JP2019014678A - 口唇化粧料及びその製造方法 - Google Patents

口唇化粧料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019014678A
JP2019014678A JP2017133437A JP2017133437A JP2019014678A JP 2019014678 A JP2019014678 A JP 2019014678A JP 2017133437 A JP2017133437 A JP 2017133437A JP 2017133437 A JP2017133437 A JP 2017133437A JP 2019014678 A JP2019014678 A JP 2019014678A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
mass
melting point
lip cosmetic
feeling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017133437A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6964326B2 (ja
Inventor
佳世子 西村
Kayoko Nishimura
佳世子 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Key Trading Co Ltd
Original Assignee
Key Trading Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Key Trading Co Ltd filed Critical Key Trading Co Ltd
Priority to JP2017133437A priority Critical patent/JP6964326B2/ja
Publication of JP2019014678A publication Critical patent/JP2019014678A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6964326B2 publication Critical patent/JP6964326B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加え、二次付着(色移り)防止機能及び保存安定性にも優れた口唇化粧料及びその製造方法を提供する。【解決手段】下記成分(a1)〜(a2)を含む組成物(A)及び下記成分(b1)〜(b4)を含む組成物(B)を含み、組成物(A)及び組成物(B)は互いに混じり合わない状態で成型物中に分離していることを特徴とする口唇化粧料及びその製造方法。(A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%(a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン 40〜95質量%(B)(b1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%(b2)重質流動イソパラフィン(b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油(b4)着色剤 0.1〜20質量%【選択図】なし

Description

本発明は、滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加え、二次付着(色移り)防止機能及び保存安定性にも優れ、意匠性の高い口唇化粧料及びその製造方法に関する。
口唇化粧料は、衣服やカップなどへの二次付着(色移り)防止機能が重要な要素であり、盛んに研究開発がなされている。
例えば、特許文献1には、二次付着防止機能を有する揮発性油剤と皮膜形成剤を含有した口紅組成物が開示されている。
また、特許文献2には水添ポリイソブテンとフェニル変性シリコーン油を特定割合含有する唇用化粧料が、いわゆる「落ちにくい口紅」として提案されている。
特許文献3には、二重成形によって多色油性固形化粧料を製造することが記載されている。
特開平9−48709号公報 特許第4757950号 特許第5425540号
しかしながら、特許文献1のような揮発性油剤と皮膜形成剤の組合せでは、使用特性として乾燥感が強くなりがちで、潤い感、つや感、滑らかさについて満足しえるものはできにくかった。
特許文献2のような水添ポリイソブテンとフェニル変性シリコーンの特定の組合せについても、特に潤い感の高いものは得られにくく、また口唇化粧料において発汗、分離などが生じやすい傾向にあり、しばしば保存安定性の制御が困難であった。
更に、特許文献3は、意匠性という観点から多色油性固形化粧料を得るものであり、これによって口唇化粧料の機能を向上させることは意図されていない。よって、二次付着防止機能や安定性といった機能を得るための処方上の検討は行われていない。
本発明は、上記に鑑みて、滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加え、二次付着(色移り)防止機能及び保存安定性にも優れた口唇化粧料及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すために鋭意検討を重ねた結果、特定成分を特定割合含有する組成物(A)と組成物(B)を、各々混ざり合わない状態で成型することによって、所期の効果を示す口唇化粧料及びその製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記成分(a1)〜(a2)を含む組成物(A)及び下記成分(b1)〜(b4)を含む組成物(B)を含み、組成物(A)及び組成物(B)は互いに混じり合わない状態で成型物中に分離していることを特徴とする口唇化粧料である。
(A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
(a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン 40〜95質量%
(B)(b1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
(b2)重質流動イソパラフィン
(b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油
(b4)着色剤 0.1〜20質量%
本発明は、下記成分(a1)〜(a2)を含む組成物(A)及び下記成分(b1)〜(b4)を含む組成物(B)とを互いに混じり合わない状態で流し込むことで成型物とする工程を有することを特徴とする口唇化粧料の製造方法でもある。
(A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
(a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン 40〜95質量%
(B)(b1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
(b2)重質流動イソパラフィン
(b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油
(b4)着色剤 0.1〜20質量%
本発明の口唇化粧料は、滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加え、二次付着(色移り)防止機能及び保存安定性にも優れている。更に、高い意匠性も有する。また、本発明の製造方法によると、そのような特徴を有する口唇化粧料を効率よく製造することが可能となる。
本発明の口唇化粧料は上記組成物(A)と上記組成物(B)が成型物中で分離した状態で含まれたものであることを特徴とするものである。
すなわち、本発明においては、一つの口唇化粧料中で他の成分と相溶しにくいフェニル変性シリコーン及び/または又はメチルポリシロキサン(成分(a2))と固形ワックスを含む組成物(A)として調製し、これを色材が配合された組成物(B)と分けて2層以上に成型することを特徴としている。
これにより、塗布時のシェアによって唇上では均一に塗り広げられるが、しばらくすると唇の表面側にはフェニル変性シリコーン及び/または又はメチルポリシロキサンが透明な層として分離してくることで、あとからリップコートを塗ったような状態にすることができるものと考えられる。これにより、本発明は滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加えて、二次付着(色移り)防止機能にも特に優れたものとなる。
また、組成物(A)と組成物(B)を分離した成型物とすることで、これらを混合した化粧料において見られる油分の染み出しなどが防止され、保存安定性にも優れたものとすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(組成物(A)における成分(a1)及び組成物(B)における成分(b1)の融点が60℃以上の固形ワックス)
本発明の(A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックスは、常温において固形の油性成分であって、通常の化粧料に用いられるものであれば、特に限定されず使用できる。具体的には、オゾケライト、セレシン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、合成炭化水素ワックス、ポリエチレンワックス、(エチレン/プロピレン)コポリマー、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、アルキル変性シリコーンワックス等が挙げられ、好適に使用される。
上記固形ワックスは、固化剤として口唇化粧料に適度な硬さを保持し、液状油の染み出し抑制、潤いを付与するものである。融点は60℃〜130℃が好適である。融点が60℃に満たないとスティック状の形状が保持しにくくなり、また融点が130℃を超えると溶解が困難になる。
融点は、市販されている自動融点測定装置を用いることで、日本薬局方に準拠した測定が容易にできる。
上記の固形ワックスは、1種又は2種以上用いることができ、含有量は、組成物(A)中に5〜30質量%であり、好ましくは10〜25質量%である。5質量%に満たないとスティック状の形状が保持しにくくなり、また30質量%を超えるとのびが重くなり、潤い感、つや感、滑らかについて満足し得るものができにくい。
組成物(A)における成分(a1)及び組成物(B)における成分(b1)は、基本的に同様のものを使用することができる。実際の化粧料の組成においては、同一のものであってもよいし、目的に応じて相違するものを使用してもよい。その配合量も同様のものとすることができ、組成物(B)中の固形ワックス量は上述した(A)中と同様の範囲とすることができる。
(組成物(A)における成分(a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン)
(A)(a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサンにおける、フェニル変性シリコーンはポリシロキサンの一部にフェニル基を有するものであり、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されず使用できる。具体的には、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられ、市販品としては、SH−556Fluid、FZ−209(東レ・ダウコーニング社)、KF−50−100cs、KF−50−1000cs、KF−53、KF−54、KF−54HV、KF−56A、(信越化学工業社)、BELSILPDM20、BELSILPDM100(旭化成ワッカーシリコーン社)、PH−1560GlossyFluid(東レ・ダウコーニング社等が挙げられる。
上記メチルポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンの末端をトリメチルシロキシ基で封鎖した重合体であり、最も代表的なシリコーン油として汎用されているものである。重合度に応じた動粘度のものが種々市販されているが、なかでも動粘度が100〜5,000 mm/sの中粘度のものが好適に使用される。
上記成分(a2)は、一部又は全部にメチルポリシロキサンを使用することが、二次付着防止性能においてより良好な性能が得られる点から好ましいものである。
(A)(a2)フェニル変性シリコーン及び/またはメチルポリシロキサンの含有量は、組成物(A)中において40〜95質量%が好ましく、更に好ましくは50〜85質量%である。40質量%に満たないと二次付着(色移り)防止機能の高い口唇化粧料が得にくくなる。95質量%を超えるとスティック状の形状が保持しにくくなる。
(組成物(B)における成分(b2)重質流動イソパラフィン)
(B)(b2)重質流動イソパラフィンは、イソブテンとn−ブテンの共重合において、末端の二重結合も含め水素添加した側鎖を有する飽和タイプの長鎖状炭化水素の混合物である。重合条件により、種々の重合度のものが得られる。市販品としては、パールリーム18(数平均分子量1000)、パールリーム24(数平均分子量1350)、パールリーム46(数平均分子量2650)(日本油脂社)等が挙げられる。特に数平均分子量1,000程度のものが、潤い感、つや感、滑らかな使用感が得られやすいので好適に使用される。
B(b2)重質流動イソパラフィンの含有量は、特に限定されないが、組成物(B)中に10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。含有量が10質量%に満たないと潤い感、つや感、滑らかな使用感が得られにくくなり、加えて二次付着(色移り)防止機能が低減される。60質量%を超えるとべたつきが生じ、滑らかな使用感が得にくくなる。
(組成物(B)における成分(b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油)
(B)(b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油は、液状であっても、ペースト状であっても良い。具体的には、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、(イソステアリン酸ポリグリセリルー2/ダイマージリノール酸)コポリマー等が挙げられる。なかでも、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油が、二次付着(色移り)防止機能向上に資するので好適に使用される。上記成分は、日清オイリオ社、日本精化社、高級アルコール社等から上市されている。
上記(b3)のエステル油は、1種又は2種以上を使用することができ、含有量は特に限定されない。好ましくは、組成物(B)中に0.5〜50質量%であり、3〜30質量%がより好ましい。0.5質量%に満たないと、潤い感、つや感、滑らかな使用感が得られにくくなり、加えて二次付着(色移り)防止機能が低減される。50質量%を超えるとべたつきが生じ、滑らかな使用感が得にくくなる。
上記における粘度は、B型粘度計(ビスメトロン、芝浦システム社)ロータNo4、回転数6rpmで計測することができる。
(組成物(B)における成分(b4)着色剤)
(B)(b4)着色剤は、通常化粧料で用いられるものであれば特に制限なく使用することができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、チタン酸リチウムコバルト、マンガンバイオレット等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン・酸化鉄被覆ガラス末、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色223号、赤色218号、橙色201号等の染料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらは1種又は2種以上、または複合化して用いることができる。また、フッ素化合物、金属石ケン、界面活性剤、レシチン、アミノ酸、油剤、炭化水素等を用いた公知の方法により表面処理したものを用いても良い。
(b4)の着色剤は、1種又は2種以上を使用することができる。含有量は、組成物(B)中に0.1〜20質量%であり、0.5〜15質量%であることが好ましい。0.1質量%に満たないと、口唇化粧料としての化粧効果(メイクアップ効果)が発揮できず、また20質量%を超えるとのびが重くなり、潤い感、つや感、滑らかさについて満足し得るものができにくい。
組成物(A)においては、着色剤を含有しないことが好ましい。このようにすることで、唇上に塗布後、組成物(A)が無着色な透明な層としてくることができ、あとから透明なリップコートを塗ったような状態を再現することができるという点で好ましい。
本発明の口唇化粧料には、上記の必須成分のほかに、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、液状油、半固形油、固形油、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、染料、顔料、保湿剤、美白剤及び抗炎症剤などの薬効成分などを適宜添加することができる。これらの成分は、組成物(A)、組成物(B)のうちいずれの成分に配合するものであってもよい。
また、本発明の組成物(A)と組成物(B)の配合量の比は特に限定されないが、質量比で1:0.5〜1:3の範囲が好ましく、1:0.6〜1:2の範囲であるとさらに好ましい。この範囲であると十分な二次付着(色移り)防止機能を持ちながら、滑らかな使用感とツヤ、潤い感のある仕上がりとなる。
また、本発明の口唇化粧料は、3つ以上の組成物を使用したものであってもよい。すなわち、組成物(A)、組成物(B)のいずれか又は両方において組成の異なる2種以上の組成物として、これらを組み合わせ、3色以上の多色化粧料としてもよい。このようにすることで特に意匠性に優れた化粧料とすることができる。
本発明の口唇化粧料は、組成物(A)が内層を形成し、組成物(B)が外層を形成する構成であることが好ましい。これによって、上述した効果を好適に発揮することができる。
本発明の口唇化粧料は、その形態を特に限定されるものではないが、スティック状であることが特に好ましい。
本発明の口唇化粧料の製造方法は、組成物(A)と組成物(B)が混じり合わない状態で分離して成型物中に存在できるように製造するものであれば、特に限定されるようなものではない。但し、調製の際には組成物(A)と組成物(B)を混合しないようにすることが必要である。以下ではこのような製造方法の一例を述べる。本発明は以下の製造方法の例に限定されるものではない。
まず、85〜110℃に加熱して溶融した組成物(B)を中心部が遮蔽された金型へ流し込み、冷却し固化させる。この遮蔽部には組成物(B)は入り込まないため、周辺部のみに組成物(B)が固化したものが得られる。その後、上記遮蔽部を除外することで、中心部が空洞となった組成物(B)の成型物が得られる。
この空洞となった中心部に85〜110℃に加熱して溶融した組成物(A)を流し込み冷却固化することで組成物(A)と組成物(B)が分離した層として存在する本発明の成型物を得ることができる。
上記製造方法においては、組成物(A)と組成物(B)の成型手順は逆であっても良い。また、遮蔽部の形状としては、例えば、円柱、多角柱など任意のものに調整することが可能である。さらに、視覚的な効果を得るため意匠性を加味した形状のものを選択することもできる。
上記製造方法における成型物の形状としては、口唇化粧料として用いることができる形状であれば特に限定されないが、一般的な形状であるスティック状であることが好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、配合量については特に指定がない限り、質量%で示す。
(実施例1〜6、比較例1〜7(口紅))
以下に示す方法に従って下記表1に示す組成のスティック状の口紅を調製した。
(製造方法)
(1)組成物(B)を90〜100℃に加熱し、均一に混合溶融した。更に、中心部が遮蔽された円柱金型へ流し込み、冷却固化後、遮蔽部を除外することによって、中心部が刳りぬかれた状態の組成物(B)を得た。
(2)組成物(A)を90〜100℃に加熱し、均一に混合溶融した。更に、(1)で刳りぬかれた中心部へ流し込んで、冷却固化した。
(3)(2)を円柱容器に挿入して、(A)と(B)の異なる組成物が1本のスティック状に成型された口紅を得た。
なお、比較例7のみ上記製造方法と異なり組成物(A)と(B)を成型前に混合した上で単層の化粧料として製造した。
上記で製造した口紅(実施例1〜6及び比較例1〜7)を、以下に示す評価方法に従ってその使用特性の評価を行った。
(評価方法)
化粧品専門パネル20名に前記実施例及び比較例の口紅を使用してもらい、「滑らかな使用感」は唇につけたときに滑らかに伸びて塗布できるどうか、「つや感」は唇につけたときに十分なツヤがあるかどうか、「潤い感」は唇に付けた状態でうるおいを感じるかどうかを各自が以下の基準に従って絶対評価を行ない、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>
(評点):(評価)
5点 : 良好
4点 : やや良好
3点 : 普通
2点 : やや悪い
1点 : 悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
◎ : 4.5点以上
○ : 4点以上4.5点未満
△ : 3点以上4点未満
× : 3点未満
「保存安定性(発汗、分離)」は、化粧料を−5〜40℃でのサイクル試験(1サイクル24時間)を15回繰返し、発汗、分離について、目視観察を行い、下記判定基準により判定した。
<判定基準>
(評価) :(判定)
発汗、分離がほとんど見られない : ◎
発汗、分離がわずかに見られる : ○
発汗、分離が見られる:△
発汗、分離が著しく見られる : ×
「二次付着防止機能」については、各試料を唇に塗布し、1時間後、陶器のカップ(白色)で水を飲み、カップに付着した色跡を目視観察し、下記判定基準により判定した。
<判定基準>
(評価) :(判定)
カップに色がほとんど付かない: ◎
カップに色がわずかに付く : ○
カップに色が付く : △
カップに色が著しく付く :×
製造した口紅の組成及び上記の使用特性の評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2019014678
Figure 2019014678
なお、表1、表2中の成分番号の商品名は下記の通りである。
※1:リップワックスA−4(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※2:シリコーンKF−54(信越化学工業社製)
※3:SH−556 Fluid(東レ・ダウコーニング社製)
※4:シリコーンKF−56A(信越化学工業社製)
※5:シリコーンKF−96A−100cs(信越化学工業社製)
※6:パールリーム18(日油社製)
※7:コスモール222(日清オイリオグループ社製)
※8:Plandool−H(日本精化社製)
※9:コスモール43N(日清オイリオグループ社製)
※10:サラコスWO−6(日清オイリオグループ社製)
※11:リソカスタDA−H(高級アルコール工業社製)
※12:エルデュウPS−306(味の素社製)
※13:TIMIRON SPLENDID RED(メルク社製)
Flamenco Super Pearl(エンゲルハード社製)
※14:メタシャインMT1080RY(日本板硝子社製)
※15:板状硫酸バリウム・H(堺化学工業社製)
表1、2の結果より明らかなように、実施例1〜6は比較例1〜7に比べ、全ての評価項目において良好な結果が得られた。
より詳細には、成分(b2)を配合していない比較例1及び成分(b3)を配合していない比較例2では、滑らかな使用感に劣り、潤い感も満足のいくものではなかった。成分(a2)の配合量が少ない比較例3と比較例4では、滑らかな使用感に優れるものの、二次付着(色移り)防止機能に劣っていた。さらに成分(b1)の配合量が少ない比較例4と成分(a1)の配合量が少ない比較例5では、成型性が悪く保存安定性に劣るものとなり、成分(b1)の配合量が多い比較例5と成分(a1)の配合量が多い比較例6では滑らかな使用感と潤い感に満足のいくものは得られなかった。なお、比較例7は組成物(A)及び組成物(B)を互いに分離せずに混合し、一本のスティック状にしたものである。比較例7についても、特に保存安定性において劣るものとなった。これらの対比により、組成物(A)及び組成物(B)を分離して成型することで、各種性能に優れた口唇化粧料となることが明らかである。
本発明によれば、滑らかな使用感、つや感、潤い感に優れていることに加え、二次付着(色移り)防止機能及び保存安定性にも優れ、高い意匠性を有する口唇化粧料を得ることができる。

Claims (2)

  1. 下記成分(a1)〜(a2)を含む組成物(A)及び下記成分(b1)〜(b4)を含む組成物(B)を含み、組成物(A)及び組成物(B)は互いに混じり合わない状態で成型物中に分離していることを特徴とする口唇化粧料。
    (A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
    (a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン 40〜95質量%
    (B)(b1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
    (b2)重質流動イソパラフィン
    (b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油
    (b4)着色剤 0.1〜20質量%
  2. 下記成分(a1)〜(a2)を含む組成物(A)及び下記成分(b1)〜(b4)を含む組成物(B)とを互いに混じり合わない状態で流し込むことで成型物とする工程を有することを特徴とする口唇化粧料の製造方法。
    (A)(a1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
    (a2)フェニル変性シリコーン及び/又はメチルポリシロキサン 40〜95質量%
    (B)(b1)融点が60℃以上の固形ワックス 5〜30質量%
    (b2)重質流動イソパラフィン
    (b3)20℃における粘度が5,000mPa・s以上のエステル油
    (b4)着色剤 0.1〜20質量%


JP2017133437A 2017-07-07 2017-07-07 口唇化粧料及びその製造方法 Active JP6964326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017133437A JP6964326B2 (ja) 2017-07-07 2017-07-07 口唇化粧料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017133437A JP6964326B2 (ja) 2017-07-07 2017-07-07 口唇化粧料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019014678A true JP2019014678A (ja) 2019-01-31
JP6964326B2 JP6964326B2 (ja) 2021-11-10

Family

ID=65356889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017133437A Active JP6964326B2 (ja) 2017-07-07 2017-07-07 口唇化粧料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6964326B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113081885A (zh) * 2021-05-06 2021-07-09 美尚(广州)化妆品股份有限公司 一种不脱妆唇用化妆品及其制备方法
WO2022138259A1 (ja) * 2020-12-26 2022-06-30 ジェイオーコスメティックス株式会社 油性化粧料

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008105951A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Doctor Program Kk スティック状口唇用化粧料
JP2011042610A (ja) * 2009-08-20 2011-03-03 Shiseido Co Ltd 唇用化粧料
JP2016056171A (ja) * 2014-09-05 2016-04-21 株式会社コーセー 油性固形メークアップ化粧料
JP2016185992A (ja) * 2014-09-09 2016-10-27 株式会社 資生堂 唇用固形化粧料
JP2017114786A (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 ポーラ化成工業株式会社 皮膚外用組成物、水和膜形成方法及び水和膜形成剤

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008105951A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Doctor Program Kk スティック状口唇用化粧料
JP2011042610A (ja) * 2009-08-20 2011-03-03 Shiseido Co Ltd 唇用化粧料
JP2016056171A (ja) * 2014-09-05 2016-04-21 株式会社コーセー 油性固形メークアップ化粧料
JP2016185992A (ja) * 2014-09-09 2016-10-27 株式会社 資生堂 唇用固形化粧料
JP2017114786A (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 ポーラ化成工業株式会社 皮膚外用組成物、水和膜形成方法及び水和膜形成剤

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022138259A1 (ja) * 2020-12-26 2022-06-30 ジェイオーコスメティックス株式会社 油性化粧料
CN113081885A (zh) * 2021-05-06 2021-07-09 美尚(广州)化妆品股份有限公司 一种不脱妆唇用化妆品及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6964326B2 (ja) 2021-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5144896B2 (ja) 口唇化粧料
JP6918489B2 (ja) スティック状油性固形化粧料
JP7426828B2 (ja) 固形口唇化粧料
US20050058678A1 (en) Two-coat cosmetic product, uses thereof and makeup kit comprising the same
JP5203622B2 (ja) 油性化粧料
JP2006028186A (ja) シリコーン重合体を含む化粧料組成物
JP5908674B2 (ja) 油性化粧料
JP5368043B2 (ja) 粉末固形化粧料
JP4414082B2 (ja) 油性化粧料
JP5784932B2 (ja) 油性固形化粧料
JP6964326B2 (ja) 口唇化粧料及びその製造方法
JP2006241003A (ja) 油性固形化粧料
JP2005053909A (ja) 2度塗り製品、その使用法、ならびにこの製品を含むメーキャップキット
WO2017170217A1 (ja) 化粧料セット
JP2019014670A (ja) 油性化粧料
US10806682B2 (en) Cosmetic product
JPH0733324B2 (ja) スティック状化粧料
JP6465701B2 (ja) 油性固形化粧料
JP3905277B2 (ja) 油性固形化粧料
JP6334184B2 (ja) 油性固形化粧料
JP6621263B2 (ja) 口唇化粧料
WO2022091845A1 (ja) 油性化粧料
CN114929186B (zh) 嘴唇用固体化妆品
WO2022163691A1 (ja) 唇用固形化粧料
JP6470698B2 (ja) 口唇用メーキャップ化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190531

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200529

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211012

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6964326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150