以下、本発明に係る建設機械の代表例として油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図12を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には、土砂の掘削作業等を行うフロント装置(作業装置)4が設けられている。
フロント装置4は、後述する旋回フレーム5の前側に上,下方向に回動可能に取付けられたブーム4Aと、ブーム4Aの先端に上,下方向に回動可能に取付られたアーム4Bと、アーム4Bの先端に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット4Cと、ブーム4Aを駆動するブームシリンダ4D、アーム4Bを駆動するアームシリンダ4E、バケット4Cを駆動するバケットシリンダ4Fとを含んで構成されている。
車体フレームとしての旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成している。図2に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cとを備え、これら左,右の縦板5B,5Cの前側には、フロント装置4を構成するブーム4Aのフート部が回動可能に取付けられている。また、旋回フレーム5は、各縦板5B,5Cの左,右方向の外側に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に前記左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持した複数本の張出しビーム5F(図2中に2本のみ図示)と、前記各縦板5B,5C、各サイドフレーム5D,5E間で底面を形成する複数枚のアンダカバー5Gとを備えている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後部に設けられている。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとる重量物として形成されている。
キャブ7は、旋回フレーム5の左前側に設けられている。このキャブ7は、オペレータが搭乗する運転室を画成するもので、キャブ7の内部には、例えばオペレータが着席する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)が配設されている。
機械室8は、カウンタウエイト6の前側に配置されている。機械室8は、カウンタウエイト6とキャブ7との間を左,右方向に延びる直方体状の空間として形成され、後述する建屋カバー13、防塵装置21等によって覆われている。機械室8内には、後述のエンジン9、油圧ポンプ10、熱交換装置18等が収容されている。
原動機としてのエンジン9は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5の後側に設けられている。エンジン9は、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延在する横置き状態で、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後側に搭載されている。エンジン9の左側には後述する冷却ファン17が設けられ、エンジン9の右側には油圧ポンプ10が設けられている。油圧ポンプ10は、エンジン9と共に旋回フレーム5に搭載される搭載機器を構成するもので、エンジン9によって駆動されることにより作動油を加圧し、フロント装置4の各シリンダ4D,4E,4F、走行油圧モータ、旋回油圧モータ(いずれも図示せず)等の油圧アクチュエータに向けて吐出するものである。
マフラ11は、エンジン9が排出した排気ガスを処理するもので、エンジン9の上部右側位置に設けられている。マフラ11は、油圧ポンプ10の上方位置に前,後方向に延びて設けられている。このマフラ11は、前,後方向に延びた円筒状容器として形成されたマフラケース11Aと、マフラケース11Aの前側位置から左側に向けて径方向の外側に突出した流入口11Bと、マフラケース11Aの後側位置に上,下方向に延びて設けられた排気口11Cとを含んで構成されている。流入口11Bは、エンジン9のエキゾーストマニホールドに接続されている。排気口11Cは排気管12によって覆われ、排気管12の上側は、後述のエンジンカバー16上に突設された排気管カバー12Aによって覆われている。
建屋カバー13は、エンジン9、油圧ポンプ10、熱交換装置18等の搭載機器を覆って旋回フレーム5上に設けられている。建屋カバー13は、旋回フレーム5の左サイドフレーム5D側から上方に立上り、熱交換装置18を支持する支持枠体14と、油圧ポンプ10等を右側方から覆うように旋回フレーム5の右サイドフレーム5E側から立上った右側面カバー15と、エンジン9等を上方から覆うように支持枠体14の上部と右側面カバー15の上部との間を左,右方向に延びて設けられたエンジンカバー16とを含んで構成されている。そして、建屋カバー13は、後述する防塵装置21と共に旋回フレーム5上で機械室8を覆っている。
ここで、建屋カバー13を構成する支持枠体14は、旋回フレーム5の左サイドフレーム5D等に取付けられ、キャブ7の後面と対面した状態で上方に立上る前立上り板14Aと、前立上り板14Aと前,後方向で間隔をもって対面しつつ上方に立上る後立上り板14Bと、前立上り板14Aの上端と後立上り板14Bの上端との間を連結し前,後方向に延びる上連結板14Cとを含んで構成されている。前立上り板14Aと後立上り板14Bの内側には熱交換装置18が取付けられる構成となっている。
一方、支持枠体14の前立上り板14Aの左端部には、上,下方向に延びる前側ブラケット14Dが設けられ、前側ブラケット14Dには、上,下方向に間隔をもって複数(例えば3個)の雌ねじ孔14Eが形成されている。また、支持枠体14の後立上り板14Bの左端部には、上,下方向に延びる後側ブラケット14Fが設けられ、後側ブラケット14Fには、U字状の屈曲形状を有するねじ座14Gが上,下方向に間隔をもって複数個(例えば3個)設けられている。さらに、支持枠体14の上連結板14Cの左端側には、前,後方向に間隔をもって複数(例えば4個)の雌ねじ孔14Hが設けられている。
冷却ファン17は、機械室8内に位置してエンジン9の左側に設けられている。冷却ファン17は、エンジン9を動力源として回転駆動されることにより、図2中の矢示Aで示すように、防塵装置21を介して建屋カバー13(機械室8)内に外気を吸込み、この外気を冷却風として熱交換装置18に供給するものである。なお、冷却ファンは、エンジン9を駆動源とするものに限らず、例えば電動ファン等を用いてもよいものである。
熱交換装置18は、キャブ7の後側に配置され、冷却ファン17と左,右方向で対面した状態で支持枠体14を介して旋回フレーム5上に設けられている。熱交換装置18は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、ターボ過給機によってエンジン9に供給される吸気を冷却するインタクーラ、エアコンの冷媒を冷却するコンデンサ等を含んで構成されている。熱交換装置18は、冷却ファン17による冷却風の流れ方向(図2中の矢示A方向)において冷却ファン17よりも上流側、即ち防塵装置21と冷却ファン17との間に配置されている。熱交換装置18は、ラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ、エアコンのコンデンサ等から生じた熱を、建屋カバー13内に供給された冷却風中に放熱することにより、エンジン冷却水、作動油、ターボ過給機を通過した吸気、エアコンの冷媒等の流体を冷却するものである。
次に、第1の実施の形態に用いられる防塵装置21について説明する。防塵装置21は、キャブ7の後側に配置され、冷却ファン17による冷却風の流れ方向(図2中の矢示A方向)において熱交換装置18の上流側に設けられている。防塵装置21は、冷却風中に混入した粉塵等の塵挨を捕捉するものである。防塵装置21は、後述する枠部材22と、フィルタ部材26と、フィルタ固定カバー28とを含んで構成されている。
枠部材22は、建屋カバー13を構成する支持枠体14に取付けられている。枠部材22は、フィルタ固定カバー28との間でフィルタ部材26を挟込んで保持するものである。枠部材22は鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、中央部に冷却風が通過する四角形状の開口部23Aが形成された外枠23と、外枠23の開口部23Aに取付けられたフィルタ保持枠24とを含んで構成されている。
外枠23は、開口部23Aの前側に位置して上,下方向に延びる前板23Bと、開口部23Aの後側に位置して上,下方向に延びる後板23Cと、開口部23Aの上側に位置して前,後方向に延びる上板23Dと、開口部23Aの下側に位置して前,後方向に延びる下板23Eとを有する四角形の枠状に形成されている。外枠23の前板23Bは支持枠体14の前側ブラケット14Dと対面し、前板23Bには、前側ブラケット14Dの雌ねじ孔14Eに対応する位置に3個のボルト挿通孔23Fが形成されている。外枠23の後板23Cは支持枠体14の後側ブラケット14Fと対面し、後板23Cには、後側ブラケット14Fのねじ座14Gに対応する位置に3個のボルト挿通孔23Gが形成されている。また、上板23Dの上端は、支持枠体14の上連結板14Cと対面するように右側方に折曲げられた折曲面23D1となり、この折曲面23D1には、上連結板14Cの雌ねじ孔14Hに対応する位置に4個のボルト挿通孔23Hが形成されている。また、外枠23の前板23Bには、U字状の屈曲形状を有する2個のねじ座23Jが上,下方向に離間して設けられ、外枠23の後板23Cには、U字状の屈曲形状を有する2個のねじ座23Kが上,下方向に離間して設けられている。
フィルタ保持枠24は、外枠23の開口部23Aに設けられ、フィルタ部材26を保持するものである。フィルタ保持枠24は、外枠23の開口部23Aとほぼ等しい四角形の枠状をなす周壁部24Aと、この周壁部24Aのうち開口部23Aの奥所位置から内向きに張出す張出し縁部24Bと、張出し縁部24Bに囲まれ冷却風が流通する通気口24Cとにより、浅底の額縁状に形成されている。フィルタ保持枠24は、その周壁部24Aが外枠23の開口部23Aの周縁部に溶接等の手段を用いて接合されることにより、外枠23と一体化されている(図5参照)。
そして、枠部材22を構成する外枠23の前板23B、後板23C、上板23Dの折曲面23D1に設けられた各ボルト挿通孔23F,23G,23Hには、ボルト25が挿通される。これら各ボルト25は、支持枠体14の前側ブラケット14Dの雌ねじ孔14E、後側ブラケット14Fのねじ座14G、上連結板14Cの雌ねじ孔14Hにそれぞれ螺着される。これにより、枠部材22は、支持枠体14に対して強固に固定されている。
フィルタ部材26は、枠部材22の通気口24Cを覆った状態でフィルタ保持枠24に保持されている。フィルタ部材26は、通気口24Cを通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、フィルタ部材26は、四角形の枠状をなす外枠部26Aと、外枠部26Aの内周側に配置されたフィルタ本体26Bとにより構成されている。外枠部26Aは、枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の周壁部24Aに対して僅かに小さな相似形をなし、周壁部24Aの内側に嵌合する構成となっている。また、外枠部26Aには、枠部材22のフィルタ保持枠24に対する取付け、取外しを行うときに作業者が把持する把手26Cが設けられている。
一方、フィルタ本体26Bは、外枠部26Aの内側面に接着、溶接等の手段を用いて固定されている。フィルタ本体26Bは、多数の山型状の襞(ひだ)が連続することにより表面積、即ち塵挨を捕捉できる面積が拡大した板状に形成されている。そして、フィルタ部材26の外枠部26Aは、枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の周壁部24Aの内側に挿入され、張出し縁部24Bに当接した状態でフィルタ保持枠24に対して位置決めされる。この状態で、フィルタ部材26はフィルタ保持枠24内で自立し、枠部材22(フィルタ保持枠24)の通気口24Cを覆う構成となっている。
複数のラバー部材27は、枠部材22とフィルタ部材26との間に設けられ、両者間の隙間を埋めるものである。複数のラバー部材27は、ゴム等の弾性体を用いて細長い帯状に形成され、枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の周壁部24A、張出し縁部24Bの内側面に接着されている。ラバー部材27は、フィルタ部材26の外枠部26Aがフィルタ保持枠24の周壁部24Aの内側に挿入されたときに、これら外枠部26Aと周壁部24Aとの間で弾性変形することにより、外枠部26Aと周壁部24Aとの間の隙間を埋めるものである。これにより、冷却風に含まれる塵挨が、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ部材26の外枠部26Aとの間の隙間を通じて建屋カバー13内に流れ込むのを抑えることができる構成となっている。
フィルタ固定カバー28は、枠部材22のうち機械室8とは反対側となる外側面に取付けられている。フィルタ固定カバー28は、枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26を挟込んで保持するものである。フィルタ固定カバー28は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、中央部に冷却風が通過する四角形状の通風開口28Aが形成されている。フィルタ固定カバー28は、通風開口28Aの前側に位置して上,下方向に延びる前板28Bと、通風開口28Aの後側に位置して上,下方向に延びる後板28Cと、通風開口28Aの上側に位置して前,後方向に延びる上板28Dと、通風開口28Aの下側に位置して前,後方向に延びる下板28Eとによって囲まれた四角形の枠状をなしている。
フィルタ固定カバー28の通風開口28Aは、枠部材22の外枠23に設けられた開口部23Aとほぼ等しい大きさを有している。フィルタ固定カバー28の前板28Bは、枠部材22の外枠23の前板23Bと対面し、前板28Bには外枠23のねじ座23Jに対応する位置に2個のボルト挿通孔28Fが形成されている。フィルタ固定カバー28の後板28Cは、枠部材22の外枠23の後板23Cと対面し、後板28Cには外枠23のねじ座23Kに対応する位置に2個のボルト挿通孔28Gが形成されている。
フィルタ固定カバー28のうち枠部材22と対面する内側面には、複数(例えば4個)のフィルタ押え具29が設けられている。フィルタ押え具29は、フィルタ固定カバー28の内側面のうちフィルタ部材26の各角部(四隅)に対応する部位に設けられ、フィルタ固定カバー28を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26を、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けて固定するものである。図6に示すように、フィルタ押え具29は、フィルタ固定カバー28の内側面に溶接等によって固着されたねじ座29Aと、ねじ座29Aに螺入されたボルト29Bとにより構成され、ボルト29Bの頭部29Cは、ゴム等の被覆材(図示せず)によって覆われている。
フィルタ押え具29を構成するボルト29Bの頭部29Cは、フィルタ固定カバー28を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26の外枠部26Aの四隅に当接し、この外枠部26Aをフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付ける。この場合、ねじ座29Aに対するボルト29Bの螺入量を調整することにより、フィルタ部材26に対するボルト29Bの頭部29Cによる押付け力を適宜に調整することができる。これにより、フィルタ部材26を、ラバー部材27を介してフィルタ保持枠24に適度な力で密着させることができ、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を抑えることができる構成となっている。
そして、建屋カバー13を構成する支持枠体14にボルト25を用いて枠部材22を取付け、枠部材22のフィルタ保持枠24によってフィルタ部材26を自立した状態に保持した状態で、フィルタ固定カバー28の前板28B、後板28Cに設けられた各ボルト挿通孔28F,28Gには、ボルト30が挿通される。これら各ボルト30は、枠部材22の外枠23に設けられたねじ座23J,23Kにそれぞれ螺着される。これにより、フィルタ固定カバー28が枠部材22に固定され、フィルタ固定カバー28と枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26が挟込まれる。このとき、フィルタ固定カバー28に設けられた各フィルタ押え具29が、フィルタ部材26の外枠部26Aの四隅をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けることにより、フィルタ部材26を、ラバー部材27を介してフィルタ保持枠24に適度な力で密着させることができる構成となっている。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗してエンジン9を作動させる。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を作業現場まで移動させることができる。また、オペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつフロント装置4を俯仰動させ、土砂の掘削作業等を行うことができる。
エンジン9の作動時には冷却ファン17が回転し、建屋カバー13内において熱交換装置18と冷却ファン17との間が負圧傾向となる。これにより、防塵装置21を通じて建屋カバー13内に外気が導入され、この外気が冷却風となって図2中に矢示Aで示すように熱交換装置18に供給される。熱交換装置18は、供給される冷却風との間で熱交換を行うことにより、エンジン冷却水、作動油等の流体を冷却することができる。
ここで、油圧ショベル1は、土砂の掘削作業以外にも、例えば輸送船の船倉内で木材チップや石炭等を収集する作業、あるいは金属スクラップの解体、廃棄作業といった細かな木屑、粉塵が多い環境下での作業を行うことも多い。
これに対し、塵挨を含んだ冷却風が防塵装置21のフィルタ部材26を通過することにより、フィルタ部材26によって塵挨を捕捉することができる。これにより、熱交換装置18に供給される冷却風から塵挨を分離し、清浄化された外気のみからなる冷却風を熱交換装置18に供給することができる。この結果、熱交換装置18に粉塵が付着して目詰まりするのを抑えることができ、熱交換装置18による冷却性能を長期に亘って良好に維持することができる。
ここで、フィルタ部材26によって捕捉した多量の塵挨を除去するために、フィルタ部材26は定期的に清掃等のメンテナンス作業を行う必要があり、以下、フィルタ部材26に対するメンテナンス作業について説明する。
フィルタ部材26を取外す場合には、まず、フィルタ固定カバー28を枠部材22に対して固定しているボルト30を、枠部材22(外枠23)のねじ座23J,23Kから取外す。この状態で、フィルタ固定カバー28を枠部材22から取外す。これにより、枠部材22のフィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26を、外部に露出させることができる。
この場合、フィルタ部材26は、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ固定カバー28との間に挟み込まれて固定されている。従って、枠部材22からフィルタ固定カバー28を取外すだけで、フィルタ部材26の固定状態を解除することができる。しかも、フィルタ部材26は、フィルタ保持枠24によって自立した状態で保持されているので、フィルタ固定カバー28を取外すときにフィルタ部材26を支える必要がない。
フィルタ固定カバー28を取外した後には、フィルタ部材26の外枠部26Aに設けられた把手26Cを把持することにより、フィルタ保持枠24からフィルタ部材26を容易に取出すことができる。そして、フィルタ部材26のフィルタ本体26Bに圧縮空気、洗浄水等を吹き付け、フィルタ本体26Bに付着した塵挨を除去することにより、フィルタ部材26を清浄化することができる。
次に、清浄化されたフィルタ部材26を取付けるときには、フィルタ部材26の把手26Cを把持した状態で、枠部材22のフィルタ保持枠24内にフィルタ部材26を挿入し、フィルタ保持枠24内でフィルタ部材26を自立させる。この状態で、フィルタ固定カバー28を枠部材22の外枠23に対面させ、フィルタ固定カバー28に設けられた各ボルト挿通孔28F,28Gにボルト30を挿通し、これら各ボルト30を、枠部材22の外枠23に設けられたねじ座23J,23Kにそれぞれ螺着する。これにより、フィルタ固定カバー28が枠部材22に固定され、フィルタ固定カバー28と枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26が挟込まれることにより、フィルタ部材26を強固に固定することができる。従って、油圧ショベル1の走行時や掘削作業時に大きな振動が生じたとしても、この振動によってフィルタ部材26が枠部材22から脱落したり、枠部材22のフィルタ保持枠24に対して位置ずれするのを抑えることができる。この結果、冷却風中に含まれる塵挨をフィルタ部材26によって確実に捕捉することができ、熱交換装置18による冷却性能を長期に亘って良好に維持することができる。
しかも、枠部材22にフィルタ固定カバー28を取付けたときには、フィルタ固定カバー28に設けられた各フィルタ押え具29が、フィルタ部材26の外枠部26Aの四隅をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付ける。これにより、フィルタ部材26を、ラバー部材27を介してフィルタ保持枠24に適度な力で密着させることができるので、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を抑えることができる。この結果、冷却風中の塵挨が、フィルタ保持枠24とフィルタ部材26との間の隙間を通じて熱交換装置18に供給されるのを抑えることができる。
かくして、第1の実施の形態による防塵装置21は、冷却風が通過する開口部23Aが設けられた外枠23、および開口部23Aの奥所位置で外枠23から内向きに張出したフィルタ保持枠24を有する枠部材22と、枠部材22の通気口24Cを覆った状態で枠部材22のフィルタ保持枠24に保持されたフィルタ部材26と、冷却風が通過する通風開口28Aを有し、枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26を挟込んだ状態で枠部材22に取付けられたフィルタ固定カバー28とを含んで構成されている。
従って、第1の実施の形態による防塵装置21によれば、枠部材22のフィルタ保持枠24にフィルタ部材26を保持した状態で、フィルタ固定カバー28を枠部材22に取付けることにより、フィルタ固定カバー28とフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26を挟込んで固定することができる。これにより、フィルタ固定カバー28を枠部材22に取付けるだけで、フィルタ固定カバー28と枠部材22のフィルタ保持枠24との間でフィルタ部材26を強固に保持することができる。一方、フィルタ固定カバー28を枠部材22から取外すだけで、フィルタ保持枠24からフィルタ部材26を容易に取外すことができる。この結果、フィルタ部材26に対するメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
しかも、大きな剛性を有する枠状の枠部材22とフィルタ固定カバー28とをボルト30を用いて取付けることにより、フィルタ部材26を、枠部材22のフィルタ保持枠24とフィルタ固定カバー28との間に挟み込んで強固に固定することができる。従って、油圧ショベル1の走行時や掘削作業時に大きな振動が生じたとしても、この振動によってフィルタ部材26が枠部材22から脱落したり、枠部材22のフィルタ保持枠24に対して位置ずれするのを抑えることができ、冷却風中に含まれる塵挨をフィルタ部材26によって確実に捕捉することができるので、熱交換装置18による冷却性能を長期に亘って良好に維持することができる。
次に、図6および図7は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、フィルタ部材を上,下に2分割したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態による防塵装置31は、第1の実施の形態による防塵装置21と同様に、枠部材22と、後述する上フィルタ部材33および下フィルタ部材34と、フィルタ固定カバー35とを含んで構成されている。
枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の上,下方向の中間部には、前,後に離間して一対のフィルタ支持具32が固定されている。一対のフィルタ支持具32は、フィルタ保持枠24内を上,下に2分割する部位に配置され、後述する上フィルタ部材33と、下フィルタ部材34とを支持するものである。この場合、一対のフィルタ支持具32は、例えば外枠23の後板23Cよりも前,後方向の長さ寸法が小さな板体からなり、フィルタ保持枠24の周壁部24Aに溶接等の手段を用いて固定されている。従って、一対のフィルタ支持具32間には大きな空間が確保され、フィルタ保持枠24から上,下のフィルタ部材33,34を取外した状態では、フィルタ保持枠24の通気口24Cを通じて熱交換装置18等に対するメンテナンス作業を容易に行うことができる構成となっている。
上フィルタ部材33および下フィルタ部材34は、上,下方向に連続した状態で枠部材22に取付けられ、枠部材22の通気口24Cを覆うことにより、通気口24Cを通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、上フィルタ部材33は、第1の実施の形態によるフィルタ部材26の高さ寸法を約半分に縮小したもので、前,後方向に延在する長方形の枠状をなす外枠部33Aと、外枠部33Aの内側に取付けられたフィルタ本体33Bとにより構成され、外枠部33Aの外側面には作業者が把持する把手33Cが設けられている。下フィルタ部材34は、上フィルタ部材33と同一形状を有し、外枠部34Aと、フィルタ本体34Bと、把手34Cとにより構成されている。
上フィルタ部材33および下フィルタ部材34は、一対のフィルタ支持具32によって上,下に分割された状態で、それぞれフィルタ保持枠24内に自立した状態で保持されている。上フィルタ部材33および下フィルタ部材34は、後述するフィルタ固定カバー35を枠部材22に取付けることにより、フィルタ固定カバー35とフィルタ保持枠24との間に挟み込まれた状態で強固に固定されている。
フィルタ固定カバー35は、枠部材22の外側面に取付けられ、枠部材22のフィルタ保持枠24との間で上,下のフィルタ部材33,34を挟込んで保持するものである。フィルタ固定カバー35は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、上フィルタ部材33に対応する長方形状の上通風開口35Aと、下フィルタ部材34に対応する長方形状の下通風開口35Bとを有している。また、フィルタ固定カバー35は、上,下の通風開口35A,35Bの前側に位置する前板35Cと、上,下の通風開口35A,35Bの後側に位置する後板35Dとを有している。前板35Cには、枠部材22のねじ座23Jに対応する2個のボルト挿通孔35Eが形成され、後板35Dには、枠部材22のねじ座23Kに対応する2個のボルト挿通孔35Fが形成されている。
フィルタ固定カバー35のうち枠部材22と対面する内側面には、複数(例えば8個)のフィルタ押え具29が設けられている。フィルタ押え具29は、フィルタ固定カバー35の内側面のうち上フィルタ部材33の各角部(四隅)に対応する部位と、下フィルタ部材34の各角部(四隅)に対応する部位に設けられている。これにより、フィルタ固定カバー35を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持された上フィルタ部材33および下フィルタ部材34を、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けて固定することができる構成となっている。
第2の実施の形態による防塵装置31は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態による防塵装置21と格別差異はない。然るに、第2の実施の形態による防塵装置31は、フィルタ部材を上フィルタ部材33と下フィルタ部材34とによって上,下に2分割している。これにより、例えば熱交換装置18の冷却性能を高めるために枠部材22の開口部23Aの開口面積を大きくし、これに伴ってフィルタ部材が大型化したとしても、フィルタ部材を上フィルタ部材33と下フィルタ部材34とに分割することにより、これら上フィルタ部材33および下フィルタ部材34を軽量化することができる。この結果、枠部材22に対する上フィルタ部材33および下フィルタ部材34の取付け、取外しを容易に行うことができ、上フィルタ部材33および下フィルタ部材34のメンテナンスの作業性を高めることができる。
次に、図8は本発明の第3の実施の形態を示し、第3の実施の形態の特徴は、フィルタ固定カバーの通風開口を、複数の小孔の集合体により構成したことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態による防塵装置41は、第1の実施の形態による防塵装置21と同様に、枠部材22と、後述する上フィルタ部材43および下フィルタ部材44と、フィルタ固定カバー45とを含んで構成されている。
枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の上,下方向の中間部には、前,後に離間して一対のフィルタ支持具42が固定されている。一対のフィルタ支持具42は、フィルタ保持枠24内を上,下に2分割する部位に配置され、後述する上フィルタ部材43と、下フィルタ部材44とを支持するものである。
上フィルタ部材43および下フィルタ部材44は、上,下方向に連続した状態で枠部材22に取付けられ、枠部材22の通気口24Cを覆うことにより、通気口24Cを通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、上フィルタ部材43は、長方形の枠状をなす外枠部43Aと、外枠部43A内に取付けられたフィルタ本体43Bと、外枠部43Aの外側面に設けられた把手43Cとにより構成されている。下フィルタ部材44は、上フィルタ部材43と同一形状を有し、外枠部44Aと、フィルタ本体44Bと、把手44Cとにより構成されている。
上フィルタ部材43および下フィルタ部材44は、一対のフィルタ支持具42によって上,下に分割された状態で、それぞれフィルタ保持枠24内に自立した状態で保持されている。上フィルタ部材43および下フィルタ部材44は、後述するフィルタ固定カバー45を枠部材22に取付けることにより、フィルタ固定カバー45とフィルタ保持枠24との間に挟み込まれた状態で強固に固定されている。
フィルタ固定カバー45は、枠部材22の外側面に取付けられ、枠部材22のフィルタ保持枠24との間で上,下のフィルタ部材43,44を挟込んで保持するものである。フィルタ固定カバー45は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、上フィルタ部材43に対応する長方形の領域に形成された上通風開口45Aと、下フィルタ部材44に対応する長方形の領域に形成された下通風開口45Bとを有している。
ここで、上通風開口45Aは複数の正方形状をなす小孔45A1の集合体からなり、各小孔45A1の孔径は、冷却風に混入した塵挨の通過を許容すると共に、上フィルタ部材43に向けて飛来する飛石等の大きな異物の侵入を制限できる大きさに設定されている。各小孔45A1は、例えば一辺が20mm程度に設定されるが、油圧ショベル1の作業環境に応じて適宜に変更されるものである。一方、下通風開口45Bも、上通風開口45Aの各小孔45A1と等しい孔径を有する複数の小孔45B1の集合体によって構成されている。これにより、油圧ショベル1の作業時に飛石等の異物が上,下のフィルタ部材43,44に衝突するのを抑えつつ、冷却風中の塵挨を上,下のフィルタ部材43,44によって捕捉することができる構成となっている。
また、フィルタ固定カバー45は、上,下の通風開口45A,45Bの前側に位置する前板45Cと、上,下の通風開口45A,45Bの後側に位置する後板45Dとを有している。前板45Cには、枠部材22のねじ座23Jに対応する2個のボルト挿通孔45Eが形成され、後板45Dには、枠部材22のねじ座23Kに対応する2個のボルト挿通孔45Fが形成されている。
フィルタ固定カバー45のうち枠部材22と対面する内側面には、複数(例えば8個)のフィルタ押え具29が設けられている。フィルタ押え具29は、フィルタ固定カバー45の内側面のうち上フィルタ部材43の各角部(四隅)に対応する部位と、下フィルタ部材44の各角部(四隅)に対応する部位に設けられている。これにより、フィルタ固定カバー45を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持された上フィルタ部材43および下フィルタ部材44を、フィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付けて固定することができる構成となっている。
第3の実施の形態による防塵装置41は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態による防塵装置21と格別差異はない。然るに、第3の実施の形態による防塵装置41は、フィルタ部材を上フィルタ部材43と下フィルタ部材44とによって上,下に2分割している。これにより、上フィルタ部材43および下フィルタ部材44を軽量化することができ、上フィルタ部材43および下フィルタ部材44のメンテナンスの作業性を高めることができる。しかも、フィルタ固定カバー45のうち上フィルタ部材43に対応する領域には、複数の小孔45A1の集合体からなる上通風開口45Aが設けられ、下フィルタ部材44に対応する領域には、複数の小孔45B1の集合体からなる下通風開口45Bが設けられている。このため、油圧ショベル1の作業時に飛石等の異物が上,下のフィルタ部材43,44に衝突するのを抑え、これら上,下のフィルタ部材43,44を保護しつつ冷却風中の塵挨を捕捉することができる。
次に、図9および図10は本発明の第4の実施の形態を示し、第4の実施の形態の特徴は、フィルタ固定カバーをヒンジ部材を介して枠部材に開,閉可能に取付けたことにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施の形態による防塵装置51は、第1の実施の形態による防塵装置21と同様に、枠部材22と、後述する上フィルタ部材54および下フィルタ部材55と、ヒンジ部材56と、フィルタ固定カバー57とを含んで構成されている。
枠部材22を構成するフィルタ保持枠24の上,下方向の中間部には、前,後に離間して一対のフィルタ支持具52が固定されている。一対のフィルタ支持具52は、フィルタ保持枠24内を上,下に2分割する部位に配置され、後述する上フィルタ部材54と、下フィルタ部材55とを支持するものである。また、枠部材22を構成する外枠23の後板23Cには、上,下に離間して2個のキャッチ部材53が固定されると共に、各キャッチ部材53の間に位置してU字状に屈曲した2個の当接板53Aが固定されている。さらに、外枠23の前板23Bには、上,下に離間して後述する2個のヒンジ部材56の固定片56Aが固定されている。
上フィルタ部材54および下フィルタ部材55は、一対のフィルタ支持具52によって上,下に分割された状態で枠部材22に取付けられ、枠部材22の通気口24Cを覆うことにより、通気口24Cを通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、上フィルタ部材54は、長方形の枠状をなす外枠部54Aと、外枠部54A内に取付けられたフィルタ本体54Bと、外枠部54Aの外側面に設けられた把手54Cとにより構成されている。下フィルタ部材55は、上フィルタ部材54と同一形状を有し、外枠部55Aと、フィルタ本体55Bと、把手55Cとにより構成されている。上,下のフィルタ部材54,55は、それぞれフィルタ保持枠24内に自立した状態で保持され、後述するフィルタ固定カバー57を枠部材22に取付けることにより、フィルタ固定カバー57とフィルタ保持枠24との間に挟み込まれた状態で強固に固定されている。
ヒンジ部材56は、枠部材22と後述するフィルタ固定カバー57との間に上,下に離間して2個設けられている。ヒンジ部材56は、外枠23の前板23Bに固定された固定片56Aと、固定片56Aに対して前,後方向に回動可能となった回動片56Bとを有し、回動片56Bはフィルタ固定カバー57に取付けられている。ヒンジ部材56は、フィルタ固定カバー57を枠部材22に対して前,後方向に回動可能に支持するものである。
フィルタ固定カバー57は、枠部材22の外側面に取付けられ、枠部材22のフィルタ保持枠24との間で上,下のフィルタ部材54,55を挟込んで保持するものである。フィルタ固定カバー57は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、上フィルタ部材54に対応する長方形の領域に形成された上通風開口57Aと、下フィルタ部材55に対応する長方形の領域に形成された下通風開口57Bとを有している。上通風開口57Aは、冷却風に混入する塵挨よりも大径で飛石等の異物よりも小径な孔径を有する小孔57A1の集合体からなり、下通風開口57Bも、上通風開口57Aの各小孔57A1と等しい孔径を有する複数の小孔57B1の集合体によって構成されている。
フィルタ固定カバー57は、上,下の通風開口57A,57Bの前側に位置する前板57Cと、上,下の通風開口57A,57Bの後側に位置する後板57Dとを有し、前板57Cのうち枠部材22と対面する内側面には、ヒンジ部材56の回動片56Bが固定されている。一方、後板57Dのうち枠部材22に設けられたキャッチ部材53に対応する部位には、上,下に離間して2個のキャッチ挿通孔57Eが形成され、このキャッチ挿通孔57Eに対応する後板57Dの外側面には、上,下に離間して2個のラッチ部材58が固定されている。これにより、フィルタ固定カバー57をヒンジ部材56を中心として回動させ、枠部材22(外枠23)の後板23Cに設けられた当接板53Aに当接させた状態では、フィルタ固定カバー57のキャッチ挿通孔57Eを通じてキャッチ部材53がフィルタ固定カバー57の外側に突出する。このキャッチ部材53にラッチ部材58を係合させることにより、フィルタ固定カバー57が枠部材22に取付けられる構成となっている。
フィルタ固定カバー57のうち枠部材22と対面する内側面には、上,下方向の上端側に位置する上フィルタ押え具59Aと、下端側に位置する下フィルタ押え具59Bと、中間部に位置する中間フィルタ押え具59Cとが設けられている。これら各フィルタ押え具59A,59B,59Cは、例えばウレタンゴム等の弾性体を用いて帯状に形成されている。そして、フィルタ固定カバー57が、キャッチ部材53とラッチ部材58との係合によって枠部材22に取付けられた状態において、上フィルタ押え具59Aは、上フィルタ部材54の上端をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付け、下フィルタ押え具59Bは、下フィルタ部材55の下端をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付け、中間フィルタ押え具59Cは、上フィルタ部材54の下端および下フィルタ部材55の上端をフィルタ保持枠24の張出し縁部24Bに押付ける。これにより、フィルタ固定カバー57を枠部材22に取付けたときに、フィルタ保持枠24に保持された上フィルタ部材54および下フィルタ部材55を、フィルタ保持枠24に対して固定することができる構成となっている。
さらに、フィルタ固定カバー57の後板57Dには、キーシリンダ付きのロック機構60が設けられている。このロック機構60は、フィルタ固定カバー57を枠部材22に取付けた状態で施錠されることにより、キャッチ部材53とラッチ部材58との係合によって枠部材22に取付けられたフィルタ固定カバー57をロックするものである。これにより、キャッチ部材53とラッチ部材58との係合が解除された場合でも、ロック機構60によってフィルタ固定カバー57を枠部材22に対して固定しておくことができる。従って、不用意にフィルタ固定カバー57が枠部材22から取外されるのを抑え、機械室8内に収容された備品の盗難等を防止することができる。
第4の実施の形態による防塵装置51は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態による防塵装置21と格別差異はない。然るに、第4の実施の形態による防塵装置51は、枠部材22とフィルタ固定カバー57との間にヒンジ部材56を設ける構成としている。これにより、ヒンジ部材56を中心としてフィルタ固定カバー57を前,後方向に回動させるだけで、フィルタ固定カバー57を枠部材22に対して容易に取付け、取外しすることができる。また、枠部材22に設けたキャッチ部材53とフィルタ固定カバー57に設けたラッチ部材58との係合により、工具を用いることなく枠部材22に対してフィルタ固定カバー57を取付けることができるので、フィルタ固定カバー57の取付け、取外しを容易に行うことができ、上フィルタ部材54および下フィルタ部材55のメンテナンスの作業性を高めることができる。しかも、フィルタ固定カバー57にロック機構60を設け、このロック機構60によって、フィルタ固定カバー57を枠部材22に取付けた状態にロックする構成としている。この結果、キャッチ部材53とラッチ部材58との係合が解除された場合でも、ロック機構60によってフィルタ固定カバー57を枠部材22に対して固定しておくことができ、機械室8内に収容された備品の盗難等を防止することができる。
次に、図11および図12は本発明の第5の実施の形態を示し、第5の実施の形態の特徴は、フィルタ固定カバーを上部旋回体に固定し、枠部材をヒンジ部材を介してフィルタ固定カバーに開,閉可能に取付けたことにある。なお、第5の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第5の実施の形態による防塵装置61は、後述するフィルタ固定カバー62と、ヒンジ部材66と、枠部材67と、上フィルタ部材70および下フィルタ部材71とを含んで構成されている。
フィルタ固定カバー62は、建屋カバー13を構成する支持枠体14に複数のボルト63を用いて取付けられている。フィルタ固定カバー62は、鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成され、フィルタ固定カバー62の中央部には、機械室8側に凹陥した浅底な四角形状の凹陥部62Aが形成されている。凹陥部62Aの内周側には、後述する枠部材67のフィルタ保持枠69が嵌合し、凹陥部62Aの底部側(機械室8側)には、冷却風が流通する通風開口62Bが形成されている。また、凹陥部62Aの内周面にはラバー部材64が接着等の手段を用いて固定されている。このラバー部材64は、後述する上フィルタ部材70の外枠部70Aおよび下フィルタ部材71の外枠部71Aに接触することにより、凹陥部62Aの内周面と上,下のフィルタ部材70,71との間の隙間を埋めるものである。
フィルタ固定カバー62は、凹陥部62Aの前側に位置する前板62Cと、凹陥部62Aの後側に位置する後板62Dとを有している。フィルタ固定カバー62の後板62Dには、上,下に離間して2個のキャッチ部材65が固定されると共に、各キャッチ部材65の間に位置してU字状に屈曲した2個の当接板65Aが固定されている。また、フィルタ固定カバー62の前板62Cには、上,下に離間して後述する2個のヒンジ部材66の固定片66Aが固定されている。
ヒンジ部材66は、フィルタ固定カバー62と後述する枠部材67との間に上,下に離間して2個設けられている。ヒンジ部材66は、フィルタ固定カバー62の前板62Cに固定された固定片66Aと、固定片66Aに対して前,後方向に回動可能となった回動片66Bとを有し、回動片66Bは枠部材67に取付けられている。ヒンジ部材66は、枠部材67をフィルタ固定カバー62に対して前,後方向に回動可能に支持するものである。
枠部材67は、フィルタ固定カバー62の外側面に取付けられ、フィルタ固定カバー62との間で後述する上,下のフィルタ部材70,71を挟込んで保持するものである。枠部材67は鋼板材等を用いて四角形の枠状に形成された外枠68と、外枠68の内側面に設けられたフィルタ保持枠69とにより構成されている。
外枠68のうちフィルタ保持枠69に対応する部位には、図9に示す第4の実施の形態によるフィルタ固定カバー57の上通風開口57Aおよび下通風開口57Bと同様な下開口部および上開口部(いずれも図示せず)が設けられている。外枠68は、フィルタ保持枠69の前側に位置する前板68Aと、フィルタ保持枠69の後側に位置する後板68Bとを有し、前板68Aのうちフィルタ固定カバー62と対面する内側面には、ヒンジ部材66の回動片66Bが固定されている。一方、後板68Bのうちフィルタ固定カバー62に設けられたキャッチ部材65に対応する部位には、上,下に離間して2個のキャッチ挿通孔68Cが形成され、このキャッチ挿通孔68Cに対応する後板68Bの外側面には、上,下に離間して後述のラッチ部材72が固定されている。
フィルタ保持枠69は、外枠68の内側面に固定され、上,下のフィルタ部材70,71を保持するものである。フィルタ保持枠69は、フィルタ固定カバー62の凹陥部62A内に嵌合される四角形の枠状をなす周壁部69Aと、周壁部69Aに囲まれ冷却風が流通する通気口69Bとにより、浅底の額縁状に形成されている。フィルタ保持枠69は、その周壁部69Aが外枠68の内側面に溶接等の手段を用いて接合されることにより、外枠68と一体化されている。
フィルタ保持枠69の上,下方向の中間部には、前,後に離間して一対のフィルタ支持具69Cが固定されている。一対のフィルタ支持具69Cは、フィルタ保持枠69内を上,下に2分割する部位に配置され、後述する上フィルタ部材70と、下フィルタ部材71とを支持するものである。フィルタ支持具69Cには、周壁部69Aの内側に張出すフィルタ係合板69Dが前,後に離間して2個設けられている。また、フィルタ保持枠69の上端にも、周壁部69Aの内側に張出すフィルタ係合板69Dが前,後に離間して2個設けられている。これらフィルタ係合板69Dは、後述する上,下のフィルタ部材70,71が係合することにより、上,下のフィルタ部材70,71をフィルタ保持枠69内に保持するものである。
上フィルタ部材70および下フィルタ部材71は、一対のフィルタ支持具69Cによって上,下に分割された状態で枠部材67に取付けられ、枠部材67の上開口部および下開口部(いずれも図示せず)を覆っている。これら上,下のフィルタ部材70,71は、枠部材67の上開口部および下開口部を通過する冷却風中の塵挨を捕捉するものである。ここで、上フィルタ部材70は、長方形の枠状をなす外枠部70Aと、外枠部70A内に取付けられたフィルタ本体70Bと、外枠部70Aの外側面に設けられた把手70Cとにより構成されている。下フィルタ部材71は、上フィルタ部材70と同一形状を有し、外枠部71Aと、フィルタ本体71Bと、把手71Cとにより構成されている。上,下のフィルタ部材70,71は、それぞれフィルタ保持枠69内に自立した状態で保持され、枠部材67をフィルタ固定カバー62に取付けることにより、フィルタ固定カバー62とフィルタ保持枠69との間に挟み込まれた状態で強固に固定されている。
ラッチ部材72は、図9に示す第4の実施の形態によるラッチ部材58と同様に、枠部材67を構成する外枠68の後板68Bに上,下に離間して2個設けられている(図12中に1個のみ図示)。ラッチ部材72は、後板68Bの外側面のうちキャッチ挿通孔68Cに対応する部位に配置されている。ここで、枠部材67をヒンジ部材66を中心として回動させ、フィルタ固定カバー62の後板62Dに設けられた当接板65Aに当接させた状態では、枠部材67のキャッチ挿通孔68Cを通じてキャッチ部材65が枠部材67(外枠68)の外側に突出する。このキャッチ部材65にラッチ部材72を係合させることにより、枠部材67がフィルタ固定カバー62に取付けられる構成となっている。
また、枠部材67を構成する外枠68の後板68Bには、キーシリンダ付きのロック機構73が設けられている。このロック機構73は、枠部材67をフィルタ固定カバー62に取付けた状態で施錠されることにより、キャッチ部材65とラッチ部材72との係合によってフィルタ固定カバー62に取付けられた枠部材67をロックするものである。これにより、キャッチ部材65とラッチ部材72との係合が解除された場合でも、ロック機構73によって枠部材67をフィルタ固定カバー62に対して固定しておくことができ、不用意に枠部材67が取外されるのを防止することができる構成となっている。
第5の実施の形態による防塵装置61は上述の如き構成を有するもので、上,下のフィルタ部材70,71を取外す場合には、ラッチ部材72を操作することによりキャッチ部材65との係合を解除する。これにより、枠部材67は、フィルタ保持枠69内に上,下のフィルタ部材70,71を保持したまま、ヒンジ部材66を中心として回動することによりフィルタ固定カバー62から離脱する。これにより、枠部材67のフィルタ保持枠69に保持された上,下のフィルタ部材70,71を容易に取外すことができ、取外した上,下のフィルタ部材70,71に対するメンテナンス作業を迅速に行うことができる。この場合、フィルタ保持枠69およびフィルタ支持具69Cには、それぞれ周壁部69Aの内側に張出すフィルタ係合板69Dが設けられ、このフィルタ係合板69Dは上,下のフィルタ部材70,71の外枠部70A,71Aに係合する。この結果、枠部材67がヒンジ部材66を中心として回動するときに、上,下のフィルタ部材70,71をフィルタ保持枠69内に確実に保持することができ、枠部材67に対してフィルタ部材70,71を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
一方、メンテナンス作業が終了した上,下のフィルタ部材70,71を取付けるときには、これら上,下のフィルタ部材70,71を枠部材67のフィルタ保持枠69内に挿入し、フィルタ係合板69D等によってフィルタ保持枠69内で自立させる。この状態で、ヒンジ部材66を中心として枠部材67を回動させ、フィルタ固定カバー62の後板62Dに設けられた当接板65Aに当接させる。これにより、キャッチ部材65が、枠部材67のキャッチ挿通孔68Cを通じて枠部材67(外枠68)の外側に突出するので、このキャッチ部材65にラッチ部材72を係合させることにより、枠部材67をフィルタ固定カバー62に取付けることができる。
これにより、フィルタ固定カバー62の凹陥部62A内に、枠部材67のフィルタ保持枠69が嵌合し、凹陥部62Aの内周面に固定されたラバー部材64が、上フィルタ部材70の外枠部70Aおよび下フィルタ部材71の外枠部71Aに弾性変形しつつ接触する。この結果、凹陥部62Aの内周面と上,下のフィルタ部材70,71との間の隙間を埋めることができ、冷却風に混入した塵挨が、この隙間を通じて熱交換装置18側に供給されるのを抑えることができる。
このように、第5の実施の形態による防塵装置61は、ヒンジ部材66を中心として枠部材67を前,後方向に回動させるだけで、枠部材67をフィルタ固定カバー62に対して容易に取付け、取外しすることができる。枠部材67のフィルタ保持枠69には、上,下のフィルタ部材70,71が保持されているので、建屋カバー13の支持枠体14に固定されたフィルタ固定カバー62から枠部材67を取外すことにより、建屋カバー13の外側に大きな作業スペースを確保することができる。従って、枠部材67のフィルタ保持枠69に対して上,下のフィルタ部材70,71を取付け、取外しする作業を、建屋カバー13の外側の大きな作業スペース内で行うことができ、その作業性を高めることができる。しかも、ヒンジ部材66を中心として枠部材67を回動させるときに、上,下のフィルタ部材70,71に付着した塵挨を適度に除去することができるので、徐下のフィルタ部材70,71に対する清掃等のメンテナンス作業を一層容易に行うことができる。
また、フィルタ固定カバー62に設けたキャッチ部材65と枠部材67に設けたラッチ部材72との係合により、工具を用いることなくフィルタ固定カバー62に対して枠部材67を取付けることができるので、枠部材67の取付け、取外しを容易に行うことができ、上,下の上フィルタ部材70,71のメンテナンスの作業性を高めることができる。しかも、枠部材67に設けたロック機構73によって、枠部材67をフィルタ固定カバー62に取付けた状態にロックすることができる。この結果、キャッチ部材65とラッチ部材72との係合が解除された場合でも、ロック機構73によって枠部材67をフィルタ固定カバー62に対して固定しておくことができ、機械室8内に収容された備品の盗難等を防止することができる。
なお、第1の実施の形態では、フィルタ押え具29として、頭部29Cをゴム等の被覆材によって覆ったボルト29Bを用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばボルト29Bに代えて、ウレタンゴム、板ばね等の弾性体を用いる構成としてもよい。
また、第4の実施の形態では、枠部材22に対してフィルタ固定カバー57を回動可能に支持するためにヒンジ部材66を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばスライドレール、クランク機構等の他の機構を用いてフィルタ固定カバー57を支持する構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ等の他の建設機械にも適用することができる。