JP2019027578A - タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】タンクバンド部またはラベル部の平滑性の低下を抑制しつつ、カーボン繊維の巻終端の固定に伴う繊維層の損傷を抑制する。【解決手段】タンクであって、タンクの基材であるライナと、ライナの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したカーボン繊維からなる補強層と、補強層の外周面のうち、カーボン繊維の巻き付け終端部に配置されたフィルムと、補強層およびフィルムの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したガラス繊維からなる保護層と、を備え、カーボン繊維の巻き付け終端部およびフィルムは、保護層の外表面のうち、タンクを保持するタンクバンドと接するタンクバンド部と、タンクの製造情報を表示するためのラベルが配置されるラベル部と、のうち、いずれかの位置に配置される、タンク。【選択図】図2

Description

本発明は、タンクに関する。
高圧流体用のタンクとして、タンクの基材であるライナと、ライナの外周面に形成されている繊維強化樹脂層と、を備える構成が知られている。繊維強化樹脂層は、ライナの外周に、予め熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を幾重にも巻き付けて形成されている。特許文献1には、ライナの外周に巻き付けた強化繊維の巻終端(末端)を繊維層の表面に押しつけるとともにヒーターで加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させて強化繊維の巻終端を固定する技術が開示されている。
特開2013−063584号公報
熱硬化性樹脂は、加熱後熱硬化する前に、一旦、粘度が低下して、流動性が高くなる。このため、繊維層における内層側の流動性が高くなった熱硬化性樹脂が、強化繊維に加えられた張力によって外層側に染み出す。このとき、ライナに強化繊維を巻き付ける際に内包された気体(ガス)が表面に向かって移動して、繊維層の表面に凹凸が生じる。特許文献1に記載の技術では、強化繊維の巻終端を局所的に加熱するため、巻終端部分において凸部が形成されて繊維層の表面の平滑性が損なわれるとともに、繰り返し生じる振動で凸部が割れて繊維層が損傷するおそれがある。
ここで、繊維層の外表面のうち、タンクを保持するタンクバンドと接する部分(以下、「タンクバンド部」と呼ぶ)は、タンクを強固に固定するために、繊維層の表面の平滑性が求められる。また、タンクの製造情報等が記載されたラベルが配置される部分(以下、「ラベル部」と呼ぶ)は、タンクの外からのラベルの視認性の低下を抑制するために、繊維層の表面の平滑性が求められる。このような問題は、紫外線硬化性樹脂を含浸させた強化繊維を用いるタンクにおいても共通する。また、高圧流体用のタンクに限らず、他の任意の用途で用いられるタンクにおいても共通する。そこで、タンクバンド部またはラベル部の平滑性の低下を抑制しつつ、カーボン繊維の巻終端の固定に伴う繊維層の損傷を抑制可能な技術が望まれている。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一実施形態によれば、タンクが提供される。このタンクは、前記タンクの基材であるライナと;前記ライナの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したカーボン繊維からなる補強層と;前記補強層の外周面のうち、前記カーボン繊維の巻き付け終端部に配置されたフィルムと;前記補強層および前記フィルムの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したガラス繊維からなる保護層と;を備え;前記カーボン繊維の巻き付け終端部および前記フィルムは、前記保護層の外表面のうち、前記タンクを保持するタンクバンドと接するタンクバンド部と、前記タンクの製造情報を表示するためのラベルが配置されるラベル部と、のうち、いずれかの位置に配置される。
この形態のタンクによれば、カーボン繊維の巻き付け終端部およびフィルムは、保護層の外表面のうち、タンクバンド部と、ラベル部と、のうち、いずれかの位置に配置されるので、ライナの外周面に巻き付けられたカーボン繊維の巻き付け終端部をフィルムにより補強層の外表面に固定することができる。したがって、カーボン繊維の巻き付け終端部を局所的に加熱して固定する構成に比べて、巻き付け終端部の外表面に凸部が形成されることを抑制でき、カーボン繊維の巻き付け終端部の固定に伴う繊維層の損傷を抑制できる。加えて、タンクバンド部とラベル部とのうち、いずれかの位置にはフィルムが配置されているので、樹脂硬化のためにライナを処理した際(例えば、加熱した際や紫外線照射の際)に、補強層の内側から外表面に向かって移動する樹脂および気体によりタンクバンド部とラベル部とのうち、いずれかの位置において繊維層の外表面に凸部が形成されることを抑制できる。したがって、タンクバンド部またはラベル部の平滑性の低下を抑制できる。加えて、巻き付け終端部がタンクバンド部とラベル部とのうち、いずれかの位置に配置されるので、巻き付け終端部がタンクバンド部とラベル部とのいずれとも異なる位置に配置される構成に比べて、配置するフィルムの量を抑えることができる。このため、タンクの製造コストを低減でき、また、フィルムを巻き付ける処理に要する時間を低減でき、さらに、タンクを軽量化できる。
本発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、タンクの製造方法や製造装置等の形態の他、タンクの検査方法の形態で実現できる。
本発明の一実施形態としてのタンクの概略構成を示す断面図である。 図1に示す領域における繊維強化樹脂層の構成を拡大して模式的に示す断面図である。 本実施形態におけるタンクの製造方法を示す工程図である。 繊維巻き付け工程の詳細手順を示す工程図である。 熱硬化工程における繊維強化樹脂層の様子を模式的に示す説明図である。 比較例の繊維強化樹脂層を模式的に示す説明図である。
A.実施形態:
A1.タンクの構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのタンクの概略構成を示す断面図である。タンク100は、タンク100の基材であるライナ20の外表面に繊維強化樹脂層40が形成された構成を有する。タンク100は、燃料電池システムにおいて、燃料ガスとしての水素ガスを貯蔵するために用いられる。タンク100を含む燃料電池システムは、本実施形態では、車両に搭載され、駆動用モータの動力源(電源)として用いられる。図1では、タンク100の中心軸CXに沿った断面を示している。
タンク100は、上述のライナ20および繊維強化樹脂層40に加えて、2つの口金部30と、ラベルLBとを備える。ライナ20は、高いガスバリア性を有する樹脂製の容器である。ライナ20は、例えば、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン等の樹脂により形成されている。なお、樹脂に代えて、アルミニウム合金などの金属により形成されていてもよい。ライナ20は、略円筒状の胴体部21と、胴体部21を挟んで配置される凸曲面形状の2つのドーム部22と、を有する。図1において、タンク100の中心軸CXは、胴体部21の中心軸を表わす。タンク100の長手方向とは、中心軸CXに沿った方向である。
2つの口金部30は、それぞれドーム部22の頂点部分に取り付けられている。図1に示すように、口金部30は、ライナ20における長手方向の両端部に装着されている。口金部30は、口金部30の中心軸と、ライナ20の中心軸CXとが一致するように取り付けられている。一方の口金部30は、ライナ20の内部と連通し、かかる口金部30には、水素ガス供給用の配管が接続される。
繊維強化樹脂層40は、ライナ20の外表面を覆うように幾重にも巻き付けられた繊維束からなる層が複数積層された構造を有する。繊維強化樹脂層40は、耐圧性を有し、ライナ20の強度を高めるために用いられる。繊維強化樹脂層40は、補強層42と、保護層44とを備える。
補強層42は、ライナ20の外周面全体と、2つの口金部30の一部と、を覆うように形成されている。補強層42は、カーボン繊維に予め熱硬化性樹脂を含浸させた炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)からなる。本実施形態では、カーボン繊維として、ポリアクリロニトリル(PAN)系カーボン繊維を用いる。なお、ポリアクリロニトリル(PAN)系カーボン繊維に代えて、レーヨン系カーボン繊維や、ピッチ系カーボン繊維など、他の任意のカーボン繊維を用いてもよいし、カーボン繊維の補強を目的として、ガラス繊維やアラミド繊維を含んでもよい。また、カーボン繊維に含浸される熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる。なお、エポキシ樹脂に代えて、ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂など、熱硬化性を有する他の任意の樹脂を用いてもよい。以降の説明では、熱硬化性樹脂が含浸されたカーボン繊維を「樹脂含浸カーボン繊維」と呼ぶ。
保護層44は、補強層42上に形成されている。換言すると、保護層44は、ライナ20の外周表面に形成されている。保護層44は、ガラス繊維に予め熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維強化樹脂(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)からなる。保護層44は、補強層42よりも高い耐衝撃性を有する。ガラス繊維に含浸される熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる。なお、エポキシ樹脂に代えて、ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂など、熱硬化性を有する他の任意の樹脂を用いてもよい。以降の説明では、熱硬化性樹脂が含浸されたガラス繊維を「樹脂含浸ガラス繊維」と呼ぶ。
保護層44の外表面は、タンクバンド部25aおよび25bと、ラベル部27と、を有する。タンクバンド部25a、25bは、胴体部21のドーム部22に近い側にそれぞれ配置されており、タンク100において図示しないタンクバンドが固定される部分である。図示しないタンクバンドは、タンク100における保護層44の外表面に接して周方向に沿ってタンク100を保持する。例えば、車両の床下に設けられたセンタートンネルにタンク100が収容され、かかるタンク100が図示しないタンクバンドにより保持され、車両に固定される。ラベル部27は、胴体部21の略中央に配置されており、ラベルLBが配置される部分である。
ラベルLBは、平面視形状が略矩形形状の金属性の薄板であり、タンク100の製造番号、製造履歴(製造日時、製造工場、製造ライン等)等の製造情報が記載されている。ラベルLBは、製造情報が記載されている面がタンク100の外に向くようにして、ラベル部27において保護層44の中に埋め込まれている。ラベルLBは、タンク100の外からラベルLBに記載された製造情報を目視可能な深さに埋め込まれている。本実施形態において、「目視可能な深さ」は、保護層44の外表面から約0.2mmの深さである。なお、ラベルLBの埋め込み深さは、保護層44の外表面から約0.1mm〜1.25mmの深さにすると、タンク100の外から目視が容易であるため、好ましい。上述のように、保護層44を形成するエポキシ樹脂およびガラス繊維が略透明であるため、タンク100の外から目視可能である。
A2.繊維強化樹脂層の構成:
図2は、図1に示す領域Ar1における繊維強化樹脂層40の構成を拡大して模式的に示す断面図である。領域Ar1は、タンク100におけるタンクバンド部25aを含む領域である。上述のように、繊維強化樹脂層40は、補強層42がライナ20の表面に近い側から遠い側へと順次積層され、保護層44が補強層42の上に積層された構成を有する。以降の説明では、補強層42を、ライナ20から近い側から遠い側に向かって順番に第1層、第2層、第3層、・・・第N層と呼ぶ。図2では、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4および第5層L5を含む部分を模式的に表わしている。第5層L5は、補強層42における最外層である。図2において、X軸は、タンク100の中心軸CXと平行であり、Y軸およびZ軸は、X軸と直交し、かつ、互いに直交する。図2では、各繊維層の+X方向において、各繊維層を形成する繊維の断面を略真円形状で示している。
第1層L1は、ライナ20の外周表面に多数の周回分の繊維断面がX軸と略平行に並ぶようにライナ20の外周面に形成されている。第2層L2は、第1層L1に接して第1層L1の上側(+Z方向側)に配置されている。第2層L2も、第1層L1と同様に、多数の周回分の繊維断面がX軸と略平行に並ぶように第1層L1の外周面に形成されている。第3層L3〜第5層L5も、第2層L2と同様に、多数の周回分の繊維断面がX軸と略平行に並ぶように内側に隣接する繊維層の外周面に形成されている。第5層L5の樹脂含浸カーボン繊維の巻き付け終端(末端)部L5e(以下、「巻終端部L5e」と呼ぶ)は、タンクバンド部25aに配置されている。換言すると、補強層42は、巻終端部L5eがタンクバンド部25aに配置されるように樹脂含浸カーボン繊維が巻き付けられて形成されている。
図2に示すように、第5層L5におけるタンクバンド部25aには、フィルム43が配置されている。フィルム43は、補強層42の巻終端部L5eを固定するために用いられる。フィルム43は、かかる巻終端部L5eを上から覆うようにしてタンクバンド部25aの外周面に巻き付けられている。
フィルム43は、カーボン繊維およびガラス繊維に含浸された熱硬化性樹脂の硬化温度において溶解せず、また、かかる樹脂および樹脂に内包された気体を透過しない。本実施形態では、フィルム43は、アルミニウムからなる薄板である。上述のように、本実施形態では、カーボン繊維およびガラス繊維に含浸される熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いるので、硬化温度は、例えば、150℃である。なお、フィルム43は、アルミニウムに代えて、ステンレス鋼からなる薄板であってもよいし、アルミニウムやステンレス鋼等の金属箔であってもよいし、熱収縮チューブ、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリアミド等の樹脂部材であってもよい。熱収縮チューブとしては、ポリオレフィン、フッ素系ポリマー、熱可塑性エラストマー等の種々の樹脂製の熱収縮部材を採用できる。
図2に示すように、保護層44は、多数の周回分の繊維断面がX軸と略平行に並ぶように第5層L5およびフィルム43の外周面に形成されている。
A3.タンクの製造方法:
図3は、本実施形態におけるタンクの製造方法を示す工程図である。本実施形態では、タンク100は、フィラメントワインディング法(FW法)によって製造される。図3に示すように、まず準備工程が実行される(工程P105)。準備工程では、ライナ20、樹脂含浸カーボン繊維および樹脂含浸ガラス繊維等のタンク100の製造にあたって必要となる材料が準備され、図示しないフィラメントワインディング装置(以下、「FW装置」と呼ぶ)に取り付けられる。準備工程(工程P105)が完了すると、繊維巻き付け工程が実行される(工程P110)。
図4は、繊維巻き付け工程(工程P110)の詳細手順を示す工程図である。繊維巻き付け工程が実行されると、FW装置は、ライナ20の外周面に樹脂含浸カーボン繊維を巻き付けて補強層42を形成する(工程P201)。具体的には、FW装置が始動されて、ライナ20が中心軸CXを回転軸として回転するとともに、樹脂含浸カーボン繊維が図示しないボビンから繰り出されてライナ20の外周面に巻き付けられる。このとき、フープ巻きおよびヘリカル巻き等により、予め定められた層数分の巻き付けが実行される。
工程P201が完了すると、FW装置は、樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eをタンクバンド部25aに配置する(工程P202)。具体的には、樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eの位置がタンクバンド部25aに配置されるように樹脂含浸カーボン繊維を巻き付ける。その後、樹脂含浸カーボン繊維が切断される。
工程P202が完了すると、タンクバンド部25a、25bおよびラベル部27の外周面にフィルム43が巻き付けられる(工程P203)。具体的には、工程P201で形成された補強層42におけるタンクバンド部25a、25bおよびラベル部27の上にフィルム43が巻き付けられる。このとき、タンクバンド部25aに樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eが配置されているので、タンクバンド部25aの外周面にフィルム43が巻き付けられることにより、巻終端部L5eがライナ20に圧着される。工程P203は、作業員が手作業で行ってもよく、専用の巻き付け装置により行われてもよい。
工程P203が完了すると、FW装置は、補強層42およびフィルム43の外周面に樹脂含浸ガラス繊維を巻き付けて保護層44を形成する(工程P204)。具体的には、工程P203の完了後におけるライナ20の最外層の外周面に樹脂含浸ガラス繊維が巻き付けられる。上述の工程P201と同様に、FW装置を制御することにより、予め定められた層数分の樹脂含浸ガラス繊維の巻き付けが実行される。
工程P204では、保護層44内にラベルLBが埋め込まれる。具体的には、樹脂含浸ガラス繊維が予め定められた巻き数分、巻き付けられると、FW装置による巻き付け動作が停止され、ラベルLBが保護層44の外表面におけるラベル部27に配置される。その後、FW装置による巻き付け動作が再開されて、ラベルLB上に樹脂含浸ガラス繊維が巻き付けられて、ラベルLBが保護層44に埋め込まれる。
工程P204が完了すると、樹脂含浸ガラス繊維の巻終端部を固定する(工程P205)。具体的には、樹脂含浸ガラス繊維の巻終端部が切断され、針差しおよび熱圧着等により、樹脂含浸ガラス繊維の巻終端部が保護層44に固定される。工程P205が完了すると、繊維巻き付け工程(工程P110)は完了する。
図3に示すように、繊維巻き付け工程(工程P110)が完了すると、熱硬化工程が実行される(工程P115)。熱硬化工程では、ライナ20全体を加熱する。これにより、ライナ20の外周面に巻き付けられたカーボン繊維およびガラス繊維に含まれる熱硬化性樹脂が硬化し、ライナ20の外表面を覆う繊維強化樹脂層40が形成される。このようにして、繊維強化樹脂層40を有するタンク100が得られる。
図5は、熱硬化工程(工程P115)における繊維強化樹脂層40の様子を模式的に示す説明図である。図5では、図2に示す領域Ar1を示している。また、図5では、熱硬化工程において、ライナ20を加熱した後、熱硬化性樹脂が硬化する前の繊維強化樹脂層40の様子を示している。補強層42において略真円で示すように、カーボン繊維に含浸された熱硬化性樹脂および樹脂含浸カーボン繊維を巻き付ける際に内包された気体は、補強層42の内層側(ライナ20側)から外層側(保護層44側)に向かって移動する。かかる樹脂および気体は、フィルム43が配置されていない部分(補強層42の左側および右側)においては、補強層42と保護層44との境界まで達し、更に保護層44の内部にまで移動する。
他方、フィルム43が配置されている部分、すなわち、タンクバンド部25aに対応する部分においては、フィルム43が樹脂および気体を透過しない特性を有することに起因して、補強層42と保護層44との境界に達した樹脂および気体の保護層44への移動が抑制される。フィルム43の存在により保護層44側への移動ができなくなった樹脂および気体の一部は、フィルム43が配置されていない部分に向かって移動する。このため、これらの樹脂および気体は、補強層42と保護層44との境界まで達した後、更に保護層44の内部にまで移動することとなる。したがって、フィルム43が配置されていない部分においては、保護層44の表面に凹凸が生じ得るが、フィルム43が配置されている部分においては、保護層44の表面に凹凸が生じず、外表面の平滑性が維持される。
図6は、比較例の繊維強化樹脂層70を模式的に示す説明図である。図6では、図5と同様に、熱硬化工程(工程P115)における繊維強化樹脂層70を模式的に示している。比較例の繊維強化樹脂層70は、補強層72と保護層74との間にフィルム43が配置されておらず、補強層72の巻終端部は、熱圧着によりライナ20に固定されている。図5に示す補強層42と同様に、図6に示す補強層72において、カーボン繊維に含浸された熱硬化性樹脂および樹脂含浸カーボン繊維を巻き付ける際に内包された気体が、略真円で示すように、補強層72の内層側(ライナ20側)から外層側(保護層74側)に向かって移動する。また、かかる樹脂および気体は、補強層72のX軸に沿った全体にわたって、補強層72から保護層74に向かって移動して、保護層74の表面に凹凸が生じて、保護層74の表面の平滑性が損なわれている。
このような状態で保護層74の外表面に接してタンクバンドを装着してタンク100を車両に取り付けた場合、車両の運転に伴い繰り返し生じる振動によって凸部の樹脂が割れてしまい、タンクバンドの締結力が低下するおそれがある。このため、タンクバンドを強固に固定できないという問題が生じる。また、補強層72から染み出した樹脂によってラベル部に凸部が形成された場合、凸部の内側が樹脂で埋まっているために樹脂層が厚くなってしまい、保護層74の透過性が低下するおそれがある。また、樹脂に内包された気体の移動によってラベル部に凸部が形成された場合、保護層74の表面が濁ってしまい、保護層74の透過性が低下するおそれがある。このため、ラベルLBに表示された情報を視認しづらいという問題が生じる。
これに対して、本実施形態の繊維強化樹脂層40は、補強層42の巻終端部L5eがタンクバンド部25aに配置され、タンクバンド部25aにフィルム43が配置されるので、針差しおよび熱圧着等による巻終端部L5eの固定を行うことなく、樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eをライナ20に固定できる。したがって、巻終端部L5eを局所的に加熱して固定する構成に比べて、巻終端部L5eの外表面に凸部が形成されることを抑制でき、樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eの固定に伴う繊維強化樹脂層40の損傷を抑制できる。
加えて、フィルム43は、タンクバンド部25a、25bおよびラベル部27に配置され、カーボン繊維およびガラス繊維に含浸された熱硬化性樹脂の硬化温度において溶解せず、また、かかる樹脂および樹脂に内包された気体を透過しないので、熱硬化性樹脂の硬化時に補強層42から染み出してくる樹脂および気体をフィルム43から保護層44に移動させないようにできる。このため、フィルム43が配置された部分であるタンクバンド部25a、25bおよびラベル部27において、繊維強化樹脂層40の外表面に凹凸が生じることを低減でき、タンクバンド部25a、25bおよびラベル部27の外表面を平滑化できる。したがって、タンクバンドによりタンク100を車両に固定後、車両の運転に伴い繰り返し生じる振動によってタンクバンドの締結力が低下することを抑制でき、タンクバンドを強固に固定できる。また、ラベル部27の平滑性が維持されているため、ラベル部27において保護層44の透過性が低下することを抑制でき、タンク100の外からラベルLBに表示された情報を視認しづらいという問題の発生を抑制できる。
さらに、フィルム43を配置するタンクバンド部25aに樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eを配置するので、繊維強化樹脂層40の外表面の平滑性を求めるためのフィルムと、樹脂含浸カーボン繊維の巻終端部L5eを固定するためのフィルムとを単一のフィルムにすることができる。このため、タンク100の製造コストを低減でき、また、フィルム43を巻き付ける処理に要する時間を低減でき、さらに、タンク100を軽量化できる。
加えて、タンクバンド部25a、25bおよびラベル部27のようにタンク100の外表面において平滑性が求められる部分にフィルム43を配置しているため、タンク100の外表面全体をフィルム43で覆う構成に比べて、補強層42の内側から外表面に向かって移動する樹脂および気体を、フィルム43が配置されていない部分に移動させることができるので、繊維強化樹脂層40の表面のうち、少なくともフィルム43が配置された部分に凹凸が発生することを抑制できる。
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
上記実施形態において、カーボン繊維およびガラス繊維に含浸させる硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂であったが、本発明はこれに限定されない。熱硬化性樹脂に代えて、紫外線硬化性樹脂を含浸させてもよい。その場合、熱硬化工程(工程P115)において紫外線を照射させて樹脂を硬化させてもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
B2.他の実施形態2:
上記実施形態において、熱硬化工程(工程P115)は、補強層42および保護層44の形成後に実行されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補強層42の形成後に熱硬化工程を実行し、保護層44の形成後にさらに熱硬化工程を実行してもよい。また、例えば、補強層42と保護層44とは、それぞれ別のFW装置により形成されてもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
B3.他の実施形態3:
上記実施形態において、カーボン繊維の巻終端部L5eは、タンクバンド部25aに配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、カーボン繊維の巻終端部L5eは、タンクバンド部25bに配置されてもよい。また、例えば、カーボン繊維の巻終端部L5eは、ラベル部27に配置されてもよい。また、カーボン繊維の巻終端部L5eが配置されない位置において、フィルム43の配置を省略してもよい。例えば、上記実施形態では、タンクバンド部25aにのみフィルム43を配置し、タンクバンド部25bおよびラベル部27にはフィルム43を配置しなくてもよい。すなわち、一般には、カーボン繊維の巻終端部L5eとフィルム43とがそれぞれ互いに同じ位置に配置される構成であれば、上記実施形態と同様な効果を奏する。
B4.他の実施形態4:
上記実施形態において、エポキシ樹脂の硬化温度である150℃で溶解せず、かつ、150℃よりも高い温度で軟化する樹脂をカーボン繊維およびガラス繊維に含浸させた場合、フィルム43は、150℃以下では、補強層42から染み出した樹脂および気体が保護層44へ移動することを抑制でき、150℃よりも高い温度では、繊維に含浸された樹脂が軟化することにより繊維強化樹脂層40の外表面に凸部が生じることを抑制でき、繊維強化樹脂層40の外表面をさらに平滑化できる、という効果を奏する。
B5.他の実施形態5:
上記実施形態において、ライナ20は、高圧流体を貯蔵するためのタンク用のライナであったが、本発明はこれに限定されない。高圧流体貯蔵用のタンクに限らず、他の任意の用途で用いられるタンク用のライナであってもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
本発明は、上述の実施形態および変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
20…ライナ
21…胴体部
22…ドーム部
25a、25b…タンクバンド部
27…ラベル部
30…口金部
40、70…繊維強化樹脂層
42、72…補強層
43…フィルム
44、74…保護層
100…タンク
Ar1…領域
CX…中心軸
L1…第1層
L2…第2層
L3…第3層
L4…第4層
L5…第5層
L5e…巻終端部
LB…ラベル

Claims (1)

  1. タンクであって、
    前記タンクの基材であるライナと、
    前記ライナの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したカーボン繊維からなる補強層と、
    前記補強層の外周面のうち、前記カーボン繊維の巻き付け終端部に配置されたフィルムと、
    前記補強層および前記フィルムの外周面に巻き付けられた硬化性樹脂を含浸したガラス繊維からなる保護層と、
    を備え、
    前記カーボン繊維の巻き付け終端部および前記フィルムは、
    前記保護層の外表面のうち、前記タンクを保持するタンクバンドと接するタンクバンド部と、前記タンクの製造情報を表示するためのラベルが配置されるラベル部と、のうち、いずれかの位置に配置される、
    タンク。
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