JP2019028086A - 露光装置および露光方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような走査型露光装置の一例としては、特許文献1に記載の露光装置が挙げられる。
特許文献1に記載の露光装置では、照明光でマスクを照明し、マスクに形成されたパターンの像を複数の投影光学系によって被露光体であるプレートに露光する。
マスクとプレートとは、同期して同速度で、投影光学系に対してX方向に移動することができる。投影光学系は、それぞれ正立等倍実結像系で構成され、X方向に直交するY方向に沿って千鳥配列されている。
照明光は、各投影光学系の各光軸上に配列されたX方向において二辺が対向する平行四辺形の視野絞りを通して、マスクに照射される。各視野絞りは、Y方向における対辺が、走査方向であるX方向から見て重なる位置関係に配置されている。
各投影光学系は、マスクに形成されたパターンの画像を、平面視において千鳥配列された複数の平行四辺形状の光像として、プレートに投影する。しかし、各投影光学系に対してマスクおよびプレートがX方向に移動することによって、各光像がプレートの表面をX方向に走査する。このため、X方向の走査が終了すると、マスクの全面の画像によってプレートが露光される。
このような露光装置では、走査方向において、単一の視野絞りを通過した光によって露光される第1の領域と、Y方向に隣り合う2つの視野絞りを通過した光によって露光される第2の領域とが発生する。各視野絞りの形状および配列は、第1の領域における走査露光量と、第2の領域における走査露光量とが等しくなるように設定されている。
特許文献1の露光装置は、照度センサによって、照明光の照明強度も各視野絞り上で光強度が均一になるように制御する。
このような露光装置は、マスクに形成されたパターンを、プレートに正確に転写することによって、マスクのパターンをプレート上に複製している。
例えば、マスクに均一性が高い格子状パターンを有する場合、個々のパターンの線幅同士を比較しても視認困難な変動であっても、一定の領域における線幅が全体的に変化していると、濃淡むらとして容易に視認できてしまう場合がある。例えば、液晶装置に用いられるカラーフィルタのブラックマトリクスパターンなどは、特にこのようなムラが視認されやすい。
このため、露光装置の走査方向に沿って発生するパターンの線幅などの変動は抑制される必要がある。
本発明者は、上述のような走査型露光装置において、各視野絞りに対応する各露光光量を正確に一致させても、視野絞りの配置ピッチに対応するピッチでパターンの濃度むらが発生する現象を発見した。本発明者がこの現象を鋭意検討したところ、この濃度むらは、走査方向に延びる帯状の領域でパターンの線幅がわずかに狭くなっているために発生していることが分かった。さらに、濃度むらが発生する領域は、隣り合う視野絞りによる露光領域が重なる継ぎ目領域であることも分かった。
この問題は、複数の投影光学系を用いる走査型露光装置に特有の問題である。例えば、液晶装置の高精細化などの要求が高まるにつれて、このような線幅のむらをさらに低減していく技術が強く求められている。
このような継ぎ目領域における濃度むらは、例えば、特許文献2における「画面分かれ」とは異なる現象であり、特許文献2に記載の方法では解決されない。
本発明の第1の実施形態の露光装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の露光装置の一例を示す模式的な正面図である。図2は、図1におけるA視の平面図である。図3は、本発明の第1の実施形態の露光装置に用いる露光用フォトマスクの一例を示す模式的な平面図である。図4は、本発明の第1の実施形態の露光装置に用いる露光用フォトマスクのマスクパターンの一例を示す模式的な拡大図である。図5(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の露光装置に用いられる視野絞りの一例を示す模式的な平面図である。
なお、各図面は模式図のため、形状および寸法は誇張されている(以下の図面も同様)。
露光装置100の詳細構成について説明する前に、フォトマスク1の一例について説明する。
光透過性基板1Aは、露光装置100の照明光を透過できる光透過性を有する適宜の基板の使用が可能である。例えば、光透過性基板1Aは、ガラス基板によって構成されてもよい。光透過性基板1Aの外形は特に限定されない。図3に示す例では、光透過性基板1Aの外形は平面視矩形状である。
等倍露光の露光装置100に用いるマスクパターンPは、被露光体6に形成する露光パターンと同一の形状にすればよい。
マスクパターンPは、光透過性基板1Aの表面において、光透過性基板1Aの長辺に沿うy方向と、光透過性基板1Aの短辺に沿うx方向と、に2次元的に形成されている。
光透過性基板1A上におけるマスクパターンPの位置を記述するため、x方向にはx座標軸が、y方向にはy座標軸がそれぞれ設定されている。図3では、一例として、光透過性基板1Aの外形の一頂点を原点Oとするx座標軸とy座標軸とが設定されている。ただし、xy座標系の原点Oは、光透過性基板1Aにおける適宜の位置に設定されていてもよい。
以下では、マスクパターンPの一例として、光透過部の平面視形状が矩形格子の場合の例で説明する。このような矩形格子状の露光パターンは、例えば、液晶装置におけるカラーフィルタに用いられるブラックマトリクス(BM)を形成するために用いられてもよい。
マスクパターンPは、平面視矩形状の遮光部1bが、x方向およびy方向において矩形格子状に配列されている。例えば、遮光部1bの配列ピッチは、x方向ではPx、y方向ではPyである。例えば、フォトマスク1がBM形成用の場合には、ピッチPx(Py)は、x方向(y方向)におけるサブ画素の配列ピッチに一致している。
各遮光部1bの間には、光透過性基板1A(図3参照)の表面が露出した光透過部1aが形成されている。光透過部1aは、x方向に延びる第1線状部1axと、y方向に延びる第2線状部1ayとに分けられる。
第1線状部1axは、一定の線幅L1yを有する。同じく第2線状部1ayは、一定の線幅L1xを有する。例えば、フォトマスク1がBM形成用の場合には、線幅L1y、L1xは、それぞれ、y方向、x方向におけるBMの線幅に等しい。
図1、2に示すように、露光装置100は、ベース7、第2の駆動部11、第1の駆動部10、主照明光源2(第1の光源)、視野絞り3(絞り部材)、投影光学ユニット5、追加露光用照明光源8(第2の光源)、および追加露光用投影光学ユニット9(補正露光部)を備える。
図2に示すように、本実施形態では、ベース7の移動方向は、水平方向のうちY方向(図2の左から右に向かう方向)に延びる軸線O5(第1の軸線)に沿う方向である。
第2の駆動部11は、図示二点鎖線で示すように、ベース7をY方向における移動限度まで移動した後、ベース7をY方向と反対に移動して移動開始位置に戻すことができる。
被露光体6は、適宜の基板上に、フォトリソグラフィを行うための感光性のレジストが塗布されて構成される。
露光装置100におけるフォトマスク1は、y座標軸の正方向がY方向と反対向きとされ、x座標軸がX方向に沿うように配置される。
図5(a)に示すように、視野絞り3は、X方向にw1+w2(ただし、w1<w2)のピッチで配列された複数の第1開口部3Aと、Y方向にΔ(ただしΔ>h/2)だけ平行にずれた軸線上でX方向にw1+w2のピッチで配列された複数の第2開口部3Bと、を有する。
このような配置により、第1開口部3Aおよび第2開口部3Bは、X方向に延びる軸線O3(第2の軸線)に沿って千鳥配列されている。
Y方向から見ると、第1開口部3Aおよび第2開口部3Bにおける第3辺3c同士と、第4辺3d同士とは互いに重なっている。Y方向から見ると、第1開口部3Aの第1辺3a(第2辺3b)と第2開口部3Bの第2辺3b(第1辺3a)とにおける端部は同じ位置にある。
視野絞り3では、単独開口領域rSのX方向における幅はw1、複合開口領域rCのX方向における幅は(w2−w1)/2である。
(w2−w1)/2は、例えば、14mm以上18mmとされてもよい。hは、例えば、25mm以上45mmとされてもよい。(w1+w2)/2は、例えば、95mm以上100mm以下とされてもよい。Δは、例えば、200mm以上300mm以下とされてもよい。
視野絞り4は、X方向に2w3のピッチで配列された複数の第1開口部4Aと、Y方向にΔだけ平行にずれた軸線上でX方向に2w2のピッチで配列された複数の第2開口部4Bと、を有する。
このような配置により、第1開口部4Aおよび第2開口部4Bは、X方向に延びる軸線O4(第2の軸線)に沿って千鳥配列されている。
Y方向から見ると、第1開口部4Aおよび第2開口部4Bにおける第3辺4c同士と、第4辺4d同士とは互いに重なっている。Y方向から見ると、第1開口部4Aの第1辺4a(第2辺4b)と第2開口部4Bの第2辺4b(第1辺4a)とにおける端部は同じ位置にある。
視野絞り4では、単独開口領域rSのX方向における幅は(w3−w4)、複合開口領域rCのX方向における幅はw4である。
以下では、特に断らない限り、露光装置100が視野絞り3を備える場合の例で説明する。
図2に示すように、投影光学ユニット5は、軸線O3に沿って千鳥配列された複数の第1列投影光学系5A(第1の投影光学系)と、複数の第2列投影光学系5B(第1の投影光学系)とを備える。
図5(a)に二点鎖線で示すように、第1列投影光学系5Aは、第1開口部3Aを透過する光の光像を被露光体6に投影できるように、第1開口部3Aの下方に配置されている。第2列投影光学系5Bは、第2開口部3Bを透過する光の光像を被露光体6に投影できるように、第2開口部3Bの下方に配置されている。
第1列投影光学系5A(第2列投影光学系5B)は、第1開口部3A(第2開口部3B)を透過する光による光像を正立等倍像として、被露光体6に投影する。このため、第1開口部3A(第2開口部3B)における単独開口領域rS、複合開口領域rCの光像も、それぞれに鉛直方向に対向する被露光体6上に投影される。
図示は省略するが、追加露光用照明光源8は、必要に応じて照明光を後述する追加露光用投影光学ユニット9の各投影光学系のみに入射させる適宜の遮光部材を備える。
図2に示すように、追加露光用投影光学ユニット9は、軸線O3に平行な軸線O9に沿って千鳥配列された複数の第1列投影光学系9Aと、複数の第2列投影光学系9Bと、を備える。
図6は、本発明の第1の実施形態の露光装置に用いられる補正用露光部の一例を示す模式的な部分断面図である。図7は、本発明の第1の実施形態の露光装置に用いられる光透過量規制部材の一例を示す模式的な平面図である。図8は、図7におけるB−B線に沿う透過率分布を示す模式的なグラフである。図8において横軸はB−B線に沿う位置、縦軸は透過率を表す。
レンズユニット9aは、物体像を像面に正立等倍像として結像する結像光学系を構成するレンズと、レンズを保持する鏡筒と、を備えて構成される。レンズユニット9aは、フォトマスク1のマスクパターンPとレジストが塗布された被露光体6の上面とを互いに共役な位置関係にする位置に配置される。本実施形態では、レンズユニット9aから被露光体6に向かう出射光は、平行光束になっている。
レンズユニット9aは、投影光学ユニット5における第1列投影光学系5Aと異なる構成が用いられてもよい。ただし、本実施形態では、第1列投影光学系5A、第2列投影光学系5Bと同様の構成が用いられている。
例えば、第1列投影光学系9Aのレンズユニット9aは、第1列投影光学系5Aと同様な構成が第1列投影光学系5AからY方向に距離δ1(図2参照)だけ平行移動した位置に配置されて構成されてもよい。同様に、第2列投影光学系9Bのレンズユニット9aは、第2列投影光学系5Bと同様な構成が第2列投影光学系5Bから、Y方向に距離δ1(図2参照)だけ平行移動した位置に配置されて構成されてもよい。
本実施形態では、図7に示すように、フィルタ9bは、第1減光部9d、第2減光部9e、および遮光部9fを備える。
第1減光部9dは、平面視にてフィルタ9bと重なる光量補正領域Mのうち、X方向負方向側(図示左側)の光量補正領域MLにおいて、X方向正方向側(図示右側)に片寄せされて配置されている。第1減光部9dのX方向における幅は、光量補正領域MLのX方向における幅の半分である。
第2減光部9eは、平面視にてフィルタ9bと重なる光量補正領域Mのうち、X方向正方向側の光量補正領域MRにおいて、X方向負方向側に片寄せされて配置されている。第2減光部9eのX方向における幅は、光量補正領域MRのX方向における幅の半分である。
このため、Y方向に見ると、第1列投影光学系9Aにおけるフィルタ9bの第1減光部9dと、第2列投影光学系9Bにおけるフィルタ9bの第2減光部9eとは、それぞれ、互いに重なり合うことなく、光量補正領域MのX方向における幅を隙間なく埋めるように配置されている。
同様に、Y方向に見ると、第1列投影光学系9Aにおけるフィルタ9bの第1減光部9eと、第2列投影光学系9Bにおけるフィルタ9bの第2減光部9dとは、それぞれ、互いに重なり合うことなく、光量補正領域MのX方向における幅を隙間なく埋めるように配置されている。
フィルタ9bにおいて、第1減光部9dおよび第2減光部9eを除く領域は、透過率0%の遮光部9fになっている。
図8の横軸における符号は、図7に記載されたB−B線上の同符号の点の位置を表す。点aは、B−B線におけるフィルタ9bのX方向負方向側の端点である。点bから点dまでの区間は、光量補正領域MLと重なる区間である。点eから点gまでの区間は、光量補正領域MRと重なる区間である。点hは、B−B線におけるフィルタ9bのX方向正方向側の端点である。
第1減光部9dは、点cから点dまでの間に配置されている。第2減光部9eは、点eから点fまでの間に配置されている。点aから点b、点dから点e、および点gから点hまでの各区間は遮光部9fが配置されている。
曲線201で示すように、第1減光部9dの透過率は、点cで100%以下の最大値TLであり、点dに向かって漸次減少し、点dで0%となる透過率分布を有する。第2減光部9eの透過率は、点eで0%であり、点fに向かって漸次増大し、点fで最大値TLとなる透過率分布を有する。
第1減光部9d、第2減光部9eにおける透過率の変化率は、後述するように光量補正領域Mにおける光量補正の必要に応じて、例えば、実験、シミュレーションなどに基づいて設定される。第1減光部9d、第2減光部9eにおける透過率の変化率は、一定(直線変化)でもよいし、適宜の関数に基づいて変化していてもよい。透過率の変化率は、単調でもよいし、非単調でもよい。さらに、透過率の変化は滑らかな変化には限定されない。例えば、透過率は、ステップ状に変化していてもよい。
フィルタホルダ9cは、レンズユニット9aに対して、下方から着脱可能に取り付けられている。フィルタホルダ9cの着脱手段は、フィルタ9bの第1減光部9dおよび第2減光部9eを平面視にて上述の光量補正領域Mの範囲と重なるように配置できれば、特に限定されない。例えば、レンズユニット9aに対して周方向に位置決め可能な適宜のマウント、ネジ嵌合などが用いられてもよい。本実施形態では、レンズユニット9aから出射される第2の露光光は、光軸に沿う平行光束であるため、光軸方向におけるフィルタ9bの位置合わせは、高精度に行われなくてもよい。
このため、図8に曲線201、および曲線202、203(二点鎖線参照)で示すように、Y方向に見ると、光量補正領域MLにX方向に重なる範囲において、第2列投影光学系9Bの第2減光部9eと第1列投影光学系9Aの第1減光部9dとで、点cでピーク透過率TLを有する山型(釣り鐘型)の透過率分布が形成される。同様に、Y方向に見ると、光量補正領域MRにX方向に重なる範囲において、第1列投影光学系9Aの第2減光部9eと第2列投影光学系9Bの第1減光部9dとで、点fでピーク透過率TLを有する山型(釣り鐘型)の透過率分布が形成される。
本実施形態の露光方法は、露光装置100を使用することによって好適に行われる。
本実施形態の露光方法は、視野絞り3を含む露光装置100を準備することと、第1の露光を行うことと、第2の露光を行うことと、第2の露光を行う際に、平面視において光量補正領域Mに限って第2の露光光を被露光体6に照射することと、を含む。
まず第1の露光に関する露光装置100の露光動作について説明する。第1の露光は、主照明光源2、視野絞り3、および投影光学ユニット5を用いて行われる。
図9は、本発明の第1の実施形態の露光方法における第1の露光について説明する模式図である。図10(a)、(b)は、第1の露光における実効的な露光量について説明する模式図である。
図1に示すように、主照明光源2が点灯されると、第1の露光光L1A、L1Bが視野絞り3に照射される。第1の露光光L1A、L1Bは、視野絞り3の各第1開口部3A、各第2開口部3B(図5参照)を透過し、フォトマスク1に照射される。
フォトマスク1における光透過部1aを透過した光のうち、第1開口部3Aを通過した光は第1列投影光学系5Aによって、第2開口部3Bを通過した光は第2列投影光学系5Bによって、それぞれ第1の露光光L11A、L11Bとして被露光体6に等倍投影される。
この結果、図9に示すように、被露光体6上には、第1開口部3Aの光像である第1の光像13Aと、第2開口部3Bの光像である第2の光像13Bとが結像される。第1の光像13Aおよび第2の光像13Bは、マスクパターンPなどの物体像に対応する輝度分布が形成される。ただし、図9では簡単のため輝度分布の図示は省略されている。
第1の光像13Aおよび第2の光像13Bは、第1開口部3Aおよび第2開口部3Bと同様、被露光体6上において、x座標軸に平行な軸線O13に沿って千鳥配列される。
ただし、第1開口部3Aおよび第2開口部3BはY方向においてΔだけずれている。このため、第1の光像13Aと第2の光像13Bとが同時に掃く領域は、x方向において距離(w1+w2)/2だけずれるとともに、y方向において距離Δだけずれている。
ベース7の移動速度をv(図1参照)とすると、第2の光像13Bは、T=Δ/vだけ遅れて、先行して第1の光像13Aが走査しているy方向の領域に到達する。
例えば、走査が開始された時刻t0とすると、第2の光像13Bは、時刻t0における第1の光像13Aのy方向の位置に、時刻t1=t0+Tにおいて到達する。このとき、第2の光像13Bは、時刻t0において結像された互いに隣り合う第1の光像13Aの間にちょうど嵌り込む。
すなわち、時刻t0では、第1の光像13Aが並ぶx方向の領域は、第1の光像13Aによって、飛び飛びに露光されるのみであるが、時刻t1においては、同領域の非露光部が、第2の光像13Bによって露光される。これにより、x方向に延びる領域は、時間差Tをあけて、隙間なく帯状に露光される。第1の光像13Aにおける等脚台形の脚と第2の光像13Bにおける等脚台形の脚とは、それぞれによる露光領域の継ぎ目の境界を構成している。
走査によって第1の光像13Aが掃く領域では、時刻t0以降の走査によって、フォトマスク1のマスクパターンPが被露光体6上に投影されていく。マスクパターンPの露光時間は、第1開口部3AにおけるY方向の開口幅hを速度vで割った時間である。第1開口部3Aの第1辺3aと第2辺3bとで挟まれた矩形状領域では、露光時間tfはh/vである。以下では、露光時間tfをフル露光時間という。
ところが、第1開口部3Aの第3辺3cおよび第4辺3dと、第2辺3bとで挟まれた三角形領域では、x方向における露光時間が0からフル露光時間の間で線形に変化する。
同様に、走査によって第2の光像13Bが掃く領域では、時間Tだけ遅れて、第1の光像13Aによるのと同様な露光が行われる。このため、第2の光像13Bが掃く領域は、フル露光時間tfで露光される領域と、フル露光時間tf未満で露光される領域とに分かれる。
フル露光時間tf未満で露光される領域は、第1の光像13Aおよび第2の光像13Bの継ぎ目に関わる露光領域である。
これに対して、単独露光領域ASの間の幅(w1+w2)/2の領域は、第1の光像13Aおよび第2の光像13Bによって、フル露光時間tf未満で露光される複合露光領域ACを構成する。
複合露光領域ACにおけるx方向の各位置における露光時間は、第1の光像13Aと第2の光像13Bとの露光割合が異なるだけで、合計の露光時間はいずれも等しい。
このため、単独露光領域ASにおける露光量と、複合露光領域ACにおける露光量とは、第1の光像13Aおよび第2の光像13Bにおける照明光強度が同じであれば、互いに等しくなる。
複合露光領域ACは、一定幅でy方向に延び、かつx方向に等ピッチで形成されるため、線幅の変化が露光パターンにおける帯状の濃度むらとして視認されやすくなっている。例えば、露光装置100によってBM形成用のフォトマスクを形成すると、サブ画素の開口の大きさのむらになるため、規則的な色むらが視認されやすい液晶装置が形成されてしまうおそれがある。
レジストは、露光されると光化学反応が進行する結果、現像液によって除去可能になる。ところが、レジストの光化学反応は、反応の立ち上がりにはある程度時間を要する。一方、露光が中断されると急速に反応が停止し、始まった光反応がリセットされてしまう。この結果、連続露光よりも断続的な露光の方が、実効的な露光時間が短くなるため、露光量が低下したのと同様な効果が生じると考えられる。
このため、被露光体6上の複合露光領域ACにおいてレジストの正味の感光に用いられる実効的な露光量は、同じ光量であれば、第1の光像13Aと第2の光像13Bとによる露光時間の比率で決まると考えられる。
例えば、点p1で示す位置は、単独露光領域AS1との境界位置であるため、第1の光像13Aによる露光時間が100%、第2の光像13Bによる露光時間が0%である。各点における露光時間の比率(%)を、pn[tA,tB]のように表すと、例えば、p1[100,0]、p2[90,10]、p3[80,20]、p4[70,30]、p5[60,40]、p6[50,50]、p7[40,60]、p8[30,70]、p9[20,80]、p10[20,80]、p11[0,100]である。以下では、これらの点pnのx方向における位置座標をxnで表す(ただし、n=1,…,11)。
このとき、線幅などに影響する実効的な露光量(以下、単に露光量と称する場合がある)は、図10(b)に示すように、複合露光領域ACでは、下に凸の略V字状のグラフで示される。位置x1、x11における露光量q1、q11は、それぞれ単独露光領域ASにおける露光量q0に等しい。例えば、位置x6における露光量q6は、露光量q0よりも低く、複合露光領域ACにおける露光量の最小値である。位置x1、x11の近傍および位置x6の近傍における露光量の変化率は滑らかに変化している。このグラフは、位置x6を通る縦軸に関して左右対称である。
このように、複合露光領域ACにおける露光量は、x方向の位置座標を独立変数とする連続関数で表されるが、簡易的には、階段状の変化で近似されてもよい。
例えば、区間Anを位置x2n−1と位置x2n+1との間として、区間Anの平均露光量によって、区間An内の各露光量が近似されてもよい。
図11は、本発明の第1の実施形態の露光方法における第2の露光について説明する模式図である。図12は、第2の露光における積算光量について説明する模式的なグラフである。図12において、横軸は位置、縦軸は第2の露光における積算光量を表す。図13は、第1の露光および第2の露光による実効的な全露光量について説明する模式的なグラフである。図13において、横軸は位置、縦軸は実効的な全露光量を表す。
図1に示すように、追加露光用照明光源8が点灯されると、第2の露光光L2A、L2Bが、フォトマスク1に照射される。
フォトマスク1における光透過部1aを透過した光のうち、第1列投影光学系9Aに入射した光は第1列投影光学系9Aによって、第2列投影光学系9Bに入射した光は第2列投影光学系9Bによって、それぞれ第2の露光光L12A、L12Bとして、被露光体6に等倍投影される。
この結果、Y方向において、被露光体6上の光量補正領域M上を、第1減光部9d、第2減光部9eを透過した第2の露光光L12A、L12Bが走査する。
このため、図11に示すように、光量補正領域MLには、第1列投影光学系9Aにおける第1減光部9dの透過光の光像である第1の補正用光像19dAと、第2列投影光学系9Bにおける第2減光部9eの透過光の光像である第2の補正用光像19eBと、が結像される。同様に、光量補正領域MRには、第1列投影光学系9Aにおける第2減光部9eの透過光の光像である第3の補正用光像19eAと、第2列投影光学系9Bにおける第1減光部9dの透過光の光像である第4の補正用光像19dBと、が結像される。
第1の補正用光像19dA、第2の補正用光像19eB、第3の補正用光像19eA、および第4の補正用光像19dB(以下、総称する場合に、各補正用光像と称する場合がある)は、マスクパターンPなどの物体像に対応する輝度分布が形成される。ただし、図11では簡単のため輝度分布の図示は省略されている。
曲線211に示す山形の積算光量分布は、図12に曲線212(二点鎖線参照)で示す第1の露光における実効的な露光量の光量補正領域Mにおける低下量を補正可能な分布になっている。
このため、第1の露光および第2の露光が行われた後の被露光体6上における実効的な全露光量は、図13に曲線213で示すように、X方向(横軸方向)の位置によらず略一定となる。
なお、図13は模式図のため、曲線213は、単純化されて横軸に平行な直線で描かれているが、実効的な露光量の許容範囲内であれば、横軸の位置によって縦軸方向に変動する曲線になっていてもよい。
本発明の第2の実施形態の露光装置について説明する。
図14(a)は、本発明の第2の実施形態の露光装置の主要部の一例を示す模式的な平面図である。図14(b)は、図14(a)におけるD−D断面図である。図15は、本発明の第2の実施形態の露光装置に用いられる光透過量規制部材の一例を示す模式的な平面図である。図16は、図15におけるE−E線に沿う透過率分布を示す模式的なグラフである。図16において横軸はE−E線に沿う位置、縦軸は透過率を表す。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図14(a)に示すように、追加露光用投影光学ユニット19は、軸線O3に平行な軸線O19に沿って配列された複数の投影光学系19A(第2の投影光学系)を備える。
図14(a)に示すように、投影光学系19Aは、上記第1の実施形態における第1列投影光学系5Aのフィルタ9bに代えて、フィルタ19b(光透過量規制部材、光減衰フィルタ)を備える。
投影光学系19Aは、上記第1の実施形態における第1列投影光学系9Aと同様、第1列投影光学系5AからY方向に距離δ1だけ平行移動した位置に配置されて構成されている。
本実施形態では、図15に示すように、フィルタ19bは、第1減光部19d、第2減光部19e、および遮光部19fを備える。
第1減光部19dは、平面視にてX方向における光量補正領域MLの全幅に重なる矩形の範囲に形成されている。
第2減光部19eは、平面視にてX方向における光量補正領域MRの全幅に重なる矩形の範囲に形成されている。
第1減光部19d、第2減光部19eのY方向の長さは、フィルタ19bの範囲内であれば特に限定されない。
フィルタ19bにおいて、第1減光部19dおよび第2減光部19eを除く領域は、透過率0%の遮光部19fになっている。
図16の横軸における符号は、図15に記載されたE−E線上の同符号の点の位置を表す。点iは、E−E線におけるフィルタ19bのX方向負方向側の端点である。点jから点kまでの区間は、光量補正領域MLと重なる区間である。点mから点nまでの区間は、光量補正領域MRと重なる区間である。点pは、E−E線におけるフィルタ19bのX方向正方向側の端点である。
第1減光部19dは、点jから点kまでの間に配置されている。第2減光部19eは、点mから点nまでの間に配置されている。点iから点b、点dから点e、および点gから点hまでの各区間は遮光部19fが配置されている。
図16に曲線221で示すように、第1減光部19dの透過率は、点cで100%以下の最大値TLであり、点dに向かって漸次減少し、点dで0%となる山型(釣り鐘型)の透過率分布を有する。第2減光部19eの透過率は、点eで0%であり、点fに向かって漸次増大し、点fで最大値TLとなる山型(釣り鐘型)の透過率分布を有する。
具体的には、曲線221は、上記第1の実施形態における図8で説明した曲線202と曲線201(曲線201と曲線203)で表されるのと同様の山型の透過率分布になっている。
すなわち、追加露光用照明光源18および追加露光用投影光学ユニット19を備える露光装置101によれば、上記第1の実施形態と同様な露光方法を行うことができる。
このため、本実施形態の露光装置101によれば、上記第1の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、追加露光用投影光学ユニット19におけるレンズユニット9a、フィルタ19b、およびフィルタホルダ9cの個数が、第1の実施形態における追加露光用投影光学ユニット9のレンズユニット9a、フィルタ9b、およびフィルタホルダ9cの個数が略半減される。同様に、追加露光用照明光源18における光照射範囲も追加露光用照明光源8に比べて略半減する。このため、露光装置101では、露光装置100に比べて部品コスト低減および小型化が可能になる。
本発明の第3の実施形態の露光装置について説明する。
図17(a)は、本発明の第3の実施形態の露光装置の一例を示す模式的な正面図である。図17(b)は、図17(a)におけるF視の平面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1光源部28Aは、主照明光源2のY方向負方向側(図示左側)主照明光源2と隣り合って配置されている。第2光源部28Bは、主照明光源2のY方向正方向側(図示右側)に主照明光源2と隣り合って配置されている。
第1光学ユニット29Aは、上記第1の実施形態と同様の複数の第1列投影光学系9A(第2の投影光学系)を備える。第1光学ユニット29Aは、投影光学ユニット5のY方向負方向側に投影光学ユニット5と隣り合って配置されている。
第2光学ユニット29Bは、上記第1の実施形態と同様の複数の第2列投影光学系9B(第2の投影光学系)を備える。第2光学ユニット29Bは、投影光学ユニット5のY方向正方向側に投影光学ユニット5と隣り合って配置されている。
第1光学ユニット29Aにおける各第1列投影光学系9Aは、軸線O3に平行な直線に沿って配列されている。各第1列投影光学系9Aと各第1列投影光学系5Aとの距離はδ2であってもよい。第2光学ユニット29Bにおける各第2列投影光学系9Bは、軸線O3に平行な直線に沿って配列されている。各第2列投影光学系9Bと各第2列投影光学系5Bとの距離はδ2であってもよい。
本実施形態における主照明光源2は、Y方向において第1光源部28Aと第2光源部28Bとの間に挟まれて配置されている。
第1光学ユニット29Aおよび第2光学ユニット29Bは、上記第1の実施形態における追加露光用投影光学ユニット9がY方向に2分割されたのと同様の構成を有する。
本実施形態における投影光学ユニット5は、Y方向において第1光学ユニット29Aと第2光学ユニット29Bとの間に挟まれて配置されている。
ただし、各第1列投影光学系9Aと各第1列投影光学系5AとのX方向における位置関係、および各第2列投影光学系9Bと各第2列投影光学系5BとのX方向における位置関係は、上記第1の実施形態と同様である。
このため、本実施形態の露光装置102によれば、上記第1の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、Y方向において、第1列投影光学系5Aと第1列投影光学系9Aとが隣り合い、第2列投影光学系5Bと第2列投影光学系9Bとが隣り合うように配置される。このため、それぞれの間の離間距離δ2は、上記第1の実施形態における離間距離δ1よりも短縮することが可能になる。
これにより、第1の露光と第2の露光との間の時間差をより短縮できるため、より少ない露光量でも、良好な補正が可能となる。
本発明の第4の実施形態の露光装置について説明する。
図18(a)は、本発明の第4の実施形態の露光装置の一例を示す模式的な正面図である。図18(b)は、図18(a)におけるF視の平面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1光源部32Aは、追加露光用投影光学ユニット9のY方向負方向側に追加露光用投影光学ユニット9と隣り合って配置されている。第2光源部32Bは、追加露光用投影光学ユニット9のY方向正方向側に追加露光用投影光学ユニット9と隣り合って配置されている。
視野絞り33Aは、上記第1の実施形態における視野絞り3の複数の第1開口部3Aの配列を含む。視野絞り33Aは、第1の露光光L1Aを透過させるために、第1光源部32Aの下方に配置される。
視野絞り33Bは、上記第1の実施形態における視野絞り3の複数の第2開口部3Bの配列を含む。視野絞り33Bは、第1の露光光L1Bを透過させるために、第1光源部32Bの下方に配置される。
第1光学ユニット35Aは、上記第1の実施形態と同様の複数の第1列投影光学系5A(第1の投影光学系)を備える。第1光学ユニット35Aは、追加露光用投影光学ユニット9のY方向負方向側に追加露光用投影光学ユニット9と隣り合って配置されている。
第2光学ユニット35Bは、上記第1の実施形態と同様の複数の第2列投影光学系5B(第1の投影光学系)を備える。第2光学ユニット35Bは、追加露光用投影光学ユニット9のY方向正方向側に追加露光用投影光学ユニット9と隣り合って配置されている。
第1光学ユニット35Aにおける各第1列投影光学系5Aは、軸線O9に平行な直線に沿って配列されている。各第1列投影光学系5Aと各第1列投影光学系9Aとの距離はδ2であってもよい。第2光学ユニット35Bにおける各第2列投影光学系5Bは、軸線O9に平行な直線に沿って配列されている。各第2列投影光学系5Bと各第2列投影光学系9Bとの距離はδ2であってもよい。
本実施形態の追加露光用照明光源8は、第1光源部32Aおよび第2光源部32Bの間に挟まれて配置されている。
第1光学ユニット35Aおよび第2光学ユニット35Bは、上記第1の実施形態における投影光学ユニット5がY方向に2分割されたのと同様の構成を有する。
本実施形態の追加露光用投影光学ユニット9は、第1光学ユニット35Aと第2光学ユニット35Bとの間に挟まれて配置されている。
ただし、各第1列投影光学系9Aと各第1列投影光学系5AとのX方向における位置関係、および各第2列投影光学系9Bと各第2列投影光学系5BとのX方向における位置関係は、上記第1の実施形態と同様である。
このため、本実施形態の露光装置103によれば、上記第1の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、Y方向において、第1列投影光学系5Aと第1列投影光学系9Aとが隣り合い、第2列投影光学系5Bと第2列投影光学系9Bとが隣り合うように配置される。このため、それぞれの間の離間距離δ2は、上記第1の実施形態における離間距離δ1よりも短縮することが可能になる。
このため、第1の露光と第2の露光との間の時間差をより短縮できるため、より少ない露光量でも、良好な補正が可能となる。
本発明の第5の実施形態の露光装置について説明する。
図19、20は、本発明の第5の実施形態の露光装置に用いる光透過量規制部材の一例を示す模式的な平面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1列投影光学系49A(第2列投影光学系49B)は、第1列投影光学系9A(第2列投影光学系9B)のフィルタ9bに代えて、アパーチャ49a(光透過量規制部材、開口絞り)を備える。
アパーチャ49aは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2A(L2B)を、被露光体6上における光量補正領域Mに限って照射する第2の露光光L12A(L12B)に変換する。
本実施形態では、図19に示すように、アパーチャ49aは、遮光性を有する金属板に第1開口部49bおよび第2開口部49cが貫通されて構成される。
第1開口部49bは、Y方向に延びる上底辺S1と、上底辺S1よりも短い下底辺S2と、上底辺S1および下底辺S2を結ぶ脚S3、S4に囲まれた等脚台形状に開口している。上底辺S1はX方向正方向側、下底辺S2はX方向不方向側に配置されている。第1開口部49bのX方向における幅および配置位置は、上記第1の実施形態における第1減光部9dと同様である。
このような構成により、第1開口部49bは、Y方向における開口幅が、X方向正方向側からX方向負方向側に向かって漸次増大している。このため、第1開口部49bは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2A(L2B)のX方向における光量分布が光量補正領域MLのX方向における端部から中心部に向かって増大するように、第2の露光光L2A(L2B)の透過光量を規制している。
このような構成により、第2開口部49cは、Y方向における開口幅が、X方向負方向側からX方向正方向側に向かって漸次増大している。このため、第2開口部49cは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2A(L2B)のX方向における光量分布が光量補正領域MRのX方向における端部から中心部に向かって増大するように、第2の露光光L2A(L2B)の透過光量を規制している。
このため、露光装置104によれば、光透過量規制部材が、アパーチャ49aで構成された以外は、上記第1の実施形態の露光装置100と同様の構成を有するため、上記第1の実施形態と同様の露光方法が行われる。
本実施形態の露光装置104によれば、上記第1の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、第1減光部9d、第2減光部9eを有するフィルタ9bに比べると、安価に製造できるアパーチャ49aが用いられるため、さらなる低コスト化が可能である。
さらに、アパーチャ49aは、開口形状を変更することで、積算光量の大きさおよびX方向における光量分布を容易に変更することができる。
例えば、露光装置104において、アパーチャ49aに代えて、図20に示すアパーチャ49d(光透過量規制部材、開口絞り)が用いられてもよい。
アパーチャ49dは、アパーチャ49aの第1開口部49b、第2開口部49cに代えて、それぞれ、第1開口部49e、第2開口部49hを備える。
第1開口部49eは、Y方向に延びる直線部49gと、直線部49gの両端部からX方向正方向側に張り出した弧状部49fによって囲まれたY方向に細長い半月状の開口している。
このような構成により、第1開口部49eは、Y方向における開口幅が、X方向正方向側からX方向負方向側に向かって漸次増大している。
第2開口部49hは、第1開口部49eをX方向に反転したY方向に細長い半月状の開口している。
このような構成により、第2開口部49hは、Y方向における開口幅が、X方向負方向側からX方向正方向側に向かって漸次増大している。
第1開口部49e、49hは、曲線を含む形状で構成される開口形状を有する例になっている。
本発明の第6の実施形態の露光装置について説明する。
図21、22は、本発明の第6の実施形態の露光装置に用いる光透過量規制部材の一例を示す模式的な平面図である。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図14(b)に示すように、投影光学系59Aは、上記第2の実施形態におけるフィルタ19bに代えて、アパーチャ59a(光透過量規制部材、開口絞り)を備える。
アパーチャ59aは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2Aを、被露光体6上における光量補正領域Mに限って照射する第2の露光光L22Aに変換する。
本実施形態では、図21に示すように、アパーチャ59aは、遮光性を有する金属板に第1開口部59bおよび第2開口部59cが貫通されて構成される。
第1開口部59bは、X方向において光量補正領域MLと同じ幅を有し、Y方向に細長い六角形状に開口している。例えば、第1開口部59bは、上記第5の実施形態における第1開口部49bの下底辺S2と、第2開口部49cの下底辺S2とを一致させて形成される六角形形状に形成されている。第1開口部59bのX方向における配置位置は、上記第2の実施形態における第1減光部19dと同様である。
このような構成により、第1開口部59bは、Y方向における開口幅が、X方向の両端部から中心部に漸次増大している。このため、第1開口部59bは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2AのX方向における光量分布が光量補正領域MLのX方向における両端部から中心部に向かって増大するように、第2の露光光L2Aの透過光量を規制している。
このような構成により、第2開口部59cは、レンズユニット9aを透過した第2の露光光L2AのX方向における光量分布が光量補正領域MRのX方向における両端部から中心部に向かって増大するように、第2の露光光L2Aの透過光量を規制している。
このため、露光装置105によれば、光透過量規制部材が、アパーチャ59aで構成された以外は、上記第2の実施形態の露光装置101と同様の構成を有するため、上記第2の実施形態と同様の露光方法が行われる。
本実施形態の露光装置105によれば、上記第2の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、第1減光部19d、第2減光部19eを有するフィルタ19bに比べると、安価に製造できるアパーチャ59aが用いられるため、さらなる低コスト化が可能である。
さらに、アパーチャ59aは、開口形状を変更することで、積算光量の大きさおよびX方向における光量分布を容易に変更することができる。
例えば、露光装置105において、アパーチャ59aに代えて、図21に示すアパーチャ59d(光透過量規制部材、開口絞り)が用いられてもよい。
アパーチャ59dは、アパーチャ59aの第1開口部59b、第2開口部59cに代えて、それぞれ、第1開口部59e、第2開口部59fを備える。
第1開口部59eは、Y方向に細長い楕円状に開口している。このような構成により、第1開口部59eは、Y方向における開口幅が、X方向の両端部から中心部に向かって漸次増大している。
第2開口部59fは、第1開口部59eと同形状に開口している。
第1開口部59e、第2開口部59fは、曲線で構成される開口形状を有する例になっている。
本発明の第7の実施形態の露光装置について説明する。
図23(a)、(b)、(c)は、本発明の第7の実施形態の露光装置に用いる光透過量規制部材の主要部の一例を示す模式的な平面図である。
以下、上記第6の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図14(b)に主要部の構成を示すように、投影光学系69Aは、上記第6の実施形態におけるアパーチャ59aに代えて、開口可変アパーチャ69a(光透過量規制部材、開口絞り)を備える。
開口可変アパーチャ69aは、上記第6の実施形態におけるアパーチャ59aの第1開口部59b、第2開口部59cに代えて、それぞれと同様の位置に開口形状が可変の開口部60aを有する(図23(a)参照)。
図23(a)に示すように、開口可変アパーチャ69aの開口部60aは、Y方向において互いに対向する2つの第1シャッター61と、X方向において互いに対向する2つの第2シャッター62とを備える。
第1シャッター61は、Y方向に独立して進退可能な複数の移動片61aがX方向に配列されて構成される。各移動片61aの各先端61bの全体は、Y方向における開口部60aの内縁を構成する。Y方向における開口部60aの内縁(以下、第1内縁と称する)の位置および形状は、各移動片61aの進退位置によって変化する。図23(a)に示す例では、第1内縁の形状は、X方向幅の中心部が最も凹んだV字状になっている。
第2シャッター62は、Y方向に延びる先端62aを有しX方向に進退可能な板状部材を備える。第2シャッター62の各先端62aは、X方向における開口部60aの内縁(以下、第2内縁と称する)を構成する。X方向における開口部60aの第2内縁の位置は、各第2シャッター62の各先端62aの進退位置によって変化する。図23(a)に示す例では、各第2内縁の間の離間距離は、光量補正領域Mの幅に等しい。
図23(a)に示す例では、平面視における開口部60aの形状は、上記第6の実施形態と略同様の六角形状である。
このため、露光装置106によれば、光透過量規制部材が、開口可変アパーチャ69aで構成された以外は、上記第2の実施形態の露光装置101と同様の構成を有するため、上記第2の実施形態と同様の露光方法が行われる。
本実施形態の露光装置106によれば、上記第2の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、開口可変アパーチャ69aの開口部60aの形状および大きさが変更できるため、視野絞り3の第1開口部3Aおよび第2開口部3Bの形状およびY方向における配置が変わっても、第2の露光が適正に行われる。このため、視野絞り3が変更された場合にも開口可変アパーチャ69aを交換しなくてもよいので、露光装置106の稼働効率が向上する。
さらに、開口部60aの形状を微調整することによって、第2の露光の露光量の最適化を図ることができるため、露光むらをさらに低減することが可能になる。
開口可変アパーチャ69bは、開口可変アパーチャ69aの開口部60aに代えて開口部60bを有する。開口可変アパーチャ69bは、開口可変アパーチャ69aの第1シャッター61の1つが第3シャッター63に置換されて構成される。
第3シャッター63は、X方向に延びる先端63aを有しY方向に進退可能な板状部材を備える。第3シャッター63の先端63aは、第1シャッター61の先端61bによる第1内縁に対向する開口部60bの内縁(以下、第3内縁と称する)を構成する。Y方向における開口部60bの第3内縁の位置は、第3シャッターの先端63aの進退位置によって変化する。第3シャッター63は、第2シャッター62と同様の図示略の駆動部を備える。
図23(b)に示す例では、平面視における開口部60bの形状は、略五角形状である。このような開口部60bは、Y方向における開口幅が、X方向の両端部から中心部に向かって漸次増大している。
このような構成により、開口可変アパーチャ69bは、上記第6の実施形態と略同様の光透過量規制部材として機能する。
開口可変アパーチャ69cは、開口可変アパーチャ69aの開口部60aに代えて開口部60cを有する。開口可変アパーチャ69cは、開口可変アパーチャ69aの第1シャッター61の1つが第4シャッター64に置換されて構成される。
第4シャッター64は、Y方向に凹んだV字状の先端切り欠き64aを有しY方向に進退可能な板状部材を備える。先端切り欠き64aは、図示略の光量補正領域MのX方向の中心軸線に関して対称な形状を有する。
第4シャッター64の先端切り欠き64aは、第1シャッター61の先端61bによる第1内縁に対向する開口部60cの内縁(以下、第4内縁と称する)を構成する。Y方向における開口部60cの第4内縁の位置は、第4シャッターの先端切り欠き64aの進退位置によって変化する。第4シャッター64は、第2シャッター62と同様の図示略の駆動部を備える。
図23(c)に示す例では、平面視における開口部60cの形状は、略六角形状である。このような開口部60cは、Y方向における開口幅が、X方向の両端部から中心部に向かって漸次増大している。ただし、第1シャッター61の各移動片61aの移動位置によっては、平面視における開口部60cの形状は略六角形以外の形状に変化する。
このような構成により、開口可変アパーチャ69cは、上記第6の実施形態と略同様の光透過量規制部材として機能する。
本発明の第8の実施形態の露光装置について説明する。
図24(a)は、本発明の第8の実施形態の露光装置に用いる光透過量規制部材の一例を示す模式的な部分断面図である。図24(b)は、図24(a)におけるH視の拡大図である。
以下、上記第6の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図24(a)、(b)に主要部の構成を示すように、投影光学系79Aは、上記第6の実施形態におけるアパーチャ59aに代えて、遮蔽板80、液晶シャッターパネル79a(光透過量規制部材、液晶シャッター)を備える。
遮蔽板80は、レンズユニット9aの下方においてレンズユニット9aと対向するようにフィルタホルダ9cに固定されている。
図24(a)に示すように、液晶シャッターパネル79aは、液晶シャッター部79dの各画素の濃度を切り替える液晶シャッターコントローラ79eが電気的に接続されている。例えば、図24(a)には、液晶シャッターコントローラ79eによって、上記第6の実施形態における第1開口部59b、第2開口部59cと同様な六角形状の光透過部79bと、光透過部79bを囲む光遮蔽部79cとが形成された状態が図示されている。
液晶シャッターコントローラ79eは、液晶シャッター部79dの各画素を独立してオンオフすることによって、光透過部79bおよび光遮蔽部79cのパターンを変更することができる。
このため、投影光学系79Aによれば、第2の露光光L2Aを、開口部80a、80bの範囲内で平面視において、六角形を含む適宜の形状に整形された第2の露光光L22Aに変換して、図示略の被露光体6を露光することができる。
このため、露光装置107によれば、光透過量規制部材が、液晶シャッターパネル79aで構成された以外は、上記第2の実施形態の露光装置101と同様の構成を有するため、上記第2の実施形態と同様の露光方法が行われる。
本実施形態の露光装置107によれば、上記第2の実施形態と同様にして、千鳥配列された複数の投影光学系(第1の投影光学系)を用いる場合に、露光領域の継ぎ目に起因する露光むらが低減される。
さらに、本実施形態によれば、液晶シャッターパネル79aの光透過部79bの形状および大きさが変更できるため、視野絞り3の第1開口部3Aおよび第2開口部3Bの形状およびY方向における配置が変わっても、第2の露光が適正に行われる。このため、視野絞り3が変更された場合にも液晶シャッターパネル79aを交換しなくてもよいので、露光装置107の稼働効率が向上する。
さらに、光透過部79bの形状を微調整することによって、第2の露光の露光量の最適化を図ることができるため、露光むらをさらに低減することが可能になる。
しかし、液晶駆動によって、透過率分布を制御できる場合には、上記第1および第2の実施形態におけるフィルタに対応する透過率分布を有する光学的な開口が形成されてもよい。液晶駆動によって、透過率分布を制御する方法としては、液晶の透過率の多値制御、面積階調法による透過率制御などが上げられる。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
2、32 主照明光源(第1の光源)
3、4、33A、33B 視野絞り(絞り部材)
3A、4A 第1開口部(開口部)
3B、4B 第2開口部(開口部)
5、35 投影光学ユニット
5A 第1列投影光学系(第1の投影光学系)
5B 第2列投影光学系(第1の投影光学系)
6 被露光体(露光対象物)
7 ベース
8、18、28 追加露光用照明光源(第2の光源)
9、19、29、49、59、69、79 追加露光用投影光学ユニット(補正露光部)
9A、49A 第1列投影光学系
9B、49B 第2列投影光学系
9a レンズユニット(第2の投影光学系)
9b、19b フィルタ(光透過量規制部材、光減衰フィルタ)
9d、19d 第1減光部
9e、19e 第2減光部
13A 第1の光像
13B 第2の光像
19A、59A、69A、79A 投影光学系
19dA 第1の補正用光像
19dB 第2の補正用光像
19eA 第3の補正用光像
19eB 第4の補正用光像
49a、49d、59a、59d アパーチャ(光透過量規制部材、開口絞り)
69a、69b、69c 開口可変アパーチャ(光透過量規制部材、開口絞り)
79a 液晶シャッターパネル(光透過量規制部材、液晶シャッター)
100、101、102、103、104、105、106、107 露光装置
AC 複合露光領域
AS、AS1、AS2 単独露光領域
L1A、L1B、L11A、L11B 第1の露光光
L2A、L2B、L12A、L12B、L22A 第2の露光光
M、ML、MR 光量補正領域
M 述するように光量補正領域
O3、O4 軸線(第2の軸線)
O5 軸線(第1の軸線)
O9、O13、O19 軸線
P マスクパターン
rC 複合開口領域
rS 単独開口領域
Claims (8)
- 第1の露光光を発生する第1の光源と、
平面視において第1の軸線に沿う第1の方向の開口量が前記第1の軸線に交差する第2の軸線に沿う第2の方向において一定となるように、前記第1の軸線を中心として千鳥配列された複数の開口部が形成され、前記第1の方向において前記複数の開口部のうちの2つが間をあけて隣り合う複合開口領域と、前記第1の方向において前記複数の開口部のうちの1つが開口する単独開口領域と、が前記第2の方向において交互に形成されており、前記第1の光源と露光用フォトマスクとの間に前記複数の開口部が位置するように配置された絞り部材と、
前記絞り部材の前記複数の開口部のそれぞれと対向して配置され、前記複数の開口部のそれぞれを透過した前記第1の露光光による光像を、それぞれ露光対象物に投影する複数の第1の投影光学系と、
前記第1の光源に対して前記第1の方向に隣り合うように配置され、前記露光用フォトマスクに照射する第2の露光光を発生する第2の光源と、
前記露光用フォトマスクから前記露光対象物までの間の前記第2の露光光の光路上に配置され、前記露光用フォトマスクを透過した前記第2の露光光の前記露光対象物への照射範囲を、平面視において前記第2の方向における前記複合開口領域の幅が前記第1の方向に延長された領域である光量補正領域に限って、前記第2の露光光を照射する補正露光部と、
を備える、露光装置。 - 前記補正露光部は、
前記光量補正領域における前記第2の露光光の前記第1の方向における積算光量を、前記第2の方向における前記光量補正領域の両端部よりも中心部が高くなるように前記第2の露光光を照射する、
請求項1に記載の露光装置。 - 前記補正露光部は、
前記第2の露光光を前記露光対象物に向けて投影する第2の投影光学系と、
前記露光用フォトマスクと前記露光対象物との間で、前記第2の露光光を前記光量補正領域の範囲に規制する光透過量規制部材と、
を備える、
請求項1または2に記載の露光装置。 - 前記光透過量規制部材は、
前記第2の投影光学系と前記露光対象物との間に配置された、
請求項3に記載の露光装置。 - 前記光透過量規制部材は、光減衰フィルタを含む、
請求項3または4に記載の露光装置。 - 前記光透過量規制部材は、開口絞りを含む、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の露光装置。 - 前記光透過量規制部材は、液晶シャッターを含む、
請求項3〜6のいずれか1項に記載の露光装置。 - 平面視において第1の軸線に沿う第1の方向の開口量が前記第1の軸線に交差する第2の軸線に沿う第2の方向において一定となるように、前記第1の軸線を中心として千鳥配列された複数の開口部が形成され、前記第1の方向において前記複数の開口部のうちの2つが間をあけて隣り合う複合開口領域と、前記第1の方向において前記複数の開口部のうちの1つが開口する単独開口領域と、前記第2の方向において交互に形成された絞り部材を準備することと、
前記絞り部材の前記複数の開口部を透過する第1の露光光を、露光用フォトマスクおよび露光対象物に対して前記第1の方向に相対走査することによって、前記第1の露光光による前記露光用フォトマスクの光像を前記露光対象物に投影する第1の露光を行うことと、
前記第1の露光の前または後に、第2の露光光を、前記露光用フォトマスクに照射し、前記露光用フォトマスクを透過した前記第2の露光光を前記露光用フォトマスクおよび前記露光対象物に対して前記第1の方向に相対走査することによって、前記第2の露光光による前記露光用フォトマスクの光像を前記露光対象物に投影する第2の露光を行うことと、
前記第2の露光を行う際に、平面視において前記第2の方向における前記複合開口領域の幅が前記第1の方向に延長された領域である光量補正領域に限って前記第2の露光光を前記露光対象物に照射することと、
を含む、露光方法。
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