JP2019014853A - トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物 - Google Patents

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【課題】トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、金型の連続成形性を改善するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物を提供する。【解決手段】(A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、(B)式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部、(C)無機充填材:300〜800質量部、(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、を含有するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーン樹脂やシリコーン含有ハイブリッド樹脂等の連続成形性を改善するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物に関する。
半導体封止用及び光半導体パッケ−ジ用にはエポキシ樹脂が広く使用されているが、近年、低応力を目的としてシリコーン成分を含む樹脂が多く使用されるようになり、さらには高い耐熱性や耐光性を生かしたシリコーンゴムやシリコーンレジンを主成分とする樹脂が注型、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形を利用する封止材、リフレクター材に用いられるようになってきた。
しかしながら、上記のようなトランスファー成形により、従来のエポキシ樹脂にないシリコーンの低分子成分による金型汚染が発生し、連続成形を行うためには金型離型材やクリーニング材が必要となってきている。シリコーン成分が原因となる金型汚染に対しては、従来のクリーニングシートやメラミン樹脂、さらにはアクリル系樹脂の成形によるクリーニングでは十分な洗浄を行うことができないことがわかった(特許文献1〜3)。
特に特許文献4には、金型表面離型処理用シリコーンゴム組成物として、付加硬化型シリコーンゴム組成物に特定の物性を有する離型成分を加えることで、金型表面を洗浄、離型処理する成形方法が開示されている。しかし、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物に添加されている含硫黄シランカップリング剤などの硫黄原子を有する化合物を含む樹脂を成形しようとする場合、金型や成形機の流路に残存する硫黄成分によって、上記の離型処理用シリコーンゴムは硬化阻害を生じるため、この方法で金型を洗浄することができないという問題がある。
また、金型離型材については、シリコーン系ゴムに好適なものに関する報告はあるものの、シリコーンレジンをベースにしたシリコーン樹脂組成物に好適なものが無いのが現状である(特許文献5)。
特開2009−209330号公報 特開2006−007506号公報 特開2010−173293号公報 国際公開WO2015−151480号公報 特開2004−082433号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、金型の連続成形性を改善することができるトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
Figure 2019014853
(式中、Rは互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる1価炭化水素基であり、mは5〜50の整数を示す。)
(C)無機充填材:300〜800質量部、
(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
を含有するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物を提供する。
このような組成物であれば、トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、金型の連続成形性を改善することができる。
このとき、前記縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
(CHSi(OR(OH)(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
このようなレジン状オルガノポリシロキサンを含む組成物であれば、トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、金型の連続成形性をより改善することができる。
また、前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物が、室温で加圧成形可能なものであることが好ましい。
このような組成物であれば、本組成物を室温で加圧成形して、金型の連続成形性を容易に改善することができる。
また、前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物により離型性を回復させる金型を用いてトランスファー成形する樹脂が、シリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であってもよい。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物であれば、トランスファー成形する樹脂がシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であっても、組成物の硬化阻害を抑制することができるため、金型の連続成形性を改善することができる。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物であれば、トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、組成物の硬化阻害が起こらず、金型の連続成形性を改善することができる。
実施例及び比較例の連続成形性試験に用いた成形体の概略図である。
上述のように、トランスファー成形する樹脂としてシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等を使用する際、金型の連続成形性を改善することができるトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の開発が求められていた。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の縮合反応型シリコーン樹脂を含み、かつ、特定の離型剤を併用した組成物が、上記課題を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、
(A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
Figure 2019014853
(式中、Rは互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる1価炭化水素基であり、mは5〜50の整数を示す。)
(C)無機充填材:300〜800質量部、
(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
を含有するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、上記のように(A)成分〜(F)成分を含有する。以下、各成分について説明する。
<(A)縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン>
(A)成分は、25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンであり、後述する(D)成分の有機金属系縮合触媒の存在下で、(B)成分のオルガノポリシロキサンと架橋構造を形成するものである。ここで、「レジン状」とは、オルガノポリシロキサンが分岐状又は三次元網状構造であることを意味する。
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、特に限定されるものではなく、縮合反応を起こすものであればよい。このように、本発明の金型離型性回復剤組成物は、縮合反応型のシリコーン樹脂から構成されるため、付加反応を阻害する成分を含む樹脂をトランスファー成形する場合であっても、硬化阻害を防ぐことができる。
(A)成分の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(2)で表され、テトラヒドロフラン等を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(CHSi(OR(OH)(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
上記平均組成式(2)において、メチル基の含有量を示すaは、0.8≦a≦1.5、好ましくは0.8≦a≦1.2、より好ましくは0.9≦a≦1.1である。aが0.8以上のレジン状オルガノポリシロキサンを含む組成物は、その硬化物が硬くなりすぎず、耐クラック性が良好である。一方、aが1.5以下であれば、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しやすい。
上記平均組成式(2)において、アルコキシ基の含有量を示すbは、0≦b≦0.3、好ましくは0.001≦b≦0.2、より好ましくは0.01≦b≦0.1である。bが0.3以下であれば、得られるレジン状オルガノポリシロキサンの分子量が適切となり、耐クラック性が低下しない。
上記平均組成式(2)において、Si原子に結合したヒドロキシル基の含有量を示すcは、0.001≦c≦0.5、好ましくは0.01≦c≦0.3、より好ましくは0.05≦c≦0.2である。cが0.5以下であれば、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは加熱硬化時の縮合反応により、適切な硬度を示し、耐クラック性が良好な硬化物となる。一方、cが0.001以上であれば、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは、融点が高くなりすぎず、作業性に優れる。cの値を0.001≦c≦0.5に制御するには、原料の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましい。該完全縮合率が86%以上であれば、cの値が0.5以下となり、融点が低くなりすぎず、96%以下であれば、cの値が0.001以上となり融点が高くなりすぎない。
ここで完全縮合率とは、原料の総モル数に対して、1分子中に含まれるアルコキシ基が全て縮合反応に供されたモル数の割合を示すものである。
以上のことから、上記平均組成式(2)において、a+b+cの範囲は、0.9≦a+b+c≦1.8が好ましく、より好ましくは1.0≦a+b+c≦1.5である。
上記平均組成式(2)中、Rは炭素原子数1〜4の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基が挙げられ、原料の入手が容易である点で、メチル基又はイソプロピル基が好ましい。
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、GPC測定によるポリスチレン標準で換算した重量平均分子量が1,000〜20,000であることが好ましく、特に好ましくは1,500〜10,000、更に好ましくは2,000〜8,000である。該分子量が1,000以上であれば、得られるレジン状オルガノポリシロキサンは固形化しやすく、該分子量が20,000以下であれば、得られる組成物は粘度が高くなりすぎて流動性が低下するおそれがなく、成形性が良好となる。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
上記平均組成式(2)で表されるレジン状オルガノポリシロキサンは、一般にQ単位(SiO4/2)、T単位(CHSiO3/2)、D単位((CHSiO2/2)及びM単位((CHSiO1/2)の組み合わせで表現することができる。上記レジン状オルガノポリシロキサンをこの表現法で示した時、全シロキサン単位の総数に対して、T単位の含有数の比率が70%以上(70〜100%未満)であることが好ましく、75%以上(75〜100%未満)であることがより好ましく、80%以上(80〜100%未満)であることが特に好ましい。T単位の含有数の比率が70%以上であれば、得られる硬化物の硬度、密着性、外観等の総合的なバランスが良好となる。なお、残部はM、D、Q単位でよく、全シロキサン単位に対するこれらの単位の合計の比が30%以下(0〜30%)、特に0%を超え、30%以下であること、即ち、T単位が100%未満であることが好ましい。
上記平均組成式(2)で表されるレジン状オルガノポリシロキサンは、下記一般式(3)で示されるシラン化合物の加水分解縮合物として得ることができる。
(CHSiX4−n (3)
(式中、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは0、1、2のいずれかである。)
この場合、Xとしては、25℃で固体状のオルガノポリシロキサンを得る観点から、塩素原子又はメトキシ基が好ましい。
上記式(3)で示されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン等のオルガノトリクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン;テトラクロロシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられる。
上記の加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、触媒の存在下で行うことが好ましい。この触媒としては、酸触媒及びアルカリ触媒のいずれも用いることができる。例えば、酸触媒としては、酢酸等の有機酸触媒、塩酸、硫酸等の無機酸触媒が好ましく、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ触媒が好ましい。より具体的には、加水分解性基としてクロロ基を含有するシランを使用する場合、水添加によって発生する塩化水素ガス及び塩酸を触媒とすることで、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に使用される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例としてクロロ基)の合計量1モルに対して、一般的には0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0モル〜1.3モルである。この添加量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、得られる組成物は作業性に優れ、その硬化物は強靭性に優れたものとなりやすい。
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、及び芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解して使用することが好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、及び2−ブタノール等のアルコール類、又はトルエン、キシレン等の芳香族化合物が好ましく、得られる組成物の硬化性及びその硬化物の強靭性が優れたものとなる点で、イソプロピルアルコール、トルエン、又はイソプロピルアルコールとトルエンの併用がより好ましい。
加水分解及び縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜80℃である。反応温度が係る範囲を満たすと、ゲル化しにくく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物が得られる。
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物中、8.0〜30質量%配合することが好ましく、特に8.5〜20質量%、更に、9.0〜18質量%配合することが好ましい。
<(B)オルガノポリシロキサン>
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、室温での加圧成形の脱型時や金型からの脱型時のストレスを低減させるために、(B)成分として、下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサンを含有する。
Figure 2019014853
(式中、Rは互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる1価炭化水素基であり、mは5〜50の整数を示す。)
上記式(1)中、Rは互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる1価炭化水素基であり、好ましくはメチル基又はフェニル基である。mは5〜50、好ましくは8〜40、より好ましくは10〜35の整数である。mが5未満では、得られる硬化物は耐クラック性に乏しくなる。一方、mが50を超えると、得られる硬化物の機械的強度が不足したり、粘度が高くなりすぎて成形不良を起こしたりするおそれがある。
(B)成分は、上記式(1)で示される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を形成する連続したD単位(R SiO2/2)に加えて、上記式(1)に該当しないD単位(RSiO2/2)、M単位(RSiO1/2)、及び/又はT単位(RSiO3/2)を含んでいてよい。D単位:M単位:T単位の比はそれぞれ、90〜24:75〜9:50〜1、特に70〜28:70〜20:10〜2(但し、これらの単位の合計は100)であることが硬化物特性から好ましい。ここで、Rはヒドロキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、又はアリル基を示す。これらに加えて、(B)成分はQ単位(SiO4/2)を含んでもよい。(B)成分のオルガノポリシロキサンは、式(1)のD単位(R SiO2/2)、式(1)に該当しないD単位(RSiO2/2)、M単位(RSiO1/2)及び/又はT単位(RSiO3/2)中に、シクロヘキシル基又はフェニル基を1分子中に少なくとも1個有する。
(B)成分のオルガノポリシロキサン中に存在するD単位の30%以上(例えば、30〜90%)、特には50%以上(例えば、50〜80%)が、分子中で、上記一般式(1)で表される連続したD単位(R SiO2/2)を形成していることが好ましい。また、(B)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、3,000〜120,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。該分子量がこの範囲にあると、(B)成分は固体又は半固体状であり、得られる組成物の作業性、硬化性などから好適である。
(B)成分は、上記各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で加水分解して縮合を行うことによって合成することができる。
T単位(RSiO3/2)の原料としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン等のトリクロロシラン類、これらのトリクロロシラン類のそれぞれに対応するトリメトキシシラン類等のアルコキシシラン類を例示できる。
上記式(1)の直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を形成する連続したD単位(R SiO2/2)の原料としては、以下のシラン化合物を挙げることができる。
Figure 2019014853
(式中、p=3〜48の整数(平均値)、q=0〜48の整数(平均値)、かつp+qが3〜48(平均値)であり、各繰返し単位はブロックであってもランダムであってもよい。)
また、M単位、上記式(1)に該当しないD単位等の原料としては、MePhSiCl、MeViSiCl、PhMeSiCl、PhViSiCl、MeSiCl、MeEtSiCl、ViMeSiCl2、PhSiCl、PhMeSiCl等のモノ又はジクロロシラン類、これらのクロロシランのそれぞれに対応するモノ又はジメトキシシラン類等のモノ又はジアルコキシシラン類を例示することができる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
これらの原料となる化合物を、所定のモル比で組合せて、例えば以下のとおりに反応させることで(B)成分を得ることができる。フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、Si数21個の両末端クロルジメチルシリコーンオイル、及びトルエンを投入混合し、液中に混合シランを滴下し、30〜50℃で1時間共加水分解する。その後、50℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、共沸脱水や25〜40℃でアンモニア等を触媒として用いた重合を行い、濾過、減圧ストリップをする。
(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の質量比が95:5〜70:30の範囲、好ましくは90:10〜80:20の範囲となる量である。(B)成分の配合量が、上記範囲より少ないと、得られる組成物を金型から脱型する時にストレスがかかり、成形物が割れてしまうおそれがある。一方、(B)成分の配合量が上記範囲より多いと、得られる組成物の粘度が上昇しやすくなり、成形に支障をきたすことがある。
<(C)無機充填材>
(C)成分の無機充填材は、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の室温での硬度を高めたり、流動性を改善したりするために配合される。(C)成分の無機充填材としては、通常シリコーン樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ、及び結晶性シリカ等のシリカ類、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、ガラス粒子、及び三酸化アンチモン等が挙げられるが、それらの中でも、コストや流動性の面から球状シリカが望ましい。
無機充填材の平均粒径は5〜40μmが好ましく、特に7〜35μmが好ましい。平均粒径が5μm以上であれば、適切な粘度及び流動性を得ることができ、透過率が低下するおそれがない。平均粒径が40μm以下であれば、バリの発生が抑えられ、金型を汚すおそれがない。平均粒径が5〜40μmである無機充填材としては、市販されているものを用いてもよく、又は公知の方法により製造することができる。シリコーン樹脂組成物を高流動化するには、0.1〜3μmの微細領域、4〜8μmの中粒径領域、10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて使用するのが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積質量平均値D50(又はメジアン径)として求めたものである。
(C)成分である無機充填材の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、300〜800質量部であり、特に400〜700質量部が好ましい。配合量が300質量部未満では、(A)成分や(B)成分由来の樹脂ブリードが発生することで金型を汚すおそれがあり、800質量部を超えると、増粘による未充填不良や、柔軟性が失われることで未充填が発生して、金型全体に連続成形性改善効果が得られなくなるおそれがある。なお、この(C)成分である無機充填材の配合量は、組成物全体の10〜90質量%、特に50〜85質量%の範囲であることが好ましい。
<(D)有機金属系縮合触媒>
(D)成分の有機金属系縮合触媒は、上記(A)及び(B)成分のオルガノポリシロキサンの硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)及び(B)成分の安定性、被膜の硬度、硬化性などを考慮して選択される。具体的には、例えば、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、より具体的には、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(n−ブチレ−ト)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等の有機金属縮合触媒が例示される。中でも、安息香酸亜鉛の使用が好ましい。
塩基性有機化合物類や酸性有機化合物類といった有機化合物系縮合触媒では保存安定性が悪いために使用は好ましくない。
有機金属系縮合触媒の配合量は、上記(A)及び(B)成分のオルガノポリシロキサンの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜2.5質量部である。配合量が上記範囲外の場合、得られる組成物の硬化性が低下し、安定性に乏しいものとなる。
<(E)金属石鹸>
(E)成分の金属石鹸は、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の成形時に成形物の表面に染み出し、金型に移行することで、シリコーン樹脂やシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等の成形時の離型性を高めるために配合するものである。ここでいう金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に併せて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
これらの中では、入手性が容易であり工業的実現性が高いという点から、炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、さらに、離型性の効果が高いという点から、炭素数6〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の他に、亜鉛、コバルト、アルミニウム、ストロンチウム等が挙げられる。具体的には、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マンガン、リシノール酸バリウムなどが例示される。これらの金属石鹸の中では、入手性が容易であり、安全性が高く工業的実現性が高いという点からステアリン酸金属塩類が好ましい。また、これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。
金属石鹸の配合量は、上記(A)及び(B)成分のオルガノポリシロキサンの合計100質量部に対して、1.0〜10質量部であり、好ましくは1.2〜8.0質量部、特に好ましくは2.0〜6.0質量部である。配合量が1.0質量部を下回ると、十分な離型性が得られず、10質量部より多いと、金属石鹸が金型に焼き付きやすくなり、逆に離型性が低下するおそれがある。
<(F)フッ素系離型剤>
(F)成分のフッ素離型剤は、(E)成分の金属石鹸と同様に、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の成形時に成形物の表面に染み出し、金型に移行することで、シリコーン樹脂やシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等の成形時の離型性を高めるために配合するものである。これらの(E)成分と(F)成分を併用することで、それぞれ単独で使用する場合よりも、より高い連続成形性改善効果を示す。
フッ素系離型剤としては、特に限定されるものではなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、パーフルオロポリエーテルオイル、パーフルオロアルキル基で変性されたノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基で変性された(メタ)アクリレートを重合単位として有するポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、市販されたものを用いてもよい。具体例としては、MR W−6823−AL、MR W−6833−AL、MR W−6846−AL、MR W−6881−AL、MR F−6441−AL、MR F−6711−AL、MR F−6758−AL、MR F−6811−AL、MR EF−6521−AL、MR K−6714−AL、MR X−6712−AL(以上、AGCセイケミカル社製)、GW−200、GW−201、GW−250、GW−251、GW−280、GF−500、GF−501、GF−550、GF−350、MS−600、GA−3000、GA−7500、GA−7550、GA−7550B、GA−7550C、FB−961、FB−962(以上、ダイキン工業社製)等が挙げられるが、中でもFB−961やFB−962のような無溶剤系のものが好ましい。
(F)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して、1.0〜10.0質量部であり、特に1.2〜8.0質量部が好ましい。配合量が1.0質量部未満であると、金型に対する離型性が十分でないことがあり、また10.0質量部を超えると、逆に型汚れの原因になってしまうおそれがある。
<その他の添加剤>
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で、(A)及び(B)成分以外のオルガノポリシロキサン、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、カーボンブラックやチタンブラックのような黒色顔料を目的に応じて添加配合することができる。
(金型離型性回復剤組成物の製造方法)
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の製造方法としては、オルガノポリシロキサン、無機充填材、有機金属系縮合触媒、金属石鹸、フッ素系離型剤、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等を用いて溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して、金型離型性回復剤組成物の成形材料とすることができる。
(金型離型性回復剤組成物の成形方法)
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、シリコーン樹脂等を成形する金型中で成形することで、組成物中の離型成分を金型に移行させ、金型離型性及び連続成形性を改善することが可能である。上記の金型離型性回復剤組成物は、一般にトランスファー成形法に用いられるが、射出成形法などにも適用することができる。トランスファー成形法における上記組成物の成形条件としては、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm、成形温度120〜190℃で成形時間60〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で行うことが好ましい。
また、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、室温で加圧成形可能なものであることが好ましい。このような組成物であれば、本組成物を室温で加圧成形することにより、金型の離型性及び連続成形性を容易に改善することができる。
本発明の金型離型性回復剤組成物により処理される金型でトランスファー成形する樹脂は、シリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であってもよい。上述のように、本発明の金型離型性回復剤組成物は、縮合反応型のオルガノポリシロキサンから構成されるため、シリコーン樹脂やシリコーン含有ハイブリッド樹脂に含まれる成分による硬化阻害を抑制し、金型の連続成形性を改善することができる。このため、金型のクリーニングが困難であるシリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であっても、トランスファー成形する樹脂として選択することが可能である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を指す。
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
以下において、重量平均分子量は下記測定条件によりGPCで測定されたものである。
<分子量測定条件>
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
(A)レジン状オルガノポリシロキサンの合成
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で、水8質量部とイソプロピルアルコール60質量部との混合液を液中滴下した。内温−5〜0℃の範囲で5時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから該混合液を室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。これに水25質量部を滴下後、得られた反応混合物を40〜45℃の範囲で60分間撹拌した。その後、該反応混合物に水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過及び減圧ストリップをすることにより、下記平均式(A−1)で示される無色透明の固体(融点75℃、重量平均分子量3,000)のレジン状オルガノポリシロキサン(A−1)36.0質量部を得た。
(CH1.0Si(OC0.07(OH)0.101.4 (A−1)
(B)オルガノポリシロキサンの合成
[合成例2]
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2,100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロロ封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2,400g(12.4モル%)、トルエン3,000gを混合し、水11,000g中に混合した上記シランを滴下し、30〜50℃の範囲で1時間共加水分解した。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、ろ過、及び減圧ストリップをすることにより、無色透明な生成物(オルガノシロキサン(B−1))を得た。該シロキサン(B−1)はICIコーンプレートを用いた150℃での溶融粘度5Pa・sを有し、重量平均分子量は50,000であった。
[(MeSiO)210.124(PhMeSiO)0.044(PhSiO1.50.832 (B−1)
(C)無機充填材
(C−1):溶融球状シリカ(MAR−T815/53C、平均粒径10μm、(株)龍森製)
(D)有機金属系縮合触媒
(D−1):安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(E)金属石鹸
(E−1):ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(F)フッ素系離型剤
(F−1):内部添加用フッ素系離型剤(ダイフリーFB961、ダイキン(株)製)
(G)その他の離型剤
(G−1):硬化ひまし油(カオーワックス85P、花王(株)製)
(G−2):カルナバ系離型剤(TOWAX−131、東亞化成(株)製)
(G−3):脂肪酸エステル系離型剤(SL−900A、理研ビタミン(株)製)
[実施例1〜3,比較例1〜9]
上記に示した各成分を、表1〜3に示す配合(質量部)で、熱二本ロールにて混合し、冷却、粉砕して金型離型性回復剤組成物を得た。これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1〜3に示す。
(連続成形性試験)
図1に示すように、表1〜3に示される樹脂組成物(金型離型性回復剤組成物)101と全表面を銀メッキした銅リードフレーム102とを用いて、下記の成形条件で、該組成物を3回トランスファー成形して、金型の表面を慣らした。
成形温度:175℃
成形圧力:100N/mm
成形時間:180秒
続いて、白色シリコーン樹脂(商品名:SWC−7000、信越化学(株)製)と、全表面を銀メッキした銅リードフレーム102とを用いて、下記の成形条件で連続成形性試験を行った。マトリックスタイプの凹型リフレクター基板10上の白色リフレクター部が金型に付着して形状不良を起こすか、金型に張り付いて連続成形不能になるまで連続でトランスファー成形を行い、金型の表面状態も確認した。尚、連続成形は最高でも100回までとした。図1中、100は個片化した凹型リフレクター基板を示す。
成形温度:175℃
成形圧力:100N/mm
成形時間:60秒
Figure 2019014853
Figure 2019014853
Figure 2019014853
表1に示されるように、本発明の金型離型性回復剤組成物(実施例1〜3)により金型を処理することで、シリコーン樹脂を100回近く連続成形することが可能となり、金型の連続成形性を改善することができた。
一方、表2、3に示されるように、離型成分として、(E)成分又は(F)成分の一方しか含まない比較例1、2では、連続成形試験の途中で、金型に樹脂が付着したり、焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。また、(B)成分のオルガノポリシロキサンを含まない比較例3では、成形物に複数個所取られが生じて、金型に樹脂が付着し、10回しか連続成形することができなかった。また、(F)成分の代わりにその他の離型剤を用いた比較例4〜6では、金型に樹脂の付着や焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。更に、(E)成分の代わりにその他の離型剤を用いた比較例7〜9においても、金型に樹脂の付着や焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。
[比較例10]
平均組成式:Vi0.002Me1.998SiO1.000で表されるポリオルガノシロキサン64.5質量部、フュームドシリカ32.2部、可塑剤として粘度60mm/sの両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン3.3部をニーダーにて加熱溶融混合して得られたゴムベースに対し、平均単位式:MeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMeで表されるハイドロジェンシロキサン1.2部、白金量1重量%の塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液0.05部、ステアリン酸カルシウム5部、内部添加用フッ素系離型剤であるダイフリーFB961 5部、MeSiO(MeSiO)600SiMeからなるジメチルシロキサン2部、1−エチニルーシクロヘキサノール0.01部を加えて二本ロールで混合して、厚さ3mmのシートを作成した。
このシート10gを実施例1〜3,比較例1〜9で使用したリフレクター用金型上に置き、150℃で5分間、80N/mmの圧力でコンプレッション成形して離型性を回復させようとしたが、白色シリコーン樹脂成分由来の白金触媒による付加反応を阻害する成分により硬化が甘く、金型にゴムコンパウンドが付着する結果であった。
これらの結果から、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物であれば、縮合型レジン状オルガノポリシロキサンを用いることで、硬化阻害を抑制し、更に、特定の2種類の離型剤を併用することで連続成形性を大幅に改善することができることが明らかとなった。以上により、この金型離型性回復剤組成物は有用であることが示された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10:凹型リフレクター基板
100:個片化した凹型リフレクター基板
101:樹脂組成物
102:リードフレーム

Claims (4)

  1. (A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
    (B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
    Figure 2019014853
    (式中、Rは互いに独立に、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれる1価炭化水素基であり、mは5〜50の整数を示す。)
    (C)無機充填材:300〜800質量部、
    (D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
    (E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
    (F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
    を含有するものであることを特徴とするトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
  2. 前記縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
    (CHSi(OR(OH)(4−a−b−c)/2 (2)
    (式中、Rは同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
  3. 前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物が、室温で加圧成形可能なものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
  4. 前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物により離型性を回復させる金型を用いてトランスファー成形する樹脂が、シリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
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