JP2019023330A - 水素化アモルファスカーボン膜の形成方法および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

水素化アモルファスカーボン膜の形成方法および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Tomohito Ozawa
智仁 小澤
岡村 竜次
Tatsuji Okamura
竜次 岡村
一成 大山
Kazunari Oyama
一成 大山
大脇 弘憲
Hironori Owaki
弘憲 大脇
阿部 幸裕
Yukihiro Abe
幸裕 阿部
純 大平
Jun Ohira
純 大平
高典 上野
Takanori Ueno
高典 上野
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Abstract

【課題】 炭素原子を含有する原料ガスが主となる場合であっても強放電の発生を抑制することで、膜厚ムラを低減可能な水素化アモルファスカーボン膜の形成方法を提供する。【解決手段】 プラズマCVD法による水素化アモルファスカーボン膜の形成方法であって、電極および円筒状基体の一方の電位に対する他方の電位が交互に正と負になるように周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の交番電圧を印加し、炭素原子を含有する原料ガスを分解して、水素化アモルファスカーボン膜を形成する工程において、Q1/Q2が30/70以上80/20以下であることを特徴とする水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、水素化アモルファスカーボン膜の形成方法および電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する。)を用いた電子写真感光体は、円筒状基体の表面に光導電層などの堆積膜を形成することにより製造されている。
堆積膜の形成方法としては、RF帯の高周波を用いたグロー放電により堆積膜形成用の原料ガスを分解し、その分解生成物を円筒状基体上に付着させる方法、いわゆるRFプラズマCVD法が広く採用されている。
近年、電子写真装置の高画質化が強く要求されるようになってきており、これに対応して、電子写真感光体の堆積膜の均一性(堆積膜の膜厚および膜質の均一性)の改善や、堆積膜の特性の向上が強く要求されている。
従来のRFプラズマCVD法では、周波数が高いため、波長に応じた定在波が生じてプラズマ中に電界の小さい部分ができる場合がある。また、用いるプラズマCVD装置のインピーダンスの影響による伝搬ムラのために、プラズマが不均一になったりする場合がある。これらが、堆積膜の均一性を向上させるうえでの課題となっていた。
また、従来のRFプラズマCVD法では、用いる電界が交番電界であるため、プラズマ中の荷電粒子(イオンや電子)が電界によって往復運動し、その往復運動の間に他の荷電粒子や中性活性種や原料ガスと二次反応を起こし、粉体状の物質となることがあった。この粉体状の物質が堆積膜中に取り込まれてしまうことが、堆積膜の特性を向上させるうえでの課題となっていた。
これらの課題のうち、堆積膜の均一性の向上に関しては、定在波やプラズマCVD装置のインピーダンスの影響が小さくなる低周波数でのグロー放電が検討されている。
また、堆積膜の特性の向上に関しては、プラズマ中での二次反応を抑制するため、すべての電圧が正および負のいずれか一方の極性になるように調整する、すなわち、一方の極性の電圧のみを印加して放電させることが検討されている。
以下、正および負のいずれか一方の極性の電圧のみを印加して放電させることを「片側極性放電」と表記し、正および負の両方の極性の電圧を交互に印加して放電させることを「両側極性放電」と表記する。
特許文献1には、300kHz以下の周波数で正および負のいずれか一方のみの極性の矩形波の電圧を用いる技術が開示されている。特許文献1には、300kHz以下の低周波数とすることで、堆積膜の均一性が向上すると記載されている。
WO2006/134781
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1に開示されている技術によって水素化アモルファスカーボン膜(以下、「a−C:H膜」とも表記する。)を形成した場合、a−C:H膜の膜厚ムラのレベルに改善の余地が残されていることがわかった。
プラズマCVDでは、電極間にプラズマを生成することにより生じる活性種を円筒状基体上に堆積させることで所望の堆積膜を形成する。その際、プラズマに曝されている電極の表面にも堆積膜が堆積してしまう。特許文献1に開示されている片側極性放電を用いてプラズマCVDにより堆積膜を形成すると、電極には主に正および負のいずれか一方の極性の荷電粒子のみが到達する。そのため、電極上に堆積した堆積膜の影響により、電極の表面に電荷が蓄積してしまう。この蓄積された電荷が電極上の堆積膜の上から電極へと流れる際にスパークを発生させ、このスパークにより、スパークの発生部を起点とした強いプラズマ発光が生じる場合があった。この強いプラズマ発光により、スパーク発生部周辺のプラズマ強度が高くなるため、放電空間のプラズマの分布が不均一となり、円筒状基体上に形成される堆積膜の膜厚ムラが悪化する場合があった。
以下、蓄積された電荷が電極上の堆積膜の上から電極へと流れることで生じるスパークに起因して発生するスパーク発生部周辺のプラズマ強度が高くなる現象を「強放電」と表記する。
特に、炭素原子を含有する原料ガスを用いた場合、強放電が発生しやすく、炭素原子を含有する原料ガスが主となるa−C:H膜の形成時には、強放電に起因する膜厚ムラの影響で、膜厚の均一性が高い堆積膜を形成することが困難な場合があった。
このため、片側極性放電で形成されたa−C:H膜を電子写真感光体に用いた場合、膜厚ムラに起因する画像濃度ムラが発生する場合があった。
このようなa−C:H膜の形成時の強放電に起因する弊害は、特許文献1に開示されている矩形波の低電圧部分を0Vとし、荷電粒子の円筒状基体への入射を断続的に停止することによっても、十分には改善されない場合があった。
本発明の目的は、強放電の発生を抑制することで、膜厚ムラを低減可能なa−C:H膜の形成方法を提供することにある。また、膜厚ムラを低減可能な上記a−C:H膜の形成方法を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、内部に電極を有する減圧可能な反応容器の内部に前記電極と離間させて円筒状基体を設置する基体設置工程、
前記反応容器の内部に炭素原子を含有する原料ガスを導入するガス導入工程、および、
前記原料ガスを分解して、前記円筒状基体上に水素化アモルファスカーボン膜を形成する膜形成工程
をこの順に有するプラズマCVD法による水素化アモルファスカーボン膜の形成方法であって、
前記膜形成工程が、前記電極および前記円筒状基体の一方の電位に対する他方の電位が交互に正と負になるように、周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の交番電圧を前記電極と前記円筒状基体との間に印加し、前記原料ガスを分解して、前記円筒状基体上に水素化アモルファスカーボン膜を形成する工程であり、
前記膜形成工程において、前記電極の電位に対して前記円筒状基体の電位が正となるときに前記電極と前記円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値をQ2とし、前記電極の電位に対して前記円筒状基体の電位が負となるときに前記電極と前記円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値をQ1としたとき、Q2に対するQ1の比の値(Q1/Q2)が、30/70以上80/20以下である
ことを特徴とする水素化アモルファスカーボン膜の形成方法である。
また、本発明は、円筒状基体および表面層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
前記表面層が、水素化アモルファスカーボン膜であり、
前記製造方法が、前記水素化アモルファスカーボン膜の形成方法を用いて前記表面層を形成する表面層形成工程を有する
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、強放電の発生を抑制することで、膜厚ムラを低減可能なa−C:H膜の形成方法を提供することができる。また、膜厚ムラを低減可能な上記a−C:H膜の形成方法を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる矩形波の交番電圧を説明するための図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法を実施するための製造装置(プラズマCVD装置)の例を示す模式図である。
図1(a)は、本発明に用いられる矩形波の交番電圧を説明するための図である。
図1(a)は、電極の電位をアース電位で一定とし、電極の電位に対する円筒状基体の電位が交互に正と負になるように矩形波の交番電圧を電極と円筒状基体との間に印加した場合の円筒状基体の電位の変化を示す図である。図1(a)の例では、電極の電位に対する円筒状基体の電位が正になるときの電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV1、負になるときの電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV2となっている。図1(a)の例では、電極の電位を一定としているため、円筒状基体の電位が図1(a)に示すように矩形状に変化する。
図1(a)中のTは、矩形波の周期を表しており、矩形波の周波数(パルス周波数)によって決まる。図1(a)中のt1は電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV1となっている時間(期間)を表しており、t2は電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV2となっている時間(期間)を表している。また、t3は、電極と円筒状基体の間に矩形波の交番電圧を印加していない時間(期間)を表している。
本発明では、電極の電位に対して円筒状基体の電位が正となるとき(図1(a)中のt1の間)に電極と円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値がQ1である。また、Q2は、電極の電位に対して円筒状基体の電位が負となるとき(図1(a)中のt2の間)に電極と円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値である。Q1をQ2で除した値(Q1/Q2)をQ2に対するQ1の比の値と定義する。
さらに、本発明では、t1をt1+t2で除した値(t1/(t1+t2))をDuty比(%)と定義する。
このような矩形波の交番電圧は、
電極の電位に対する円筒状基体の電位が正になるときの電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV1となる電圧、および、
電極の電位に対する円筒状基体の電位が負になるときの電極と円筒状基体の電位差の絶対値がV2となる電圧
を、DC電源から発生させて、スイッチ素子をON/OFF制御し、DC電源からの電圧をパルス状にすることによって得ることができる。スイッチ素子としては、例えば、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラートランジスター)、MOSFETなどの半導体スイッチ素子を用いたものがある。これらのスイッチ素子によれば、Duty比や周波数を変化させることもできる。
図2は、本発明の水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H膜)の形成方法を実施するための製造装置(プラズマCVD装置)の例を示す模式図である。図2(a)は縦断面図であり、図2(b)は横断面図である。図2に示すプラズマCVD装置では、電極である反応容器214の電位に対する円筒状基体212の電位が交互に正と負になるように矩形波の交番電圧を反応容器214と円筒状基体212との間に印加する。反応容器214と円筒状基体212との間に印加される矩形波の交番電圧は、電源230から出力され、制御部231によって周波数、電圧値およびDuty比などが制御される。これにより、反応容器214の内部に導入された炭素原子を含有する原料ガスを分解することで、円筒状基体212の表面に堆積膜を形成することができる。
本発明では、周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の交番電圧を印加して炭素原子を含有する原料ガスを分解することによってa−C:H膜を形成する際、Q1/Q2を30/70以上80/20以下とすることを特徴としている。これにより、円筒状基体上に良好な膜厚ムラを有するa−C:H膜の形成が可能となる。
まず、本発明において、周波数を3kHz以上300kHz以下にすることで膜厚ムラが抑えられたa−C:H膜の形成が可能な理由を以下に示す。
炭素原子を含有する原料ガスを使用した場合、周波数が低くなりすぎると、放電が不安定となり、その結果、アークやスパークなどの異常放電や反応容器の内部での放電の偏りが生じやすくなる。このようなプラズマの不安定性が、円筒状基体上に形成されたa−C:H膜の膜厚分布に影響を与えるため、周波数を3kHzより低くすると、膜厚ムラが悪化する場合がある。一方で、周波数が高くなりすぎると、波長に応じた定在波が生じてプラズマ中に電界の小さい部分ができやすく、プラズマCVD装置のインピーダンスの影響による伝搬ムラのため、プラズマが不均一になりやすくなる。このようなプラズマの不均一性が、円筒状基体上に形成されたa−C:H膜の膜厚分布に影響を与えるため、周波数を300kHzより高くしても膜厚ムラが悪化する場合がある。このような理由により、本発明においては、周波数を3kHz以上300kHz以下にする必要がある。好ましくは、周波数を10kHz以上100kHz以下にすることである。
さらに、本発明では、a−C:H膜形成時に、電極と円筒状基体の一方の電位に対する他方の電位が交互に正と負になる矩形波の交番電圧を電極と円筒状基体との間に印加する。そして、Q1/Q2が30/70以上80/20以下にすることで、電極の表面での強放電の発生を抑制することが可能となる。その結果、円筒状基体上に形成したa−C:H膜の膜厚ムラが改善する。以下、その理由を示す。
プラズマCVDで堆積膜を形成する際、電極と円筒状基体の間にプラズマを生成し、プラズマ中の陽イオンが円筒状基体に到達し、円筒状基体の表面に堆積膜が形成される。この際、陽イオンが持つ正の電荷により、円筒状基体の表面は正電位にチャージアップする。一方、プラズマ中の陰イオンは電極に到達し、電極の表面に堆積膜が形成され、陰イオンが持つ負の電荷により、電極の表面は負電位にチャージアップする。
電極の表面に形成された堆積膜に関しては、一般的に電極の温度を制御しないため、電極の方が円筒状基体よりも温度が低くなることから、電極の表面に形成される堆積膜の方が粗な膜になりやすい。このため、電極の表面に形成された堆積膜は、円筒状基体上の堆積膜に比べて堆積速度が速く、かつ、堆積膜の電気抵抗も高くなりやすい。
このような理由により、片側極性放電を用いてプラズマCVDにより堆積膜を形成すると、円筒状基体の表面の正の電荷の減衰に比べて電極の表面の負の電荷の減衰が非常に遅くなるため、電極の表面には負の多くの電荷が蓄積してしまう。この蓄積した電荷が一気に堆積膜を通過して電極へと流れる際に電極の表面で強放電が生じてしまう。この強放電により、放電空間内の炭素系の原料ガスが分解されるため、電極の表面の狭い範囲でプラズマ強度が高くなり、この部分に対向する円筒状基体の堆積速度が高くなってしまうと考えられる。特に、メタン、アセチレンのような炭素原子を含有する原料ガスを用いるa−C:H膜の形成においては、強放電がより発生しやすい。
しかしながら、a−C:H膜形成時であっても、Q1/Q2を30/70以上80/20以下にすることで、両側極性印加により電極の表面に正または負の電荷のみが蓄積しないように交番電圧を印加できるため、上記電荷の蓄積を抑制することができる。この結果、片側極性印加で生じる電極の表面に形成された堆積膜上での電荷の蓄積による強放電の発生を抑制することが可能となる。強放電の発生に関しては、Q1とQ2が近づくほどを強放電の抑制効果が得られ、35/65以上75/25以下にする方が好ましい。
このような理由により、炭素系の原料ガスを用いてa−C:H膜を形成する際、周波数を3kHz以上300kHz以下、Q1/Q2を30/70以上80/20以下にすることで、円筒状基体上の堆積膜の膜厚ムラが良化する。
また、片側極性放電では、印加電圧を上げるほど、強放電が発生しやすく、また、強放電が強くなる。
しかしながら、両側極性放電を用い、周波数およびQ1/Q2を上記条件にすることで、印加電圧を上げた際でも、強放電の発生を抑制することができ、円筒状基体上に形成される堆積膜の膜厚ムラを抑制することができる。
さらに、片側極性放電では、印加電圧を下げていくと、放電を維持するために必要な最低限の印加電圧に近づいていくため、プラズマの安定性が低下する。これにより、円筒状基体上に形成される堆積膜の膜厚ムラが悪化する場合があった。
しかしながら、両側極性放電では、片側極性放電よりも低い印加電圧までプラズマの安定性が維持できる。
この理由としては、電極の電位に対して円筒状基体の電位が負から正に切り替わる際、t2の期間で生成された荷電粒子は瞬時には消滅せずにt1の期間においてもアフターグローとして残存する。t1が同じであっても、片側極性放電に比べて両側極性放電では、このアフターグローの影響により、t1の期間でより多くの荷電粒子が生成される。電極の電位に対して円筒状基体の電位が正から負に切り替わる際も同様であり、t2が同じであっても、片側極性放電に比べて両側極性放電では、このアフターグローの影響により、t2の期間でより多くの荷電粒子が生成される。このように、両側極性放電では、片側極性放電に比べて荷電粒子の生成効率が良いため、両側極性放電では、片側極性放電よりも低い印加電圧までプラズマの安定性が維持できると考えられる。
本発明の膜形成工程においては、Duty比(t1/(t1+t2))を0.10以上0.45以下、または、0.55以上0.90以下とすることが好ましい。さらには、0.10以上0.30以下、または、0.70以上0.90以下とすることがより好ましい。
Duty比を0.50よりも小さくするということは、電極と円筒状基体の間に正および負の電圧を印加する時間に対して、正の電圧を印加する時間を負の電圧を印加する時間よりも短くすることを示している。このように、正の電圧を印加する時間を短くすると、同じQ1およびQ2を維持するためには、Duty比が0.50のときよりも正の印加電圧を上げ、負の印加電圧を下げることになる。そのため、電極と円筒状基体との間に流れる正および負の総電荷量の絶対値を低くした場合であっても、正の印加電圧を上げることができるため、プラズマの安定性が向上し、円筒状基体上に形成される堆積膜の膜厚ムラを抑制することができる。そのため、Duty比を0.45以下とすることが好ましく、0.30以下とすることがより好ましい。また、電源から出力される正の印加電圧の制御性および安定性の観点から、Duty比を0.10以上とすることが好ましい。
一方、Duty比を0.50よりも大きくするということは、電極と円筒状基体の間に正および負の電圧を印加する時間に対して、負の電圧を印加する時間を正の電圧を印加する時間よりも短くすることを示している。Duty比を0.50よりも大きくする場合も上述したDuty比を0.50よりも小さくする場合と同様な理由により、Duty比を好ましくは0.55以上とすることで、円筒状基体上に堆積する堆積膜の膜厚ムラを抑制することができる。より好ましくは、0.70以上である。また、電源から出力される正の印加電圧の制御性および安定性の観点から、Duty比を0.90以下とすることが好ましい。
本発明のa−C:H膜の形成時に用いられる電源に関しては、特に制限はない。ただ、電源によっては、図1(b)に示すように、t3とは別に、t2とt1の間、つまり、電極の電位に対して円筒状基体の電位が負から正に切り替え時に電極と円筒状基体の間に矩形波の交番電圧を印加していない時間(期間)t4が入る場合もある。このような場合は、矩形波の交番電圧を印加していない時間(期間)は、t3とt4の合計(t3+t4)となる。なお、電極と円筒状基体の間に矩形波の交番電圧を印加していない時間(期間)に関しては、特に制限はなく、プラズマの安定性や電源の仕様の観点から適宜設定すればよい。だが、矩形波の周期Tに対するt3の比(t3/T)は、プラズマの安定性の観点から、0.90以下とすることが好ましい。
〈電子写真感光体の製造装置〉
本発明のa−C:H膜の形成方法にて形成されたa−C:H膜を表面層として有する電子写真感光体を製造可能な装置として、例えば、図2に示すプラズマCVD装置を用いることができる。
図2に示すプラズマCVD装置は、
プラズマ処理によって円筒状基体212(上側円筒状基体212A、下側円筒状基体212B)の表面(外周面)に堆積膜を形成するための円筒状の反応容器214と、
円筒状基体212(212A、212B)を加熱するためのヒーター216と
を備えている。
また、円筒状基体212(212A、212B)を保持する円筒状基体ホルダー213Aおよび213B、反応容器214の内部に炭素原子を含有する原料ガスを導入するためのガスブロック235を備えている。
ガスブロック235は、反応容器214から取り外しが可能(脱着可能)な構造となっている。
ガスブロック235とガス供給系との接続は、継ぎ手部材(不図示)を介して接続されている。このような構成とすることで、ガスブロックのみを入れ替えて、品種ごとの製造に対応した構成の反応容器に段取り換えができる。
ガスブロック235は、反応容器214に取り付けられた状態で電極の一部となる。ガスブロック235は、電極の他の部分と同電位になるように反応容器214に取り付けられることが好ましい。このことにより、ガスブロック235を含めた反応容器214の内部の側壁面(内壁面)全体が電極となり、より均一なプラズマを生成することができる。ガスブロック235の材質は、導電性の金属であることが好ましく、加工の容易性やコストの観点から、アルミニウム、ステンレス鋼がより好ましい。
プラズマCVD装置211は、反応容器214、ベースプレート219および上蓋220により減圧可能な空間(放電空間)が形成されている。なお、ベースプレート219、上蓋220を接地し、電極である反応容器214を接地しない場合には、反応容器214とベースプレート219、上蓋220との間に絶縁性の部材を設けることが好ましい。図2に示すプラズマCVD装置においては、反応容器214、ベースプレート219および上蓋220のいずれも接地した。
また、図2に示すプラズマCVD装置は、原料ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラー(不図示)を内包する原料ガス混合装置225と原料ガス流入バルブ224を備えている。
円筒状基体212(212A、212B)を保持する円筒状基体ホルダー213Aおよび213Bは回転可能に支持されている。この回転支持機構は、支軸222と、支軸222と歯車で接続されたモーター221とを有している。
円筒状基体ホルダー213Aおよび213Bの内側には、接合電極217Aおよび217Bが接合している。接合電極217Aおよび217Bは、支軸222を介して電源230に接続されている。電極214と円筒状基体212(212A、212B)、円筒状基体ホルダー213A、213Bは、中心軸が一致するように配置されている。
ヒーター216の外面は接地されていて、ヒーター216と円筒状基体212(212A、212B)との間に絶縁部材215Aが設けられていることで、ヒーター216と円筒状基体212(212A、212B)とは絶縁されている。ヒーター216の内側には、支軸222との間に絶縁部材215Bが設置され、ヒーター216と支軸222が絶縁されている。
図2に示すプラズマCVD装置は、排気系として、反応容器214の排気口に連通された排気配管226と、排気メインバルブ227と、真空ポンプ228とを有している。真空ポンプとしては、例えば、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプなどが挙げられる。この排気系により、反応容器214に設けられた真空計223を見ながら、反応容器214の内部を所定の圧力に維持することができる。
電源230は、制御部231によってその動作が制御される。制御部231は、電源230を制御することにより、電極である反応容器214と円筒状基体212(212A、212B)との間に周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の交番電圧を印加可能になっている。
堆積膜を形成するための放電空間(減圧可能な空間)は、接地された反応容器214と、接地されたベースプレート219に取り付けられた絶縁板218Bと、接地された上蓋220に取り付けられた絶縁板218Aによって規定されている。
本発明の膜形成工程においては、電極である反応容器214は一定の電位にすることが好ましく、アース電位にする(接地する)ことがより好ましい。反応容器214を一定の電位とすることで、反応容器214と反応容器214中の他の部分との電位差を一定に保つことができるため、反応容器と円筒状基体の間に生成されるプラズマを安定させることができる。これにより、良好な膜厚ムラを有する円筒状基体上の堆積膜を再現よく形成することができる。また、電極214をアース電位にすることで、プラズマCVD装置の取り扱いが容易になる。
さらに、本発明の膜形成工程においては、電極が反応容器の内壁の一部または全部であることが好ましく、図2に示すように、ガスブロック235を含めた反応容器214の内部の側壁面(内壁面)全体が電極であることがより好ましい。反応容器214の内壁の少なくとも一部を電極とすることで、プラズマCVD装置の取り扱いがさらに容易になる。また、ガスブロック235と反応容器214との接続部などの反応容器を形成する部材の接続部やガスブロック235に設置されたガス噴き出し穴などの凹部では強放電が発生しやすいが、本発明を採用することで、凹部での強放電を抑制することも可能となる。そのため、反応容器の内壁の少なくとも一部を電極とすることで、より均一なプラズマを生成することができるため、円筒状基体上の堆積膜の膜厚ムラが抑制される。
〈電子写真感光体の製造方法〉
以下、図2に示すプラズマCVD装置を用いた電子写真感光体の製造方法の一例について説明する。
旋盤などを用いて表面に鏡面加工を施した円筒状基体212(212A、212B)を、円筒状基体ホルダー213A、213Bに装着する。そして、反応容器214の内部の円筒状基体加熱用のヒーター216を包含するように反応容器214の内部に設置する(基体設置工程)。その際、円筒状基体は、電極と離間させて設置する。
次に、ガス供給装置内の排気を兼ねて、原料ガス流入バルブ224を開き、排気メインバルブ227を開いて、反応容器214の内部およびガスブロック235内を排気する。真空計223の読みが所定の圧力(例えば0.67Pa以下)になった時点で、加熱用の不活性ガス(例えばアルゴンガス)をガスブロック235から反応容器214の内部に導入する。そして、反応容器214の内部が所定の圧力になるように加熱用の不活性ガスの流量、排気メインバルブ227の開口、真空ポンプ228の排気速度などを調整する。その後、温度コントローラー(不図示)を作動させて、円筒状基体212(212A、212B)をヒーター216により加熱し、円筒状基体212(212A、212B)の温度を所定の温度(例えば20〜500℃)に制御する。円筒状基体212(212A、212B)が所定の温度に加熱されたところで、不活性ガスを徐々に止める。これと並行して、堆積膜形成用の原料ガス(例えばSiH、Si、CH、Cなど)を、また、ドーピングガス(例えばB、PHなど)を、原料ガス混合装置225により混合する。その後に、反応容器214の内部に徐々に導入する(ガス導入工程)。
次に、原料ガス混合装置225内のマスフローコントローラー(不図示)によって、各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器214の内部が所定の圧力に維持されるように真空計223を見ながら、排気メインバルブ227の開口、真空ポンプ228の排気速度などを調整する。
以上の手順によって堆積膜形成の準備を完了した後、円筒状基体212(212A、212B)上に堆積膜の形成を行う。具体的には、反応容器214の内部の圧力が安定したのを確認した後、電源230を所定の電圧に設定して、制御部230で所定の周波数、t1、t2およびt3に設定する。これにより、支軸222および円筒状基体ホルダー213A、213Bを通じて円筒状基体212(212A、212B)と電極214との間に矩形波の交番電圧を印加して、グロー放電を生起させる。この放電のエネルギーによって反応容器214の内部に導入した各原料ガスが分解され、円筒状基体212(212A、212B)上に所定の堆積膜が形成される。なお、堆積膜の形成を行っている間は、円筒状基体212(212A、212B)をモーター221によって所定の速度で回転させてもよい。
所定の膜厚の堆積膜の形成を行った後、交番電圧の印加を止め、反応容器214への各原料ガスの流入を止めて、反応容器の内部を一旦高真空になるように排気する。上記のような操作を繰り返し行うことによって、電子写真感光体を製造することができる。
〈電子写真感光体の層構成〉
プラズマCVD法によって円筒状基体上にa−Siなどの堆積膜を形成して製造される電子写真感光体(以下「a−Si感光体」とも表記する。)の層構成について説明する。
堆積膜としては、例えば、下部注入阻止層、光導電層、上部注入阻止層、表面層などが挙げられ、これらの層を円筒状基体側から順次積層して電子写真感光体を製造することが一般的である。
下部電荷注入阻止層は、円筒状基体から光導電層への電荷の注入を抑制(阻止)するための層であり、例えばa−Siなどの材料によって形成される。
光導電層は、電子写真感光体にレーザー光などの像露光光を照射することによって電荷を発生させるための層であり、例えばa−Siなどの材料により形成される。
光導電層の膜厚は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましい。
上部電荷注入阻止層は、電子写真感光体の表面を帯電した際の電子写真感光体の表面の電荷が光導電層に注入することを抑制(阻止)するための層であり、例えばa−Siなどの材料により形成される。また、上部電荷注入阻止層の材料は、a−Siに炭素原子(C)、ホウ素原子(B)、窒素原子(N)、酸素原子(O)などを含有させたものが好ましい。
上部電荷注入阻止層の膜厚は、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
表面層は、電子写真感光体の表面を摩耗などから保護するための層であり、電子写真感光体に照射される像露光光が吸収されることのないように、像露光光に対して十分に広い光学バンドギャップを有していることが好ましい。また、静電潜像を十分に保持しうる抵抗値(好適には1011Ω・cm以上)を有していることが好ましい。
電子写真感光体の表面層としては、本発明の形成方法によって形成されるa−C:H膜を用いることが好ましい。これにより、表面層の層厚ムラの低減できるため、画像濃度ムラが良好な高品質な画像を出力可能な電子写真感光体の製造が可能となる。
上述したように、電子写真感光体は、複数の層が積層して形成されるのが一般的であり、電子写真感光体の製造過程の中では表面層形成工程は最後の工程となる。そのため、複数の層を連続的に同じ装置で形成した場合、表面層の形成が開始されるまでの間に、電極の表面には表面層形成工程前の工程で形成された堆積膜がすでに堆積した状態になっている。そのため、表面層形成工程においてa−C:H膜を形成すると、電極にすでに堆積している堆積膜の影響により、強放電が発生しやすくなっている。
しかしながら、本発明の形成方法を用いてa−C:H膜の表面層を形成することで、電極の表面にすでに堆積膜が十分に形成されていたとしても、表面層の層厚ムラを抑制することができる。これにより、画像濃度ムラの良好な高品質な画像を出力可能な電子写真感光体を製造することができる。
以下、実施例により、本発明の効果を具体的に説明する。
以下の実施例および比較例では、図2に示す製造装置を用いた。
また、外径寸法84mm、長さ381mm、肉厚3mmからなるアルミニウム合金製の円筒状基体を用い、円筒状基体を保持する円筒状基体ホルダー(213A、213B)には、円筒状基体と同材質のものを用いた。
そして、電極214、ベースプレート219、ガスブロック235および上蓋220のいずれも接地した。
堆積膜の形成時には、モーター221で円筒状基体を0.4回転/分で回転させながら、円筒状基体の外周面に表1に示す堆積膜形成条件でa−Si感光体を製造した。
Figure 2019023330
〔実施例1〕
表1および表2に示す堆積膜形成条件によりa−Si感光体を製造した。表面層形成時は、表2に示すQ1およびQ2となるようにV1およびV2を調整した。表2に調整後のV1およびV2を併記した。得られたa−Si感光体について、以下に示す条件で表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表4に示す。
Figure 2019023330
〔比較例1〕
表3に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表4に示す。
なお、表面層形成時は、V1を表3の値に調整したところ、Q2となった。
Figure 2019023330
(表面層の層厚の面内ムラの測定)
表面層の層厚の面内ムラの測定方法は、約2mmのスポット径でa−Si感光体の表面に垂直に光を照射し、分光計(商品名:MCPD−2000、大塚電子(株)製)を用いて、反射光の分光測定を行った。この反射光の分光測定より得られた反射光測定に用いる光の波長とa−Si感光体の反射率からなる反射率の分光スペクトルを用いて表面層の層厚を算出した。このとき、波長範囲を500〜700nm、光導電層の屈折率は3.30とし、表面層の屈折率を2.00とした。
表面層の層厚の測定点は、次のとおりである。まず、a−Si感光体の長手方向の中心位置を±0mmとする。そして、長手方向に−170mmから+170mmの領域において、長手方向に20mm刻みで18点(±170mm、±150mm、・・・±30mm、±10mm)、周方向に30°間隔の12点とし、計216点である。
表面層の層厚の面内ムラに関しては、長手方向および周方向で測定した全216点より得られた表面層の層厚のうち、最大値と最小値の差を求め、その値を表面層の層厚の面内ムラと定義した。
表面層の層厚の面内ムラの結果を、比較例1で製造したa−Si感光体No.5のa−Si感光体の値を基準として、以下に示すように評価した。なお、表面層の層厚の面内ムラの評価において、C以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A:比較例1に対して0.40未満
B:比較例1に対して0.40以上0.60未満
C:比較例1に対して0.60以上0.80未満
D:比較例1に対して0.80以上1.10未満
E:比較例1に対して1.10以上1.50未満
F:比較例1に対して1.50以上
実施例1および比較例1で評価した結果について、その結果を表4に示す。
Figure 2019023330
表4より、膜形成工程において、比較例1の片側極性放電では電極と円筒状基体の間に印加する電圧によらず表面層の層厚ムラの改善効果が得られなかった。これは、電圧が低い場合は、プラズマの安定性低下の影響により表面層の層厚ムラが改善しないと考えられる。また、電圧が高い場合は、プラズマの安定性は向上するものの、電極である反応容器の内壁で生じた強放電の影響が大きくなるため表面層の層厚ムラが改善しないと考えられる。
しかしながら、実施例1の両側極性放電では、電極と円筒状基体の間に印加する電圧によらず表面層の層厚ムラの改善効果が得られた。これは、両側極性放電により、プラズマの安定性が向上し、さらに、電極である反応容器の内壁で生じる強放電の発生が抑制できたためであると考えられる。
また、実施例1で製造したa−Si感光体を電子写真装置に搭載して画像を出力したところ、画像濃度ムラが良好な画像が出力できることが確認できた。
〔実施例2〕
表5に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表7に示す。
なお、表面層形成時は、表5に示すQ1およびQ2となるように実施例1と同様に調整した。
Figure 2019023330
〔比較例2〕
表6に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表7に示す。
なお、表面層形成時は、表6に示すQ1およびQ2となるように実施例1と同様に調整した。
Figure 2019023330
実施例2および比較例2で評価した結果について、その結果を表7に示す。
Figure 2019023330
表7より、膜形成工程において、周波数を3kHz以上300kHz以下とすることで表面層の層厚ムラの改善の効果が確認でき、周波数を10kHz以上100kHz以下にすることでより表面層の層厚ムラの改善の効果が確認できた。これは、周波数を3kHz以上300kHz以下とすることでプラズマの安定性が向上したためだと考えられる。
また、実施例2で製造したa−Si感光体を電子写真装置に搭載して画像を出力したところ、画像濃度ムラが良好な画像が出力できることが確認できた。
〔実施例3〕
表8に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表10に示す。
なお、表面層形成時は、表8に示すQ1およびQ2となるように実施例1と同様に調整した。
Figure 2019023330
〔比較例3〕
表9に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果を、表9に示す。
なお、表面層形成時は、表9に示すQ1およびQ2となるように実施例1と同様に調整した。
Figure 2019023330
実施例3および比較例3で評価した結果について、その結果を表10に示す。
Figure 2019023330
表10より、膜形成工程において、Q1/Q2を30/70以上80/20以下にすることで表面層の層厚ムラの改善の効果が確認でき、35/65以上75/25以下にすることでより表面層の層厚ムラの改善の効果が確認できた。これは、両側極性放電により電極の表面に正または負の電荷のみが蓄積しないように交番電圧を印加したことで、上記電荷の蓄積を抑制し強放電の発生を抑制することができたためだと考えられる。
また、実施例3で製造したa−Si感光体を電子写真装置に搭載して画像を出力したところ、画像濃度ムラが良好な画像が出力できることが確認できた。
〔実施例4〕
表11に示す堆積膜形成条件を用いた以外は実施例1と同様にa−Si感光体を製造し、得られたa−Si感光体について、実施例1と同様に表面層の層厚の面内ムラの評価を行った。その結果も表11に示す。
なお、表面層形成時は、表11に示すQ1およびQ2となるように実施例1と同様に調整した。
Figure 2019023330
表11より、膜形成工程において、Duty比(t1/(t1+t2))を0.10以上0.45以下、または、0.55以上0.90以下とすることで表面層の層厚ムラの改善の効果が確認できた。また、0.10以上0.30以下、または、0.70以上0.90以下とすることでより表面層の層厚ムラの改善の効果が確認できた。これは、両側極性放電時に正または負の電圧を印加する時間を短くすることで、正または負の印加電圧を上げることができるためプラズマの安定性が向上したためだと考えられる。
また、実施例4で製造したa−Si感光体を電子写真装置に搭載して画像を出力したところ、画像濃度ムラが良好な画像が出力できることが確認できた。
211 プラズマCVD装置
212 円筒状基体
212A 上側円筒状基体
212B 下側円筒状基体
213A 上側円筒状基体ホルダー
213B 円筒状基体ホルダー
214 反応容器
215A 絶縁部材(外側)
215B 絶縁部材(内側)
216 ヒーター
217A 接合電極
217B 接合電極
218A 絶縁板
218B 絶縁板
219 ベースプレート
220 上蓋
221 モーター
222 支軸
223 真空計
224 原料ガス流入バルブ
225 原料ガス混合装置
226 排気配管
227 排気メインバルブ
228 真空ポンプ
230 電源
231 制御装置

Claims (9)

  1. 内部に電極を有する減圧可能な反応容器の内部に前記電極と離間させて円筒状基体を設置する基体設置工程、
    前記反応容器の内部に炭素原子を含有する原料ガスを導入するガス導入工程、および、
    前記原料ガスを分解して、前記円筒状基体上に水素化アモルファスカーボン膜を形成する膜形成工程
    をこの順に有するプラズマCVD法による水素化アモルファスカーボン膜の形成方法であって、
    前記膜形成工程が、前記電極および前記円筒状基体の一方の電位に対する他方の電位が交互に正と負になるように、周波数3kHz以上300kHz以下の矩形波の交番電圧を前記電極と前記円筒状基体との間に印加し、前記原料ガスを分解して、前記円筒状基体上に水素化アモルファスカーボン膜を形成する工程であり、
    前記膜形成工程において、前記電極の電位に対して前記円筒状基体の電位が正となるときに前記電極と前記円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値をQ2とし、前記電極の電位に対して前記円筒状基体の電位が負となるときに前記電極と前記円筒状基体との間に流れる総電荷量の絶対値をQ1としたとき、Q2に対するQ1の比の値(Q1/Q2)が、30/70以上80/20以下である
    ことを特徴とする水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  2. 前記比の値(Q1/Q2)が、35/65以上75/25以下である請求項1に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  3. 前記膜形成工程において、前記電極の電位が、アース電位である請求項1または2に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  4. 前記膜形成工程において、前記正となるときの前記電極と前記円筒状基体との間に電圧を印加する時間をt1とし、前記負となるときの前記電極と前記円筒状基体との間に電圧を印加する時間をt2としたとき、Duty比(t1/(t1+t2))が、0.10以上0.45以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  5. 前記Duty比(t1/(t1+t2))が、0.10以上0.30以下である請求項4に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  6. 前記膜形成工程において、前記正となるときの前記電極と前記円筒状基体との間に電圧を印加する時間をt1とし、前記負となるときの前記電極と前記円筒状基体との間に電圧を印加する時間をt2としたとき、Duty比(t1/(t1+t2))が、0.55以上0.90以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  7. 前記Duty比(t1/(t1+t2))が、0.70以上0.90以下である請求項6に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  8. 前記電極が、前記反応容器の内壁の一部または全部を構成している請求項1〜7のいずれか1項に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法。
  9. 円筒状基体および表面層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記表面層が、水素化アモルファスカーボン膜であり、
    前記製造方法が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水素化アモルファスカーボン膜の形成方法を用いて前記表面層を形成する表面層形成工程を有する
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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