JPH0733324B2 - スティック状化粧料 - Google Patents

スティック状化粧料

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JPH0733324B2
JPH0733324B2 JP61287409A JP28740986A JPH0733324B2 JP H0733324 B2 JPH0733324 B2 JP H0733324B2 JP 61287409 A JP61287409 A JP 61287409A JP 28740986 A JP28740986 A JP 28740986A JP H0733324 B2 JPH0733324 B2 JP H0733324B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、有用なスティック状化粧料に関するものであ
り、さらに詳しくは揮発性油剤を含有する油性化粧料基
材である内相部が、特定の固形油剤を含有する油性固形
基材である外相部によって被覆保護され、一体化した構
造を有するスティック状化粧料に関するものである。
すなわち本発明は、揮発性油剤の揮散が抑制され、経時
安定性が良好であると共に耐衝撃性の面で充分な折れ強
度を有し、また使用性がよく、使用時の肌への密着性、
塗膜の均一形成性、化粧持続性等の化粧効果に優れたス
ティック状化粧料の提供を目的とするものである。
[従来の技術] 従来、スティック状化粧料であるファンデーション、頬
紅、アイシャドウ、口紅等は化粧料用固形・半固形・液
体の油性原料と粉体原料とを主成分として混合分散し、
スティック状に成型したものであり、化粧目的・効果等
の点から油剤・粉体等の種類、配合比率を変化させるこ
とで一般的に製品化されている。
このスティック状化粧料の製品化に際しては、流し込み
成型面から加熱溶融充填時の流動性の確保、化粧面から
塗布時の延び拡がりや化粧効果等の使用性の確保、強度
面から折れ防止、耐衝撃性の確保、保存面から発粉・発
汗を防止した経時安定性の確保が重要な設計ポイントで
あり、これらを考慮して処方化されるのが常であった。
そして、例えば充填時の流動性や使用時の延び拡がりを
良好となすには、処方構成上粉体に対する油剤比率を高
め、しかも油剤組成的に液体油剤を比較的多く用いた
り、或いは粉体特性から吸油量の小さいものを使用する
等の工夫がなされてきた。
また、従来製品の改良において、肌への密着性と、均一
塗膜形成性、化粧持続性等の化粧品的特性、機能を付与
し、化粧効果を高めるべく種々検討され、試みられてい
る。近年、こうした使用性や化粧持続性の向上のため油
剤の一部に低沸点炭化水素や低沸点シリコーン油の如き
揮発性油剤を利用する技術が知られている。すなわち揮
発性油剤を化粧料基材に配合することにより、油のべた
つきを感じさせず、さっぱりとした感触を与える等の使
用感改善効果、また塗布後速やかに乾燥し、均一な化粧
膜を形成して化粧くずれ防止効果が図られるためであ
る。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、スティック状化粧料を処方設計する場
合、前記した品質を保証することが大切となり、使用す
る油剤・粉体等の種類の選択、配合比率乃至配合量の構
成から粉体系、油剤系組成にかなりの制約を受けるのが
実情であった。これより求められる化粧機能を充分発揮
し、製品幅の拡大になかなか答え難いという問題があっ
た。
例えば、化粧効果の持続性、肌への密着力を向上させる
べく固形・半固形油剤や付着力の高い粉体を増量すると
感触面での硬さやべたつき感、また使用上の延び拡がり
の悪さが現われるようになる。これらを改良しつつ、均
一な化粧膜形成性のある製品を得るのに液体油剤や伸展
性のよい粉体の使用が多くなると折れ強度の低下や化粧
持続性、密着性が劣ることになってしまう。従って使用
時の感触や延び拡がりがよく、しかも化粧持続性に優
れ、肌への密着性や均一な化粧膜形成性のある満足した
製品を得ることは困難とするところであった。
また前記したように感触改善や化粧効果の持続性向上の
ためのスティック状化粧料に揮発性油剤を適用する努力
もなされてきた。しかしこの場合にはたとえスティック
状に成型できたとしても折れ強度の低下を招いたり、或
いは通常容器では気密性が悪く、揮発性油剤が徐々に揮
散し、表面光沢低下ややせ細り等の外観変化現象が起こ
り、また使用感も悪くなり、さらに重要なことは経時変
化によって皮膚に付着せず、化粧しがたくなり、品質が
著しく損なわれてしまうという欠点があった。そこで揮
発性油剤の経時的揮散防止のため、貯留性を高めるべく
配合成分での検討、容器の気密性の検討から工夫されて
いるが、商品化には充分満足しえず、また、コスト高に
なってしまうこともあって実用に供し難いところであっ
た。
[問題点を解決する為の手段] 本発明者等は、前記事情に鑑み、従来スティック状化粧
料の問題点を解消し、良好な安定性と官能特性を具備し
た製品を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、簡便な製造
方法でありながらも、揮発性油剤を配合した油性化粧料
基材を内相部とし、該内相部を特定の固形油材を配合し
た油性固形基材で被覆保護することにより、揮発性油剤
の経時的揮散を抑制し、安定性と共に折れ強度も改善さ
れ、使用性や化粧効果に優れたスティック状化粧料が得
られることを見い出し、この知見をもって本発明を完成
させたものである。
すなわち本発明は、成型容器に、溶融した融点60℃以上
の固形油剤を20〜80重量%の範囲で含有する油性固形基
材の所定量を直接流し込み充填し、然るべき後、成型容
器を反転させ、固化していない余剰の油性固形基材を除
去することにより中空筒状の外相部を形成し、次いで溶
融した揮発性油剤を3〜30重量%の範囲で含有する油性
化粧量基材からなる内相部を前記中空筒状の外相部内に
流し込み充填し、固化、一体成型して得られることを特
徴とするスティック状化粧料に関する。
以下本発明の構成について説明する。
本発明でのスティック状化粧料の内相部は揮発性油剤を
必須に含有する油性化粧料基材で構成される。
揮発性油剤は、化粧料成分として使用可能で、肌上で速
やかに揮散し、乾燥する性質を有するものであれば特に
限定されるものでない。こうした揮発性油剤としては、
沸点が約300℃以下の揮発性炭化水素油、揮発性シリコ
ーン油が挙げられ、本発明にとって好適に使用しうる。
より具体的には低分子量のイソパラフィン系炭化水素
油、低分子量の鎖状ジメチルポリシロキサン、環状のオ
クタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ
ペンタシロキサンを例示することができる。そして本発
明に於いてはこれらの一種または二種以上を必要に応じ
て選択、配合して用いられる。これらは肌上での乾燥速
度が速やかであって、さっぱりした感触をもち、皮膚安
全性から好ましい。
また揮発性油剤以外の油性化粧料基材の構成は、油剤を
主成分として製造され、基本的には油性タイプの化粧料
成分からなる、一般にこの種の化粧料に、例えばファン
デーション、頬紅、口紅、アイシャドウ、リップクリー
ム、アイスティック、ヘアスティック等のスティック状
若しくは固形状の形態を有する製品が挙げられる。そし
て本発明に於いて、こうした従来化粧料に使用される油
剤、粉体等から選択され、また化粧品用原料として利用
できるものであればよく、特に限定を受けるものでな
い。
油剤成分としては、化粧料に使用可能な固形・半固形・
液状油であり、動物油、植物油、合成油を問わず、炭化
水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、グリセライド
類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類等の
種類が挙げられる。より具体的には、流動パラフィン、
スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セシレン
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ヒマシ油、
モクロウ、ミツロウ、キャンデリラワックス、カルナウ
バワックス、ラノリン、ミリスチン酸イソプロピル、パ
ルミチン酸イソプロピル、グリセリン脂肪酸エステル、
ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリス
リットエステル、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン
酸、ベヘニン酸、セタノール、ステアリルアルコール、
メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサ
ン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ステアリン
酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド等が
例示でき、必要に応じ、組合せて用いられる。
またメーキャップ効果を付与するためには、化粧料に使
用可能な粉体成分を配合することでメーキャップ用化粧
料とすることができる。この粉体成分としては、体質顔
料、白色顔料、着色顔料、有機粉末、パール剤、染料等
である。
より具体的には、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、シリ
カ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸
化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、
タール色素、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩
化ビスマス、ナイロン粉末、ポリエチレン末、メチルメ
タアクリレート粉末、スチレンパウダー、ポリテトラフ
ルオロエチレンパウダー、シルクパウダー、結晶セルロ
ース、でんぷん等が例示でき、必要に応じ、組合せて用
いられる。
更に、油性化粧料に通常用いられるベントナイト、ショ
糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル等のゲ
ル化剤、金属石ケン、界面活性剤、レシチン等、その他
添加剤として紫外線吸収剤、高分子化合物、香料、防腐
剤、酸化防止剤、保湿剤、美肌用成分等が配合しうる。
本発明での油性化粧料基材は、前記した揮発性油剤と、
化粧料の種類、化粧目的に応じて油剤、粉体等から選択
される成分とで構成されるものである。この際、揮発性
油剤の配合量は内相部全量当たり、3〜30重量%の範囲
である。すなわち、この範囲未満では、添加効果が充分
発揮されず、本発明での使用性、化粧効果を期待し難く
なり、またこの範囲を越えるとスティック形態での強度
を充分維持することが難しくなることもあって、本発明
にとり前記範囲であれば充分量である。
尚、本発明に於いて内相部となる油性化粧料基材の処方
構成の際には、当然のことながら外相部との関係から最
終製品としたスティック形態での強度を保証できる適度
な硬さに前記成分を組み合せて調製する必要がある。ま
た油性化粧料基材の製造は、従来法に準じて行えばよ
い。
次に、内相部を被覆保護する外相部は、前記揮発性油剤
の経時的揮散を抑制すると同時にスティック形態を維持
し、折れ強度を保証するものでもあり、適度な硬さにす
る必要がある。このため本発明での外相部は基本的に固
形油剤を含有する油性固形基材で構成される。本発明に
とって固形油剤として、融点が60℃以上であり、特に構
造性のある結晶性、微結晶性の性質を有するものである
と、安定して良好な外相皮膜が得られるので好ましく、
必須に用いられる。これら固形油剤としては、カルナウ
バワックス、キャンデリラワックス、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワック
ス、ポリエチレンワックス等が例示でき、これらの一種
または二種以上を適宜配合して用いられる。
また油性固形基材中の前記必須固形油剤の配合量は外相
部全量当り、20〜80重量%の範囲である。すなわちこの
範囲未満になると外相皮膜を形成しない、或いはもろく
て、強度的に充分でない、またこの範囲を越えると硬く
なりすぎ、感触が悪くなるだけでなく、亀裂や割れが発
生しやすい等といったことがあり、良好な外相部が得難
くなるからである。
本発明での外相部となる油性固形基材は、前記必須固形
油剤以外に常温で固形状、半固形状、液体油剤原料をも
って主として構成される。これら油剤は、化粧品に使用
可能なものであれば特に限定されるものでないが、最終
製品の内相部保護機能面や感触面から期待する外相部を
得るべく、必須固形油剤との相容性、安定性、強度を考
慮して随時選択し、組み合せて行うことが肝要である。
尚、油性固形基材を前記油剤原料で構成してもよいが、
必要に応じてパール剤、着色剤、美肌用成分、香料、防
腐剤、酸化防止剤等を添加剤として本発明を妨げない程
度に配合しても何ら差支えない。
本発明のスティック状化粧料は、前記の如く構成され、
揮発性油剤が安定して含有されてなる。従来この種の製
品は、一般的に固形油分を骨格に油剤成分若しくは粉体
成分とからなっていたため油っぽさやべたつきを感じ、
延びが悪いものであった。本発明では、揮発性油剤を含
んでおり、使用時の延びがよく、ソフトでさっぱりとし
た使用感を付与することができ、また均一な化粧膜を形
成し、化粧持続性の高いものである。本発明者等によれ
ば、特にメーキャップ化粧量の場合、前記粉体成分の中
で球状または多孔質球状微粉末を内相部全量当り、3〜
20重量%程度配合せしめると一層、塗布時の延びやべた
つき感が改善され、好ましい結果となる所見も得てい
る。
従来、内相部と外相部とからなる二重構造を有するステ
ィック状化粧料の製造は、成形枠である凹型と凸型の成
型部材を用い、それぞれによって内相部若しくは外相部
の何れかを先に成形した後、一体化成型し、得られた化
粧料を然るべき容器に装着する手段で行なうのが一般的
であった。しかし、こうした場合には、型体となる成型
部材、そしてそれを保持する固定部材等や装置を必要と
するものであり、また成形したスティック状化粧料をい
ちいち容器にセットするので作業上、面倒であった。
本発明のスティック状化粧料の製造に際し、本発明者等
は、前記従来法によっても可能であるが、更に能率的に
製造する方法について検討したところ、成型容器に、溶
融した油性固形基材の所定量を直接流し込み充填し、然
るべき後、成型容器を反転させ、固化していない余剰の
油性固形基材を除去することにより中空筒状の外相部を
形成し、次いで溶融した油性化粧料基材を前記中空筒状
の外相部内に流し込み充填し、固化、一体成型すること
できわめて容易に当該スティック状化粧料の製造が可能
であることを見い出した。
すなわち、本発明のスティック状化粧料は以下に記する
成型方法によって効率良く製造するこができる。
まず、外相部となる油性固形基材の溶融充填機内で所定
の温度にコントロールして融解し、上面を開口部とした
スティック状容器、中皿、またカプセル等の成型容器内
に定量、例えば前記成型容器内に一杯に流し込み充填し
て満たす。そして充填した油性固形基材が完全に固化す
る以前に、或いは充填後直ちに成型容器を反転させ、固
化していない余剰の油性固形基材を除去し、容器内周面
に適宜の肉厚を持つ皮膜を形成させ、中空筒状の外相部
を成型する。次いで再び成型容器を元の状態に戻し、別
の溶融充填機で予め融解しておいた内相部となる油性化
粧料基材を前記中空筒状の外相部内に流し込み充填して
満たす。その後冷却し、固化させることで内相部と外相
部とが一体化したスティック状化粧料が得られる。尚、
余剰分として除去された油性固形基材は回収し、再び使
用することができる。
本発明によれば、目的とするスティック状化粧料が簡便
に生産可能であり、作業上有益である。
また外相部の肉圧については、前記油性固形基材の組成
やその割合を変えたり、充填時の成型容器の温度、油性
固形基材の充填温度或いは除去時間または除去温度をコ
ントロールすることにより所望のものとすることができ
る。
そして本発明に於いて、内相部と外相部との横断面での
厚さの比率は特に限定されず、任意とすることができる
が、外相部の圧さは、内相部の化粧目的・効果を充分に
活かし、揮発性油剤の揮散の抑制や強度保証等からその
必要性に応じて選定すればよい。例えば揮発性油剤の揮
酸の抑制には、製品の太さにもよるが外相部の横断面肉
厚を0.1〜3.0mm程度とすれば安定で、目的達成に充分で
あり、使用感に影響を与えず、好ましい。
本発明のスティック状化粧料は、ファンデーション、頬
紅、アイシャドウ、口紅等のメーキャップ化粧料やリッ
プクリーム、アイクリームの他、スティック製品として
適用しうるものであれば何れを問わず、広く利用できる
ものである。
[実施例] 以下、本発明について実施例を挙げてさらに説明する。
尚、本発明はこれらによって何ら限定されるものではな
い。
実施例[1] ファンデーション A:内相部 (成分) (重量%) (1) 酸化チタン 20.0 (2) 雲母チタン 3.0 (3) タルク 14.0 (4) マイカ 7.0 (5) 着色顔料 6.0 (6) キャデリラロウ 1.5 (7) パラフィンワックス 1.0 (8) マイクロクリスタリンワックス 1.5 (9) ジステアリン酸エチレングリコール 6.0 (10) ポリブテン 4.0 (11) グリセリン脂肪酸エステル 10.5 (12) デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0 (13) 香料 0.5 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) マイクロクリスタリンワックス 20.0 (2′) 流動パラフィン 80.0 (製法) 成分(1)〜(5)を混合粉砕して均質とし、これに予
め成分(6)〜(11)を混合し、加熱溶解したものと成
分(12)〜(13)とを加え、均一分散して油性化粧料基
材とする。一方成分(1′)〜(2′)とを混合後、加
熱溶解して油性固形基材とする。繰り出し容器内に約10
0℃にて加熱溶融した前記油性固形基材を一杯に流し込
み充填後、約90℃で容器を反転して余剰の油性固形基材
の除去と共に皮膜を形成し、外相部を成型する。次いで
再び容器を元の状態に戻し、中空筒状の外相部内に70℃
にて加熱溶融した前記油性化粧料基材を流し込し込み充
填し、その後冷却、固化させて製品とした。得られた製
品は、横断面直径が1.5cmの太さで外相部の横断面肉厚
が0.7mmの構造を有するものであった。
以上の如くして得た本発明のスティック状ファンデーシ
ョンは、外観がきれいで、3ヶ月の室温放置後の観察で
やせ細りやつや等の変化もなく、揮発性油剤の揮酸が効
果的に抑制され、安定性が良好であり、また実際に使用
した結果に於いて、折れや割れが認められず、しかも使
用時に肌へののりや延び拡がりがよく、均一で密着感の
ある化粧膜を形成し、化粧くずれしにくく化粧持続性が
よい等、メーク効果に優れ、使用性のよいきわめて有用
なものであった。
これに対し、前記内相部Aのみでスティック製品とした
場合には、3ヶ月の室温放置後、経時での揮発成分の揮
発が起こり、表面状態に於いてつやの消失、色変化、細
かく密集した凹凸ないし亀裂の発生等の外観変化と共に
やせ細りによる容器内壁との隙間の発生が現象として認
められ、さらには製品が固化し、肌に付着せず塗布性が
悪いとの結果を示し、製品として供し得るものでなかっ
た。
実施例[2] ファンデーション A:内相部 (成分) (重量%) (1) 酸化チタン 15.0 (2) 球状酸化チタン 5.0 (3) 雲母チタン 10.0 (4) メチルメタアクリレート粉末 7.0 (5) シリカ 2.5 (6) 着色顔料 5.5 (7) ショ糖脂肪酸エステル 5.0 (8) エチレングリコールジステアレート 7.0 (9) キャンデリラワックス 1.5 (10) マイクロクリスタリンワックス 2.0 (11) ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 6.5 (12) ジメチルポリシロキサン 8.0 (13) デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) ポリエチレンワックス 50.0 (2′) 流動パラフィン 50.0 (製法) 実施例[1]と同様な方法に準じて製品とした。但し、
外相部の充填温度は約85℃、除去時の温度は約75℃で、
また内相部の充填温度は72℃で行った。得られた製品
は、横断面直径が1.5cmの太さで外相部の横断面肉厚が
1.5mmの構造を有するものであった。
実施例[3] アイシャドウ A:内相部 (成分) (重量%) (1) 雲母チタン 20.0 (2) タルク 25.0 (3) 着色顔料 10.0 (4) キャデリラワックス 2.0 (5) ジステアリン酸エチレングリコール 7.0 (6) マイクロクリスタリンワックス 5.0 (7) 流動パラフィン 20.9 (8) ワセリン 5.0 (9) イソパラフィン(沸点150℃〜200℃) 5.0 (10) 香料 0.1 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) マイクロクリスタリンワックス 80.0 (2′) デキストリン脂肪酸エステル 0.2 (3′) 流動パラフィン 19.8 (製法) 実施例[1]と同様な方法に準じて製品とした。但し、
外相部の充填温度は約95℃、除去時の温度は約80℃で、
また内相部の充填温度は70℃で行った。得られた製品
は、横断面直径が1.0cmの太さで外相部の横断面肉厚が
1.0mmの構造を有するものであった。
実施例[4] アイシャドウ A:内相部 (成分) (重量%) (1) 酸化チタン 8.0 (2) 球状シリカ 15.0 (3) 雲母チタン 15.0 (4) ナイロン粉末 8.0 (5) 着色顔料 2.5 (6) ショ糖脂肪酸エステル 5.0 (7) エチレングリコールジステアレート 8.0 (8) キャンデリラワックス 2.5 (9) マイクロクリスタリンワックス 3.0 (10) ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 3.0 (11) ジメチルポリシロキサン 10.0 (12) デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) マイクロクリスタリンワックス 50.0 (2′) 流動パラフィン 50.0 (製法) 実施例[1]と同様な方法に準じて製品とした。但し、
外相部の充填温度は約100℃、除去時の温度は約95℃
で、また内相部の充填温度は80℃で行った。得られた製
品は、横断面直径が1.0cmの太さで外相部の横断面肉厚
が0.4mmの構造を有するものであった。
実施例[5] 頬紅 A:内相部 (成分) (重量%) (1) 雲母チタン 10.0 (2) マイカ 24.0 (3) 硫酸バリウム 5.0 (4) 着色顔料 6.0 (5) カルナウバワックス 2.0 (6) セレシンワックス 2.0 (7) マイクロクリスタリンワックス 4.0 (8) 大豆リン脂質 0.5 (9) スクワラン 5.0 (10) 流動パラフィン 26.2 (11) オクタメチルシクロテトラシロキサン 15.0 (12) 香料 0.3 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) キャデリラワックス 60.0 (2′) 流動パラフィン 40.0 (製法) 実施例[1]と同様な方法に準じて製品とした。但し、
外相部の充填温度は約65℃、除去時の温度は約60℃で、
また内相部の充填温度は60℃で行った。得られた製品
は、横断面直径が1.2cmの太さで外相部の横断面肉厚が
0.5mmの構造を有するものであった。
実施例[6] 口紅 A:内相部 (成分) (重量%) (1) マイクロクリスタリンワックス 19.0 (2) ポリブテン 5.0 (3) ロジン酸ペンタエリトリットエステル 5.0 (4) グリセリン脂肪酸エステル 40.7 (5) ワセリン 10.0 (6) デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 (7) 雲母チタン 6.0 (8) 着色剤 4.0 (9) 酸化防止剤 0.05 (10) 防腐剤 0.05 (11) 香料 0.2 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) マイクロクリスタリンワックス 40.0 (2′) ワセリン 60.0 (製法) 実施例[1]と同様な方法に準じて製品とした。但し、
外相部の充填温度は約100℃、除去時の温度は約95℃
で、また内相部の充填温度は80℃で行った。得られた製
品は、横断面直径が1.3cmの太さで外相部の横断面肉厚
が1.2cmの構造を有するものであった。
実施例[7] アイスティック A:内相部 (成分) (重量%) (1) マイクロクリスタリンワックス 10.0 (2) キャンデリラワックス 5.0 (3) ロジン酸ペンタエリトリットエステル 7.0 (4) スクワラン 1.0 (5) ジグリセリントリイソステアレート 30.0 (6) グリセリン脂肪酸エステル 31.8 (7) ビタミンEアセテート 0.1 (8) 防腐剤 0.1 (9) デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 (10) ジグリセリンジイソステアレート 1.5 (11) 1,3−ブチレングリコール 3.5 B:外相部 (成分) (重量%) (1′) マイクロクリスタリンワックス 40.0 (2′) ワセリン 60.0 (製法) 成分(1)〜(8)を混合後、加熱溶融したものと成分
(9)〜(11)を混合後、均一混練したものとを混合、
均質にして油性化粧料基材とした以外は実施例[1]と
同様な方法に準じて製品とした。但し、外相部の充填温
度は約100℃、除去時の温度は95℃で、また内相部の充
填温度は80℃で行った。得られた製品は、横断面直径が
0.9cmの太さで外相部の横断面肉厚が1.0mmの構造を有す
るものであった。
以上の如くして得た実施例[2]〜[7]の製品は、使
用時の肌へののりや延び拡がり、化粧膜の密着性、化粧
持続性等の使用感、使用性がよく、化粧効果に優れたも
のであり、また製造直後と変らず、経時に於ける表面状
態での外観変化を認めず、品質的に安定性の高いもので
あった。
[発明の効果] 本発明に於いては、外相部組成を特定構成としたことに
より、容器に充填後、成型容器を反転させ、固化してい
ない余剰分を除去するだけで外相皮膜が安定して簡単に
形成でき、然る後内相部を充填することで製造できる。
すなわち本発明に従えば、従来法に比較し面倒な工程を
必要とせず、成型が容易で、しかも直接容器に直接容器
に充填してそのまま実用に供することもできるので、作
業上きわめて便利である。しかも、本発明は、内相部と
して揮発性油剤を含有し、化粧機能のある油性化粧料基
材を、外相部として特定の固形油剤を含有する組成の油
性固形基材にて被覆し、安定保護した構造のスティック
状化粧料となし、品質保証をしている。
本発明のスティック状化粧料は、露出面が外相皮膜によ
って被われているので揮発性油剤の経時的な揮散が効果
的に抑制され、やせ細りや表面光沢等の外観面そして感
触面の変化がなく、長期安定性に優れたものである。
また外相部を固め、或いは所望の肉厚にコントロールす
ることにより、内相部が多少軟弱若しくはそれ自体強度
が弱くスティック製品として使用し難いものであった場
合でも、製品化が可能であり、また折れ強度を一層向上
させることができ、従来処方上の制約が緩和されて製品
幅の拡大が図れる。
さらにまた、本発明によれば露出面を外相部で被うこと
で内相部となる油性化粧料において従来認められた発
汗、結晶析出等の安定性上の問題をも同時に解消できる
ものである。
而して、本発明のスティック状化粧料を使用した場合、
従来の不揮発性油剤を主体とした製品に比べ、揮発性油
剤を必須に含有しているので、べたつきやあぶらっぽさ
が少なく、さっぱりした感触をもち、また塗布使用時に
は、延び拡がりがよく、塗布後には揮発性油剤の蒸発に
伴い、半固形油剤や粉体の付着力が相対的に高まり、肌
への密着力、化粧膜を持続性に優れる等の化粧効果を付
与できる。
すなわち、本発明によれば、成型枠を用いることなく簡
便な製造方法によって、従来この種の経時安定性が顕著
に改善されると共に良好な耐衝撃性をもち、使用感・使
用性に富み、品質の優れた製品の提供を可能としたので
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成型容器に、溶融した融点60℃以上の固形
    油剤を20〜80重量%の範囲で含有する油性固形基材の所
    定量を直接流し込み充填し、然るべき後、成型容器を反
    転させ、固化していない余剰の油性固形基材を除去する
    ことにより中空筒状の外相部を形成し、次いで溶融した
    揮発性油剤を3〜30重量%の範囲で含有する油性化粧料
    基材からなる内相部を前記中空筒状の外相部内に流し込
    み充填し、固化、一体成型して得られることを特徴とす
    るスティック状化粧料。
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