JP6699957B2 - 音響装置 - Google Patents

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Description

本件発明は,スピーカーとそれを駆動する電気回路で構成される音響装置に関わり,相対的に小型のスピーカーユニットとエンクロージャーでより低い音を再生するいわゆる低音再生技術に係る。
現在の一般的音響装置は,電磁駆動装置に直結する振動板を弾性的にフレームに支持したスピーカーユニットと該スピーカーユニットを取り付けるエンクロージャーとからなるスピーカーシステムと,スピーカーユニットの電磁駆動装置に接続される電気駆動回路で構成される。
図1は,筐体201と内部空間202を有する密閉型エンクロージャー2に,フレーム102と該フレームに図示しない弾性支持系で弾性的に支持された振動板101と該振動板を振復駆動する電磁駆動装置103から成るスピーカーユニット1を取り付けたごく一般的なスピーカーシステムで,図2はその低音域における機械共振を表す機械系等価回路である。
図2において,Fo,Mo,Co,Roはスピーカーユニットの機械系等価要素であり,Foは電磁駆動装置の駆動力,Moは振動板を含む振動系の等価機械質量,Coは同じく等価機械スチフネス,Roは等価機械抵抗で,Ceはエンクロージャー内部空間の等価機械スチフネスである。
この機械系等価回路は,MoとCoとCeの直列共振回路を構成しているが,エンクロージャーに取り付けられていない自由空間では図2のCeが無限大となり,その場合の共振周波数はMoとCoで定まり一般的にそのスピーカーユニット固有の最低共振周波数foと呼ばれる。その共振の強さはRoで制限され一般的にQoと呼ばれる。Roが大きければ共振の強さQoは小さく,Roが小さければQoは大きくなる。
ここで図1のように密閉型エンクロージャーにスピーカーユニットを取り付けた場合は,Ceが有限になるからCoとCeの直列合成スチフネスをCsとすると,CsはCoより小さくなるのでその共振周波数をfsとすればfsはfoより高くなる。
ところで,この等価回路は,その共振現象によって共振周波数を中心とした周波数領域では駆動力Foによるよりも大きく振動板が振動することを表している。図3はこの低域共振と音圧の関係を示しており,一般的に周波数−音圧特性(f特)と呼ばれるものである。
図3において,(イ)は共振がある場合の特性で,従来のスピーカーシステムは前述の共振を利用し,十分に低い出力インピーダンスの電力増幅器により周波数に対し一定の電圧でスピーカーユニットの電磁駆動装置を駆動した場合に,周波数毎の音圧がほぼ一定になるよう設計・製造される。従って,前述のシステムで再生可能な最低周波数は低域の共振周波数fsに制約され,それより低い周波数では周波数が低くなるに従って音圧が急に小さくなる現象を生じる。
図3(ロ)は前述の共振がない場合の特性を示した図で,理論的にはスピーカーの口径で定まる周波数fhから低い周波数に向けて6dB/octでなだらかに音圧が低下する特性となることが知られている。またfhはスピーカーユニットの口径が大きい方が低く,小さい方が高くなる。
このような関係は,鼓膜とスピーカーユニットの振動板が含まれる空間が十分に大きい場合,すなわち部屋で音楽を聴くような場合に成り立つもので,該空間が極端に小さい例えばヘッドホンやイヤホンのような場合は成り立たず本件発明の対象から除かれる。
以上のような原理原則に基づき,発明者は,通気性のある音響抵抗物質を使用した機械的な手段でスピーカーの低音域の共振を抑制しスピーカーシステムの低音域での周波数−音圧特性を図3(ロ)に近づけて,それにより不足する低音の音圧を電気駆動回路系で補うことを考えた。(特許文献1,特許文献2)
特願2004−102435号公報 特願2005−244036号公報
図4にその電気駆動回路系の構成を,図5にその周波数特性の関係を示す。図4において3は再生しようとする音の電気信号源,4は周波数補正回路,5は電力増幅器,1はスピーカーユニットで電力増幅器5の出力はスピーカーユニット1の電磁駆動装置に接続される。
図4の周波数補正回路4の特性は,図5の周波数補正回路の周波数特性に示すように,前述の図3の(ロ)に示す周波数fhからスピーカーユニットの最低共振周波数foより低い周波数flにかけて6dB/octで上昇するようなものとしている。このような特性は電気回路素子CとRおよび適当なバッファアンプを組み合わせることで容易に実現可能で俗にイコライザーとも呼ばれる。
周波数補正回路4の特性は図3の(ロ)に示す特性と真逆の関係になっているから,このような電気回路で図3の(ロ)の特性のスピーカーシステムを駆動した場合,その周波数−音圧特性は図5の(ハ)のようにスピーカーユニット固有の最低共振周波数foより低い周波数まで再生可能となる。
このようにすることで,相対的に小さな口径のスピーカーユニットや小型のエンクロージャーを用いてもスピーカーユニット固有のfoより低い周波数の音まで再生することが可能になることは自明である。すなわち一般的なスピーカーユニットのfoはその口径が大きい方が低く,小さい方が高いので,再生できる最低周波数はほぼスピーカーユニットの口径に依存する限界が生じるが,最低共振周波数foの影響を排除あるいは制限できればその限界から解き放たれるからである。
エンクロージャーもまた,そのスチフネスCeが最低共振周波数を高くする働きをするので十分な低音を再生しようとすれば大型化することが自明であり,共振そのものを抑制できれば共振周波数を気にすることなく小型化することが可能である。
それを実現するために,前述の発明者による特願では,基本的にスピーカーユニットの振動板とエンクロージャー内部の主空間の間を通気性のある音響抵抗物質で仕切って機械的に低域の共振を抑制している。通気性のある音響抵抗物質としては通気性の発泡ウレタンや綿やグラスウールなど繊維質材料の密度を高く配して用いることができる。
そのような音響抵抗物質を使用することは図2の等価回路でRoとCeの間に新たに等価機械抵抗を挿入し結果的にRoを大きくしたことと等価となるから,スピーカーユニットとエンクロージャーの組み合わせによる共振度合いQoが小さくなり,システムとして周波数−音圧特性を図3(ロ)の特性に近づけることが可能となる。
このような理論に基づき,発明者は図6のようなスピーカーシステムを考案した。図6のスピーカーシステムはスピーカーユニット1を筒状のエンクロージャー6に取り付け,エンクロージャー内の主空間602とスピーカーユニットの振動板101の間は振動板101の近傍で通気性のある音響抵抗物質8により仕切られ,主空間602の内部には吸音材9を適当な密度で,より具体的には発泡ウレタンを1〜数センチ角に切断したものや真綿,グラスウールなどを適当な密度で連続的に配してある。そしてスピーカーユニットから最も遠い端部は鼓膜と振動板を含む空間に接する開口端603としている。
ここで,音響抵抗物質8と吸音材9の機能を説明すれば,音響抵抗物質8は主にスピーカーユニットとエンクロージャー内部の主空間の相互作用による低音域の機械的共振の抑制が目的であり,吸音材9は主に振動板101の背面から音響抵抗物質8を通じて漏れ出た音の消音が目的であるが,副次的に前述の低音域の機械的共振の抑制にも寄与している。
より詳しく説明すれば,音響抵抗物質8による共振の抑制は,振動板101から主空間602に向けた通気断面積の制限による空気の粘性を利用した流動抑制である。したがって音響抵抗物質8は体積よりその密度が重要であり,振動板101と主空間602の間に隙間を作ることなく配する必要がある。具体的には通気性のある発泡ウレタンや真綿など柔らかい繊維質の吸音材料を圧縮気味にして用いている。
一方で吸音材9は消音が目的であり,一般的に発泡ウレタンやグラスウールなどの繊維質材料が用いられるが,低い周波数まで十分な消音を行うには全体としてのボリュームや空気振動が通過する厚みが必要で,前述の音響抵抗物質8より密度は低くてよい。
このような吸音材の吸音率は,一般的に約300Hz以上では1に近く,約100Hz以下の低い周波数では0.1以下に近い。これは吸音材の吸音効果が物質同志の振動摩擦による音響エネルギーから熱エネルギーへの転換昇華に起因しているものと考えられ,高い周波数では時間当たりの摩擦頻度が高いが低い周波数では摩擦頻度が低いことに起因していると考えられる。
図6においてエンクロージャーを長い筒状としたのは,この吸音材の吸音率が100Hz程度以下の低い周波数では非常に小さいので,振動板101から開口端603までの吸音材の厚みを確保して低い周波数の音のエネルギーを十分に吸収できるようにするためである。
このようなシステムの低音域の機械系等価回路を図7に示す。図においてRtは音響抵抗物質8の等価機械抵抗,Ctは振動板101と音響抵抗物質8の間の空間の等価機械スチフネス,Ce1,Re1,Ce2,Re2・・・Renはエンクロージャー6内部の主空間602に吸音材9を適当な密度で連続的に配したことによる等価機械スチフネスと等価機械抵抗を模擬している。C∞は振動板と鼓膜を含む空間の等価機械スチフネスで,その他のCoやCt,Cenに比べ十分に大きいものとする。
このようなシステムの低音域の機械共振の特性は,等価機械抵抗Ro,Rt,Re1〜Renとその間に存在するCoとCt,Ce1〜Cen,C∞の直並列の合成等価機械スチフネスに依存し,最低はCoとC∞,最高はCoとCtの直列スチフネスで決まる周波数領域で連続的に分散した形になると考えられ,その連続的に分散する共振峰の形はRt,Re1〜RenおよびCt,Ce1〜Cenの個々の大きさに関係すると考えられる
しかしCtについてその容積は,スピーカーユニットが例えば16cmの口径であるとき,振動板から音響抵抗物質8までの距離を3cmとすれば約0.5リットルほどであると考えられ,スピーカーユニットのfoを40Hzと仮定してMoとCoとCtの直列共振周波数を別途シミュレーションすれば400Hz以上と推定される。
一方,音響抵抗物質8は前述のとおり通気性のある発泡ウレタンや布や真綿などの繊維質の材料であって一般的な吸音材と同一であり,その吸音率は300Hz以上であれば1に近く,また振動板背面のほぼ全面を覆っていることから共振エネルギーは十分に吸収抑制されると考えられる。
従って,図6のようなスピーカーシステムにおける図7の等価回路においてはCtの影響は無視でき,Ce1,Ce2・・・CenとC∞のみ考慮すればよいものと考えられる。その場合,CoとCe1の間に入る音響抵抗Ro+RtよりCoとC∞の間に入る音響抵抗Ro+Rt+Re1+・・・+Renの方が大きいので,共振の強さは連続的に分散する共振峰の内,CoとCe1の直列スチフネスで決まる周波数の共振が強く表れる。
図6に示すエンクロージャーにおいて開口端603の意義について説明する。開口端603が閉端状の場合は図7に示す機械共振の等価回路においてC∞はゼロとなり前述の連続した共振峰のうちCoとCe1で決まる高い周波数の共振がより強くなるとともに,CoとC∞の直列のスチフネスで決まる低い周波数の共振が欠けてしまい低い周波数での振動板振幅に制約を与えると考えられるから,開口端603の存在はそのことに配慮したものである。
音響抵抗物質8の音響抵抗を可能な限り大きくし,対して吸音材9の等価機械抵抗を無視し得る程度に小さくして,且つ筒6の長さを無限大とすれば,共振は極限まで抑制され,且つ鼓膜が接する空間に音が届くまでには音のエネルギーも吸収されて理想的な図3の(ロ)に近い周波数−音圧特性が得られると考えられるが,本件の目的がスピーカーユニットの大きさのみならずエンクロージャーも小型に構成することであるから,筒の長さは有限で且つ可能な限り短いことが望ましく現実的には数十cmから1m程度までと考えられる。
発明者は図6に示すスピーカーシステムの次にさらに図8のような構造のスピーカーシステムを考案し試作した。図8に示すスピーカーシステムは,図6に示す基本的な構想をさらに小型化できるようにしたものである。図8のスピーカーシステムではスピーカーユニット1をエンクロージャー10に取り付け,エンクロージャーはユニット1側から鼓膜が接する空間への開口端部1004までを内部で折り曲げて先細りとした空間1001〜1003を有するように構成したもので,スピーカーユニット1の振動板101とエンクロージャー内部の主空間1001の間は通気性のある音響抵抗物質8で仕切り,空間1001〜1003には吸音材9を配置している。
吸音材9の配置密度は基本的に同一としているが,エンクロージャー内部を折り曲げた空間として振動板101から鼓膜が接する空間までの通路の長さを確保するとともに,エンクロージャーの開口端部1004に向けて空間を先細りとし,さらに吸音材9の密度も図6のものよりは高く,すなわち等価機械抵抗を高くなるようにして外部空間に漏れ出す音を吸収,消音できるよう配慮している。
図8に示すものの試作では,スピーカーユニット1には16cm口径でfoが40Hzのものを用い,エンクロージャー10は六面体の1辺が約20cmとして,低音再生までを考慮した16cm口径のスピーカーのためのエンクロージャーとしては破格に小さいものとしている。
このようなスピーカーシステムを図4のような電気駆動回路,すなわち周波数補正回路4と周波数対電圧利得が一定の電力増幅器5を含む回路で駆動した。
しかしこのような音響装置により二つの課題が発生した。一つ目の課題は図8に示すスピーカーシステムの試作では16cm口径のスピーカーユニットを用いたことを説明したが,より小型で口径が10cm程度以下のスピーカーユニットを用いると,低い周波数の再生音圧を振動板の振動のみに依存するこの方式では振動板面積が小さすぎてスピーカーユニットのfoより低い周波数領域で十分な音圧が出せなかったことである。
ここで,このような方式のスピーカーシステムに小型のスピーカーユニットを用いた場合にfoより低い周波数で十分な音圧が出せないことについて説明する。もともとスピーカーユニットにはその振動板の振動可能な最大振幅があり,周波数に対して一定の電圧で駆動した場合には振動板振幅は最低共振周波数foで最大になると考えられるから,foより高い周波数の音圧が均一であるとすれば,そのスピーカーユニットで出せる最大音圧はfo周波数で出せる音圧に制約されると言える。その最大音圧を基にそのスピーカーユニットの用途,例えばスピーカーユニットから耳までの距離が1m程度というような使い方を想定されている。そのような使い方を基準にした場合,振動板の振幅だけでfoより低い周波数をfoの周波数と同じ音圧で再生しようとすれば振動板の必要な振幅はfoの周波数で可能な振幅を超えてしまい無理があるということである。
より安直に考えれば振動板面積が小さい場合でも振幅を大きくすれば音圧は確保できるが,現実的な小型スピーカーでは,振動板面積とともに最大振幅も小さい。
次に第二の課題は,図4の電気駆動回路,すなわち図5の周波数補正回路の補正特性で図8のスピーカーシステムを駆動した場合,前述の図7のCoとCe1の直列スチフネスの影響と思われる共振で意図しない周波数,具体的には150Hz近傍で音圧の山が生じること,その音圧の山を避けようと補正の開始周波数(前述のfh)を下げると低い周波数帯域で十分な音圧が得られなくなることである。
その様子を図9と図10で説明する。図9は,周波数補正特性のfhを図5で説明した理想に近いものとほぼ同一の関係とした場合で,図9の(二’)に示すよう周波数fpで音圧の山ができてしまっている。これは前述の図7のCoとCe1の直列スチフネスの影響と考えられる。前述の図8で説明したスピーカーシステムではfpの周波数が約150Hzであった。
図10は,その音圧の山が現れないようfhの周波数をfpに近いfh’にずらせた場合の特性で,fp近傍の音圧の山は小さくなるものの,今度は(ハ”)のように周波数fpより低い周波数で音圧が一段下がってしまう。
そこで本件の発明は,フレームに弾性的に支持された振動板と,振動板を振幅駆動する電磁駆動装置からなるスピーカーユニットを,振動板の背面側の音と前面側の音の干渉を阻害するエンクロージャーに取り付け,且つスピーカーユニットとエンクロージャーの内部空間による低音域の機械共振を抑制する手段を備えるとともに,電気駆動回路には該低音域の機械共振を抑制したことによる低音の不足を補う周波数補正回路を備えた音響装置において,振動板振幅のみで所望の低音を再生するよりも相対的に小さな口径のスピーカーユニットやエンクロージャーを使用しても十分な音圧を得られることを課題としている。さらにはより均一な周波数−音圧特性を得ることを課題としている。
前述の課題を解決するために,請求項1では, フレームに弾性的に支持された振動板と該振動板を振復駆動する電磁駆動装置からなり低周波数音域に固有の機械的共振を有するスピーカーユニットと,該スピーカーユニットを取り付けてスピーカーユニットの振動板の背面側の音と前面側の音の干渉を阻害するエンクロージャーと,スピーカーユニットの電磁駆動装置に接続される電気駆動回路からなる音響装置において,前記スピーカーユニットの振動板の振動を制動することによる機械的共振の抑制手段と,電気駆動回路には前記機械的共振の抑制手段によって共振を抑制された振動板の振幅減少による音圧不足を補う周波数−音圧補正回路を備え,該周波数−音圧補正回路の補正特性は,所定の周波数より低い周波数では振動板振幅が所定の周波数における振幅を超えることがないよう利得を制限し,それにより不足する所定の周波数より低い周波数の音圧をエンクロージャーの共振手段で補うようにしたものであって,前記所定の周波数は,使用するスピーカーユニット固有の機械的共振周波数(foという)を基本として0.5倍から2倍の範囲に設定したことを特徴とする音響装置を提供した。
請求項2では,前記機械的共振の抑制手段は,前記スピーカーユニットの振動板の背面と該振動板背面から所定の距離を置く開口を含み,該開口を介してのみ前記振動板の振動による空気振動が前記エンクロージャー内部の主空間に伝搬するようにした小空間内の,前記振動板と開口間に通気性と吸音性のある音響抵抗物質を配したものであることを特徴とする請求項1の音響装置を提供した。
請求項3では,前記不足する所定の周波数以下の音圧を補うエンクロージャーの共振手段はエンクロージャーの主空間の等価機械スチフネスと別に設けた等価機械質量の組み合わせによるものであることを特徴とする請求項1または請求項2の音響装置を提供した。
それにより,請求項1によれば,スピーカーユニットの振動板の機械共振を抑制して,それによる低音の音圧不足を電気的に補正する音響装置の所望の使用環境下において,そのスピーカーユニットの振動板の振幅のみで必要な音圧を発生しようとした場合に振動板の最大振幅を超えてしまうような低い周波数の低音はエンクロージャーの共振手段により音圧を補えるので,スピーカーユニットに口径が例えば10cm以下の小型のものを用いても所望の使用環境下で従来は考えられない低い周波数で十分な音圧の低音を得られる。
請求項2によれば,請求項1の発明に用いることができる機械共振の抑制手段を容易に且つ安価に提供できる。
請求項3によれば,請求項1または請求項2において適用可能なエンクロージャーの共振手段を提供でき,特に小型のものを提供できる。
従来の密閉型エンクロージャーによるスピーカーシステムの略図 図1に示すスピーカーシステムの低域機械共振の機械系等価回路の図 図1に示すスピーカーシステムの周波数−音圧特性の説明図 図3の(ロ)の周波数−音圧特性のスピーカーシステムに用いる電気駆動回路の図 図4の電気駆動回路を用いて図3(ロ)の周波数−音圧特性のスピーカーシステムを駆動した場合の周波数−音圧特性の説明図 図3(ロ)の特性を得るためのスピーカーシステムの一例の図 図6に示すスピーカーシステムの低音域の機械共振の機械系等価回路 図6を基礎にして試作した現実的なスピーカーシステムの図 図8に示すスピーカーシステムを図4の電気駆動回路で駆動した場合の周波数−音圧特性を説明する第一の図 図8に示すスピーカーシステムを図4の電気駆動回路で駆動した場合の周波数−音圧特性を説明する第ニの図 本件の発明による音響装置の第一の実施例を用いたスピーカーシステムと電気駆動回路を示す図 第一の実施例を用いた音響装置の音圧特性と周波数補正特性の関係を示す図 図11の(a)に示すスピーカーシステムの周波数補正回路を用いずに測定した周波数−音圧特性を示す図 図12とは別の周波数補正回路を使用した場合の音圧特性と周波数補正特性の関係を示す図 図14に示す周波数補正特性を得るための周波数補正回路の一例を示す図 図15とは別の周波数補正回路を示す図 図16に示す周波数補正回路を使用した場合の音圧特性と周波数補正特性の関係を示す一例の図 本件の発明による音響装置の第二の実施例を用いたスピーカーシステムを示す図 図14に示すスピーカーシステムを周波数補正回路がない電気駆動回路で駆動し測定した周波数−音圧特性を示す図 本件の発明による音響装置の第三の実施例を用いたスピーカーシステムを示す図 本件の発明による音響装置の第三の実施例を用いた別のスピーカーシステムを示す図 本件の発明による音響装置の第四の実施例の電気駆動回路を示す図 図18の電気駆動回路の帯域減衰フィルターに用いる基本回路の例 本件の発明による音響装置の第五の実施例を用いたスピーカーシステムを示す図 図20の第五の実施例を用いたスピーカーシステムの低域機械共振の機械系等価回路 図20に示すスピーカーシステムを周波数補正回路がない電気駆動回路で駆動し測定した周波数−音圧特性を示す図 本件の発明による音響装置の第六の実施例を用いたスピーカーシステムを示す図 本件発明の第二の実施例を用いたスピーカーシステムと第四の実施例に示す電気駆動回路で周波数補正回路を用いずに組み合わせて使用し測定した周波数−音圧特性を示す図
本件発明の第一の実施例を用いたスピーカーシステムを図11の(a)に示す。図11の(a)に示すスピーカーシステムのエンクロージャー12は基本的に内部の主空間1201とダクト1202により構成されるバスレフ型である。
一般的なバスレフ型エンクロージャーは,スピーカーユニット11と主空間1201による共振周波数に対し,主空間1201とダクト1202による共振周波数を約70%に設定する。これはスピーカーユニット11と主空間1201の共振でその共振周波数以上の周波数の音圧を平坦化し,それより低い周波数の音圧をバスレフダクトと主空間の共振で補う構成とした場合に,スピーカーユニット11と主空間1201による共振周波数とバスレフダクトによる共振周波数の間に音圧の谷を生じさせることなく,全体として周波数−音圧特性を平坦化するための一般的な目安である。
従ってこのような共振1段のバスレフ型エンクロージャーの場合では,主空間の大きさを十分大きくして,スピーカーユニットと主空間の共振周波数をスピーカーユニットのfo共振の周波数に近づけたとしても,fo周波数の約70%程度の周波数までしか音圧を確保できなかった。しかも前提条件として主空間の大きさを十分に大きくとらなければならないのでエンクロージャーも小型にできなかった。
また,さらなる低音域の再生を可能とする技術として,ダブルバスレフという方式も存在する。これはバスレフ共振を2段構成にしたもので,第一段目と第二段目の共振をうまく設定した場合にはスピーカーユニット固有のfo共振の約50%程度までの周波数の再生が可能であると言われている。
このような一般的なバスレフボックスに対し,図11に示す本件発明のスピーカーシステムに用いるバスレフエンクロージャーは,試作した実際の例ではスピーカーユニットに8cm口径,foが125Hz程度のものを使用し,該スピーカーユニットと主空間の共振周波数が160Hz〜200Hz程度となるよう主空間1201の大きさを1.5リットル程度としてある。
またその主空間1201とバスレフダクトの共振周波数は約50Hzとし,スピーカーユニットのfo周波数対比では40%と低く,従来の一般的な1段バスレフ型エンクロージャーとは考え方を異にしている。
そのようなスピーカーシステムを図11の(b)のような電気駆動回路で駆動する。図11の(b)に示す回路は,図4に示す回路にいわゆるMFB(モーショナルフィードバック)を加えたもので,スピーカーユニット11の振動板の動きを14のセンサーで検出して電圧信号に変換し,その電圧信号を13に示す加算回路で元の再生信号に加算する。加算するセンサーの信号位相を選択し図示しない回路でその利得を調整すれば,再生しようとする電気信号に対し振動板の過剰な動きすなわち共振による余分な振動は制動され抑制されるので,共振抑制手段として機能する。
図11に示す音響システムの周波数音圧特性について図12を用いて説明する。図12の周波数−音圧特性において,(ロ”)で表した特性が,図11の(a)のスピーカーシステムを図4において周波数補正回路がない一般的な電気駆動回路で駆動した場合の周波数−音圧特性である。fpはスピーカーユニット11とエンクロージャー12の主空間1201による共振峰の中心周波数で前述の実際の試作例ではfpは約160Hzであった。図13にその試作例の実測の周波数−音圧特性を示す。
また図12の(ホ)は図11の(a)に示すエンクロージャー12の主空間1201とダクト1202による中心周波数fdの共振峰の音圧であり,スピーカーユニット11が周波数fdの成分を含んで振動したとき共振しより大きな音圧を発生する。
このようなスピーカーシステムを図11の(b)に示す電気駆動回路で駆動する。図11の(b)に示す周波数補正回路4は図12の周波数補正回路の特性で示す音圧補正を行う。周波数補正回路の特性は周波数fhからfl’に向けて6dB/octで利得が上昇するように構成するが,fl’はスピーカーユニットのfoと振幅を考慮し無理がない周波数とする。具体的には使用するスピーカーユニット固有の最低共振周波数foを基本としてその約50%〜200%程度の範囲に選定する。
fl’の基本をfoとするのは,前述のとおりスピーカーユニットにおける振動板の最大振幅がfoの周波数で可能となるという前提からであり,本件発明の基礎となる前述の理論から最も妥当であると考えられる。
fl’をfo周波数の50%に設定した場合は,周波数補正回路の補正特性は6dB/octであるからfl’の周波数時に当該スピーカーユニットで可能な振動板の最大振幅まで振動させるとすれば,fo周波数時の可能な振動板の振幅は最大振幅の1/2となるが,スピーカーユニットと耳の距離を前述の基準となる使用環境の1/2にすれば,つまりそのような使用環境を設定すれば実用的には耐え得る。
逆にfl’をfo周波数の200%に設定した場合は,fo周波数の2倍の周波数での振動板振幅を当該スピーカーユニットで可能な振動板の最大振幅とできるから前述の基準となる使用環境の2倍の距離でも実用的に耐え得る音圧が得られる。
また,fl’としてfoの約50%から約200%の範囲を設定するほかの理由は,使用するスピーカーユニットによっては最低共振周波数foと可能な振動板の最大振幅の関係にずれがある場合も想定されるからである。なお,fl’の周波数設定によってバスレフダクトの共振周波数fdも調整する。
実際の試作例ではfl’をfo周波数と同じ125Hzとしてある。そのような周波数補正回路で音圧を補正したとき図11の(a)のスピーカーシステムは図12の周波数−音圧特性の(ハ)のように周波数fl’まで中高音と同じ音圧で再生可能となるがfl’より低い周波数は音圧が不足する。(ホ’)は図11の(a)のエンクロージャー12の主空間1201とダクト1202の共振による音圧であり,前述のfl’より低い周波数の音圧を補うものである。
ここで改めてスピーカーユニットの振動板で中高音と同一な音圧で再生可能な周波数とバスレフダクトの共振周波数の関係を,従来のバスレフ型エンクロージャーによる場合と本件の発明で比較すれば,図11の(a)の試作例のスピーカーユニット11とエンクロージャー12の主空間1201を基準にして従来のバスレフ型エンクロージャーを構成する場合,スピーカーユニット11と主空間1201の共振周波数は前述のとおり約160Hzであるので,バスレフダクトの共振周波数は160Hzの70%である112Hzより大幅には低くできなかった。これはスピーカーユニットと主空間の共振のため160Hz以下の周波数では急に音圧が減少し,もし112Hzより極端に低い共振周波数のダクトを組み合わせれば,ダクトの共振周波数と160Hzの共振の間に音圧の谷が発生するからである。
一方で,本件発明によれば,試作例のように主空間1201とダクト1202の共振周波数をスピーカーユニット11と主空間1201の共振周波数160Hzの約30%の50Hzに選定してもなお周波数−音圧特性を均一にできる。これは,図11に示す実施例では,第一にスピーカーユニット11と主空間1201の共振をMFBによって抑制し,周波数補正回路で共振より低い周波数fl’まで音圧が均一になるよう音圧を補正したこと,第二に,fl’より低い周波数の音圧の減衰が理論的に6dB/octと緩やかであるため,前述のようにfl’を125Hzとしてダクトの共振周波数fdを50Hzに設定してもfdとfl’の間に谷を生じにくいためである。
なお,周波数補正回路がないバスレフ共振による音圧は図12の(ホ)のように,共振のないスピーカーユニットの振動板振幅による低音の再生音圧(ロ”)に沿って低い音圧しか得られないが,周波数補正を行うことにより(ホ’)のように音圧が上昇する。
図11の第一の実施例を前述のように8cm口径のスピーカーユニットを用いて,バスレフエンクロージャーの主空間の容積を1.5リットルとし且つバスレフダクトと主空間の共振周波数を50Hzとして試作した音響システムでは,50Hzという低い周波数の音圧を十分に再生でき,このような小型のスピーカーシステムとしては従来にない低い周波数を再生できていることが検証できた。
ちなみに同口径のスピーカーユニットを用いてダブルバスレフタイプのエンクロージャーを設計すればエンクロージャーの内容積はダクトと空間を含めると5〜6リットルとなりそれでも再生可能な低音周波数は60〜70Hz止まりと想像される。
以上において,周波数補正回路4は,図12に示すようfl’以下の周波数において利得を同一として説明した。それによれば理論的にはfl’以下の周波数では周波数fl’を起点としてそれより低い側の周波数に向かって−6dB/octの傾きでスピーカーの振動板から発生する音圧は減少するが,それによる低い周波数での音圧不足をエンクロージャーの共振によって補い周波数特性を平坦化するという考え方に基づいている。
しかしながら再生しようとする音源によってはfl’の周波数における最大振幅での音圧を基準にした場合,fl’より低い周波数において更なる音圧を必要とするような場合が存在する。例えばバスドラムや大型の和太鼓の音を強調したような音源である。その場合,音楽全体として人が感じる音圧レベルはfl’以上の周波数すなわち中音域が基準となるので,所望の音圧を中音域で設定した場合には,前述のバスドラムや大型の和太鼓が鼓動する時間領域でスピーカーの振動板の振幅がfl’での最大振幅を超えてしまう場合がある。
そのような場合を想定し,周波数補正回路4の特性を図14のようにfl”以下の周波数から低い周波数に向かって利得を小さくなるよう設定し,それによって不足する音圧をエンクロージャーの共振で補うよう構成することも可能である。fl”の周波数としてはfl’と同一またはそれより低い周波数を設定するが,fl’より高い周波数を設定した場合には,図14のfl”が図12のfl’,図12のfl’が図14のfl”に設定した場合と同一となる。
図14の補正特性を得る周波数補正回路の一例を図15に示す。図はCR素子によるフィルターa,フィルターbとバッファアンプを組み合わせたものであるが,ファイルターaとフィルターbは場所を入れ変えてもよく,またCRをバッファアンプのNFループ内に組んでも差し支えない。このような構成とした場合,エンクロージャーの共振周波数fdにおけるスピーカーユニットの振動板の振動板振幅は図12によるよりも図14の(ヘ)分小さくなるから,周波数−音圧特性を平坦化することを前提とした場合は,エンクロージャーの共振強さはその共振周波数においてその分強く調整する必要がある。また周波数−音圧特性の谷の発生状況によって共振周波数も調整する必要がある。このような調整はバスレフボックスの場合ダクトの開口面積と長さを調整することで可能である。
また,別の方法として周波数補正回路を図16に示すような構成とする方法がある。フィルター1からフィルター3は,例えば図23に示すようなバンドエリミネーションフィルター(BEF)としてその中心周波数や減衰量を何種類かに変化させたもので,音源によってスピーカーユニットの振動板振幅が固有の最大振幅を超えないよう切り替えるものである。0図16に示す回路でSWをs0からs3に切り替えた場合,s0において補正特性はfl’以下で利得が同一となり,s1〜s3では,それぞれのフィルターで設定した中心周波数と周波数帯域で利得が減少するようになっている。通常はSWをs0としておき,前述のバスドラムや大型の和太鼓があるような音源の場合は必要に応じs1〜s3に切り替えて音楽性は損なわない程度に特定の周波数におけるスピーカーユニットの振動板の振幅を抑制する。
また別の方法ではより簡素化してs1〜s3は単一のフィルターのみとしてs0とs1を切り替える。あるいはs0を省略して常にs1に接続されるようにして予め特定の周波数帯域で利得が減少するようにしておくなど自由である。実験ではfl’以上の音圧に対し,fl’より低い周波数約30Hz〜70Hzの音圧が約6dB高いような音源に対し,中心周波数を50Hzとした帯域減衰フィルターを用いて50Hzでの利得を−6dBとした際に約30Hz〜70Hzの音圧が減少し音楽性も損なわずまたスピーカーユニットの振動板の最大振幅も抑制できて最大音圧も高く音楽全体としてのバランスもよいという結果を得た。図17はその場合の周波数補正特性と音圧特性の関係を示す図である。図17ではバスレフダクトの共振中心周波数fdが50Hzであって帯域減衰フィルターの中心周波数も50Hzである場合を想定して表したが,fdと帯域減衰フィルターの中心周波数はずれていてもよい。さらには図16に示すフィルター1〜フィルター3のいずれかまたは全部に図15のフィルターaのようなものを使用することも自由である。
なお,以上において周波数補正回路の特性を得るにあたり増幅器等における超低域たとえば20Hz以下の利得低下は無視しているが,このような利得低下は増幅器特に入出力回路にコデンサやアウトプットトランスを用いた真空管アンプ等では一般的な特性であり図14のfl”以下の利得の低下特性を得るにあたり増幅器の低域の利得低下特性を利用することが可能である。
以上のように周波数補正回路の特性は周波数fl’以下において利得を同一とすることもできるし,一部あるいはfl’より低い周波数のほぼ全域においてfl’における利得を超えないよう低くすることが可能である。本件特許の基本思想は,低音域に固有の機械的共振を有するスピーカーユニットと,該スピーカーユニットを取り付けるエンクロージャーと,スピーカーユニットの電磁駆動装置に接続される電気駆動回路からなる音響装置において,前記スピーカーユニットの機械的共振の抑制手段と,電気駆動回路には低音域の音圧不足を補う周波数−音圧補正回路を備え,該周波数−音圧補正回路の補正特性は,使用環境すなわちスピーカーとの距離や空間の大きさ,必要最大音圧等を考慮した所望の音圧でスピーカーユニットの振動板振幅が当該スピーカーユニット固有の最大値を超えることが無いよう設定し,それにより不足する所定の周波数以下の音圧をエンクロージャーの共振手段で補うようにしたことである。
なお図12の周波数補正特性においてfl’における利得は,便宜上特性を直で表したため,fl’においてそれ以下の周波数と全く同一として表している。CR素子で図4のような周波数補正回路を構成した場合,周波数fl’において利得は最大値の−3dBとなるが説明では無視している。
次に,図11の(b)に示す,MFBの働きについて図12を用いて説明する。図11の(b)において14のセンサーと13の加算回路がなく,周波数補正回路のみが電気駆動回路にある場合は,周波数−音圧特性の(ハ)に対し点線のような中心周波数fpの共振峰が現れる。これに対し14のセンサーと13の加算回路を加えてMFBを構成した場合,信号源3の源信号に対する中心周波数fpの共振による振動板の過剰振動はセンサー14で検出され13の加算器で源信号を相殺し,丁度図12のMFBによる共振抑制特性のように源信号から共振による過剰振動分を減衰させるフィルターのような働きをする。その結果,周波数−音圧特性に示す点線の共振峰を抑制して周波数に対して均一な音圧特性を得ることができる。
共振抑制手段として図11の(b)よるMFBを利用した音響システムの更なる利点は,スピーカーユニットの振動板振幅の入出力の非線形性に基づく歪も改善されることである。すなわちスピーカーユニット自体の振動板の振幅が電磁駆動装置から出力される電圧に対し比例関係になくともそれが改善されることは周知である。
図11〜図17の実施例は共振抑制手段にMFBを用いた例で説明したが,次に別の方法を用いた実施例について説明する。図18は本件発明の第二の実施例を用いたスピーカーシステムを示す図である。図において11と12は図11の(a)と同一のものであり説明を省略する。図18において15は通気性のある音響抵抗物質でスピーカーユニット11の振動板1101の背面側に主空間1201との間を仕切るように配され,空気流量を制限して振動板の振動を制動している。これは図6と図8の8と同様に振動板の共振抑制手段として機能する。
ここで,通気性のある音響抵抗物質15を用いて周波数−音圧特性を測定したところ,図19のようになり,音響抵抗物質15がない図13の特性と比較すれば前述のfpの山の高さが低いことから音響抵抗物質15は共振抑制手段として機能していることが分かる。
このようなスピーカーシステムを図4の電気駆動回路で駆動し,且つ図9のflを図12のfl’のような周波数に設定した音響システムでは,音響抵抗物質15を用いてなお図8と図9で説明した共振峰(ニ’)は残るものの図13に示すよりは改善され,小型のスピーカーユニットを用いて共振を抑制し,共振を抑制したことによる低音の音圧不足を周波数補正回路で補正する音響システムにおいて振動板振幅の不足による低音の音圧不足を,エンクロージャーによる共振で補いより大きな音圧を得ることができる。
図1に示すバスレフタイプのエンクロージャーでバスレフダクトによる共振を十分に引き出すためには,エンクロージャー内の主空間にスピーカーユニットの振動板の振動による空気の振動が十分に伝わらなければならないが,音響抵抗物質に一般的な吸音材を用いた場合は前述のように100Hz以下の周波数では吸音率が非常に低く,実際に試してみた感触では音響抵抗物質として一般的な通気性のある発泡ウレタンを圧縮気味にして用いても振動板の振動は音響抵抗物質を通じて主空間に伝わった。

以上
共振抑制手段としては,図18による方法のほか機械的共振器を用いることが可能である。図20は,第三の実施例であるホルムヘルツ共振器16を用いたスピーカーシステムである。図20において11と12は図11(a)と同一のものである。図において共振器16は空間1602と開口筒1601を備え,開口筒1601の開口は,エンクロージャー12の主空間1201に接している。
ホルムヘルツ共振器16の共振周波数はその空間1602の容積と開口筒1601の開口面積と筒の長さで求められるが,前述の試作による事例ではスピーカーユニット11と主空間1201による共振周波数fpは約160Hzであり,ホルムヘルツ共振器16の共振周波数をほぼfpと同一にすることで,主空間内1201内の共振エネルギーを共振器16が吸収し,共振を抑制できる。
試算では,空間1602の容積を約1リットル,開口筒1601の開口面積を1.9cm,長さを2cmとすれば共振周波数を約160Hzとできる。なお共振器の共振の強さは空間1602の容積や開口筒1601の開口面積や長さおよび空間1602や開口筒1601内に吸音材を配する,開口筒の開口に音響抵抗を設けるなどで調整するものとする。このようなスピーカーシステムには図18のスピーカーシステムの場合と同様の電気駆動回路を用い,その場合の周波数−音圧特性は図12においてMFBによる共振抑制特性がほぼホルムヘルツ共振器16による共振抑制特性に取って替わられる。
ホルムヘルツ共振器16の共振筒1601は,質量を有しその周囲を弾性支持された振動板としても効果は同一である。
機械的共振器を用いた別の方法では,図21のような方法も考えられる。図21において17は主空間1201内に設置された共振器で,弾性板1702の自由端側に錘1701が取り付けてあり,基端は台1703に固定されている。振動板1702の弾性と錘1701の質量により共振周波数が定まり,振動板に弾性が高く機械損失の大きいプラスチック板のようなものを用いて共振周波数を前述のfpに合わせれば,主空間1201の空気振動で共振し,主空間の共振エネルギーを吸収する。
共振抑制手段は,電気駆動回路内に設けられた帯域減衰フィルターでもよい。図22は本件発明の第4の実施例に用いる電気駆動回路で,図4に示す電気駆動回路に18の帯域減衰フィルター(BEF:バンドエリミネーションフィルター)を追加したものである。18の帯域減衰フィルター(BEF)の具体回路例を図23の(a)と(b)に示す。図23の(a)はLとCの直列共振回路で共振周波数ではインピーダンスが最小となる特性を利用したもの,同じく(b)は一般的にTノッチフィルターと呼ばれる回路で,いずれも図12のMFBによる共振抑制特性に類似の周波数−利得特性を得ることができる。また近年はデジタル技術(コンピュータとソフトウエア)でもこのような特性を容易に得ることができる。
従って,フィルターの中心周波数を図12のfpと同一に設定すれば,図11の(a)のスピーカーシステムと組み合わせて使用することで図11と類似の音響システムを構成することができる。
なお,図20と図21の機械的共振器および図22の帯域減衰フィルターは単一のもので説明したが,共振周波数をfp近傍でずらせた複数のものを組み合わせて減衰帯域幅を広げてもよい。
図24は本件発明の第五の実施例による機械共振抑制手段を用いたスピーカーシステムを示す図である。図24に示すスピーカーシステムのエンクロージャー19は基本的に図18に示す12と同じバスレフ型エンクロージャーであり,主空間1901とダクト1902で共振し,共振周波数は図14に示す第二の実施例と同様に低い周波数の音圧を補うことを意図している。
図24と図18との違いは図18に示すスピーカーシステムではスピーカーユニット11と通気性を有する音響抵抗物質15が主空間1201内に直接配置してあるのに対し,図24の実施例では,エンクロージャー19と壁部20で覆われる小空間21内に配置され,スピーカーユニット11の振動板1101の振動によって生じる空気の振動は小空間21の開口2101を通じて主空間1901に伝搬することおよび,小空間内には振動板1101の背面側に通気性を有する音響抵抗物質22と,音響抵抗物質22と開口2101側に吸音材24が配されていることである。なお,試作では,図11に示したエンクロージャーを改造したので,図11のエンクロージャーの主空間1201は容積が1.5リットルであったが,図24の実施例では小空間21の容積は0.2リットル,主空間1901の容積は壁部20の体積を含めて1.3リットルほどである。
なお,23は音響抵抗物質22と吸音材24の間の空間で,適当な吸音材を充填されていてもよく,場合によっては吸音材24と同一の材料で充填されていてもよい。さらには音響抵抗物質22から吸音材24までを同一材料で一体的に構成してもよい。
ここで音響抵抗物質22は,振動板1101の振動による空気流量を制限して振動板を制動するこが目的であり,より具体的には通気面積を制限して空気の粘性を利用することで時間あたりの空気流量を制限するもので,試作では前述のように通気性の発泡ウレタンや木綿布などを圧縮気味にして使用した。このような材料では振動板の制動のみならず吸音効果も期待できる。
吸音材24は吸音が目的であり,具体的には音響抵抗物質22と同様に繊維質材料や通気性の発泡ウレタンなどを用いることができる。このような構成により図18に示す第二の実施例に対しさらなる共振抑制効果を得ることができる。図25は図24に示すスピーカーシステムの低音域の機械共振の機械系等価回路であり,図26は図13と図19に示すものと同様に図24に示すスピーカーシステムの周波数−音圧特性である。
図25に示す機械系等価回路においてRt1は前記の音響抵抗物質22の等価機械抵抗で,Rt2は吸音材24の等価機械抵抗を示している。Ct1は振動板1101と音響抵抗物質22の間の空間のスチフネス,ResとCesは音響抵抗物質22と吸音材24の間の等価機械抵抗と等価機械スチフネスである。Cemはエンクロージャー19内の主空間1901のスチフネス,Mdはダクト1902内の空気の等価機械質量である。
ここで,スピーカーユニット11とエンクロージャー19内の空間の共振について図25を用いて説明する。まず一番低い周波数の共振は,スピーカーユニット11の等価機械質量Moと等価機械スチフネスCoとエンクロージャー19の主空間1901の等価機械スチフネスCemの直列回路で生じ,図24に示す主空間1901の容積を前述のとおり約1.3リットルとするとその共振周波数は約160Hz程度である。
次に低い周波数の共振はスピーカーユニット11の等価機械質量Moと等価機械スチフネスCoと小空間20の等価機械スチフネスCesの直列回路で生じ,図24に示す小空間21の容積を前述のとおり0.2リットルとするとその共振周波数は300Hz以上である。一番高い周波数の共振はスピーカーユニット11の等価機械質量Moと等価機械スチフネスCoと振動板1101と音響抵抗物質22間の空間の等価機械スチフネスCt1の直列回路で生じ,Ct1は小空間21の容積よりさらに小さくなるから共振周波数は500Hz以上である。
ここで音響抵抗物質22は前述のとおり通気性の発泡ウレタンもしくは繊維質の布で構成し,また吸音材24も同様である。ここでこのような材料に共通するのはこれらの材料は前述のとおり一般的に吸音材として用いられ,その吸音率は周波数が高いほど高く,周波数が低いほど低くなり,約300Hz以上では1に近く,約100Hz以上では0.1以下,約100〜300Hzでは0.1〜1の間であることである。また吸音材を厚くすればそれに応じて吸音率は高くなるということである。
従って,前述のとおり振動板1101と第一の音響抵抗物質22の間の空間による共振は周波数300Hz以上500Hz程度となるが音響抵抗物質22の吸音特性により共振による音響エネルギーはそのほとんどが吸収されて共振は抑制される。また小空間21による共振も周波数が約300Hzであるから音響抵抗物質22と吸音材24の吸音特性により共振による音響エネルギーはそのほとんどが吸収されて共振は抑制される。
最後に主空間1901との共振であるが,共振周波数は約160Hz程度であり,音響抵抗物質22と吸音材24の吸音率としては0.1〜1の間の周波数領域である。しかし開口2101から振動板1101方向に距離を十分に確保し,すなわち空気振動が通過する吸音材の厚みを確保することで160Hzの音響エネルギーを吸収し共振を抑制できる。
一方で,スピーカーユニット11と主空間1901の相互関係でおこる共振は,主空間1901内も音響エネルギーで満たすが,音響エネルギーは主空間1901を構成するエンクロージャーの内壁面と壁部20の主空間1901側の面及び開口2101の面積に応じて単位面積あたりで均等な圧力として伝搬しようとするが,開口2101の面積分だけが振動板1101方向に伝搬でき,その他は壁により反射され,次の瞬時ではまた同じことを繰り返し,壁部20と開口2101がない図18の場合に比べて主空間1901側から振動板1101に作用するエネルギーは相応に制限されさらに共振抑制効果を高くできる。開口2101から振動板1101に伝搬できなかったエネルギーは主空間1901内で時間をかけて減衰する。
以上のように図24に示す第五の実施例の共振抑制手段を用いたスピーカーシステムでは,図18に示すものに比べて,振動板1101と主空間1901との共振を生じる相互関係において,吸音材24および吸音材24と音響抵抗物質22間の吸音材,開口2101と壁部20の作用により共振抑制効果を高めることができる。
また,主空間1901に露呈する吸音材24の面積は開口2101の部分に制限されることにより,主空間1901とダクト1902のバスレフ共振の強さにもほとんど影響することがない。
図26に図24に示すスピーカーシステムの周波数−音圧特性を示すが,図18に示す音響抵抗物質15だけの場合のスピーカーシステムの周波数−音圧特性図19に比べ,さらに共振の抑制がよく行われていることが分かる。
図24において,小空間21はエンクロージャー19と該エンクロージャー19に一体化された壁部20によって囲われて構成されているが,壁部をエンクロージャーやスピーカーユニットとは別の一部品として例えば樹脂成型品のようなもので構成し,スピーカーユニットの背面全周を該部品で覆って構成してもよい。すなわち小空間は該部品によってのみ囲われて構成されるようにしてもよい。また,スピーカーユニット11と該スピーカーユニットの振動板1101と音響抵抗物質22の間の空間の容積すなわち等価機械スチフネスCt1との関係で生じる共振の周波数において音響抵抗物質22と吸音材24の吸音率が1に近いこと,スピーカーユニット11とエンクロージャーの主空間1901の容積すなわち等価機械スチフネスCemとの関係で生じる共振の周波数において音響抵抗物質22と吸音材24の吸音率が0.1から1の範囲であること,さらには主空間1901とダクト1902の関係で生じる共振の周波数において音響抵抗物質22と吸音材24の吸音率が0.1に近い値以下であることという関係が成り立てば,用いる音響抵抗物質や吸音材の周波数対吸音率の特性に沿って,各空間の容積や各共振周波数は前述の値から調整可能である。
以上は本件発明の音響システムを用いる共振抑制手段の違いにより第一から第五の実施例として個々に説明して来たが,第一から第五の実施例の共振抑制手段は,二つないし複数で組み合わせて使用してもよい。図27は,共振抑制手段としてまず通気性のある音響抵抗物質15でスピーカーユニット11の振動板1101の背面側を覆い,さらにホルムヘルツ共振器16をその開口筒1601の開口がエンクロージャー12の主空間1201に接するように設けている。このスピーカーシステムに組み合わせる電気駆動回路は図4の構成のものを,flだけを図12のfl’のように設定したものを用いる。
また,スピーカーシステムとしては,図18の構成のものを用い,図11の(b)に示すMFBを使用した電気駆動回路を組み合わせてもよい。また図22に示すBEFを加えた電気駆動回路を組み合わせてもよい。図28は図18のスピーカーシステムと図22に示す帯域制限減衰フィルター(BEF)を組み合わせて使用した場合の,周波数−音圧特性を示す。この例で帯域減衰フィルターは,フィルターの中心周波数を125Hzと250Hzとした二つのフィルターを組み合わせて使用したものである。一つの手段で共振抑制効果が不十分な場合は,他の手段と組み合わせることでより十分な効果を奏することができる。
さらに以上は本件発明の実施例のエンクロージャー方式として1段のバスレフ共振を用いたもので説明したが,スピーカーユニットの振動板振幅をスピーカーユニット固有の最低共振周波数を基本としてその約50%〜200%の範囲より低い周波数では増加しないようにし,それにより不足する低い周波数の音圧をエンクロージャーの機械共振で補うようにするという図12で説明した周波数−音圧特性の特徴的且つ基本的考えによれば,エンクロージャーの機械共振,すなわち図12の(ホ)の共振は,前述の1段のバスレフ共振以外の方式でもよいことは自明である。
ダブルバスレフ型にすればさらに低い周波数の再生が可能であり,バスレフ型と同様にエンクロージャー内の主空間の等価機械スチフネスと別に設けた等価機械質量による共振を利用したドロンコーン式でも同様の効果が得られる。これらの方式ではスピーカーユニットと直接作用する主空間が図25に示す等価機械スチフネスCemの略密閉空間となり,スピーカーユニットと主空間による機械共振が強く表れるので第一から第五の実施例は有効に作用する。さらに別の方式として共鳴管やTQWTと呼ばれるような方式,あるいはホーンを用いたような方式でもその外形寸法が大きくなるという側面を除けば十分に図12の(ホ)の特性は得られる。
改めて本件発明の効果を説明すれば,従来のスピーカーユニットの低音域の機械的共振の利用を前提としたスピーカーシステムでは,スピーカーユニットとエンクロージャー内部の空間の関係による低域共振周波数でその再生可能な周波数の下限が制限され,それより低い周波数の音域をエンクロージャーの共振で補う構成としても,最低共振周波数が比較的高い例えば8cm以下の口径の小型のスピーカーユニットでは50Hz程度の低い周波数を十分な音圧で再生することは難しく,またエンクロージャーも必然的に大型のものが必要になっていた。
また,スピーカーユニットの低音域の機械的共振を抑制して,それによる低音の不足を電気的に補正した音響システムでは,スピーカーユニットの最低共振周波数の制約から解放されてより低い周波数の再生が可能になるが,10cm程度以下の小口径のスピーカーユニットでは,スピーカーユニットの最低共振周波数より低い周波数では振動板の振幅の制約から十分な音圧を発生できなかった。
対して本件発明では,スピーカーユニットの低音域の機械共振を抑制して,それによる低音の不足を電気的に補正するとともに,電気的な振動板の振幅補正は,所望の音圧でスピーカーユニットの振動板の最大振幅を超えない範囲とし,さらに不足する低音域の音圧はエンクロージャーの共振で補うようにしたので,スピーカーの最低共振周波数の制約によらない低い周波数の再生が可能になるとともに,音圧も十分に確保される。さらにエンクロージャーの方式を選択すればその大きさも小型にできる。
さらには,種類の異なる低音域の共振の抑制手段を組み合わせて使用することにより共振の抑制効果を十分にして,共振の影響による音圧の山を排除して周波数特性の平坦化を実現できる。
音響装置の存在を外形寸法的に負担に感じさせない且つ高品位な音を再生するステレオ装置,あるいはTV装置,あるいはPCオーディオ装置,サブウーハーシステムなどに適用できる。
1 ・・・スピーカーユニット
101 ・・・振動板
102 ・・・フレーム
103 ・・・電磁駆動装置
2 ・・・密閉型エンクロージャー
201 ・・・筐体
202 ・・・内部空間
3 ・・・信号源
4 ・・・周波数補正回路
5 ・・・電力増幅器
6 ・・・エンクロージャー
601 ・・・筐体
602 ・・・内部空間
603 ・・・開口
8 ・・・通気性のある音響抵抗物質
9 ・・・通気性のある音響抵抗物質
10 ・・・エンクロージャー
1001・・・主空間
1002・・・折れ曲がり空間
1003・・・折れ曲がり空間
1004・・・開口端部
11 ・・・スピーカーユニット
1101・・・振動板
12 ・・・バスレフ型エンクロージャー
1201・・・主空間
1202・・・バスレフダクト
13 ・・・加算回路
14 ・・・センサー
15 ・・・通気性のある音響抵抗物質
16 ・・・ホルムヘルツ共振器
1601・・・開口筒
1602・・・空間
17 ・・・共振器
1701・・・錘部
1702・・・板部
1703・・・台
18 ・・・帯域減衰フィルター(BEF)
19 ・・・エンクロージャー
1901・・・主空間
1902・・・ダクト
20 ・・・小空間を構成する壁
21 ・・・小空間
2101・・・小空間の開口
22 ・・・音響抵抗物質
23 ・・・吸音材
24 ・・・吸音材

Claims (3)

  1. フレームに弾性的に支持された振動板と該振動板を振復駆動する電磁駆動装置からなり低周波数音域に固有の機械的共振を有するスピーカーユニットと,該スピーカーユニットを取り付けてスピーカーユニットの振動板の背面側の音と前面側の音の干渉を阻害するエンクロージャーと,スピーカーユニットの電磁駆動装置に接続される電気駆動回路からなる音響装置において,前記スピーカーユニットの振動板の振動を制動することによる機械的共振の抑制手段と,電気駆動回路には前記機械的共振の抑制手段によって共振を抑制された振動板の振幅減少による音圧不足を補う周波数−音圧補正回路を備え,該周波数−音圧補正回路の補正特性は,所定の周波数より低い周波数では振動板振幅が所定の周波数における振幅を超えることがないよう利得を制限し,それにより不足する所定の周波数より低い周波数の音圧をエンクロージャーの共振手段で補うようにしたものであって,前記所定の周波数は,使用するスピーカーユニット固有の機械的共振周波数(foという)を基本として0.5倍から2倍の範囲に設定したことを特徴とする音響装置。
  2. 前記機械的共振の抑制手段は,前記スピーカーユニットの振動板の背面と該振動板背面から所定の距離を置く開口を含み,該開口を介してのみ前記振動板の振動による空気振動が前記エンクロージャー内部の主空間に伝搬するようにした小空間内の,前記振動板と開口間に通気性と吸音性のある音響抵抗物質を配したものであることを特徴とする請求項1の音響装置。
  3. 前記不足する所定の周波数以下の音圧を補うエンクロージャーの共振手段はエンクロージャーの主空間の等価機械スチフネスと別に設けた等価機械質量の組み合わせによるものであることを特徴とする請求項1または請求項2の音響装置。
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