JP6761277B2 - スピーカシステム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、スピーカシステムに関する。
圧電スピーカは、電圧により変形する圧電素子とそれに取り付けた圧電素子用振動板(シム材と呼ぶ)により音を発生するもので、たとえば防犯ブザーや電子機器等の警告音に用いられる。圧電素子自体は非磁性体であるので一般的なダイナミック型のスピーカが使用できないような強磁場環境下での使用、たとえばMRI(magnetic resonance imaging)の中等で使用することが期待される。
ただし、圧電スピーカを含むイヤホンやヘッドホンは音質が悪いという問題がある。
特開2010−227500号公報 特許第4548783号公報
本発明が解決しようとする課題は、音質を改善したスピーカシステムを提供することである。
実施形態のスピーカシステムは、第1信号をフィルタリングして複数の第2信号を生成する複数のフィルタと、少なくとも2つの異なる形状を有する複数の振動板と、前記振動板のそれぞれに設置される加振源と、を有し前記複数の第2信号を音波に変換する複数のスピーカと、を備え、前記振動板の各辺の長さは、1/√2,1/√3,1/√4,1/√5,1/√7,1/√11・・・のいずれかの値に所定の倍数をかけたものであり、前記複数の振動板において、前記所定の倍数は同じであり、前記振動板のそれぞれの伝達特性は互いに異なり前記伝達特性に対応する前記フィルタのそれぞれは、前記スピーカの合成音波の伝達特性が目標伝達特性に近づくように設定されるスピーカシステムである。
第1の実施形態にかかるスピーカシステムを示す斜視図と断面図である。 背面部2bに支持された振動板3を示す図である。 実施例1の形状を示す図である。 実施例1の振動板3−1、3−2から集音部5までの伝達特性P1及びP2のシミュレーション結果を示す図である。 実施例1のフィルタH1及びH2の伝達特性のシミュレーション結果を示す図である。 実施例1の集音部5位置での合成音波の伝達特性のシミュレーション結果を示す図である。 実施例2の形状を示す図である。 実施例2の振動板3−1、3−2から集音部5までの伝達特性P1及びP2のシミュレーション結果を示す図である。 実施例2のフィルタH1及びH2の伝達特性のシミュレーション結果を示す図である。 実施例2の集音部5位置での合成音波の伝達特性のシミュレーション結果を示す図である。 振動板3に加振源4を貼り付けた一例を示す図である。 ボルト20とナット21を用いて加振源4を振動板3に取り付けた一例を示す図である。 図12の振動板3側のボルト20の先端に発砲材22を取付けた一例を示す図である。 第1の実施形態の変形例1にかかるスピーカシステムを示す斜視図と断面図である。 第1の実施形態の変形例2にかかるスピーカシステムを示す斜視図と断面図である。 第2の実施形態にかかるスピーカシステムを示す斜視図と断面図である。 背面部2bに支持された形状が異なる3種類の振動板3を示す図である。 第1の実施形態のスピーカシステムを複数並べた一例を示す図である。 スピーカを立体的に配置したときのスピーカシステムを示す斜視図である。 MRI装置31の構成を示す図である。 収納容器30の斜視図と断面図である。 収納容器30の側面部の一部に開口部を有する構造の斜視図と断面図である。 収納容器30に仕切り部36を設置した一例を示す斜視図と断面図である。 収納容器30の背面部30bに開口部を更に設けた一例を示す斜視図と断面図である。 図23の背面部30bの開口部にリブ37を設けた一例を示す斜視図と断面図である。 図21、22、23、24、25に示す収納容器に音波を伝搬させるチューブ38を設けた形状を示す図である。 仕切り部36を1つ設けた収納容器30の一例を示す図である。 音響パワーの低減量を示す図である。 仕切り部36にガイドあるいは開口部を設けた一例を示す図である。 2つの制御音源の中心に制御マイク39を配置した一例を示す図である。 音響パワーの低減効果を示した図である。 制御マイク39の配置位置を示す図である。 収納容器内の制御マイク39の設置箇所を示す図である。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。ここで、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるスピーカシステムの斜視図と断面図である。
本実施形態のスピーカシステム1は、入力信号(input)をフィルタリングするフィルタ12−1、12−2と、フィルタリングされた信号に基づいて音を発する一対のスピーカ11−1、11−2を備える。スピーカ11−1は、加振源4−1および振動板3−1を含む。スピーカ11−2は、加振源4−2および振動板3−2を含む。フィルタ12−1、12−2は入力信号をそれぞれフィルタリングして加振源4−1、4−2に与えるもので、そのフィルタリング特性を可変できるものが好ましいが、後述するように最適なフィルタリング特性が設定できた場合にはその状態で固定してもよい。スピーカ11−1、11−2の伝達特性が互いに異なるものとなるようにするため、振動板3−1と3−2は互いに異なる形状のものを用いると好ましい。スピーカ11−1、11−2は収納容器2内に設けられる。
耳を収容するための収納容器2は、さらに振動板3−1、3−2が発する2つの音波を合成する集音部5と、集音部5を設置するホルダ6及びクッション(耳当て)7を含む。
収納容器2は、前面部2aとそれと対向する背面部2bと前面部2a及び背面部2bを支える側面部2cを有する。前面部2aには、耳等を挿入するための開口部を有する。収納容器2は、例えば箱型構造であり、その内部は基本的に中空である。収納容器2は耳を挿入した状態で基本的に密閉されているため、外部騒音を遮音でき、聴感は良いものとなる。
背面部2bに沿って、複数の振動板3を配置する。ここでは、簡単のため2枚の振動板3−1、3−2を上下方向に並べた場合について説明する。
振動板3−1、3−2は、背面部2bと例えば別途設けられた押さえ9により挟持するように支持される。背面部2bと押さえ9は、振動板3−1、3−2の周辺を挟持するための複数の挟持部8を有する。挟持部8はゴムやパッキン等の弾性部材でも良い。
背面部2b及び押さえ9には、振動板3−1、3−2のそれぞれの面積より若干小さい穴10が設けられる。この穴10の数は背面部2bに支持される振動板3の数と同一である。これにより背面部2b及び押さえ9により支持した状態で前面及び背面から振動板3−1、3−2を目視することができる。振動板3−1、3−2は、前面部2aと背面部2bの間に位置する。
加振源4−1、4−2は、振動板3−1、3−2に振動を印加するもので、それぞれの振動板3−1、3−2の背面のほぼ中央付近に設置されるのが好ましい。中央以外にも、たとえば、振動板のモードをすべて励起する長辺、短辺1/3の倍数に対応する位置でも良い((1/3、1/3)、(2/3、1/3)、(1/3、2/3)、(2/3、2/3))。加振源4−1、4−2は、例えばピエゾスピーカ、ピエゾアクチュエータやバイブロアクチュエータなどを用いるのが良い。ピエゾ系のアクチュエータを用いることにより、強磁場環境下でも使用が可能となる。振動板3への加振源4の固定方法については後述する。
ホルダ6は前面部2aと振動板3の間の中央付近に設置され、ホルダ6に集音部5が固定される。さらにホルダ6は振動板3との距離を調整することができる。集音部5は、後述する、フィルタ12を作製するための評価用マイクとして使用される。集音部5は、フィルタ12を作製した後は必ずしも必須の構成ではない。ただし、スピーカシステム1を能動消音システム(ANC;Active Noise Control)等として用いる場合、聴取者の外耳道14での騒音を低減するために集音部5で集音した音波は用いられる。
クッション(耳当て)7は、前面部2aの開口部を囲うように設置される。クッション(耳当て)7の材料としてはスポンジ等、一般的なヘッドホンに使用されている材料を用いて良い。
スピーカ11−1、11−2の2つの場合について説明したが、スピーカは複数あっても良い。
以下に第1の実施形態にかかるスピーカシステム1の周波数特性の平坦化手法を説明する。
図2は、スピーカシステム1が用いられる、背面部2bに支持された振動板3とそれに貼り付けられた加振源4を背面側から示した図である。ここでは簡単のためスピーカ11が2つの場合を説明する。フィルタ等の構成は図1と同様であるので省略した。
本実施形態にかかるスピーカシステム1は、入力信号から出力信号までの周波数特性を平坦化させることができる。既述のように、スピーカ11−1と11−2に対応したフィルタ12−1と12−2を有するため、スピーカ11−1に入力される信号は、フィルタ12−1でフィルタリングされる。また、スピーカ11−2に入力される信号は、フィルタ12−2でフィルタリングされる。
フィルタ12−1、12−2は、下記式(1)を満たすように設計される。
ここで、H1、H2はフィルタ12−1、12−2の伝達特性を表す。P1はスピーカ11−1から集音部5までの伝達特性を表し、P2はスピーカ11−2から集音部5までの伝達特性を表す。目標伝達特性Dは、入力信号から出力信号(すなわち、集音部5での合成音波の音圧)までの目標の伝達特性を表す。伝達特性P1、P2は事前に測定される。
この場合集音部5は、伝達特性P1、P2の測定のために使用する評価マイクとして機能し、フィルタ12−1、12−2を設計するために用いられる。集音部5は、聴取者の外耳道14の入口が位置すると想定される位置に設定するのが望ましい。上述したように、スピーカ11−1、11−2は、伝達特性P1、P2が互いに異なるように設定される。よって、図2の振動板3−1、3−2の形状はそれぞれ異なる形状となる。
入力信号は、上記式(1)の目標伝達特性に近づくように設計されたフィルタ12−1と12−2でフィルタリングされ、それぞれスピーカ11−1と11−2に出力信号として出力される。スピーカ11−1と11−2は、それぞれの出力信号を音波に変換する。スピーカ11−1と11−2から発せられる音波は集音部5が設置される評価点(聴取者の外耳道14の入口付近)で合成音波として出力される。この合成音波は、目標帯域で目標伝達特性に似た平坦な周波数特性となる。
振動板3の形状が、例えばN通り異なる場合はスピーカ11−1、11−2、・・・、11−Nから集音部5までの伝達特性はN通り存在する。集音部5は、スピーカ11−1、11−2、・・・、11−Nから発せられた音波を合成し、合成音波を聴取者の外耳道14に導く。目標伝達特性をDとすると。フィルタ12−1、12−2、・・・、12−Nは以下の式(2)を満たすように設計される。
ここで、Hiはフィルタ12−iの伝達特性を表し、Piはスピーカ11−iから集音部5までの伝達特性を表し、目標伝達特性Dは、入力信号から出力信号(すなわち、集音部5での合成音波の音圧)までの目標の伝達特性を表す。伝達特性P1、P2、・・・、PNは事前に測定される。
スピーカ11−1、11−2、・・・、11−Nは、伝達特性P1、P2、・・・、PNが互いに異なり、相補的な関係になるように設計される。
一般的に、目標伝達特性Dは周波数帯域全体にわたって平坦な伝達特性であることが望ましい。しかしながら、実際には、スピーカ自体の特性や空間特性を考慮して、特定の周波数帯域において平坦な伝達特性となるように目標伝達特性が設定される。例えば、音楽や音声を再生する場合、100Hzから20kHzまでの伝達特性が平坦であればよく、平坦な伝達特性の帯域をそれ以上広げる必要はない。また、スピーカシステムをANCに適用する場合、一般にANCで低減しようとする騒音信号は低周波であるため、目標伝達特性は100Hzから2.5kHzまで平坦な特性を持つように設定すればよい。このように、目標伝達特性は状況に応じて設定される。以下の説明では、目標帯域は100Hz以上2.5kHz以下の範囲の周波数を平坦化するように設定される。
振動板3の形状が2通りであるとき、フィルタ12−1、12−2の伝達特性H1、H2が式(1)を満たす場合、入力信号(input)から出力信号(output)までの伝達特性が目標伝達特性に近づく。式(1)を満たす伝達特性H1、H2を求める方法としては、例えば、MINT(multiple−input/output inverse−filtering theorem)などの手法を利用することができる。フィルタ12−1、12−2を設計する方法は、MINTを用いる方法に限らず、任意の他の方法であってもよい。
MINTを用いる場合、P1とP2の伝達特性が重ならず互いに相補的な特性関係であることが好ましいため、理想的な目標伝達特性Dを得るには振動板の形状、振動板の支持方法、加振源の振動板への固定方法や固定位置を最適とすることが好ましい。
以下に本実施形態にかかるスピーカシステムについて例を挙げて説明する。
図3は、本実施形態にかかるスピーカシステムの実施例1について示す。図3は、スピーカシステムを背面側から図示し、フィルタ等の構成は図1と同様であるため省略した。
スピーカは2つの振動板3−1及び3−2を用いた。振動板3−1の寸法は、56.6mm×35.8mm×0.2mm(縦×横×厚さ)とし、振動板3−2の寸法は、46.2mm×40mm×0.2mm(縦×横×厚さ)とした。振動板3の材料はPET材とし、振動板3の支持方法は4辺単純支持とした。振動板3−1及び3−2の形状は以下の式(3)を用いて算出した。
4辺単純支持の場合の固有角振動数は、以下の式(3)で求まる(a、b は辺の長さ、m、nはモードを表す整数、D0、ρは材料固有の値、hは厚みとした)。
よって、振動板3の各辺の長さを1/√2,1/√3,1/√4,1/√5,1/√7,1/√11・・・の内いずれかの組み合わせの倍数(倍率同じ)にすればモード密度が高くなることがわかる。今回の設計では、振動板3−1は、1/√2(縦)、1/√5(横)の0.08倍とし、振動板3−2は、1/√3(縦)、1/√4(横)の0.08倍とした。
加振源4の設置位置は振動板3の中央とし、サイズは5mm角とした。集音部は、背面板中央の高さ30mmの位置に設置した。
図4は、各振動板3−1、3−2から集音部5までの伝達特性P1及びP2のシミュレーション結果であり、振動板3−1,3−2の最適設計により互いに共振がほとんど重ならず、相補的な関係になっていることがわかる。
図5は、フィルタH1及びH2の伝達特性のシミュレーション結果であり、図4においてP1のゲインがP2に比べ高い周波数帯域においてH1のゲインがH2に比べ高くなっており、P1のゲインがP2に比べ低い周波数帯域においてH1のゲインがH2に比べ低くなっているため互いに補い合っている。
図6は、フィルタ適用後の集音部5での合成音波の伝達特性のシミュレーション結果である。目標帯域(100−2500 Hz)において目標伝達特性(図中のref)に近い平坦な特性になっていることがわかる。
図7は、本実施形態にかかるスピーカシステムの実施例2について示す。図7は、スピーカシステムを背面側から図示し、フィルタ等の構成は図1と同様であるため省略した。
スピーカとしては2つの振動板3−1及び3−2を用いた。振動板3−1の寸法は、56.6mm×35.8mm×0.2mm(縦×横×厚さ)とし、振動板3−2の寸法は、40mm×10mm×0.2mm(縦×横×厚さ)とした。振動板3の材料はPET材とし、振動板3−1の支持方法は4辺単純支持とした。振動板3−2の支持方法は片側固定で、いわゆる片持ち梁となるように背面板に支持した。振動板3−1の加振源4−1の設置位置は、図7に示す正方形の領域として、中央位置とした。振動板3−2の加振源4−2の設置位置は、短手方向には中央位置として、長手方向には固定端側に寄った位置とした。加振源4のサイズは5mm角とした。集音部5は、背面板中央に高さ30mmの位置とした。さらに、振動板3−2は片持ち梁であるため出力音圧が低い。よって、あらかじめ加振源4のゲイン比は振動板3−1と3−2において1:4に設定する。
片側固定端梁の固有角振動数は以下の式(4)のようになるため、4辺単純支持の振動板3−1の固有角振動数と相補的な関係になるように設計した(梁の長さa、幅b、厚みh、面密度ρS2、断面二次モーメントI)。
図8が、各振動板3から集音部5までの伝達特性P1及びP2のシミュレーション結果である。振動板3−1、3−2の最適設計を行ったが実施例1ほど相補的な関係になっていないことがわかる。
図9が、フィルタH1、H2の伝達特性のシミュレーション結果であり、実施例1に比べ、実施例2では相補関係があまり成り立っていないが、500Hz、1500Hz、2300Hzの周波数付近にて振動板3−2が振動板3−1を補っていることがわかる。相補関係があまり成り立っていない理由は振動板3−2自体のモード密度が低いためである。
図10がフィルタ適用後の集音部5での合成音波の伝達特性のシミュレーション結果であり、目標帯域(100−2500 Hz)において500Hz、1500Hz、2300Hzの周波数付近で−10dB程度、目標伝達特性(図中のref)から乖離していることがわかる。これは、振動板3−1のノッチ帯域と一致しており、振動板3−2では補えきれなかったことがわかる。実施例1の方が実施例2よりも目標帯域での伝達特性が平坦となっておりスピーカシステムの実施形態としてはより好ましい。
その他に、振動板3が円形形状である場合も考えられる。振動板3の支持方法を周辺単純支持とした場合の固有角振動数は、以下の式(5)により与えられる。式(5)を用いることにより円板形状を最適に設計することができる。
実施例1及び2の結果から、目標帯域におけるフィルタH1、H2の伝達特性のゲイン差を20dB以内とし、フィルタ適用後の入出力特性と目標伝達特性との差が12dB以内となるように各振動板3の共振周波数を設計するのが良い。
振動板3と加振源4との固定方法について以下に説明する。
図11は、振動板3の中央に加振源4を貼り付けた側面図であり、最も単純な形式である。加振源4には圧電セラミックを用いた。加振源4の貼り付けには、接着剤や両面テープを用い振動板3と加振源4の接触面全面を接着した。この場合、振動板3の振動モードはシミュレーションの値から大きく変動した。特に、振動板の面積が小さい場合に顕著であった。これは、固定に用いた接着剤や両面テープの影響で振動板がダンピングされて加振源4からの振動が効率良く振動板3に伝達されないため及び、加振源と振動板3が連成して振動するためである。
図12は、ボルト20とナット21を用いて加振源4を振動板3に取り付けた側面図である。振動板3と加振源4の中央にボルトを貫通して、振動板3と加振源4のそれぞれをナットで挟んで固定した。振動板3と加振源4は、ボルト20を介して離れた位置で固定される。これにより、図11の場合と比較して、振動板3の中央を効果的に加振することが可能となり、振動板3の振動モードがシミュレーションの値に近づく。このため、振動板3と加振源4の固定方法は図12の構成とすることが好ましい。
図13は、図12の振動板3側のボルト20の先端にスペーサ23を設置し、そこに発砲材22を取付けた一例である。振動板3の面積が小さい場合、500Hz以下の低周波の音圧が生じにくいことが多い。これは、面積が小さい振動板の場合低い周波数では空気を揺らすほど振動しないためである。
この点、発泡材22は、音響インピーダンスが空気と近く放射効率がよいため、低域発音体として適している。発泡材22を振動板3にそのまま貼り付けると、振動板3の振動を阻害してしまうため、ボルト20を介して発泡材22を取付け、振動板3と発泡材22のそれぞれに加振源4の振動が伝達するようにしている。また、発泡材22の発音効率は表面積によるため、できるだけ大きな発泡材22を取り付けることが好ましい。
以上のように本実施形態によると、形状の異なる2つの振動板3−1、3−2を用いて、それぞれの振動板の伝達特性を相補的な関係となるように設計することにより、1つの伝達特性では実現できない伝達特性の帯域を他の伝達特性で補うことができる。すなわち、入力信号から出力信号までの伝達特性が所望する周波数帯域において平坦になるように設計されたフィルタを用いることにより、入力信号の伝達特性と出力信号の伝達特性との間の差を低減することができる。
(第1の実施形態の変形例1)
図14は、第1の実施形態の変形例1にかかるスピーカシステムの斜視図と断面図である。フィルタ等の構成は図1と同様であるため省略した。
本実施形態は、背面部2bと接し振動板3の背面に設置された加振源4を覆うようにキャビティ15が設置される。キャビティ15は、例えば背面板2bに取り付けられた状態で振動板3と加振源4を背面から密閉する。
キャビティ15を設置することによって、バッフル効果による音圧を増加することができる。キャビティ15の形状は、箱型を基本とするが、その他にも円柱型、丸型等、様々な形状をとることができる。その他の構成は第1の実施形態にかかるスピーカシステムと同様である。
(第1の実施形態の変形例2)
図15は、第1の実施形態の変形例2にかかるスピーカシステムの斜視図と断面図である。フィルタ等の構成は図1と同様であるため省略した。
本実施形態は、収納容器2の背面部2bを側面部2cから引き離して、背面部2bと側面部2cの間に空間を設けた。背面部2bと側面部2cは、それぞれの縁部を複数の支柱16でつないだ構成とした。支柱16の数は、背面部2bと側面部2c及び前面部2aを安定して固定できる本数であれば良く通常は4本程度である。これにより収納容器に耳を入れた状態での密閉感を低減することができる。さらに外部音声も取得可能となる。その他の構成は第1の実施形態にかかるスピーカシステムと同様である。
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態にかかるスピーカシステムの斜視図と断面図である。フィルタ等の構成は第1の実施形態と同様であるため省略した。
本実施形態は、収納容器2の前面部2aの開口部を削除して、開口部の代わりにチューブ接続部17を設けた。チューブ接続部17にはチューブ18が設置され、チューブ18は聴取者の外耳道14へ音波を伝える。チューブ18の外耳道14側の先端には、耳介挿入部19を設けても良い。耳介挿入部19はイヤホン等を含む。チューブ18の先端には、耳介挿入部19の代わりに耳を覆うイヤマフを設けても良い。
チューブ18は、音波を伝達することができる中空管を指し、チューブ18としては、例えば、樹脂などの可撓性材料で形成された柔軟性のあるチューブ18を用いても良い。チューブ18が非磁性体で形成される場合、MRI装置のような強磁場環境下でも本実施形態にかかるスピーカシステムを使用することができる。
実施形態のスピーカシステムをANCに用いる場合は、耳介挿入部19付近に集音部5を設置する。この場合、耳介入口が音圧出力位置となる。
本実施形態は、第1の実施形態と異なり背面部2bは耳に取り付けるサイズを考慮する必要がないため、異なる振動特性を有する振動板3を2枚用いる場合、振動板3の大きさを大きくすることができる。これにより、より低い周波数の音を効率的に出力可能となる。
図17は、それぞれ形状が異なる振動板3−1、3−2及び3−3の3種類用いた場合を示す。図17は背面側からスピーカシステム1を見た図であり、フィルタ12等の構成は図示していない。
この場合、目標伝達特性Dを得るためのフィルタ12は以下の式(6)で設計される。
ここで、H1、H2、H3はフィルタ12−1、12−2、12−3の伝達特性を表す。P1、P2、P3は、各スピーカ11−1、11−2、11−3から集音部5までの伝達特性を表す。目標伝達特性Dは、入力信号から出力信号(すなわち、集音部5での合成音波の音圧)までの目標の伝達特性を表す。伝達特性P1、P2、P3は事前に測定される。
このように、それぞれ形状の異なる振動板3−1、3−2及び3−3を用いることによって、MINTをより適用しやすくすることもできる。
図18は、本実施形態にかかるスピーカシステムを複数並べた一例である。複数のスピーカシステムを用いることで音圧を増大させることができる。たとえば図18では8つのスピーカシステムを用いているため、おおよそ18dB増加を見込める(6log2N、N=スピーカシステム数)。
また、この場合に用いる振動板3は振動板3−1と3−2の2種類であるため、適用するフィルタ12−1、12−2は2つで良い。フィルタ12−1、12−2を導出するための伝達特性P1、P2は、それぞれの振動板3(スピーカ11)から集音部5までの伝達特性である。フィルタ12−1、12−2は式(1)を満たすように設計される。
さらに、図19は、背面部2bに設置されたスピーカ11−1と11−2を立体的に配置したときのスピーカシステムを示す図である。図19(a)は、6面体(4角柱)の対向に2つ配置した場合を示す。図19(b)は、6面体(4角柱)の側面に4つ配置した場合を示す。チューブ18の一端は6面体の中央に繋がれる。
図18に示すように単に複数のスピーカシステムを平面で並べる構成だと、各スピーカ11から集音部までの距離が異なり、音圧増加効果が減少するが、図19のような構成では、各スピーカ11から集音部までの距離が同一距離であるため見込み通りの音圧増加効果を達成できる。
なお、図19では形状を4角柱としているが、それ以外にも多角柱の形状とすることもできる。また、共鳴や励振を防止するために中に吸音材を入れることもできる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、MRI装置内で用いる場合の耳の収納容器30の形状について説明する。
図20は、MRI装置31の簡単な構成を示したものである。MRI装置31は、被験者32が入る円筒型のボア33と、寝台34を含む。被験者32は寝台34に横になった状態で検査される。
第1及び第2の実施形態にかかるスピーカシステムは、上記MRI装置の中でも用いることができる。また、MRI装置内に振動板3を設けることで、MRI装置内での騒音防止のANC等として機能することが期待される。
本実施形態は、例えばMRI装置31のボア33に2つの異なる形状を有するスピーカ35−1、35−2を左右の耳用に2組設置した。スピーカ35は、振動板と加振源とから構成される。スピーカ35−1と35−2で振動板の形状はそれぞれ異なる。加振源は、ピエゾスピーカ等の圧電素子であることが好ましい。
被験者32の耳を覆う収納容器30に設置した集音部5で、上述したフィルタ12−1、12−2を調整する構成としている。図中のLは、左側を意味しており、Rは右側を意味している。フィルタ等の構成は第1の実施形態と同様であるため省略した。
スピーカ35の並べ方はボア33の円周方向に並べる以外にもボアの奥行方向に並べる方法やボア端面に配置する方法でもよい。さらにスピーカ35は2つ以上であっても良い。上記異なる形状を有する2つのスピーカ35−1、35−2を1組とした時、これをN組並べた場合は6log2N[dB]の増音が見込める。
集音部5の位置はMRI装置用では重要である。集音部5として光マイクなど非磁性体マイクを用いる場合は、外耳道入口直近に設置することが好ましい。光マイクは高価であるため、MEMSマイクなど磁性体を含まないマイクを用いるのが良い。MEMSマイクを用いる場合は、MRI画像に影響が生じるため、被験者32の外耳道入口から1〜3cm離す必要がある。図21は前面部30a及び背面部30bに開口部を有する収納容器30の斜視図と断面図を示す。開口部を有する収納容器の場合、集音部5は外耳道入口から背面部30b方向に離した場所に設置するのが好ましい。ただし収納容器の奥行が短い場合や開口部断面が大きい場合、制御音源からの音波が十分に平面波にならない。よって、3cm程度離す必要があるマイクでは平面波干渉を効果的に使えず、1.5kHz以上の高周波の騒音低減は見込めない。対処として、収納容器30内をスリット形状とすることやリブを設けることが考えられる。
以下に収納容器30の形状に関して詳細原理を説明する。
収納容器30は、装着する被験者32の圧迫感を解消し、かつ外部の音を聞きやすくするために、音の出入り口や開口部があることが好ましい。しかし、開口部が大きすぎると、収納容器30に伝わる制御音源からの音圧はさらに低下し、収納容器30に入る制御対象の騒音源の音圧より大幅に低下し、ANCによる音圧干渉ができなくなる。そこで、収納容器30に開口部がある場合は、その周囲にはリブ等の反射体を設置し、平均吸音率を低下させることで、増音を図ることが好ましい。
一般に、収納容器30内部の音圧は平均吸音率に比例することが知られる。閉空間内部の空気減衰と空間共鳴周波数の積は式(7)となる。ここで、cは音速、Sは収納容器の表面積、 αは平均吸音率、Vは筐体容積である。
平均吸音率αは、収納容器内部から外部を見た時の周囲境界(壁)の材質で決まる吸音率αiと材質の設置面積Siの積を、筐体表面積Sで割った値と定義される式(8)で表される。
簡単のため直方体で例えると、6面全体(N=6)が吸音率α1の場合、平均吸音率αはα1と一致する。6面すべてが開口の場合は内部から外部を見たときの開口部は反射がないことから吸音率は1となる。従って、上記理由により、開口部が1面は必ず必要な場合は、他の面はできるだけ吸音させない方が平均吸音率の向上は抑えられる。
従って、側壁以外の開口部近くにも、音波の流れを妨げない程度に、仕切り部を複数設置する方が望ましい。また、この仕切り部を間隔L(m)、音源到来方向に長さd(m)で設置すると、仕切り部で囲まれた空間内は、式(9)の周波数f(Hz)以下では平面波に変わる。
ビルドアップ効果以外に音波を整流させる効果が生まれ、音圧干渉精度を向上させることができる。たとえば、平面波設定範囲が1500〜3500Hzの場合、dは0.11m以上、Lは0.05m以下に設定する必要がある。図21で、開口部縦幅が0.1mとした場合、1.7kHz以下は平面波とみなせる。
次に、この原理を利用した収納容器30の概要を説明する。収納容器30は、前面部30a、前面部30aと対向する背面部30b、側面部30cを有する。
図22は、前面部30aに耳を挿入するための開口部を有し、さらに側面部30cの一部にも開口部を有する収納容器30の斜視図と断面図を示す。図中では耳周囲の領域は空いているように見えるが、実際この部分は塞がれている。よって、耳を収納容器30に押し付けた状態で完全に空いている部分は側面部30cの一部である下部の開口部となる。開口部には仕切りがないことから開口部の幅がLに相当する。仕切りがある場合と比べて、平面波になりにくく、到来方向によって、伝搬する音波の位相はずれる。従って、この状態で音圧干渉させるための制御音源の音波を下部から放射させると、騒音源の音波と到来方向にずれが生じるため、ANCによる制御を実施しても、耳付近では高周波の音圧低減効果が期待できない。
図23は、耳が挿入される空間部の下部に仕切り部36を設置した収納容器30の斜視図と断面図の一例を示す。図21の形状に対して、上述した整流効果により、この仕切り部36を伝搬する過程で平面波に変化することができる。耳が挿入される空間部には、基本的に仕切り部36は設定できないが、この下部の空間に設置した場合でも効果が期待できる。これは、音波が3つの仕切り部36に分かれて伝搬し、到来方向で互いの位相は異なるものの、各仕切り部内では平面波(経路内の波面の位相は一致)になる。その結果、仕切り部36の終端では位相の異なる3つの点音源に近似され、これらが耳近くの空間に放射される。点放射は線放射に近づくため、波面は平面波に近づく。従って、制御音源と騒音源の音波は両者揃い、仕切り部36から離れた耳挿入部の領域でも音圧干渉させることができる。特に隅になるほど、反射効果によるビルドアップ効果も相まって、増音効果も期待できる。
図24は、前面部30aに耳を挿入する開口部を設け、さらに背面部30bに開口部を設けることで、収納容器30を装着した際の圧迫感をより解消した収納容器30の一例を示す。
この場合、騒音源はこの背面部30bの開口部から収納容器30に侵入する。前述のとおり、仕切り部36がないと、中高域の音波は平面波にならず、音波の干渉効果は期待できない。
そこで、図25は、図24の背面部30bの開口部にリブ37を設けた収納容器30の斜視図と断面図を示す。このようにリブ37を挿入することで、平面波領域を拡大し、ビルドアップ効果による増音効果も期待できる。一方、制御音源もこの開口部から放射させることで音圧干渉も可能である。しかしこの方式では、音波干渉効果を増大するため、かつ耳とリブ37との接触を防止するために側面部の奥行を大きくする必要があり収納容器30が大きくなるデメリットがある。
そこで、設置スペースがない場合は、制御音源からの音波のみ側面部3cの下部の開口部から挿入できる構成とした。この場合、リブ37の最下段のみ、下部からの制御音源の音波を取り込めるように開口部を設ける。この開口部から制御音源の音波はリブ37に順次伝搬し、整流効果で平面波に近づく。なお、図22の仕切り部36に比べてリブ37の長さが短いため、完全には平面波に近づけられないが、耳とリブ37との距離が近いことから、リブ37の終端でたとえ位相が揃っていない場合でも、干渉効果は期待できる。
図26は、図21、22、23、24、25に示す収納容器に振動板3から制御音源の音波を伝搬させるチューブ38を仕切り部36の入口手前に差し込んだ形状を示す。集音部5の位置、形状は上述したものと同一とする。チューブ38の材料は、曲げやすく吸音効果が高すぎない材料を用いる。
たとえば、ポリエチレンチューブなどが良い。チューブ38を用いる利点は、制御音波の放射面がチューブ断面となるため、放射効率が低く制御エリア以外へ音波を伝搬せずANC時に不要な増音エリアを発生しない。また、左右の耳をANCする場合にクロストークの影響を考慮する必要がなくなり、制御演算量が減る。
第2の実施形態では、異なる形状を有する2つの振動板3を同一の収納容器に入れ、チューブ18により伝送したが、同一の収納容器でなく、振動板3毎に別個の収納容器に収納することも含む。さらに、チューブ18、38の長さは、それぞれの管路共鳴をずらして、忠実再生を達成しやすくすることが好ましい。
さらに、仕切り部36の変形例を以下に示す。
図27は、仕切り部36を1つ設けた収納容器30の一例を示す図である。図27に示すように、仕切り部36により形成された2つの音波伝送路のうち、一方の伝送路に制御音源のみを伝送させ、もう一方の伝送路に騒音源のみを入力する。そして、上述した仕切り部36の整流効果により、それぞれは平面波で伝搬する。その結果、仕切り出口では点音源に近似され、2点間で干渉し、放射音響パワーが低減する。
放射音響パワーの低減量ηは、2つの点音源の間隔で決まり、下記の式(10)で求められる。
式(10)で示すように、放射音響パワーの低減量は、波長kと間隔dの積によって変化させることができる。
図28は、波長kと間隔dの積を横軸として放射音響パワーの低減量を縦軸に示す図である。図中の実線がこの効果の理論限界である。
従って、kd=π/2以下、つまり、d<λ/4で音響パワーは低下し始める。10dB程度まで低下させるには、d<λ/8が好ましい。
そこで、仕切り部36の形状を工夫することにより、点音源の間隔をできるだけ小さくするのが効果的である。
図29は、仕切り部36にガイドあるいは開口部を設けた一例を示す図である。制御音源については伝送するチューブ38を直接、騒音源に近づけてもよい。ガイド等は仕切り部36と同一部材で設けてもよい。
図30は、2つの制御音源の中心に制御マイク39を配置した場合の一例を示す。
なお、このように点音源同士を近接に配置したときは、図30のように、2点間の中心線上に制御マイク39を配置し、この制御マイク39で音圧制御を行うと、その位置だけでなく、周囲全体を低減させることができる。
このときの低下量は、以下の式(11)で表され、図28の破線で示すことができる。
上述した理論限界に近づけることができる。
なお、物理的にこうした点音源の距離の短縮対策が取れない場合、図30のように、制御音源用の仕切り部を2つ設けることが有効である。
ただし、このときの制御音源は、同じ振幅と位相特性であることが前提であるため、チューブ38で伝送する場合は、その長さを等しくするなど注意が必要となる。
騒音源と制御音源を各仕切り部によって設けられた別々の音波伝送路に入力する場合、騒音源と制御音源の間隔dと、2つの制御音源間の距離をLとすると、以下の式(12)となる。
図31は、この場合の音響パワーの低減効果を示した図である。
図31に示すように、音響パワーの低減効果は実線となり、図28に示した制御音源が1個のときの結果よりも低減効果が向上しているのがわかる。
図32は、制御マイクの設置箇所について示す図である。図32に示すように、2つの制御音源の軸上に制御マイクを設置する場合は、式(13)に示すように、騒音源と制御音源の距離dに対して距離rに配することで効果が向上する。
また、制御マイクを2つの制御音源の軸上に設置できない場合は、制御マイクが、2つの制御音源との関係で二等辺三角形の頂点位置になるように配置すると効果が向上する。特に、制御マイクを制御音源から離すほど効果が向上する。
図33は、制御マイク39の位置を示す図である。制御マイク39をこのような配置で設置して音圧制御を行うことで仕切り部の設置効果により、仕切り部36の終端からの放射音を発生元から低減できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 スピーカシステム
2 収納容器
2a 前面部
2b 背面部
2c 側面部
3 振動板
3−1 振動板
3−2 振動板
3−3 振動板
4 加振源
4−1 加振源
4−2 加振源
5 集音部
6 ホルダ
7 クッション(耳当て)
8 挟持部
9 押さえ
10 穴
11 スピーカ
12 フィルタ
14 外耳道
15 キャビティ
16 支柱
17 チューブ接続部
18 チューブ
19 耳介挿入部
20 ボルト
21 ナット
22 発砲材
23 スペーサ
30 収納容器
30a 前面部
30b 背面部
30c 側面部
31 MRI装置
32 被験者
33 ボア
34 寝台
35 スピーカ
35−1 スピーカ
35−2 スピーカ
36 仕切り部
37 リブ
38 チューブ
39 制御マイク

Claims (12)

  1. 第1信号をフィルタリングして複数の第2信号を生成する複数のフィルタと、
    少なくとも2つの異なる形状を有する複数の振動板と、前記振動板のそれぞれに設置される加振源と、を有し前記複数の第2信号を音波に変換する複数のスピーカと、を備え、
    前記振動板の各辺の長さは、1/√2,1/√3,1/√4,1/√5,1/√7,1/√11・・・のいずれかの値に所定の倍数をかけたものであり、前記複数の振動板において、前記所定の倍数は同じであり、
    前記振動板の伝達特性はそれぞれ異なり、前記伝達特性に対応する前記フィルタのそれぞれは、前記スピーカの合成音波の伝達特性が目標伝達特性に近づくように設定されるスピーカシステム。
  2. 前面部と、それに対向する背面部と、を有する収納容器を備え、
    前記複数の振動板は、前記背面部に沿って配置される請求項1に記載のスピーカシステム。
  3. 前記前面部に開口部を有し、前記開口部の周りに設置されるクッションを備える請求項2に記載のスピーカシステム。
  4. 前記収納容器は、接続部と、前記接続部に一端を接続するチューブと、を備える請求項2に記載のスピーカシステム。
  5. 前記チューブは、他端に耳介挿入部を有する請求項4に記載のスピーカシステム。
  6. 前記背面部と接し前記加振源を覆うキャビティを備える請求項2乃至5のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
  7. 前記加振源が圧電素子である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
  8. 前記目標伝達特性は、楽曲再生の場合100Hz以上20kHz以下の周波数帯域で平坦な伝達特性を有し、音声再生の場合100Hz以上5kHz以下の周波数帯域で平坦な伝達特性を有し、能動消音に用いる場合100Hz以上3.5kHz以下の周波数帯域で平坦な伝達特性を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
  9. 前記複数のスピーカから出力される音波を合成して合成音波を生成する集音部を備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
  10. 前記フィルタのそれぞれは、所定の周波数帯域で各伝達特性のゲイン差が、0dB以上20dB以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
  11. 前記合成音波の伝達特性は、所定の周波数帯域で前記目標伝達特性とのゲイン差が0dB以上12dB以下である請求項9に記載のスピーカシステム。
  12. 前記振動板のそれぞれから前記集音部までの伝達特性をPiとし(iは形状の異なる振動板の数を示す)、目標伝達特性をDとし、前記複数のフィルタの伝達特性をHiとすると、前記複数のフィルタは、以下の式を満たすように設定される請求項9に記載のスピーカシステム。
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