JP2019024178A - 密閉型イヤホン - Google Patents

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Abstract

【課題】構成が簡単で、構成部品の調整が容易であり、他の音響回路に影響を与えることなく、特定周波数の音波を効率よく減衰する。
【解決手段】密閉型イヤホン20は、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニット30と、外耳道の入口に挿入され、そのドライバユニット30から出力される音波を外耳道へ導く導音部23と、ヘルムホルツイコライザ40と、を有している。ヘルムホルツイコライザ40は、外耳道側の負荷に対して並列に配置され、ドライバユニット30から出力される音波のヘルムホルツ共鳴により生じる特定周波数の音を吸収するものである。なお、2つのヘルムホルツイコライザを設け、2つの特定周波数を吸収する構成にすれば、聞こえる音の空間を広く感じさせることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、導音部を外耳道入口に挿入して用いるカナル型イヤホン等の密閉型イヤホンに関するものである。
図2(a)、(b)は、カナル型イヤホンのような一般的な密閉型イヤホンの説明図である。
図2(a)に示すように、日常生活での人の外耳道1は、この奥の鼓膜2で閉じられた「閉管」と近似できる。そして、外耳道1の長さから、約3kHzで共鳴する特性を持っている。図2(b)には、外耳道1の入口が密閉型イヤホンの放音用導音部3によって塞がれた状態が示されている。
鼓膜2での音圧は、約3kHzが強調される特性を有しているが、脳はこれをフラットな音と認識している。一方、密閉型イヤホンで音楽を聴く場合、図2(b)に示されるように、外耳道1は塞がれた状態になり、特定周波数(例えば、約6kHz)で共鳴する状態になる。これは日常生活における図2(a)の共鳴モードと異なるため、再生された音質を阻害する。
このような外耳道閉塞により生じる特定周波数(例えば、約6kHz)のピークを低減するために、特許文献1〜3等に記載された技術が提案されている。
特許文献1には、電気音響変換器(以下「ドライバユニット」という。)の前面に、直線状と螺旋状の音響路を配置し、その位相差で6kHz付近を打ち消す技術が記載されている。特許文献2には、2つのドライバユニットの出力側を遅延パイプで繋ぎ、その遅延パイプによる位相差で6kHz付近を打ち消す技術が記載されている。又、特許文献3には、ドライバユニットの背面側を覆うリアハウジングの音響構造の工夫により、6kHz付近の出力を低減する技術が記載されている。
特許第4681698号公報 特許第4953490号公報 特許第5696249号公報
しかしながら、従来の特許文献1〜3等の密閉型イヤホンでは、次の(i)、(ii)のような課題があった。
(i) 外耳道閉塞により生じる特定周波数(例えば、6kHz)のピークを低減するための構成が複雑であり、構成部品の調整が難しい。
(ii) 密閉型イヤホンは、その特性上、音の空間が狭く聞こえてしまい、その改善が望まれている。
本発明の密閉型イヤホンは、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニットと、外耳道の入口に挿入され、前記ドライバユニットから出力される前記音波を前記外耳道へ導く導音部と、前記外耳道側の負荷に対して並列に配置され、前記ドライバユニットから出力される前記音波のヘルムホルツ共鳴により生じる特定周波数の音を吸収するヘルムホルツ吸収部(以下「ヘルムホルツイコライザ」という。)と、を有している。
例えば、前記ドライバユニットのインピーダンスと、前記ヘルムホルツイコライザのインピーダンス及び前記外耳道側のインピーダンスを含めた負荷側インピーダンスと、は電圧分割回路を構成している。
又、例えば、前記ヘルムホルツイコライザは、第1の前記特定周波数の音を吸収する第1ヘルムホルツイコライザと、前記第1ヘルムホルツイコライザに対して並列に接続され、第2の前記特定周波数の音を吸収する第2ヘルムホルツイコライザと、により構成されている。
本発明の密閉型イヤホンによれば、ヘルムホルツイコライザを設け、このヘルムホルツイコライザにより、特定周波数の音波を吸収しているので、構成が簡単で、その構成部品の調整が容易であり、他の音響回路に影響を与えることなく、特定周波数の音波を効率よく減衰できる。又、例えば、2つのヘルムホルツイコライザを設け、2つの特定周波数を吸収する構成にすれば、聞こえる音の空間を広く感じさせることができる。
本発明の実施例1における密閉型イヤホンの構成を示す概略の断面図 一般的な密閉型イヤホンの説明図 ヘルムホルツの共鳴を説明するための模式図 図3の構造物10の電気的等価回路を示す図 図1の全体の分解斜視図 図1中のヘルムホルツイコライザ40の拡大断面図 図1の密閉型イヤホン20の電気的等価回路を示す図 図7の電気的等価回路を簡略化した回路図 図8の計算結果を示す出力音圧out(dB)の波形図 図9のときのドライバユニット30におけるインピーダンスZdの特性を示す波形図 図9のときのヘルムホルツイコライザ40におけるインピーダンスZh(dB)の特性を示す波形図 図9のときのヘルムホルツイコライザ40を含む負荷側全体の特性を示す波形図 図8の等価回路を単純化したときの回路図 ドライバユニット30側のインピーダンスZdと負荷側全体のインピーダンスZf1//Zf2とを突き合せて出力特性を調べるための波形図 図8の回路において低域周波数特性を簡略化した図 図8の回路において中域周波数特性を簡略化した図 図8の回路において高域周波数特性を簡略化した図 図8の回路においてヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhの抵抗Rhを大きくし、そのヘルムホルツイコライザ40の効果を無くしたときの出力特性を示す波形図 図6のヘルムホルツイコライザ40を用いた図1の密閉型イヤホン20の実験結果を示す波形図 図19の実験の周波数特性の差を示す波形図 本発明の実施例2における密閉型イヤホン20Aの構成を示す概略の断面図 図21の全体の分解斜視図 図21中のヘルムホルツイコライザ40Aの拡大斜視図 図23のヘルムホルツイコライザ40Aを用いた図21の密閉型イヤホン20Aの実験結果を示す波形図 図24の実験の周波数特性の差を示す波形図 本発明の実施例3における密閉型イヤホン20Bの構成を示す概略の断面図 図26の密閉型イヤホン20Bの電気的等価回路を示す図
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(基本理論)
図3は、ヘルムホルツの共鳴を説明するための模式図である。
図3の構造物10は、容積vを有するボール状の容器11と、断面積o及び長さlを有する円筒状の筒部12と、を合わせた構造になっている。この構造物10は、音速をcとしたとき、次式(1)の共振周波数ωで共鳴することが知られている(ヘルムホルツの共鳴)。
ω=c√(s/(vl)) (1)
図4は、図3の構造物10の電気的等価回路を示す図である。
図3の構造物10は、電気的等価回路で図4のように描くことができる。この電気的等価回路は、直列共振回路10Aであり、構造物10全体の音響的抵抗Rと、筒部12を表すインダクタLと、容器11を表す容量Cと、の直列回路により構成されている。
直列共振回路10Aは、次式(2)に示すように、共振周波数ωでインピーダンスが最小になる性質がある。
共振周波数ω=1/√(LC) (2)
この原理を応用した製品としては、有孔ボード(吸音壁材)等がある。
(実施例1の構成)
図1は本発明の実施例1における密閉型イヤホンの構成を示す概略の断面図、図5は図1の全体の分解斜視図、更に、図6は図1中のヘルムホルツイコライザ40の拡大断面図である。
密閉型イヤホン20は、構成部品を収納するための略円筒状のフロントハウジング21と、このフロントハウジング21の背面側に装着された構成部品収納用のキャップ形のリアハウジング22と、を有している。フロントハウジング21の前面側には、導音部23が突設されている。導音部23は、外耳道へ音波を導くものであり、フロントハウジング21の前面側に突設された略円筒状の導音管23aと、この導音管23aの前面側に着脱自在に装着された外耳道挿入用のイヤピース23bと、により構成されている。イヤピース23bは、外耳道の入口に挿入されるものであり、導音管23aの周りに装着される筒部23b1と、この筒部23b1の先端に延設された傘部23b2と、により構成され、シリコーンゴムのような軟質性樹脂等により形成されている。リアハウジング22から、電気信号である音声信号を伝送するためのコード24が引き出されている。
フロントハウジング21内において、背面の後面側から正面の前面側にかけて、略円盤形のドライバユニット30と、ドーナツ形(即ち、I形)のヘルムホルツイコライザ40と、ドーナツ板状の前面抵抗材25と、が収納されている。
ドライバユニット30は、例えば、ダイナミック型の場合、磁石31の作る磁界の中で、コード24から供給される音声信号が流れるボイスコイル32にローレンツ力が発生し、そのボイスコイル32に取り付けられた振動板33を振動させて音波を出力する構造になっている。このドライバユニット30の出力側と音導部23中の音導管23aとは、同一軸上に配置されている。
ヘルムホルツイコライザ40は、ドライバユニット30の出力側と音導部23中の音導管23aとの間であって、そのドライバユニット30及び音導管23aの中心軸に対して直交する方向に配置されている。このヘルムホルツイコライザ40は、ドライバユニット30から出力される音波のヘルムホルツ共鳴により生じる特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音を吸収するものであって、フロントハウジング21の内壁面により閉塞された中空の環状部材41からなり、その環状部材41の中空部42の内周面に、1つの吸収孔43が形成されている。
ホルムヘルツイコライザ40の前面側には、前面抵抗材25が配置されている。前面抵抗材25は、音波を減衰する前面抵抗Rfとしての特性を有している。
(実施例1の動作)
図1、図5及び図6に示す密閉型イヤホン20の動作を説明する。
コード24から音声信号が送られてくると、フロントハウジング21内のドライバユニット30において、ボイスコイル32にローレンツ力が発生し、そのボイスコイル32に取り付けられた振動板33が振動し、音波が出力される。出力された音波の一部は、ヘルムホルツイコライザ40内の吸収孔43を通して中空部42内へ供給される。すると、中空部42においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波中の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音が吸収される。特定周波数の音が吸収された音波は、前面抵抗材25によって所定の周波数の音が減衰され、音導管23a及びイヤピース23bを通してイヤホン装着者の外耳道へ注入される。これにより、外耳道奥の鼓膜が振動し、音波が再生される。
(実施例1の出力特性)
図7は、図1の密閉型イヤホン20の電気的等価回路を示す図である。
リアハウジング22のインピーダンスZrには、音声信号源S、ドライバユニット30のインピーダンスZd、及びドライバユニット30の前面側の前面容量Cfが直列に接続されている。ドライバユニット30のインピーダンスZdは、インダクタLd、容量Cd、及び抵抗Rdの直列回路で表わすことができる。前面容量Cfに対して、前面抵抗材25の前面抵抗Rfとヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhとが並列に接続されている。ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhは、抵抗Rh、インダクタLh及び容量Chの直列共振回路で表わすことができる。インピーダンスZhの両電極間には、導音管23aに相当するインダクタApと耳側のインピーダンスZeとが直列に接続されている。
図8は、出力特性の計算を容易にするために図7の電気的等価回路を簡略化した回路図である。
図8の電気的等価回路では、図7の電気的等価回路を以下のように簡略化している。
図7のリアハウジング22のインピーダンスZrは、単純化するためにショート(無負荷)状態にしている。音導管23aのインダクタApは、全体の周波数帯域に対して影響が少ないので、シート状態にしている。更に、耳側のインピーダンスZeは、単純化するために容量Ceで代用している。図8のoutは、出力音圧(dB)である。
実際の出力特性に近似するように、図8の電気的等価回路に、下記のような数値を与えて計算した。
ドライバユニット30のインピーダンスZd;
インダクタLd=0.6mH
容量Cd=40μF
抵抗Rd=10Ω
前面容量Cf=0.5μF
前面抵抗Rf=0.2kΩ
ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZh;
抵抗Rh=5Ω
インダクタLh=3.5mH
容量Ch=0.2μF
耳側の容量Ce=0.7μF
これらの数値を与えた時、ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhにおける共振周波数ωは、6015.491Hzであった。
図9は、図8の計算結果を示す出力音圧out(dB)の波形図である。図9の横軸は出力周波数、及び縦軸は出力音圧out(dB)である。
出力周波数の6kHz付近の出力音圧outが大幅に低下している。
図10は、図9のときのドライバユニット30におけるインピーダンスZdの特性を示す波形図である。図10の横軸は周波数、及び縦軸はドライバユニット30におけるインピーダンスZd(dB)の値である。
ドライバユニット30のインピーダンスZdは、周波数が約1kHz以下で弾性制御(容量性)、周波数が約1kHz以上では質量制御(誘導性)になっている。
図11は、図9のときのヘルムホルツイコライザ40におけるインピーダンスZh(dB)の特性を示す波形図である。図11の横軸は周波数、及び縦軸はヘルムホルツイコライザ40におけるインピーダンスZh(dB)の値である。
ヘルムホルツイコライザ40は、周波数が約6kHzに共振していて、その共振周波数ωでインピーダンスZd(dB)の値が最小になっている。共振周波数ωの約6kHz以下の周波数領域では容量性を示し、共振周波数ωの約6kHz以上では誘導性となっている。
図12は、図9のときのヘルムホルツイコライザ40を含む負荷側全体の特性を示す波形図である。図12の横軸は周波数、及び縦軸は負荷側インピーダンスZf1/Zf2(dB)の値である。
負荷側インピーダンスZf1/Zf2は、ヘルムホルツイコライザ40を含む耳側インピーダンスの全体のインピーダンスである。ヘルムホルツイコライザ40を含む負荷側全体の特性は、基本的には抵抗と容量の並列回路で表わすことができ、周波数が約560Hz以下は抵抗性、それ以上は容量性となっている。ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhによるインピーダンス低下が、矢印1で示す周波数約6kHzに見える。又、インピーダンスZhの共振周波数約6kHz以上の誘導性と回路全体の容量性との並列共振が矢印2に見える。
図13は、図8の等価回路を単純化したときの回路図である。
図8の等価回路を単純化すると、図13に示すように、ドライバユニット30のインピーダンスZdと、ヘルムホルツイコライザ40を含む負荷側全体のインピーダンスZf1/Zf2と、の電圧分割回路になる。
図14は、ドライバユニット30側のインピーダンスZdと負荷側全体のインピーダンスZf1//Zf2とを突き合せて出力特性を調べるための波形図である。
図14の上段は図10の波形であり、図14の下段は図12の波形である。
図15(a)、(b)は、図8の回路において低域周波数特性を簡略化した図であり、同図(a)は図8の簡略化した回路図、及び、同図(b)は周波数に対する出力音圧outの特性図である。
図15(a)の回路において、ドライバユニット30側のインピーダンスZdは容量性(C)、負荷側全体のインピーダンスZf1/Zf2は抵抗性(R)である。
図15(b)に示すように、図15(a)の回路から、出力音圧outの遮断周波数以下は、オクターブ(Oct)当り約6dBの割合で減衰し、遮断周波数以上は、フラットになる。
図16(a)、(b)は、図8の回路において中域周波数特性を簡略化した図であり、同図(a)は図8の簡略化した回路図、及び、同図(b)は周波数に対する出力音圧outの特性図である。
図16(a)の回路において、ドライバユニット30側のインピーダンスZdは容量性(C)、負荷側全体のインピーダンスZf1/Zf2も容量性(C)である。
図16(b)に示すように、図16(a)の回路から、出力音圧outの周波数特性はフラットになる。
図17(a)、(b)は、図8の回路において高域周波数特性を簡略化した図であり、同図(a)は図8の簡略化した回路図、及び、同図(b)は周波数に対する出力音圧outの特性図である。
図17(a)の回路において、ドライバユニット30側のインピーダンスZdは誘導性(L)、負荷側全体のインピーダンスZf1/Zf2は容量性(C)である。
図17(b)に示すように、図17(a)の回路では、遮断周波数付近に出力音圧outのピークができ、それ以上の周波数ではオクターブ(Oct)当り約12dBの割合で出力音圧outが減衰する。
図18は、図8の回路においてヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhの抵抗Rhを大きくし、そのヘルムホルツイコライザ40の効果を無くしたときの出力特性を示す波形図である。図18の横軸は周波数、及び縦軸は出力音圧out(dB)である。
図18の出力特性では、図8の電気的等価回路に、下記のような数値を与えて計算した波形が描かれている。
ドライバユニット30のインピーダンスZd;
インダクタLd=0.6mH
容量Cd=40μF
抵抗Rd=10Ω
前面容量Cf=0.5μF
前面抵抗Rf=0.2kΩ
ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZh;
抵抗Rh=500Ω
インダクタLh=3.5mH
容量Ch=0.2μF
耳側の容量Ce=0.7μF
図9では、抵抗Rhが5Ωに設定されているのに対し、この図18では、その抵抗Rhが500Ωに設定されている。
図18を図9と比較すると、6kHz付近の周波数の吸収以外に、特性の変化が殆ど無いことが分かる。そのため、ヘルムホルツイコライザ40は、他の音響回路に影響を与えないと推定できる。
従って、図7に示す電気的等価回路において、ドライバユニット30から出力された音波の一部は、ヘルムホルツイコライザ40のヘルムホルツ共鳴によって特定周波数(例えば、6kHz付近)の音が吸収され、更に、前面抵抗材25によって通過する音波の周波数が減衰され、イヤピース23bから外耳道へ送られる。
図19は、図6のヘルムホルツイコライザ40を用いた図1の密閉型イヤホン20の実験結果を示す波形図である。図19の横軸は出力周波数(Hz)、及び縦軸は出力音圧(dB)である。
図19において、実線の波形Take4は図1の密閉型イヤホン20の周波数特性である。更に、破線の波形Take6は図6のヘルムホルツイコライザ40における吸入孔43を粘土等で塞いでヘルムホルツ共振の効果を無くした構成の周波数特性である。
図20は、図19の実験の周波数特性の差を示す波形図である。図20の横軸は出力周波数(Hz)、及び縦軸は出力音圧(dB)である。
目標の特定周波数(例えば、6kHz付近)だけが減衰し、他の周波数帯域に影響していない。図6のヘルムホルツイコライザ40が非常に効果的に作用していることが分かる。
(実施例1の効果)
本実施例1の密閉型イヤホン20によれば、次の(1)〜(3)のような効果がある。
(1) 図7に示すように、ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhは、負荷である耳側のインピーダンスZeに対して並列に配置され、更に、図13に示すように、ドライバユニット30のインピーダンスZdと、ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZh及び外耳道側のインピーダンスZeを含めた負荷側全体のインピーダンスZf1/Zf2と、は電圧分割回路を構成している。そのため、ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZhが下がれば、出力音圧outも下がる。従って、簡単な構成、及び容易な構成部品の調整で、特定周波数の音波を効率よく減衰できる。
(2) 図7の電気的等価回路に示すように、ヘルムホルツイコライザ40におけるインピーダンスZhの共振周波数ωは、他の音響回路の影響を受け難い。そのため、他の音響回路に影響を与えることなく、特定周波数の音波を効率よく減衰できる。例えば、ヘルムホルツイコライザ40を別部品とした場合、他のドライバユニット30や別のモデルの音響構造にも音波吸収回路としてそのまま使用できる。
(3) ヘルムホルツイコライザ40の容積は、高域の周波数特性を劣化させない。従って、従来の密閉型イヤホンと同様の音質が得られる。
(実施例2の構成)
図21は、本発明の実施例2における密閉型イヤホン20Aの構成を示す概略の断面図、図22は図21の全体の分解斜視図、更に、図23は図21中のヘルムホルツイコライザ40Aの拡大斜視図である。図21〜図23において、実施例1を示す図1、図5及び図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2の密閉型イヤホン20Aは、構成部品を収納するための実施例1とは異なる形状の略円筒状のフロントハウジング21Aを有している。フロントハウジング21Aの一端には、円形の開口部21aが形成され、他端には、円形の凹部21bが形成されている。凹部21bの底面には、開口部21aよりも口径の小さな円形の開口部21cが形成されている。フロントハウジング21Aの側面側には、実施例1と同様の形状の導音部23が突設されている。導音部23は、実施例1と同様に、フロントハウジング21Aの側面側に突設された略円筒状の導音管23aと、この導音管23aの前面側に着脱自在に装着された外耳道挿入用のイヤピース23bと、により構成されている。
フロントハウジング21Aの一端側の開口部21aの内側には、実施例1と同様のドライバユニット30が装着されている。開口部21aの外側には、ドライバユニット30を覆うように、実施例1とは異なる形状のキャップ形のリアハウジング22Aが取り付けられている。ドライバユニット30の背面側には、実施例1と同様に、コード24が接続され、このコード24がリアハウジング22Aから外側へ引き出されている。
フロントハウジング21Aの他端側の凹部21b内には、実施例1とは異なる形状の壺型(即ち、T型)のヘルムホルツイコライザ40Aが装着されている。ヘルムホルツイコライザ40Aは、ドライバユニット30から出力される音波のヘルムホルツ共鳴により生じる特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音を吸収するものであって、凹部21bに収納された中空円盤形の容器44と、この容器44の底面に突設された口径の小さな円形の筒部45と、により構成されている。容器44は、円形皿状の容器本体44aと、この容器本体44aに被せられた蓋44bと、により構成されている。筒部45は、開口部21cからフロントハウジング21A内へ突出している。開口部21cの内壁面には、前面抵抗材25が装着されている。
ドライバユニット30の出力側は、導音部23の中心軸に対して所定角(90°〜145°内の任意の角度、例えば、90°)で折曲する方向に配置されている。ヘルムホルツイコライザ40Aは、ドライバユニット30の出力側と対向し、且つ、そのドライバユニット30から導音管23aへ出力される音波の一部を吸収する箇所に配置されている。ヘルムホルツイコライザ40Aとドライバユニット30の出力側とは、同一軸上に対向して配置されている。
(実施例2の動作)
図21〜図23に示す密閉型イヤホン20Aの動作を説明する。
コード24から音声信号が送られてくると、フロントハウジング21A及びリアハウジング22A内のドライバユニット30において、ボイスコイル32にローレンツ力が発生し、そのボイスコイル32に取り付けられた振動板33が振動し、音波が出力される。出力された音波の一部は、ヘルムホルツイコライザ40Aの筒部45を通して容器44内へ供給される。すると、容器44においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波の一部における特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音が吸収される。特定周波数の音が吸収された音波は、前面抵抗材25によって所定の周波数の音が減衰され、音導管23a及びイヤピース23bを通してイヤホン装着者の外耳道へ注入される。これにより、外耳道奥の鼓膜が振動し、音波が再生される。
(実施例2の出力特性)
本実施例2の密閉型イヤホン20Aの電気的等価回路は、実施例1の図7と同様である。そのため、本実施例2の密閉型イヤホン20Aは、実施例1と同様の出力特性を有している。
図24は、図23のヘルムホルツイコライザ40Aを用いた図21の密閉型イヤホン20Aの実験結果を示す波形図である。図24の横軸は出力周波数(Hz)、及び縦軸は出力音圧(dB)である。
図24において、実線の波形Take13は図21の密閉型イヤホン20Aの周波数特性である。更に、破線の波形Take14は図23のヘルムホルツイコライザ40Aにおける筒部45を粘土等で塞いでヘルムホルツ共振の効果を無くした構成の周波数特性である。
図25は、図24の実験の周波数特性の差を示す波形図である。図25の横軸は出力周波数(Hz)、及び縦軸は出力音圧(dB)である。
実施例1と略同様に、目標の特定周波数(例えば、6kHz付近)だけが減衰し、他の周波数帯域に影響していない。図23のヘルムホルツイコライザ40Aが非常に効果的に作用していることが分かる。
(実施例2の効果)
実施例2は、実施例1と略同様の効果がある。
(実施例3の構成)
図26は、本発明の実施例3における密閉型イヤホン20Bの構成を示す概略の断面図である。図26において、実施例1及び実施例2を示す図1及び図21中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3の密封型イヤホン20Bは、実施例2の密閉型イヤホン20Aにおいて、実施例1のヘルムホルツイコライザ40を付加した構成になっている。
実施例2と略同様のフロントハウジング21Bと実施例2と同様のリアハウジング22Aとには、実施例2と同様のドライバユニット30と第1ヘルムホルツイコライザ40Aとが収納されている。フロントハウジング21Bの側面側には、実施例2と略同様の導音部23Bが突設されている。導音部23Bは、フロントハウジング21Bの側面側に突設された、実施例2の導音管23aよりも長い略円筒状の導音管23cと、この導音管23cの前面側に着脱自在に装着された、実施例2と同様の外耳道挿入用のイヤピース23bと、により構成されている。導音管23cにおいて、フロントハウジング21B寄りには、実施例1と同様の第2ヘルムホルツイコライザ40が配設されている。
即ち、ドライバユニット30の出力側は、導音部23Bの中心軸に対して所定角度(90°〜145°内の任意の角度、例えば、90°)で折曲する方向に配置されている。第1ヘルムホルツイコライザ40Aは、ドライバユニット30の出力側と対向し、且つ、第1の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音を吸収する箇所に配置されている。第1ヘルムホルツイコライザ40Aとドライバユニット30の出力側とは、同一軸上に対向して配置されている。更に、第2ヘルムホルツイコライザ40は、導音部23Bの中心軸に対して直交し、且つ、第2の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の、第1の特定周波数とは異なるいずれか1つの周波数)の音を吸収する箇所に配置されている。
(実施例3の動作)
図26に示す密閉型イヤホン20Bの動作を説明する。
コード24から音声信号が送られてくると、フロントハウジング21B及びリアハウジング22A内のドライバユニット30において、ボイスコイル32にローレンツ力が発生し、そのボイスコイル32に取り付けられた振動板33が振動し、音波が出力される。出力された音波の一部は、第1ヘルムホルツイコライザ40Aの筒部45を通して容器44内へ供給される。すると、容器44においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波の一部における第1の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音が吸収される。第1の特定周波数の音が吸収された音波は、前面抵抗材25によって所定の周波数の音が減衰される。
更に、減衰された音波の一部は、第2ヘルムホルツイコライザ40内の吸収孔43を通して中空部42内へ供給される。すると、中空部42においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波の一部における第2の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の、第1の特定周波数とは異なるいずれか1つの周波数)の音が吸収される。第2の特定周波数の音が吸収された音波は、音導管23c及びイヤピース23bを通してイヤホン装着者の外耳道へ注入される。これにより、外耳道奥の鼓膜が振動し、音波が再生される。
(実施例3の出力特性)
図27は、図26の密閉型イヤホン20Bの電気的等価回路を示す図である。図27では、実施例1の電気的等価回路を示す図7中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3の電気的等価回路では、第1ヘルムホルツイコライザ40AのインピーダンスZh1と並列に、第2ヘルムホルツイコライザ40のインピーダンスZh2が接続されている。そのため、第1及び第2の特定周波数だけが減衰した音圧の音波が出力される。
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、2つの第1、第2ヘルムホルツイコライザ40A,40を設けたので、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の任意の2つの周波数の音波を減衰できる。そのため、聞こえる音の空間を広く感じさせることができる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
(a) 図21において、ヘルムホルツイコライザ40Aとドライバユニット30の出力側とは、傾斜して対向して配置しても良い。このような構成に変形しても、実施例2と略同様の作用効果を奏することができる。
(b) 図26において、ヘルムホルツイコライザ40Aとドライバユニット30の出力側とは、傾斜して対向して配置しても良い。このような構成に変形しても、実施例3と略同様の作用効果を奏することができる。
(c) 図6のヘルムホルツイコライザ40は、図示以外の構造に変形しても良い。例えば、中空部42は、フロントハウジング21の内壁面にて閉塞される構造になっているが、中空部42の外周面自体が閉塞された構造に変形しても良い。
(d) 図5の導音部23は、導音菅23a及びイヤピース23bにより構成されているが、他の構造や形状に変形しても良い。例えば、イヤピース23bは、他の形状のイヤパッドで構成したり、或いは、導音菅23a及びイヤピース23bを一体形の構造に変形しても良い。同様に、図26中の導音菅23Bについても、同様の変形が可能である。
20,20A,20B 密閉型イヤホン
21,21A,21B フロントハウジング
22,22A リアハウジング
23,23B 導音部
24 コード
30 ドライバユニット(電気音響変換器)
40,40A ヘルムホルツイコライザ(ヘルムホルツ吸収部)
41 環状部材
42 中空部
43 吸収孔
44 容器
45 筒部
本発明の密閉型イヤホンは、電気信号を音波に変換して出力する電気音響変換器(以下「ドライバユニット」という。)と、外耳道の入口に挿入され、前記ドライバユニットから出力される前記音波を前記外耳道へ導く導音部と、前記ドライバユニットから出力される前記音波のヘルムホルツ共鳴により生じる第1の特定周波数の音を吸収する第1ヘルムホルツ吸収部(以下「第1ヘルムホルツイコライザ」という。)と、を備えている。
前記第1ヘルムホルツイコライザは、中空の環状部材と、前記環状部材の内周面により形成されて前記ドライバユニットから出力される前記音波を通過させる貫通孔と、前記内周面に形成されて前記貫通孔を通過する前記音波の一部を吸収する吸収孔と、を有し、前記ドライバユニット、前記第1ヘルムホルツイコライザ、前記導音部、及び前記外耳道は、前記ドライバユニットの第1インピーダンスと、前記第1インピーダンスに対して並列に接続された前記第1ヘルムホルツイコライザの第2インピーダンスと、前記第1インピーダンスに対して直列に接続された前記導音部の第3インピーダンスと、前記第3インピーダンスに対して直列に接続された前記外耳道の第4インピーダンスと、を有する音響等価回路により構成されている、ことを特徴とする。
又、例えば、前記密閉型イヤホンには、第2ヘルムホルツ吸収部(以下「第2ヘルムホルツイコライザ」という。)が設けられている。前記第2ヘルムホルツイコライザは、前記ドライバユニットの出力側と前記第1ヘルムホルツイコライザとの間であって、前記ドライバユニットの出力側と対向する位置に設けられ、前記ドライバユニットから出力される前記音波のヘルムホルツ共鳴により生じる第2の特定周波数の音を吸収するものである。そして、前記第2ヘルムホルツイコライザの第5インピーダンスは、前記第1ヘルムホルツイコライザの第2インピーダンスに対して並列に接続されている。
本発明の密閉型イヤホンによれば、第1ヘルムホルツイコライザを設け、この第1ヘルムホルツイコライザにより、特定周波数の音波を吸収しているので、構成が簡単で、その構成部品の調整が容易であり、他の音響回路に影響を与えることなく、特定周波数の音波を効率よく減衰できる。又、例えば、2つの第1、第2ヘルムホルツイコライザを設け、2つの特定周波数を吸収する構成にすれば、聞こえる音の空間を広く感じさせることができる。
フロントハウジング21内において、背面の後面側から正面の前面側にかけて、略円盤形のドライバユニット30と、ドーナツ形(即ち、I形)の第1ヘルムホルツイコライザ40と、ドーナツ板状の前面抵抗材25と、が収納されている。
(実施例1の出力特性)
図7は、図1の密閉型イヤホン20の電気的等価回路を示す図である。
リアハウジング22のインピーダンスZrには、音声信号源S、ドライバユニット30の第1インピーダンスZd、及びドライバユニット30の前面側の前面容量Cfが直列に接続されている。ドライバユニット30のインピーダンスZdは、インダクタLd、容量Cd、及び抵抗Rdの直列回路で表わすことができる。前面容量Cfに対して、前面抵抗材25の前面抵抗Rfと第1ヘルムホルツイコライザ40の第2インピーダンスZhとが並列に接続されている。第1ヘルムホルツイコライザ40の第2インピーダンスZhは、抵抗Rh、インダクタLh及び容量Chの直列共振回路で表わすことができる。第2インピーダンスZhの両電極間には、導音管23aに相当するインダクタApの第3インピーダンスと耳側の第4インピーダンスZeとが直列に接続されている。
実施例2と略同様のフロントハウジング21Bと実施例2と同様のリアハウジング22Aとには、実施例2と同様のドライバユニット30と第2ヘルムホルツイコライザ40Aとが収納されている。フロントハウジング21Bの側面側には、実施例2と略同様の導音部23Bが突設されている。導音部23Bは、フロントハウジング21Bの側面側に突設された、実施例2の導音管23aよりも長い略円筒状の導音管23cと、この導音管23cの前面側に着脱自在に装着された、実施例2と同様の外耳道挿入用のイヤピース23bと、により構成されている。導音管23cにおいて、フロントハウジング21B寄りには、実施例1と同様の第1ヘルムホルツイコライザ40が配設されている。
即ち、ドライバユニット30の出力側は、導音部23Bの中心軸に対して所定角度(90°〜145°内の任意の角度、例えば、90°)で折曲する方向に配置されている。第2ヘルムホルツイコライザ40Aは、ドライバユニット30の出力側と対向し、且つ、第2の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音を吸収する箇所に配置されている。第2ヘルムホルツイコライザ40Aとドライバユニット30の出力側とは、同一軸上に対向して配置されている。更に、第1ヘルムホルツイコライザ40は、導音部23Bの中心軸に対して直交し、且つ、第1の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の、第2の特定周波数とは異なるいずれか1つの周波数)の音を吸収する箇所に配置されている。
(実施例3の動作)
図26に示す密閉型イヤホン20Bの動作を説明する。
コード24から音声信号が送られてくると、フロントハウジング21B及びリアハウジング22A内のドライバユニット30において、ボイスコイル32にローレンツ力が発生し、そのボイスコイル32に取り付けられた振動板33が振動し、音波が出力される。出力された音波の一部は、第2ヘルムホルツイコライザ40Aの筒部45を通して容器44内へ供給される。すると、容器44においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波の一部における第2の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等のいずれか1つの周波数)の音が吸収される。第2の特定周波数の音が吸収された音波は、前面抵抗材25によって所定の周波数の音が減衰される。
更に、減衰された音波の一部は、1ヘルムホルツイコライザ40内の吸収孔43を通して中空部42内へ供給される。すると、中空部42においてヘルムホルツ共鳴が生じ、音波の一部における第1の特定周波数(例えば、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の、第2の特定周波数とは異なるいずれか1つの周波数)の音が吸収される。第1の特定周波数の音が吸収された音波は、音導管23c及びイヤピース23bを通してイヤホン装着者の外耳道へ注入される。これにより、外耳道奥の鼓膜が振動し、音波が再生される。
(実施例3の出力特性)
図27は、図26の密閉型イヤホン20Bの電気的等価回路を示す図である。図27では、実施例1の電気的等価回路を示す図7中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3の電気的等価回路では、第2ヘルムホルツイコライザ40Aの第5インピーダンスZh1と並列に、第1ヘルムホルツイコライザ40の第2インピーダンスZh2が接続されている。そのため、第2及び第1の特定周波数だけが減衰した音圧の音波が出力される。
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、2つの第2、第1ヘルムホルツイコライザ40A,40を設けたので、1kHz付近、6kHz付近、あるいは10kHz付近等の任意の2つの周波数の音波を減衰できる。そのため、聞こえる音の空間を広く感じさせることができる。

Claims (10)

  1. 電気信号を音波に変換して出力する電気音響変換器と、
    外耳道の入口に挿入され、前記電気音響変換器から出力される前記音波を前記外耳道へ導く導音部と、
    前記外耳道側の負荷に対して並列に配置され、前記電気音響変換器から出力される前記音波のヘルムホルツ共鳴により生じる特定周波数の音を吸収するヘルムホルツ吸収部と、
    を有することを特徴とする密閉型イヤホン。
  2. 前記電気音響変換器のインピーダンスと、
    前記ヘルムホルツ吸収部のインピーダンス及び前記外耳道側のインピーダンスを含めた負荷側インピーダンスと、
    は電圧分割回路を構成していることを特徴とする請求項1記載の密閉型イヤホン。
  3. 前記ヘルムホルツ吸収部は、
    第1の前記特定周波数の音を吸収する第1ヘルムホルツ吸収部と、
    前記第1ヘルムホルツ吸収部に対して並列に接続され、第2の前記特定周波数の音を吸収する第2ヘルムホルツ吸収部と、
    により構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の密閉型イヤホン。
  4. 前記電気音響変換器の出力側と前記音導部とは、同一軸上に配置され、
    前記ヘルムホルツ吸収部は、前記電気音響変換器の出力側と前記音導部との間であって、前記同一軸に対して直交する方向に配置されていることを特徴とする請求項2記載の密閉型イヤホン。
  5. 前記電気音響変換器の出力側は、前記導音部の中心軸に対して所定角度で折曲する方向に配置され、
    前記ヘルムホルツ吸収部は、前記電気音響変換器の出力側と対向し、且つ、前記電気音響変換器から前記導音部へ出力される前記音波の一部を吸収する箇所に配置されていることを特徴とする請求項2記載の密閉型イヤホン。
  6. 前記電気音響変換器の出力側は、前記導音部の中心軸に対して所定角度で折曲する方向に配置され、
    前記第1ヘルムホルツ吸収部は、前記電気音響変換器の出力側と対向し、且つ、前記第1の特定周波数の音を吸収する箇所に配置され、
    前記第2ヘルムホルツ吸収部は、前記導音部の中心軸に対して直交し、且つ、前記第2の特定周波数の音を吸収する箇所に配置され、
    ていることを特徴とする請求項3記載の密閉型イヤホン。
  7. 請求項4記載のヘルムホルツ吸収部は、
    中空の環状部材からなり、前記環状部材の内周面に、前記音波の吸収孔が形成されていることを特徴とする密閉型イヤホン。
  8. 請求項6記載の第2ヘルムホルツ吸収部は、
    中空の環状部材からなり、前記環状部材の内周面に、前記音波の吸収孔が形成されていることを特徴とする密閉型イヤホン。
  9. 請求項5又は6記載の所定角度は、90°〜145°内の任意の角度であり、
    請求項5記載のヘルムホルツ吸収部又は請求項6記載の第1ヘルムホルツ吸収部と前記電気音響変換器の出力側とは、同一軸上又は傾斜して対向している、
    ことを特徴とする密閉型イヤホン。
  10. 請求項9記載のヘルムホルツ吸収部又は第1ヘルムホルツ吸収部は、
    前記音波を吸収する筒部と、前記筒部の端部に設けられた容器と、を有することを特徴とする密閉型イヤホン。
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