一折曲部を形成する。
電極形成基材の任意の端部を他方の面Bの臨む方向に折り曲げる方法は、特に限定されず、第一導電層4a及び絶縁性基材1が破断しない程度の外力を加えて折り曲げればよい。
また、電極形成基材の任意の端部を他方の面Bの臨む方向に折り曲げる際は、発電部10を損傷しないように留意する。
電極形成基材の任意の端部が折り曲げられることにより、第一折曲部14が形成される。第一折曲部14の表面には、第一導電層4aから延設された第一延設導電層4bが形成される(第一折曲工程)。
次に、電極形成基材の発電部10を挟んで第一折曲部14の反対側の端部を他方の面Bの臨む方向に折り曲げて、第二折曲部16と第二延設導電層4cとを形成する(第二折曲工程)。
第二折曲工程では、第一折曲工程と同様に、電極形成基材の発電部10を挟んで第一折曲部14の反対側の端部を、第一導電層4a及び絶縁性基材1が破断しない程度の外力を加えて折り曲げる。電極形成基材の発電部10を挟んで第一折曲部14の反対側の端部が折り曲げられることにより、第二折曲部16が形成される。第二折曲部16の表面には、第一導電層4aから延設された第二延設導電層4cが形成される。
本実施形態の第一取付工程は、第一取出し配線24を第一延設導電層4bと電気的に接合する操作(第一接合操作)と、第一取出し配線24を絶縁性基材1の他方の面Bに固定する操作(第一固定操作)とを有する。
第一接合操作では、第一取出し配線24を絶縁性基材1の他方の面Bの側で第一延設導電層4bと電気的に接合する。第一取出し配線24を第一延設導電層4bと接合する方法は、電気的に接合されれば特に限定されない。例えば、導電性接着剤を用いた貼り付け、ハンダ接合、超音波接合、抵抗接合、導電性接着剤を介した圧着接合、加熱接合等が挙げられる。発電層5を熱劣化させない観点から、導電性接着剤を用いた貼り付けや導電性接着剤を介した圧着接合が好ましい。
なお、第一接合操作では、導電性の部材を介して、第一取出し配線24を第一延設導電層4bと電気的に接合してもよい。
続いて、第一取出し配線24を絶縁性基材1の他方の面Bに固定する(第一固定操作)。第一取出し配線24を絶縁性基材1の他方の面Bに固定する方法は、特に限定されず、絶縁性接着剤を用いても良く、第一接合操作で導電性接着剤を用いた場合には前記導電性接着剤をそのまま利用しても良い。
絶縁性基材1の他方の面Bは、導電性を有しないため、第一取出し配線24を固定しても、絶縁性基材1の他方の面Bと第一延設導電層4bとが短絡することはない。
加えて、折り曲げられた第一折曲部14が、第一取出し配線24によって固定されるため、第一折曲縁P1にかかる負荷を軽減することができる。
本実施形態の第二取付工程は、第二取出し配線26を第二延設導電層4cと電気的に接合する操作(第二接合操作)と、第二取出し配線26を絶縁性基材1の他方の面Bに固定する操作(第二固定操作)とを有する。
第二接合操作は、第二取出し配線26を絶縁性基材1の他方の面Bの側で第二延設導電層4cと電気的に接合すること以外は、第一接合操作と同様である。
第二固定操作は、第二取出し配線26を絶縁性基材1の他方の面Bに固定すること以外は、第一固定操作と同様である。
第二取付工程では、第二取出し配線26を第一取出し配線24や第一延設導電層4bと導通させないように留意する。第一折曲部14と第二折曲部16とが短絡すると、太陽電池としての機能を失うからである。
第一接合操作では、第一取出し配線24が絶縁性基材1の一方の面Aの側で第一延設導電層4bと電気的に接合してもよい。
また、第二接合操作では、第二取出し配線26が絶縁性基材1の一方の面Aの側で第二延設導電層4cと電気的に接合してもよい。
封止の際に発電層5と導電層との剥離を生じにくくする観点から、第一取出し配線24及び第二取出し配線26は、絶縁性基材1の他方の面Bの側で接合されることが好ましい。
以上の工程により、絶縁性基材1の他方の面Bに第一取出し配線24及び第二取出し配線26を備える太陽電池100を得る。
次に、発電部10を封止材30で覆い、封止材30を加熱プレスして封止する工程(封止工程)について、図4に基づいて説明する。
絶縁性基材1の一方の面Aに形成された発電部10が封止されることにより、本態様の太陽電池は、物理的ダメージ、酸化、吸湿等が抑制される。
封止材としては、上述した封止樹脂を用いることができる。
発電部10を封止材30で覆う。この際、絶縁性基材1の一方の面A及び他方の面B、第一取出し配線24及び第二取出し配線26を封止材30で覆う。さらに、第一折曲縁P1及び第二折曲縁P2も封止材30で覆う。即ち、発電部10、絶縁性基材1、第一取出し配線24、第二取出し配線26、第一折曲縁P1及び第二折曲縁P2が封止材30で覆われる。
次に、封止材30で覆った太陽電池100を加熱プレス機等に投入し、任意の時間、任意の温度及び任意の圧力で加熱プレスして封止材30を硬化させる。
加熱プレスする時間は、5分〜60分が好ましい。加熱プレスする時間が上記下限値以上であると、封止材30を十分に硬化させることができる。上記上限値以下であると、発電層5等の劣化を抑制することができる。
加熱プレスするときの温度は、80℃〜180℃が好ましい。加熱プレスするときの温度が上記下限値以上であると、封止材30を十分に軟化及び熱硬化させることができる。上記上限値以下であると、発電層5等の劣化を抑制することができる。
加熱プレスするときの圧力は、0.1MPa〜2MPaが好ましい。加熱プレスするときの圧力が上記下限値以上であると、封止材30を十分に充填させることができる。上記上限値以下であると、加熱プレス解放時の発電層5と導電層(第一導電層4a又は第二導電層6、あるいはその両方)との剥離を抑制することができる。
その後、加温及び加圧を停止し、任意の時間冷却することにより、発電部10、絶縁性基材1、第一取出し配線24及び第二取出し配線26を覆う封止材30を備えた太陽電池400を得る。
封止工程は、発電層5等の酸化、吸湿等を抑えるために、酸素及び水分を除去したドライルームまたはグローブボックス環境下において行うことが好ましい。
ドライルームまたはグローブボックスは、公知の設備を利用することができる。
封止工程においては、一方の面Aの段差をなくし、封止材30の厚みを小さくすることにより、加熱プレス後の封止材30が発電部10から離れようとする復元力Fを小さくすることができる。
本発明の太陽電池の製造方法は、上述した製造方法に限定されない。図5に示す太陽電池200を得る場合、例えば、次のような方法が挙げられる。絶縁性基材1の一方の面Aに形成した第一導電層4aの複数の部分に分断処理を施す。その後、発電層5を積層し、発電層5の複数の部分を除去して発電層5を複数の部分に分ける。さらに、第二導電層6を積層し、第二導電層6の複数の部分を除去して第二導電層6を複数の部分に分ける。このようにして、2以上の発電部10からなる発電部群10aを備える太陽電池200を得ることができる。
発電層5又は第二導電層6を複数の部分に分ける方法は、特に限定されず、レーザースクライブやメカニカルスクライブによって分けることができる。また、予め複数の開口部を有するマスク等を用いて製膜することによって行ってもよい。
光電変換層8の両側に電子輸送層7及び正孔輸送層9を備える太陽電池を得る場合は、次のような方法が挙げられる。
第一導電層4aの上に電子輸送層7を形成する。
電子輸送層7の形成方法は特に限定されず、所望の厚みでN型半導体からなる緻密層を形成可能な公知方法として、例えば、スパッタ法、蒸着法、N型半導体の前駆体を含む分散液を塗布するゾルゲル法等が挙げられる。
N型半導体の前駆体としては、例えば、四塩化チタン(TiCl)、ペルオキソチタン酸(PTA)や、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド(TTIP)等のチタンアルコキシド、亜鉛アルコキシド、アルコキシシラン、ジルコニウムアルコキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
本態様の太陽電池において、電子輸送層7と光電変換層8との間には、下地層(不図示)を形成してもよい。
光電変換層8を支持する下地層を形成する場合、その方法は特に限定されず、例えば、従来の色素増感太陽電池の増感色素を担持する多孔質半導体層の形成方法が適用できる。具体例として、例えば、N型半導体又は絶縁体からなる微粒子及びバインダーを含むペーストをドクターブレード法で電子輸送層7の表面に塗布し、乾燥し、焼成することによって、微粒子からなる多孔質の下地層を形成することができる。また、微粒子を電子輸送層7の表面に吹き付けることによって、当該微粒子からなる多孔質又は非多孔質の下地層を成膜することができる。
前記下地層の表面にペロブスカイト化合物からなる光電変換層8を形成する。光電変換層8を形成する方法は、特に限定されず、例えば、次の方法が挙げられる。即ち、ペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体を溶解した原料溶液を前記下地層の表面に塗布し、前記下地層内部に含浸させるとともに、表面に所望の厚みの溶液からなる溶液層がある状態で、溶媒を乾燥する方法である。
前記下地層に塗布した前記原料溶液の少なくとも一部は前記下地層の多孔質膜内に浸透し、溶媒の乾燥とともに結晶化が進行し、多孔質膜内にペロブスカイト化合物が付着及び堆積する。また、充分量の前記原料溶液を塗布することにより、多孔質膜内に浸透しなかった前記原料溶液は、溶媒の乾燥とともに前記下地層の表面にペロブスカイト化合物からなるアッパー層が形成される。前記アッパー層を構成するペロブスカイト化合物と前記下地層内部のペロブスカイト化合物は、一体的に形成されており、光電変換層8を一体的に構成する。
本実施形態で使用するペロブスカイト化合物は、光吸収により起電力を発生させ得るものであれば特に限定されず、公知のペロブスカイト化合物が適用可能である。
光電変換層8の形成において、前記原料溶液に含まれる前記前駆体としては、例えば、鉛のハロゲン化物が挙げられる。
鉛のハロゲン化物が含まれた単一の原料溶液を前記下地層に塗布してもよいし、2種のハロゲン化物が個別に含まれた混合原料溶液を前記下地層に塗布してもよい。
前記原料溶液の溶媒は、原料を溶解し、前記下地層を損なわない溶媒であれば特に限定されず、例えば、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、カーボネート、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、スルホン、スルホキシド、ホルムアミド等の化合物が挙げられる。
前記原料溶液中の原料の濃度は特に限定されず、充分に溶解され、多孔質膜内に当該原料溶液が浸透可能な程度の粘度を呈する濃度であることが好ましい。
前記下地層に塗布する前記原料溶液の塗布量は特に限定されず、例えば、多孔質膜内の全体又は少なくとも一部に浸透するとともに、多孔質膜の表面に厚み1nm〜1μm程度の前記アッパー層が形成される程度の塗布量が好ましい。
前記下地層に対する前記原料溶液の塗布方法は特に限定されず、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の公知方法を適用できる。
前記下地層に塗布した前記原料溶液を乾燥する方法は特に限定されず、自然乾燥、減圧乾燥、温風乾燥等の公知方法を適用できる。
前記下地層に塗布した前記原料溶液の乾燥温度は、ペロブスカイト化合物の結晶化が充分に進行する温度であればよく、例えば40〜150℃の範囲が挙げられる。
正孔輸送層9の形成方法は特に限定されず、例えば、光電変換層8を構成するペロブスカイト化合物を溶解しにくい溶媒に、P型半導体を溶解又は分散した溶液を調製し、この溶液を光電変換層8の表面に塗布し、乾かすことにより、正孔輸送層9を得る方法が挙げられる。
以上の工程により、電子輸送層7、光電変換層8及び正孔輸送層9をこの順で備える層を形成することができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
<薄膜太陽電池の作成>
東洋アルミニウム(株)製のアルミ箔(材質A5052、厚み50μm、大きさ5×5cm)に絶縁層として厚み3μmの硫酸処理アルマイトを施した絶縁性基材を準備した。この絶縁性基材の一方の面上にスパッタ装置(自社製)を用いて、アルミ(厚み500nm)、モリブデン(厚み50nm)の積層膜を成膜して第一導電層とした。この第一導電層をレーザー装置(日本オプテル(株)製:PFL10)を用いて切削加工した。その後、薄膜太陽電池の外部配線接合箇所へ他の膜が付着しないようテープでマスキング処置を施し、スパッタ法により膜厚約50nmの酸化チタン薄膜を積層して電子輸送層とした。
次に、ヨウ化鉛(PbI)とジメチルスルホキシド(DMSO)をモル比1:1の割合でN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に1M濃度となるよう溶解し、ヨウ化鉛のDMF溶液を調整した。このヨウ化鉛のDMF溶液を、スピンコーター(ミカサ(株)製:MS-B100)を用いて前記電子輸送層を形成した基材面上に塗布し、連続して、ヨウ化メチルアミン(CHNHI)の80mM濃度となる2-プロパノール(IPA)溶液をスピンコート塗布した。その後、100℃のオーブンで5分間の加熱乾燥を行うことで、前記ヨウ化鉛にヨウ化メチルアミンを前記基材面上で反応させ、厚さ約300nmのペロブスカイト化合物(CHNHPbI)からなる光電変換層を形成した。
続いて、70mM濃度の2,2',7,7'-Tetrakis-(N,N-di-4-methoxyphenylamino)-9,9'-spirobifluorene(略称:spiro−OMeTAD)を溶解したクロロベンゼン溶液に、添加剤としてTris(2-(1H-pyrazol-1-yl)-4-tert-butylpyridine)cobalt(III)Tris(bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)](略称:FK209)と、Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide Lithium Salt(略称:Li−TFSI)と4-tert-Butylpyridine(略称:tBP)とを加え、spiro−OMeTADのクロロベンゼン溶液を調整した。このspiro−OMeTADのクロロベンゼン溶液を、前記スピンコーターを用いて前記の光電変換層を形成した基材面上に塗布した後、マスキングテープを除去し、100℃のオーブンで10分間の加熱乾燥を行って、厚さ約200nmの正孔輸送層を形成した。その後、第一導電層が表出している両端部のうちの片方の端部にのみ重なる形状に打ち抜き加工したSUS製マスク板(厚み0.1mm)を重ね合わせ、スパッタを用いて厚さ100nmのITO膜を形成し、第二導電層とした。
続いて、第一導電層が表出している両端部を裏面側へ折り曲げた後、形成された第一延設導電層の表出面に掛かるように導電性接着剤付き銅リボンテープ(厚み100μm、幅6mm)を貼り付けて第一取出し配線とした。形成された第二延設導電層についても、その表出面に掛かるように前記導電性接着剤付き銅リボンテープを貼り付けて、薄膜太陽電池を作成した。
<薄膜太陽電池のラミネート封止>
まず、封止樹脂として平均分子量120,000のポリイソブチレン樹脂(BASF社製:Oppanol B50)をヘキサンに溶解させ、透明な塗工液を調整した。次に、ラミネート評価用のシート基材としてのPETフィルム(厚み125μm、10×10cm)の面上に、乾燥後の樹脂膜厚が100μmとなるように上記塗工液をアプリケータにより全面塗工した。その後、オーブンにより100℃で3分間乾燥させてヘキサンを除去し、封止樹脂付きシート基材を準備した。最後に、この封止樹脂付きシート基材の一対を用意し、封止樹脂面で挟み込むように前記薄膜太陽電池を設置した後、加熱プレスして、ラミネート評価サンプルを得た。この加熱プレスは、ロールラミネーター((株)ラミーコーポレーション製:Leon13DX)を用い、ロール温度:100℃、ロール速度:500mm/分の条件で行った。
[比較例1]
第二導電層の形成までは実施例1と同様に行い、第一導電層が表出している両端部を裏面側へ折り曲げることなく、第一導電層の表出面に掛かるように前記導電性接着剤付き銅リボンテープを貼り付けて、薄膜太陽電池を作成した。
ラミネート封止も実施例1と同様に行い、ラミネート評価サンプルを得た。
<剥離性の評価>
ラミネート評価サンプルを光学顕微鏡で観察したところ、実施例1では第二導電層の剥離は認められなかった。
一方、発電部と同じ面上に銅リボンテープを配した比較例1では、銅リボンテープ近傍において図9、10のような発電部を構成する部材の剥離が観測された。分析の結果から、剥離は、正孔輸送層(spiro−OMeTAD)と第二導電層(ITO)との界面で発生していることが分かった。剥離が発生した箇所は、本太陽電池の構成において界面接合強度が最も懸念される箇所である。
本発明の太陽電池は、第一導電層と取出し配線の接合部が絶縁性基材の他方の面の側に折り曲げられている。この構造により、発電部の第二導電層近傍に取出し配線による大きな段差が生じない。このため、加熱プレスによる封止ラミネート工程において発電層と導電層(第一導電層又は第二導電層、あるいはその両方)との界面にかかる応力を大きく低減し、導電層の剥離が生じ難い太陽電池を提供できる。
1・・・絶縁性基材、2・・・金属箔、3・・・絶縁層、4a・・・第一導電層、4b、304b、504b・・・第一延設導電層、4c、304c、504c・・・第二延設導電層、5・・・発電層、6・・・第二導電層、7・・・電子輸送層、8・・・光電変換層、9・・・正孔輸送層、10・・・発電部、10a・・・発電部群、12・・・分断部、14、314、514・・・第一折曲部、16、316、516・・・第二折曲部、24、324、524・・・第一取出し配線、26、326、526・・・第二取出し配線、924・・・取出し配線、30・・・封止材、100〜500、900・・・太陽電池、A・・・一方の面、B・・・他方の面、P1・・・第一折曲縁、P2・・・第二折曲縁

Claims (17)

  1. 絶縁性基材の一方の面に、第一導電層と、光電変換層を含む発電層と、第二導電層とがこの順に積層された1以上の発電部を備え、
    前記絶縁性基材は、任意の端部が前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられた第一折曲部を有し、
    前記第一導電層は前記発電部の外側に向かって延び、かつ、前記第一折曲部の表面に追随して形成された第一延設導電層を有し、
    前記第一延設導電層と電気的に接合された第一取出し配線を備える太陽電池。
  2. 前記発電部の上面を含む仮想面と、前記第一取出し配線とは、交差していない、請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記第一折曲部は、前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられ、次いで前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部に近づくように折り曲げられた、請求項1又は2に記載の太陽電池。
  4. 前記第一取出し配線は、前記絶縁性基材の他方の面に位置し、
    前記第一取出し配線が前記第一延設導電層と電気的に接合され、かつ、前記第一取出し配線が前記他方の面に固定されている、請求項3に記載の太陽電池。
  5. 前記第一取出し配線が前記第一折曲部により形成された第一折曲縁に沿って延び、かつ、前記第一取出し配線の少なくとも一端が、平面視において前記絶縁性基材の外側に突出している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池。
  6. 前記絶縁性基材は、前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部が前記他方の面の方向に折り曲げられた第二折曲部を有し、
    前記第一導電層は前記発電部の外側に向かって延び、かつ、前記第二折曲部の表面に追随して形成された第二延設導電層を有し、
    前記第二延設導電層と電気的に接合された第二取出し配線を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池。
  7. 前記発電部の上面を含む仮想面と、前記第二取出し配線とは、交差していない、請求項6に記載の太陽電池。
  8. 前記第二折曲部は、前記絶縁性基材の他方の面の方向に折り曲げられ、次いで前記第一折曲部に近づくように折り曲げられた、請求項6又は7に記載の太陽電池。
  9. 前記第二取出し配線は、前記絶縁性基材の他方の面に位置し、
    前記第二取出し配線が前記第二延設導電層と電気的に接合され、かつ、前記第二取出し配線が前記他方の面に固定されている、請求項8に記載の太陽電池。
  10. 前記第二取出し配線が前記第二折曲部により形成された第二折曲縁に沿って延び、かつ、前記第二取出し配線の少なくとも一端が、平面視において前記絶縁性基材の外側に突出している、請求項6〜9のいずれか一項に記載の太陽電池。
  11. 前記絶縁性基材が平面視矩形であり、前記第一折曲部により形成された第一折曲縁と、前記第二折曲部により形成された第二折曲縁とが、前記発電部を挟んで位置する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の太陽電池。
  12. 前記発電部を覆う封止材を備えた、請求項1〜11のいずれか一項に記載の太陽電池。
  13. 前記絶縁性基材の前記一方の面に前記第一導電層が形成された電極形成基材における任意の端部を前記他方の面の臨む方向に折り曲げて、前記第一折曲部と前記第一延設導電層とを形成し、
    前記第一延設導電層と前記第一取出し配線とを電気的に接合する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記第一取出し配線を前記他方の面に固定する工程をさらに有する、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
  15. 前記絶縁性基材の前記一方の面に前記第一導電層が形成された電極形成基材における前記発電部を挟んで前記第一折曲部の反対側の端部を前記他方の面の方向に折り曲げて、前記第二折曲部と前記第二延設導電層とを形成し、
    前記第二延設導電層と前記第二取出し配線とを電気的に接合する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
  16. 前記第二取出し配線を前記他方の面に固定する工程をさらに有する、請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
  17. 前記発電部を封止材で覆い、前記封止材を加熱プレスして封止する工程をさらに有する、請求項13〜16のいずれか一項に記載の太陽電池の製造方法。
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