JP2019014853A - トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
特に特許文献4には、金型表面離型処理用シリコーンゴム組成物として、付加硬化型シリコーンゴム組成物に特定の物性を有する離型成分を加えることで、金型表面を洗浄、離型処理する成形方法が開示されている。しかし、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物に添加されている含硫黄シランカップリング剤などの硫黄原子を有する化合物を含む樹脂を成形しようとする場合、金型や成形機の流路に残存する硫黄成分によって、上記の離型処理用シリコーンゴムは硬化阻害を生じるため、この方法で金型を洗浄することができないという問題がある。
(A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
(C)無機充填材:300〜800質量部、
(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
を含有するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物を提供する。
(CH3)aSi(OR2)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
(A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
(C)無機充填材:300〜800質量部、
(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
を含有するトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物である。
(A)成分は、25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンであり、後述する(D)成分の有機金属系縮合触媒の存在下で、(B)成分のオルガノポリシロキサンと架橋構造を形成するものである。ここで、「レジン状」とは、オルガノポリシロキサンが分岐状又は三次元網状構造であることを意味する。
(CH3)aSi(OR2)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
ここで完全縮合率とは、原料の総モル数に対して、1分子中に含まれるアルコキシ基が全て縮合反応に供されたモル数の割合を示すものである。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
(CH3)nSiX4−n (3)
(式中、Xは塩素等のハロゲン原子又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示し、nは0、1、2のいずれかである。)
この場合、Xとしては、25℃で固体状のオルガノポリシロキサンを得る観点から、塩素原子又はメトキシ基が好ましい。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、室温での加圧成形の脱型時や金型からの脱型時のストレスを低減させるために、(B)成分として、下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサンを含有する。
(C)成分の無機充填材は、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の室温での硬度を高めたり、流動性を改善したりするために配合される。(C)成分の無機充填材としては、通常シリコーン樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ、及び結晶性シリカ等のシリカ類、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、ガラス繊維、ガラス粒子、及び三酸化アンチモン等が挙げられるが、それらの中でも、コストや流動性の面から球状シリカが望ましい。
(D)成分の有機金属系縮合触媒は、上記(A)及び(B)成分のオルガノポリシロキサンの硬化に用いるための縮合触媒であり、(A)及び(B)成分の安定性、被膜の硬度、硬化性などを考慮して選択される。具体的には、例えば、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、より具体的には、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジ(n−ブチレ−ト)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等の有機金属縮合触媒が例示される。中でも、安息香酸亜鉛の使用が好ましい。
塩基性有機化合物類や酸性有機化合物類といった有機化合物系縮合触媒では保存安定性が悪いために使用は好ましくない。
(E)成分の金属石鹸は、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の成形時に成形物の表面に染み出し、金型に移行することで、シリコーン樹脂やシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等の成形時の離型性を高めるために配合するものである。ここでいう金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に併せて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
(F)成分のフッ素離型剤は、(E)成分の金属石鹸と同様に、本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の成形時に成形物の表面に染み出し、金型に移行することで、シリコーン樹脂やシリコーンを含有するハイブリッド樹脂等の成形時の離型性を高めるために配合するものである。これらの(E)成分と(F)成分を併用することで、それぞれ単独で使用する場合よりも、より高い連続成形性改善効果を示す。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で、(A)及び(B)成分以外のオルガノポリシロキサン、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、カーボンブラックやチタンブラックのような黒色顔料を目的に応じて添加配合することができる。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物の製造方法としては、オルガノポリシロキサン、無機充填材、有機金属系縮合触媒、金属石鹸、フッ素系離型剤、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等を用いて溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して、金型離型性回復剤組成物の成形材料とすることができる。
本発明のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物は、シリコーン樹脂等を成形する金型中で成形することで、組成物中の離型成分を金型に移行させ、金型離型性及び連続成形性を改善することが可能である。上記の金型離型性回復剤組成物は、一般にトランスファー成形法に用いられるが、射出成形法などにも適用することができる。トランスファー成形法における上記組成物の成形条件としては、トランスファー成形機を用い、成形圧力5〜20N/mm2、成形温度120〜190℃で成形時間60〜500秒、特に成形温度150〜185℃で成形時間30〜180秒で行うことが好ましい。
以下において、重量平均分子量は下記測定条件によりGPCで測定されたものである。
<分子量測定条件>
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
[合成例1]
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で、水8質量部とイソプロピルアルコール60質量部との混合液を液中滴下した。内温−5〜0℃の範囲で5時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから該混合液を室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。これに水25質量部を滴下後、得られた反応混合物を40〜45℃の範囲で60分間撹拌した。その後、該反応混合物に水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過及び減圧ストリップをすることにより、下記平均式(A−1)で示される無色透明の固体(融点75℃、重量平均分子量3,000)のレジン状オルガノポリシロキサン(A−1)36.0質量部を得た。
(CH3)1.0Si(OC3H7)0.07(OH)0.10O1.4 (A−1)
[合成例2]
フェニルメチルジクロロシラン100g(4.4モル%)、フェニルトリクロロシラン2,100g(83.2モル%)、Si数21個の両末端クロロ封鎖のジメチルポリシロキサンオイル2,400g(12.4モル%)、トルエン3,000gを混合し、水11,000g中に混合した上記シランを滴下し、30〜50℃の範囲で1時間共加水分解した。その後、30℃で1時間熟成後、水を入れて洗浄し、その後共沸脱水、ろ過、及び減圧ストリップをすることにより、無色透明な生成物(オルガノシロキサン(B−1))を得た。該シロキサン(B−1)はICIコーンプレートを用いた150℃での溶融粘度5Pa・sを有し、重量平均分子量は50,000であった。
[(Me2SiO)21]0.124(PhMeSiO)0.044(PhSiO1.5)0.832 (B−1)
(C−1):溶融球状シリカ(MAR−T815/53C、平均粒径10μm、(株)龍森製)
(D−1):安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
(E−1):ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)
(F−1):内部添加用フッ素系離型剤(ダイフリーFB961、ダイキン(株)製)
(G−1):硬化ひまし油(カオーワックス85P、花王(株)製)
(G−2):カルナバ系離型剤(TOWAX−131、東亞化成(株)製)
(G−3):脂肪酸エステル系離型剤(SL−900A、理研ビタミン(株)製)
上記に示した各成分を、表1〜3に示す配合(質量部)で、熱二本ロールにて混合し、冷却、粉砕して金型離型性回復剤組成物を得た。これらの組成につき、以下の諸特性を測定した。結果を表1〜3に示す。
図1に示すように、表1〜3に示される樹脂組成物(金型離型性回復剤組成物)101と全表面を銀メッキした銅リードフレーム102とを用いて、下記の成形条件で、該組成物を3回トランスファー成形して、金型の表面を慣らした。
成形温度:175℃
成形圧力:100N/mm2
成形時間:180秒
成形温度:175℃
成形圧力:100N/mm2
成形時間:60秒
一方、表2、3に示されるように、離型成分として、(E)成分又は(F)成分の一方しか含まない比較例1、2では、連続成形試験の途中で、金型に樹脂が付着したり、焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。また、(B)成分のオルガノポリシロキサンを含まない比較例3では、成形物に複数個所取られが生じて、金型に樹脂が付着し、10回しか連続成形することができなかった。また、(F)成分の代わりにその他の離型剤を用いた比較例4〜6では、金型に樹脂の付着や焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。更に、(E)成分の代わりにその他の離型剤を用いた比較例7〜9においても、金型に樹脂の付着や焼き付けが生じてしまい、実施例より少ない回数しか連続成形することができなかった。
平均組成式:Vi0.002Me1.998SiO1.000で表されるポリオルガノシロキサン64.5質量部、フュームドシリカ32.2部、可塑剤として粘度60mm2/sの両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン3.3部をニーダーにて加熱溶融混合して得られたゴムベースに対し、平均単位式:Me3SiO(Me2SiO)3(MeHSiO)5SiMe3で表されるハイドロジェンシロキサン1.2部、白金量1重量%の塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液0.05部、ステアリン酸カルシウム5部、内部添加用フッ素系離型剤であるダイフリーFB961 5部、Me3SiO(Me2SiO)600SiMe3からなるジメチルシロキサン2部、1−エチニルーシクロヘキサノール0.01部を加えて二本ロールで混合して、厚さ3mmのシートを作成した。
このシート10gを実施例1〜3,比較例1〜9で使用したリフレクター用金型上に置き、150℃で5分間、80N/mm2の圧力でコンプレッション成形して離型性を回復させようとしたが、白色シリコーン樹脂成分由来の白金触媒による付加反応を阻害する成分により硬化が甘く、金型にゴムコンパウンドが付着する結果であった。
100:個片化した凹型リフレクター基板
101:樹脂組成物
102:リードフレーム
Claims (4)
- (A)25℃で固体の縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサン:70〜95質量部、
(B)下記一般式(1)で表される直鎖状ジオルガノポリシロキサン残基を有し、1分子中に少なくとも1個のシクロヘキシル基又はフェニル基を含むオルガノポリシロキサン:5〜30質量部(但し、(A)及び(B)成分の合計は100質量部である)、
(C)無機充填材:300〜800質量部、
(D)有機金属系縮合触媒:0.01〜10質量部、
(E)金属石鹸:1.0〜10質量部、
(F)フッ素系離型剤:1.0〜10質量部、
を含有するものであることを特徴とするトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。 - 前記縮合反応型レジン状オルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)で表され、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000のレジン状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
(CH3)aSi(OR2)b(OH)cO(4−a−b−c)/2 (2)
(式中、R2は同一又は異種の炭素原子数1〜4の有機基を示し、a、b、及びcは0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、及び0.801≦a+b+c<2を満たす数である。) - 前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物が、室温で加圧成形可能なものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
- 前記トランスファー成形用金型離型性回復剤組成物により離型性を回復させる金型を用いてトランスファー成形する樹脂が、シリコーン樹脂又はシリコーンを含有するハイブリッド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスファー成形用金型離型性回復剤組成物。
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