JP2015048097A - 酸素吸収性医療用多層容器 - Google Patents

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翔太 荒川
隆史 加柴
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隆史 加柴
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Abstract

【課題】優れた成形性を有し、耐衝撃性と透明性に優れる酸素吸収性医療用多層容器を提供する。
【解決手段】ポリカーボネートを含有する樹脂層と、ポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリカーボネートを含有する樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する酸素吸収性医療用多層成形容器であって、前記ポリエステル化合物が、少なくとも1つのテトラリン環を有する構成単位及び3価以上の多官能化合物に由来する構成単位を含有する、酸素吸収性医療用多層成形容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸素吸収性医療用多層容器に関し、特に、ポリカーボネートを含有する樹脂層と、ポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリカーボネートを含有する樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する、酸素吸収性医療用多層成形容器に関する。
食品、飲料、医薬品、化粧品等に代表される、酸素の影響を受けて変質或いは劣化しやすい各種物品の酸素酸化を防止し、長期に保存する目的で、各種の酸素吸収性樹脂組成物を用いた包装容器が開発されている。
酸素吸収性樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂に鉄系又は有機系の酸素吸収剤を配合したものや易酸化性樹脂と遷移金属触媒を含有する組成物が知られている。中でも、酸素吸収後の臭気発生が無く優れた酸素吸収性能を有するものとして、テトラリン環を有するポリエステル化合物及び遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
ところで、従来から、薬液を密閉状態で充填し保管するための医療用包装容器として、ガラス製のアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ等が使用されている。しかしながら、これらのガラス製容器は、落下等の衝撃により割れやすい、医療用包装容器が重いといった問題点があった。そのため、代替材料の開発が期待されている。具体的には、ガラスに比べて軽量なプラスチック、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等が、ガラス代替として検討されている。
また、医療用容器としてアンプル、バイアル、シリンジの他に人工腎臓血液透析器(ダイヤライザー)が挙げられる。ダイヤライザーのハウジングには、中身がよく見える透明性プラスチックとしてポリスチレンやポリカーボネートが用いられるが、落下その他の衝撃で破損することを避けるため、耐衝撃性のよいポリカーボネートがより好んで使用されている(特許文献2参照)。
国際公開第2013/077436号 特開平01−259870号公報
しかしながら、特許文献1の酸素吸収性樹脂組成物を中間層とし、耐衝撃性に優れるポリカーボネートを内外層に用いた酸素吸収性多層容器を作成する際、多層容器の成形性や高圧蒸気滅菌後の透明性維持に課題がある場合があることを本発明者らは見出した。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた成形性を有し、耐衝撃性と透明性に優れる酸素吸収性医療用多層容器を提供することにある。
本発明者らは、酸素吸収性医療用多層成形容器について鋭意検討を進めた結果、所定のテトラリン環を有する構成単位及び3価以上の多官能化合物に由来する構成単位を有するポリエステル化合物と遷移金属触媒とを用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下<1>〜<8>を提供する。
<1> ポリカーボネートを含有する樹脂層と、ポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリカーボネートを含有する樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する、酸素吸収性医療用多層成形容器であって、
前記ポリエステル化合物が、下記一般式(1)〜(4)
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mは0〜3、nは0〜7の整数を表し、テトラリン環のベンジル位に少なくとも1つ以上の水素原子が結合している。Xは芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1つのテトラリン環を有する構成単位(a)と、
3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸およびその誘導体、並びに3価以上のヒドロキシカルボン酸およびその誘導体、からなる群より選ばれる、少なくとも1種の多官能化合物由来の構成単位(b)とを有するポリエステル化合物である、酸素吸収性医療用多層成形容器。
<2> 前記ポリエステル化合物が、前記一般式(1)で表される前記構成単位(a)と前記構成単位(b)とを、99.99:0.01〜90:10のモル比で含有する、上記<1>に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<3> 前記一般式(1)におけるXがエチレン基及び/又はテトラメチレン基である構成単位(a)の割合が、前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して95モル%以上である、上記<1>または<2>に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<4> 前記一般式(1)におけるXがエチレン基である構成単位(a)の割合が、前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して60モル%以上である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<5> 前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対する、前記一般式(1)におけるXがエチレン基である構成単位(a)の割合が95モル%以上である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<6> 前記ポリエステル化合物の剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度の値が、150Pa・sec以上である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<7> 前記ポリエステル化合物のガラス転移温度の値が、50℃以上である上記<1>〜<6>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<8> 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種以上の遷移金属を含むものである、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<9> 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、上記<1>〜<8>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
本発明によれば、成形性に優れた、耐衝撃性と透明性が良好な、バイアルやプレフィルドシリンジ等の酸素吸収性医療用多層成形容器を実現することができる。そして、この酸素吸収性医療用多層成形容器は、被保存物の水分の有無によらず酸素吸収することができる。また、酸素吸収後も酸化による上記のテトラリン環を有するポリエステル化合物の強度低下が極めて小さく、長期の利用においても酸素吸収層の強度が維持されるため、層間剥離が生じにくい酸素吸収性医療用多層成形容器を実現することもできる。さらに、酸素吸収後の低分子有機化合物の生成が著しく抑制されているので、この低分子量有機化合物の内容物への混入が極めて少ない酸素吸収性医療用多層成形容器を実現することもできる。そのため、本発明の酸素吸収性医療用多層成形容器は、低酸素濃度下で保存が要求される医薬品、バイオ医薬、医療品等の保存において殊に有用である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、ポリカーボネートを含有する樹脂層(層B)と、酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層(層A)と、ポリカーボネートを含有する樹脂層(層B)との少なくとも3層をこの順に有する。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入する酸素をも吸収して、保存する内容物品(被保存物)の酸素による変質等を防止することができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器における層構成は、これらの層がB/A/Bの順に配列されている限り、酸素吸収層(層A)および樹脂層(層B)の数や種類は特に限定されない。例えば、1つの層A、2つの層B1および2つの層B2からなるB1/B2/A/B2/B1の5層構成であってもよい。また、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、必要に応じて接着層(層AD)等の任意の層を含んでもよく、例えば、B1/AD/B2/A/B2/AD/B1の7層構成であってもよい。
<酸素吸収層(層A)>
本実施形態の酸素吸収層(層A)は、後述するテトラリン環を有する構成単位及び3価以上の多官能化合物に由来する構成単位を有するポリエステル化合物(以下、単に「テトラリン環含有ポリエステル化合物」ともいう。)と遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる。
層A中の前記テトラリン環含有ポリエステル化合物の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。前記範囲の場合、50質量%未満の場合に比べ、酸素吸収性能をより高めることが出来る。
<テトラリン環含有ポリエステル化合物>
本実施形態のテトラリン環含有ポリエステル化合物は、上記一般式(1)〜(4)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する構成単位(a)、及び3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸およびその誘導体、3価以上のヒドロキシカルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の3価以上の多官能化合物に由来する構成単位(b)を含有する。ここで、「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、テトラリン環含有ポリエステル化合物中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにテトラリン環含有ポリエステル化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
<構成単位(a)>
前記構成単位(a)は、上記一般式(1)〜(4)からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する構成単位を含有する。
上記一般式(1)〜(4)及び下記一般式(5)〜(12)においてRで表される一価の置換基としては、ハロゲノ基(例えば、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)、アルキル基(好ましくは炭素数が1〜15、より好ましくは炭素数が1〜6個の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数が6〜16、より好ましくは炭素数が6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、複素環基(好ましくは炭素数が1〜12、より好ましくは炭素数が2〜6の5員環或いは6員環の芳香族又は非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除くことによって得られる一価の基、例えば、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、2−フリル基)、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基)、アシル基(ホルミル基を含む。好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキルカルボニル基、好ましくは炭素数が7〜12個、より好ましくは炭素数が7〜9のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6のアルキルアミノ基、好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアニリノ基、好ましくは炭素数が1〜12、より好ましくは炭素数が2〜6の複素環アミノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基)、複素環チオ基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が1〜6の複素環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基)、イミド基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が4〜8のイミド基、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)等が例示されるが、これらに特に限定されない。
なお、上記の一価の置換基Rが水素原子を有する場合、その水素原子が置換基T(ここで、置換基Tは、上記の一価の置換基Rで説明したものと同義である。)でさらに置換されていてもよい。その具体例としては、例えば、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル基)、アルコキシ基で置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチル基)、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、ベンジル基)、第1級或いは第2級アミノ基で置換されたアルキル基(例えば、アミノエチル基)、アルキル基で置換されたアリール基(例えば、p−トリル基)、アルキル基で置換されたアリールオキシ基(例えば、2−メチルフェノキシ基)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、上記の一価の置換基Rが一価の置換基Tを有する場合、上述した炭素数には、置換基Tの炭素数は含まれないものとする。例えば、ベンジル基は、フェニル基で置換された炭素数1のアルキル基と看做し、フェニル基で置換された炭素数7のアルキル基とは看做さない。また、上記の一価の置換基Rが置換基Tを有する場合、その置換基Tは複数あってもよい。
上記一般式(1)〜(4)で表される構成単位において、Xは、芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基は、置換されていても無置換でもよい。Xは、ヘテロ原子を含有していてもよく、エーテル基、スルフィド基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホキシド基、スルホン基等を含有していてもよい。ここで、芳香族炭化水素基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、メチルフェニレン基、o−キシリレン基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、フルオニレン基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基や、シクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基が挙げられるが、これらに特に限定されない。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、イソブチリデン基、sec‐ブチリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状又は分枝鎖状アルキレン基や、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1,3−ブタジエニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基等のアルケニレン基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、さらに置換基を有していてもよく、その具体例としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボアルコキシ基、アミノ基、アシル基、チオ基(例えばアルキルチオ基、フェニルチオ基、トリルチオ基、ピリジルチオ基等)、アミノ基(例えば非置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
上記一般式(1)で表される構成単位を含有するテトラリン環含有ポリエステル化合物の中で、Xがエチレン基及び/又はテトラメチレン基である構成単位(a)の割合が、テトラリン環含有ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して95モル%以上である場合が好ましい。上記範囲の場合、原料コストの削減が可能となる傾向がある。
また、Xがエチレン基である構成単位(a)の割合がテトラリン環含有ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上がより好ましく、95モル%以上が特に好ましい。上記の好ましい範囲とした場合、より成形性に優れ、蒸気滅菌後の透明性が高く視認性に優れる酸素吸収性医療用多層容器を得ることが出来る。
Xがエチレン基及び/又はテトラメチレン基である構成単位(a)の中でも、より好ましいものとして下記式(α)、(β)で表される構成単位が挙げられ、式(α)が特に好ましい。
Figure 2015048097
<構成単位(b)>
前記構成単位(b)は、3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸およびその誘導体、3価以上のヒドロキシカルボン酸およびその誘導体のうち、少なくとも1種の多官能化合物に由来するものであり、これら多官能化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。多官能化合物に由来する構成単位を含有することで、テトラリン環含有ポリエステル化合物に分岐構造を導入することができ、通常より分子量が高く、粘度が向上した成形性が高いテトラリン環含有ポリエステル化合物を得ることができる。以下に、多官能化合物の具体例を示すが、特に限定されない。
3価以上の多価アルコールとしては、具体的には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、等が挙げられる。3価以上の多価アルコールは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
3価以上の多価カルボン酸およびその誘導体としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸トリメチルエステル等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸またはその誘導体は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
3価以上のヒドロキシカルボン酸およびその誘導体としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、等が挙げられる。3価以上のヒドロキシカルボン酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記多官能化合物としては、入手のし易さと反応性の観点から、多価アルコール若しくは多価カルボン酸およびその誘導体が好ましく、中でも、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物が特に好ましい。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<ポリエステル化合物の製造方法>
上記一般式(1)で表される構成単位(a)と構成単位(b)とを含有するポリエステル化合物は、テトラリン環を有するジカルボン酸またはその誘導体(I)と、ジオールまたはその誘導体(II)と、多官能化合物とを重縮合することによって得ることができる。
本実施形態で用いるテトラリン環を有するジカルボン酸またはその誘導体(I)は、下記一般式(5)で表される。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mは0〜3、nは0〜7の整数を表し、テトラリン環のベンジル位に少なくとも1つ以上の水素原子が結合している。Yは水素原子又はアルキル基を表す。)
上記一般式(5)で表される化合物は、下記一般式(6)で表されるナフタレン環を有するジカルボン酸またはその誘導体を水素と反応させて得ることが出来る。
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mはそれぞれ独立して0〜3の整数を表す。Yは水素原子又はアルキル基を表す。)
本実施形態で用いるジオールまたはその誘導体(II)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−フェニルプロパンジオール、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール、α,α−ジヒドロキシ−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ジヒドロキシ−1,4−ジイソプロピルベンゼン、o-キシレングリコール、m-キシレングリコール、p-キシレングリコール、ヒドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、またはこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、上記一般式(2)で表される構成単位(a)と構成単位(b)とを含有するポリエステル化合物は、テトラリン環を有するジオールまたはその誘導体(III)、及び、ジカルボン酸またはその誘導体(IV)と、多官能化合物とを重縮合することによって得られる。
本実施形態で用いるテトラリン環を有するジオールまたはその誘導体(III)は、下記一般式(7)で表される。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
Figure 2015048097

(式中、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mは0〜3、nは0〜7の整数を表し、テトラリン環のベンジル位に少なくとも1つ以上の水素原子が結合している。)
上記一般式(7)で表される化合物は、下記一般式(8)で表されるナフタレン環を有するジオールまたはその誘導体を水素と反応させて得ることが出来る。
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mはそれぞれ独立して0〜3の整数を表す。)
本実施形態で用いるジカルボン酸またはその誘導体(IV)としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェニルマロン酸、フェニレンジ酢酸、フェニレンジ酪酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、p-フェニレンジカルボン酸、またはこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記一般式(3)又は(4)で表される構成単位(a)と構成単位(b)とを含有するポリエステル化合物は、テトラリン環を有するヒドロキシカルボン酸またはその誘導体(V)と多官能化合物とを重縮合することで得られる。
本実施形態で用いるテトラリン環を有するヒドロキシカルボン酸またはその誘導体(V)は、下記一般式(9)又は(10)で表される。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mは0〜3、nは0〜7の整数を表し、テトラリン環のベンジル位に少なくとも1つ以上の水素原子が結合している。Yは水素原子又はアルキル基を表す。)
上記一般式(1)または(2)で表される構成単位(a)と構成単位(b)を含有するポリエステル化合物は、下記一般式(11)または(12)で表される構成単位と構成単位(b)とを含有するポリエステル化合物の水添反応によって得ることも出来る。
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mはそれぞれ独立して0〜3の整数を表す。Xは芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
Figure 2015048097

(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mはそれぞれ独立して0〜3の整数を表す。Xは芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
本実施形態のポリエステル化合物には、上記(1)〜(4)で表される構成単位(a)と構成単位(b)以外の、他のテトラリン環を有する構成単位、および/または、テトラリン環を有さない構成単位を共重合成分として組み込んでもよい。具体的には、前記ジオールまたはその誘導体(II)、前記ジカルボン酸またはその誘導体(IV)に示した化合物を共重合成分として用いることが出来る。
前記構成単位(a)と前記構成単位(b)の構成比は、99.99:0.01〜90:10のモル比であることが好ましく、99.9:0.01〜95:5のモル比であることがより好ましく、99.5:0.05〜98:2のモル比であることが特に好ましい。構成比を上記の好ましい範囲とした場合、ゲルの発生をより抑制しつつ、適切な溶融粘度のポリエステル化合物を得ることが出来る。
上記ポリエステル化合物の溶融粘度は、実用形態への成形加工性を考慮すると、260℃における剪断速度1216sec−1の溶融粘度が150Pa・sec以上であることが好ましく、より好ましくは200Pa・sec以上である。溶融粘度を上記の好ましい範囲以上とした場合、酸素吸収性医療用多層成形容器への成形加工がより容易となる。
上記のポリエステル化合物の分子量は、所望する性能や取扱性などを考慮して適宜設定することができ、特に限定されない。一般的には、重量平均分子量(Mw)が1.0×10〜8.0×10であることが好ましく、より好ましくは5.0×10〜5.0×10である。また同様に、数平均分子量(Mn)が1.0×10〜1.0×10であることが好ましく、より好ましくは5.0×10〜5.0×10である。なお、ここでいう分子量は、いずれもポリスチレン換算の値を意味する。なお、ポリエステル化合物は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記のポリエステル化合物のガラス転移温度(Tg)は、実用形態への成形加工性を考慮すると、50〜90℃であることが好ましく、より好ましくは60〜80℃である。ガラス転移温度が上記の好ましい範囲以上とした場合、酸素吸収性医療用多層成形容器への成形加工がより容易となる。なお、ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定される値を意味する。
本実施形態に用いるポリエステル化合物を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステルの製造方法をいずれも適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げる事ができる。上記したポリエステル化合物の製造方法の中で、原料入手の容易さの点から、エステル交換法が好適に使用される。
ポリエステル化合物の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来公知のものをいずれも用いることができ、これらは反応速度やポリエステル化合物の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。例えば上記各種触媒としては、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウムなどが挙げられ、これらは単独で用いることもできるし、複数のものを組み合わせて用いることもできる。
上述したポリエステル化合物は、いずれも、テトラリン環のベンジル位に水素を有するものであり、上述した遷移金属触媒と併用することでベンジル位の水素が引き抜かれ、これにより優れた酸素吸収能を発現する。
また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後の低分子量化合物の生成が抑制されたものである。その理由は明らかではないが、例えば以下の酸化反応機構が推測される。すなわち、ポリエステル化合物においては、まずテトラリン環のベンジル位にある水素が引き抜かれてラジカルが生成し、その後、ラジカルと酸素との反応によりベンジル位の炭素が酸化され、ヒドロキシ基又はケトン基が生成すると考えられる。そのため、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物においては、上記従来技術のような酸化反応による分子鎖の切断がなく、ポリエステル化合物の構造が維持されるため、低分子量化合物が酸素吸収後に生成し難く、その結果、酸素吸収後の内容物への低分子量化合物の混入が防止されているものと推測される。
<遷移金属触媒>
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において使用される遷移金属触媒としては、上記ポリエステル化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
かかる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、遷移金属の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。ここで、遷移金属触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅が好ましい。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属触媒は、これらの遷移金属と有機酸とを組み合わせたものが好ましく、遷移金属がマンガン、鉄、コバルト、ニッケル又は銅であり、有機酸が酢酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸又はナフテン酸である組み合わせがより好ましい。なお、遷移金属触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属触媒の配合量は、使用する前記ポリエステル化合物や遷移金属触媒の種類及び所望の性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収量の観点から、遷移金属触媒の配合量は、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.002〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1質量部である。
ポリエステル化合物及び遷移金属触媒は、公知の方法で混合する事が出来るが、好ましくは押出機により混練することにより、分散性の良い酸素吸収性樹脂組成物として使用することができる。また、酸素吸収性樹脂組成物には、本実施形態の効果を損なわない範囲で、乾燥剤、顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等を添加しても良いが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合することができる。
なお、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収反応を促進させるために、必要に応じて、さらにラジカル発生剤や光開始剤を含有していてもよい。ラジカル発生剤の具体例としては、各種のN−ヒドロキシイミド化合物が挙げられ、例えば、N−ヒドロキシコハクイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N,N’−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、3−スルホニル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−メトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−メチル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−ヒドロキシ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−ニトロ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−メトキシ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−ジメチルアミノ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−カルボキシ−N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、4−メチル−N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノンとその誘導体、チアジン染料、金属ポルフィリン誘導体、アントラキノン誘導体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらのラジカル発生剤及び光開始剤は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<他の熱可塑性樹脂>
また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、本実施形態の目的を阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂と押出機で混練することも出来る。混練に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、あるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体等のポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
酸素吸収層(層A)の厚みは、酸素吸収性能を有し、医療用多層成形容器に要求される諸物性を確保するという観点から、1〜1000μmとすることが好ましく、より好ましくは50〜900μmであり、更に好ましくは100〜800μmである。
<ポリカーボネートを含有する樹脂層(層B)>
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器において、樹脂層(層B)は、ポリカーボネートを含有する層である。層Bにおけるポリカーボネートの含有率は、適宜設定することができ、特に限定されないが、層Bの総量に対して、70〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、層Bを複数有していてもよく、複数の層Bの構成は互いに同一であっても異なっていてもよい。層Bの厚みは、用途に応じて適宜決定することができ、特に限定されないが、医療用多層成形容器に要求される諸物性を確保するという観点から、50〜10000μmが好ましく、より好ましくは100〜7000μm、さらに好ましくは300〜5000μmである。
本実施形態で使用されるポリカーボネートを構成する芳香族ヒドロキシ化合物としては特に制限はないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アリールアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中でも、酸素吸収性医療用多層成形容器の耐熱性、機械的性能、経済性等の面から、ビスフェノールAが特に好ましく、すなわちポリカーボネートがビスフェノールAのポリ炭酸エステルであることが特に好ましい。
本実施形態のポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、このような分岐構造を有した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名1,3ビスフェノール)、5−クロル−1,3ビスフェノール、5,7−ジクロル−1,3ビスフェノール、5−ブロム−1,3−ビスフェノール等を使用すればよい。
本実施形態で使用されるポリカーボネートは、その粘度平均分子量が10,000以上であることが機械的強度を維持する上で好ましく、30,000以下であることが成形性の点から好ましいが、12,000以上28,000以下であることがより好ましい。
本実施形態で使用されるポリカーボネートを製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することが出来る。例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られる。
<接着層>
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、所望する性能等に応じて、上述した酸素吸収層(層A)およびポリカーボネートを含有する樹脂層(層B)の他に、任意の層を含んでいてもよい。そのような任意の層としては、例えば、接着層等が挙げられる。
例えば、隣接する2つの層の間の層間接着強度をより高める観点から、当該2つの層の間に接着層(層AD)を設けることが好ましい。接着層は、接着性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。接着性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂;ポリエステル系ブロック共重合体を主成分としたポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なお、接着層の厚みは、特に限定されないが、実用的な接着強度を発揮しつつ成形加工性を確保するという観点から、2〜100μmであることが好ましく、より好ましくは5〜90μm、さらに好ましくは10〜80μmである。
<酸素吸収性医療用多層成形容器の製造方法>
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器の製造方法は、各種材料の性状や目的とする形状等に応じて、公知の方法を適用することができ、特に限定されない。例えば、各種の射出成形法を適用して、多層成形容器を製造することができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器の厚みは、特に限定されないが、酸素吸収性能を高めるとともに医療用多層成形容器に要求される諸物性を確保するという観点から、3〜5000μmが好ましく、より好ましくは5〜4500μmであり、さらに好ましくは10〜4000μmである。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層容器を密封用容器の構成部品の一部として使用することにより、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入する酸素をも吸収して、保存する内容物品(被保存物)の酸素による変質等を防止することができる。このとき、本実施形態の射出成形体は、それ自体が容器形状に成形されていてもよい。また、得られた射出成形体に二次加工を施すことにより、所望の容器形状に成形することもできる。二次加工としてはブロー成形等が適用可能である。本実施形態の酸素吸収性医療用多層容器が酸素吸収性能を発現することを考慮すると、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、真空採血管等の保存容器であることが好ましい。
また、射出成形法以外の方法としては、例えば、圧縮成形法により多層成形体を得ることができ、例えば、熱可塑性樹脂溶融物中に酸素吸収性組成物を設け、その溶融塊を雄型に供給するとともに、雌型により圧縮し、圧縮成形物を冷却固化することにより多層成形体を得ることができる。
また、射出成形法、圧縮成形法以外の方法としては、押出ブロー成形法により、多層成形体を得ることができ、例えば、複数の押出機と円筒ダイからなる押出ブロー装置を用いて円筒状パリソンを形成し、該パリソンをチューブ状に押出し、該パリソンを金型で挟み、パリソン下部をピンチオフするとともに融着させ、冷却しないうちに高圧の空気等によってブローして、該パリソンを膨ませることにより多層成形体を得ることができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層容器の使用態様としては、特に限定されず、種々の用途及び形態で用いることができる。好ましい使用態様としては、例えば、バイアル、アンプル、プレフィルドシリンジ、真空採血管等が挙げられるが、これらに特に限定されない。以下、好ましい使用態様について詳述する。
<バイアル>
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、バイアルとして使用することができる。一般的には、バイアルは、ボトル、ゴム栓、キャップから構成され、薬液をボトルに充填後、ゴム栓をして、さらにその上からキャップを巻締めることで、ボトル内が密閉されている。このバイアルのボトル部分に、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器をバイアルのボトル部分に成形する方法としては、例えば、射出ブロー成形、押出しブロー成形等が好適である。その具体例として、射出ブロー成形方法を以下に示す。例えば、2台以上の射出機を備えた成形機および射出用金型を用いて、層Aを構成する材料および層Bを構成する材料をそれぞれの射出シリンダーから金型ホットランナーを通して、射出用金型のキャビティー内に射出することにより、射出用金型のキャビティー形状に対応した形状を有する、3層構造B/A/Bの多層インジェクション成形体を製造することができる。また、先ず、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、3層構造B/A/Bの多層インジェクション成形体を製造することができる。さらに、先ず、層Bを構成する材料を射出し、次いで層Aを構成する材料を単独で射出し、最後に層Bを構成する材料を必要量射出して金型キャビティーを満たすことにより、5層構造B/A/B/A/Bの多層インジェクション成形体を製造することができる。またさらに、先ず、層B1を構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層B2を構成する材料を別の射出シリンダーから、層B1を構成する樹脂と同時に射出し、次に層Aを構成する樹脂を層B1、層B2を構成する樹脂と同時に射出し、次に層B1を構成する樹脂を必要量射出してキャビティーを満たすことにより、5層構造B1/B2/A/B2/B1の多層インジェクション成形体を製造することができる。そして、この射出ブロー成形では、上記方法により得られた多層インジェクション成形体をある程度加熱された状態を保ったまま最終形状金型(ブロー金型)に嵌め、空気を吹込み、膨らませて金型に密着させ、冷却固化させることで、ボトル状に成形することができる。
<アンプル>
また、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、アンプルとして使用することができる。一般的には、アンプルは、頸部が細く形成された小容器から構成され、薬液を容器内に充填後、頸部の先を熔封することで、容器内が密閉されている。このアンプル(小容器)に本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器をアンプルに成形する方法としては、例えば、射出ブロー成形、押出しブロー成形等が好適である。
<プレフィルドシリンジ>
一般的なプレフィルドシリンジバレルの形状は、注射針を接続することができるオス型ルアーテーパのノズル、ノズル基端から円筒部にかけて肩部が形成され、円筒部基端にフランジが形成されたものである。プレフィルドシリンジバレルの形状は特に限定されず、公知の形状に成形することが出来る。
薬剤収容時には前記ノズルをキャップにより封止し、前記円筒部内にはプランジャーが接続されたガスケットを挿入する。上述したバレル形状の酸素吸収性積層体を成形することにより、本実施形態の酸素吸収性プレフィルドシリンジを製造することができる。製造方法は、各種材料の性状や目的とする形状等に応じて、公知の方法を適用することができ、特に限定されないが、射出成形法が好適である。
具体的には、キャビティーのバレルのノズル先端部に設けたゲートから層Bを構成する樹脂をキャビティー内に一定量射出し、次いで層Aを構成する樹脂を一定量射出する。先に射出した層Bを構成する樹脂はキャビティー及びコア金型の壁面により冷却されスキン層を形成し、層Aを構成する樹脂はコア層となりスキン層の間に形成される。その後再び層Bを構成する樹脂を一定量射出することにより、多層インジェクション成形体としてバレルを製造することができる。ここで先に射出する層Bを構成する樹脂の射出量は層Aがバレル内に挿入されるガスケットの挿入予定位置よりも円筒部基端寄りに形成されるように調整されていることが好ましい。ガスケットの挿入予定位置まで酸素吸収層(層A)を形成することによりバレルのバリア性の確保が一層確実になる。また、層Aを構成する樹脂の射出量はキャップ封止予定位置よりもノズル先端寄りに形成されるように調整されていることが好ましい。キャップ封止予定位置まで酸素吸収層(層A)を形成することによりバレルのバリア性の確保が一層確実になる。
プレフィルドシリンジのバレルの容器の厚さは、使用目的や大きさに応じて適宜設定することができ、特に限定されない。一般的には、薬液の長期保存安定性、成型性およびシリンジの操作性の観点から、0.5〜20mm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5mm程度である。また、厚さは均一であっても、厚さを変えたものであってもいずれでもよい。またバレル表面には、長期保存安定の目的で、他のガスバリア膜や遮光膜がさらに形成されていてもよい。これらの任意の膜およびその形成方法については、例えば、特開2004−323058号公報などに記載されている。
<真空採血管>
また、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、真空採血管として使用することができる。一般的には、真空採血管は、管状体および栓体から構成されている。この管状体に、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を真空採血管の管状体に成形する方法としては、例えば、射出成形法が好適である。具体的には、先ず層Bを構成する樹脂を射出用金型のキャビティー内に一定量射出し、次いで層Aを構成する樹脂を一定量射出し、再び層Bを構成する樹脂を一定量射出することにより、多層インジェクション成形体として管状体を製造することができる。
<被保存物>
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器に充填される被保存物(充填物)は、特に限定されない。例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン剤、アトロピンなどのアルカロイド、アドレナリン、インシュリンなどのホルモン剤、ブドウ糖、マルトースなどの糖類、セフトリアキソン、セファロスポリン、シクロスポリンなどの抗生物質、オキサゾラム、フルニトラゼパム、クロチアゼパム、クロバザムなどのベンゾジアゼピン系薬剤等、任意の天然物や化合物を充填可能である。本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、これらの天然物や化合物を充填した場合、これらの天然物や化合物の吸着量が少なく、またこれらの酸化による変質を抑制することができ、また、溶媒(例えば水分)の蒸散を抑制することもできる。
なお、これらの被保存物の充填前後に、被保存物に適した形で、医療用多層容器や被保存物の殺菌処理を施すことができる。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、121℃以上の高温蒸気滅菌処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に記載が無い限り、NMR測定は室温で行った。なお、実施例ではバイアルを例に挙げているが、本願明細書に示したとおりアンプル、プレフィルドシリンジに対する要求特性はバイアルに対するものと同じである為、本発明がこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
ポリマー製造例で得られたポリマーの各種物性値は以下の測定方法及び測定装置により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(溶融粘度の測定方法)
溶融粘度は得られたテトラリン環含有ポリエステル化合物をガラス転移温度より10℃低い温度で24時間減圧乾燥して水分を除き、株式会社東洋精機製作所製キャピラリーレオメーター「キャピログラフ1D」を用いて、温度260℃、剪断速度1216sec-1の条件で測定した。
(融点の測定方法)
融点は、ISO11357に準拠して、DSC融点ピーク温度を測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(重量平均分子量および数平均分子量の測定方法)
重量平均分子量および数平均分子量は、GPC−LALLSにて測定した。測定装置は東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」を使用した。
<モノマー合成例>
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、5%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
<ポリマー製造例>
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置および窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、モノマー合成例で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル543g、エチレングリコール217g、多官能化合物としてグリセリンを1.0g、テトラブチルチタネート0.038g、酢酸亜鉛0.15gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧を徐々に90分かけて行い、260℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)を得た。
得られたポリエステル化合物(1)の重量平均分子量と数平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行った結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は7.0×10、数平均分子量は3.0×10であった。ガラス転移温度と融点をDSCにより測定を行った結果、ガラス転移温度は69℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(1)の溶融粘度を測定した。これらの結果を表1に示す。
(製造例2)
グリセリンの配合量を2.0gとしたこと以外は、実施例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(2)を合成した。得られたポリエステル化合物(2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.0×10、数平均分子量は3.1×10、ガラス転移温度は67℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(2)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例3)
グリセリンに代えてペンタエリスリトール0.6gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(3)を合成した。得られたポリエステル化合物(3)のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.1×10、数平均分子量は3.4×10、ガラス転移温度は68℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(3)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例4)
グリセリンに代えてトリメリット酸2.3gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(4)を合成した。得られたポリエステル化合物(4)のポリスチレン換算の重量平均分子量は6.9×10、数平均分子量は3.0×10、ガラス転移温度は70℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(4)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例5)
製造例1のエチレングリコールを150gとし、更に1,4−ブタンジオール93gを仕込み、製造例1と同様にしてエチレングリコールと1,4−ブタンジオールのモル比が60:40のポリエステル化合物(5)を合成した。ポリエステル化合物(5)のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.5×10、数平均分子量は3.2×10、ガラス転移温度は56℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(5)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例6)
製造例1のエチレングリコールを54gとし、更に1,4−ブタンジオール236gを仕込み、製造例1と同様にしてエチレングリコールと1,4−ブタンジオールのモル比が10:90のポリエステル化合物(6)を合成した。ポリエステル化合物(6)のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.8×10、数平均分子量は2.9×10、ガラス転移温度は39℃、融点は133℃であった。また、ポリエステル化合物(6)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例7)
製造例1のエチレングリコールを1,4−ブタンジオールに変更し、315gを仕込み、製造例1と同様にしてポリエステル化合物(7)を合成した。ポリエステル化合物(7)のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.1×10、数平均分子量は3.1×10、ガラス転移温度は36℃、融点は145℃であった。また、ポリエステル化合物(7)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
(製造例8)
グリセリンを添加しなかったこと以外は、製造例1と同様にしてポリエステル化合物(8)を合成した。ポリエステル化合物(8)のポリスチレン換算の重量平均分子量は4.9×10、数平均分子量は2.4×10、ガラス転移温度は56℃、融点は非晶性のため認められなかった。また、ポリエステル化合物(8)の溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015048097
<バイアルの製造>
下記の条件により、層Bを構成する材料を射出シリンダーから射出し、次いで層Aを構成する材料を別の射出シリンダーから、層Bを構成する樹脂と同時に射出し、次に層Bを構成する樹脂を必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成の射出成形体を得た後、射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行した後にブロー成形を行うことでバイアル(ボトル部)を製造した。バイアルの総質量を20gとし、層Aの質量をバイアルの総質量の30質量%とした。層Bを構成する樹脂としてはポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製、商品名:ユーピロンS3000)を使用した。
(バイアルの形状)
全長89mm、外径40mmφ、肉厚1.8mmとした。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY製、型式:IBS 85、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:260℃
層B用の射出シリンダー温度:300℃
射出金型内樹脂流路温度:300℃
射出金型温度:150℃
ブロー温度:180℃
ブロー金型冷却水温度:15℃
<バイアルの評価>
実施例及び比較例で得られたバイアルの成形性、酸素透過率、高圧蒸気滅菌後の外観、落下試験、溶出試験について、以下の方法で測定し評価した。
(1)バイアルの成形性評価(3層構成の乱れ)
バイアルを連続的に製造し、成形性を評価した。連続成形において3層構成の乱れが無く酸素吸収層の層厚さを安定して確保できる成形条件範囲が広い場合を○、連続成形において3層構成の乱れが頻発し酸素吸収層の層厚さを確保できる成形条件範囲が狭い場合を×と表記した。
(2)バイアルの成形性評価(成形中の割れ)
バイアルを連続的に製造し、成形性を評価した。3時間の連続成形においてバイアルの割れが発生しなかったものを○、3時間の連続成形においてバイアルの割れが1〜10回発生したものを△、3時間の連続成形においてバイアルの割れが11回以上発生したものを×と表記した。
(3)バイアルの酸素透過率(OTR)
23℃、成形体外部の相対湿度50%、内部の相対湿度100%の雰囲気下にて、測定開始から30日目の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど酸素バリア性が良好であることを示す。なお測定の検出下限界は酸素透過率5×10−5mL/(0.21atm・day・package)である。
(4)高圧蒸気滅菌後の外観
得られたバイアルに、121℃20分間の高温蒸気滅菌処理を実施した後のバイアルの白化の有無を目視にて観察した。
(5)落下試験
バイアルを40℃、90%RH下にて1カ月保存した後、純水50mLを満杯充填し、ゴム栓及びアルミキャップにて密封した。この容器を3mの高さから落下させた時の、容器外観を調査した。
(6)溶出試験
バイアルを40℃、90%RH下にて1カ月保存した後、純水50mLを満杯充填し、ゴム栓及びアルミキャップにて密封した容器を40℃、60%RH下に4カ月保存し、その後、純水中のトータルカーボン量(以下、TOC)を測定した。
(TOC測定)
装置;株式会社島津製作所製 TOC-VCPH
燃焼炉温度;720℃
ガス・流量;高純度空気、TOC計部150mL/min
注入量;150μL
検出限界;1μg/mL
(実施例1)
ポリエステル化合物(1)100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.02質量部となるようドライブレンドし、酸素吸収性樹脂組成物を得た。層Aを構成する樹脂として前記酸素吸収樹脂組成物を用い、バイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2〜7)
ポリエステル化合物(1)を、表1に示すポリエステル化合物(2)〜ポリエステル化合物(7)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製、商品名:ユーピロンS3000)を用いて実施例1と同形状の単層のバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
ポリエステル化合物(1)を、表1に示すポリエステル化合物(8)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
層Bの樹脂をポリカーボネートからシクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH製、商品名:TOPAS6013)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
層Bの樹脂をポリカーボネートからポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット製、商品名:BK−2180)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
層Aの樹脂を非晶ポリアミド(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名「NOVAMID X21−F07」、以下、「6IT」とも略する。)とした以外は、実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
ポリエステル化合物(1)をナイロンMXD6(三菱ガス化学株式会社製S7007)に変更し、ステアリン酸コバルト(II)の使用量をコバルト量として0.04質量部とした以外は、実施例1と同様にしてバイアルを製造し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015048097
表2から明らかなように、実施例1〜7のバイアルは、良好な酸素バリア性を有し、長期保存後も良好な強度を維持し、容器から内容物への溶出量も低いことが確認された。特に、実施例1〜5については、高圧蒸気滅菌後も透明性を維持し、内容物視認性が良好であることが確認された。
本発明の酸素吸収性医療用多層容器は、少なくとも優れた酸素吸収性を有するので、被保存物の水分の有無によらず酸素吸収することが可能であり、さらには酸素吸収後の臭気の発生が無く高圧蒸気滅菌後も透明性が良好であるので、例えば、医薬品、バイオ医薬、医療品等において、特に有効に利用可能である。

Claims (9)

  1. ポリカーボネートを含有する樹脂層と、ポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリカーボネートを含有する樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する、酸素吸収性医療用多層成形容器であって、
    前記ポリエステル化合物が、下記一般式(1)〜(4)
    Figure 2015048097

    (式中、Rは、それぞれ独立して一価の置換基を示し、一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基及びイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。mは0〜3、nは0〜7の整数を表し、テトラリン環のベンジル位に少なくとも1つ以上の水素原子が結合している。Xは芳香族炭化水素基、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基及び複素環基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する2価の基を表す。)
    からなる群より選択される少なくとも1つのテトラリン環を有する構成単位(a)と、
    3価以上の多価アルコール、3価以上の多価カルボン酸およびその誘導体、並びに3価以上のヒドロキシカルボン酸およびその誘導体、からなる群より選ばれる、少なくとも1種の多官能化合物由来の構成単位(b)とを有するポリエステル化合物である、酸素吸収性医療用多層成形容器。
  2. 前記ポリエステル化合物が、前記一般式(1)で表される前記構成単位(a)と前記構成単位(b)とを、99.99:0.01〜90:10のモル比で含有する、請求項1に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  3. 前記一般式(1)におけるXがエチレン基及び/又はテトラメチレン基である構成単位(a)の割合が、前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して95モル%以上である、請求項1または2に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  4. 前記一般式(1)におけるXがエチレン基である構成単位(a)の割合が、前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対して60モル%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  5. 前記ポリエステル化合物が有する全ての構成単位(a)に対する、前記一般式(1)におけるXがエチレン基である構成単位(a)の割合が95モル%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  6. 前記ポリエステル化合物の剪断速度1216sec−1における260℃の溶融粘度の値が、150Pa・sec以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  7. 前記ポリエステル化合物のガラス転移温度の値が、50℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  8. 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種以上の遷移金属を含むものである、請求項1〜7のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
  9. 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、請求項1〜8のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
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