JP2019022581A - プレフィルドシリンジ用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】バレルへのシリコンコートを使用せず、摺動性と酸素バリア性に優れたプレフィルドシリンジ用容器を提供する。
【解決手段】(A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャーを備えたプレフィルドシリンジ用容器であって、前記(A)シリンジバレルの酸素透過度が0.001mL/(0.21atm・day・package)以下であり、前記(B)キャップの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、前記(C)ガスケットの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、前記(C)ガスケットの表面がフッ素系樹脂で被覆されている、プレフィルドシリンジ用容器。
【選択図】図1
【解決手段】(A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャーを備えたプレフィルドシリンジ用容器であって、前記(A)シリンジバレルの酸素透過度が0.001mL/(0.21atm・day・package)以下であり、前記(B)キャップの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、前記(C)ガスケットの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、前記(C)ガスケットの表面がフッ素系樹脂で被覆されている、プレフィルドシリンジ用容器。
【選択図】図1
Description
本発明は、プレフィルドシリンジ用容器に関し、詳しくは酸素バリア性能に優れたシリンジバレルおよび、フッ素系フィルムで被覆されているガスケットを組み合わせたプレフィルドシリンジ用容器に関する。
プレフィルドシリンジとは、予めシリンジバレル内に薬剤を密封状態に収容しておき、使用時にバレルの先端側を開封して注射針を装着するように構成された注射器であり、その使用簡便性のために広く用いられている。
従来、プレフィルドシリンジの素材としてはガラスが多く用いられてきた。しかしながら、ガラス製のプレフィルドシリンジの場合、保管中に容器中の内容液にナトリウムイオン等が溶出する、フレークスという微細な物質が発生する、金属で着色した遮光性ガラス製容器を使用する場合には着色用の金属が内容物に混入する、落下等の衝撃により割れやすい、等の問題があった。また、充填後のプレフィルドシリンジ内部に残存する酸素により薬剤が劣化する問題があった。更に、比重が大きい為にプレフィルドシリンジが重くなってしまうという問題点があり、種々の代替材料が検討されている。具体的には、ガラスに比べて軽量なプラスチック、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等が、ガラス代替として検討されている。
一方、プラスチックからなる容器にガスバリア性を付与するために、ガスバリア層を中間層として有する多層容器の検討が行われている。具体的には、ポリオレフィン系樹脂からなる最内層および最外層と、酸素バリア性に優れた樹脂組成物からなる中間層とを有する、酸素バリア性を向上させたプレフィルドシリンジが提示されている(特許文献1参照)。他にも、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とから得られるポリアミド(以下、ナイロンMXD6と称することがある)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、アルミ箔、カーボンコート、無機酸化物蒸着等のガスバリア層を樹脂層に積層した多層容器も検討されている。プラスチック製プレフィルドシリンジは、ガラス製プレフィルドシリンジと異なり、酸素を透過する性質があり、薬液の保存性に問題がある。このようなプラスチックからなるプレフィルドシリンジにガスバリア性を付与するために、ガスバリア層を中間層として有する多層の酸素吸収性プレフィルドシリンジ(特許文献2)が提案されている。
また、プレフィルドシリンジに用いられているガスケットのバレルへの打栓時や薬液注入時のプランジャー押出し時のバレル内周面との摺動性改善の目的で、潤滑剤としてオイルタイプまたは硬化タイプのシリコーンがシリンジバレルに塗布されることがある。このため、シリコーンが異物となって薬液に移行し、薬液によってはその品質に悪影響が生じる場合がある。
上記特許文献1および特許文献2のプレフィルドシリンジでは、シリンジバレル内面と接するガスケット側面部(円周面部)の摺動抵抗に課題がある場合があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、シリンジバレル内面とガスケットの摺動抵抗を低下し、高酸素バリア性のプレフィルドシリンジ用容器を提供することにある。
本発明者らは、プレフィルドシリンジ用容器について鋭意検討した結果、酸素バリア性に優れたシリンジバレル及びキャップと、酸素バリア性に優れ、且つ、フッ素系樹脂で被覆されたガスケットを用いることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
<1>
(A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャーを備えたプレフィルドシリンジ用容器であって、
前記(A)シリンジバレルの酸素透過度が0.001mL/(0.21atm・day・package)以下であり、
前記(B)キャップの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの表面がフッ素系樹脂で被覆されている、
プレフィルドシリンジ用容器。
<2>
前記(A)シリンジバレルが多層である、上記<1>に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
<3>
前記(B)キャップおよび前記(C)ガスケットがブチルゴムを含有する、上記<1>又は<2>に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
<4>
上記<1>〜<3>の何れか一項のプレフィルドシリンジ用容器と、前記容器に収容された薬液とを備えたプレフィルドシリンジ。
<1>
(A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャーを備えたプレフィルドシリンジ用容器であって、
前記(A)シリンジバレルの酸素透過度が0.001mL/(0.21atm・day・package)以下であり、
前記(B)キャップの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの表面がフッ素系樹脂で被覆されている、
プレフィルドシリンジ用容器。
<2>
前記(A)シリンジバレルが多層である、上記<1>に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
<3>
前記(B)キャップおよび前記(C)ガスケットがブチルゴムを含有する、上記<1>又は<2>に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
<4>
上記<1>〜<3>の何れか一項のプレフィルドシリンジ用容器と、前記容器に収容された薬液とを備えたプレフィルドシリンジ。
本発明によれば、酸素バリア性に優れたシリンジバレル、キャップ、ガスケットを用いることで、酸素バリア性能に優れたプレフィルドシリンジ用容器を提供することが出来る。また、ガスケット表面がフッ素系樹脂で被覆されているので、バレルへのシリコーン塗布を行わなくともシリンジバレル内面とガスケットの摺動性が優れる。さらに、シリコーン由来の異物が薬液に混入する懸念がなく、薬液を酸化なく長期間保存することが可能なプレフィルドシリンジ用容器を提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
本実施形態のプレフィルドシリンジ用容器は、(A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャー、を備える。
[(C)ガスケット]
ガスケットの材料は特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。プレフィルドシリンジ用容器の酸素バリア性能確保の観点から、ガスケットの材料としては、イソブチレンと少量のイソプレンの共重合体からなるブチルゴム、ブチルゴムをハロゲン化したクロロブチルゴムやブロモブチルゴムが好ましく、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴムがより好ましい。ガスケットの材料としては、酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、200mL・mm/(m2・day・atm)が好ましく、100mL・mm/(m2・day・atm)がより好ましい。ガスケット天面の最薄部の厚みとしては、酸素バリア性能の観点から300〜30000μmが好ましく、500〜20000μmがより好ましく、1000〜10000μmが特に好ましい。
ガスケットの材料は特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。プレフィルドシリンジ用容器の酸素バリア性能確保の観点から、ガスケットの材料としては、イソブチレンと少量のイソプレンの共重合体からなるブチルゴム、ブチルゴムをハロゲン化したクロロブチルゴムやブロモブチルゴムが好ましく、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴムがより好ましい。ガスケットの材料としては、酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、200mL・mm/(m2・day・atm)が好ましく、100mL・mm/(m2・day・atm)がより好ましい。ガスケット天面の最薄部の厚みとしては、酸素バリア性能の観点から300〜30000μmが好ましく、500〜20000μmがより好ましく、1000〜10000μmが特に好ましい。
[フッ素系樹脂]
ガスケット表面を被覆する材料として、フッ素系樹脂は摺動性に優れ、かつ、表面の化学的な安全性に優れているので好ましい。好ましいフッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4Fモノマーと微量のパーフルオロアルコキシドの共重合体(変性PTFE)が挙げられる。特にPTFEや変性PTFEは、摺動性および化学的な安定性共に優れておりより好ましい。
ガスケット表面を被覆する材料として、フッ素系樹脂は摺動性に優れ、かつ、表面の化学的な安全性に優れているので好ましい。好ましいフッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4Fモノマーと微量のパーフルオロアルコキシドの共重合体(変性PTFE)が挙げられる。特にPTFEや変性PTFEは、摺動性および化学的な安定性共に優れておりより好ましい。
ガスケット表面をフッ素系樹脂で被覆する方法は特に限定されないが、フッ素系樹脂から成るフィルムをガスケット表面にラミネートする方法が好ましい。
ガスケット表面はフッ素系樹脂で被覆されているので十分な摺動性を有するが、必要に応じてガスケットの摺動部にシリコーンをコートしても良い。シリコーンのコート方法について、特に制限はないが、シリコーンを溶媒に溶かし、ガスケットのバレル内面と接触する摺動部を、調製した溶液に浸漬させた後、空気中で室温乾燥させて、シリコーンをガスケット外周部に固着させる方法がある。シリコーン量としては、ガスケット1個当たりに付着するシリコーンの量を1〜1000μg/個、好ましくは5〜200μg/個の範囲になるように調整することが好ましい。
[(A)シリンジバレル]
本実施形態で用いられるシリンジバレルは一般的な樹脂シリンジバレルを用いることができ、何ら制限はないが、プレフィルドシリンジ用容器の酸素バリア性能確保の観点から、シリンジバレルは0.001mL/(0.21atm・day・package)以下の酸素透過度を有することが好ましい。上記シリンジバレルは単層、多層等の形態の制限はないが、多層とすることで酸素バリア性能をより高めることが出来るので好ましい。
本実施形態で用いられるシリンジバレルは一般的な樹脂シリンジバレルを用いることができ、何ら制限はないが、プレフィルドシリンジ用容器の酸素バリア性能確保の観点から、シリンジバレルは0.001mL/(0.21atm・day・package)以下の酸素透過度を有することが好ましい。上記シリンジバレルは単層、多層等の形態の制限はないが、多層とすることで酸素バリア性能をより高めることが出来るので好ましい。
多層シリンジバレルを用いる場合、多層シリンジバレルは熱可塑性樹脂組成物(b)よりなる第1の樹脂層(スキン層)と、バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)よりなる第2の樹脂層(コア層)と、第1の熱可塑性樹脂組成物(b)よりなる第3の樹脂層(スキン層)と、をこの順に有する構造を備えることが好ましい。
[熱可塑性樹脂組成物(b)]
単層シリンジバレルで使用される樹脂及び、多層シリンジバレルのスキン層(第1の樹脂層、第3の樹脂層)にて熱可塑性樹脂組成物(b)として使用される熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜用いることが出来る。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等;ノルボルネンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体、およびテトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC)、また、ノルボルネンを開環重合し、水素添加した重合物であるシクロオレフィンポリマー(COP)等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂組成物(b)は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
単層シリンジバレルで使用される樹脂及び、多層シリンジバレルのスキン層(第1の樹脂層、第3の樹脂層)にて熱可塑性樹脂組成物(b)として使用される熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜用いることが出来る。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン6IT、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等;ノルボルネンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体、およびテトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC)、また、ノルボルネンを開環重合し、水素添加した重合物であるシクロオレフィンポリマー(COP)等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂組成物(b)は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、熱可塑性樹脂組成物(b)は、薬液を保存する都合上、耐薬品性、耐溶出性及び耐衝撃性に優れた性質のものが好ましい。また、水蒸気バリア性を有しているとさらに好ましく、水蒸気透過度に関しJIS K 7126に準拠した手法で得られる数値として、1.0g・mm/m2・day以下を満たすことが出来るバリア性樹脂から選択するのがよい。特に好ましいのは、ノルボルネンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体、およびテトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンを原料とした共重合体であるシクロオレフィンコポリマー(COC)、また、ノルボルネンを開環重合し、水素添加した重合物であるシクロオレフィンポリマー(COP)も好ましい。このようなCOCおよびCOPは例えば特開平5−300939号公報あるいは特開平5−317411号公報に記載されている。
[バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)]
多層シリンジバレルのコア層(第2の樹脂層)にてバリア熱可塑性樹脂組成物(a)として使用される樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、植物由来樹脂及び塩素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、酸素バリア性において、酸素透過度に関しJIS K 7126に準拠した手法で得られる数値として、0.5cc・mm/m2・day・atm以下を満たすことが出来るバリア性樹脂から選択するのが好ましい。また内容物を視認しやすいよう透明性の観点から非晶性樹脂であると好ましい。さらに、バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)は、酸素吸収性樹脂組成物であることが好ましい。薬液充填時に如何にガス置換操作を行ったとしても、充填時に混入した気泡に含まれる酸素や、内容物の液中に溶存する酸素は完全には取り除けない可能性がある。バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)が酸素吸収性樹脂組成物の場合は、溶存酸素を吸収するだけでなく、容器の壁部を透過して外部から侵入してくる微量酸素をも完全に排除することが出来る。好ましい酸素吸収性樹脂組成物として、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献2)に記載されたポリエステル化合物及び遷移金属触媒を含む酸素吸収性樹脂組成物を挙げることが出来る。
多層シリンジバレルのコア層(第2の樹脂層)にてバリア熱可塑性樹脂組成物(a)として使用される樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、植物由来樹脂及び塩素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、酸素バリア性において、酸素透過度に関しJIS K 7126に準拠した手法で得られる数値として、0.5cc・mm/m2・day・atm以下を満たすことが出来るバリア性樹脂から選択するのが好ましい。また内容物を視認しやすいよう透明性の観点から非晶性樹脂であると好ましい。さらに、バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)は、酸素吸収性樹脂組成物であることが好ましい。薬液充填時に如何にガス置換操作を行ったとしても、充填時に混入した気泡に含まれる酸素や、内容物の液中に溶存する酸素は完全には取り除けない可能性がある。バリア性熱可塑性樹脂組成物(a)が酸素吸収性樹脂組成物の場合は、溶存酸素を吸収するだけでなく、容器の壁部を透過して外部から侵入してくる微量酸素をも完全に排除することが出来る。好ましい酸素吸収性樹脂組成物として、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献2)に記載されたポリエステル化合物及び遷移金属触媒を含む酸素吸収性樹脂組成物を挙げることが出来る。
本実施形態の多層シリンジバレルの製造方法については特に限定されず、通常の射出成形法により製造することが出来る。例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献2)に記載された製造方法を用いることが出来る。
[(B)キャップ]
キャップの材料としては、酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であるものを用いる。さらに、酸素透過係数は200mL・mm/(m2・day・atm)以下が好ましく、150mL・mm/(m2・day・atm)以下がより好ましく、100mL・mm/(m2・day・atm)以下が特に好ましい。例えば、イソブチレンと少量のイソプレンの共重合体からなるブチルゴム、ブチルゴムをハロゲン化したブロモブチルゴムやクロロブチルゴムが挙げられ、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴムが好ましい。シリンジノズル部と接触する部分のキャップの厚みとしては、酸素バリア性能の観点から300〜20000μmが好ましく、500〜10000μmがより好ましく、1000〜5000μmが特に好ましい。またシリンジノズル部の開口部を覆う部分のキャップの厚みとしては、酸素バリア性能の観点から500〜30000μmが好ましく、1000〜20000μmがより好ましく、2000〜10000μmが特に好ましい。
キャップの材料としては、酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であるものを用いる。さらに、酸素透過係数は200mL・mm/(m2・day・atm)以下が好ましく、150mL・mm/(m2・day・atm)以下がより好ましく、100mL・mm/(m2・day・atm)以下が特に好ましい。例えば、イソブチレンと少量のイソプレンの共重合体からなるブチルゴム、ブチルゴムをハロゲン化したブロモブチルゴムやクロロブチルゴムが挙げられ、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴムが好ましい。シリンジノズル部と接触する部分のキャップの厚みとしては、酸素バリア性能の観点から300〜20000μmが好ましく、500〜10000μmがより好ましく、1000〜5000μmが特に好ましい。またシリンジノズル部の開口部を覆う部分のキャップの厚みとしては、酸素バリア性能の観点から500〜30000μmが好ましく、1000〜20000μmがより好ましく、2000〜10000μmが特に好ましい。
また、キャップはプレフィルドシリンジの酸素バリア性能を確保するため、本実施形態においては、シリンジバレルのノズル部の表面積のうち、キャップにより覆われている割合(ノズル部被覆率)が80〜100%であり、より好ましくは85〜100%、更に好ましくは90〜100%である。キャップによるノズル部被覆率が高いほど、高い酸素バリア性能が得られる。さらに、シリンジバレルの肩部や円筒部の少なくとも一部をもキャップで覆うことで、より酸素バリア性能を向上することが出来る。また、被覆率が高いほど、薬液収容後のプレフィルドシリンジにおいて、筒先のノズル部からの液漏れを抑制することが出来る。
[(D)プランジャー]
本実施形態で用いられるプランジャーは一般的なシリンジに用いるプランジャーを使用でき、その構造および材質に制限はない。
本実施形態で用いられるプランジャーは一般的なシリンジに用いるプランジャーを使用でき、その構造および材質に制限はない。
[プレフィルドシリンジ]
プレフィルドシリンジの一態様としては、上述したプレフィルドシリンジ用容器に薬液等を収容し、使用時にバレルの先端側を開封して注射針を装着するように構成された注射器(シリンジ)が挙げられる。
プレフィルドシリンジの一態様としては、上述したプレフィルドシリンジ用容器に薬液等を収容し、使用時にバレルの先端側を開封して注射針を装着するように構成された注射器(シリンジ)が挙げられる。
薬液としては、薬剤を水に溶解した水溶液、高濃度塩化ナトリウム注射液、ブドウ糖注射液、ヘパリンナトリウム水溶液、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗生物質、ヘパリンのような抗血栓剤、インシュリン、抗潰瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウィルス剤、免疫賦活剤、アドレナリン製剤が例示され、薬剤を水に溶解した水溶液が好ましい。薬剤を水に溶解した水溶液の場合、濃度は、0.0001〜30質量%であることが好ましい。本発明のシリンジに保存される薬剤としては、医薬品のほか、栄養補給を目的として投与される成分なども含む趣旨である。本発明で用いられる薬剤としては、ミネラル類、ビタミン剤、各種アミノ酸が例示される。本実施形態の酸素吸収性プレフィルドシリンジ用容器は、これらの化合物を含む薬液等を収容した場合に酸化による変質を抑制する事が出来る。
[殺菌処理]
なお、これらの被保存物の充填(包装)前後に、被保存物に適した形で、容器や被保存物の殺菌処理を施すことが出来る。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌;紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌;エチレンオキサイド等のガス処理;過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
なお、これらの被保存物の充填(包装)前後に、被保存物に適した形で、容器や被保存物の殺菌処理を施すことが出来る。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌;紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌;エチレンオキサイド等のガス処理;過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に記載が無い限り、NMR測定は室温で行った。
(実施例1)
[モノマー合成例]
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、活性炭にパラジウムを5質量%担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。精製したテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの融点は77℃であった。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、2.19-2.26(1H m)、1.80-1.95(1H m)。
[モノマー合成例]
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、活性炭にパラジウムを5質量%担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。精製したテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの融点は77℃であった。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、2.19-2.26(1H m)、1.80-1.95(1H m)。
[ポリマー製造例]
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、上記モノマー合成例で得られたテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル504g、エチレングリコール227g、テトラブチルチタネート0.027g、及び酢酸亜鉛0.043gを仕込み、装置内の混合物を窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧とを徐々に90分かけて行い、275℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)(以下「ポリエステル化合物」とも記す。)を得た。得られたポリエステル化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は2.8×104、数平均分子量は2.8×104、ガラス転移温度は69℃、融点は非晶性のため認められなかった。極限粘度は0.92dL/gであった。
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、上記モノマー合成例で得られたテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル504g、エチレングリコール227g、テトラブチルチタネート0.027g、及び酢酸亜鉛0.043gを仕込み、装置内の混合物を窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧とを徐々に90分かけて行い、275℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)(以下「ポリエステル化合物」とも記す。)を得た。得られたポリエステル化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は2.8×104、数平均分子量は2.8×104、ガラス転移温度は69℃、融点は非晶性のため認められなかった。極限粘度は0.92dL/gであった。
[樹脂組成物製造例]
ポリエステル化合物100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.0002質量部となるようドライブレンドして得られた混合物を、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に12kg/hの速度で供給し、シリンダー温度210℃の条件にて溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランドを押し出し、冷却後、ペレタイジングすることにより、酸素吸収性樹脂組成物を得た。層Aを構成する樹脂として前記酸素吸収樹脂組成物を用い、シリンジバレルを製造し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
ポリエステル化合物100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.0002質量部となるようドライブレンドして得られた混合物を、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に12kg/hの速度で供給し、シリンダー温度210℃の条件にて溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランドを押し出し、冷却後、ペレタイジングすることにより、酸素吸収性樹脂組成物を得た。層Aを構成する樹脂として前記酸素吸収樹脂組成物を用い、シリンジバレルを製造し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[シリンジバレルの製造]
下記の条件により、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Aを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成のシリンジを製造した。層Aの質量をシリンジの総質量の30質量%とした。層Aを構成する樹脂としては酸素吸収性樹脂組成物を使用した。層Bを構成する樹脂としてはシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃)を使用した。成形後のゲートを切断後の端部から0.75mmの位置の径がISO80369−7(φ4.021±0.051mm)に規定の値となる位置にて超音波溶断機にて切断した。
(シリンジバレルの形状)
ISO11040−6に準拠した内容量1cc(ロング)とした。なお、シリンジの製造には、射出成形機(日精エー・エス・ビー機械株式会社製、型式:ASB−12N/10)を使用した。
(シリンジバレルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:260℃
層B用の射出シリンダー温度:260℃
射出金型内樹脂流路温度:260℃
金型温度:18℃
下記の条件により、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Aを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成のシリンジを製造した。層Aの質量をシリンジの総質量の30質量%とした。層Aを構成する樹脂としては酸素吸収性樹脂組成物を使用した。層Bを構成する樹脂としてはシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃)を使用した。成形後のゲートを切断後の端部から0.75mmの位置の径がISO80369−7(φ4.021±0.051mm)に規定の値となる位置にて超音波溶断機にて切断した。
(シリンジバレルの形状)
ISO11040−6に準拠した内容量1cc(ロング)とした。なお、シリンジの製造には、射出成形機(日精エー・エス・ビー機械株式会社製、型式:ASB−12N/10)を使用した。
(シリンジバレルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:260℃
層B用の射出シリンダー温度:260℃
射出金型内樹脂流路温度:260℃
金型温度:18℃
<シリンジバレルの酸素透過度(OTR)測定>
23℃、容器外部の相対湿度50%、容器内部の相対湿度100%の雰囲気にて、測定開始から30日目の酸素透過度を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名「OX−TRAN 2−21ML」)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は酸素透過度5×10−5mL/(0.21atm・day・package)であった。
23℃、容器外部の相対湿度50%、容器内部の相対湿度100%の雰囲気にて、測定開始から30日目の酸素透過度を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名「OX−TRAN 2−21ML」)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は酸素透過度5×10−5mL/(0.21atm・day・package)であった。
[メチレンブルーゲル酸素バリア試験]
ショ糖脂肪酸エステル5.0gを80℃の水5.0Lに溶解させた。この水溶液に寒天粉末75g、水酸化ナトリウム2.4g、D−グルコース300g、メチレンブルー0.75gを添加し、溶解させてメチレンブルーゲルを作製した。次いで、このゲルを10分間煮沸して、溶存酸素を除去した。煮沸後のゲルの色は黄色で、酸素と反応すると青色に変色する。このゲルを、作製したシリンジバレルに充填して、PTFEでコートされたブロモブチルゴム(酸素透過係数:16mL・mm/(m2・day・atm)製のガスケット(Datwyler社製、1−3ccシリンジ用、V9416、FM257)を装着したプランジャーを挿入した。また、ノズル部にはクロロブチルゴム(酸素透過係数:45mL・mm/(m2・day・atm)製のキャップ(住友ゴム株式会社社製、L10−2)を装着し、ノズル開口部を密閉した。23℃で1か月、6か月保存後の変化を観察した。保存後の酸素バリア性能を以下の基準に従ってゲルの色彩で評価した。評価結果を表1に示す。
<ゲル色彩評価基準>
A:充填直後と同じ黄色
B:全体が薄い青色
C:全体が青色
ショ糖脂肪酸エステル5.0gを80℃の水5.0Lに溶解させた。この水溶液に寒天粉末75g、水酸化ナトリウム2.4g、D−グルコース300g、メチレンブルー0.75gを添加し、溶解させてメチレンブルーゲルを作製した。次いで、このゲルを10分間煮沸して、溶存酸素を除去した。煮沸後のゲルの色は黄色で、酸素と反応すると青色に変色する。このゲルを、作製したシリンジバレルに充填して、PTFEでコートされたブロモブチルゴム(酸素透過係数:16mL・mm/(m2・day・atm)製のガスケット(Datwyler社製、1−3ccシリンジ用、V9416、FM257)を装着したプランジャーを挿入した。また、ノズル部にはクロロブチルゴム(酸素透過係数:45mL・mm/(m2・day・atm)製のキャップ(住友ゴム株式会社社製、L10−2)を装着し、ノズル開口部を密閉した。23℃で1か月、6か月保存後の変化を観察した。保存後の酸素バリア性能を以下の基準に従ってゲルの色彩で評価した。評価結果を表1に示す。
<ゲル色彩評価基準>
A:充填直後と同じ黄色
B:全体が薄い青色
C:全体が青色
[摺動抵抗測定試験]
各シリンジの摺動抵抗値を、恒温曲引張試験機(INSTRON(登録商標) 5267)により測定した。純水をシリンジバレル内にガスケットとキャップにて封入し、23℃で一晩調湿した。このシリンジを固定し、プランジャーを200mm/minの速度で25mm降下させたときの平均摺動抵抗値(5〜25mm区間の平均摺動抵抗値)を計測した。評価結果を表1に示す。
各シリンジの摺動抵抗値を、恒温曲引張試験機(INSTRON(登録商標) 5267)により測定した。純水をシリンジバレル内にガスケットとキャップにて封入し、23℃で一晩調湿した。このシリンジを固定し、プランジャーを200mm/minの速度で25mm降下させたときの平均摺動抵抗値(5〜25mm区間の平均摺動抵抗値)を計測した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の酸素吸収樹脂組成物に代えて、芳香族ポリアミド樹脂(三菱ガス化学株式会社製、商品名「MXナイロンS6007」)、熱可塑性樹脂(b)のシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃)に代えて、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 690R、ガラス転移温度136℃)を用いること以外は、実施例1と同様に、シリンジをそれぞれ製造した。得られたシリンジの性能評価を実施例1と同様にそれぞれ行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の酸素吸収樹脂組成物に代えて、芳香族ポリアミド樹脂(三菱ガス化学株式会社製、商品名「MXナイロンS6007」)、熱可塑性樹脂(b)のシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 5000、ガラス転移温度68℃)に代えて、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX 690R、ガラス転移温度136℃)を用いること以外は、実施例1と同様に、シリンジをそれぞれ製造した。得られたシリンジの性能評価を実施例1と同様にそれぞれ行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1に代えて、単層のシリンジバレル(層の厚み:1500μm)を使用した以外は、実施例1と同様に試験を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例1に代えて、単層のシリンジバレル(層の厚み:1500μm)を使用した以外は、実施例1と同様に試験を行なった。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1に代えて、ガスケットへのPTFEの被覆を行わない以外は、実施例1と同様に試験を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例1に代えて、ガスケットへのPTFEの被覆を行わない以外は、実施例1と同様に試験を行なった。評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜2のプレフィルドシリンジ用容器は、酸素バリア性と摺動性に優れることが確認された。
1:バレル
2:キャップ
3:ガスケット
4:プランジャー
2:キャップ
3:ガスケット
4:プランジャー
Claims (4)
- (A)シリンジバレル、(B)キャップ、(C)ガスケット、(D)プランジャーを備えたプレフィルドシリンジ用容器であって、
前記(A)シリンジバレルの酸素透過度が0.001mL/(0.21atm・day・package)以下であり、
前記(B)キャップの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの材料の酸素透過係数が300mL・mm/(m2・day・atm)以下であり、
前記(C)ガスケットの表面がフッ素系樹脂で被覆されている、
プレフィルドシリンジ用容器。 - 前記(A)シリンジバレルが多層である、請求項1に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
- 前記(B)キャップおよび前記(C)ガスケットがブチルゴムを含有する、請求項1又は2に記載のプレフィルドシリンジ用容器。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のプレフィルドシリンジ用容器と、前記容器に収容された薬液とを備えたプレフィルドシリンジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017142475A JP2019022581A (ja) | 2017-07-24 | 2017-07-24 | プレフィルドシリンジ用容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017142475A JP2019022581A (ja) | 2017-07-24 | 2017-07-24 | プレフィルドシリンジ用容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019022581A true JP2019022581A (ja) | 2019-02-14 |
Family
ID=65368142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017142475A Pending JP2019022581A (ja) | 2017-07-24 | 2017-07-24 | プレフィルドシリンジ用容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019022581A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023190896A1 (ja) * | 2022-03-31 | 2023-10-05 | 合同会社Kortuc Japan | 注射器用封止体 |
-
2017
- 2017-07-24 JP JP2017142475A patent/JP2019022581A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023190896A1 (ja) * | 2022-03-31 | 2023-10-05 | 合同会社Kortuc Japan | 注射器用封止体 |
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