JP2019022101A - フィードバックキャンセラ及び補聴器 - Google Patents
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Abstract
【課題】エントレインメントの発生の抑制とハウリングの効果的な抑制とを両立し得る補聴器等を提供する。【解決手段】本発明の補聴器は、補聴処理部10、レシーバ11、マイクロホン12、適応フィルタ13、係数更新部14、白色化フィルタ15、16、減算部17、制御部18を備えて構成されている。制御部18は、第1の信号e(n)の相関性が低い安定状態における適応フィルタ13の係数を安定係数として更新保存するとともに、適応フィルタ13の係数と安定係数とに基づいてフィードバック伝達関数F(z)が変化したと判定したときに白色化フィルタ15、16の白色化効果を低減する制御を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、ハウリングの発生を抑制可能な構成を備えるフィードバックキャンセラ及び補聴器に関する。
一般的な補聴器は、外部空間から伝わる音を収集するマイクロホンと、使用者の外耳道に音を出力するレシーバとを具備する。補聴器の使用時には、レシーバから出力された音が外耳道内から外部空間に漏れてマイクロホンにフィードバックすることにより、ハウリングが発生する場合がある。このようなハウリングの発生を抑制するための手段として、フィードバック伝達関数を適応的に推定する適応フィルタを用いたフィードバックキャンセラが広く知られている。この種のフィードバックキャンセラは、通常のハウリングの発生を抑圧するには有効であるが、周期的な信号が入力されたときに適応動作の不具合を招く場合がある。すなわち、適応フィルタへの入力信号が正弦波に近い周期性を有する(自己相関が高い)場合、いわゆるエントレインメントを生じ、その入力信号が歪んで異音の発生となる現象が知られている。このようなエントレインメントに対する対策としては、例えば、適応フィルタの入力側に、白色化フィルタ(周波数等化ユニット)を挿入し、入力信号を白色化(自己相関の低下)する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前述の白色化フィルタを用いて入力信号を白色化することにより、フィードバックキャンセラにおけるエントレインメント(異音)の発生を抑制することができる。しかし、フィードバックキャンセラにおいてハウリングが発生した場合を想定すると、白色化フィルタによりハウリング信号が白色化されることから、フィードバックキャンセラにおけるハウリングの抑制が不十分となり、ハウリング抑制時間が長くなるという問題がある。なお、エントレインメント対策として白色化フィルタを用いることなく周波数シフト方式を適用する場合は、音質の劣化が避けられない。
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、白色化フィルタを用いた簡素な構成によりエントレインメントによる異音の発生を抑制しつつ、短いハウリング抑制時間で効果的にハウリングを抑制し得る補聴器等を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の補聴器は、電気信号を音に変換するレシーバ(11)と、音を電気信号に変換するマイクロホン(12)と、前記レシーバから前記マイクロホンへのフィードバック伝達関数(F(z))を適応的に推定する適応フィルタ(13)と、前記マイクロホンの出力信号から前記適応フィルタの出力信号を減算して第1の信号(e(n))を生成する減算部(17)と、前記第1の信号に所定の補聴処理を施して、前記レシーバに入力される第2の信号(s(n))を生成する補聴処理部(10)と、前記第1の信号を白色化する第1の白色化フィルタ(15)と、前記第1の白色化フィルタと共通の白色化フィルタ係数(γ(n))により、前記第2の信号を白色化する第2の白色化フィルタ(16)と、前記第1及び第2の白色化フィルタのそれぞれの出力信号に基づいて、前記適応フィルタの係数(W(n))を更新する係数更新部(14)と、前記適応フィルタと前記第1及び第2の白色化フィルタとの動作を制御する制御部(18)とを備えており、前記制御部は、前記第1の信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数(Ws(n))として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定し、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときに比べて前記第1及び第2の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御することを特徴としている。
本発明の補聴器によれば、第1及び第2の白色化フィルタの動作を制御する制御部は、入力される第1の信号が安定状態にあるときの適応フィルタの係数を安定係数として更新保存した上で、取得した適応フィルタの係数と保存されている安定係数とに基づき、フィードバック伝達関数の変化を判定し、その判定結果に応じて各々の白色化フィルタの白色化効果を適切に制御することができる。よって、ハウリングが発生していない状況では、白色化フィルタの動作によりエントレインメントの発生を抑制することができるとともに、ハウリングが発生した状況では、白色化フィルタの動作が適応フィルタの適応動作に悪影響を与えないように制御することができる。このとき、フィードバック伝達関数の変化は、自己相関が低い状態で更新された安定係数を用いて判定するので、自己相関が高い信号が入力された状態で誤判定が生じることを避けることができる。以上により、補聴器において問題となるエントレインメントを抑制しつつ、迅速かつ確実なハウリングの抑制を両立することができる。
本発明の制御部は、例えば、白色化フィルタ係数の平均値(ψ(n))を算出し、予め設定された第1の閾値(T1)と平均値とを比較して平均値が小さいと判定されたときに安定係数の更新を行うように制御することができる。これにより、白色化フィルタに自己相関が高い信号が入力された状態では、必然的に白色化フィルタ係数の平均値が増加して前述の判定条件を満たさなくなるため、自己相関の低い状態での安定係数を取得することができる。
本発明の白色化フィルタとしては、例えば、所定段数の適応ラティスフィルタを用いることができ、この場合の白色化フィルタ係数は、適応ラティスフィルタの反射係数となる。適応ラティスフィルタは、他の白色化フィルタに比べて、収束速度を高める点で効果的である。
本発明の制御部による制御の一例として、例えば、フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときは白色化効果を所定の係数の強さに制御し、フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは白色化効果を前記所定の係数の強さより弱める制御をすることができる。この場合、白色化効果の強弱の程度や段階数は、実環境に応じて多様に設定することができる。一方、本発明の制御部による制御の他の例として、例えば、フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときは白色化フィルタを動作(ON)させ、フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは白色化フィルタの動作を停止(OFF)させる制御を挙げることができる。
本発明の制御部は、例えば、適応フィルタの係数と安定係数との差分の総和(D(n))を算出し、予め設定された第2の閾値(T2)と差分の総和D(n)とを比較して、比較結果に応じてフィードバック伝達関数の変化の有無を判定することができる。これにより、ハウリングの発生に起因して一時的に適応フィルタの係数が変化したとき、安定係数の差分が増えるので、容易にフィードバック伝達関数が変化したことを判定することができる。
本発明の制御部は、フィードバック伝達関数が変化したと判定したとき、白色化フィルタの白色化効果を低減する制御に加えて、適応フィルタの収束速度を増加させる制御を行うことができる。これにより、ハウリングが発生した状況において、適応フィルタを短時間で収束させることができる。なお、適応フィルタの収束速度を増加させるには、例えば、適応フィルタのステップサイズを増加させればよい。
また、上記課題を解決するために、本発明のフィードバックキャンセラは、電気信号を音に変換する第1の変換手段と、音を電気信号に変換する第2の変換手段と、前記第1の変換手段から前記第2の変換手段へのフィードバック伝達関数を適応的に推定する適応フィルタと、前記第2の変換手段の出力信号から前記適応フィルタの出力信号を減算して第1の信号を生成する減算部と、前記第1の信号に所定の信号処理を施して、前記第1の変換手段に入力される第2の信号を生成する信号処理部と、前記適応フィルタの係数を更新する係数更新部と、少なくとも前記適応フィルタの動作を制御する制御部とを備えており、前記制御部は、前記第1の信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定することを特徴としている。
本発明のフィードバックキャンセラによれば、適応フィルタの係数と更新保存されている安定係数とに基づき、ハウリングの発生等に起因するフィードバック伝達関数の変化の有無を確実に判定することができるので、その判定結果に適合する多様な制御を実行することが可能となる。
本発明のフィードバックキャンセラにおいて、前記第1の信号を白色化する第1の白色化フィルタと、前記第1の白色化フィルタと共通の白色化フィルタ係数により、前記第2の信号を白色化する第2の白色化フィルタとを更に設け、前記係数更新部は、第1及び第2の白色化フィルタのそれぞれの出力信号に基づいて前記適応フィルタの係数を更新し、前記制御部は、前記フィードバック伝達関数が変化したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないときに比べて前記第1及び第2の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御してもよい。これにより、前述の補聴器と同様の効果を奏するフィードバックキャンセラを、例えば、エコーキャンセラ(会議システム)など、多様な機器・システムに適用することができる。
以上述べたように本発明により、フィードバックキャンセラを構成した補聴器において、白色化フィルタを用いてエントレインメントによる異音の発生を抑制しつつ、フィードバック伝達関数の変化の有無に応じて白色化フィルタの動作を適切に制御することにより、白色化フィルタが適応フィルタの適応動作に与える影響を抑え、短いハウリング抑制時間で確実にハウリングを抑制することができる。また、本発明により、例えば、エントレインメント対策のための周波数シフト方式を適用する場合に比べ、良好な音質でエントレインメント対策とハウリングの抑制を両立することができる。
以下、本発明を適用した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。本実施形態では、フィードバックキャンセラを備えた補聴器に対して本発明を適用する例について説明する。
図1は、本実施形態の補聴器において、ディジタル信号処理に関連する具体的な構成例を示すブロック図である。図1の構成例には、補聴処理部10と、レシーバ11と、マイクロホン12と、適応フィルタ13と、係数更新部14と、2つの白色化フィルタ15、16と、減算部17と、制御部18とが示されている。このうち、レシーバ11及びマイクロホン12以外の構成要素は、例えば、ディジタル信号処理を実行可能なDSP(Digital Signal Processor)による信号処理によって実現することができる。図1の各構成要素は、補聴器の内部に搭載された電池(不図示)から供給される電源により動作する。なお、図示は省略しているが、レシーバ11の入力側には、ディジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器が設けられ、マイクロホン12の出力側には、アナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換器が設けられる。
以上の構成において、補聴処理部10は、減算部17から出力される誤差信号e(n)を増幅するとともに、各々の使用者に適合して個別に設定された所定の補聴処理を施し、補聴処理後の信号s(n)を出力する。補聴処理部10による補聴処理は、図1に示す伝達関数G(z)で表される。補聴処理部10によって適用可能な補聴処理としては、誤差信号e(n)に対する所定のゲインの付与に加えて、例えば、誤差信号e(n)に対するマルチバンドコンプレッション、ノイズリダクション、トーンコントロール、出力制限処理など、補聴器の使用者の聴力特性や使用環境に合わせた多様な処理を挙げることができる。
なお、補聴処理部10に入力される誤差信号e(n)は、本発明の第1の信号に相当し、補聴処理部10から出力される信号s(n)は、本発明の第2の信号に相当する。
レシーバ11は、例えば、使用者の外耳道内に設置され、補聴処理部10から出力される前述の信号s(n)を音に変換して外耳道内の空間に出力する。レシーバ11としては、例えば、電磁型のレシーバを用いることができる。また、マイクロホン12は、補聴器の外部空間から伝わる音を収集して電気信号に変換し、それを所望信号d(n)として出力する。マイクロホン12としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やコンデンサ型のマイクロホンを用いることができる。
図1において、マイクロホン12には外部の環境音のみが入力されるのが理想的であるが、実際にはレシーバ11から出力される音が外耳道から外部空間を経由してマイクロホン12に回り込み、フィードバック音となる。このとき、レシーバ11の入力からマイクロホン12の出力に至るフィードバック経路におけるフィードバック伝達関数F(z)を想定することができる。なお、レシーバ11及びマイクロホン12もそれぞれ固有の伝達関数を有するが、いずれもフィードバック伝達関数F(z)に含めて考えることができる。フィードバック伝達関数F(z)は、例えば、補聴器の構造、使用者の挙動(例えば、使用者が補聴器に手を近づける場合)、周囲の環境(例えば、自動車内)などに応じて変化し、補聴器のハウリングの要因となる。本実施形態では、補聴器におけるハウリングの発生を抑制するために、後述するように、フィードバック伝達関数F(z)を推定することでフィードバック成分をキャンセルする構成を有するが、詳細は後述する。
適応フィルタ13は、補聴処理後の信号s(n)に対し、係数更新部14から供給される係数W(n)を用いて、上述のフィードバック伝達関数F(z)に対応する伝達関数W(z)を適応的に推定し、出力信号y(n)を生成する。なお、減算部17は、所望信号d(n)から適応フィルタ13の出力信号y(n)を減算し、それを前述の誤差信号e(n)として出力する。また、係数更新部14は、適応フィルタ13における演算に用いる前述の係数W(n)を順次更新する。適応フィルタ13としては、例えば、所定のタップ数(例えば、32タップ)を有するFIR(Finite Impulse Response)を用いることができる。係数更新部14では、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムなどの多様な適応アルゴリズムを採用することができる。
一方の白色化フィルタ15は、誤差信号e(n)を入力し、誤差信号e(n)を白色化(無相関化)した出力信号を生成し、他方の白色化フィルタ16は、信号s(n)を入力し、信号s(n)を白色化(無相関化)した信号を生成する。2つの白色化フィルタ15、16のそれぞれの出力信号は、係数更新部14に供給される。白色化フィルタ15、16の主な役割は、無相関化された信号に基づき係数更新部14を動作させることにより、異音の発生を抑制することにある。白色化フィルタ15、16の動作は、後述の制御部18によって制御されるが、この制御の内容については後述する。図1に示すように、一方の白色化フィルタ15に設定された白色化フィルタ係数は、他方の白色化フィルタ16に対しても同様に設定されるので、2つの白色化フィルタ15、16は同一の特性を有している。
具体的な白色化フィルタ15、16としては、例えば、適応ラティスフィルタを採用することができる。図2は、M段の適応ラティスフィルタの構成例を示している。図2の構成例に示す適応ラティスフィルタは、観測信号x(n)を入力し、M段の各段で、反射係数γm(n)を用いて、次の(1)及び(2)式に従って、前向き及び後ろ向き予測誤差fm(n)、bm(n)の計算を順次に行う。
なお、(1)、(2)式では、図2の前向き及び後ろ向き反射係数γm (f)(n)、γm (b)を単に反射係数γm(n)と表している。また、以下では、説明の簡略化のため、反射係数γm(n)を単に反射係数γ(n)と表記する場合がある。
(1)、(2)式において、このような計算により、適応ラティスフィルタの最終段からは、観測信号x(n)に含まれる相関成分が除去された無相関な信号が出力される。なお、白色化フィルタ15、16としては、図2の構成例に限られることなく多様な構成を採用することができるが、適応ラティスフィルタは収束速度を高める場合に有効な構成である。
本実施形態において、エントレインメント対策として白色化フィルタ15、16を設けるだけでは、同時にハウリング成分も白色化されるために適応が不十分となり、ハウリング抑制時間が長くなる恐れがある。そこで、本実施形態では、制御部18により、白色化フィルタ15、16によるエントレインメント対策を行いつつ、ハウリングを確実に抑制し得る制御を行う点が特徴である。以下では、制御部18による動作制御の例を図3のフローチャートを用いて具体的に説明する。
図3のフローチャートは、例えば、所定の時間間隔であるフレーム(例えば、1ms)ごとに制御部18により実行される処理の流れを示している。図3に示す処理が開始されると、制御部18では、この時点における白色化フィルタ15のM段の反射係数γ(n)を取得し、その総和を求めた上で反射係数の平均値ψ(n)を算出する(ステップS1)。ここでは、白色化フィルタ15、16が、図2に示す適応ラティスフィルタの構成を有する場合について説明を行う。この場合、ステップS1では、図2のM段の適応ラティスフィルタの構成のうち、対象フレームにおけるM個の反射係数γ0(n)〜γM−1(n)が取得されることになる。
次に、ステップS1で算出された反射係数の平均値ψ(n)の値と、予め設定された閾値T1(本発明の第1の閾値)の大小を比較する(ステップS2)。ここで、図4は、時間軸に沿って、反射係数の平均値ψ(n)の変化と閾値T1とを重ねて例示した図である。図4の例では、25秒の範囲内で所謂おりん(鈴台を棒で打ち鳴らす仏具)を3回鳴らし、白色化フィルタ15に入力した際のM段(=16段)の反射係数γ(n)を抽出し、(3)式に基づく平均値ψ(n)をプロットしたものである。すなわち、図4に示すように、おりん音が発生する3回の時間帯では、その純音成分により平均値ψ(n)の急激な増加及び緩やかな減少が生じることがわかる。この例では、閾値T1=0.2に設定されており、この値との大小関係が判定されることになる。なお、図4では、おりん音が生じていない時間帯でも一時的に平均値ψ(n)が増加しているが、例えば、ハウリング等の影響で純音成分が増加することによるものである。
ステップS2の比較の結果、平均値ψ(n)が閾値T1に満たないと判定されたときは(S2:NO)、この時点の適応フィルタ13の係数W(n)を取得し、所定の記憶部に保存される安定係数Ws(n)を更新する(ステップS3)。例えば、図4において、自己相関が高いおりん音が発生していない大部分の時間帯では、平均値ψ(n)が閾値T1(=0.2)を下回っているため、ステップS3が実行される。一方、ステップS2の比較の結果、平均値ψ(n)が閾値T1を超えると判定されたとき(S2:YES)は、ステップS3は実行されない。例えば、図4においておりん音が発生している3回の時間帯では、平均値ψ(n)がS1(=0.2)を上回っているため、ステップS3が実行されない。つまり、安定係数Ws(n)は、純音成分等の自己相関が高い信号が入力されない安定状態における適応フィルタ13の係数W(n)を更新保存したものである。なお、ステップS1、S2の処理では、反射係数の平均値ψ(n)を用いているが、(3)式の右辺における反射係数の総和Σ|γm(n)|と、これに適合する閾値とを用いてステップS1、S2の処理を行ってもよい。
ステップS2で用いられる閾値T1は、補聴器に入力される実環境音を使用して、ハウリングが発生せず、かつ自己相関の高い入力音がない状態に基づき、予め所望の値が設定される。また、ステップS3において更新される安定係数Ws(n)としては、例えば、64タップの適応フィルタ13を用いる場合、必ずしも全タップを保存する必要はなく、例えば、64タップのうち最初から半分の32タップに相当する係数群を保存しておくことができる。
ステップS2、S3に続いて、制御部18では、この時点における適応フィルタの係数W(n)を取得し、この係数W(n)とステップS3で更新保存された安定係数Ws(n)とのタップごとの差分の総和D(n)(以下、単に差分D(n)という)を算出する(ステップS4)。前述のように安定係数Ws(n)が32タップに相当する場合、ステップS4で取得される係数W(n)についても最初から半分の32タップに相当する係数群とすればよい。ステップS4では、この時点の係数W(n)及び安定係数Ws(n)との対応するタップ毎に差を求めて合算し、次の(4)式に従って、差分D(n)が算出される。
ここで、図5及び図6を用いて、ステップS4で用いる適応フィルタ13の係数W(n)及び安定係数Ws(n)の具体例を説明する。図5(A)は、32タップ分の係数W(n)の数値例であり、図5(B)は、図5(A)の係数W(n)に対応付けた32タップ分の安定係数Ws(n)の数値例である。また、図6(A)は、図5(A)の係数W(n)を周波数に変換した周波数特性であり、図6(B)は、図5(B)の安定係数Ws(n)を周波数に変換した周波数特性である。ここでは、図5(A)の係数W(n)と図5(B)の安定係数Ws(n)とは、タップ毎に異なる値となっており、フィードバック伝達関数F(z)が変化したことを表している。その変化の大きさに応じて、差分D(n)は大きい値になる。仮に、係数W(n)と安定係数Ws(n)が一致する場合は、差分D(n)=0となる。なお、図3ではS4で差分D(n)を算出する例を説明しているが、差分D(n)に代えて、係数W(n)と安定係数Ws(n)との比率に基づく所望の式を使用して算出することができ、この場合も同様の処理を適用することができる。
次に、ステップS4で算出された差分D(n)の値と、予め設定された閾値T2(本発明の第2の閾値)の大小を比較する(ステップS5)。ステップS5の比較の結果、差分D(n)の値が閾値T2に満たないと判定されたときは(S5:NO)、白色化フィルタ15、16の白色化効果を通常の強さとなるように制御を行う(ステップS6)。一方、ステップS5の比較の結果、差分D(n)の値が閾値T2を超えると判定されたときは(S5:YES)、白色化フィルタ15、16の白色化効果を通常時よりも弱める制御を行う(ステップS7)。なお、前述したように、一方の白色化フィルタ15の白色化効果が制御される際、直ちに他方の白色化フィルタ16の白色化効果も同様に制御されることが前提である。
ステップS5は、上述したように、フィードバック伝達関数F(z)の変化の有無を判定するものである。すなわち、フィードバック伝達関数F(z)が時間的に変化しない状態では、適応フィルタ13の係数W(n)は、安定状態における安定係数Ws(n)からほとんど変化しないため、差分D(n)はゼロに近い値となる。これに対し、フィードバック伝達関数F(z)が何らかの要因(例えば、手を補聴器に近づける場合)で時間的に変化した状態では、適応フィルタ13の係数W(n)も追随して変化し、安定係数Ws(n)から逸脱することになるので、差分D(n)が大きい値になる。本実施形態では、例えば、閾値T2=0.002に設定され、この値と差分D(n)の値との大小関係が判定されることになる。なお、閾値T2は、前述の閾値T1と同様、補聴器に入力される実環境音を使用して。予め所望の値が設定される。
ここで、図7は、時間軸に沿って、差分D(n)の値の変化と閾値T2とを重ねて例示した図である。図7の例では、所定の時間内で入力される環境音に応じて、(4)式で算出される差分D(n)の値が変動している。差分D(n)の値が閾値T2(=0.002)を下回る時間帯では、フィードバック伝達関数F(z)に変化がないとみなすことができ、それ以外の時間帯では、フィードバック伝達関数F(z)が変化したものとみなすことできる。なお、図7の表示上、差分D(n)が縦軸の上限値(0.004)までの範囲内で示されるが、実際には差分D(n)が上限値を大きく超える時間帯がある。
ステップS6、S7における白色化フィルタ15の白色化効果の制御は、多様な手法が適用可能であるが、例えば、以下の式(5)、(6)、(7)に基づいて反射係数γm(n)を更新する場合、0<λ1<λ2<1に設定することによって白色化効果を弱くすることができる。また、λ1=λ2にすることで最大の白色化効果が得られる。この場合、ステップS5でNOと判定されてステップS6に移行したときは、ハウリングが発生しない状況であるため、白色化フィルタ15の白色化効果が強いままでも問題はなく、エントレインメントの発生に対しても効果がある。これに対し、ステップS5でYESと判定されてステップS7に移行したときは、ハウリングが発生している可能性が高く、白色化フィルタ15による白色化が適応フィルタ13の適応動作に影響を与えるため、一時的に白色化フィルタ15の白色化効果を弱める制御が必要となる。また、ステップS6、S7においては白色化効果の強弱が2段階の場合を示したが、より段階数を増やしてもよく、その際の強弱の程度も適宜に設定することができる。
なお、図3のフローチャートには示されないが、ステップS6、S7に続く処理として、適応フィルタ13の収束速度の制御を加えてもよい。具体的には、ステップS5でフィードバック伝達関数F(z)の変化がなしと判定されたとき(ステップS5:YES)は、ステップS7に続いて、適応フィルタ13の収束速度に関わるパラメータであるステップサイズを通常時よりも増加させる制御を行う。これにより、ハウリングが発生した状況で適応フィルタ13を短時間で収束させることが可能となる。なお、この処理の後に、ステップS5でフィードバック伝達関数F(z)の変化がありと判定されたとき(ステップS5:NO)は、ステップS6に続いて、適応フィルタ13を通常のステップサイズに戻す制御が必要となる。
本実施形態において、図3のフローチャートは一例であって、多様な変更が可能である。図8は、図3のフローチャートのうち、ステップS6、S7の処理を変更した変形例を示している。すなわち、図8の変形例では、図3のステップS6、S7で白色化効果を制御する処理に代えて、ステップS6a、S6bとして白色化フィルタ15、16の動作状態を制御する処理を行うことが特徴である。具体的には、フィードバック伝達関数F(z)が変化しないと判定したときは、ステップS6aで白色化フィルタ15、16を動作させ、フィードバック伝達関数F(z)が変化したと判定したときは、ステップS7aで白色化フィルタ15、16の動作を停止する。
図8に示す変形例に係る制御を適用したとしても、図3と同様、ハウリングが発生した際、ステップS5、S7aを経て、適応フィルタ13の適応動作への悪影響を避けることができる。図3の制御に比べると、図8の制御は白色化フィルタ15、16のオン、オフの切り替えに伴い動作状態が一瞬で切り替わるので、誤動作を避けるには図3の制御を適用することが望ましい。なお、図8のステップS7aにおいて白色化フィルタ15、16の動作を停止する場合、例えば、図1において誤差信号e(n)及び信号s(n)が係数更新部14に直接入力されるように信号経路を変更することで対応可能である。
また、本実施形態の補聴器を構成する場合、図1の構成例に限られることなく、多様な変形が可能である。図9は、本実施形態の補聴器において、図1の構成例に関しての一変形例を示すブロック図である。図9の変形例においては、図1とは接続形態が異なっており、補聴処理部10と、レシーバ11と、マイクロホン12と、2つの適応フィルタ13a、13bと、係数更新部14と、2つの白色化フィルタ15a、16と、2つの減算部17a、17bと、制御部18とが示されている。本変形例では、図1とは異なり、マイクロホン12の出力側の構成が2系統に分岐している。
すなわち、所望信号d(n)が白色化フィルタ15aを介して所望信号d’(n)に変換され、減算部17bは、所望信号d’(n)から適応フィルタ13bの出力信号y’(n)を減算し、それを誤差信号e’(n)として出力する。係数更新部14は、誤差信号e’(n)と白色化フィルタ16から出力される信号s’(n)とに基づいて、適応フィルタ13bにおける演算に用いる係数W(n)を更新する。図9において、一方の白色化フィルタ15aに設定された白色化フィルタ係数は、他方の白色化フィルタ16に対しても同様に設定されるとともに、一方の適応フィルタ13bに対して設定された係数W(n)は、他方の適応フィルタ13aに対しても同様に設定される。
また、図9に示す制御部18は、図3と同様の処理に従って、白色化フィルタ15a及び適応フィルタ13bの動作を制御する。以上のように、図1の構成に代えて、図9の変形例を採用する場合であっても、本実施形態で説明した作用、効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態の補聴器によれば、ステップS4、S5でフィードバック伝達関数F(z)の時間的な変化の有無を判定し、その判定結果に応じて、白色化フィルタ15、16の動作を適切に制御することができる。仮に、図3の制御を行わない場合には、ハウリングが発生してフィードバック伝達関数F(z)が急激に変化すると、白色化フィルタ15、16の動作が適応フィルタ13の適応動作に悪影響を与えるが、本実施形態では、このような状況で白色フィルタ15、16の白色化効果を一時的に弱めることにより、適応フィルタ13の適応動作を安定化させて確実にハウリングを抑制することができる。また、ステップS2、S3で安定状態において更新保存した安定係数Ws(n)を用いてフィードバック伝達関数F(z)の変化の有無を判定するので、自己相関の高い信号が入力された場合の誤判定を有効に防止することができる。また、本実施形態では、白色化フィルタ15、16を設けてエントレインメント対策を行うので、例えば、周波数シフト方式と比べた場合、良好な音質が得られる点で優位性がある。
上記実施形態では、本発明を補聴器に適用する場合を説明したが、本発明は、これらに限らず多様な機器内のフィードバックキャンセラに対して適用することができる。例えば、本発明をエコーキャンセラ(会議システム)に対して適用することができる。また、本発明に係るフィードバックキャンセラは、少なくとも、図3のステップS4、S5のようにフィードバック伝達関数F(s)の変化の有無を判定する機能を備えていれば、その判定結果に適合する多様な制御を行う機器、システムに対して適用することができる。
10…補聴処理部
11…レシーバ
12…マイクロホン
13…適応フィルタ
14…係数更新部
15、16…白色化フィルタ
17…減算部
18…制御部
11…レシーバ
12…マイクロホン
13…適応フィルタ
14…係数更新部
15、16…白色化フィルタ
17…減算部
18…制御部
上記課題を解決するために、電気信号を音に変換して外耳道内の空間に出力するレシーバ(11)と、外部から到来する音を電気信号に変換し、所望信号として出力するマイクロホン(12)と、前記レシーバから前記マイクロホンへのフィードバック伝達関数(F(z))を適応的に推定する適応フィルタ(13)を含み、前記所望信号からフィードバック成分を除去して誤差信号を出力するフィードバック除去部と、前記誤差信号に所定の補聴処理を施して前記レシーバに供給する補聴処理部(10)と、前記適応フィルタの係数更新に用いる1対の信号を共通の白色化係数によりそれぞれ白色化して前記フィードバック除去部に供給する1対の白色化フィルタ(15、16)と、前記適応フィルタと前記1対の白色化フィルタとの動作を制御する制御部(18)とを備えており、前記制御部は、前記誤差信号又は前記所望信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数(Ws(n))として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定し、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときに比べて前記1対の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御することを特徴としている。本発明において、前記フィードバック除去部は、前記所望信号から前記適応フィルタの出力信号を減算して前記誤差信号を生成する減算部を含めて構成し、前記1対の白色化フィルタは、前記誤差信号を白色化する第1の白色化フィルタと、前記補聴処理部の出力信号を白色化する第2の白色化フィルタとを含めて構成することができる。また、本発明において、前記1対の白色化フィルタは、前記マイクロホンから出力された第1の所望信号を白色化して第2の所望信号を生成する第1の白色化フィルタと、前記補聴処理部の出力信号を白色化する第2の白色化フィルタとを含めて構成し、前記フィードバック除去部は、第1の適応フィルタ及び当該第1の適応フィルタと共通の係数を有する第2の適応フィルタと、前記第1の所望信号から前記第2の適応フィルタの出力信号を減算して第1の誤差信号を生成し、当該第1の誤差信号を前記補聴処理部に供給する第1の減算部と、前記第2の所望信号から前記第1の適応フィルタの出力信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算部とを含めて構成し、前記適応フィルタの係数更新に用いる1対の信号は、前記第2の誤差信号と前記第2の白色フィルタの出力信号とすることができる。
また、上記課題を解決するために、本発明のフィードバックキャンセラは、電気信号を音に変換する第1の変換手段と、音を電気信号に変換し、所望信号として出力する第2の変換手段と、前記第1の変換手段から前記第2の変換手段へのフィードバック伝達関数を適応的に推定する適応フィルタを含み、前記所望信号からフィードバック成分を除去して誤差信号を出力するフィードバック除去部と、前記誤差信号に所定の信号処理を施して前記第1の変換手段に供給する信号処理部と、前記適応フィルタの係数更新に用いる1対の信号を共通の白色化係数によりそれぞれ白色化して前記フィードバック除去部に供給する1対の白色化フィルタと、前記適応フィルタと前記1対の白色化フィルタとの動作を制御する制御部とを備えており、前記制御部は、前記誤差信号又は前記所望信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定し、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときに比べて前記1対の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御することを特徴としている。
Claims (9)
- 電気信号を音に変換するレシーバと、
音を電気信号に変換するマイクロホンと、
前記レシーバから前記マイクロホンへのフィードバック伝達関数を適応的に推定する適応フィルタと、
前記マイクロホンの出力信号から前記適応フィルタの出力信号を減算して第1の信号を生成する減算部と、
前記第1の信号に所定の補聴処理を施して、前記レシーバに入力される第2の信号を生成する補聴処理部と、
前記第1の信号を白色化する第1の白色化フィルタと、
前記第1の白色化フィルタと共通の白色化フィルタ係数により、前記第2の信号を白色化する第2の白色化フィルタと、
前記第1及び第2の白色化フィルタのそれぞれの出力信号に基づいて、前記適応フィルタの係数を更新する係数更新部と、
前記適応フィルタと前記第1及び第2の白色化フィルタとの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定し、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときに比べて前記第1及び第2の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御する、
ことを特徴とする補聴器。 - 前記制御部は、前記白色化フィルタ係数の平均値を算出し、予め設定された第1の閾値と前記平均値とを比較して前記平均値が小さいと判定されたときに前記安定係数の更新を行うことを特徴とする請求項1に記載の補聴器。
- 前記制御部は、前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときは前記白色化効果を所定の係数の強さに制御し、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記白色化効果を前記所定の係数の強さより弱める制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の補聴器。
- 前記制御部は、前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときは前記白色化フィルタを動作させ、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記白色化フィルタの動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の補聴器。
- 前記白色化フィルタは所定段数の適応ラティスフィルタであり、前記白色化フィルタ係数は前記適応ラティスフィルタの反射係数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の補聴器。
- 前記制御部は、前記適応フィルタの係数と前記安定係数との差分の総和を算出し、予め設定された第2の閾値と前記差分の総和とを比較して、比較結果に応じて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定することを特徴とする請求項4又は5に記載の補聴器。
- 前記制御部は、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したとき、前記白色化フィルタの白色化効果を低減する制御に加えて、前記適応フィルタの収束速度を増加させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の補聴器。
- 電気信号を音に変換する第1の変換手段と、
音を電気信号に変換する第2の変換手段と、
前記第1の変換手段から前記第2の変換手段へのフィードバック伝達関数を適応的に推定する適応フィルタと、
前記第2の変換手段の出力信号から前記適応フィルタの出力信号を減算して第1の信号を生成する減算部と、
前記第1の信号に所定の信号処理を施して、前記第1の変換手段に入力される第2の信号を生成する信号処理部と、
前記適応フィルタの係数を更新する係数更新部と、
少なくとも前記適応フィルタの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の信号の自己相関が低い状態における前記適応フィルタの係数を安定係数として更新保存し、前記適応フィルタの係数と前記安定係数とに基づいて前記フィードバック伝達関数の変化の有無を判定する、
ことを特徴とするフィードバックキャンセラ。 - 前記第1の信号を白色化する第1の白色化フィルタと、
前記第1の白色化フィルタと共通の白色化フィルタ係数により、前記第2の信号を白色化する第2の白色化フィルタと、
を更に備え、
前記係数更新部は、第1及び第2の白色化フィルタのそれぞれの出力信号に基づいて前記適応フィルタの係数を更新し、
前記制御部は、前記フィードバック伝達関数が変化したと判定したときは前記フィードバック伝達関数が変化しないと判定したときに比べて前記第1及び第2の白色化フィルタの白色化効果が低減するように制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載のフィードバックキャンセラ。
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