JP2019019822A - シリンダ・ヘッド用の圧入スリーブ - Google Patents

Abstract

【課題】内燃エンジンのシリンダ・ヘッド内のファイア・デッキ開口部を通って突出する部品を密封し冷却するためのスリーブを提供する。【解決手段】シリンダ・ヘッド104で、ファイア・デッキ開口部102を通って突出する部品106を密封し冷却するための圧入スリーブ100である。圧入スリーブ100は、圧入スリーブの第１の端部110に接続部108を含み、接続部は、燃焼室114とは反対側を向くファイア・デッキ開口部102の一端部における圧入部112に圧入されるよう設計される。さらに、圧入スリーブ100は、第１の端部110の反対側に位置する圧入スリーブ100の第２の端部118において半径方向に内側に突出する段状部116を含む。圧入スリーブ100は第１の端部110と第２の端部118の間に外皮部120を含み、外皮部は、液密で閉じ、圧入スリーブ100を包囲するウォータ・ジャケット122に接触し又は接触できる。【選択図】図１

Description

本発明は、内燃エンジン（機関）のシリンダ・ヘッドのファイア・デッキ開口部内に挿入するための圧入（プレスフィット）スリーブに関する。特に、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドにおけるファイア・デッキ開口部を通って突出する部品（構成要素）を密封し（封止し）冷却するための圧入スリーブと、それに対応するシリンダ・ヘッドとが説明される。

内燃エンジンの公知のシリンダ・ヘッドは、シリンダ毎に、点火プラグまたは噴射ノズルを収容する（受け入れる）ための少なくとも１つのドームまたは半球状体を有する。各ドームは、冷却液チャンバによって取り囲まれている。独国特許公報第４１１９５９４号Ｃ２には、内燃エンジン用のそのようなシリンダ・ヘッドが記載されている。

ネジ付きスリーブは、シリンダ・ヘッドにおける点火プラグまたは噴射ノズルに、より頻繁に使用される。キャストオン・ドーム（cast-on dome）と比較して、スリーブの使用によって、薄い壁部およびスリーブの良好な熱伝導性のために、点火プラグまたは噴射ノズルの冷却が大幅に改善される。さらに、そのようなシリンダ・ヘッドの製造はより簡単である。

そのようなスリーブは、従来、シリンダ・ヘッドのファイア・デッキにねじ込まれまたは螺合される。スリーブの雄ネジとファイア・デッキ上の雌ネジは、ここでシールまたは密封される。上部領域では、スリーブは自由に取り付けられ、Ｏリングによって密封または封止される。そのような通常のスリーブは、噴射ノズルの先端が狭いので、ディーゼル噴射ノズルの使用に良く適している。噴射ノズルそのもは、上方から挿入され、燃焼室（チャンバ）に面する端部にネジ山を有していない。

独国特許公報第４１１９５９４号Ｃ２

噴射ノズルとは対照的に、点火プラグには、ファイア・デッキの下部領域において、即ち燃焼室に面する領域において、かなりより大きい空間が必要である。さらに、点火プラグは、或るトルクでねじ込まれおよびネジが緩められ外されなければならない。点火プラグがねじ込まれおよびネジが緩められるとき、例えば、意図せずスリーブのネジを緩め外すなどして、シリンダ・ヘッドに対してスリーブをねじる危険性がある。その結果、追加的な作業手順が生じる。さらに、ネジ山の締め付けが不可逆的に損傷する可能性がある。

さらに、スリーブの使用には、噴射ノズルまたは点火プラグの外径と比較して、ファイア・デッキ開口部のより大きい直径が必要であり、その結果、ファイア・デッキの振動強度、特に曲げ疲労強度および耐久性強度が低下する。

従って、本発明の目的は、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドにおけるファイア・デッキ開口部を通って突出する部品（構成要素）を密封し冷却するためのスリーブであって、ファイア・デッキ開口部におけるよりコンパクトな（小型の）構造を可能にするスリーブを実現することである。更なるまたは代替的な目的は、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドにおけるファイア・デッキ開口部を通って突出する部品を密封し冷却するためのスリーブを実現することであり、そのスリーブは意図しないネジの緩みを回避するものであり、および／またはファイア・デッキに対するそのスリーブの密封性は部品の交換による悪影響を受けないものである。

発明の概要
このまたはこれらの目的は、独立請求項の特徴を有する、圧入（プレスフィット）スリーブ（press-fit sleeve、Einpresshuelse）、そのような圧入スリーブを有するシリンダ・ヘッド、およびそのようなシリンダ・ヘッドを有する車両、によって達成される。本発明の有利な実施形態および使用は、従属請求項の構成であり、以下の説明で図面を時々参照してより詳細に説明する。

本発明の一態様によれば、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドにおけるファイア・デッキ開口部を通って突出する部品を密封し冷却するための圧入スリーブが実現される。圧入スリーブは、圧入スリーブの第１の端部に接続部または連結部を含み、この接続部は、燃焼室とは反対側（から離れる方向、の外方）を向くファイア・デッキ開口部の一端部における圧入部または凹所（indentation、recess、Senkung）に圧入されたれるよう設計されている。さらに、圧入スリーブは、第１の端部の反対側に位置する圧入スリーブの第２の端部において半径方向に内側に突出する段状部（step、Absatz：壁段、棚状部、肩部）と、圧入スリーブの外皮部または側面部（shell、lateral surface、Mantelflaeche）とを含み、その外皮部は、第１の端部と第２の端部の間で流体密封状態でまたは液密に閉じられ、圧入スリーブを包囲するウォータ・ジャケットに接触させられまたは接触させることができる。

圧入スリーブは、部品とファイア・デッキの間（例えば、部品とファイア・デッキ開口部の間）に配置できまたは配置可能である。その部品は、シリンダ・ヘッド（例えば、圧入部と燃焼室の間のファイア・デッキ開口部）にねじ込む（螺入する、螺合する）ための雄ネジ部を含むことができる。

“ファイア・デッキ”（fire deck、Feuerdeck）という用語は、燃焼室を覆うシリンダ・ヘッドの表面を指し、その表面に垂直な、接続部（接続点、接続部位）までを含むシリンダ・ヘッドの部分体積（容積）を指すことができる。“ファイア・デッキ開口部”（fire deck opening、Feuerdeckoeffnung）という用語は、燃焼室と接続部の間に伸びる通路開口部に関連し得る。“圧入部”（indentation、recess、Senkung：凹所）という用語は、圧入スリーブの移動方向に関連し得るものであり、それ（スリーブ）の接続部は、圧入スリーブを燃焼室の方向に移動させることによって、その圧入部内に圧入するように、シリンダ・ヘッドにおいて“下げる”（lowered、abgesenkt：低くする）ことができる。

その接続部は、圧入スリーブの第１の端部に、例えば圧入スリーブの長手方向軸に対して、円周状の包囲する形態で配置することができる。その接続部は、圧入スリーブの長手方向軸に対して回転対称とすることができる。

その圧入部は、例えば圧入スリーブの長手方向軸および／またはファイア・デッキ開口部の長手方向軸に対して、燃焼室とは反対側を向くファイア・デッキ開口部の一端部に円周状の包囲する形態で配置することができる。その圧入部は、圧入スリーブの長手方向軸および／またはファイア・デッキ開口部の長手方向軸について回転対称とすることができる。

接続部は、圧入部に対して相補的に形成することができる。圧入状態では、接続部および圧入部は締り嵌め（interference fit）を形成することができる。圧入状態では、ファイア・デッキ開口部と圧入スリーブは、同軸的にすることができる。圧入部は、ファイア・デッキ開口部に対して同軸的である凹部またはボア（中空）を有することができ、それ（凹部、ボア）の直径は、ファイア・デッキ開口部の直径（例えば、燃焼室に面するファイア・デッキ開口部の一端部におけるもの）より大きい。

その部品は、噴射ノズル（例えば、ディーゼル燃料用のもの）を含むことができる。代替的にまたは追加的に、その部品は点火プラグを含むことができる。

接続部は、円筒状押圧面を含むことができる。接続部の軸方向の寸法は、圧入スリーブの軸方向長さよりもはるかに小さくすることができる。“軸方向に”（Axially）は、圧入スリーブの長手方向軸の方向を指し得る。接続部の軸方向の寸法は、圧入部の高さ、例えば円筒状の押圧面の高さ、とすることができる。接続部の軸方向の寸法は、燃焼室とは反対側を向くファイア・デッキ開口部のその一端部（即ち、燃焼室とは反対側を向く圧入部の一端部）と、圧入部の接触面（即ち、燃焼室の方を向く（燃焼室に面する）圧入部の一端部）との間の距離に対応し得る。

接続部は、半径方向に内側に湾曲したカラー部（collar：つば、継ぎ輪）を含むことができる。カラー部の端面、即ち燃焼室側を向くカラー部の側面（面、側部）は、接触面を形成し得る。圧入スリーブの接続部の接触面は、圧入スリーブの長手方向軸に垂直にすることができる。

円筒状押圧面および／または接触面は、圧入部に流体密（液密）で接続するように設計することができる。流体密封接続のための設計、即ち圧入部に対する密封可能性または流体密封閉鎖は、例えば押圧面および／または接触面において、Ｏリングを収容するための円周状の包囲する溝を含むことができる。Ｏリング溝は、それぞれ、（例えば、シリンダ・ヘッドにおける圧入スリーブの第２の端部の流体密封閉鎖に類似して）ファイア・デッキにおける圧入スリーブの第１の端部の流体密封閉鎖用の押圧面および／または接触面に一体化することができる。

押圧面および／または接触面は、圧力嵌めのおよび／または一体的に接着された形態で、圧入部に接続することができまたは接続可能である。例えば、圧入部は、圧入前に接着剤を充填しまたは平坦に塗る（塗り込める）ことができる。接着剤は、ファイア・デッキにおける圧入スリーブの第１の端部の機械的接続におよび／または流体密封閉鎖に寄与することができる。

圧入スリーブの直径（例えば、外径）は、第２の端部における（例えば、半径方向に内側に突出する段状部の外周における）圧入スリーブの直径（例えば、外径）よりも、第１の端部において（例えば、円筒状の押圧面において）小さくすることができる。圧入スリーブは、燃焼室とは反対側を向く一端部から燃焼室の方向にファイア・デッキ開口部内へと押圧されるよう設計することができる。圧入スリーブは、その長手方向軸に沿って相異なる直径（例えば、各外径）を有することができる。圧入スリーブの直径（例えば、外径）は、一定とすることができ、または第１の端部から第２の端部まで増大するもの（即ち、単調に増大するもの）とすることができる。

別の態様は、内燃エンジンのシリンダ・ヘッドに関する。シリンダ・ヘッドは、ファイア・デッキ開口部を有するファイア・デッキと、上述の態様によるファイア・デッキ開口部を通って突出する部品（構成要素）を密封し冷却するための圧入スリーブと、燃焼室とは反対側を向き、圧入スリーブの第１の端部における接続部に圧入されるよう設計された、ファイア・デッキ開口部の一端部における圧入部と、第１の端部と第２の端部の間で圧入スリーブの外皮部で流体密封状態に閉じられる（外皮部を流体密封状態で閉じる）ウォータ・ジャケットを収容するための、ファイア・デッキに隣接する冷却水室と、を含んでいる。

ファイア・デッキ開口部は、圧入部（例えば、燃焼室の方を向く圧入部の一端部）と、燃焼室の方を向くファイア・デッキ開口部の一端部との間に、雌ネジ部を有することができる。雌ネジ部は、部品（構成要素）に対して（例えば、直接的な）ネジ接続を形成するよう設計することができる。

その部品は、ファイア・デッキ開口部に対して接続部の半径方向の内側の段状部を保持する（押し下げる）ことができ、例えば、それを燃焼室の方向に押圧することができる。その部品（例えば、点火プラグ）は、ネジ接続部を介してファイア・デッキ開口部に対して接続部の半径方向の内側の段状部を保持することができる。代替的にまたは追加的に、その部品（例えば、噴射ノズル）は、シリンダ・ヘッドに固定された爪部（claw）を介して、ファイア・デッキ開口部に対して接続部の半径方向の内側の段状部を保持することができる。

圧入スリーブは、その部品によって（例えば、ネジ接続部および／または爪部によって部品を固定することによって）形状（形態）嵌合（form-fitting、formschluessig）形態でファイア・デッキに接続することができまたは接続可能である。

接続部を保持するために、部品は、半径方向の内側の段状部に（接触状態で）位置しまたは接触することができる突起部（突出部）を含むことができる。接続部の半径方向の内側の段状部は、燃焼室とは反対側を向く接続部の内側に湾曲したカラー部（collar）の側面（側部）とすることができる。

圧入スリーブの第２の端部における開口部の内径は、部品のスパナ幅（spanner width 、Schluesselweite）より大きくすることができる。その開口部は、半径方向に内側に突出した段状部によって第２の端部に境界を定めることができる。

ファイア・デッキの軸方向の寸法（例えば、通路開口部の軸方向長さ）は、接続部の軸方向の寸法よりも大きくすることができる。

圧入スリーブの第２の端部は、シリンダ・ヘッドに対して流体密封状態で閉鎖することができる。圧入スリーブとシリンダ・ヘッドの間で円周状の包囲する形態で第２の端部に配置されたシール部（封止部、密封部）は、第２の端部において流体密封状態で冷却水室を閉鎖することができる。シール部を収容するための包囲溝または円周溝（例えば、Ｏリング）は、第２の端部に対応する長手方向軸の高さでシリンダ・ヘッドおよび／または圧入スリーブに設けることができる。

別の態様は、上述の態様によるシリンダ・ヘッドを含む車両に関する。車両は、陸上車両、特に自動車（例えば、ユーティリティ・ビークル（特定用途車）、乗用車またはオフロード車両）とすることができる。ユーティリティ・ビークルは、例えば、バス、トラックまたはトラクタとすることができる。車両は、さらに船舶であってもよい。

車両の内燃エンジンは、推進エネルギを出力するように、動力伝達装置または駆動トレイン（Antriebsstrang）（例えば、（船舶の）スクリュ（Schiffsschraube）または駆動輪）に機械的に結合できまたは結合可能である。代替的または追加的に、内燃エンジンは、車両のユニット（例えば、車載ユニットまたは構造体）を駆動することができる。これらのユニットは、電力または動力を発生するよう設計することができ、または（例えば、静水圧駆動エネルギまたは圧縮空気を供給するための）ポンプ駆動装置を含むことができる。

別の態様は、例えば固定（定置）式または移動式の用途における、そのような内燃エンジンの使用に関する。

本発明の他の詳細および利点は、添付の図面を参照して以下で説明する。

図１は、例示的なシリンダ・ヘッドにおける圧入スリーブの例示的な実施形態の長手方向軸に沿った概略的な斜視断面図を示している。 図２は、図１の例示的な実施形態の概略的な斜視断面図を、そこに配置された例示的な部品の斜視図と共に示している。

図１は、内燃エンジンのシリンダ・ヘッド１０４におけるファイア・デッキ開口部１０２を通って突出する部品１０６を密封し（封止し）冷却するための、参照番号１００で全体的に示された圧入スリーブ（Einpresshuelse）の例示的な実施形態の或る断面を概略的に示している。

圧入スリーブ１００は、圧入スリーブ１００の第１の端部１１０に接続部または連結部（接続点、接続部位）１０８を含んでいる。接続部１０８は、燃焼室１１４とは反対側（の外方）を向くファイア・デッキ開口部の一端部における圧入部または凹所（indentation、recess、Senkung）１１２に圧入するよう設計されている。

圧入スリーブ１００は、第１の端部１１０の反対側に位置する圧入スリーブ１００の第２の端部１１８において半径方向に内側に突出する段状部１１６と、第１の端部１１０と第２の端部１１８の間で流体密封状態でまたは液密で閉じられかつ圧入スリーブ１００を包囲するウォータ・ジャケット１２２と熱交換されまたは熱交換させることができる外皮部または側面部（shell、lateral surface、Mantelflaeche）１２０と、を含んでいる。

圧入スリーブ１００は、半径方向に内側に突出する段状部１１６によって圧入部１１２から引き抜くことができる。さらに、電気および／または流体供給ライン用の部品１０６は、内側に突出する段状部１１６によって包囲された第２の端部における開口部を通って突出する。図１に示された例示的な実施形態において、部品１０６は点火プラグを含んで成る。

圧入スリーブ１００は、ファイア・デッキ１２４におけるファイア・デッキ開口部１０２内の圧入状態では、第１の端部１１０において、圧入部１１２内での接続部１０８によって圧力嵌め（圧入）形態で配置される。ファイア・デッキ開口部１０２の内面は、（例えば、圧力嵌めおよび／または形状嵌合の形態で）部品１０６と直接相互作用し協働する。その結果、ファイア・デッキ開口部１０２の内径、より正確には、燃焼室１１４の方を向く（に面する）ファイア・デッキ開口部１０２の一端部におけるファイア・デッキ開口部の内径は、ファイア・デッキ１２４におけるファイア・デッキ開口部１０２の全長にわたって伸びかつ、例えばファイア・デッキ開口部におけるスリーブの雄ネジ部で、ネジ止め（螺合）される通常のスリーブの場合のもの（内径）よりも、小さい。

ファイア・デッキ開口部１０２という用語は、ここでは、シリンダ・ヘッド通路の最下部（即ち、ファイア・デッキ部）を指し得る。シリンダ・ヘッド通路は、全体として、シリンダ・ヘッド１０４全体にわたる複数の同軸ボア（中空）（例えば、直径が段状にされたもの）を含むことができる。

ファイア・デッキ１２４は、ウォータ・ジャケット１２２を収容するための冷却水室１２６に隣接して境界を接している。圧入スリーブ１００が第１の端部１１０で部品１０６と直接接触し、圧入スリーブ１００の外皮１２０がウォータ・ジャケット１２２と広く熱交換するので、確実に部品１０６が確実に効果的に冷却される。

接続部１０８は、円周状の包囲する、例えば円筒状の、押圧面１２８を含んでいる。押圧面１２８は、圧入状態では、半径方向の圧縮力によって圧入部１１２と摩擦係止状態で相互作用し協働する。圧入部１１２における押圧面１２８のこの締り嵌めは、接続部１０８の軸方向の寸法１３０にわたって圧入スリーブ１００の長手方向軸に平行に伸びる。即ち、接続部１０８の軸方向の寸法１３０は、長手方向軸の方向において、ファイア・デッキ１２４における圧入部１１２の円筒状の内面と、加圧面１２８との間の重なり（オーバラップ）が存在する。

接続部１０８の軸方向の寸法１３０は、圧入スリーブ１００の軸方向長さ１３４よりもはるかに小さい（即ち、半分よりもかなり小さい部分である）。ここで、軸方向の長さ１３４は、圧入スリーブ１００の長手方向軸に沿った第１の端部１１０から第２の端部１１８までの圧入スリーブの全長である。

図１に示された例示的な実施形態では、ファイア・デッキ開口部１０２は、燃焼室１１４の方を向く（に面する）ファイア・デッキ開口部１０２の一端部と、圧入部１１２との間に、ファイア・デッキ１２４と部品１０６の間を直接ネジ接続するための雌ネジ部１３６を含んでいる。部品１０６は、雌ネジ部１３６と相互作用し協働するよう設計された雄ネジ部の上に、（例えば、円周状に包囲する形態で閉じた）突起部または突出部を含んでいる。部品１０６の突起部は、接続部１０８の段状部１４４に対して圧入スリーブ１００内側に位置し、または段状部１４４と接触させることができる。

圧入スリーブ１００の第１の端部１１０における接続部１０８は、圧入状態では、部品１０６（より正確には、部品１０６の突起部）とファイア・デッキ１２４（より正確には、ファイア・デッキ１２４における圧入部１１２）の間に配置されている。その結果、部品１０６は、ファイア・デッキ開口部１０２の雌ネジ部１３６に対するネジ接続を介して、および圧入スリーブ１００の半径方向の内側の段状部１４４に対する接触を介して、ファイア・デッキ１２４の圧入部１１２内に形状嵌合形態で接続部１０８を保持する。

圧入スリーブは、ファイア・デッキ１２４全体を貫通して伸びることはない。圧入スリーブ１００の特に小型の（コンパクトな）構造的形状およびファイア・デッキ１２４の高い振動強度（特に、曲げ疲労強度および／または耐久性強度）のために、接続部１０８の軸方向寸法１３０は、圧入部１１２と燃焼室１１４の間のファイア・デッキ１２４の軸方向寸法１４２よりも小さく、例えばはるかに小さい。さらに、軸方向寸法１４２による燃焼室１１４と圧入スリーブ１００の間の距離によって、燃焼室１１４とウォータ・ジャケット１２２の間の熱的短絡を防止することができる。

図２は、シリンダ・ヘッド１０４とその中に配置された圧入スリーブ１００との間の断面を有する３次元断面図を概略的に示している。圧入スリーブ１００の長手方向軸は、断面内に（図２における垂直方向に）ある。圧入スリーブ１００における部品１０６の一例としての点火プラグが、圧入スリーブ１００の長手方向軸に対して同軸的に配置されている。

部品１０６のスパナ幅１４０は、第２の端部１１８におけるスリーブ１００の開口部の内径１３８より小さい。部品１０６のネジを緩め外すために、圧入スリーブ１００内に取り付けられた部品１０６を介して、半径方向に内側に突出する段状部１１６において、例えば六角形ソケット・スパナのようなスパナを、スリーブ１００の開口部を通して挿入することができる。通常のスリーブにネジ止め（螺合）される部品１０６の場合とは異なり、ネジを緩めている期間に、トルクはそこから圧入スリーブ１００に伝達されず、その結果、それ（スリーブ）は、ネジを緩め外した後でも、第１の端部１１０における圧入のお陰で、固定された状態を維持する。

さらに、シール部１４６は、圧入スリーブ１００とフィルタ・ヘッド１０４の間に円周状に包囲する形態で第２の端部１１８に配置され、そのシール部は、第２の端部１１８において冷却水室１２６に関して（対して）外皮部１２０を流体密封状態で閉鎖する。図１および２に示された例示的な実施形態では、この目的のために、シリンダ・ヘッド１０４における冷却水室１２６の上に（即ち、燃焼室１１４とは反対側を向く側（側面）に）、Ｏリングを収容するために、円周状の包囲する溝が設けられている。

圧入に加えて、圧入スリーブ１００は、接続部１０８において、任意に接着結合される。代替的にまたは追加的に、例えばＯリングのようなシール部を、押圧面１２８と圧入部１１２の内面の間に（圧入スリーブ１００またはファイア・デッキ１２４上に）および／または圧入スリーブ１００の接触面１３２上の端部側に、第１の端部１１０において燃焼室１１４から冷却水室１２６を密封するために、Ｏリング溝に配置することができる。

上述の実施形態では、部品１０６の一例として点火プラグを密封し冷却するための圧入スリーブ１００について説明したが、圧入スリーブ１００およびその機能は、内燃エンジンのシリンダ・ヘッド１０４におけるファイア・デッキ開口部１０２を通って突出する各部品１０６に関する他の例示的な実施形態によって、実現することができる。特に、燃焼室１１４に向かってテーパ状（先細）になっている各部品１０６、例えばディーゼル燃料用の噴射ノズルは、圧入スリーブ１００の例示的な実施形態によって密封し冷却することができる。

圧入部１１２と燃焼室１１４の間の雌ネジ部１３６は、部品１０６に応じて省略することができる。例えば、噴射ノズルは、部品１０６として、ファイア・デッキ開口部１０２に締り嵌めによって締結することができる。

圧入スリーブ１００の例示的な実施形態による部品１０６の取り付けは、圧入スリーブ１００を或る押圧力で加圧装置に抗して押圧する工程と、その後で、部品１０６をねじ込み（螺入し）または押圧する工程とを含むことができる。代替的に、圧入スリーブ１００は、部品１０６の圧入部１１２内への部品１０６のねじ込み（螺入）または押圧期間に、即ち部品１０６の取付けと同時に、押圧することができる。後者の場合、部品１０６は（例えば、その突起部によって）圧入スリーブ１００を圧入部１１２内に押圧する（押し込む）。

シリンダ・ヘッド１０４上の圧入スリーブ１００の取外しは、部品１０６を引き抜くまたはネジを緩め外す工程と、その後で、その圧入スリーブを、半径方向に内側に突出する段状部１１６から（で）引き離す工程とを含むことができる。従って、圧入スリーブ１００とシリンダ・ヘッド１０４の間の接続は、解放可能および修理可能な状態を維持する。

圧入スリーブ１００によって、シリンダ・ヘッド１０４のより好適な製造、特に、圧入スリーブ１００および／または部品１０６の自動化された取付けが可能になる。通常のスリーブを固定するためのファイア・デッキ開口部における追加的なネジ切り（ネジの形成）を省略することができる。

上述の例示的な実施形態を参照すると、圧入スリーブ１００の例示的な実施形態に関連する利点は、この分野の専門家には明らかである。ファイア・デッキ１２４には、圧入スリーブ１００の締り嵌め用の圧入部１１２が設けられており、圧入部１１２は、ファイア・デッキ１２４の軸方向の寸法１４２にわたって燃焼室１１４まで連続的に伸びてはいない。例えば、接続部１０８の軸方向の寸法１３０は、５ｍｍ以下である。部品１０６（例えば、点火プラグ）用の雌ネジ部１３６を、ファイア・デッキ１２４中に切る（形成する）ことができ、または、部品１０６の単純なボア（中空）（例えば、ディーゼル噴射ノズル）をその中に穿孔することができる。それとは対照的に、通常のスリーブ、例えばＭ１８点火プラグの場合、通常のスリーブを収容するために、少なくとも１つのＭ２４の雌ネジ部をファイア・デッキ中に切ら（形成し）なければならない。従って、圧入スリーブ１００によって、燃焼室１１４に向かうファイア・デッキ開口部１０２の直径を、各部品１０６の外径に制限することが、可能になる。燃焼室１１４の方を向く（に面する）ファイア・デッキ開口部１０２の一端部において、部品１０６の外径に合わせて調整されたより小さい開口部のお陰で、ファイア・デッキのより高い強度を達成することができる。

圧入スリーブ１００は、ファイア・デッキ１２４中に押圧され、任意に接着される。部品１０６は、さらに、圧入スリーブ１００を所定位置に保持する。圧入スリーブ１００は、ファイア・デッキ１２４中に、圧力嵌めおよび形状嵌合の形態および任意に一体的に接着された形態で、保持される（押し下げられる）。その圧入の（即ち、接続部１０８と圧入部１１２の間の締り嵌めの）接着によって、第１の端部１１０における密封性が確実になる。

その部品は、その雄ネジ部がスリーブの雌ネジ部内に係合（嵌合）しないので、その部品の取付け期間または取外し期間において、意図しないスリーブのねじれまたは回転が排除される。

本発明を例示的な実施形態に関して説明したが、この分野の専門家には、種々の変形が行われてもよく、その代わりに均等手段を使用してもよいことが明らかである。さらに、或る状況または或る材料を本発明の教示に適合させるために、多数の変形を行うことができる。従って、本発明は、開示された例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に入る例示的な実施形態の全てを含んでいる。

１００ 圧入スリーブ
１０２ ファイア・デッキ開口部
１０４ 内燃エンジンのシリンダ・ヘッド
１０６ 部品
１０８ 圧入スリーブの接続部
１１０ 圧入スリーブの第１の端部
１１２ ファイア・デッキ開口部における圧入部
１１４ 内燃エンジンの燃焼室
１１６ 圧入スリーブの半径方向に内側に突出する段状部
１１８ 圧入スリーブの第２の端部
１２０ 圧入スリーブの外皮部または側面部
１２２ ウォータ・ジャケット
１２４ 内燃エンジンのファイア・デッキ
１２６ ウォータ・ジャケット用の冷却水室
１２８ 接続部の押圧面
１３０ 接続部の軸方向の寸法
１３２ 接続部の接触面
１３４ 圧入スリーブの軸方向の長さ
１３６ ファイア・デッキ開口部の雌ネジ部
１３８ 第２の端部における圧入スリーブの内径
１４０ 部品のスパナ幅
１４２ ファイア・デッキの軸方向の寸法
１４４ 接続部の半径方向の内側の段状部
１４６ 第２の端部のシール部

Claims (15)

1. 内燃エンジンのシリンダ・ヘッド（１０４）におけるファイア・デッキ開口部（１０２）を通って突出する部品（１０６）を密封し冷却するための圧入スリーブ（１００）であって、
   前記圧入スリーブ（１００）の第１の端部（１１０）における接続部（１０８）であって、燃焼室（１１４）とは反対側を向く前記ファイア・デッキ開口部（１０２）の一端部における圧入部（１１２）内に圧入されるよう設計された接続部と、
   前記第１の端部（１１０）の反対側に位置する前記圧入スリーブ（１００）の第２の端部（１１８）において半径方向に内側に突出する段状部（１１６）と、
   前記第１の端部（１１０）と前記第２の端部（１１８）の間で流体密封状態で閉じられ、前記圧入スリーブ（１００）を包囲するウォータ・ジャケット（１２２）に接触しまたは接触させることができる、前記圧入スリーブ（１００）の外皮部（１２０）と、
   を含む、圧入スリーブ。
2. 前記部品（１０６）は噴射ノズルおよび／または点火プラグを含むものである、請求項１に記載の圧入スリーブ。
3. 前記接続部（１０８）は円筒状押圧面（１２８）を含むものである、請求項１に記載の圧入スリーブ。
4. 前記接続部（１０８）の軸方向の寸法（１３０）は、前記圧入スリーブ（１００）の軸方向の長さ（１３４）よりはるかに小さいものである、請求項３に記載の圧入スリーブ。
5. 前記接続部（１０８）は、接触面（１３２）を有する半径方向に内側に湾曲したカラー部を含むものである、請求項１乃至４のいずれかに記載の圧入スリーブ。
6. 前記押圧面（１２８）および／または前記接触面（１３２）は、前記圧入部（１１２）に流体密封状態で接続するよう設計されたものである、請求項３乃至５のいずれかに記載の圧入スリーブ。
7. 前記加圧面（１２８）および／または前記接触面（１３２）は、圧力嵌めのおよび／または一体的に接着された形態で前記圧入部（１１２）に接続されまたは接続可能なものである、請求項３乃至６のいずれかに記載の圧入スリーブ。
8. 前記第１の端部（１１０）における前記圧入スリーブ（１００）の直径は、前記第２の端部（１１８）における前記圧入スリーブ（１００）の直径より小さいものである、請求項１乃至７のいずれかに記載の圧入スリーブ。
9. 内燃エンジンのシリンダ・ヘッド（１０４）であって、
   ファイア・デッキ開口部（１０２）を有するファイア・デッキ（１２４）と、
   請求項１乃至８のいずれかに記載の前記ファイア・デッキ開口部（１０２）を通って突出する部品（１０６）を密封し冷却するための圧入スリーブ（１００）と、
   燃焼室（１１４）とは反対側を向き、前記圧入スリーブ（１００）の前記第１の端部（１１０）における前記接続部（１０８）に圧入されるよう設計された、前記ファイア・デッキ開口部（１０２）の一端部（１１０）における圧入部（１１２）と、
   前記第１の端部（１１０）と前記第２の端部（１１８）の間で前記圧入スリーブ（１００）の前記外皮部（１２０）で流体密封状態で閉じられるウォータ・ジャケット（１２２）を収容するための、前記ファイア・デッキ（１２４）に隣接する冷却水室（１２６）と、
   を含む、内燃エンジンのシリンダ・ヘッド。
10. 前記ファイア・デッキ開口部は、前記燃焼室（１１４）の方を向く前記ファイア・デッキ開口部（１０２）の一端部と前記圧入部（１１２）の間に、前記部品（１０６）とのネジ接続のための雌ネジ部（１３６）を有するものである、請求項９に記載のシリンダ・ヘッド。
11. 前記部品（１０６）は、前記ネジ接続を介して前記ファイア・デッキ開口部（１０２）に対して前記接続部（１０８）の半径方向の内側の段状部（１４４）を保持するものである、請求項１０に記載のシリンダ・ヘッド。
12. 前記圧入スリーブ（１００）は、前記部品（１０６）によって形状嵌合形態で前記ファイア・デッキ（１２４）に接続されまたは接続可能なものである、請求項９乃至１１のいずれかに記載のシリンダ・ヘッド。
13. 前記ファイア・デッキ（１２４）の軸方向の寸法（１４２）は、前記接続部（１０８）の軸方向の寸法（１３０）より大きいものである、請求項９に記載のシリンダ・ヘッド。
14. 前記圧入スリーブ（１００）と前記シリンダ・ヘッド（１０４）の間に包囲形態で前記第２の端部（１１８）に配置されたシール部（１４６）が、前記冷却水室（１２６）に対して流体密封状態で前記外皮部（１２０）を閉じる、請求項９乃至１３のいずれかに記載のシリンダ・ヘッダ。
15. 請求項９乃至１４のいずれかに記載のシリンダ・ヘッド（１０４）を含む、内燃エンジンを有する車両。